「取れたての奈良産野菜のおいしさを知ってほしい」と話すのは、大阪市城東区森之宮の農産物直売所「あいやさい」の店長・多田昌崇さん(29)。奈良県田原本町で水稲70アールと露地野菜30アールを栽培する多田さん方では、毎日車で約1時間かけて農産物や加工品を運んで販売する。品ぞろえのため、近隣の農家にも出荷を依頼。鮮度の良さや小世帯向けの小分け販売などニーズに合わせた工夫で、都市住民から支持を得ている。直売所は2008年10月にオープンし、昨年の売り上げは約2千万円。今年の売り上げは昨年を上回る見込みだ。
JR大阪環状線・森ノ宮駅から徒歩10分ほど、高層マンションが立ち並ぶ一画に「あいやさい」はある。約50平方メートルの売り場には、野菜、果物、みそや豆腐などの加工品が100点以上並ぶ。奈良産は入り口に近い棚に集められ、「奈良・天理市産トマト(大玉)1玉100円」などと掲示されている。
昌崇さんは「お客さんの立場になり、買いやすい売り場作りをしています」と話す。
米や野菜は近隣住民の世帯員数を考え、小分けにしている。米は1キロ単位で量り売りし、カボチャは4分の1にカットして販売する。昌崇さんは、野菜の知識やレシピを事前に勉強して客に説明。重い荷物を持てない客には自宅まで無償で品物を届ける。きめ細かいサービスが人気となり、1日100人ほどが訪れる。
近くに住む中渡瀬たつ子さん(79)は「野菜の鮮度がよく、店長さんの愛想もいい。毎日欠かさず来て、おしゃべりしながら買い物しています」と魅力を話す。
仕事帰りにも立ち寄れるように営業時間は午前10時半~午後7時までだ。日曜も営業するが、盆や正月のほか、水稲の播種や田植え、稲刈りの日は直売所を休む。
(8面・流通)
〈写真:「お客さんとのふれあいを大切にしたい」と昌崇さん(右)〉