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今週のヘッドライン: 2009年3月アーカイブ


【岩手支局】観賞用のクローバーを栽培する、一関市厳美町の佐藤修司さん(46)は、「しあわせみぃつけた」というカードをポットに差し込み、新たな価値を付け加えて販売している。栽培するクローバーは「ブラッククローバー」で、四つ葉の割合が高い品種。購買層を絞り、バレンタインデーやホワイトデー、卒業式、母の日などのイベントに合わせ、出荷のピークを定めている。
 「2月や3月は花屋の店頭で花の種類が減る時期。クローバーを手に花屋を回りました。狙いどころを理解してくれた店がクローバーを店頭に並べてくれて、うわさが広がり、取引先は全国に拡大しました」と佐藤さん。
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<写真:「三つ葉の中にいくつかの四つ葉が混ざっている」と佐藤さん。「しあわせみぃつけた」というカードをポットに差し込んで出荷する>

 農研機構・生研センター(さいたま市北区)は5日、さいたま市中央区で「2008年度生研センター研究報告会」を開き、イチゴの収穫ロボットなどの研究成果を紹介した。その中から、09年度中に市販化を予定しているディスク式「畑用中耕除草機」を紹介する。この除草機は、一般的なロータリー式中耕除草機に比べて作業速度が速く、湿潤な土壌でも土の物理性を壊さずに作業が可能だ。転作大豆など転換畑での導入を目指している。
 畑用中耕除草機は、乗用管理機用とトラクター用の2種類を開発した。ディスクが条間を通過しながら回転し、土を横に反転移動させて培土と中耕除草を行う。
 センターが行った実証試験では、ロータリー式に比べて大豆の収量が約15%増収したほか、作業後の雑草乾物量は条間で50%減少。作業速度はロータリー式が1秒当たり約0.6メートル、ディスク式は約1.2メートルで単位面積当たりの燃料消費量は約半分になった。
 ディスク式は、土の練りや圧縮が少なく、ロータリー式に比べて平均土塊径が約20%小さいなど砕土性能も良い。土の物理性の悪化を軽減することで、大豆の収量の増加や品質の向上につながるという。
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<写真:ディスク式(左)とロータリー式で作業した場合の圃場状態>

 ▼一般国民にとってなじみの薄い「病院の言葉」を分かりやすくしようとの提案を、国立国語研究所が先ごろまとめた。患者や家族に向けて使う医療者の言葉のうち、十分に意味が伝わっていない例に、がんと混同しやすい「腫瘍〈しゅよう〉」などを挙げた。
 ▼インフォームドコンセント(納得診療、説明と同意)の考え方と言葉は定着してきたが、説明を受ける側は言葉に分かりにくさを感じていると指摘した。「重篤」「合併症」など57語を選んで、誤解の内容や端的な言い換え表現を示し、詳細な説明を加えている。
 ▼農政も、対象となる農業者や国民に向け、現在の課題や政策内容を分かりやすく伝えることが重要だ。農業の担い手確保や食料自給率向上など課題は山積しているものの、最近の農政改革をめぐる議論は、今年行われる総選挙も視野にあるためか、かなり不透明。
 ▼問題の一つは、政府と与党の方向が合致していないことだ。石破農相は、米の生産調整を含め農政を抜本的に見直す考えを打ち出し、政府の関係閣僚会合の場で検討を進めている。自民党の基本政策委員会は、現行の生産調整の枠組みを基本に、生産調整実施者のメリットの拡充など支援強化を重点に掲げる。これに対し、民主党は販売額とコストの差額を補てんする「戸別所得補償」を提起し、今国会に法案を提出した。
 ▼政府・与党と野党の間で、政策議論が活発に行われることに異論はない。しかし、経済危機を受け、農業による雇用確保や農山漁村振興策など国内対策の充実が求められる中、現状では予算の獲得や積み上げを求める声は大きいものの、それぞれの政策が目指す農業・農村の将来像が十分に見えてこない。
 ▼総選挙を控えているからこそ、各党は将来展望を見据えた政策を提起し、国民に提示する必要がある。その際には、分かりやすい言葉を使い、理解が深まるよう詳しく説明することを忘れないで行ってほしい。

 ▼中山間地域の農地保全と農業振興を目的に、2000年度から導入された中山間地域等直接支払制度は、09年度で5年間実施する第2期対策の最終年度を迎える。農林水産省は先ごろ、有識者の検討会を開き、現行対策の検証と10年度以降の制度あり方について協議を始めた。8月上旬までに基本的な方向の整理を行う。
 ▼第2期対策は、10~15年後を見通した集落マスタープラン(基本計画)の策定を要件とし、協定に基づき5年以上継続して行う活動を支援する。機械の共同利用など農業生産活動の体制整備を進める要件の選択ができない場合、基礎単価は満額の8割になる。07年度の交付総額は514億円だった。
 ▼専門委員として参加する福島県鮫川村の大楽勝弘村長は「直接支払制度が始まり、なくなりかけていた集落の共同作業が再び始まった。中山間地域で農業を続けるためには、小さな農家を支援する制度が必要だ」と訴えた。明治大学農学部教授の小田切徳美委員が制度を恒久的な仕組みとする法制化を提起するなど、委員からは制度を評価する意見が続いた。
 ▼特に支持されたのは交付金の使い方の自由度が高い点だ。交付金は、2分の1以内を目安に個人への直接配分を認めている。07年度は交付総額ベースで42・5%の219億円が個人配分された。鳥獣害防止や交流促進、公民館やライスセンターの整備に向けた積み立てなど、地域の判断で多様な使い方を選択できる。
 ▼一方で、中心となっている農家の高齢化など、活動の継続に対する懸念も指摘された。中山間地域では、農地を集積しても効率化や低コスト化のメリットを得にくい。農家の平均年齢が高くなれば、地域で築いてきた活動の縮小を余儀なくされる心配もある。
 ▼今後、条件不利地域をどのように守るのか。農業生産活動への支援だけでなく、地域と暮らしを守る社会政策的な視点からの支援がますます重要となっている。

 ▼過疎化や高齢化が進み疲弊する農村地域にあって、元気な取り組みの一つが農産物直売所だ。定期的に消費者と直接対面して販売する施設は、全国で1万3538カ所に及ぶ(2005年農林業センサス)。売り上げの7~8割を地場農産物が占め、地産地消の拠点となっている。
 ▼半数を超える56%は年間販売額1千万円未満だが、1億円以上を達成している直売所も9・7%と1割近い。JAや第3セクターが運営する直売所に限れば、年間販売額は平均で1億円を超えている。年間80万人の消費者が訪れ、25億円を売り上げる事例も出てきた。
 ▼農林水産省の調査では、消費者が直売所に感じる魅力は「新鮮」「安心」「生産者が身近」「おいしい」「安い」などだ。もう一つ加えたいのが「珍しさ」だ。一般の量販店やスーパーには並ばない商品を見つける楽しさがある。東京都練馬区にある直売所でヤマイモのムカゴが売られていた。神奈川県三浦市では赤いサラダ用ダイコンがあった。
 ▼直売所当たりの出荷農家数は全国平均で70戸程度、JAが主体の場合は平均で200戸を超える。これまで取材した直売所の多くは、兼業農家や高齢者の参加割合が高かった。小規模農家の方が、少量多品目の生産・販売に取り組みやすく、消費者の要望に対応できる柔軟性があるとの説明を各地で聞いた。
 ▼直売所が地域に定着するに従い、新たな動きも始まっている。地場農産物を利用した弁当や総菜など加工部門の拡充やレストランの運営、直売所を集配の拠点とした学校給食などへの食材供給、地域の消費者や子どもたちを招いての農業体験の実施など内容は多様だ。
 ▼食や農への理解を深める食育や、地域の食文化を継承する場として活動が広がるのは、直売所が物流の拠点というだけでなく、地域住民の交流の拠点でもあるためだ。これからの工夫次第で、地域をさらに元気にし、発展する可能性を秘めている。

 ▼水田と周辺環境に生息する約6千種もの動植物と原生生物を網羅した『田んぼ生きもの全種リスト』と、指標となる生きものを解説した『田んぼの生きもの指標』が刊行された。虫見板を使った減農薬運動で知られる宇根豊さんが代表を務める「農と自然の研究所」、田んぼの生きもの調査活動を推進する「生物多様性農業支援センター」のほか、民間組織などが協力して編集した。
 ▼『田んぼの生きもの指標』は、生きものの生活史と生態の特徴、農業との関係などを豊富な写真とともに掲載。人間とのかかわりにも触れ、名前の由来や食べ方のほか、「旅にゆくしほからとんぼ赤とんぼ」(立子)など、生きものを織り込んだ俳句も紹介する。
 ▼宇根さんは2月21日に都内で開いたシンポジウムで「経済性が重視される中、日本文化の土台にあるお金にならないものの価値、生きものへのまなざしが失われてしまう危機感があった」と冊子づくりの動機を述べた。編集に携わった姫路市水族館長の市川憲平さんは「田に入ったり、生きものを捕った経験のない人が、生物多様性の重要性を言葉だけで理解し、実感できるだろうか」と指摘する。
 ▼「リストや指標は、各地で実施する生きもの調査などで活用してほしい。自然や生物多様性を支える新たな価値観を作る必要がある」と宇根さん。その先に見据えるのは、環境直接支払いなどお金にならない価値を評価し、取り組みを支援する政策の確立だ。
 ▼主食用米に加え米粉用米や飼料用稲などを振興する水田フル活用が展開されている。しかし、低コスト化など生産効率の追求は、結果的に田んぼと周辺を行き来する生きものの生息場所を奪う懸念がある。
 ▼少し過去にさかのぼれば、あぜや水路も含め、小魚やイナゴ、野草などの生きものたちがまさに水田を"フル活用"していた。水田営農と周辺の生態系との共生は、農業のあり方、未来を考える上で重要な視点だ。

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