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今週のヘッドライン: 2009年5月アーカイブ

 農林水産省は15日、花き産業振興方針検討会(座長・腰岡政二日本大学教授)の初会合を開き、新たな振興方針の策定に向けた検討を開始した。同省は、花離れの進展などから2025年の一般消費者の切り花と園芸品・園芸用品(鉢物など)の年間購入金額は共に07年比で28%減少するとの試算結果を報告。消費者ニーズへの対応強化や花育の推進などによる国産花きの消費拡大を最重要課題とした。7月下旬までに中間取りまとめを行い、花き産業振興に向けた新たな基本方針を策定する。

(2面・総合)

 日本酪農乳業協会(Jミルク)は21日、9月までの生乳と牛乳乳製品の需給見通しを公表した。4~9月期の生乳供給量は前年同月比99.3%の395万1千トンで、うち牛乳等向けは同97.1%の222万1千トン、乳製品向けは同102.2%の172万9千トンと予測した。
 3月の生乳取引価格(乳価)引き上げに伴い牛乳消費の減少が見られ、4月以降も前年を下回る水準で推移すると見込んだ。さらにバターや脱脂粉乳など乳製品の国産需要は景気の減退や国際価格の低下などから減少傾向となっている。現在の在庫水準は適正の範囲にあるが、「今後の需給動向は不透明」と強調し、酪農乳業関係者による牛乳・乳製品の消費拡大の取り組み強化を課題に挙げた。

(2面・総合)

090528_03.jpg  「作った人の思いを伝えられるのは対面販売だからこそ」と話すのは、岡山県高梁市の農家、藤田泉さん(56)=トマト20アール、水稲30アールなど。地域のIターン・Uターン就農者5人ほどで、地元商店街の空き店舗で地場産農産物の直売に取り組んでいる。店は農家と市内の大学生でつくる「ぶ・らぶ・らの会」(代表=藤田さん、会員約10人)で運営。夕方に営業する店には商店街周辺に暮らす高齢者などが訪れ、地域の農家と学生、消費者が交流を深める場になっている。
 高梁市の栄町商店街にある会の直売店「ぶ・らぶ・ら市」は今年で10年。取材当日、常連客は午後4時半の開店前から店先に並ぶトマトやキュウリを手に取っていた。営業は月・水・金曜日の夕方1時間半で、多い日は50~60人が来店する。
 「ここは新鮮なものが買えるからいいのよ」と近所に住む70代の女性。買い物の合間に、藤田さんら店のスタッフやほかの来店客とレシピなどの話をするという。

<写真:左から仁木康義さん、長谷川宏志さん、藤田さん、中国人留学生の張灝威〈ちょう・こうい〉さん。農業だけでなく、就職のことなどいろいろな話をして親交を深めているという>

(3面・暮らし)

 農林水産省は本年度のNOSAI関連の補助事業として、「衛星画像を活用した損害評価方法の確立事業」(予算額2億5128万円)を実施する。実施県は昨年度の2道県から14道県に拡充した。人工衛星からのリモートセンシング(宇宙からの地球観測)技術を利用した水稲共済の新たな損害評価方法を開発し、水稲損害評価員が行う検見調査の一部を置き換える考え。事業実施期間は2008~13年度の6年間で、実施県を11年度までに全国に拡大し、最終年度以降、準備の整った都道府県から段階的に本格導入する計画だ。

(5面・NOSAI)

090528_04.jpg  京都市伏見区向島でてん茶の生産、加工を行う中西豊文園の中西義明さん(69)は、稲わらやもみ殻くん炭を活用した土作りを基本に有機栽培に取り組んでいる。中西さんは「10年たってようやく活着率が高く、樹〈き〉に適した土になる」と話す。固形肥料と交互に自家製の有機液肥を点滴灌水〈かんすい〉システムで施用し、慣行栽培と比べて施肥量をチッ素換算で約3割抑制する。また、園地の周りにソルゴーを植え防虫障壁として利用。一部の圃場は有機JAS認証を取得し、付加価値の高い茶を生産している。
 中西豊文園の茶園面積は1.2ヘクタール。有機栽培は約50アールで、品種は「さみどり」「山の息吹」「ごこう」「さえみどり」「さきみどり」だ。茶園は水田だった場所に、約40年前に近隣の山土と草を混ぜ、1メートルほど地上げして造成した。
 中西さんは毎年、近所の水稲農家からコンバインで裁断された稲わらをもらい、新茶の摘み取り後、畑全体にまく。その後、秋に機械で耕して土に混ぜる。水田に換算して約3ヘクタール分を使う。「雑草の抑制や土の乾燥防止に効果がある。混ぜ込んで肥料にもしている」という。またもみ殻は11月、もみ殻くん炭は正月ごろにそれぞれ水田換算で約15ヘクタール分ずつ投入する。

<写真:「70アールの慣行栽培園でも化成肥料は補足的で、有機肥料が中心だ」と話す中西さん>

(11面・営農技術)

090528_05.jpg  【山形支局】「栽培技術の習得から経営を軌道に乗せるまで、農家として独り立ちするまでの苦労をいくらかでも少なくできたらと、研修生を受け入れています」と話す、山形市下条町の大築義雅さん(56)。20年ほど前から、就農を目指す若者などを研修生として受け入れ、栽培から販売までを指導している。
 これまで受け入れた研修生は約30人。農家の後継者はもちろん、フィリピンやインドネシアからも受け入れ、海外へ研修に向かう人の事前研修なども行っている。

<写真:新規就農者の育成に力を注ぐ大築さん>

090528_06.jpg 【長崎支局】長崎県農林技術開発センター馬鈴薯〈ばれいしょ〉研究室(雲仙市愛野町、中尾敬室長)では、加工・業務用向けのジャガイモ品種「西海31号」を開発、今年2月に品種登録された。
 西海31号は、アントシアニンを含む赤皮・赤肉の品種。青果用ジャガイモの需要が減少傾向にあることから、新規需要の開拓と拡大を図ろうと同研究室が育成した。今後、多収と省力化の栽培技術の開発を進め、実需者らと連携して加工品の開発にも取り組んでいく。

<写真:西海31号(右)とニシユタカ>

090528_07.jpg 【千葉支局】有機肥料で土作りをした20アールの畑で、常時20種類の野菜を減農薬栽培する松戸市五香の武井敏信さん(42)は、野菜セットをインターネットで販売。口コミなどで注文は増えている。
 「市場出荷や地元での直売だけでなく、もっと多くの人に買ってもらいたい」と、5年前、インターネットのオークションサイトに登録し、野菜セットを出品した。「最初の月に10セット売れ、うれしかった」と振り返る。
 その後、ホームページ、ブログを開設し、畑の様子や作業日記や自家産野菜を使った料理を紹介するなど、情報発信にも力を入れている。
<写真:栽培管理から発送まで武井さんが一人で行う>

090528_08.jpg 【滋賀支局】自然を生かして新たな経営に取り組もうと、米原市下板並地区の長谷善行さん(67)は、昨年から、妻の好子さん(67)と杉林での林間ワサビ栽培(2アール)に取り組んでいる。
 長谷さんは水稲41アール、キク14アールを経営。林間ワサビの栽培場所として選んだ杉林で雑木撤去、間伐、枝打ちをした後、耕うん、整備して定植した。「木の根が至る所に張っていて、除去するのに相当苦労しました」と長谷さんは話す。
 「生育は順調で、7月上旬ごろに初めての収穫を迎えます。出荷は100本ほどでしょうか」と長谷さんは話している。
<写真:「整備は本当に大変だった」と話す長谷さん。林間ワサビは主に加工用として出荷する>

090528_09.jpg 【新潟支局】「豚が喜ぶ環境で育てることで、おいしい豚肉になると信じて取り組んでいます」と話す糸魚川市木浦の有限会社能生養豚センターの伊藤富士雄取締役(56)。同社が育てた豚は「翠豚〈みどりぶた〉」のブランドで販売されていて、より良質な豚肉生産を目指し、子豚の放牧や独自飼料の給餌に取り組んでいる。
 農場では母豚60頭、肥育豚350頭を飼育し、昨年から放牧を再開した。放牧は子豚にストレスを発散させ、自然の葉緑素・繊維質を与えることで健康な豚が育つという。
 通常与える飼料は、給食センターから出る野菜の残渣〈ざんさ〉や、おからに食酢を加え5~7日間発酵させた独自のサイレージ(乳酸発酵)を配合飼料に混ぜたものだ。
 昨年から与え始めたサイレージ飼料は、栄養価が高く、腸の働きを良くするため、肉のしまりが良くなり、格付け上位の比率が上昇したという。

<写真:おからなどを発酵させる容器の横で伊藤取締役(左)と齊藤センター長>

090528_10.jpg【秋田支局】農作業を効率化しようと、集落営農組織の代表を務める秋田市柳田地区の鎌田重憲さん(61)は、さまざまなアイデア農機具を手掛けている。
 水稲9.3ヘクタール、大豆6.5ヘクタールを作付けする鎌田さん。アイデア農機具の中には、大型コンバインを改良した作業機がある。
 刈り取りや脱穀などの装置を外し、オートヒッチフレームを取り付けたもの。汎用性が高く、あぜ塗り機やブロードキャスターをワンタッチで着脱でき、「ぬかるんだ水田でも作業がしやすい」という。
<写真:コンバインにあぜ塗り機をセット>

 【福井支局】良質米の産地として知られる永平寺町では、県、JA吉田郡と連携してレンゲソウを活用した米「れんげ米」の栽培に取り組んでいる。れんげ米は、おにぎりの販売や町内の学校給食への提供も決定。関係者は普及に手応えを感じている。
 同JAとサークルKサンクスが提携して商品化したおにぎりセットは、北陸3県の「サークルK」「サンクス」388店舗で販売されている。

 ▼「消費者のアンケートでは、日本の食料自給率は低いとか、購入は国産を優先するという回答が多い。けれども自給率は上がらない。なぜなのか」。取材の際、そんな疑問を突きつけられたことがある。
 ▼人が「している」と回答したことと「実際にしている」ことの"乖離〈かいり〉"の問題は「普通の家族がいちばん怖い」(新潮社刊)で、著者の岩村暢子氏が指摘している。伝統行事は大切と回答した主婦が、おせち料理は自分では作らず、親に作ってもらうか市販品を購入している事例など、家庭の食卓の現実を紹介した。
 ▼選択肢を選ぶアンケートでは、回答者はイメージのよい回答を選ぶ傾向があるという。ただ、意識と相反する回答でない点に理解が必要。この方がいいと感じた選択肢を選んだのであって、意識と行動が合致するかどうかは人によって開きがある。
 ▼最近は学校や地域などで食への関心を高める食育活動が盛んだ。伝統食の調理や農作業の実体験は、地域の食文化や農業を身近なものにし、食育の実践につながると期待されている。小中学校を中心に広がっているのは、子どもたちが自分で調理した弁当を持ち寄る「弁当の日」の取り組み。大学を含めた実践校は500を超えた。
 ▼6月は「食育月間」だ。食生活の乱れや生活習慣病の増加などの問題が広がる中、食文化を含む望ましい食習慣や知識を取得し、栄養バランスに配慮した食生活の実践を呼びかける。関係府省や自治体、民間団体が連携し、食育推進イベントなど活動が展開される予定だ。
 ▼景気低迷が続き、スーパーや量販店で食料品などの値下げ競争が激化し、国産農産物の店頭価格は下がりつつある。低価格競争に巻き込まれれば農家経営は一層悪化する。さらに穀物の国際価格高騰を機に、回復の兆しをみせた米消費への影響も心配だ。食育月間だけで消費者の行動は変わらないだろうが、働きかける機会は多い方がいい。

090521_01.jpg 高品質な深蒸し煎茶〈せんちゃ〉の栽培・加工を行う、三重県松阪市の有限会社「深緑茶房〈しんりょくさぼう〉」では、小売り・喫茶店経営まで取り組んでいる。深緑茶房は、茶専業として生き残るため、1999年に3戸の農家が立ち上げた。「共同経営に取り組み、販売を重視したことで経営の安定が実現した」と、代表取締役の松本浩さん(46)は話す。各部門の責任体制を明確化し、労働力の効率的な配分に努めるとともに、「お客さんの声を生産に反映できる」小売り・喫茶部門を重視。4月には生産工程を適正・安全に管理していることを証明するJGAP認証も取得している。

〈写真=「お茶は、そのまま食べられる基準で栽培している」と話す松本さん(右)と加工部門担当の松倉大輔さん〉

(1面)

090521_02.jpg 深緑茶房の茶園は130筆、26ヘクタールあり、交換分合などで15、16カ所にした。「若者が就農するためには機械化を進める必要がある」と、作業用機械はすべて乗用タイプを導入。作業の効率化に取り組む。品種は需要が多い「やぶきた」が95%を占める。
 「これからの茶農家は販売までやってこそ続けられる」と考え、3戸の茶専業農家で販売会社を立ち上げたのをきっかけに、共同経営体制を整えてきた。小売り・喫茶部門を担当するのは松本さんに社員2人とパート。04年3月には小売りと喫茶を併設した純和風の店舗を開設した。
 深緑茶房には日本茶インストラクターが2人、アドバイザーが4人。学校や老人ホーム、公民館などに出向いてお茶の入れ方教室を開き、日本茶の普及にも努めている。

〈写真=顧客獲得に力を入れたいという松本さんと販売スタッフ〉

(1面)

 政府は19日、2008年度農業白書(食料・農業・農村の動向)を閣議決定した。食料需給をめぐる国際情勢が大きく変化する中、将来にわたる食料の安定供給には国内農業の食料供給力(食料自給力)の強化が最も重要と強調。水田のフル活用により自給率の低い麦・大豆や飼料作物、新規需要米(米粉・飼料用米など)の本格生産を促進し、国際化の進展にも対応できる力強い農業構造の確立が必要と報告した。特に米粉の利用促進を含む米の消費拡大と飼料自給力・自給率向上の現状と課題を解説。あらゆる角度から米政策・水田農業政策を見直す必要性を明記した。

(2面・総合)

 政府は12日、2008年度森林・林業白書を閣議決定した。低炭素社会の実現に向け、森林が持つ地球温暖化防止機能の重要性を強調。森林の間伐材などを用いた木質バイオマス利用の拡大と森林の適正な整備の必要性を訴えている。
 特集は「低炭素社会を作る森林」をテーマとした。
 京都議定書で国際公約した森林吸収量1300万炭素トンの達成には、07年度から毎年20万ヘクタールの追加的森林整備が課題だ。このため6年間で合計330万ヘクタールの間伐実施目標を掲げた国民運動を展開し、官民一体となった森林整備を進めていると報告した。
 最近の雇用情勢の悪化を反映し、林業就業への関心が高まっていると報告した。林業就業者は木材価格の低迷などにより長期的に減少、高齢化も進み、新規林業就業者の確保・育成が課題だ。

(2面・総合)

090521_03.jpg 伝統野菜「寺島〈てらじま〉ナス」復活への足がかりに――。東京都墨田区立第一寺島小学校(高橋英三校長)では、1879年の創立時に地域で生産していた寺島ナスを、授業の一貫で栽培しようと7日、6年生約60人が苗を定植した。三鷹市中原で露地野菜70アールを経営する星野直治さん(65)が栽培を指導する。苗は180本用意し、近隣の小中学校や公園、神社でも栽培し、地域全体で"幻のナス"作りに取り組む。
 寺島ナスの一品種とされる「蔓細千成〈つるぼそせんなり〉」は、現在栽培されていない。種は、独立行政法人農業生物資源研究所のジーンバンクから取り寄せた。
 星野さん自身も栽培経験がないため、苗づくりは手探りだった。通常のナスと同じように、1月に播種し、3月に接ぎ木を行った。生育状況は異なるが、問題なく育苗できたという。

<写真:星野さんの指導を受けながら作業を進める女の子たち>

(3面・暮らし)

090521_04.jpg 福島県本宮市長屋の野菜農家、熊谷幹雄さん(64)は、トマトなどを減農薬栽培し、流通管理システム「アグリSCM(サプライ・チェーン・マネージメント)」を利用して高級量販店などに出荷、高値販売につなげている。このシステムは、インターネットを使って小売店での販売状況を把握することで、農家は消費者ニーズに合った農産物を栽培できる。同県伊達市の農業資材販売業「マクタアメニティ」などが開発した。小売店が求める農産物を適期出荷できる新しい流通システムとして、高付加価販売を支えている。
 SCMは、原料の調達から製造・流通・販売までの商品流通の情報を各事業者が共有するシステム。工業製品などで用いられる流通管理方法で、消費者が求める商品を必要なときに供給し、在庫などを減らして流通コストを抑えることができる。
 アグリSCMは、SCMのノウハウを農業に応用した。インターネットを利用して農家は栽培方法などの生産情報、小売業者は農産物の売れ行きなどの消費者情報を提供する。
 農家は、消費者が求める農産物を計画的に栽培でき、小売業者は必要な農産物の安定的な入荷・販売が可能になる。生産情報をもとに消費者に栽培方法などの生産履歴を提示できる。

<写真:熊谷さんは「堆肥は品質が分かっているので安心して使える」と話す>

(10面・流通)

090521_05.jpg 静岡県磐田市下神増の酪農家・藤森俊明さん(62)=飼養頭数45頭=は、サイレージを省力的に低コストで作れる「サイレージ袋詰め装置」を考案し、経営に生かしている。コーンハーベスターで飛ばしたトウモロコシやソルゴーの茎葉をスタンドで受け止め、市販の飼料用トランスバッグに詰め込む。充てん後に、内側のビニール袋を真空引きして密封することで良質のバッグサイロになるという。藤森さんは「長期保存ができ、畑に置いておけるので必要に応じて運べばいい。便利ですよ」と話している。
 サイレージ袋詰め装置は台車に乗せて、コーンハーベスターを付けたトラクターでけん引する。回転する台座の上にトランスバッグを設置し、飼料が均等に詰まる仕組みだ。
 トランスバッグは直径120センチ、高さ140センチで、1個当たり800キロ~1トン。朝夕の給仕・搾乳の間に1日当たり20個ほど作ることができる。

<写真:「バッグサイロが簡単にできる」と藤森さん。飼料がいっぱいになったらトランスバッグを支えるフレームの一部を外し、後方に降ろす仕組み>

(11面・営農技術)

090521_06.jpg 【栃木支局】休耕地を活用したエゴマ栽培を普及させるため、茂木町エゴマの会(三村卓久会長)では、町役場の協力のもと、さまざまなエゴマ製品を開発している。エゴマは、高齢者でも簡単に栽培できるため、栽培農家が年々増加。エゴマ製品は「道の駅もてぎ」での販売を通してPRされ、多くの固定客をつかんでいる。
 栽培したエゴマはさまざまな加工品となって、道の駅もてぎで販売されている。一番人気はエゴマ油で、このほか、エゴマふりかけ、エゴマ味噌〈みそ〉、エゴマきな粉など多彩な商品が並ぶ。
 2006年には、農家15戸が「茂木町エゴマの会」を設立。その後、栽培農家が増え、現在は会員70人、約6ヘクタールにまで規模を拡大している。090521_07.jpg
 搾油は、07年に、町役場の補助を受けて加工場を建設。韓国製の自動油圧搾油機を導入した。「水分調整が非常に重要で、水分量が6%未満にしないと機械が目詰まりしてしまう」と、搾油責任者の七井征夫さん(68)。約5.5キロの種子を専用の袋に入れて機械に入れ、約30分圧力をかけて油を搾る。搾り残ったエゴマは、焙煎〈ばいせん〉してふりかけなどに使うという。
 「茂木町の特産品として生産規模を増やし、安定供給できる体制を整えて、エゴマの関連商品を多くの消費者に届けたい」と三村さんは話している。

<写真左:エゴマ油を精製する七井さん(左)と茂木町エゴマ会会長の三村さん 右:エゴマの苗>

090521_08.jpg 【宮城支局】どこでも簡単に花を飾れる「寄せ植えの壁掛け」を大衡村の碓井治伸〈はるのぶ〉さん(49)が考案した。
 寄せ植えの壁掛けは、縦50センチ×横15センチ×幅5センチの栽培槽に、プラグ苗8本を定植し、ハウスで育てたもので、開花にあわせて販売する。販売後は屋外でも管理でき、長く楽しめるという。
 碓井さんはハウス2棟(264平方メートル)で、クリスマスローズなど約10種類の鉢物や花苗を通年で生産。壁掛けには、春先にビオラ、夏場からはガザニア、ペチュニアの3種を使う。
 栽培槽は、フェンス用の金網(太さ2ミリ、網目幅縦10センチ×横5センチ)と袋状にした不織布で製作。これに培土を詰め、袋の切れ目に苗を定植する。
 不織布内の培土は通気性にすぐれ、灌水〈かんすい〉は水の入ったバケツに沈めるだけと管理が容易。培土や苗の入れ替えも可能だ。
 現在は、ツゲを使ったアニマルトピアリーに挑戦し、完成に向けて手入れを楽しんでいるという碓井さん。「細工などは大変ですが、イメージ通り出来上がるととてもうれしい」と話す。

<写真:金網を加工したオリジナル壁掛けを考案した碓井さん>

090521_09.jpg 【徳島支局】「自然との共生の中で育てられている食物の大切さを、農業者の立場から伝えたかった」。藍住町の黒田一夫さん(62)、智美さん(57)夫妻は、農業(水稲50アール、ナシ210アール)に従事する傍ら、人形劇団「ごんべ」を主宰し、人形劇を通じて子供たちに「食の大切さ、農への思い」を伝えている。
 人形劇団では1970年の結成以来、オリジナルの脚本作りから100体を超える人形の制作、舞台装置まで、すべて手作りで行ってきた。ナシやスダチ、サツマイモなど徳島を代表する農産物が登場し、クイズ形式で繰り広げられる人形劇は、子供たちに人気。農閑期を利用した公演活動は年間20回を超える。
 「劇団を旗揚げして40年。その時代の社会情勢をテーマに劇を演じてきました。これからも、子供たちとの言葉のキャッチボールを楽しみながら、農業の持つ文化を伝えていきたい」と話している。

<写真:食育人形劇「食べ物忍者、阿波すだちの助」の人形を手にする黒田さん夫妻>

 【三重支局】「コッフルは、米粉で作るワッフルのことで、お菓子じゃなく主食として考えています」と話す亀山市の内田美由紀さん(41)は、鈴鹿市と亀山市の農畜産農家の直売所「鈴鹿大地の耕作人ファーマーズだいち」(後藤博英代表)で、米粉を使った新商品「コッフル」を販売している。
 この商品を販売するきっかけは、地元の米の消費量を増やすために、直売所で米粉の加工品を置いてみてはという意見があったこと。それを受けて、小学校などで菓子作りの講師を務める内田さんが、加工場「TUMUGI(つむぎ)舎」を立ち上げた。
 直売所の仲間たちは、丹精込めて作った米・卵・豆腐・コマツナ・ニンジンなどの農産物と県内産の牛乳、バターを使ったコッフルを焼く。
 内田さんは「仲間の作る農産物を消費し、加工という形で、より付加価値を付けたい」と地場産米の消費拡大に向けて意欲的だ。

<写真左:コッフルを作る内田さん 右:コッフル>

090521_12.jpg 【岡山支局】「地域の農産物を使った加工品を作ろう」と、岡山市東区の瀬戸農産物加工企業組合(従業員25人)は、県内産の白桃とブドウ「ピオーネ」を使用した生キャラメルを製造。3月から駅や空港、高速道路などを中心に販売し、人気を集めている。
 生キャラメルは、牛乳・生クリーム・砂糖などの基本の材料に、缶詰のピオーネ・白桃をミキサーにかけ混ぜ込む。宇垣恭博代表理事(67歳、ピオーネ20アール・「太秋柿」20アール)は「焦げ付かせないように煮詰めていくのが難しい。ちょうど良い固さをつかむのに1カ月かかった」と話す。
 白桃とピオーネの2種類を12粒入り840円で販売。口当たりの良い生キャラメルに、果実のさわやかな風味が加わり、あっさりと食べられるという。1日当たり500箱近く製造。取引のない高速道路や駅などからも問い合わせが相次いでいる。

<写真:12粒入り840円で販売>

090521_13.jpg 【埼玉支局】遊休農地の解消対策として、寄居町で2005年からエキナセア(北米原産キク科植物)が栽培されている。当初60アールだった栽培面積は6ヘクタールまで拡大。エキナセアの茶「エキナセア花精活性茶」などを商品化し、JAふかや寄居農産物直売所などで販売され好評だ。
 同町の「健康活性農場」が、7月の「寄居エキナセア祭」、10月の「彩の国ふるさと秩父まつり」、11月の「寄居町産業文化祭」などのイベントに参加。「寄居町産エキナセア」のPRと販売促進に力を入れている。
 同町産業振興課の担当者は「無農薬栽培されたエキナセアの商品を今後さらに全国各地に普及させ、農業の活性化につなげたい」と意欲的だ。

<写真:エキナセア>

 【福岡支局】「卵かけご飯専用の日本一の卵を作りたい」――八女市山内の久間〈くま〉マルト販売株式会社(代表取締役社長=久間康弘さん)では、鶏の餌に地元産「八女茶」や竹炭など17種類以上を加え「和食のたまご」という商品名で販売(1日約2千個)。テレビ、ラジオ、新聞などで紹介され、評判になっている。
 卵にうま味を求めるきっかけとなったのは、鶏舎のにおいとハエ対策として餌に光合成細菌を加えて鶏に与えたこと。「アミノ酸の働きで、コクがあっておいしい卵ができました」と久間さんは話す。
 光合成細菌のほかに加える副原料は、木酢液、海藻、ニンニク、カキ殻、パプリカ、ヨモギ、竹炭、ハーブ、八女茶などだ。鶏の飲み水には、御影石を液化して抽出したミネラル液を添加。「大企業にはできない手間をかけます」と久間さんは話している。

 ▼魚介類は、栄養バランスに優れた日本型食生活に欠かせない食材だ。しかし、魚離れが進み、2006年以降の摂取量は肉類を下回っている。このほど閣議決定した08年度水産白書は、魚離れの要因を分析し、家族と食事を共にする「共食(きょうしょく)」の推進を提起。魚食文化を守る重要性を訴えている。
 ▼97年と07年の比較では、1日当たり魚介類摂取量はすべての年齢層で減少。1~19歳で2割以上、30~49歳では3割以上も減った。嫌いな魚はサバやサンマ、アジ、イワシで、「骨がある」「食べるのが面倒」などが理由だ。ただ、魚を「好き」と答える子どもは5割近く、「嫌い」は1割にすぎない。特にすしが人気で、マグロ(赤身)やイクラ、サーモンは好きな魚介類の上位を占める。
 ▼白書は、魚離れの要因に、親の仕事など生活環境の変化や調理の知識・経験の不足を挙げる。共働き世帯が増えるに従い夕食の調理時間は減り、子どもの孤食が増加。若年層ほど魚料理の下処理ができない人の割合が高い。
 ▼夕食の献立は、子どもの好みを優先する傾向が強い。肉類が好まれ、魚介類を使わないことで、献立は単調になりやすい。こうした状況が続くと、食事の栄養バランスが崩れ、偏食の改善も進まないなど問題が多いと指摘する。
 ▼家族と食事を共にする「共食」は、多様な食材や伝統食を知るきっかけとなるだけではなく、コミュニケーションを深めると強調。はしの持ち方やマナーなど日本の食文化に触れる機会になると期待される効果を挙げる。
 ▼アンケートでは8割以上の母親が「子どもに魚を食べさせたい」と回答する一方、「後片付けが面倒」「においを残したくない」と焼き魚を作らない主婦もいる。家庭への働きかけは難しいが、学校や地域でイベントを行うなど実際の行動に結びつける工夫が重要だ。

 2008年産国産大豆の販売が遅れている。4月20日の大豆情報委員会(主催・JA全農など)で報告された販売状況(3月末現在)によると、販売数量は前年産同期比44%の2万7808トン、入札取引の落札率も同23%と低迷している。主な要因には、景気低迷での資金不足から前倒しの購入を避け、必要量だけを求める当期買いの増加のほか、大豆加工食品の消費低迷などから問屋やメーカーが在庫過多になっている状況などが挙げられる。ただ、入札取引の平均落札価格は前年と同水準で推移していて、同委員会では「全体的な需給は変化はなく、市場動向を当面静観する」との見解だ。

(2面・総合)

 農林水産省は4月28日、2007年の農作業死亡事故件数は前年比6件増の397件だったと発表した。このうち、65歳以上の高齢者は286件(72%)となり、7年連続で全体の7割を超えている。
 事故区分別では、農業機械作業が259件で全体の65%を占める。農業用施設作業が21件(同5%)、機械・施設以外の作業が117件(30%)。男女別では男性が333件(同84%)、女性が64件(同16%)。
 機種別では、乗用型トラクターが最も多く115件。農用運搬車(動力運搬車、農業用トラックなど)が45件、歩行型トラクターが35件で、これら3機種で機械にかかる事故は74%を占める。

(2面・総合)

090514_03.jpg 「地元の子どもたちにお米を食べてほしい」との思いから、農家のお母さんが駅に出しているおにぎりの店が人気だ。秋田県にかほ市でJA秋田しんせい女性部金浦〈このうら〉支部の有志6人が運営する「こぴあおにぎり亭」は、地元産の米を使ったおにぎりなどを製造・販売している。主な利用客は駅近くの高校に通う生徒たちだ。「子どもたちから若さをもらっています」と、代表の今野キエ子さん(59)。メンバーは来店客との交流を楽しみながら、子どもたちの食と安全を見守っている。
 こぴあおにぎり亭は、JR羽越本線金浦駅の構内にある。午後5時半を過ぎると、帰宅する高校生たちが列車待ちを兼ねて続々と飲食スペースに入ってくる。今野さんは「子どもたちに『ただいま』とあいさつされるとうれしい」と話す。
 営業は月~金曜の午前11時~午後6時半。だが、午後6時半以降も、無人になる駅で列車を待つ生徒のために閉店時間を延長することもある。

<写真:「鳥海山の伏流水で炊くごはんだから、おいしいですよ」と話す、メンバーの今野圓子〈かずこ〉さん>

(3面・暮らし)

090514_04.jpg 滋賀県のNOSAIえち(愛知農業共済組合、植田茂太郎組合長)では、損害防止事業の一環として、水稲・麦の防除用に背負い動力散布機の無料貸し出しを行っている。また、集落が所有する散布機を快適に使ってもらおうと無料の点検サービスも実施。地域の適期防除の円滑な実施に貢献している。
 組合では背負い動力散布機を162台所有し、無料で貸し出し。散布ホースや燃料、薬剤は各自で用意する。
 貸し出しは、共同防除に取り組む集落の生産組合や営農組合などが対象だ。期間は防除適期1週間前から防除終了日まで。麦の防除は4~5月に2回、水稲は7~8月に3回行われている。使用後は燃料を抜き、薬剤タンクを洗浄するなど掃除をした後で返却してもらう。

<写真:「NOSAIの防除機はタンクが大きく、作業効率がいい」と村西栄一郎さん>

(5面・NOSAI)

090514_05.jpg 山梨県南アルプス市で観光果樹園を経営する深澤渉さん(68)は、「垣根仕立て法」でスモモ栽培を行っている。「樹形が単純なので、剪定〈せんてい〉作業が楽だ」と話す深澤さん。リンゴのわい化栽培で用いるトレリス(格子棚)に沿って側枝(結果枝)を伸ばし、垣根状に仕立てた。作業性が向上するとともに、受光態勢がよくなるため高品質果が期待できる。また、「収穫しやすい」と果樹園の利用客にも好評だ。
 深澤さんは妻の登茂江さん(60)と2ヘクタールでスモモやリンゴ、ナシ、サクランボなど8品目30品種を露地栽培する。
 リンゴ園をスモモ園に改植する際、それまで使っていたトレリスを利用して、側枝を水平方向に誘引する垣根仕立てを導入した。「この仕立てでは主枝と側枝しかないので、熟練の技術がいらない」という。
 樹高はトレリスと同じ3.5~4メートルで、側枝を列の左右方向に3メートル伸ばして切り戻す。上下の側枝との間隔は50センチで6段にしている。樹間は6メートル、列間4メートルを取っているため、高所作業車やトラクターなどが通れる十分なスペースを確保する。

<写真:「垣根仕立てにしたことで作業性がよくなり、品質も向上した」と深澤さん>

(11面・営農技術)

090514_06.jpg 【千葉支局】スーパーや生協との取引を中心に、セット野菜を宅配している農事組合法人「和郷園」(木内博一代表理事、香取市新里)では、工場を併設して冷凍野菜やカット野菜も生産している。和郷園には、香取市・旭市・多古町の野菜農家や花き農家90戸が加入(露地110ヘクタール、園芸施設25ヘクタール)。土壌分析や施肥設計も支援することで、生産者の安定した収入と自立を目指している。
 和郷園では、ブランド力を高めるため市場出荷は行わず、スーパーや生協との取引を中心に、セット野菜を宅配している。さらに、冷凍野菜やカット野菜を生産するほか、料理の専門学校と提携してメニューを企画・提案することで付加価値を高めた販売にも力を入れている。
 2003年に稼働させた冷凍野菜工場「さあや'Sキッチン」では、適期に収穫した野菜を加工することで、年間を通して本来の味を提供。生産地に工場があるので、新鮮な野菜の風味や栄養価が保てるという。090514_07.jpg
 工場ではホウレンソウ、コマツナ、ヤマトイモなど8品目を加工。ホウレンソウは、冷凍しても甘味を保ち、ボリューム感を出すため、通常出荷するサイズより大きく(35~50センチ)育てたのものを加工する。急速バラ凍結後、ファスナー付きの袋に入れているので、「使いたい分量だけ取り出せる」と好評だ。冷凍野菜は年間1千㌧を生協、学校給食、スーパー、総菜メーカーなどに出荷している。
 木内代表理事(根菜類30ヘクタール、リーフレタス、トマトのハウス17アール)は「付加価値を高めて販売するためにも、直売の量を増やしていきたい。作付面積の拡大、米の流通にも幅を広げていきたい」と意欲的だ。

<写真:(左)ホウレンソウは、ボリューム感や甘味を出すため、大きく育てたものを使っている (右)冷凍野菜は全部で8種類を販売>

090514_08.jpg 【和歌山支局】「有田地方の段々畑は、先人から受け継いできた財産」と話す岡野收さん(65歳、有田川町)は、石垣の補修作業を行いながら、その技術の伝承に努めている。
 温州ミカン280アール、雑かん類50アール、水稲20アールを栽培する岡野さんは、石垣積みの名人。息子の圭志さん(37)も一緒に作業しながら、その技術を習得しようと頑張っている。
 昨年9月には、有田地方農業士会と4Hクラブ合同の現地研修会で石垣積みを実演。「段々畑の石垣をちゃんと整備して次世代につなげていきたい」と、技術の伝承に努めている。

<写真:石垣を積む岡野收さん・圭志さん親子>

090514_09.jpg 【青森支局】リンゴ1ヘクタールを栽培する大鰐町八幡館の阿保正衛さん(64)は、根曲がり竹を使ったさまざまな竹かごを作っている。中でもリンゴの収穫に使う昔ながらの竹手かごは、「持ちやすく安定感がある」と評判だ。
 手かごは、5年前から製作。「人に手ほどきを受けたわけでもなく自己流。最初の1個を完成させるにはかなり時間がかかった」と振り返る。今では、リンゴ用をはじめ山菜用、買い物用など種類も増えた。冬の間に80個ほどを作るという。
 阿保さんの手かごを使う近くのリンゴ農家は「使いやすくリンゴに優しい」と評価。阿保さんは「今後も、健康に気をつけながら楽しくかご作りをしていきたい」と話している。

<写真:阿保さんと竹かご>

090514_10.jpg 【高知支局】薬草栽培で山間地農業の活性化を目指している、農事組合法人ヒューマンライフ土佐(越知町、片岡継雄組合長=72歳、組合員230人)では、今年から、漢方薬の材料になるうるち米「粳米〈こうべい〉」の契約栽培に取り組み始めた。
 ヒューマンライフ土佐は、ミシマサイコをはじめ薬草約20品目、130ヘクタールを、漢方薬の株式会社ツムラと契約栽培している。
 粳米とは、普通米を漢方薬の原料として使用するものの呼称。主に咳〈せき〉、気管支炎などの薬・麦門冬湯〈ばくもんどうとう〉に加工される。
 今年は、約70人が10ヘクタールに植え付ける予定で、収穫後は、JAコスモスを通じてヒューマンライフ土佐が受け入れ、ツムラに販売。買い取り量は30~40トン、農家渡し金額は、30キロ当たり6300円を見込んでいる。

<写真:粳米用の田の準備が進む>

090514_11.jpg 【宮崎支局】都城市志比田町の木幡兼治さん(81歳=繁殖和牛6頭、水稲15アール、飼料作1ヘクタール)は、牛舎の敷料にコーヒーの搾りかすを利用し、畜舎内外の環境対策に取り組んでいる。
 木幡さんは、親類や孫の彰吾さん(21歳=JA都城和牛技術員)の勧めで、コーヒー殻を導入。「コーヒーのにおいがするので、リラックスした気分で仕事ができます。牛のストレス軽減にも役立っているのでは」と話す。
 以前は、子牛がのこくずを食べて下痢していたが、コーヒー殻を使うようになって、生後1~2週間の子牛の病気が少なくなったという。堆肥も前より臭くないので、田畑にまく時に、においを気にすることがなくなった。

<写真:コーヒー殻を敷料に>

090514_12.jpg 【山形支局】「加工品製造は一年を通して勝負できる。規格外品が一級品になる」と話す、大江町の鈴木茂さん(60)は、果樹工房「果実の森スズキ」を主宰し、自家産の果実でジュースやジャムソース、果実酢を製造している。
 鈴木さんはリンゴ120アール、ヤマブドウ40アール、洋ナシ「ラ・フランス」35アール、サクランボ25アールなどを栽培。加工品はジュース、ジャムソース、ドリンク酢の「うまいなっ酢」などで、栽培する果樹の品種ごとに製造する。現在は、経営の7割近くを加工業が占めるという。
 鈴木さんは「今後は、リンゴの『紅玉』をセールスポイントにしていきたい。生食、ジュース、ジャムなど、紅玉と名の付く商品が何でもそろう、というようにしたい」と話す。

<写真:右から鈴木茂さん、妻のれい子さん、4月から農業を始めた次男の勝己さん>

090514_13.jpg 【秋田支局】野菜はナス、ピーマン、トマト、キュウリなど約70種、花はマリーゴールド、サルビア、ベゴニアなど約30種――。大仙市福見町の池田英子さん(57)が、多彩な苗作りに取り組んでいる。
 変わった形のキャベツやイタリアンパセリ、スティックブロッコリー、栄養価の高いサラダ用カボチャなど、珍しい野菜苗も手掛ける池田さん。「育てることの楽しさを味わってほしい」と販売にも力を入れている。
 最近は、花壇や農道沿いなどに花を植えている地域も多く、忙しい日々が続く池田さん。5月15日ころから、自宅前で苗の販売を始めるという。

<写真:池田英子さん>

 ▼メキシコに端を発した人から人への新型インフルエンザの感染が、短期間で世界各国に広がった。感染患者が確認された国はすでに10カ国を超え、世界保健機関(WHO)は、警戒水準を世界的大流行(パンデミック)の一歩前となる6段階中の5に引き上げた。
 ▼感染拡大の要因とされるのは、メキシコ政府による初動対策の遅れだ。また、短期間のうちに複数の国へ感染が広がった背景には、多くの人が世界を日常的に移動するグローバル化の影響もあるのではないか。連休中は海外旅行に出る人が増えるため、政府は、感染国への渡航自粛を呼びかけ、渡航時にはマスクの携帯など対応を求めている。
 ▼政府は、当面は国内への侵入を防ぐ検疫の強化や侵入時に備えた封じ込め対策に力を入れる方針だ。徹底した警戒態勢を敷くのは、人に新型インフルエンザの免疫がなく、一定の時間がかかるワクチン開発までの間に多くの死者が出る恐れがあるためで、過去にもスペインかぜなどの世界的流行で多くの死者を出した例がある。
 ▼新型インフルエンザの国内発生に備え、農林水産省は「家庭用食料品備蓄ガイド」を作り、ホームページに掲載している。流行開始から小康までを2カ月程度とみて、2週間程度の食料品備蓄の実践を推奨。家族4人を基本とし、10キロ以上の米を柱に野菜や乾物、レトルト食品など栄養面にも配慮した備蓄のリストが分かる内容だ。
 ▼一方、新型インフルエンザの発生報道を受け、外食産業にはメキシコ産豚肉を使ったメニューの取りやめるなど過剰な反応もみられた。こうした対応が風評被害を招き、特定の食品の敬遠や買い占めにつながると、食料の安定供給に支障をきたす心配がある。
 ▼豚肉や豚肉加工品からの感染事例はなく、十分に加熱すればウイルスは死滅する。現在の状況が緊急事態であることは確かだが、政府や報道機関の情報も参考に、冷静に対処することが肝要だ。

 090501_01.jpg現代の"結い"で集落の酪農経営を支える――岩手県一戸町宇別地区の酪農家6戸で立ち上げた有限会社「TMRうべつ」は、TMR(混合飼料)を製造・供給するほか、約100ヘクタールで主原料となるデントコーンを栽培する。デントコーンサイレージと購入乾牧草などを使ったTMRは毎日調整し、各構成員に配送。飼料生産とTMR調整作業を共同化して、大規模生産することで飼料コストの削減や作業負担の軽減につなげている。乳量が2割以上増えた構成員もいるなど、産乳性も向上。農家の高齢化や牛乳の消費低迷など厳しい状況が続く中、構成員たちは経営を将来につなぐための仕組みを構築中だ。

〈写真=「牛はいいえさを与えれば、いい成績を残してくれます。だから、えさの質を落とすことはできません」と澤口さん〉


(1面)

090501_02.jpg 一戸町の宇別地区はレタスなど高原野菜の生産や酪農が盛んな地域だ。TMRうべつが1日に供給するTMRは19~20トンで、構成員6戸で飼養する牛約450頭分になる。
 「TMRは便利で、一度使い始めればやめられない」と話すのは、代表取締役の澤口松男さん(52)。産乳性が上がり、牛の健康管理もしやすいことなどがメリットだという。TMRと搾乳ロボットの導入で、経産牛1頭当たり乳量が8千キロから1万キロに増えた構成員もいる。
 TMRうべつを設立したねらいは「良質なえさを安く生産すること」。粗飼料の栽培やTMRの調整作業をなるべく自分たちで行うのは、中間コストを抑え、乳量が落ちた時にえさを見直しやすいなどの利点があると考えているからだ。
 デントコーンの栽培は構成員が出役し、日当を支払う。TMRの調整と配達は澤口さんの牧場の従業員が担当している。澤口さんは「みんなで作業すると『いいものを作ろう』という意識が強まってきた」と話す。

〈写真=調整したTMRを配送用トラックに積み込む。TMR担当で澤口さんの息子、雅実さん(28)は、配送先の構成員とえさの状態をこまめに確認するという)

(1面)

 農林水産省は4月22日「農政改革特命チーム」の第11回会合に、米の生産調整に関するシミュレーション結果を提示した。生産調整を「強化」「現状維持」「10万ヘクタール緩和」「30万ヘクタール緩和」「廃止」の五つのシナリオで、実施10年後までの米価や農家手取りなどを予測。廃止した場合、1年目の米価は60キロ当たり7500円と現行価格の半値にまで暴落、その後持ち直すものの1万円を下回る水準で推移すると見通した。ただ、現状維持の場合でも、米価下落や農家手取りの減少傾向に歯止めはかからない。同省では、この結果を議論の土台に、生産調整のあり方を検討、8月までに具体的な米政策の選択肢を示す方針だ。

(2面・ニュース)

090501_03.jpg NPO法人日本食育協会(小林修平理事長)は、4月19日、「食育のあり方と食の問題点」をテーマにしたシンポジウムを東京都内で開催した。国民の食育への関心が高まる中、約1200人が参加。食育推進に向けた課題などを話し合ったパネルディスカッションから主な内容を紹介する。
 内閣府の意識調査(2008年3月)では食育に関心があると答える人は75.1%を占める。しかし、朝食の欠食や家庭での孤食(個食)、若い女性の過度の細身志向など、食育にかかわる問題は無くならない状況にある。
 文部科学省は昨年度から幼稚園から高校までの学習指導要領に「食育」を明記した。
 教育現場で実際に食育を行う愛知県西尾市立寺津小学校の高橋正治校長は、地場産農産物を使った学校給食の取り組みを紹介した。
 生活習慣病の原因について、日本食育協会の本多京子理事は、食育の課題に調理技術を知らないことを挙げた。

<写真:食育のあり方と食の問題点をテーマにしたシンポジウム>

(2面・ニュース)

 日本電機工業会は、農業関連施設などで使われている、1975年以前に製造された、低圧200ボルト電力用の「低圧進相コンデンサー」の使用停止または取り換えを呼び掛けている。製品に保安装置がなく、寿命年数に達していて、使用を続けていると発火、火災の原因になる危険性があるため。製造年はコンデンサー正面の銘板で確認できる。
 低圧進相コンデンサーは、モーターで稼働する設備・電気機器の効率を良くするため、配電盤などに設置されている。大きさは、高さ15センチ、幅10センチ、厚さ4センチほどの筒状の部品。農業関連施設では、畜舎や乾燥調製施設、揚水施設などでの使用が多いとみられている。
 ▽問い合わせ先=日本電機工業会、電話03・3556・5885

(2面・ニュース)

090501_04.jpg NOSAIの円滑な事業運営をNOSAI部長が支える。高知県のNOSAI安芸(安芸地区農業共済組合、小松秋夫組合長)のNOSAI部長は、NOSAIの組合広報紙や各種資料を農家に配布。建物共済や農機具共済の加入推進に努めるほか、施設園芸の盛んな地域にあって、農家からの被害情報を受け取ると、すぐにNOSAI職員・組合に連絡するなど、農家にとって頼もしい存在になっている。

<写真:「農家の身近な視点から、NOSAI事業運営に携わりたい」という飯田さん(左)。管内でも、まだ少ない女性のNOSAI部長>

(5面・NOSAI)

090501_05.jpg 5月27日を「小松菜の日」と定め、収穫体験や試食会を開催してコマツナの消費拡大に努めるのは、大阪府堺市の有限会社「しものファーム」。収穫したコマツナは地元スーパーや百貨店に契約出荷するほか、市内の小学校では給食の食材に利用。食育授業の一環として施設の見学会も行う。「消費者には都市農業の必要性を理解してほしい」と社長の霜野要規さん(39)は話す。自動灌水装置や自動天窓開閉装置を備えた大型鉄骨連棟ハウスで、減農薬・減化学肥料栽培を実践している。
 安全でおいしいコマツナを出荷するため、しものファームでは農薬残留検査や水質検査、栄養検査などを実施。学校給食の食材としても供給。地元の小学校からは、施設の見学やコマツナ収穫体験に訪れており、昨年は3校を受け入れた。食育活動にも力を入れている霜野さんは、「小学生のうちに食の大切さをわかってほしい」と話す。

<写真:「長峰ハウスには根コブ病に強い海砂を入れている」と霜野さん>

(8面・流通)

090501_06.jpg 農作業の省力化に向け、農研機構・生研センター(さいたま市北区)では最先端の農業機械の研究・開発を行っている。このほど、収穫作業の労力が約3分の1になる「イチゴ収穫ロボット」と、1箱当たり30秒での箱詰めを目指す「キャベツ箱詰め装置」を発表した。それぞれ概要を紹介する。

▽イチゴ収穫ロボット 収穫の労力が3分の1に
 収穫ロボットは、収穫適期のイチゴの色を自動で判別して、ロボットアームで収穫する。収穫適期かどうかの判定は、2台のカメラで行う。8割程度赤く着色したイチゴが収穫の対象で、イチゴの位置もカメラで特定する。太陽光は、赤色の識別を困難にするため、ロボットは夜間に動かす。

<写真:収穫ロボットは、イチゴに触れずに収穫してトレーまで運ぶ>

▽キャベツ箱詰め装置 1箱30秒目指して
 キャベツを箱詰めする仕組みは、(1)調製・選別したキャベツを芯が上になるようにトレーに載せて、8個並べる(2)段ボールを吸着パッドに固定する(3)段ボールをキャベツの上部からかぶせる(4)段ボールの上下を反転させる(トレーは永久磁石で固定するため、段ボールに入らない)――というもの。手作業では1箱当たり約1・3分かかる箱詰め作業を、機械化で1箱当たり30秒を目指す。

(9面・営農技術)

090501_07.jpg 【岐阜支局】ニンニクを市の特産にしようと、山県市の美濃山県にんにく振興会(棚橋石根〈たなばし・いわね〉会長=71歳)が、ニンニク(品種「上海にんにく」)の栽培に取り組み、ニンニクを使った商品を開発している。
 振興会では、他産地との差別化を図るため、愛称を「元気玉」とし、独自のキャラクターを使って販売促進を行う。
 さらに、ニンニクを使ったハンバーガーを考案。「やまがた元気玉バーガー」として、各イベントや今季開催されるサッカーJ2「FC岐阜」のホーム戦の長良川競技場で販売する。
 やまがた元気玉バーガーは地元産のレタスや肉を使い、ニンニクしょうゆに肉を浸して、ニンニクを混ぜたみそやマヨネーズを使っている。

<写真:美濃山県にんにく振興会のメンバー(中央が棚橋会長)>

090501_08.jpg 【岡山支局】赤磐市穂崎で水稲1.6ヘクタール、大豆3ヘクタールを作付ける安井正さん(40)と尚さん(36)兄弟は、栽培した大豆「サチユタカ」で作った豆腐「兄弟豆富」の販売を3月初旬に始めた。これは、現在販売している「兄弟米」に続くブランドという。
 栽培当初から構想していた豆腐作りで、岡山市の豆腐店の協力を得て実現した。
 にがりで固め甘味がある「絹にがり豆富」と、すまし粉で固め口当たりが良い「絹豆富」の2種類あり、赤磐市内の直売所「稚媛〈わかひめ〉の里」で販売している。2日間で70個を完売するほどの売れ行きだ。
 「長年かかって出来上がった豆腐だからうれしい」と正さん。さらなる収益アップへ新製品を構想中だ。

<写真:クリームチーズのような食感の「絹にがり豆富」>

090501_09.jpg 【埼玉支局】ゼリーの中に地元産トマト「桃太郎」を丸ごと1個入れた商品「こだわりとまと」の試験発売を、小鹿野町両神薄の株式会社ふるさと両神(小菅栄市社長=75歳)が始めた。
 この商品は、トマト生産者の声と同社のコンニャク製造のノウハウを合わせ、トマトの水煮をゼリーにしたもの。小鹿野町とJAちちぶの協力を得て完成したこの商品は、同町の新名物になっているという。
 現在、同社の売店で扱っていて、6月から本格販売する。小菅社長は「減農薬で徹底した品質管理を行い、安全・安心を売りに、県内はもとより都内の百貨店へギフト用に売り出す予定です」と意欲を見せる。

<写真:こだわりとまと>

090501_10.jpg 【山口支局】地元特産の高糖度カボチャ「くりまさる」を原料にした甘酒を考案し、2年前から販売を行っている山口市阿知須の礒金醸造工場の礒金大樹さん(27)。地元特産のくりまさるを使用することで、「阿知須のPRができたら」とその甘酒造りに励んでいる。
 通常の甘酒は、米こうじが米のでんぷん質を分解して甘味を出す。でんぷん質が豊富なカボチャは素材としては適しているが、カボチャの水分を考えて米こうじの配分量を決めなければいけないため、試行錯誤したという。
 「米の甘さと、糖度が15度もあるくりまさるとの相性は、ピッタリです」と礒金さん。また「温めて飲んでもいいのですが、夏場には凍らせてシャーベットにして食べるのもおいしいですよ」と話す。

<写真:「種類を増やし、消費者に楽しんでもらえたら」と礒金さん>

090501_11.jpg 【福岡支局】筑後市下妻の井口明光さん(61)が栽培するイグサの古来種「トウシンソウ」が、昔からの利用法であるろうそくの芯〈しん〉として注目を集め、和ろうそくの職人をはじめイベント関係者などから問い合わせが相次いでいる。
 トウシンソウは、一般的なイグサ品種に比べ、芯の部分が長くて太く、弾力性、吸着性に富む。
 ろうそくの芯「灯芯」は、イグサの茎の芯の部分を使っていて、芯を取り出す「灯芯引き」ができる人は現代では少なくなっているという。
 以前から交流のある滋賀県の和ろうそく職人は、「井口さんの灯芯は現在使用している外国産の芯と違い、溶けた蝋〈ろう〉を吸い上げる能力に優れている。純国産の和ろうそくを作りたい」と話す。
 井口さんは「名前の由来どおり『灯芯』としてこんなに話題になるとは思わなかった。産地を元気づけ、国産イグサを見直す機会をつくりたい」と話している。

<写真:「灯芯引きは難しい」と井口さん>

090501_12.jpg 【岩手支局】夫妻でベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)の資格を持つ、滝澤幸夫〈たきさわ・ゆきお〉さん(48)と旬子さん(41)はこのほど、一関市花泉町の自宅敷地内に「ちっちゃいぃ直売所」をオープンさせた。
 直売所では、資格を生かして品種の説明などを表記。野菜や果物の、おいしさや魅力を伝えている。
 岩手県の農業改良普及員だった滝澤さんは、2004年に新規就農した。現在は、露地でナス20アール、ハウスでイチゴ11アールを栽培している。そのうち、イチゴ「さちのか」は直売所で販売され好評だ。
 滝澤さんは08年に、旬子さんとともにベジタブル&フルーツマイスターの資格を取得。「もの作りを通じて野菜などのおいしさや魅力を伝えたい」と話している。


<写真:イチゴを販売している滝澤さん。「さちのか」は1日で50パック以上を売り上げる>

090501_13.jpg 【北海道支局】共和町発足地区で水稲、スイカ、メロンなどを約10ヘクタール経営する長門〈ながと〉強さん(34)は、冬期間の育苗ハウスを有効活用するため、可動式電熱式育苗床を導入し、今年から使用している。
 昨年秋に育苗ハウスを新築した際、3相200メートルを敷設し、メーカーに1メートル×3メートルの枠組み(18基)の製作を依頼。農閑期に底板、サーモ、熱線を自分で取り付けた。
 最大のメリットは、農業用コンテナのように重ねられる仕様になっているため、冬期間に農機具を格納する大きなスペースが得られる点。
 さらに、可動式でトンネル支柱の取り付けが可能なため、作物に応じた施設内レイアウトや、苗の生育状況に合わせてハウスの中央や入り口付近へと、男性2人で育苗床ごと自在に移動でき、斉一で健全な苗を作る効果も期待できる。

<写真:作業に励む長門さん>

 ▼主要8カ国(G8)による初の農相会合がイタリアで開かれ、「農業と食料安全保障を国際的課題の核心に」と訴える共同宣言を採択した。持続可能な農業や農村開発への投資の重要性を強調。備蓄制度や農産物市場への投機の監視などを課題に挙げた。
 ▼G8にブラジルや中国など新興国や食料輸出国を加えた拡大会合も開催。議長声明では、家族農業と農村経済が、持続可能な農業で重要な役割を果たすと強調した。特に小規模農業が技術援助や教育、作物保険を利用する権利を守る必要性を訴えた。
 ▼国会審議中の農地法などの改正案では、家族農業と企業参入をめぐる議論が続いている。改正案は、第1条の目的に、効率的に利用する者に農地の権利取得を促進すると規定し、耕作者の農地所有を原則とする現行法の「耕作者主義」の記述を削った。野党は、耕作者主義からの転換が地域に根ざした家族農業を解体し、企業などの農地所有に道を開くと批判。民主党は耕作者主義を維持する修正案を示した。
 ▼研究者や農家の意見を聞いた参考人質疑では、賃借権による農地流動化や面的集積を推進する改正内容を評価する声が多かった。一方で農業参入企業と地域との調和が図れるか疑問視する意見も相次いだ。
 ▼参考人の日本大学生物資源科学部の盛田清秀教授は「参入企業の目的は利益確保で、条件の不利な耕作放棄地の解消などを期待するのは難しい」と指摘。神林カントリー農園(新潟県村上市)の忠聡〈ちゅう・さとし〉代表は「農村は生産と生活の場が一体であり、企業参入を促し、生産効率を追求するだけでは集落に人がいなくなる」と述べる。
 ▼行政が期待する企業の農業参入だが、過去の例でも採算がとれなければ撤退がある。農相会合の議長宣言が確認したように、集落や農業の持続性を守るのは家族農業だ。

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