農業後継者の不在が問題となり、地域農業の存続を危ぶむ声がある。過疎化、高齢化に悩む地域もあれば、都市近郊で若者が農外に働きに出てしまう地域もあり、抱える事情はさまざまだ。いま耕している豊かな農地は先達が積み重ねてきた努力の成果であり、暮らしとともに何世代も引き継がれてきた。若者を地域に呼び込み、営農と暮らしを次の世代につなげようと工夫する人々がいる。各地の事例を紹介する。
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水田農業の企業的経営を実現 農の営み脈々と ―― 佐賀県吉野ヶ里町・株式会社「石動農産」
佐賀県吉野ヶ里町上石動〈かみいしなり〉地区の株式会社「石動農産」(秋吉義孝代表)は、農地集積を進め、水田農業の企業的経営を実現している。特定農業法人として、地権者から耕作依頼のある地区内の水田をすべて引き受け、現在では上石動地区の水田70ヘクタールのほとんどをカバーする。経営の長期目標を規模拡大から経営安定化に移し、農業後継者の育成に力を入れる。就労時間や社会保障制度への加入など労働条件を整え、若者に魅力ある職場として、雇用を通じた農業者の確保に努めている。
〈写真:「若い力を取り入れて地域農業を守っていきたい」という秋吉さん(後列右)とキャベツ収穫に汗を流す社員〉
(3面・新年号特集)
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離農者の牧場を丸ごと委譲 技も心も伝えて ―― 北海道美深町・R&Rおんねない
北海道美深町恩根内地区の酪農家組織「R&Rおんねない」は、酪農を志す就農希望者に着実に経営を継承する後継者育成事業を展開する。40歳未満の夫婦を条件に希望者を募り、全会員がかかわって研修し、離農する会員の農場を丸ごと引き渡す仕組み。継承後も営農指導など責任を持ってサポートする。後継者のいない8戸で設立し10年目となる今年、4組目の後継者が誕生する予定だ。真冬には氷点下30度を記録する厳しい自然条件下だが、就農希望者の立場から考えるを基本に、安心して新規就農できる環境を整備し、"若い酪農家が輝く持続可能なふるさとづくり"に挑んでいる。
〈写真:08年に森口時雄さん(66)から牧場を継いだ近藤さん夫妻。「今も農繁期などには親方(森口さん)が手伝いに来てくれてるんですよ」と剛さん。今後の目標は放牧酪農への挑戦だ〉
(5面・新年号特集)
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100坪の「実験農場」でお試し 苦学び楽を知る ―― 長野県伊那市・産直市場 グリーンファーム
長野県伊那市ますみヶ岡の「産直市場 グリーンファーム」(小林史麿会長、70歳)では、「生き生き100坪実験農場」を運営する。農業未経験者に100坪の農地でお試し農業をしてもらい、就農への足がかりにしてもらうのがねらいだ。産直市場の生産会員が農地を貸して、必要に応じて技術指導に当たり、収穫物は直売所で販売できる。生産から販売まで一貫して経験することで農業の楽しさや苦しさを学べる仕組みだ。開設から3年が過ぎ、8人が専業農家として独立した。集落の高齢化や人口減少の中、新規就農希望の若者や定年退職者が集まり、地域に活気を呼び込んでいる。
〈写真:「100坪農場を通じて農業の醍醐味を味わってほしい」と話す小林会長(左)と、「経営を安定させ、今後は水稲にも挑戦したい」という田中さん〉
(6面・新年号特集)
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水稲柱に野菜などで多角化 若者を呼び込む ―― 島根県雲南市・農事組合法人「槻之屋ヒーリング」
集落の農地9割を集積し、ブランド米の直販を軸とした経営を展開するのは、島根県雲南市木次町の特定農業法人・農事組合法人「槻之屋ヒーリング」だ。住民の半数が65歳以上となった槻之屋集落で、農地を維持しながら若者を雇用できる営農を追求する。雪が積もる冬季の労働確保にキノコ栽培を導入。近隣にできた道の駅のレストランと直売所出荷向けに、少量多品目の野菜栽培を始めるなど、経営の安定を図る。集落の景観保全活動や高齢者住宅の除雪も請け負い、安心して生活でき、魅力ある集落づくりの一翼を担っている。
〈写真:槻之屋ヒーリングのメンバー。右側が手前から斎藤代表と竹田さん。左側が手前から星野さんとアルバイトの川角広大さん(21)〉
(7面・新年号特集)
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