農業共済新聞 全国農業共済協会(NOSAI全国)
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今週のヘッドライン: 2009年6月アーカイブ

090625_01.jpg 「牧場で生産した牛乳を直接、消費者に届けたい」と話す、石川県加賀市分校町の平松忠利さん(60)は、有限会社平松牧場を経営し、近隣の地域で牛乳の配達をしている。牧場周辺の宅地化など環境の変化に対応するため、生乳の出荷を中心とした経営から、飼養頭数を減らし、牛乳・乳製品の生産から直売までの経営を確立した。ホルスタイン種とジャージー種を飼い、近くには直売店と牛乳・乳製品の製造プラントがある。3人の子供たちは、会社勤めを辞めて経営に参画。家族が力を合わせて、地産地消に取り組んでいる。

〈写真=「15年ほど前から、週3回配達してもらっています」という吉田さん(左)と世志子さん〉


高付加価値で宅地化へ適応 

090625_02.jpg 現在の労働力は平松さんの家族6人とパート・アルバイト4人だ。
 牛舎と牧草地の管理は、平松さんと1月に就農した次男・篤さん(29)が担当。つなぎ飼い牛舎では、ホルスタイン種20頭(うち搾乳牛15頭)、ジャージー種10頭(うち搾乳牛6頭)を飼養する。
 道を挟んだ牛舎の向かいには、直売店「MOOMOO〈モーモー〉まきば」と牛乳・乳製品の製造プラントがある。製造は平松さんと長男・薫さん(34)らが行う。牛乳は月・水・金の週3回で、1回当たり500~600リットルを瓶詰めし、65度30分の低温殺菌処理している。
 平松さんは「地元住民が気軽に立ち寄れ、動物とふれあえる場を提供したい」と考え、1995年に直売店をオープンさせた。店は薫さんと長女の奈央子さん(30)、薫さんの妻・房枝さん(33)が担当。牛乳のほか、アイスクリームやジェラート、ヨーグルトなどが並ぶ。
 客層は幅広く、特に子供連れが多い。「車が止まると、まず子供は店には入らず、走って牛を見にいく」という。牛の隣ではポニーやロバも飼っていて、訪れた人の目を楽しませている。
 平松牧場では、ホームページを使って情報を発信するほか、牛乳・乳製品のインターネット販売も行っている。

〈写真=牛の世話をする平松さん親子。篤さんは「店が近いので牛舎は清潔第一を心掛けています」と話す〉

○農業共済新聞1面より

 農地の効率的な利用促進を柱とした農地法などの改正法が17日、参院本会議で自民、公明、民主党などの賛成多数で可決、成立した。転用規制を厳格化して農地を確保するとともに、賃借の要件を大幅に緩和し企業などの農業参入を促す。食料自給力・自給率の向上に向け、耕作放棄地を含めた農地の確保とその有効利用を促進するのがねらい。年内に施行される予定だ。ただ、生産現場では、企業参入に伴う地域農業への悪影響を懸念する声もある。改正農地法の目的規定に明記した「地域との調和」への配慮や「耕作者の地位の安定」などを基本に、違反転用防止対策の実効確保など制度の厳格な運用が求められる。

(2面・総合)

 農林水産省は16日、有識者で構成する「中山間地域等総合対策検討会」を開き、中山間地域等直接支払制度に対する都道府県と市町村の総合評価を報告した。
 総合評価はA~Gの7段階評価で、都道府県(集計中の1県を除く)ではA「おおいに評価できる」が14県、B「おおむね評価できる」が32県となった。
 市町村(集計中を除く)では997市町村のうちAが337市町村、Bが620市町村となり、制度を評価する市町村は96%にのぼった。
 制度の効果としては、耕作放棄の防止や水路・道路の管理による農村景観の保持、イベントや祭りが復活するなどの集落機能の活性化などが挙げられた。

(2面・総合)

090625_03.jpg かしわもちを製造・直売する福島県いわき市三和町の「柏〈かしわ〉の里」。経営する永山雄一さん(61)、シゲヨさん(59)夫妻は、自家栽培した米を使い、代々伝わる方法でかしわもちを製造する。特徴は、うるち米4割、もち米6割で製粉し、もちを蒸す前に葉で包むこと。国道沿いに直売所を設けて、野菜などと一緒に販売する。2007年に、野菜をトッピングに使うピザ作り体験ができる農家レストランをオープン。食べ物の大切さや農業の楽しさを伝えている。
 「この地域では、田植えを手伝ってもらったお礼や、嫁が里帰りするときの手みやげなどに、かしわもちを昔から作っています」と雄一さん。
 かしわもちを買いに来た、いわき市泉町の吉田征夫さん(66)は「最近はどこでも買えるが、ここのかしわもちは昔ながらの作り方で、懐かしい味がする」と話す。
 自宅近くの国道沿いに直売所を設けて販売する。野菜や漬物なども並べ、客が休憩できるようにいすを置いて、茶を振る舞う。かしわもちは1個105円で年間6万~7万個販売する。5月5日のこどもの日は約2500個売れるという。

<写真:かしわもちを買いに来た客と笑顔で会話するシゲヨさん(中央)>

(3面・暮らし)

 全国のNOSAI団体では、「『信頼のきずな』実践強化運動」3カ年計画の最終年度に取り組んでいる。「すべての農家にNOSAIの安心ネットを」との運動目標を掲げ、「完全引受け」への取り組み強化や、地域の実情に応じた多彩なリスクマネジメント(RM)支援活動などを展開。併せて、次期全国運動についての組織検討も始まった


(5面・NOSAI)

 「信頼のきずな」実践強化運動中央推進本部(本部長=竹中美晴NOSAI全国会長)は24日、東京都千代田区の全国農業共済会館で、2008年度「信頼のきずな」実践強化運動の中央表彰式を行った。表彰式では、最優秀賞3組合と優秀賞29組合等、優良賞14組合等、部門優秀賞1組合を表彰する。

090625_04-.jpg▼道南NOSAI(北海道)
 道南NOSAI(道南農業共済組合、山崎孝組合長)では、「すべては組合員のために」を合言葉に、農作物や果樹などの多様なリスクマネジメント(RM)活動で農家を支援。組合員も参加する懇談会や組合が主催・協賛する地域イベントなどで、事業への理解を深めてもらっている。
 2008年度は「全筆本実測による水稲・豆類の損害評価精度向上と水稲の収量調査の実施」に取り組んだ。GIS(地理情報システム)を活用した畑作台帳とダイズシストセンチュウなど土壌検診マップを作成。果樹・畑作物を対象に土壌改良材の交付なども行った。

<写真:水稲本実測作業は職員やOBなどで行う>

090625_05-.jpg▼NOSAI中越(新潟県)
 NOSAI中越(中越農業共済組合、髙橋俊郎組合長)では、毎年本所・支所単位で農家との懇談会を開き、制度普及を図りながら農家のニーズを把握。過去の事業を検証し、全事業の引受率の向上につなげている。
 水稲の損害防止事業では、減農薬栽培の普及と「コシヒカリBL」の導入で、基本的にカメムシへの基幹防除は1回実施。オペレーター120人が無人ヘリ35機、大型ダスター49台などを使って1万9158ヘクタール(08年)を防除した。
 また、土壌分析や病害虫発生予察調査、畜舎消毒などにも取り組む。

<写真:土壌分析を実施し、経営・生産支援に努めている>

090625_06-.jpg▼NOSAI県南
 NOSAI県南(長崎県南農業共済組合、岩永照男組合長)では、引受率が7%弱と低迷していた果樹共済(温州ミカン)の引受拡大のため、選果場を対象とした「選果場単位引受け」に取り組んだ。
 2007年度にはJAながさき県央、JA島原雲仙の3カ所の選果場を引受けた。08年度はJA長崎せいひ、南高果協の4カ所の選果場が加入。県平均加入率が49%、組合平均加入率が55%に上昇した。
 取り組みのポイントは〈1〉JAとNOSAIのトップ会談〈2〉営農指導員の理解・協力〈3〉情報の共有化〈4〉職員の説明能力の向上――の四つがある。

<写真:引受けする園地を調査する職員>

(7面・NOSAI)

090625_07.jpg 愛知県農業総合試験場(長久手町)は、農研機構・野菜茶業試験場と共同で、受粉しなくても果実が着果・肥大する単為結果性を持ち、とげがない長卵形ナス「試交05―3」(仮称)を育成した。着果・肥大促進のためのホルモン処理や受粉用ハチの放飼が大部分不要となり、1作にかかる労働時間を約15%削減できる。また、とげが手にささらないため、箱詰めなど作業の快適性も向上。冬場のハウスの環境に向く特徴を持ち、促成栽培用として普及を図っている。
 試交05―3は、現在、愛知県内の10戸が試作を行っている。協力農家の一人、西尾市矢曽根町の榊原幸夫さん(59)=ナス27アール=は「この先も長くナス栽培を続けていくために、作業が楽になるのは助かる」と話す。
 試算では、愛知県の冬春ナスの栽培は1作10アール当たり1860時間かかる。同品種を導入すると、11月~翌4月の授粉作業約270時間分の省力化が期待できるとしている。
 促成栽培で主流の「千両」と比べて(1)着果節から出る芽の数が少ないが、秀品率が高い(試験場では7割ほど)(2)皮が硬いため、日焼け果などの発生が少ない(3)10月~翌7月の収穫期間中に成り休みが少なく、収穫作業の負担を平準化できる――など。

<写真:「果実のそろいもいい」と榊原さん>


(11面・営農技術)

090625_08.jpg090625_09.jpg 【岩手支局】放置されている桑園の整備を進める、北上市の更木桑資源振興会(駒込昌平会長=61歳)では、桑食品の特産化を目指している。振興会では、桑の健康機能性に着目。中山間地の遊休桑園解消と、新たな雇用創出に取り組んでいる。
 更木桑資源振興会の活動のきっかけになったのは、日刊紙に掲載された岩手大学・鈴木幸一教授の論説だ。この記事に、更木地区交流センターに勤めていた遠藤原一郎さんが目を止め、鈴木教授の桑に対する考え方に共鳴。地域の仲間を募り、駒込会長たちと、天蚕や桑の研究開発のシンポジウムに参加する。090625_10.jpg
 今年は、本格的に桑の栽培や販売を行おうと、更木桑資源振興会を設立。桑の苗木の育成や栽培管理の指導には、更木地区で唯一養蚕業を営む工藤義孝さんが当たり、振興会で雇い入れた3人に指導している。
 加工・販売を担うのは、農業生産法人・株式会社「更木ふるさと興社」(小原孝也社長)。遠藤さんは「大手のデパートやスーパーは、企業の商品ではなく、地域の特産品に注目している」と桑ビジネスに手応えを感じている。
 「桑園は、5ヘクタールまで広げたい」と駒込会長。本年度は10トンの収穫を見込み、加工施設の建設も予定するほか、7月には本格的な生産体制の確立を目指している。

<写真左:整備が進む遊休桑園。写真中:桑の葉の商品 写真右:駒込会長(右)と遠藤さん>

 【福島支局】使わなくなった田植機を利用して、南相馬市原町区石神の遠藤政一〈まさいち〉さん(57歳、水稲16.1ヘクタール、ジャガイモ3ヘクタール、パイプハウス2棟)が「チェーン除草機」を製作した。
 仕組みは、田植機の移植部を外し、後ろのフレームにネジで角パイプを取り付け、裁断した車のタイヤチェーンを垂らす。角パイプとチェーンの接続は、ビニールハウスに使うフィルム止め材にチェーンを引っ掛けた。廃材を利用しているため、新たに購入したのはフレームと角パイプを止めるネジだけという。
 田植機を走行させ、チェーンを引っ張ることで雑草を浮かせたり、チェーンに雑草を引っ掛ける。
 遠藤さんは「フレームの上げ下げができ、Uターン時も楽で、深さ調整もできます。田植機を運転するだけなので疲れないですね」と話す。

<写真左:チェーン除草機を使って作業する遠藤さん 写真右:フィルム止め材にチェーンを引っ掛けた部分>

090625_13.jpg 【千葉支局】木更津市江川の市川桂一郎さん(32)は、父・雅章さん(62)の経営する市川園芸(ハウス130アール)で従業員7人と、観葉植物のほかにプルメリアやピカケを栽培している。
 プルメリアは西インド諸島原産の熱帯地方で花を咲かせる常緑性の植物。5~8月に白や黄、ピンクなど色とりどりの花をつける。50~70個の花を糸で通す、レイ(ハワイの首飾り)にも使われる。
 現在、プルメリア約1万鉢、ピカケ2千鉢を栽培し、主に市場やホームセンターで販売。休日には県外から買いに訪れる人も多い。最近は男性の購入者も増えてきているという。
 市川さんは「今後は男性向けの植物の栽培や、インターネットでの販売などを展開したい。プルメリアやピカケを地域の特産物として定着させたい」と話している。

<写真:両親の豊富な知識と経験に助けられたという市川さん。プルメリアは20センチ程度の挿し穂を輸入し鉢植えにしている>

090625_14.jpg 【長崎支局】露地ビワ20アール、カボチャ10アール、インゲン15アールを手掛ける南島原市西有家町の石橋正敏さん(72)は、使用済みのペットボトルを利用し、ビワの枝の誘引に役立てている=写真。
 利用方法はペットボトルに水を入れ、ひもでつるすだけ。大きな木では1本の木で20本ほどつるしている。これは枝が上に伸びるのを抑制し、横に伸びるようにするための工夫だ。このほかにも使用済みの灌水〈かんすい〉チューブでも誘引している。
 「脚立などに登っての作業が減りました。また枝を横に伸ばしたからか、よく芽がでます」と石橋さんは話す。

090625_15.jpg 【新潟支局】「中山間地域で農業を営むには、園芸を含めた複合営農しかない」と、上越市牧区岩神の岩神生産組合(飯田修平代表=60歳)では水稲、ソバのほか、加工用ナス「新潟黒十全」の栽培に取り組んでいる。
 新潟黒十全は、10アールほどの畑で700本を栽培。虫食いや傷、表面のつやに気を配りながら7月初旬から10月下旬まで収穫する。身が柔らかいうえ身崩れしにくく食べ応えがあり、さっぱり味の浅漬けに最適で人気が高い。
 同組合は加工場と契約栽培を行っていて、ほかの作物と比べて価格の変動が少ないことから、玉数を確保すれば採算が見込めるという。大変な収穫作業も順番を決めることで労働力の分散が図られ、高齢者でも参加が可能だ。飯田代表は「中山間地域農業は、地域や集落の多くの力が必要。みんなが参加できる体制をつくることが大切」と話す。

<写真:定植を終えたばかりのナス畑で飯田代表>

090625_16.jpg 【熊本支局】水上村湯山地区のおたけさん会(荒嶽博子会長・71歳、メンバー4人)は、50年ほど前まで同地区で作られていた「おたけさん万十〈まんじゅう〉」を復活させ、手作りの味を伝えている。
 おたけさん万十は、米粉の生地にあんこを包んで焼き上げたもの。表面はパリッと、中はモチモチした食感が特徴だ。同村の物産館「水の上の市場」や熊本市の「びぷれす熊日会館」「ゆめタウンはません」で販売されている。
 荒嶽会長は「生地もあんこも50年前と同じ手作り。手間暇かけて作っているので、おいしさは格別」と話す。地産地消を重視し、材料はすべて水上村産だけを使っている。

<写真:手作りのおたけさん万十>

 【北海道支局】深川市産の米「ふっくりんこ」の米粉を使った焼きドーナツが、地元の道の駅などで好評だ。
 製造する「まるみ食品合同会社(深川市)」の右代〈うしろ〉和弘〈かずひろ〉代表は「深川は北海道有数の米どころ。地元の食材を使うなら、まずは米だと思った」と話す。 この焼きドーナツは、米粉特有の「しっとり」「もっちり」とした食感と、風味豊かな甘さが特徴。「ふっくりんぐ」と命名された。
 と右代代表は、「多くの人にこの味を知ってもらいたい」と、スーパーの店舗や物産展などのイベントで実演販売を行い「要望があればどこでも行きます」と営業にも力が入る。

 ▼日本では46年ぶりとなる皆既日食が7月22日に起きる。奄美大島北部やトカラ列島、屋久島など皆既日食を観察できる地域・海域へのツアーは大盛況という。一時期に観光客が集中するため、受け入れ地域では、宿泊者用のテントや食料、水、トイレなどの確保、医療体制の準備に追われている。
 ▼部分日食は全国で観察でき、札幌でも太陽が半分ほど欠ける。日食は午前9時過ぎから始まり、正午すぎまで続く。食が最大になるのは午前11時前後だ。2012年5月に金環食が見られるが、次の皆既日食は35年9月まで待たなければならない。
 ▼夏休み期間中であり、子どもたちにはめったにない天文現象を体験してほしい。皆既日食の情報は、国立天文台などがインターネットで提供している。太陽の光と熱はかなり強いので、正しい方法での観察が必要だ。日食グラスなど専用フィルターの使用と大人が付き添っての観察を勧めている。各地で企画されている日食観察会に参加する方法もある。
 ▼今年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが望遠鏡で初めて夜空を観測して400年の節目に当たる。国連は今年を「世界天文年」とし、天文学と科学に関する行事を展開している。
 ▼取材で何度か訪ねた稲作農家は、地域の稲作研究会に参加し、他の農家を指導する講師役を務めていた。多収と良食味の両立を自らの課題とし、特に根の働きを重視。大学の研究者とも交流し、根の働きをテーマに勉強会を開くなど科学者と言ってもいい旺盛な探求心を持っていた。
 ▼農業は、植物や動物、気象、土壌、環境など理科が扱う分野を総合した知識・経験の上に成り立つ。日本の高品質な農産物生産は、科学的な目を持った先人が開発し、継承・発展させた農業技術で支えられてきたのだと思う。理科離れが指摘されて久しいが、日食の体験を通じ、多くの子どもたちが科学に興味を持ってくれることを期待したい。

090618_01.jpg 銀座、渋谷、六本木――東京都心に近ごろ、続々と田んぼや畑が登場し、話題になっている。田んぼや畑は、ビルの屋上やプランターを活用するなど方法はさまざまだ。主催者に共通するのは、都会の消費者が身近で農業にふれあい、農や食をあらためて考えるきっかけにしようとの思い。生産者との交流イベントを企画するなど、消費者の農業への関心を高めようと工夫を凝らしている。それぞれの取り組みを取材した。
〈写真=5月23日に行われた田植えでは六本木ヒルズの住民など115人が参加した〉


農業への関心喚起 生・消の懸け橋へ

090618_02.jpg▽中央区・銀座
 東京メトロ有楽町線・銀座一丁目駅から徒歩2分ほど。ビルに囲まれた100平方メートルの敷地内に、30平方メートルの水田が造られた。田植えは5月30日。「少し大きくなったかな」と水田の前で立ち止まり、苗の成長を観察する人も見られる。
 「銀座でコメづくり2009」プロジェクトは、貸し農園の企画・運営などを行う銀座農園株式会社の飯村一樹社長が中心になり、都心で農業とふれあう機会を作ろうと立ち上げた。水田は丸太を組んで造り、土や苗は茨城県から運んだ。農薬をできるだけ使わずに「コシヒカリ」を栽培する。

▽渋谷区・渋谷公園通り
 渋谷の公園通りでは古代米がプランターで育てられている。新潟県を舞台にまちづくりなどをテーマにした映画「降りていく生き方」の企画スタッフや出演者、渋谷公園通商店街、大学生などでつくる「渋谷田んぼCLUB」が取り組む。
 都会の人に農業にふれるきっかけを作り、農業や食料、自然などについて考えてもらうのが目的だ。事務局の小村亮雄さんは「発信力を持つ渋谷で自分たちが楽しく取り組めば、多くの人が興味を持ってくれると思います」と話す。

▽港区・六本木ヒルズ
 港区・六本木ヒルズのほぼ中央にある「けやき坂コンプレックス」の屋上(高さ45メートル)に、1300平方メートルの庭園がある。日本の「農の風景」を再現し、130平方メートルの水田や60平方メートルの菜園を設けた。
 本年度は秋田県と連携し、「あきたこまち」や「たつこもち」を定植。菜園では同県が育成したエダマメ「あきた香り五葉」や伝統野菜「関口なす」などを栽培する。野菜はヒルズの飲食店で働くスタッフが植え付け、飲食店で利用する予定だ。
〈写真=公園通りの道沿いに置いている稲のプランター〉

○農業共済新聞1面より

 農林水産省は8日、第4回全国有機農業推進委員会(会長=中島紀一茨城大学農学部教授)を開き、2008年度から始まった地域有機農業推進事業(モデルタウン事業)の検証と有機農業の振興に向けた課題を議論した。モデルタウン45地区では、有機農業に取り組む生産者が事業開始前に比べ、18%増加。有機農業への参入に関する相談件数は約3倍に増え、研修参加者も約7.5倍となった。一方、栽培面積や有機JASの普及率は伸び悩んでおり、委員からは「付加価値販売が困難」「販路確保が難しい」などの課題が指摘された。

(2面・総合)

 日本農業法人協会は10日、会員を対象とした2008年度農業法人基礎調査の結果概要(農業法人白書)を公表した。08年の平均売上高は2億7054万円で、前回調査(04年)に比べ3773億円(16%)増加した。過去4年間の平均成長率は115%で04年(156%)に比べ低下しており、特に3億円未満の規模層で伸び率が鈍化している。
 07年から08年にかけての資材高騰の影響は、「非常に大きい」「大きい」が9割に上った。特に飼料が高騰した畜産農業では「非常に大きい」が87.7%を占めた。
 これに対し、「コスト増加分をすべて価格転嫁できた」は12.9%。「価格転嫁できない」が50.1%、販売価格に転嫁できたものの「増加分に満たない」が21.0%となった。理由は「取引先に価格決定権がある」(43.7%)「同業者との横並びを基準としている」(17.4%)などで、独自に価格決定できない現状が明らかになった。

(2面・総合)

090618_03.jpg 有機肥料を使った無農薬野菜を栽培する長野県北信地方(信州新町、中野市、須坂市)の農家4戸が任意組織「マイ農家クラブ」(渡辺啓道代表=53歳、畑1ヘクタール)を結成し、宅配販売に取り組んでいる。長野市内を中心に会員は現在約50人。朝採りの新鮮な野菜を段ボールに詰め、「マイセット」と銘打って毎週水曜日に配達する。渡辺さんは「会員は虫食いを納得して契約している。消費者と直接つながりを持ちたい」という。昨年からは、カフェなどの一角を借りた直売も始めた。
 昨年からマイセットを利用する長野市の鈴木美紀さんは、「味が濃く、新鮮な野菜でおいしい。作っている人の顔が見えるので安心」と評価する。
 配達希望の消費者は、入会金2千円を支払って会員となり、配達の回数(毎週、隔週、月に1度)を選択する。年会費は無料。配達は毎週水曜日だが、端境期の1~4月は月に1、2回となる。
 マイセットは、品目数に応じて、大(10~12品目、2500円・配達料別)、中(8~10品目、2千円・同)、小(7~8品目、1650円・同)の3種類を用意。中身はその時期に採れる野菜が中心で、コマツナやチンゲンサイ、トマト、キュウリ、ニンジンなど年間約80品目に及ぶ。
<写真:箱詰め作業は昼から開始。この時間は栽培方法など情報交換の場でもある>

(10面・流通)

090618_04.jpg ハウスブドウの栽培に取り組む島根県出雲市大社町の池田晴久さん(51)は、高糖度「デラウェア」を出荷している。収穫時期を遅らせ、糖度20度以上が目標だ。収穫期間を長くするため早期加温、普通加温、無加温と作型を分散。多くの園地はWH型短梢〈たんしょう〉整枝法で仕立てて省力化を図る。最近は、消費者の嗜好〈しこう〉の多様化への対応と燃料費の節減を目的に、デラウェア園の半分を無加温で栽培可能な大粒系品種とする切り替えを進めている。
 デラウェアは69アールで栽培。連続して加温栽培すると樹勢低下が進み、収量の減少が問題になる。池田さんは、樹勢を見て早期加温は2年置きに行う。
 池田さんはエコファーマーとして、糖度20度以上のデラウェアを「いずもぶどう」として販売する取り組みに参加。また、直売所や宅配便を使った直販も行っている。「直販だと、あらかじめ決めた値段で取引できるメリットがある」と話す。
 通常、糖度18度で収穫するところを、1週間遅くして20度を目標に出荷する。Lサイズが中心で10アール当たり1200~1300キロを収穫。期間は5月下旬から7月上旬までで、JA共販で出荷する。
 販売先からの要望に応え、今年からは20アールで無加温栽培も始めた。
<写真:「糖度を上げるため、通常より1週間遅く収穫している」と池田さん>

(11面・営農技術)

090618_05.jpg 【埼玉支局】フレンチラベンダーの新品種「わたぼうし」を栽培する、鴻巣市広田の萩原豊さん(52)は、妻・美佐緒さん(47)、母・敏子さん(75)、パート4人とともに、「きれいな花を皆さんに届けること」を目標に花き園芸を営む。現在、1200坪のハウスで、わたぼうし(3万鉢)をはじめとしたフレンチラベンダーのほか、ニチニチソウなど2万鉢を栽培している。
 今までになかった花色をしているわたぼうしは、紫色の花の先端に白いリボンの形をした花が咲くラベンダーだ。普通のフレンチラベンダーは、紫とピンク、白と白など上下の花が同系色。「フレンチラベンダーを長年栽培していて、たまたま突然変異で紫と白の花の組み合わせができた」と萩原さんは発見当時を振り返る。
 わたぼうしは、日本フラワー・オブ・ザ・イヤー2008で、「今後のさらなる展開が期待できる品種」として、カラークリエイト特別賞を受賞。09年3月から市場出荷が始まり、出荷先は、鴻巣市場や東京市場、さらに関西や東北地方まで広がっている。
<写真:「わたぼうし」を手にする萩原さん夫妻>

090618_06.jpg 【愛媛支局】「元気な鶏から最高の卵が生まれる」をモットーに、四国中央市の熊野憲之さん(39)は、安心・安全で差別化された鶏卵の直販を実践している。2008年度の全国優良畜産経営管理技術発表会では、愛媛県初の最優秀賞を獲得した。
 品種は、国内の卵用鶏では数パーセントしかいない純国産鶏「もみじ」。ストレスを減らすために1ケージに2羽飼いで4万羽飼育していたものを、1ケージ1羽にしている。
 水は、磁気処理・活水器処理・EMセラミック処理を施したものを給与。卵は70%以上が水分で、鶏が飲んだ水が卵に移行するからだ。
 飼料の60%を占めるトウモロコシは、遺伝子組み換えをしておらず、ポストハーベストフリー(収穫後消毒をしない)のコーンを使用。それをベースに海藻粉末、もみ殻炭、ガーリックなど10種以上の副原料を加えている。
 今後は、現在販売している薫製卵や温泉卵に加え、自社製品の充実を図りたい考え。「プリンや洋菓子を売り出したい」と、アイデアを広げている。
<写真:「美豊卵にはこれ」と、卵かけご飯専用しょうゆを手に熊野さん>

090618_07.jpg 【香川支局】「ヤギはサルの防除に最適。一石二鳥どころか"一石三鳥"ぐらい助かります」と話す、さぬき市大川町田面の多田正一さん(59)は、昨年10月から、県東讃農業改良普及センターの委託で、雄雌1頭ずつのヤギを飼育している。
 ヤギは、気になったものを直視する癖があり、サルはそれが苦手だという。実際、「日中、畦畔〈けいはん〉につないでおくだけで、農作物の被害はほとんどなくなった」と多田さんは話す。
<写真:ヤギと一緒に多田さん。畦畔につないでいる>

090618_08.jpg 【山形支局】夏秋期出荷用イチゴ「サマーティアラ」は、県が開発した新品種。本格的な栽培に向けて、酒田市のJAそでうらイチゴ部会四季成専門部(佐藤善一専門部会長、会員10人)では、現地巡回を実施。生育状況の把握と栽培技術の向上を図った。
 国内では、冬から春に収穫する一季成り性イチゴが主流だが、夏場でもケーキ用などとして需要は高く、市場からは、高品質の国産品を求める声が多い。
 同専門部は5月28日、育苗中のハウス施設など9カ所を巡回。栽培を予定している農家やJA、県の関係者など約30人が参加した。
 県庄内総合支庁産地研究室の荘司善守研究員は「ウドンコ病が付きやすい品種なので、初期発見と適期の薬剤防除に留意すること」と注意。県の依頼で昨年から栽培している佐藤専門部会長は「協力して高品質なイチゴを安定的に市場に届けていこう」と呼びかけた。
<写真:サマーティアラ>

090618_09.jpg 【島根支局】雲南市加茂町の「株式会社加茂遊学ファーム(土江暁一代表取締役=74歳)」では今年2月、運営する産直店舗の横に総菜コーナーを新設。直売所間の競争が激化する中、多くの人に来てもらえる個性ある店舗を目指している。
 総菜コーナーには、地元農産物を使った総菜とご飯類など、常時17種類以上が並ぶ。また、食堂営業の許可を取得し、飲食スペースも設置。憩いの場としての利用提供もしている。
 「手間のかかる総菜がよく売れるようだ。消費者のニーズを見きわめて、旬の食材で手作りの商品を作りたい」と土江社長は話している。
<写真:新設された総菜コーナー>

090618_10.jpg 【福島支局】自宅隣に直売所を開く石川町母畑地区の平田文男さん(69)は、「ほかの直売所にはないサービスを」と考え、店内に足湯を設置。直売所を「地域の憩いの場にしたい」と張り切っている。
 足湯は、敷地内にわき出ていた炭酸水を利用。温水設備の試作を繰り返し、昨年6月に完成させた
<写真:店内に設置された足湯>

090618_11.jpg 【鹿児島支局】出水市大川内で肥育牛115頭を飼養する房村幸徳さん(61歳、水田2ヘクタール、畑2ヘクタール)は、ツツジ園造りに取り組んでいる。
 造園は、自宅近くの畑地から小高い山林の斜面を利用して、4年ほど前からスタート。すでに1.5ヘクタールに、ツツジ100種類3千本、サクラ80種類250本を植えた。房村さんの計画に、近所の人も「地域おこしにもなる」と植栽などに協力している。
 「完成までには、まだ4、5年は掛かりそう」と話す房村さん。「多くの人が集う光景を楽しみにしている」と気持ちよい汗を流している。
<写真:「本格的な園にしたい」と房村さん>

 ▼地球温暖化の克服へ、京都議定書に定めていない2013年以降の温室効果ガス排出削減の検討が本格化してきた。年末に国際枠組み合意を目指す気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の開催が予定されている。
 ▼日本は「05年比15%削減」を打ち出した。国民に示した六つの事前提案のうち「14%削減」案に太陽光発電の取り組み強化を盛り込んで1%を上乗せした。米国の「14%削減」、欧州連合(EU)の「13%削減」に対し、意欲的な目標を示して国際交渉を優位に進めるねらいもある。
 ▼地球温暖化の仕組みは未解明部分も多いが、主な要因とされるのは、人類の活動に伴う二酸化炭素など温室効果ガスの排出だ。世界の排出量は増え続けており、早期に減少に転じさせる必要がある。中期目標は、昨年の北海道・洞爺湖サミットで合意した、50年までに温室効果ガス排出量を半減させる長期目標達成の前提となるものだ。
 ▼京都議定書では08~12年を第一約束期間とし、EUやロシア、日本など先進国が排出削減に取り組む。しかし、参加国の排出量は世界の3割に過ぎず、2割を排出する米国が参加していないなど課題を抱える。日本は、京都議定書で90年比6%削減を国際公約したが、排出量の増加に歯止めがかからないのが現状だ。
 ▼日本の15%削減案には、各種産業の省エネ推進や世帯当たり7万6千円と試算される国民負担が織り込まれた。日本の国内総生産(GDP)当たりのエネルギー効率は、すでに欧米の2倍以上で、一層の削減努力を強いる内容には経済界の不満も強い。目標達成に向けては、負担軽減の対策などを十分に説明していく対応が求められる。
 ▼13年以降の国際枠組み合意には、米国のほか、排出量で5割を占める中国、インドなど途上国の参加が不可欠だ。地球温暖化対策が急務であることは、誰もが承知しているはず。足並みをそろえなければ何も始まらない。

090611_01.jpg すり鉢状の急斜面に、田植え後まだ日の浅い田んぼが連なり、畦畔〈けいはん〉の緑が映える。千葉県鴨川市の大山千枚田の保全、地域活性化に力を発揮しているのが特定非営利活動法人(NPO法人)大山千枚田保存会(石田三示理事長)だ。農家の高齢化で荒廃の進んだ時期もあったが、2000年のオーナー制度導入を機に耕作放棄地が減少。現在では酒造りオーナー制度、大豆やワタ・アイのトラスト制度など魅力的な企画も次々展開し、都市住民との積極的な交流活動に取り組んでいる。
〈写真=泥の飛びはねなど気にせず試合に集中。勢い余って下の田んぼに落ちそうになる場面もたびたび〉


多彩な企画で積極的な交流活動

090611_02.jpg 大山千枚田の面積は約3.2ヘクタールで、このうち大山千枚田保存会が管理して棚田オーナー制度を実施するのは約1.3ヘクタール。地権者は8人で、田植えや稲刈りの指導、畦〈あぜ〉草刈りなど中間管理を保存会会員がバックアップする。
 オーナー制は、1区画(100平方メートル)当たり3万円の設定で136区画分を募集。オーナーは田植えと除草3回、稲刈り、脱穀、収穫祭など7回ほど訪れる。毎年200件を超える応募があるという。
 大山千枚田保存会では、収穫した米を日本酒にして分け合う酒造りオーナー制度などユニークな企画を次々導入。保存会理事長の石田三示さん(57)=水稲1.5ヘクタール、乳牛10頭=は「オーナー制度に取り組む目的は地域活性化のため。大切なのは長く続けていくことだが、次々に新しい壁に突き当たる。新たな企画は、課題を一つずつ解決するところから生まれる」と話す。
 「棚田環境大学2009・全日本学生泥んこバレーボール大会」が5月30~31日、首都圏の大学生(実行委員長=早稲田大学・学生NPO農楽塾〈のうがくじゅく〉酒井悠里副代表)と大山千枚田保存会との共催で開かれ、13大学の学生や地元住民など約150人が参加した。
〈写真=ぎこちない手つきで田植えに挑戦。顔にはしっかり泥パック〉

○農業共済新聞1面より

 農林水産省は2日、食料・農業・農村政策審議会果樹部会を開き、石破茂農相の諮問を受け、新たな果樹農業振興基本方針の策定に向けた議論を始めた。果実の消費拡大を基本に、果樹産地構造改革計画(産地計画)による産地独自の取り組み推進と需要に対応した供給力の強化など具体策を検討する。現行の果樹対策(果樹経営支援・需給安定対策)の実施期間が2010年度までとなっていることから評価・見直しを行う。新たな食料・農業・農村基本計画の策定にあわせて、来年3月までに基本方針を答申、新たな果樹対策を11年度の予算要求に盛り込む方針だ。

(2面・総合)

 JA全中は4日、理事会を開き、水田農業政策にかかるJAグループの基本的な考え方を決定した。「米の需給と価格の安定を確保することが国民にとって重要」とし、主食用米の計画生産の徹底を基本に水田フル活用などへの支援充実を提起した。
 生産調整の手法については、不公平感・限界感の是正や実効性確保に向け一定の見直しを要請。〈1〉過去の需要実績に応じた生産目標数量配分の徹底〈2〉生産調整超過達成者への支援の上乗せ〈3〉部分達成者への一定の支援〈4〉行政の関与と支援の強化――などを提起した。
 豊作分を市場隔離する「出口対策」の重要性を指摘。負担の公平性確保や市場隔離・処分した農業者への支援充実を求めた。

(2面・総合)

 麻生太郎首相は3日、農政改革を議論した経済財政諮問会議で、「2009年度の農林水産補正予算1兆円の有効活用と、制度改革を車の両輪として改革を進めることが必要」と発言。月内にまとめる「骨太の方針2009」に農政改革の方向性をしっかりと打ち出すよう指示した。
 石破茂農相は「農政改革の展開方向」として、〈1〉農地の賃借を促すなど平成の農地改革に沿った担い手育成〈2〉自給力向上のための米政策・水田農業政策の検討〈3〉農山漁村の機能発揮のための支援――を説明した。
 米の生産調整は、アンケートやシミュレーション、水田フル活用の実施状況などを検証。「生産調整実施者の不公平感の是正」「担い手経営の安定・発展や農業経営者の創意工夫につながる」「大幅な過剰在庫の発生」を基本に検討すると報告した。

(2面・総合)

090611_03.jpg 女性の感性で地域農業を元気にしたい――熊本県植木町の果樹農家の女性組織「春果風〈はるかぜ〉」(11人)は、かんきつ「不知火〈しらぬひ〉」(商品名=デコポン)を使った菓子づくりのほか、モモの花見会などの消費者交流イベントを開いている。メンバーの平均年齢は37歳。農作業だけでなく家事、育児に忙しい毎日を送る中、家族の協力を得ながら地元の農業をPRしている。
 植木町はスイカやメロンなど園芸作物と並んでハウスミカンや不知火などの果樹栽培が盛んな地域。しかし、地元住民の中には、スイカは知っていても果樹栽培は知らない人が多いという。
 「愛情込めて作ったデコポンやミカンが知られていないのはさみしい。女性の感性を生かして地元のフルーツをPRし、町おこしにつなげたい」とは、春果風の代表を務める宮本好美さん(45)。
 女性ならではの接客技術を生かした消費者交流イベントや、家庭の主婦の視点で農産加工品づくりに取り組んでいる。
<写真:春果風のメンバー。後列左から2番目が代表の宮本さん>

(3面・暮らし)

090611_04.jpg NOSAI新潟中央(新潟中央農業共済組合、串田幸男組合長)では、1988年から関係団体の協力を得て、施設野菜の病害虫発生予察調査を行い、適期防除を支援している。キュウリ、トマト、メロンを対象に、管内3地区で44カ所の調査地点を設けて、地区ごとに年間12回実施。結果は、栽培管理のポイントを添えて、調査農家や関係団体にファクスで送信している。農家からは「地域の病害虫の情報が得られ、事前に防除できる」と好評だ。
 病害虫発生予察調査はハウスでトマトやキュウリを栽培する農家が多い、新潟地区、白根地区、西蒲原地区の3地区で実施。新潟市や病害虫防除所、農業普及指導センター、JAなどに協力を依頼している。
 4~6月の春作と、8~10月の秋作の計6カ月間、地区ごとに毎月2回行う。対象作物はトマトとキュウリが中心だ。白根地区と新潟地区では秋作のメロンも調べる。調査協力を依頼するハウスは、園芸施設共済に加入する農家から地域が偏らないように選び、計44カ所で行う。
<写真:NOSAI新潟中央では写真付きの病害虫の資料を作成し、予察調査で活用している>

(5面・NOSAI)

090611_05.jpg 豆腐かすなどの食品副産物を牛に与えている、鳥取市の有限会社菊丸ファームでは、飼料の低コスト化を実現し、乳肉複合経営を軌道に乗せている。飼料には豆腐かす、稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)など地域で入手できるものを活用し、輸入穀物などの割合を低減。新たな取り組みとして、搾乳牛の耐用年数を長くするため、病気に強いブラウンスイスの種を使う。代表取締役の上島孝博さん(54)は、「結果として乳量は減るが、長く飼って産次数を増やしたい」と話している。
 菊丸ファームでは、7棟の牛舎に乳牛120頭(主にホルスタイン種、うち搾乳牛70頭)、肉用牛は交雑種(F1)中心で250頭(うち黒毛和種50~60頭、繁殖牛18頭)を飼養。管理は、上島さんと4人の従業員で行う。
 乳肉複合経営の基本的な考え方は、日々の経費は酪農でまかない、設備投資や規模拡大には肥育牛の収益を充てるというもの。「酪農と肉用牛経営の両輪が、補完し合っている」と上島さん。
 搾乳牛のTMR(混合飼料)は、酪農家8戸で設立し上島さんが代表取締役を務める有限会社ティーエムアール(TMR)鳥取から供給される。1日当たりの給与量42.1キロの中には、稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)4.9キロ、豆腐かす5.8キロ、ビールかす3.2キロなどを含む。「牛の食い込みや発情などは満足している」と説明する上島さん。1頭当たり1日の飼料代は1200円ほどだ。
<写真:「乳量は1日30キロを維持し、耐用年数を重視した経営を目指す」と上島さん>

(11面・営農技術)

090611_06.jpg090611_07.jpg 【愛知支局】「色鮮やかなカラートマトをたくさんの人に食べてもらいたくて、3人で頑張っています」と話す加藤芳郎さん(61)は、愛西市・マルサトマト組合カラートマト部会の代表を務める。
 現在は3人合わせて約15アールで、「グリーンゼブラ」「リコピナブラック」など7品種を栽培。同じトマトでも品種によって生育状況や育て方が異なり、管理や出荷には手間を掛けている。
 カラートマトを多くの人に知ってもらおうと、昨年12月から今年5月まで、JA全農の「JAタウン」で、4品種を詰め合わせたセット「彩玉〈あやだま〉」をネット販売。家庭でも手軽に楽しめるよう、レシピをつけるなど工夫した。
 丈晴さんは「色だけでなく、食感や味を楽しむ食べ方も研究したい。黄色いトマトで、黄色のケチャップを作ってみたいです」と話す。
<写真左:カラートマトを手に、左からカラートマト部会の加藤幸一さん(39)、加藤丈晴さん(39)、加藤代表 写真右:4品種の詰め合わせ>

090611_08.jpg 【新潟支局】サクランボの光合成を促そうと、聖籠町二本松の天野恵一さん(61)は、栽培するサクランボ1ヘクタールのうち、約860平方メートルのハウスで、試験的に青色発光ダイオードを設置している。導入は昨年からで、今年は開花時期から常時点灯。ハウスの右側だけ設置し、設置していない左側と比較している。
 県内では新発田市でイチゴ「越後姫」への導入例はあるが、サクランボでは天野さんが初めて。「設置した側は、しない側に比べて新梢〈しんしょう〉が伸びている。果実の肥大や糖度の上昇など、結果が出てくれれば」と天野さんは期待する。
<写真:サクランボに交じり、発光ダイオードが光っている>

090611_09.jpg 【青森支局】「農作業事故を防ごう」。農機具の安全操作や点検整備に取り組む農家女性グループ「カッチャレンジャークラブ(勝山さち子代表=58歳、会員14人)」がこのほど、五戸町で農作業事故防止運動を行った。
 メンバー8人が、横断幕やのぼりを掲げ、道行く人に農作業事故防止をアピール。水田で代かき中の農家にも呼びかけ、チラシやトラクターなどに張るステッカーにキャンデーを添えて手渡した。
 勝山代表は「地域の人や自分のお父ちゃんに、毎日声をかけるようにしており、自分たちも気をつけている」と話す。
<写真:「事故に気をつけて作業をしてください」と呼びかけた>

 【北海道支局】夏場の高温に弱いイチゴの品質向上を図ろうと、沼田町の就農支援実習農場では今年から、雪冷熱を利用したハウスイチゴ生産に取り組んでいる。
 雪冷熱利用ハウスは、長さ50メートルで面積は360平方メートル。ハウス内に4列の高設台を設け、夏秋イチゴ「さがほのか」を2500株植え付けた。
 ハウスの横には約650トンの雪山を設置し、雪の中を通したパイプから低温の空気をハウス内に引き込んでいる。
 計画では、7月上旬から盆すぎまで収穫し、旭川の市場に出荷。その後、再度10月からクリスマスに向けて収穫を続ける予定で、今年は1.5トンの出荷を計画している。

090611_10.jpg090611_11.jpg 【宮城支局】宮城の伝統野菜・ミョウガタケは、ハナミョウガの若茎を軟白栽培し、1メートルくらいに成長させたもの。名取市下余田地区の下余田みょうが出荷組合」(佐藤信一組合長=60歳)では、生産者28人が285アールで栽培している。
 出荷する部分は、普通は花芽だが、ミョウガタケは茎の部分。ハナミョウガより香りがほのかで、軟らかくみずみずしい。血行を促進することから、肩こり、冷え性などに良いといわれている。
 佐藤組合長は「ほんのりとした紅色にするため、被覆した稲わらを2回ほど外して一時的に光を当てます。美しく仕上げるのが大変です」と話す。
<写真左:生産者の一人、佐々木仁さん(53)は、ハウスの中に室〈むろ〉を作って栽培している 写真右:パックされたミョウガタケ>

090611_12.jpg 【高知支局】祝い事の飾り物や、玄関ロビーの生花などに利用されるスモークツリーの収穫が、芸西村の岡村悟さん(52)方で始まった。
 栽培を始めたのは25年前。品種は、「ホワイトファー」や「ピンクファー」から始め、現在は25アールの田畑で6品種を栽培している。
 「雨風で花や穂がすれないよう、1坪に1本ぐらいの間隔で植え付けることや、あまり木を大きくしないのがコツ」と岡村さんは話す。
<写真:スモークツリーと岡村さん。「水はけの良い土地(砂地)が栽培適地」と話す>

090611_13.jpg 【千葉支局】ほんのり小麦色をした、どこか懐かしい蒸しまんじゅう「春らんまん」が人気だ。砂糖以外はすべて地元産を使ったこのまんじゅうは、四街道市内黒田のJAいんば四街道農産物直売所マイファーム加工部(平井和江代表=61歳)のオリジナル商品。「生地はもちもちと、あんはしっとりとバランスがよくおいしい」と好評を得ている。
 小麦は、栽培が盛んな同市鹿放ケ丘地区の鹿放ケ丘麦作組合(戸田弘一郎組合長)のものを利用。
 あんの原料は、メンバーが栽培したムラサキイモだ。名前の由来となった八重桜の花の塩漬けは、春に摘んで漬けておき、トッピングする。
<写真:まんじゅうの上には、名前の由来となる八重桜の塩漬けを添えている。中には鮮やかな紫色のあんが入っている>

 ▼自然災害によるリスクが「高まっている」と認識する国民は6割に及ぶとの調査結果が2009年版防災白書で報告された。75%以上が「将来的に災害リスクは高まる」と回答した。理由に、近年の異常気象頻発化を挙げる人は8割(複数回答)に達し、地域コミュニティーの希薄化による防災力低下を挙げる人も4割を占めた。
 ▼長期的には自然災害による被害は減少傾向にあるものの、自然環境の変化や高齢化の進展が新たな災害リスクをもたらしている。1時間降水量が50ミリを超える短時間の局地的大雨は、この10年間で30年前の1.5倍に増えた。大量の雨水による急な増水が、中小河川などで水難事故を招いている。
 ▼防災力の低下は、特に高齢化が進む中山間地など過疎地域で懸念されている。中山間地域集落の3割が自然災害で孤立する恐れがあり、孤立可能性がある集落のうち住民による自主防災組織があるのは45%強にすぎないという。
 ▼白書は、新たな災害リスクに対応できる防災力強化を今後の課題に挙げた。住民の生命・財産を守る行政の役割は当然のこととし、災害への関心を持ち備えを行う個人の「自助」充実と、地域で助け合う「共助」体制構築が重要と強調する。
 ▼95年に発生した阪神・淡路大震災では、倒壊した家屋から救出された人の約8割が家族や近所の共助によるものだった。都市部では被害者の救出や行方不明者の確認が難航したが、淡路島の北淡町では、消防団と近隣住民が連携して早々に救助活動を終え、災害に対する地域コミュニティーの強さを示した。
 ▼入会地や水路の共同作業、「結い」など、農業生産に立脚した集落の助け合いの力は失われつつある。過疎化が進む地域は1人世帯も多い。自然災害に備え、被害を最小限にとどめるためには、行政なども関与しながら、人と人のつながりを密にすることを基本に、新しい「共助」のあり方を考える必要がある。

 約130ヘクタールの水田営農に取り組む、長野県大町市平野口の特定農業法人・有限会社ライスファーム野口(田邊一弘代表、59歳)は、地域農業を守ろうと活動している。ライスファームでは、水稲、ソバを中心に栽培し、標高差を利用して作期を分散。水稲の直播栽培や無人ヘリを使った施肥、防除を行うなど作業の省力化、効率化にも努める。パイプハウスなどの資材は、不要品や廃材から調達するなどして経費を削減。「今後も面積は増えると思うが、労力や機械設備を考慮して対応したい」と田邊代表は話す。農地を預けた住民から「安心して任せられる」との声が出ている。〈写真=取材に訪れた日は、田植えのさなか。前列左が田邊代表〉
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地域の声に応えて水稲・ソバなど130ヘクタール

090604_02.jpg ライスファームの活動拠点となっている野口集落は、標高800メートルほどに位置する。現在の耕作面積は130.6ヘクタール(751筆)で、そのうち野口集落が約52.7ヘクタール(229筆)を占め、集落の水田の約半分だ。
 元NOSAI職員で役員を務める豊田悦司さん(59)は「有限会社を立ち上げた2004年度は44ヘクタールほど。5年後には2倍の80ヘクタールほどだろうと想定していたが、3倍以上に拡大した」という。
 約89ヘクタールで水稲を栽培し、「コシヒカリ」や「あきたこまち」などを作付ける。作付面積の1割ほどが「あきたこまち」と「ひとめぼれ」の特別栽培米だ。そのほか、秋ソバ約21ヘクタール、大豆約8ヘクタール、小麦約12ヘクタールを栽培。耕地は標高600~950メートルで、850メートルまでの農地には水稲を、900メートル以上ではソバを栽培する。
 米はJAや米穀業者、地元のホテル・スキー場のレストランへ出荷するほか、事務所とホームページで「稜線〈りょうせん〉の風」のブランド名で直販している。

〈写真=8条植えの大型田植機で田植えの時間を短縮する〉

○農業共済新聞1面より

 農林水産省は5月22日、有識者らで構成する「農協の新事業像の構築に関する研究会」(座長・鈴木宣弘東京大学大学院教授)の初会合を開いた。JAと農業者・地域とのつながりの再構築やJAの販売力強化など、今後のJA事業のあり方を検討する。9月上旬までに報告を取りまとめ、来年3月に策定する新たな食料・農業・農村基本計画に盛り込む方針だ。農業・農村を取り巻く環境が厳しさを増す中、農家のJAに対する期待は大きい。JAは10月に開く全国大会に向けて組織協議を進めるなど自ら改革に取り組んでいる。JAは自主的な組織であり、政府があるべき姿を押し付けるのではなく、農家の意思を反映した改革を支援する議論が重要だ。

(2面・総合)

 家畜衛生に関する国際基準を策定する国際獣疫事務局(OIE)は29日、総会で日本の牛海綿状脳症(BSE)の発生リスクを「管理されたリスクの国」に認定した。これにより、月齢制限なしに牛肉を輸出できるようになる。
 OIEは加盟国のBSE発生リスクを科学的知見から3段階に分類。最もリスクの低い「無視できるリスクの国」はオーストラリアやニュージーランドなど11カ国で、日本が加わる2段階目の「管理されたリスクの国」は米国、カナダ、ブラジルなど32カ国の格付けとなる。
 日本の牛肉輸出は、2001年9月のBSEの国内発生を境に19カ国・地域が輸入を禁止。これまで再開したのは、米国、カナダなど5カ国・地域にとどまっている。井出道雄農林水産事務次官は評価案決定後の28日の記者会見で「(国産牛肉の安全性を)消費者に積極的に説明したい。輸出促進に、ロシアやフィリピンなどへのアプローチを強めたい」と意欲を見せた。

(2面・総合)

 全国のNOSAI団体が2007年度から取り組む「信頼のきずな」実践強化運動で、08年度中央表彰の受賞組合等が5月27日、決定した。
 「信頼のきずな」実践強化運動中央推進本部(本部長=竹中美晴NOSAI全国会長)が、同日に開催した中央表彰審査委員会で選定。最優秀賞3組合、優秀賞29組合等、優良賞14組合等、部門優秀賞1組合が選ばれた。
 「信頼のきずな」実践強化運動中央表彰式は24日、東京・一番町の全国農業共済会館で行われる。
 受賞組合等は次の通り(組合等名の「農業共済組合」「農業共済事務組合」等は省略)。
 ▼最優秀賞=道南(北海道)中越(新潟県)長崎県南(長崎県)

(2面・総合)

090604_03.jpg 鹿児島県のNOSAI南薩(南薩農業共済組合、井川伊勢治組合長)指宿支所では、管内の区長が共済連絡員(NOSAI部長)を務めている。共済連絡員は、担当する地区の農家と連絡を取りながら建物共済の加入推進や、共済細目書の取りまとめなどを行う。約3割を占める非農家の区長も共済連絡員としてNOSAI事業の普及に力を入れる。NOSAI事業の推進を通じて農家経営の安定につなげたいとしている。
 「今年は雨が少ないので火災予防は当然だが、建物共済の推進にも力が入る」と話すのは、指宿市池田地区の西本元成さん(67)=和牛繁殖。池田地区仮屋集落の共済連絡員を務めて9年になる。
 西本さんは「農村で過疎高齢化が進む中、生涯現役で農業を続けるには農家経営や生活基盤の安定が不可欠。それを支えるのがNOSAI事業だと、集落の農家に伝えている」と説明する。
 仮屋集落の和牛繁殖農家、江崎猛さん(36)は「西本さんは、NOSAI事業を分かりやすく説明してくれるのであらためて制度の大切さを認識できる。集落のまとめ役でもあるので頼りになる」と話している。
<写真:パンフレットを使ってNOSAI事業を説明する西本さん(左)。右は江崎さん>

(5面・NOSAI)

090604_04.jpg 兵庫県洲本市の農家6戸がタマネギの共同販売に取り組む「淡路島オニオンクラブ」(成井修司代表=58歳、タマネギ2.7ヘクタール、水稲1ヘクタール)は、生産しているタマネギの"甘み"をセールスポイントにし、有利販売につなげている。クラブの玉ねぎは糖度がおおむね13度で、一般に比べて4度ほど高いという。販売先は全国の高級スーパーやレストランなどのほか、個人客は1千件を超える。取り扱う小売店からは「価格が割高でも品質を重視する消費者から引き合いがある」と評価を得ている。
 全国でも有数のタマネギの産地である淡路島。クラブの6戸で早生品種の「七宝早生7号」や中生「ターザン」「アンサー」、晩生「もみじ3号」など約5ヘクタール作付け、年間400トンほど出荷している。
 糖度の確認は、成井さんが収穫2週間前の5月中~下旬に各メンバーの圃場で行う。
 タマネギは収穫・乾燥後、成井さんの倉庫に集荷し、全国に発送していく。完熟タマネギの販売期間は6月~翌3月だ。
<写真:左から森脇さん、成井さん、森脇さんの妻、律子さん(60)。「収穫前の3~6月の管理は気が抜けない」と成井さんは話す>

(4面・流通)

090604_05.jpg 群馬県前橋市亀里町の有限会社三輪農園=代表取締役・三輪民雄さん(56)=では、休耕地などを借りて水稲と麦の二毛作を行い、周年雇用と安定した収入を確保するためミツバなどの水耕栽培にも取り組んでいる。麦の収穫から田植えまでは1週間と短いため、麦わらは搬出せず、深耕して圃場にすき込む。そのため麦わらの腐熟で発生するガス対策として、生物系土壌改良資材と米ぬかを混ぜて散布し、水稲の生育障害を防ぐ。「収量は、米麦ともに地域の平均単収の10~15%増を達成している」という三輪さん。休耕地や耕作放棄地などの委託管理の増加を好機ととらえ、麦作の規模拡大と大型農機の利用による省力化を進めている。
<写真:「採種用は他品種が混ざらないように雑穂を抜くことと、赤カビ病防除が重要」と三輪さん。小麦「つるぴかり」の採種圃で>

(9面・営農技術)

090604_06.jpg 【新潟支局】新たな産業振興を目的に2006年、三条市内の農家8戸が集まり、「三条市どじょうプロジェクト」を立ち上げ、休耕田を利用したドジョウの養殖を始めた。現在、40アールほどの池で養殖。市内の学校給食や飲食店に供給し、好評を得ている。
 プロジェクトが育てたドジョウの人気の秘密は、養殖する環境にある。ドジョウの養殖池は、田面を掘ったところにシートを敷き、山土などを入れ、水は地下水を使用。そのため、泥臭くなく、安全なドジョウが養殖できる。
<写真:ビニールが張られている養殖池でプロジェクトの鈴木代表>

090604_07.jpg 【埼玉支局】美里町の水田農業推進協議会では、飼料用稲をホールクロップサイレージ(稲発酵粗飼料)にして利用する耕畜連携事業に取り組んでいる。飼料用稲栽培農家、畜産農家、コントラクター(農作業受託組織)が一体となって行われ、水田の高度利用と地域農業の活性化に成果を挙げている。
 耕畜連携事業を進めるに当たり、耕種農家団体の「美里町飼料用イネ協議会」(3集団・13農家)、これを給与する畜産農家の「美里町飼料用イネ利用会」(5戸)が組織された。
<写真:飼料用稲収穫のためのコントラクターが結成された>

090604_08.jpg 【広島支局】福山市熊野町寺迫下地区では2年前に「金網忍び返し柵」(麻布大学と近畿中国四国農業研究センターが共同開発)で集落全体を約2キロにわたり囲ったことで、イノシシの被害を2年連続でゼロに抑えている。
 この柵は、高さ1メートルの金網柵に「忍び返し」状の折り返しをつけ、イノシシの跳躍侵入を防ぐもの。同地区では、目合い10センチのワイヤメッシュ約1千枚と支柱用の鉄筋337本を使い、集落全16戸で忍び返し柵を手作りした。
<写真:「整備の回数を増やして、一回にかかる労力を抑えている」とメンバー>

 【岩手支局】転作田の有効活用と所得向上を図るため、八幡平市大更の山後営農組合(岩崎春雄組合長=56歳、組合員27人)では、今年からカボチャを栽培している。カボチャは、JAが価格を補償して、すべて買い取る予定。市場価格に左右されない、安定的な生産に取り組んでいる。
 山後営農組合は今年、水稲約50ヘクタール、飼料米約3ヘクタールを栽培。このほか転作田の活用を拡大し、大豆約12.6ヘクタール、カボチャ「味皇〈あじおう〉」1ヘクタールを栽培する。
 岩崎組合長は「転作田の有効活用を模索していたが、行政やJAから支援を受け、カボチャの栽培を始めた」と話す。カボチャは、規格外のものでもすべてJAが買い取りを予定している。価格も補償され、規格外はカット野菜として出荷されるという。
 「市場価格に左右されず価格が補償された作物を作れることから、リスクも少なく、組合員からも賛同を得ることができた」と岩崎組合長。「今後の課題は山積みだが、コスト削減や省力化に取り組み、組織の維持や経営の発展を目指す」と意欲的だ。
<写真:カボチャの定植作業>090604_09.jpg

 【鹿児島支局】サトウキビ栽培と黒糖作りに励んでいる喜界町早町の杉俣紘二郎〈すぎまたこうじろう〉さん(30)は、東京からIターンして4年目。
 2005年、NPO活動で喜界島を訪れた杉俣さんは、同町荒木で製糖工場を営む岡田忠二さん(81)の黒糖作りを手伝った。この時の黒糖を東京の仲間に振る舞うと好評で、その感激が忘れられず、迷うことなく喜界島へ。岡田さんの元で修業に励み、07年12月に独立した。
<写真:黒糖作り。アク取りをする杉俣さん>090604_10.jpg

 【高知支局】「しゅりの里」農園を経営する三原村芳井の藤田守さん(37)は、妻の衣理さん(37)とともに、卵肉兼用種の鶏「横斑プリマスロック」約2千羽を、70アールの敷地で放し飼いしている。
 餌に化学添加物は一切使わず、国産の天然素材が中心。トウモロコシなど輸入に頼らざるを得ないものは、収穫後に農薬を使用していないものを用い、土佐清水産の魚粉、天然酵母、茶など約15種類を配合する。
<写真:横斑プリマスロックと藤田さん>090604_11.jpg

 【鳥取支局】「タマノカンザシを全国に広めたい」と話す智頭町の熊谷美憲さん(72)は、全国タマノカンザシ愛好会(会員約1千人)の代表を務め、園芸品としての特産化と、全国へのタマノカンザシの普及を目指している。
 タマノカンザシはユリ科ギボウシ属で中国産の多年草。8月中旬から約1カ月、純白の花を開花させる。
 熊谷さんは退職後、転作田10アールで本格的に栽培をスタート。現在、150平方メートルのハウスで約1千鉢を栽培する。
<写真:8月、独特の香りの純白の花を咲かせる>090604_12.jpg

 ▼牛乳の消費が落ち込んでいる。農林水産省は、今年4月の牛乳生産量が前年同月比で8.7%減少したと発表した。2月は5.6%減、3月は7.6%減で、減少幅が拡大している。一方で加工乳・成分調整牛乳の生産量が急増し、4月は前年同月比41.4%増となった。
 ▼ただ、生乳生産の減少傾向に変わりはなく、3月からの牛乳価格の値上げと長引く景気低迷を背景に、牛乳から小売価格が安い成分調整牛乳へと消費が移行したとみられる。バターと脱脂粉乳の生産量も3月から増加。このままでは成分調整牛乳の副産物である生クリーム在庫も積み増して需給が緩む懸念がある。
 ▼配合飼料価格の高騰などを受け危機に陥った酪農経営は、今回の乳価引き上げで、ようやく建て直しが見通せる状況となった。牛乳消費の減少が続けば、生乳需給が不安定になるだけでなく、今後の乳価交渉で引き下げ圧力が強まる心配もある。
 ▼牛乳の消費拡大を図ろうと、酪農・乳業団体は1日の「牛乳の日」を起点に6月を「牛乳月間」とし、全国的な販売促進活動を展開中だ。乳業メーカーは、工場見学会や牛乳乳製品を使った料理などのセミナーを開催。地域交流牧場全国連絡会に加盟する約300の牧場は、地域住民に牧場を開放するオープンファームデイ活動に取り組む。
 ▼2008年度食育白書によると、食生活に問題があるとの回答が約4割を占める。特に20~30歳代男性の朝食欠食率は3割で改善が進んでいない。牛乳は小中学校の給食で親しんでいるはずだが、若年層の消費が少ないという。
 ▼牛乳を加えた食事メニューは、必要な栄養素を安価にバランスよく摂取できるとの研究報告もある。簡単なレシピなど若年層が実践しやすい材料の提供など、牛乳月間を酪農や牛乳に親しみを持ってもらう機会としたい。

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