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今週のヘッドライン: 2009年4月アーカイブ

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 「住民みんなで助け合いながら集落の農業や景観などを維持していこう」――岐阜県関市神野の藤谷集落(兼業農家18戸と非農家3戸)では、2000年に集落協定を結び、隣接する今谷集落の兼業農家5戸とともに、畦畔〈けいはん〉や水路周辺の草刈りのほか、コスモスの播種など景観維持活動に取り組んでいる。中山間地域等直接支払制度や農地・水・環境保全向上対策の支援を利用。水田の作業は地元営農組合への委託を進めて耕作放棄地を出さず、農地の保全に努めている。
〈写真=「田んぼ面積が小さいので、個人で機械を持つことはできない」と東山さん〉


公的支援利用して集落に活力 共同作業の様子

 集落協定の代表を務める東山武司さん(水稲45アール、タケノコ36アール、76歳)は「兼業農家がほとんどの小さい集落なので、維持するには協力が欠かせない」と話す。
 藤谷集落は藤谷川に沿って住宅と水田があり、山に囲まれた細長い集落。協定農地面積は10.36ヘクタールで、そのうち藤谷集落の農地は約7ヘクタール、残りが今谷集落の農地となっている。
 藤谷集落と今谷集落の草刈り作業は春と秋の年2回、共同で行う。東山さんは「みんなが集落をきれいに保とうという意識を持っていて、毎回ほぼ全戸が参加している」という。090416_02a.jpg
 草刈りは、市道ののり面や水路の周りなど、共用の場所が中心だ。水田の畦畔は各自が手入れを行っている。
 集落では婦人部が中心となって、転作田約40アールにコスモスの種を播く。圃場の横に花壇を作り、パンジーやサルビアを植えるなど、集落の景観維持に努める。
〈写真=共同作業の様子。非農家も参加し水路の泥上げなどに汗を流す)

○農業共済新聞1面より

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 【埼玉支局】「これからは安値で売るより特異性」。狭山市沢の横田園で狭山茶(2.2ヘクタール)を栽培する横田郁子さん(46)の、花粉症に効果のある品種「べにふうき」を使用した商品が評判を呼んでいる。横田園では、「ふくみどり」「やぶきた」「おくみどり」「さやまかおり」など8品種を栽培。商品は、品評会出品茶、特別栽培茶(化学合成農薬・化学合成肥料など無使用)、手揉〈も〉み茶などバラエティーに富み、品種の味を生かした商品作りが特徴だ。
 夫・泰宏さん(48)、夫の父・洋志さん(73)、夫の母・美代子さん(73)とともに横田園を経営する郁子さんが手掛ける茶の商品の中で、この時期人気なのが、「紅富貴〈べにふうき〉」。茶葉に含まれるメチル化カテキンや抗アレルギー成分のストリクチニンが、花粉症やアトピーなどのアレルギー症状に効くという。
 郁子さんは、「カテキン含有量の多い二番茶や秋冬番茶も摘んで製造している。飲んで2時間くらいは鼻の通りが良いと好評」と話す。
インパクトのあるネーミング商品 主に自宅の直売所で接客を担当する郁子さん。茶の花を混入した「茶茶花茶〈ちゃっちゃかちゃ〉」は、「こういうお茶があったらいいね」という利用客の話から始まった。データを探すと、メタボリック症候群に効果があることも分かり、今では人気商品の一つとなっているという。
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 郁子さんは、商品名、パッケージ、広告などを工夫することで商品にインパクトを与え、売り上げに貢献。茶花の入った茶茶花茶をはじめ、うがい用の「勝菌茶〈かてきんちゃ〉」、インスタントの「お茶の粉〈こ〉細彩〈さいさい〉」など、漢字の意味・音・リズムの絶妙な調和が利用客を引き付ける。「パッケージはとても大切。デザインや色のほか、お茶の説明や飲み方を印刷したラベルを張るなど工夫している」と話している。
<写真:(左)花粉症に効果のある「べにふうき」について利用客に説明する郁子さん (右)インパクトのあるネーミングの商品の数々>

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 【青森支局】転作大豆栽培の雑草対策にと、「耕起・施肥同時狭畦〈きょうけい〉播種栽培」を昨年行った弘前市の堀越地区農作業受託組合(佐藤修司組合長=52歳、役員12人)。「雑草抑制効果が高く、播種までの作業時間も慣行栽培に比べ56%省力化できた」と佐藤組合長は手応えを得ている。
 昨年の実施面積は5ヘクタールで、トラクターにアップカットロータリーと肥料施用同時播種機を装着し、耕起、施肥、播種を同時に行った。
 条間を慣行の半分の30センチに設定し、基肥はチッ素成分で10アール当たり5.6キロ施用。その結果、1ヘクタール当たり土壌改良材施用に3.6時間、播種に13.4時間となり、慣行の耕起から播種まで29.9時間に比べて約13時間少なかった。
 「条間が狭いと、生育した大豆の葉で光が遮られ、雑草の生育抑制となった」と佐藤組合長。「2年目の今年は収量増も目指す」と取り組みに自信を見せる。

<写真:耕起一発処理を行うと同時に施肥・播種していく状況を確認する組合役員(昨年6月)>

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 地域特産のキノコと自家産野菜を使った加工品の製造・販売に取り組む愛別町・愛菜〈あいさい〉クラブの玉置〈たまき〉孝子さん(62)、河合美枝子さん(61)は、期間限定で喫茶店を開店。心づくしの料理と接客に、遠方からのリピーターも多く好評だ。
 製造・販売する加工品「きのこご飯の素〈もと〉」(200グラム入り〈米3合分〉500円)は、その日の朝採れたキノコを使用。添加物や保存料は一切使わず、風味を生かした味付けに重点を置いている。加工品はすべて注文を受けてから製造。年間約3千個を販売する。
 7月から10月の毎週土曜日には、喫茶「愛菜」でキノコと旬の自家産野菜を使った料理を振る舞う。1日20食限定の「旬菜セット」(700円)や「カボチャケーキとコーヒーのセット」(300円)が人気だ。玉置さんは「生産者の顔が見え、安全・安心でおいしい旬のものを食べてほしい」と話している。

<写真:加工品を手に河合さん(左)と玉置さん>

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 【茨城支局】「乳牛に快適な環境を」と、茨城町中石崎で酪農業を営む宮部清二さん(43)は、全国的にも珍しい牛用のウオーターベッドを設置している。
 アメリカで研修を受けたときにサンプルを目にし、「試してみたい」と96枚のウオーターベッドを輸入した宮部さん。7年前、対面式のつなぎ飼い牛舎からフリーストール牛舎に替えた際、同時に設置した。最初のうちは柔らかい感触に戸惑っていた牛も徐々に慣れ、今では搾乳を終えた牛のほとんどがベッドに横たわり体を休めている。
 対面式の牛舎では牛床に山砂をまくため、石などが混入して思いがけないけがをすることがあったという。ベッド設置後のメリットは「牛乳に含まれる体細胞の低下や、乳房炎の事故などが減ったこと」と宮部さんは話す。

<写真:ウオーターベッドで体を休める乳牛>

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 【鳥取支局】鳥取市鹿野町では、NPO法人「いんしゅう鹿野まちづくり協議会」が、空き家だった古民家を「食事処〈どころ〉・夢こみち(田中文子代表=65歳)」に改装し、地域おこしに一役買っている。
 夢こみちは、地元の有志女性6人が運営。地元産のダイコンやハクサイなどの食材を調理し提供している。
 お薦めは、地元特産のすげ笠〈がさ〉を器に見立て、杯や小皿などに盛り付けた「すげ笠弁当」だ。17品目の料理(食材は30種類)を載せたこの弁当は、1日30食限定で、年間約8500食を販売する。
 「食材は主に夫が畑や山から準備し、それを心を込めて調理します」と田中代表。リピーターも増え、田中代表は「今後、若い女性にもスタッフとして参加してもらい、ジゲ(地域)振興に努めたい」と話している。
<写真:すげ笠弁当>

 農林水産省は7日、2008年度の耕作放棄地全体調査結果を発表した。休耕地や草刈りなどの管理を行っている不作付け地を除いた耕作放棄地の面積は28万4千ヘクタールと推計。このうち13万5千ヘクタールは森林・原野化が進み、農地への復元が著しく困難とみられている。また同日、08年度の農地の違反転用件数は8197件に上り、その9割は追認許可を受けたことも明らかになった。3日に衆院本会議で審議入りした農地法などの改正法案は、農地の効率的な利用と確保を柱に掲げ、耕作放棄地対策の強化や転用規制の厳格化などを盛り込んでいる。食料供給力の向上が重要課題となる中、その基礎となる農地の確保は欠かせない。

(2面・総合)

 政府・与党は10日、2009年度補正予算で編成する追加経済対策を決定した。予算規模は約15兆円となり、補正予算としては過去最大規模となる。農林水産分野は1兆302億円で、担い手への農地集積を促進するほか、水田フル活用の推進や畜産農家の負債対策などを盛り込んだ。
 農地集積加速化事業は2979億円を計上した。今後3年間に、担い手への農地の面的集積につながる貸し出しを行った小規模農家や高齢農家などに10アール当たり1万5千円を交付する。最長で5年間、同額を助成する。
 水田フル活用に向けた取り組み強化では、需要即応型生産流通体制緊急整備事業に1168億円を計上した。地域が一体となって実需者と連携する場合や品質向上、流通効率化の取り組みを支援する。生産調整参加者を対象に、米粉・飼料用米の生産面積に対し、10アール当たり2万5千円を助成する。麦・大豆などを生産する場合も、最大同1万5千円を助成する。

(2面・総合)

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 こどもや非農家の大人に農業への理解を深めてもらおうと、各地で開かれている農業体験。新鮮な体験は参加者に喜んでもらえる一方、けがや事故が起こる心配もある。体験中の安全管理に対する心がまえと方法について、自然体験や農業体験を開催しているNPO法人「国際自然大学校」の佐藤初雄理事長に話を聞いた。

◇                    ◇

 わたしの経験では、農場や牧場という限られた範囲で行う農業体験は、すり傷や切り傷などはありますが、大きなけがにつながることは少ないようです。
 むしろ、気をつけるべきなのは、機械や自動車との接触事故です。
 体験の場には、教える人と全体の様子を把握する人が必要です。事前に、地域の協力者や学校・JAなど参加者側の引率者などと役割分担を確認しておきましょう。
 安全管理は事故が起きた時の対処だけでなく、予防も大事です。そこで、まず認識しておいてほしいことが2点あります。
 1点目は、事故やけがが起こった時、訴訟問題に発展する場合もあるということです
 2点目に、子どもだけでなく、子育て世代の親も、農業や自然を体験する機会が少ないということです。ですから、手刈りする時のかまの使い方など、以前は1つ2つ教えれば10わかるものでしたが、今は使うところを見せながら、1から説明する必要もあります。

<写真:佐藤初雄理事長>

(3面・暮らし)

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 畜産飼料の自給率向上対策の一環として、「エコフィード認証制度」が創設され、飼料製造業者の申請受付けが3月23日に始まった。社団法人日本科学飼料協会(東京都中央区)が、食品残さなど食品循環資源を2割以上使用し、安全や品質の管理を行うなど一定基準を満たすものをエコフィードに認定する。畜産農家には、飼料の品質保証となるほか、循環型社会構築の取り組みに参加しているというイメージアップになる。農林水産省では今後、エコフィード認証飼料を給与して生産された畜産物への認証制度の検討に着手する。
<写真:エコフィード認証飼料の普及により、飼料自給率の向上が期待されている>

(9面・流通)

農研機構・近畿中国四国農業研究センター(広島県福山市)は、水稲の湛水〈たんすい〉直播栽培に使用する鉄コーティング種子の大量製造機を、民間企業と共同開発した。鉄コーティング種子は、鳥害や種子が水に浮くなど、直播栽培での問題を解決する技術として同センターが開発した。しかし、製造に手間と時間がかかるなど課題があった。大量製造機の開発で、鉄コーティング種子を使った直播栽培の普及が期待されている。
 大量製造機は、金子農機が市販する農作物乾燥用の空気循環型乾燥機を改良。種子に水を散布するスプレーや温度計などを取り付けた。作業者3人で1度に約10ヘクタール分(種もみ約500キロ)を3日間で製造できる。
 大量製造機を使った鉄コーティングの作業工程は(1)コンクリートミキサーで鉄粉を付着させた種子を網袋に入れる(2)網袋を製造機の中に入れ、送風・散水を開始(3)網袋を並べ終えてから6~12時間送風・散水する(4)散水を止め、6~12時間送風する(5)送風温度を35度に設定し、24~36時間乾燥させる――。
 種子は、厚手のビニール袋で保管する。室温で約1年保存でき、6~9カ月後の発芽率は約94%。

<写真:鉄コーティング種子の大量製造機は現在、金子農機から市販されている>

 農林水産省は7日、2008年度の耕作放棄地全体調査結果を発表した。休耕地や草刈りなどの管理を行っている不作付け地を除いた耕作放棄地の面積は28万4千ヘクタールと推計。このうち13万5千ヘクタールは森林・原野化が進み、農地への復元が著しく困難とみられている。また同日、08年度の農地の違反転用件数は8197件に上り、その9割は追認許可を受けたことも明らかになった。3日に衆院本会議で審議入りした農地法などの改正法案は、農地の効率的な利用と確保を柱に掲げ、耕作放棄地対策の強化や転用規制の厳格化などを盛り込んでいる。食料供給力の向上が重要課題となる中、その基礎となる農地の確保は欠かせない。

(2面・総合)

 ▼わが家にも定額給付金の申請書類が市役所から届き、証明書類を添えて郵送した。麻生太郎首相の「さもしい」発言があり、野党による予算のばらまき批判など曲折があった。正直なところ歓迎する気持ちは少ない。
 ▼ただ、財源は、われわれが納めた税金などを使い、国の債務は将来の増税で埋め合わせする方向だ。遠慮は不要と判断した。あれこれ買いたいものも浮かぶが、いずれ家計に紛れ込んでしまう可能性が大きい。
 ▼世界的な経済危機が日本にも打撃を与え、政府・与党は、補正予算など使って対策を打ち出してきた。15兆円の財政出動を行う「経済危機対策」も先に決定し、今月中に国会提出される見通しだ。民主党も2年間に21兆円の財政支出を掲げる緊急経済対策をまとめた。問われるのは施策の実効性だが、選挙を控え、与野党対立の中で予算規模を競っているようにも見えてしまう。
 ▼政府・与党の経済危機対策には1兆円を超える農林水産分野の対策が盛り込まれた。農地の貸し手を対象とした利用集積の促進や担い手の経営支援、水田フル活用に向けた米粉・飼料用米の生産・需要拡大支援などを強化した。農業法人が行う就農希望者の研修への支援も拡充を図った。
 ▼担い手不足の解消や農業所得の向上は、長年にわたる農政の重要課題。経済危機対策が、農林水産業の"にぎわい"を取り戻す契機となれば幸いだ。しかし、補正予算は単年度が基本で、継続的な施策につなげる必要がある。特に米粉・飼料用米の生産は、生産コストが流通価格を上回るため、支援がなければ成り立たない。
 ▼政府の農政改革関係閣僚会合は、農政改革の検討方向を決め、自給力向上を図る穀物政策の総合化、農業所得の増大を実現する政策の検討を課題に挙げた。夏をめどに具体化するが、今年の稲作はすでに始まっている。将来に向けた農業・農政の姿が見えないままでは安心して生産に取り組めない。

 ▼日本に酪農が定着したのは明治時代のことだ。今では面影もないが、麹町や京橋など現在の東京都心部で多くの牧場が営まれていた。当時の東京は、明治維新で藩士が国元に帰ったため、大名屋敷が放置され、人けのない物騒な場所だった。明治政府は、武士の失業対策として屋敷跡地を払い下げ、桑園や茶畑の開墾を奨励した。
 ▼「農業技術体系畜産編2」(農文協刊)によると、1888(明治21)年の牛の飼養頭数は全国で6556頭。その中で東京が1831頭とトップだ。明治時代半ばには東京に100以上の牧場があったという。
 ▼軍人で政治家の山県有朋が出資した平田牧場、函館戦争で旧幕府軍を指揮した榎本武揚が開いた北辰社牧場など歴史上の人物も牧場経営にかかわっている。日本に住む外国人のほか、新しもの好きの江戸っ子が牛乳を飲んだようだ。平田牧場では「官許うしのちち」と、ひらがなとローマ字で書いた旗を掲げ、牛乳を販売していた。
 ▼そうした黎明(れいめい)期を経て発展してきた日本の酪農だが、都府県を中心にした離農の加速など従来にない危機に直面している。中央酪農会議によると、都府県の酪農経営は2006年度以降生産費総額が粗収益を上回る状況が続き、07、08年度の2年間で1戸当たり赤字総額は552万円に及ぶ。
 ▼高騰を続けた飼料価格は、金融・経済危機の影響で低下してきたが、まだ高騰前の水準に戻っていない。酪農経営の悪化を踏まえ、飲用乳価は、昨年4月と今年3月の二度にわたって引き上げられた。しかし、牛乳が安定的に消費されなければ経営の収支改善も期待できない。
 ▼景気の低迷から消費者の購入意欲減少が懸念されており、消費拡大の取り組み強化が必要。酪農乳業界は、6月1日の「牛乳の日」に向け、全国300牧場の開放や牛乳乳製品の試飲などのイベントを予定している。多くの人に酪農を身近に感じてもらうきっかけ作りが大切だ。

 ▼「これはいったいどういうことだ。昨年以来、農林水産省改革に取り組んできたが、省の中枢がそのことを全く理解していない」――石破茂農相は、農林水産省改革推進本部で、職員による勤務時間中の労働組合活動、いわゆる「ヤミ専従」の調査資料を秘書課が改ざんした問題を厳しく指弾した。
 ▼組織改革の発端となった事故米問題では、農薬やカビ毒に汚染された輸入米が食用に流通した要因に「食の安全」を守る意識の欠如、事なかれ主義など農林水産省の体質があると指摘された。内閣府の有識者会議による報告書は、農林水産省幹部職員の責任が「最も重い」と総括した。
 ▼改革チームの「緊急提言」を受け、農林水産省は改革の課題や期日を整理した工程表を策定。組織・業務の見直しや職員の意識改革に取り組んできた。しかし、秘書課は、人材育成など重要事項を担当し改革を先導すべき部署であり、その不祥事は行政に対する一層の信頼失墜を招く。
 ▼改革推進本部に報告された全職員の意識調査は、回収率が6割にとどまり、過半数が「改革が順調に進んでいない」と回答した。約2万7千人の全職員が改革に取り組むべき時にこんな状況でいいのか疑問が残る。機構改革では、地方農政事務所の原則廃止を打ち出したが、経営所得安定対策の窓口業務など必要な体制の姿は示されていない。
 ▼農林水産省が最重要課題としているのは農政改革であり、自らの組織・業務の見直しや意識改革ではないはず。内閣官房長官と農相が主宰する農政改革関係閣僚会合は、夏までに農政改革の基本方向をまとめる。来年3月をめどとした新たな基本計画の策定に向け、食料・農業・農村政策審議会企画部会の議論もこれから本格化する。
 ▼農政改革には、農業や農村に対する国民の理解醸成はもとより、政策の対象となる農家の意見反映が欠かせない。行政への不信感を早急に一掃し、農政改革を先へ進めてほしい。

 ▼日本人宇宙飛行士の若田光一さんは現在、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在中だ。3カ月間で実施する任務の一つが水の再生処理。尿を蒸留して水分を回収し、飲料用などに再利用する。スペースシャトルで運んだ部品を設置し、処理水の水質測定などを行う。
 ▼ISSに滞在する飛行士は、5月に3人から6人に増える予定だ。飛行士は、1人1日当たり約3.5リットルの水を消費する。尿の再生処理で水の循環利用を高度化できれば、地上からの補給量は1.3リットル分で済むという。
 ▼地球上の水の総量は約14億立方キロメートルとされている。ほとんどは海水で、淡水は両極の氷も含め3%ほど。人間が利用できる湖や河川の水は、全体の約0.8%とも言われる。途上国の人口増加や経済発展が進めば、安全な飲料水と農業・工業向けの用水確保の問題が深刻化する心配がある。
 ▼日本では、水の問題を意識する機会は少ない。しかし、穀物や家畜の生産には大量の水が必要。牛丼一杯に使う水は約2千リットルとの試算もある。食料の6割を輸入に依存する状況が、生産国の地下水位低下や湖沼・河川の枯渇を招くとの指摘があることを忘れてはいけない。
 ▼国内にも水の問題はある。水田農業の中で構築された240万ヘクタールの水田と21万カ所のため池、総延長が40万キロに及ぶ用水路は、急こう配地の多い国土にあって水の有効利用を可能にし、洪水防止など多面的機能を果たしてきた。集落機能の衰えなどで管理がおろそかになれば、機能発揮が困難になる。
 ▼2007年度から実施された農地・水・環境保全向上対策は、農地や農業用水を保全・管理する地域の共同活動を支援する。農林水産省が開いた第三者委員会では、08年度に約1万9千の活動組織が施設の点検や補修に取り組んだと報告された。受け継いできた貴重な資産を未来に残す気持ちは誰にもある。活動の定着・拡大には、さらに政策による支援の充実が重要だ。

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