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今週のヘッドライン: 2009年7月アーカイブ

090722_01.jpg 奈良県明日香村の農事組合法人「一穀あすか」は、基盤整備後に耕作放棄された農地3ヘクタールを再生し、観光農園や農業体験に取り組む。経営内容が異なる12人のメンバーは、それぞれの技術を生かし、ブルーベリーやブドウ、シイタケなどを栽培。就農希望者の支援も活動の目的で、昨年は1人を雇用した。長い歴史を持つ明日香村の未来を見据え、農地や景観の保全に邁進〈まいしん〉している。

<写真=園児がブルーベリーを摘み取るのを笑顔で見る西本さん(左)と森本さん>


耕作放棄地再生しブルーベリー農園や農業体験
090722_02.jpg 「子供たちが来るとにぎわいがある。将来は地元に残り、集落を守ってほしい」と話す、一穀あすかの西本泰雄代表(76)は、橘地区の9棟のハウス(50アール)でトマトやイチゴを栽培する。
 一穀あすかでは毎年、地元の幼稚園児を招き、ブルーベリーなどの収穫体験を行う。大学生や若い女性などを対象にしたアワやキビ、米など五穀の栽培体験にも取り組む。
 橘地区では、2年ほど耕作されなかった高台の畑を、村からの助成を受けて整備。観光客が減る夏季に人を呼ぶため、2006年にブルーベリー700株を植えた。農地は、明日香村地域振興公社を通じて地主7人から借りている。
 事務局長の森本吉秀さん(53)=水稲40アール=は「地主も負担し、多額の補助金を使って基盤整備した農地が荒れている。まず、そこからなんとかしたかった」と説明する。
 観光農園は、手間のかかる収穫作業を省けるのがメリット。園地の草刈りや受付はメンバー全員で協力する。7月上旬から8月下旬までオープンし、県内や近隣府県の家族連れや女性を中心に、昨年は1200人が訪れた。価格は大人800円(食べ放題・時間無制限)だ。
 村の西部にある真弓地区では、高さ約15メートルの竹やぶになった圃場があり、一穀あすかが06年に竹を切り、重機で抜根し、農地を再生した。

<写真=ブドウに袋をかける窪田さん(左)と難波晶弘さん>

○農業共済新聞1面より

 農林水産省の「中山間地域等直接支払制度等検討プロジェクトチーム」(本部長=江藤拓農林水産大臣政務官)は14日、今年度で第2期対策が終了する中山間地域等直接支払制度について、「2010年度以降も基本的な仕組みを維持しつつ、継続する」方針を決めた。1ヘクタールの団地要件を緩和して交付対象を広げるとともに、広域的な活動が可能となる仕組みづくりを検討し、小規模集落や高齢農家が参加しやすい制度としていく。第2期対策(05~09年度)では、約7万6千ヘクタールの農用地減少を防止したと推計され、継続を望む声が強かった。一方で農家の高齢化などから、第2期対策への移行に伴い約4千の集落協定(約2万ヘクタール)が廃止され、検討課題となっていた。

(2面・総合)

 農林水産省は15日、内閣府の農政改革特命チーム会合で、担い手の育成・確保や農業所得増大に向けた考え方など、これまでの議論を整理した「農政改革の検討状況」を示した。8月末に提出する2010年度政府予算の概算要求や、来年3月に策定する新たな食料・農業・農村基本計画に盛り込む。
 食料自給率の目標設定では、政策目標としての国民理解を促すため、農業生産の構成要素である農地・人・技術との関係を明確にした指標を開発。今年秋までに案を提示するとした。
 通常国会で成立した改正農地法などに基づき「平成の農地改革」を進め、賃借による農地利用と面的集積を促進する。小規模農家から経営発展した優良事例を周知するなど参入した担い手を「育て支える」支援手法の整備に取り組む。

(2面・総合)

090722_03.jpg 中央畜産会などが主催する畜産資材の展示会「国際養鶏養豚総合展2009」が8~10日、愛知県名古屋市で開かれた。併催された養鶏・養豚特別講演会では、東京農業大学農学部の信岡誠治准教授が「飼料米の家畜への給与と超多収低コスト栽培への秘訣〈ひけつ〉」をテーマに講演した。
 信岡准教授は「飼料米は、鶏や豚だけでなく、肉用牛や乳牛、馬、羊などすべての家畜で利用可能」と話した。
 東京農業大学農学部畜産マネジメント研究室では、飼料米向け品種「モミロマン」などを栽培し、鶏や豚への給与試験を行っている。講演では、家畜への飼料米の給与方法や、飼料米の生産費を10アール当たり3万~4万円に抑えるポイントを紹介した。
 豚への飼料米給与は、もみ米や玄米を粉砕・圧ぺんし、肥育後期に10~30%与えている。飼料米を与えることで豚肉の脂肪が白くなるほか、肉に含まれるオレイン酸の割合が高くなり、リノール酸の割合が低下する。
 「オレイン酸が増え、リノール酸が減ることで、人の健康維持につながる脂肪酸バランスになる。配合飼料を用いた場合に比べてすっきりした味になる」と説明した。
 牛への飼料米給与は、もみ米や玄米を粉砕、圧ぺんし、乳用牛では全期で数%~25%、肉用牛では肥育中期と肥育後期に数%~25%給餌できるとした。

<写真:特別講演会の会場には養豚農家や資材メーカーなどが参集。信岡准教授は、「資料米は家畜の餌だと割り切って栽培する農家の意識改革も必要」と強調した>

(11面・営農技術)

090722_04.jpg 福井県園芸試験場(美浜町)では、塩漬けした梅の天日干し作業の効率化を図るため、「白干梅整列板」を考案した(実用新案登録済み)。従来の手作業と比較すると作業時間が半分になり、果実同士の接触を防ぐことで白干し梅の高品質化につながっている。
 白干し梅は、塩を加えて漬け込んだ後、天日干し・選別・たる詰めを経て出荷される。調整工程では、軟らかくて傷つきやすい果実を扱うため、機械の利用が難しく手作業で一つずつトレー(せいろ)の上に並べていた。また、果実同士が接触したまま天日干しを行うと、色むらが生じて品質低下につながる。
 考案した整列板は、58センチ×58センチで厚さ12ミリの合板に、L~3Lの果実に合わせた直径35~45ミリの穴を多数開けた。2Lサイズ用の場合は、40ミリの穴が169個開いている。耐久性を向上させるためにFRP塗装を施し、外側から数センチのところには、作業性を考慮して2個の取っ手金具を付けた。

<写真:「整列板を使うと、白干し梅の品質が向上する」と中川主任研究員>

(11面・営農技術)

090722_05.jpg090722_06.jpg 【神奈川支局】ヨーロッパ系トマトの普及に、秦野市菩提のGreen Farm Imai(今井新一代表=59歳)の今井寛之さん(32)が力を注いでいる。昨年4月から大手スーパーに出荷を始め、専用コーナーで販売。珍しい色や形が消費者に好評で、青果コーナーの売り上げにも貢献している。
 今井さん方では施設2棟・約1100坪で「桃太郎」系、「王様トマト」系の大玉トマトをメーンにミニトマト、ミディトマト、ヨーロッパ系のトマトなどを年間約20種類栽培し周年出荷する。大手スーパーに7割、3割は直売とJAはだの「じばさんず」やレストラン・ホテルなどに出荷。労働力は本人と父・新一さん(59)、母・明美さん(56)、妻・絵里奈さん(31)のほか、収穫や植え替えの忙しい時期にパートを5~6人雇う。 ヨーロッパ系のトマトは8年前に導入した。「色や形がさまざまで独特の風味や食味を持っています。ヨーロッパでは生食はもちろん、加熱調理やスープなどのだし的な使い方もします。トマトの新しい楽しみ方を提案したいと思いました」と寛之さん。
090722_07.jpg 大手スーパーではGreenFarmImaiの専用コーナーで販売。珍しい形や色のヨーロッパ系の品種は消費者を引きつけるという。売り場ではポップを活用し、それぞれの品種の名前、特徴、簡単な食べ方を紹介している。
 寛之さんは「大手スーパーから関東約60店舗全店への納入をお願いされています。それに対応するため、山梨での規模拡大を予定しています」と話している。

<写真左:桃太郎系の大玉トマトを収穫する寛之さん。完熟で収穫する 写真右上:大手スーパーのGreen Farm Imaiの専用コーナー 写真右下:「ベオランジュ」や「ベルリッチオ」などのヨーロッパ系品種>

090722_08.jpg 【秋田支局】「動力散布機を背負っての追肥散布はきついが、この機械なら3分の1ほどの時間で終了できる」と話す、大仙市堀見内の進藤耕助さん(58歳=水稲4.5ヘクタール、麦1.5ヘクタール)は、水田用の自走式肥料散布機を考案し、追肥作業に役立てている。
 この機械は、歩行用の田植機に動力散布機をセットしたもの。水を張った水田での追肥作業の軽減を狙って作った。今年から本格的に麦と水稲の肥料散布に使用している。「組み立ては、動力散布機のセット位置や散布ホースの角度などに苦労した」と進藤さんは話す。
 この機械の特徴は、走行や散布を1人で操作できること。また、運搬台を設置していることから、肥料を積み込むことで大きな水田でも継続して作業ができる。「機械が軽量で、ぬかる水田でも大丈夫。散布ホースの角度は約60度。2本のホースで粒剤肥料を10間まで飛散させ進むことが可能」と説明する。

<写真:春の麦の追肥をする進藤さん。この機械で今年は麦2回、水稲1回の追肥散布を行った>

090722_09.jpg 【長崎支局】パッションフルーツ(品種=ルビースター)の栽培に、平戸市田平町の岩崎圭司さん(72)が取り組んでいる。昨年3月にハウス50坪に苗を植え、6千個ほどを収穫。今年からは収穫期間を長くしようと、露地でも手掛け始めた。無農薬で栽培し、昨年は春と秋に収穫したという。
 露地では越冬が課題だ。収穫後、根元から茎を多少残し伐採しトンネルを張るか、苗は挿し木で増やすことができるので、毎年定植するかなどを考えている。
 果実は直売所などに出荷。ワインやカステラなどに加工できないかと、酒造会社や菓子の製造業者などに試作を依頼するなど利用法を模索している。岩崎さんは「収益や販路、栽培体系などのめどがついたら、たくさんの人に作ってもらえるよう勧めたい」と話す。

<写真:「パッションフルーツの加工品を模索しています」と岩崎さん>

090722_10.jpg 【愛媛支局】久万高原町の久万農業公園「アグリピア」(同町下畑野川)では、これまで焼却処分していた杉皮の有効利用を図るため、「杉皮養液栽培」を導入している。
 杉皮養液栽培とは、土を使わず、杉皮と養液を入れたベッドで栽培する方法。杉皮には抗菌作用があるため、減農薬で栽培している。
 アグリピアではハウス4棟(約18アール)で、イチゴや「どんぐりトマト」(品種=サカタ種苗のミニトマト「アイコ」)を栽培。センター長の高岡啓一さん(59)は、「この栽培方法は地域資源循環型ですね」と話す。
 「杉皮養液栽培は、比較的容易に栽培できるので、新規就農者への推進・指導を行いたい。林業を含めたさまざまな分野からの参入と連携を可能にする、将来性のある技術として大きな期待している」と高岡さんは意欲を見せる。

<写真:杉皮を敷き詰めた栽培ベッド>

 【青森支局】「喜ぶお客さんの顔が見たいから、観光リンゴ園に力を入れている」と話す、青森市田茂木野の川村忠則さん(56)は、8月1日からの開園に向けて、仕上げ摘果、袋掛けなどを進めている。
 川村さんは、妻の富子さん(57)と3園地(借地含む)3.5ヘクタールのリンゴ園を経営。「11月中旬まで切れ目なく収穫できるように」と栽培品種は「夏みどり」などの早生種から経営の8割を占める「ふじ」まで10品種以上だ。さらに、サクランボ、モモ、ナシ、クリなども植えている。経営には花栽培(ハウス10アール)を担当する息子の仁さん(27)、美紀さん(29)夫妻も手伝う。
 川村さんは「多角化は経営安定につながる。将来はリンゴと花を組み合わせた面白い経営ができるのでは」と期待している。

090722_11.jpg 【山形支局】料理の「つまもの」として木々の葉を収穫、出荷する大江町の有志グループ「おおえ葉っぱの会」(菊地勝也会長=62歳)は結成から1年、会員たちは生き生きと活動している。
 同会の登録会員は20人だが、ほとんどが夫妻で活動しているので、実際は40人近い。多くは60~70歳代の定年退職した人や主婦で、最高齢は渡辺久さんの81歳だ。
 会員の住所で4地区のグループに分け、それぞれの班長宅にパック詰めした葉を持参。契約する運送会社が4カ所を回り集荷し、東京築地の青果市場に出荷する。昨年度は約1万4千パック、約150種類の葉や花をつまものとして出荷した。
 菊地会長は「みんなが生きがいを感じてやっている」と話す。
 会では、品質と種類の豊富さを重視し、新たに苗木を購入、栽培・管理にも力を入れる。販路の拡大を目指し、インターネットシステムも整える予定だ。

<写真:パック詰めされた商品>

 【千葉支局】野田市の知久久利子さん(39)は、夫・拓生さん(38)と成牛150頭を飼育する酪農家。知久さんは「牛乳は飲むだけでなくチーズやバター、クリームと形を変えておいしくなるのが魅力」と話し、家族とともにチーズ工房の稼働を目指している。
 今年3月にチーズ作りの講習会に参加した知久さん。「講習会を受けてからチーズ作りに自信が持てるようになった」と話す。今では、モッツァレラチーズやストリングチーズ(さけるチーズ)など3種類のチーズを作っている。
 工房では、チーズを使ったデザートも作りたいという。試作品は家族や知人に食べてもらい意見を聞いている。「チーズ工房の完成が楽しみ。秋の稼働を目指します」と、知久さんは夢を膨らませる。

 ▼「生物多様性の持続可能な利用」などを課題とした生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が、来年10月に名古屋市で開かれる。政府は、里地里山を自然共生社会のモデルとする「SATOYAMAイニシアティブ」を提案し、世界に発信する方針だ。
 ▼里地里山は、集落と雑木林、農地、ため池などで構成。人間は、農産物を生産するほか、山菜や魚などの食料、たきぎなどの燃料を得てきた。生物は、季節によって田んぼと水路を行き来して繁殖などの行動をする。人間の活動が自然生態系が一体となり、多様な動植物が生息する環境が形成・維持されてきた。
 ▼雑木林や農地を主体とした里地里山の面積は国土の4割に及び、絶滅の恐れがある希少種も多く生息する。2008年度生物多様性白書は、希少種が集中して分布する地域の5割以上が里地里山に含まれると報告した。しかし、生活や農業が様変わりして雑木林の手入れが行き届かなくなり、水田の耕作放棄が進む中で、生物が生息・生育する環境の質の低下が懸念されている。
 ▼ただ、雑木林を管理してたきぎや炭を得る生活に戻るのは簡単ではない。作業効率や規模拡大を優先して基盤整備してきた水路や水田を、生物の生息に適した環境条件に戻すのも、経費がかかるだけでなく、定期的な泥上げなど維持・管理の負担が伴う。
 ▼環境保全型農業など生物多様性に配慮して生産した農産物を、消費者の購買行動で支える新たな仕組みが「生きものマーク」の活用だ。一般の農産物と比べ割高であっても、消費者が内容を理解していれば、マークの付いた商品の購入を通じて活動を後押しできる利点がある。
 ▼滋賀県が進めてきた「環境こだわり農産物」認証は、実施面積が4年で4倍になるなど支持が広がっている。農林水産省も本年度予算でモデル事業を始めた。里地里山の生物多様性保全には、農業に活気を取り戻す仕掛けが重要なのだ。

090716_01.jpg 山間高冷地向けの水稲新品種を軸にした、米の地域ブランド確立に、宮城県七ヶ宿町の「七ヶ宿源流米ネットワーク」(梅津賢一代表=51歳、9人)が取り組んでいる。この新品種は、食味が良く、耐冷・耐病性に優れた「やまのしずく」。「七ヶ宿源流米」と名付けた米は、農薬や化学肥料の使用を減らし、食味向上のため水田へのカキ殻散布を義務づけるなど、独自の基準で栽培されている。今年はやまのしずくを15㌶作付け、本格的に販売を始める予定だ。梅津代表は「この町から仙台市などに水を供給している。環境に配慮した米作りで水源地を守りながら、基幹産業の農業を続けていきたい」と話す。

<写真=ネットワークのメンバー。後にはやまのしずくのPR看板>

食味向上へ独自の栽培基準

090716_02.jpg 町の水稲作付面積は約120ヘクタールで、そのうち「ひとめぼれ」が約7割を占める。「やまのしずく」は、山間高冷地向けの良食味品種として、2007年に宮城県古川農業試験場が育成した。七ヶ宿町は、冷害常襲地であり、普及見込み地域となっている。
 七ヶ宿源流米ネットワークは08年、やまのしずくの登場に合わせて、農家6人で結成。今年は専業農家7人、兼業農家2人の9人で、やまのしずくとひとめぼれを、七ヶ宿源流米として独自の基準で栽培する。
 栽培基準のポイントは3点。一つは、特別栽培米と同等の栽培方法だ。県の慣行栽培に比べ、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料のチッ素成分量を50%以下としている。
 二つ目は、木炭を水路に入れ、沢の水をろ過してから水田に使う。木炭を通さなくても、濁りを示す濁度は水道法で定める水質基準の10分の1以下(0.12度)と十分きれいだが、PR効果も考えてのことだ。
 さらに土壌改良材として粉砕したカキ殻を田植え前に散布。散布量は、10アール当たり100キロだ。
 今後の課題は販路の確保だ。町内の道の駅や直売所などでの直売を想定し、昨年、みやぎ蔵王七ヶ宿スキー場でやまのしずくの発表会・試食会を開催。試食会では従来品種の「こころまち」に比べ、「粘りがあっておいしい」などの声が聞かれたという。米業者からの商談の話もあるが、梅津代表は「今年がデビューの年なので、流通先などを慎重に考えたい」と話している。
<写真=ネットに入れた木炭を確認する梅津代表。水路に置き水を浄化する>

○農業共済新聞1面より

 農林水産省は7日、農業者と消費者を対象にした米政策・水田農業政策に関するアンケート結果を公表した。生産調整見直しに対する農業者の回答は「緩和すべき」と「強化すべき」で意見が二分した。水田農業が主体の地域や大規模層ほど「強化」を求める回答が多く、米価安定を重視する傾向が強い。生産調整見直しのポイントは、ともに経営安定対策と転作助成金を挙げる回答が多数を占めた。また、10年後の地域の水田農業の状況は「わからない」が多く、将来に不安を抱く農業者の現状が浮き彫りになった。井出道雄農林水産事務次官は9日、記者会見で「米政策見直しでは、経営安定対策と転作助成金を重視する傾向が顕著だ。この結果も踏まえて具体的な改善方向を検討し、整合性の取れた政策体系を構築したい」と述べている。

(2面・総合)

 農林水産省は6日、中山間地域等直接支払制度の第2期対策(2005~09年度)で、約7万6千ヘクタールの農用地の減少を防止できたとの推計結果を明らかにした。10年度からの対策を検討している中山間地域等総合対策検討会で報告した。群馬県や兵庫県の耕地面積に匹敵する規模で、多面的機能の評価額を試算すると、1587億円に上る。
 減少が防止できたと想定される農用地面積は、協定農用地面積(08年度)をもとに試算した。そのうち、約3万3千ヘクタールは耕作放棄を未然に防止したと推計した。約3万3千ヘクタールを別途対策で復旧した場合の経費は約198億~594億円という。
 多面的機能の評価額は日本学術会議の答申をもとに推計。保健休養・安らぎ機能が600億円、洪水防止機能が466億円、水源の涵養〈かんよう〉機能が347億円、土砂崩壊防止機能97億円などとなった。
 検討会での議論では、耕作放棄地の発生防止や多面的機能の確保などへの効果を評価し、現行対策の基本的な枠組みは継続するべきとの意見が大半を占める。一方で、高齢化の進行が特に著しく、制度に取り組む集落の減少や耕作放棄地の発生が懸念されるなど課題を抱える。次期対策の基本的な方向性は、8月上旬をめどにまとめる方針。

(2面・総合)

090716_03.jpg 産学官が連携し、施設園芸の飛躍的な発展を目指す「スーパーホルトプロジェクト協議会」(事務局=日本施設園芸協会ほか)は7日、東京都中央区で総会を開催。併せて「植物工場の将来展望」をテーマに、千葉大学大学院の後藤英司教授が講演した。
 栽培条件をそろえることが可能な完全人工光型は、生産した野菜の栄養成分がほぼ均一になるので、表示を積極的に行うことが可能だ。
 機能性成分として知られるアントシアニンの含有量もコントロールできる。リーフレタスの場合、発芽から成熟期は赤色光を多く含む光で光合成を促進する。収穫直前に青色光を多く含む光でアントシアニンを増やす。必要な時期だけピンポイントに生育環境を制御できる。
 技術を応用すれば、抗菌作用や解毒作用、生活習慣病の予防効果などを持つ機能性成分を多く含む野菜を生産し、どのような機能性成分が入っているかの表示が可能になる。

<写真:講演する後藤英司教授>

(2面・総合)

090716_04.jpg 独立行政法人農畜産業振興機構と農林水産省は2日、東京都港区で生産者が業務用野菜を展示し、外食業者などの実需者にPRする「加工・業務用野菜産地と実需者との交流会」を開いた。食の安全・安心志向の中、加工・業務用野菜での国産ニーズの高まりに対応した。しかし、産地では、通年出荷などへの対応が難しいなどの課題もある。
 交流会は、国産食材を求める中食・外食業者などの実需者を招いて生産者やJAが各ブースで農産物をPRし、会場の商談スペースで取引交渉を行った。今年で4年目を迎える。
 「市場出荷が柱だが、加工・業務用も販路の一つとして有望」とは、三重県名張市の農事組合法人「忍の里」(社員5人)の山本晃代表理事。有機栽培のミズナなどを出展した。
 山本代表理事は「市場とは異なる規格なので販売できる農産物の規格の幅が広がる」とメリットを説明する。
 千葉県山武市の農事組合法人「さんぶ野菜ネットワーク」(会員48人)は、化成肥料を使わず緑肥や堆肥を投入して育てたニンジンを出展。
 加工・業務用の単価は直販に比べて安価だが、直販よりも出荷量を確保できる選別基準を設け、所得を確保しているという。
 農畜産業振興機構は「交流会に参加する実需者が増えていて、国産食材への関心は高まっている」(野菜事業部)としている。

<写真:交流会には、中食・外食業者など約620人が訪れた>

(10面・流通)

 農研機構主催の「地球温暖化国際シンポジウム」が先ごろ都内で開かれ、温暖化が農業・食料に与える影響や、対応技術の開発状況などが報告された。温暖化の影響は既に農作物の生育障害や品質低下、家畜の生産性低下や事故増加などに現れている。水稲の高温障害軽減技術や、国内での発生拡大が心配されるカンキツグリーニング病への対策などが紹介された。

▽水稲高温障害軽減へ
 九州沖縄農業研究センター・暖地温暖化研究チームの森田敏上席研究員は、水稲の高温障害を軽減する対策技術を二つの視点から体系的に整理した。
 一つは開花期や登熟期の高温をどう避けるか。もう一つは高温にあらかじめ備えた対処だ。
 高温耐性で期待の大きい新品種に「にこまる」がある。九州の一部県では奨励品種に指定。通常品種に比べ茎内に炭水化物をたくさん貯蔵する性質があり、日照が少なくて気温の高い最近の気象条件でも、良好な登熟を確保できるという。

▽カンキツグリーニング病対策
 果樹研究所・カンキツグリーニング病研究チームの岩波徹チーム長は、温暖化に伴い感染範囲が拡大するカンキツグリーニング病の問題を報告した。
 発生が少ない地域では、ミカンキジラミに効果の高い有機リン剤による防除や、発病株の早期発見・伐採による侵入防止対策が重要だ。広くまん延した沖縄本島などの地域は、無病株への改植と薬剤防除による再感染防止で発病を最小限に抑え、被害を防ぐ対応が行われている。

▽アルボウイルス感染症予防
 流産や死産、異常産など牛に深刻な被害を出すアルボウイルス感染症の問題を報告したのは、動物衛生研究所九州支所の環境・常在疾病研究チームの梁瀬徹主任研究員。
 ワクチン接種の普及で発生は減ったが、流行地域は拡大傾向にある。
 今後、ウイルスを持ったヌカカの飛来源や移動ルートを明らかにし、アルボウイルス感染症の発生予察や流行リスク解析に生かし、効果的に予防、流行拡大の阻止に役立てたいとした。

(11面・営農技術)

090716_05.jpg 【山形支局】庄内町狩川荒鍋地区の依田すず子さん(72)は、一般的にはあまり流通していない珍しい野菜「山くらげ」を生産し、地元の産直施設へ出荷している。茎を食べる野菜で、シャキシャキとした食感で癖がなく、調理方法もさまざま楽しめるため、購入者にはリピーターも多いという。
 山くらげは中国が原産で、現在、日本にも乾燥させたものが多く輸入され、主に中華料理に使われている。乾燥したものを調理すると、コリコリとしてクラゲの食感に似ていることから、この名が付いたという。
 山菜と思われがちだが、生のものは「ステムレタス」とも呼ばれ、レタスの一種だ。ステムレタスは、茎がまっすぐに伸びた状態で葉が付き、茎の太さは5㌢ほど。茎の皮を厚くむいて食べる。
 栽培は、夫の昭一さん(72)と二人で行う。6月中旬から7月下旬まで収穫できるように、播種は2回に分けて実施。「暑すぎたり、寒すぎたりすると茎が割れてくるので、この時期が栽培に適しているようです」と依田さんは話す。
 収穫した山くらげは、一本一本袋詰めにして出荷。食べ方も紹介している。サラダや漬物、いため物や煮物など、広く利用できるという。
 依田さんは「堆肥を多くして、化学肥料の使用を抑えて栽培しています。これからも、新鮮で安心して食べられる野菜をお客さんに届けていきたい」と話している。

<写真:山くらげを収穫する依田さん。1アールほど栽培している>

090716_06.jpg 【宮崎支局】西諸県地区では、ここ数年、若者の異業種交流が盛んに行われている。その中で、和菓子「緑茶の水まんじゅう」が生まれた。
 これは小林市SAP会議の瀬戸山貴行〈せとやまたかゆき〉さん(29歳、小林市細野、茶4.7ヘクタール)と小林市商工会青年部の内之倉豊〈うちのくらゆたか〉さん(44歳、小林市、三八堂〈みはちどう〉製菓代表)が共同開発したものだ。
 「夏にぴったりの涼しげな和菓子ができました」と満足そうに話す瀬戸山さん。共同で開発に携わった内之倉さんは、「緑茶独特のグリーンの透明感をうまく表現できた」と納得する。
 原料は、瀬戸山さんの茶園で、5月上旬に収穫した一番茶を使う。内之倉さんが作るくず粉を使った寒天状の生地に、この茶葉の粉末を混ぜ合わせることで、つるりとした食感と緑茶風味が同時に味わえるという。

<写真:瀬戸山貴行さん・内之倉豊さん>

090716_07.jpg 【大阪支局】10歳でジュニアベジタブル&フルーツマイスター(野菜ソムリエ)に認定された箕面市石丸の中なか家や実み華かさん(11)は、「将来も野菜にかかわっていきたい」と頼もしい。
 中家さん方は兼業農家で、実華さんは、小さいころから野菜に興味を持ち、よく手伝いをしていたという。父親が見せてくれた農業雑誌で野菜ソムリエを知り、母親の浄子〈きよこ〉さんと認定取得に向けて、野菜の種類や旬のこと、保存方法や栄養価、食べ方など猛勉強したという。
 10歳の野菜ソムリエ誕生とあって新聞や雑誌、テレビの取材が多いが、日曜日などに出荷先の「石丸ヘルシーファーム朝市」に行き、ポップなどで野菜の食べ方などを紹介している。
 「キュウリだって曲がっているのが当たり前、味はいっしょ、見た目よりも中身です」と野菜ソムリエらしく話す実華さんだ。

<写真:浄子さんと実華さん。「2人で頑張りました」と話す>

090716_08.jpg 【秋田支局】垂直仕立てで栽培されたカボチャの収穫が,横手市大雄地区の同市実験農場(加藤正一場長)で行われている。
 このカボチャは「栗かぼちゃ」系統の「クリリン」という品種。4月上旬に播種し、1株2果取りとして栽培した。1本仕立ての太いつるにぶら下がったカボチャは、立ったままで作業でき、労力の軽減につながっている。「体への負担が軽減できたほか、防除の回数も減らせた」と加藤場長は話す。
 垂直仕立ては、面積当たりの収量増を狙った方法。3.5間×30間のハウス内には50株植えで4畝、計200株を植えた。面積当たりで慣行栽培の3倍の収量が見込めるほか、1カ月ほど早く収穫できるメリットもあるという。

<写真:垂直仕立てでは、収量も多く高品質なものができた>

090716_09.jpg 【埼玉支局】「書いて残すことが好きなのかなあ」と話す加須市花崎の島崎庄司さん(72)はこのほど、280種類の雑草を独自に収録した「加須市の雑草・あしもと」(フルカラー、290ページ)を自費出版した。
 1998年春、自宅の庭にある雑草から観察記録をスタート。島崎さんは「庭だけで20種類近くもあり、想像していた数より、種類の多さに気づいた」と振り返る。
 「地上に出ている雑草の長さに対し、土の中にはその3倍の長さの根があるんですよ」と島崎さん。「この本を通じ、いかに足元が大切であるかを感じてほしい」と話す。

<写真:本を手に笑顔の島崎さん>

090716_10.jpg
 【岩手支局】高原野菜を栽培する遠野市青笹町の菊池正樹さん(36)は、消費者の国産志向を考慮し、国内生産量が少ないモリアザミを、今年から導入している。
 菊池さんは、新鮮で健康な土を追い求めて、遠野市と釜石市、大槌町の境界を占める広大な牧場を少しずつ開墾。現在は、ダイコン20ヘクタールとカブ7ヘクタール、モリアザミ50アールを有機栽培している。
 「山ゴボウ」の名で知られるモリアザミは、国内で流通している9割が中国産という。モリアザミの栽培を始めた理由について、菊池さんは「消費者は国産のものを求めている」と話す。
 モリアザミは、加工して販売する予定だ。「JAや大手スーパーと協力し遠野の特産として販売していきたい」と菊池さんは話している。

<写真:牧場を開墾した菊池さん>

 【愛媛支局】高齢化や耕作者の不在で、愛南町では、耕作放棄地が農地の43.3%を占める。
 町内の農業関係組織で構成する南宇和作物園芸部会(会長=高木正夫さん、ほか37人)では、耕作放棄地を利用して、タケノコが収穫できる竹園を整備。周年収穫技術を研究している。町内外の消費者に、広くタケノコ掘りを楽しんでもらうのが目的だ。
 一般にタケノコの収穫は春だが、収穫時期の違う数種類の竹を栽培することで周年収穫を目指す。今年春には、夏季に収穫できる台湾原産の「緑竹」を導入。有志農家の協力を得て栽培の可能性を検討している。
 栽培農家の一人、赤松厚志さん(65)は、「地元の民宿などにも出荷して、地産地消に貢献できれば」と話す。

 ▼果実の価格形成に、量販店の意向が反映されている実態が、農林水産省の食料・農業・農村政策審議会果樹部会で報告された。作柄など産地との情報交換がベースになるが、最終的には量販店が数量や価格を含めた販売計画を決定。仲卸は、量販店の予定価格・数量を基に卸と交渉し、取引価格と数量を調整する。
 ▼産地の序列化が進み、量販店の要望に応じきれない小さな産地ほど卸売単価は安い。委員の鈴木宣弘東大大学院教授は「力の不均衡で産地の取り分が減り、農業所得の減少につながっている。何らかの是正策が必要」と指摘した。
 ▼日本農業法人協会が会員に実施した調査では、2007~08年に高騰した資材費などのコストを「全額販売価格に転嫁できた」との回答は12.9%にすぎず、「増加分に満たないが転嫁できた」を加えても33.9%だった。一方で「転嫁できない」との回答は50.1%を占めた。
 ▼価格転嫁できない理由は「取引先に価格決定権がある」がトップで43.7%。「同業者との横並びを基準としているため」も17.4%あり、顧客と直接取引する割合が高い農業法人も状況変化に応じた価格交渉は難しいのが現実だ。
 ▼先ごろ大手量販店の3~5月期決算が公表され、低価格競争が激化する中で売上高や営業利益が大きく落ち込んだと報じられた。値下げで利幅が薄くなり、来客数や売り上げ額が増えても減益となっている。コンビニエンスストアも低価格弁当や総菜の販売に乗りだし、消耗戦は当面続く見通しだ。
 ▼長引く不況を背景に、小売り側からの農産物価格の引き下げ圧力は強まっている。しかし、目先の利益や競争を優先する消耗戦のツケを農業に負わせることはやめてほしい。疲弊を進めるだけの競争ではなく、持続的な生産と流通を実現する仕組みづくりを真剣に考えたい。

090708_01.jpg 山形県最上町の「最上町アスパラガス生産協議会」(会員100人)は、2003年の冷害をきっかけに水稲と並んで経営を支える品目として露地アスパラガスを導入。全員がエコファーマーの認定を受け、耕畜連携での環境保全型農業を実践しながら経営安定につなげている。JAを通じた共選出荷でのロット数の確保と高品質化で安定販売を実現した。米価が低迷する中、町も転作品目に指定して栽培面積の拡大を支援している。

〈写真=会員に全期立茎栽培法で残す若芽の選び方を説明する斉藤さん(右)〉


全員がエコファーマーの認定

 「新興産地だからこそ品質や規格の統一にプラスできる付加価値が必要」と話すのは、協議会の会長を務める斉藤菊雄さん(62)。エコファーマーの認定は、環境保全や消費者の安全・安心志向に応え、北海道など他産地との差別化を図るため取り組んだ。昨年は、明渠〈めいきょ〉などの排水対策を施した転作田33ヘクタールでアスパラガスを露地栽培し、207トンを出荷した。
 アスパラガスは、全量をJA新庄もがみに出荷して共選販売する。JAでは、茎の曲がりなどを画像データを用いて選別する「アスパラ画像処理選別機」を新たに導入した。
 東京都・築地市場の卸売会社東京シティ青果は「品質・規格が統一されていて引き合いはある。新しい産地だが、福島県など大産地に準じた価格で取引されている」(青果物担当者)と評価する。
 栽培では、県最上総合支庁産地研究室が確立した「全期立茎〈りっけい〉栽培法」を導入する。これは、養生株をアーチパイプに誘引する栽培法。パイプは、積雪量が多い地域の気候に対応するため、耐雪性(耐久性)を高めている。
 収穫時期は4月下旬~9月中旬で、収量は10アール当たり約1トン。収穫しながら1平方メートル当たり10本の若芽を養成茎として残し、栽培が終わるまで誘引する。
090708_02.jpg また、メーカーとタイアップし、協議会のオリジナル肥料「グリーンスター」を開発して、全員が使用。日ごろの栽培管理は、会員の中から選出された栽培アドバイザーとJAの営農指導員、普及所の職員が圃場を巡回し、生育状況などを確認する。
 町の阿部正春農林課農林係主査は「高い収益が見込めるアスパラガスは、転作品目に指定したこともあり会員数は年々増えている」と話す。
〈写真=品種は県が育成した「グリーンタワー」〉

 農林水産省は6月30日、集落営農実態調査結果を公表した。44%の組織が前年に比べ総収入が「増加した」と回答。一方、資材価格高騰などの影響で生産費用が増えた組織も38%に上った。法人化した組織が任意組織よりも総収入が高い傾向となり、経営規模拡大や作業分担による労働時間の減少など収益向上に向けた取り組みを行っている割合も多い。農林水産省では「法人の方が機動的で効率化などを図りやすい傾向にある」と評価する。ただ、39%の組織が後継者を確保できていない状況もあり、課題となっている。

(2面・総合)

 農林水産省は6月30日、集落営農実態調査結果を公表した。44%の組織が前年に比べ総収入が「増加した」と回答。一方、資材価格高騰などの影響で生産費用が増えた組織も38%に上った。法人化した組織が任意組織よりも総収入が高い傾向となり、経営規模拡大や作業分担による労働時間の減少など収益向上に向けた取り組みを行っている割合も多い。農林水産省では「法人の方が機動的で効率化などを図りやすい傾向にある」と評価する。ただ、39%の組織が後継者を確保できていない状況もあり、課題となっている。

(2面・総合)

 JA全農は6月29日、2009肥料年度(09年7月~10年5月)の肥料価格(対県渡しベース)について、多くの品目で値下げをすると発表した。取扱品目の全体として値下げになるのは6年ぶり。
 基準銘柄となる高度化成肥料(一般)の値下げ幅は23.94%。ただし、これは前年値上げ幅の約6割に相当し、高止まりしている状況だ。その他の複合肥料の値下げ幅は、緩効性の高度化成(機能)が24.56%、ヨルダン製のアラジンは24.85%、普通化成は18.12%となった。
 単肥は値下げ幅が大きい順に、過リン酸石灰は24.30%、ヨウリンは20.98%、輸入尿素は14.71%、国産尿素は9.68%、塩化カリは8.66%の値下げとなる。硫安(大粒品)は据え置き。一方、有機肥料は値上げとなる。

(2面・総合)

090708_03.jpg 畜産農家女性で構成する「全国畜産縦断いきいきネットワーク」(事務局=中央畜産会)は6月30日、東京・虎ノ門で2009年度大会を開いた。130人ほどが参加し、日ごろの思いを発表する「2分間スピーチ」や農林水産省との意見交換会を行った。牛、豚、鶏など畜種を超えて仲間と交流し、飼料高騰や畜産物価格の下落など厳しい情勢を乗り切ろうと思いを新たにした。
 2分間スピーチは、13人が発表した。島根県の肉用牛繁殖農家・釣釜里恵子さんは、畜産仲間とのメール交換について「困ったことやその日の出来事をメールで伝え、元気をもらっています。やっぱり仲間はいいなと思います」と話した。

<写真:意見交換会では多くの意見や質問が発表された>


全国畜産縦断いきいきネットワーク会長 那須眞理子さん
 畜産情勢は厳しいが、現状が悪いので家から出ないのは、一番良くない。厳しい時こそ外に出て、さまざまな人と出会い、情報を得れば、良い発想が浮かびます。
 2005年に設立したいきいきネットワークの取り組みを機に、20県で「畜産女性の会」ができ、活動が広がっています。「今こそチャンス!国産の安心安全、食の未来!」をスローガンとして、それぞれが同じ意識を共有していきます。(談)

(3面・暮らし)

090708_04.jpg 北海道の空知中央NOSAI(空知中央農業共済組合、谷内章広組合長)では、麦作農家への経営・生産支援として、JA青年部員を対象にした麦の生育診断と栽培技術の講習を行っている。麦の品質・収量を向上させることがねらい。青年部員と普及センター、JAが立ち会い、生育ステージごとに各標本畑を巡回する。今後、地域農業の中心になる世代の農家との接点をつくる場にもなっている。
 標本畑は管内の4JAでそれぞれ2カ所ずつ。秋播き・春播き小麦が対象だ。青年部が立ち会う巡回は播種前から乳熟期の生育ステージごとに実施し、今年産は計8回。NOSAI職員が茎数、草丈、葉数、穂長などの計測と農家からの防除や施肥などの聞き取りを行い、その場で農家が普及センター職員からアドバイスを受ける。調査結果は終了後すぐに、NOSAI職員が整理して調査対象の農家にファクスで送る。
 「一人でも多くの部員に参加してもらえるように」と、調査日はJAから全部員にファクスで通知してもらう。昨年からは携帯電話のホームページでも調査日時や調査個所などを参照できるようにした。
 収穫後は農家や普及センター、JAとで検討会を開き、データの分析結果をもとに、翌年の作付けに向けた意見交換を行っている。

<写真:乳熟期を迎えたJAみねのぶ内の標本畑での調査。「収穫前の防除はいつがいいか」「どの農薬が適当か」などとJA青年部員から質問が出ていた>

(5面・NOSAI)

 農産物の輸出拡大に取り組む農林水産物等輸出促進全国協議会(事務局=農林水産省)は6月29日、都内で総会を開き、「農林水産物・食品の総合的な輸出戦略」を改訂した。2013年までに農林水産物の輸出額を1兆円規模にする目標達成に向け、特定重点品目と地域を設定し、支援事業を集中的に実施する。また、多くの国産食材の海外での認知度を高め輸出促進につなげるため、「世界が認める日本の食150」を公表している。
 輸出戦略の改訂のポイントは〈1〉農林漁業者などが一層輸出しやすい環境の整備〈2〉特定重点品目と地域の設定〈3〉意欲ある農林漁業者などに対するきめ細かな支援〈4〉日本食・食材の情報発信を進め、食材を活用する人材の育成を図る――など。特定重点品目と地域は、東アジア向けに米・野菜・果実・木材、東南アジア向けに食肉・水産物、北米向けに食肉・茶・水産物、中東向けに加工食品をそれぞれ設定した。
 また、目標とする輸出額の範囲にアルコール飲料とたばこ、真珠の3品目を追加した。アルコール飲料の関係者からは日本食との一体的な輸出促進の要望があるほか、国際的な輸入統計でアルコール飲料とたばこが農産物に含まれていることに配慮した。
 3品目を含む07年の輸出額は5160億円(前年比14.9%増)と順調に伸びたが、08年は5078億円(同1.6%減)。水産物輸出が減少したことに加え、秋以降は世界的な景気後退や円高などが影響した。

(8面・流通)

090708_05.jpg 農研機構・東北農業研究センター福島研究拠点(福島市荒井)では、圃場などの様子を空から撮影できる簡易空撮気球「ひばりは見た!」を開発した。材料はすべて市販されているもので、製作費は6万円ほど。開発を担当したカバークロップ研究チームの村上敏文上席研究員は「撮影した画像をもとに、作物の生育状況やむら、湿害の状況などを把握し、栽培管理に役立てることができる」と説明する。詳しい作成方法はホームページに公開されていて、個人で作ることも可能だ。
 デジタルカメラ(1千万画素、146グラム)は、受信機やモーターと一緒に機体に取り付ける。25ミリ広角レンズの場合、縦は高さとほぼ同じ、横は1.45倍の撮影が可能だ。高度180メートルまで気球を上げれば、約4.7ヘクタールの圃場を写真に納められる。
 撮影は2人で行う。1人は気球を釣りざおで操り、もう1人は無線操縦装置でカメラを操作する。風速毎秒2メートルを超えると機体が斜めになり、揺れて安定しないため、撮影は難しい。風が比較的弱い朝や夕方の撮影が適するという。

<写真:簡易空撮気球を手にする村上上席研究員>

(11面・営農技術)

090708_07.jpg090708_06.jpg 【香川支局】「カンカン寿〈ず〉し」は、さぬき市鴨部に伝わる郷土料理。水田の中で作業する夫に、妻があぜからほって(投げて)も崩れないことから、別名「ほったらずし」ともいわれる。
 家庭で作られなくなったこの料理を復活させ、伝承に取り組むのが、ひまわり生活改善グループ(会員14人。秋友清子会長=78歳)。
 名前の由来は、木づちでくさびを打ち込む音に擬してカンカン寿しと呼ばれるようになったという。
 秋友会長は「大勢の人に知ってもらうことが、伝えていく上で大切です」と、要請があればイベントへ積極的に参加する。

<写真左:カンカン寿しは、木枠にすしご飯を入れてふたをし、木づちでくさびを打ち込み圧力をかけて固める 写真右:カンカン寿し。酢で締めたサワラのほか、季節によってサバやアジ、タコなどを乗せる>

090708_09.jpg090708_08.jpg 【長崎支局】「野菜を楽しく食べられるようにしたい」と話す、南島原市西有家町の小田直美さん(58歳、有限会社食匠経営)は、夫の敏治さん(58)と協力し、規格外の野菜を使ったジャムを製造・販売している。
 「ジャムを作る上で大切なことは、素材の色を生かすことと水分の量」と直美さんは説明する。
 これまでダイコン、トマト、タマネギ、ニンジン、サツマイモなどを使って製造。ジャガイモや葉物野菜、緑色の野菜は色が黒くなり、ジャムには向かないという。そのほか、ウメやモモ、甘夏のジャムも作った。
 小田さん夫妻は「販売先を増やし、ジャムの種類も増やしていきたい。特徴のある地域性を出せるよう取り組んでいきたい」と意欲を見せる。

<写真左:ジャムを手に直美さん〈左〉と従業員の水江勝則さん 写真右:旬の野菜を使ったジャム。チューブ状のプラスチック容器に入っている>

090708_10.jpg 【北海道支局】自作の無線操縦ボートを使った水稲の除草剤散布が、岩見沢市北村の水田で行われた。実施したのは、北村の農家有志6人だ。
090708_11.jpg きっかけは昨年、同地区で行われた無線操縦ボートによる除草剤散布が成功したこと。無線操縦ボートが趣味だったこともあり、昨年の12月から約3カ月間かけて6台を製作した。
 利点は<1>大区画水田が増加する中、水田へ入らずに短時間で広い面積を均一に散布できる<2>薬液を水中に直接滴下するため、ほかの作物に飛散することが無い<3>稲への影響がほとんど無い<4>購入コストを抑制でき、自分で修理できる――などだ。

<写真左:完成したカラフルな無線操縦ボートを前に6人のメンバー(左から2人目がまとめ役の山本浩一さん=45歳、岩見沢市北村赤川) 写真右:水田をさっそうと進む無線操縦ボート>

090708_12.jpg 【岩手支局】ライオンのふんを利用した獣害対策に、藤沢町黄海の有限会社ポポちゃんのリンゴ園(千葉均社長=57歳、従業員5人、3.5ヘクタール)が取り組んでいる。この方法は、園地の周辺にふんをまき、カモシカなどの食害を軽減しようというものだ。
 千葉さんは、同町にある「岩手サファリパーク」と交渉。3日に1度、ライオンのふんを、10キロ譲ってもらっている。今年の5月下旬から、ふんを園地周辺のやぶにまいたところ、野生動物が園地へ侵入しなくなったという。

<写真:園地脇のやぶに、ライオンのふんをまく千葉さん>

090708_13.jpg 【高知支局】「昨年の重油高騰をきっかけに、『コスト低減をしなくては』との思いから、ビニールの3重張りに着手した」と話す南国市三和の八松重明さん(64)は、ショウガとシシトウのビニールハウス9棟(40アール)のうち、2棟(15アール)に3重張りを取り入れ、保温性を高めている。
 3重張りは、ハウスの周りをポリエチレンフィルムの保温被覆材(商品名=サニーコート)で囲い、さらにハウスの谷部分のアーチ受け(C鋼)を内側からビニールで囲うという仕組みだ。
 ビニールの3重張りは、国の助成金制度を利用。重油の使用量は約半分に減少させることができた。

<写真:「重油価格がどう変動するか分からない。残りのハウスも3重にしたい」と八松さん>

090708_14.jpg 【福井支局】福井県産「コシヒカリ」のくず米や古米を利用した除菌用アルコールの生成に、福井県立大学生物資源学部の木元久准教授が成功した。
 木元准教授は「米の消費が減少し、生産調整が必要な稲作農家の現状を知り、米の消費拡大の重要性を感じている」と話す。また近年、日本酒人気の低迷で、県内の酒蔵の多くが稼働していないという状況を知ったという。
 米の除菌用アルコールは、石油からできた一般のものとは違い、安全性が高いことが特長。子育て中の女性からの需要が高まっている。
 木元准教授は「商品化を進め、品質の安定化に向けて研究を重ね、地域の稲作農業と酒造技術のさらなる発展に貢献していきたい」と話す。

<写真:コシが原料の除菌用アルコールを手に木元准教授>

 ▼日本料理は、安全でおいしく、食材が豊富で栄養バランスに優れ、見た目にも美しいと海外からの評価も高い。農林水産省は、日本料理や食材の認知度をさらに高めようと「世界が認める日本の食150」を策定。先ごろ開いた農林水産物頭輸出促進全国協議会総会で発表した。
 ▼特に海外向け販路拡大のシンボルと位置づけたのが「日本食10選」だ。みそ汁やすし、すき焼き、天ぷら、豆腐、ご飯、めん類など日本料理のほか、日本酒・焼酎、日本茶と和菓子の組み合わせ、東アジア向けの輸出が伸びているフルーツも選定した。
 ▼今後、海外の展示会などで、素材となる食材や調味料、提供方法も含め、積極的に情報発信していく。すしでは、主要食材の魚介類と米、のり、調味料はしょう油、酢、ワサビ、ユズなどを一括して宣伝する。
 ▼日本食ブームやアジア諸国の経済発展を背景に、農林水産物・食品の輸出額は急伸。2007年には4千億円を突破し、04年比で1.5倍に拡大した。しかし、世界的な景気後退の影響もあり08年は前年比減となった。13年に輸出額1兆円の達成目標を掲げる政府は、特定重点品目・地域の設定や情報発信の強化など輸出戦略を見直して、巻き返しを図っている。
 ▼一方、日本は世界最大の農産物輸入国で、08年の輸入額は6兆円弱で過去最高だった。日本料理の代表と言える天ぷらソバの自給率は低く、ソバが23%、エビは5%、ころも用の小麦粉は14%、しょう油や天ぷら油の原料となる大豆は5%だ。また、生活習慣病増加の要因に脂質のとりすぎなど食生活の問題が指摘され、食育の推進が叫ばれている。
 ▼海外には健康的な日本料理と食材の良さを訴えながら、多くの食材を輸入に頼り、食生活の乱れから健康不安を招いているのが日本の現実だ。自給率向上など自らの足元を固める取り組みが前に進まないままでは、「日本食10選」も胸を張って宣伝できない。

090701.jpg 若狭牛の放牧で水田の獣害を防止したい――。福井県美浜町新庄の農事組合法人「新庄わいわい楽舎」(藤本悟代表理事、58歳)は、イノシシやシカなどの水田への侵入を防ごうと、耕作放棄地で和牛を放牧している。今年で4年目を迎え、県嶺南〈れいなん〉牧場(若狭町)の協力で行った入牧式には、地元の小学校児童や住民などが参加した。牧場からは妊娠牛8~10頭を借り受け、5カ所に放牧する計画だ。放牧されていた牛が出産すると、小学生には子牛の名付け親になってもらい、「命の大切さ」を学ぶ機会にしている。

<写真=「たくさん食べてね」と草を与える児童>


耕作放棄地に若狭牛放牧 獣害対策から食育まで

090702.jpg 入牧式当日は、わいわい楽舎が管理する放牧地に美浜町立新庄小学校の児童34人と地元住民などが集まった。今回、やって来た若狭牛は「みのりの1」(6歳)と「とみいけ4」(5歳)で、2頭とも11月に出産する予定だ。
 嶺南牧場の尾澤宏朗場長は、「牛は臆病〈おくびょう〉で寂しがりやです。時々は家族を連れて見に来てください」とあいさつ。児童の代表(5年生)は、「新庄はおいしい空気と緑がたくさんあります。元気な赤ちゃんを産んでください」と牛に声を掛けていた。
 美浜町新庄地区は山あいにあり、稲作を中心とした兼業農家が大半を占める。近年は農業従事者が高齢化し、条件不利地での農用地の管理が困難になる中、イノシシ、シカ、サルなどの被害で営農を断念する農家が多い。圃場整備された55ヘクタールのうち耕作地は35ヘクタールで、放棄地が増えている。
 わいわい楽舎では人手をかけて、毎年、50アールずつ復田してきた。しかし放牧の取り組みで、これまで草が生い茂っていた圃場は、1年目で田んぼの形が見えてきた。「放牧を3年続けると耕作できるのでは」と期待する。
 週末や夏休みには、地域の農家の子や孫たちも牛を見にやって来る。放牧地は牛とふれあう憩いの場だ。「放牧を通じて獣害の抑制はもとより、景観の保全や地域の活性化にもつなげたい」と藤本さんは話す。

<写真=大井さん(左)藤本さん。藤本さんは「獣害防止には、子供の甲高い声が効果があるようだ」と話す>

○農業共済新聞1面より

 JA全農は6月19日、2009年7~9月期の配合飼料供給価格を4~6月期に対して、全国全畜種総平均でトン当たり約2800円値上げすると発表した。値上げは08年10~12月以来、3四半期ぶり。米国でのバイオエタノール需要の拡大や作付け遅れへの懸念などからトウモロコシの国際相場が上昇していることなどが要因だ。景気回復への期待から投機的マネーの流入も指摘されている。配合飼料価格安定制度の補てんはなく、値上げ分はそのまま農家負担となる。牛乳消費や畜産物価格が低迷する中、畜産・酪農経営への影響が懸念される。

(2面・総合)

 農林水産省は6月25日、「肥料高騰に対応した施肥改善等に関する検討会」(座長=木村武農研機構研究管理監)を開催。〈1〉土壌診断に基づく施肥設計の見直しと減肥基準の策定〈2〉地域有機資源の活用や施肥低減技術の導入〈3〉適正施肥や施肥低減技術導入を支援する指導体制の構築――の推進を提起する報告書案を協議した。
 肥料は昨年、輸入価格の急上昇に伴い、国内価格も大幅に値を上げた。報告書は、中国・インドの食料増産や米国などの肥料需要の増加で、世界の肥料需給は「楽観を許さない状況」と指摘。肥料高騰に対応した施肥改善の推進と施肥指導体制整備の重要性を強調した。
 今後は、定期的な土壌診断に基づく施肥設計の見直しを農業者に働きかける必要があるとした。そのため、効率的に土壌分析が可能となる広域的な体制の整備や、作物の収量や品質に影響を与えない減肥基準の策定推進を打ち出した。

(2面・総合)

090703.jpg パン作りの趣味を生かし、農作業の傍ら農家レストラン「麦工房ノラ」を経営するのは、長野県飯綱町倉井のリンゴ農家・若林むつ子さん(59)。自家栽培の小麦や米などを材料に、パンやケーキを焼いている。「お昼パン」として、予約限定の昼食を提供。地元住民や農家女性の友人が訪れ、パンを食べながら雑談をして過ごし、忙しい農作業の息抜きの場となっている。
 「普通のレストランと異なり、食堂は居間なので時間を気にせず話ができます」と話すむつ子さん。
 農家レストランは、焼きたてのパンを提供したいと自宅の一角を改造し、2007年からオープンした。
 小麦粉は、長野県が育成したパン用の小麦「ユメアサヒ」を主に使用する。若林さん方でも3アールほど栽培し、年間で使用する約半分をまかなっている。
 「自分で栽培した小麦粉は、気候により水の量や温度の調整が必要だけど、粉の香りが良いんですよ」とむつ子さん。
 「お昼パン」と名付けた昼食は、1日1組(8人まで)の限定で予約を受け付ける。日替わりのパン2種類と自家製ジャムで食べるライ麦パン、自家栽培する野菜やハーブのサラダ、コーヒー、デザートをセットで提供する。価格は一人1150円。

<写真:自宅の居間を食堂としている。あんぱんとむしパンを並べるむつ子さん>

(3面・暮らし)

090704.jpg 「農村の自然を守ってきた農業を支えているのがNOSAI事業」と話す、群馬県沼田市上久屋町の果樹農家、染谷孝良さん(67)。NOSAI利根沼田(利根沼田広域市町村圏振興整備組合、星野已喜雄理事長)のNOSAI部長を務め、共済細目書の取りまとめなどを行う。「上久屋ほたる保護愛好会」の会長として地元のホタルを守る農村景観の維持活動をしている染谷さんは「農家経営が安定していなければ、農村景観を守る活動もできない」と話す。
 NOSAI利根沼田のNOSAI部長は、共済連絡員と損害評価員、建物共済推進協議会の推進員を兼務。共済細目書の取りまとめや広報紙の配布、建物共済(火災、総合)の加入推進などを担当する。
 観光農園「染谷りんご園」(リンゴ2ヘクタール)を経営する染谷さんは、2007年からNOSAI部長を務めている。
 組合が作成したパンフレットを使って担当地区の農家にNOSAI制度を説明。加入者には、被害を受けたときはすぐに被害申告するよう呼びかけている。

<写真:「事業推進には、地域の農家との信頼関係が大切」と話す染谷さん>

(5面・NOSAI)

 農林水産省は6月19日、日本の地名・品種名などを第三者が商標出願し、国産農産物・食品の輸出で障害となっている問題に対応するため、「農林水産知的財産保護コンソーシアム」を設立した。中国や台湾などでは高付加価値の日本ブランドにただ乗りする目的で、日本の地名やブランド名を商標登録する事例が多発。高品質な国産農産物・食品のブランドイメージを損なうおそれが出ている。コンソーシアムでは海外の模倣品現地調査を行うなど、商標出願状況を一元的に監視し、地方相談会などを開催していく。
 コンソーシアムは、35都道県1市の地方公共団体や関係団体、有識者の55会員で構成する。
 主な活動は〈1〉中国・台湾での不正な商標出願状況の把握や監視〈2〉海外の卸売市場や百貨店などを対象に、農林水産物・食品の模倣品や産地偽装の市場調査〈3〉知的財産専門家の弁護士・弁理士を地方へ派遣し、相談会の開催――など。
 商標出願状況の調査・監視事業は、会員が事務局と契約を結び、調査費用を負担する。不正な商標出願・登録の現状を把握する「商標スクリーニング調査」と、これからの商標出願を監視する「商標監視調査」の2種類のメニューを設定。問題のある商標出願を見つけ、手遅れにならないよう早めに対応できるようにする。

(8面・流通)

 豆類の栽培技術向上などを目的とした「第37回全国豆類経営改善共励会」(主催=JA全中、財団法人日本豆類基金協会ほか)の表彰式が6月24日、東京都港区で開かれ、全国128点の中から13点が表彰された。「大豆農家の部」と「大豆集団の部」で、農林水産大臣賞を受賞した農家・集団の経営概況などを紹介する。

090705.jpg▽大豆農家の部――原田 康雄さん 山形県河北町
 水稲、大豆、サクランボなどの複合経営に取り組む原田さんは大豆を5.6ヘクタール作付けし、単収297キロ(県平均の2倍)、上位等級比率86%を確保している。
 不整形で小さな水田の団地化を主体的に進め、地域の担い手として高齢農家などから全作業受託で面積を拡大。転作田として固定化されているが、春先に施用する発酵鶏ふん(10アール当たり75キロ)で土作りをし、高単収を維持している。

<写真:原田さん>

090706.jpg▽大豆農家の部――山口 一尚さん 佐賀県白石町
 山口さんは、大豆と水稲・麦・タマネギを組み合わせ、生産性の高い水田農業に取り組む。大豆は「むらゆたか」を2.3ヘクタール栽培し、単収は355キロ(県平均の1.4倍)、上位等級比率は96%と高かった。
 重粘土地帯で排水性が悪くトレンチャーで貝殻利用のコルゲート排水施工を計画的に行う。全圃場に年1回以上、弾丸暗渠〈あんきょ〉とエアーインジェクターで排水対策を行っている。

<写真:山口さん>

090707.jpg▽大豆集団の部――土谷グリーンファーム 岩手県奥州市
 土谷グリーンファーム(菊地尚代表)は2集落・27戸(参加率82%)で構成し、協業で水稲21.8ヘクタール、大豆15.6ヘクタールを栽培する。大豆「リュウホウ」の単収は258キロ(県平均の2倍)で、上位等級比率は95%と高い。
 有機質堆肥や乾燥鶏ふんを施用し、土作りに努める。圃場巡回に基づく適期防除のほか、汚損粒発生防止のため8月上旬と収穫直前に手取り除草を行う。コンバインや乗用管理機など大型機械、乾燥調製施設は、共同利用組織に参加して、利用している。

<写真:菊地代表>

090708.jpg▽大豆集団の部――上塩塚四十丁営農組合 福岡県柳川市
 上塩塚四十丁営農組合(三小田由勝組合長)は7集落・126戸で構成し、経営面積72ヘクタールで大豆30ヘクタール、水稲41ヘクタール、麦70ヘクタールを栽培。水系ごとのブロックローテーションで、2年4作体系を定着させている。
 大豆品種は「フクユタカ」で、単収は316キロ(県平均の1.5倍)。1等比率は96%と高い。
 集落内の全圃場で弾丸暗渠〈あんきょ〉と明渠を施し、適期に作業機械が入れる圃場作りを徹底。一斉播種日を設定し、適期播種を実現している。
 条間を65センチと狭くし、適切な中耕・培土で除草剤なしに雑草防除する。

<写真:三小田組合長>

(9面・営農技術)

090709.jpg 【徳島支局】ユリの施設栽培では近年、連作による土壌環境の悪化に伴う切り花品質の低下が問題になっている。徳島県立農林水産総合技術支援センターではさきごろ、杉皮を培地に使ったボックス栽培技術を開発。この技術の導入で、病害虫防除はもとより、堅く締まった切り花の収穫が可能となって品質が向上し、採花率も上昇(98%)するなど、順調な成果を挙げている。
 ユリのボックス栽培技術とは、球根運搬用のプラスチック製のボックス(40センチ×60センチ×24センチ)に、微粉砕した杉皮(スギバーク、1ボックス当たり40リットル)を詰め、養液土耕栽培装置で灌水〈かんすい〉と施肥を同時に行う方法だ。県立農林水産総合技術支援センターが産学官の連携事業で3年かけて開発した。
 培地は年1回入れ替えるため、長年の余剰肥料の蓄積による連作障害がないほか、通気性・排水性が良く、過湿状態による根腐れを防止する。

<写真左:点滴チューブが設置されたボックス>

090710.jpg 【新潟支局】長岡市根小屋の有限会社栗林牧場(栗林仁司取締役=45歳、70頭)では、カーフハッチの敷材にシュレッダーの裁断紙を有効利用。
 栗林さんは「おがくずを利用したときと同じくらいの保温性があり、子牛の飼育に問題はない」と話し、「防風ネットを敷くことで、古くなったおがくずと裁断紙を集める作業が楽にできるようになった」と続ける。
 当初、裁断紙は地元役場から譲り受けていたが、市町村合併などの影響で量が減り、確保が難しくなってきた。現在は行政や、栗林さんの取り組みに賛同した企業や保育園などのほか、NOSAI中越でも裁断紙を提供している。

<写真:栗林さん手作りのハッチ>

090711.jpg 【埼玉支局】乳牛200頭以上を飼育する日高市旭ヶ丘の有限会社加藤牧場(加藤忠司代表取締役=66歳)では、直営店「Baffi(バッフィ)」の運営に、加藤さん方の三姉妹(長女=柬理恵美子さん、次女=山岸真弓さん、三女=加藤こずえさん)が活躍。自家産乳を使った加工品などを販売している。
 このほど、真弓さんが発案した「しょうが生ミルクキャラメル」が、第1回「牛乳・乳製品独創性商品コンテスト」(社団法人日本酪農乳業協会主催)でオリジナル・アレンジ賞を受賞。話題を呼んでいる。

<写真:左から加藤さん、真弓さん、恵美子さん、こずえさん>

 【北海道支局】旭川市内の若手農業後継者でつくる「旭川市農業青年の会A2(エーツー)」(小川耕司会長・構成員20人)は、旭川駅前の若手飲食店経営者グループ「旭川平和通買物公園青年部AS(アズ)」との共同企画に、昨年から取り組んでいる。
 飲食店経営者らが運営するビアガーデンでは、A2のメンバーが生産した米や野菜で料理を提供。また、会場に農作業の写真パネルなどを展示して、自分たちの活動ぶりを消費者にアピールした。
 A2の小川会長は「商店街とのつながりによって、さまざまな人たちと話す機会が多くなり、『なるべく農業青年の会の野菜などを使いたい』という店も増えてきた。これからも協力し合い、若い力で農業と旭川を盛り上げていきたい」と話している。

090712.jpg 【鹿児島支局】牛とともに昔ながらの米作りを続けている日置市東市来町伊作田の平田三郎さん(81歳、生産牛7頭、水稲30アール)。今年は、雌の「まさこ」号(14カ月齢)と、田起こしを行った。
 「40年ほど前まではどこでも見られたけど、今はうちだけになってしまった。昔の作業風景を少しでもみんなに覚えておいてもらえれば」と、田起こしから代かきまでの作業を牛とともに再現する。

<写真:平田さんと「まさこ号」>

090713.jpg 【山形支局】観賞用「啓翁桜〈けいおうざくら〉」の実を使ったジュースが誕生した。これは、山形市釈迦堂で啓翁桜などの花きを栽培する石井重久さん(49)が、県農業総合研究センターの協力を得ながら開発、試作したもの。
 サクラの実を使った本格的なジュースの製造は、国内でもほとんど例がないという。
 啓翁桜の実は、一般的なサクランボより一回り小さく、糖度は18度と高くはないが、甘味と渋味のバランスが良い。果汁は赤ワインのような濃い赤紫色だ。

<写真:ジュースを手に石井さん>

090714.jpg 【栃木支局】農業の傍らステーキ店を経営する大田原市の石川正夫さん(60)は、辛味と風味のバランスが取れたニンニク栽培に取り組んでいる。栽培技術は独学で習得。風味豊かなニンニクは、固定客からの問い合わせが後を絶たないという。
 石川さんがニンニクの栽培を始めたのは、11年前だ。当時、ステーキ店で使うニンニクを探していたが、たれやスープの原料に適したものは、数をそろえるのが難しかったという。そこで石川さんは、自分で栽培することを思い立った。
 ニンニクは、経営しているステーキ店でたれなどに利用。近所の直売所にも7月中旬ごろから出荷する予定で、これを目当てに遠方から来る人も多いという。

<写真:今年の収量は約3.5トンを見込んでいるという石川さん>

 ▼国際的な経済危機で値下がりしていた穀物の国際相場が、上昇基調に転じている。トウモロコシや小麦は、米国の作付け遅れなどを背景に3月以降値を上げ、大豆相場も搾油需要の増加見通しで上昇した。
 ▼このため7~9月期の配合飼料供給価格は4~6月期に比べトン当たり3千円程度引き上げられた。牛肉の枝肉価格低迷や牛乳の消費減少が続く中、畜産・酪農経営への影響が心配だ。穀物価格の上昇で小麦などを原料に使う食品の値上げも想定され、家計圧迫で一層の消費意欲減退を招く懸念もある。
 ▼6月の米農務省月例需給見通しでは世界の穀物の期末在庫率は20・4%。トウモロコシ生産量は消費量を下回る予測だが、小麦と大豆は生産量が増え、期末在庫率も増える見込みだ。穀物の期末在庫率が15%前後とされ、輸出国の輸出規制が相次ぎ需給逼迫〈ひっぱく〉が懸念された昨年夏とは状況が異なる。
 ▼最近は原油価格も上昇基調となり、背景には、景気回復を期待した投機資金の動きも指摘されている。資本主義経済とはいえ、人々の暮らしに不可欠な食料やエネルギーの価格形成が、投機資金の影響を受ける状況を放置していいものか疑問だ。
 ▼経済協力開発機構(OECD)と国連食糧農業機関(FAO)は、今後10年間の農産物価格は2006年までの10年間と比べ1~2割高くなると予測。「食料不安と飢餓は世界の貧しい人々にとってますます大きくなる問題」と指摘した。
 ▼経済危機の影響を一番受けたのは、食料を買えない貧しい人々であり、09年の飢餓人口は10億人を超えたとされ、史上最悪だ。貧しい人々に食料が行き渡る仕組みを作らないと飢餓の問題はなくならない。一方、日本では、コンビニ弁当など食べられる状態で廃棄される食品ロスが年間500万~900万トンに及ぶ。これも問題だ。

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