NOSAIトピックス


NOSAI制度改正の主な内容

 NOSAI制度の改正法案「農業災害補償法の一部を改正する法律案」が、2003年6月12日の衆議院本会議で、全会一致で可決、成立し、2004年4月1日から新しい制度がスタートしました。
 今回の改正は、「食料・農業・農村基本法」が目指す望ましい農業構造の実現などをねらいに、「経営実態に応じた補償の選択の拡大」や「最近の農業生産の実態に即した補償」、「NOSAI団体の運営の合理化」などの視点から、各改正事項が実現しました。
 以下、主な改正内容を紹介します。



〔農作物共済関係〕

引受方式と支払開始損害割合を農家が選択して加入できるようになります。
 現行では、加入方式は、農業共済組合等(市町村が共済事業を実施している場合は市町村)による一つの方式の選択又は農林水産大臣による地域指定制となっており、原則として農家が自由に選択することはできませんが、今回の改正により、組合等が共済規程等(後掲参照)で定めた複数の引受方式の中から、選択できるようになります。支払開始損害割合についても、農家が選択できるようになります。

水稲の減収と品質低下を補償する方式(品質方式)が導入されます。
 現行の水稲共済は、収量の減少のみを補てん対象としていますが、災害による収量の減少または品質の低下を伴う生産金額の減少を補てんの対象とする「品質方式」を新たに導入します。この方式に加入するには、「収穫量を出荷伝票など客観的資料によって把握でき、また、品位等の検査を受けること」などの資格要件を満たすことが前提となります。
 
麦の災害収入共済方式に類区分が導入されます。
 現行の麦の災害収入共済方式は、「麦」一本で実施していますが、例えば、小麦と大麦では被害率が異なることから、類区分(例えば「秋まき小麦」のように品種、栽培方法等による区分)を導入し、共済金の支払いなどを類区分の単位で行うようにします。
 
 
〔家畜共済関係〕

乳牛の子牛及び胎児が共済目的として追加されます。
 現行では、肉牛の子牛・胎児は、組合の定款等で規定すれば、補償の対象とすることができますが、乳牛の子牛・胎児については、補償の対象となっておりません。しかし、酪農家の生産する子牛に経済的価値の高いものが増加してきたことや、BSEの発生に伴い酪農経営における後継牛の確保が重要となったことから、乳牛の子牛・胎児についても、共済ニーズが高まったことにより追加されます。

死廃事故に係る共済金支払限度が設定されます。
 死廃事故が多発している農家には事故防止意識を持ってもらい、一方、低被害農家には、共済金の支払をめぐる不公平感をなくしてもらうため、農家の飼養管理努力により防止が可能な死廃事故を対象として、共済金に一定の支払限度を設けます。

肉牛の胎児価額の算定方法が変わります。
 現行では、母牛価額の2割に相当する額を胎児価額としていますが、肉用牛の市場価格(交雑種の初生牛の取引価格等)を用いて算定する方法に変わります。


〔果樹共済〕

樹園地単位方式が導入されます。
 現行の農家単位による3方式(半相殺方式、全相殺方式及び災害収入共済方式)に加え、落葉果樹(りんごなど10樹種)を対象として、樹園地単位に共済金を支払う「樹園地単位方式」を導入します。果樹農家のニーズが強い特定危険方式の補償割合は、7割となります。
 なお、現行の半相殺方式等と同様、全樹園地を加入していただく必要があります。
 
地域指定(全相殺・災害収入共済方式)が廃止されます。
 現行の全相殺方式及び災害収入共済方式は、農林水産大臣による地域指定制となっていますが、農家選択肢を拡大するため、地域指定制を廃止します。これにより、組合等がこれらの引受方式の実施を共済規程等で規定した場合は、生産量のおおむね全量をJAへ出荷しているなどの個人要件を満たす農家は、これらの方式に加入することができるようになります。


〔畑作物共済〕

大豆共済に一筆単位方式が導入されます。
 現行の大豆共済は、半相殺方式及び全相殺方式により実施されていますが、水稲共済と同様、一筆単位方式を導入します。一筆単位方式には、組合等が共済規程等で一筆単位方式の実施を定めた場合に、農家の選択により加入することができます。なお、補償割合は7割で、全筆加入する必要があります。

地域指定(全相殺)が廃止されます。
 現行の全相殺方式(大豆)は、農林水産大臣による地域指定制となっていますが、農家選択肢を拡大するため、地域指定制を廃止します。これにより、組合等が共済規程等で全相殺方式の実施を規定し、生産量のおおむね全量をJAへ出荷しているなどの個人要件を満たす農家は、全相殺方式に加入することができるようになります。


〔園芸施設共済〕

特定園芸施設の撤去費用の補償方式が導入されます。
 園芸施設の大型化に伴い、台風等による倒壊により施設の撤去費用が多額となることから、その撤去費用が一定額を超えた場合(又は一定の損害割合を超えた場合)に補償する方式を導入します。対象となる施設は、ガラス室(T類・U類)と鉄骨ハウス(プラスチックハウスV〜Y類)です。

多目的ネットハウスが補償の対象に追加されます。
 防風や防ひょう、防虫、防鳥を目的として果樹園などに設置されている多目的ネットハウスを、新たに補償対象に追加します。具体的には、施設全体がネットで被覆されており、かつ、骨格の主要部分が鋼材等により造られ、それらが鋼線により接続されている施設となります。

共済掛金国庫負担対象金額の限度が引上げられます。

 園芸施設共済の共済掛金国庫負担の対象となる共済金額は、現在4,000万円ですが、近年、園芸施設が大型化していること等から、その限度額を8,000万円に引上げられます。


〔NOSAI団体組織〕

農業共済団体の議決権及び選挙権に係る規程が改訂されます。
 書面又は代理人による選挙権及び議決権の行使が認められるほか、一人の代理人が代理できる組合員の数の制限が撤廃されます。
 
組合に共済規程、連合会に保険規程が導入されます。
 現在、定款に記載されている事項のうち、事業の実施細目部分の記載を、新たに導入する共済規程や保険規程に移行します。組合定款の変更には、総会等での特別議決(出席者の3分の2以上)が必要ですが、共済規程等は、通常議決(出席者の過半数)で変更可能な自治法規であることから、多様な組合員の共済ニーズに応え、機動的な運営が可能となります。
 なお、市町村営のところでは、今までどおり、条例によって農業共済事業を実施します。