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今週のヘッドライン: 2009年8月アーカイブ

090826_01.jpg 今年は7月以降、北日本を中心とした低温寡照の傾向が強く、「中国・九州北部豪雨」や台風9号の接近に伴う大雨が発生し、各地で農業被害、作物の生育への影響が広がっている。また11日には、駿河湾を震源とする地震が発生した。気象庁は18日、異常天候早期警戒情報を発表。山口県と九州各県を除く各地区で、23日からの1週間、平年に比べ1・2~2・4度低い低温が発生する確率が高く、農作物の管理への注意を呼び掛けていて、引き続き警戒が必要だ。

 6月中旬から7月下旬にかけて低温寡照が続いた北海道を13~14日に訪れた。上川中央NOSAI(上川中央農業共済組合)管内では、出穂が数日遅れた水田を前に、農家は8月上旬以降の好天で生育回復を期待する一方、7月に遭遇した低温の影響に不安を募らせる。畑作地帯の十勝NOSAI(十勝農業共済組合)管内では、収穫を終えた秋播き小麦に減収が見込まれるほか、作付けの多い豆類の生育遅延も心配される。NOSAI団体では、出来秋に向けて畑作物の作柄を把握し、損害評価体制を整えるとともに、被害申告漏れがないよう農家への注意喚起に努めている。

 「7月中は危ないと心配したが、8月に入って天候が好転。水稲の姿が変わった」と旭川市永山町の加藤庸明さん(71)=水稲8・5ヘクタールなど。上川中央NOSAIの損害評価会長を務める加藤さんは、穂が垂れ始めた水稲を観察し、「この天候が続けば、平年に近い収穫ができそうだ」と期待を話す。

090826_02.jpg  旭川市に隣接する東神楽町忠栄の蒔田栄さん(55)=水稲12・5ヘクタールなど、同NOSAI監事=は稲穂を手に厳しい顔を見せる。「深水管理は徹底していたが、不稔はどの程度広がっているだろう」
 上川中央NOSAI管内では7月10日ごろと20日ごろ、最低気温が約10度になる低温が2~3日ずつあった。幼穂形成~出穂・開花期は低温危険期で最低気温が13~14度を下回ると障害を受けやすい。
上川中央NOSAIの行天英雄参事は「地域や品種、育苗方法による生育の早晩により、隣接した圃場でも作柄が全く違う状況が予想される。被災農家に申告漏れがないよう呼びかけるとともに、円滑な損害評価ができるよう万全の損害評価体制を整えたい」と話す。

 畑作地帯が広がる十勝NOSAI管内でも6~7月の天候不順が農業経営に影を落とす。収穫を終えた秋播き小麦について、収入面では平年の半作程度だろうと見込む農家がいるという。輪作の基幹作物で、今後秋に収穫を迎える畑作物にはインゲン、大豆、小豆、テンサイ、ジャガイモ--などがある。

<写真上:幼穂形成期に低温に遭った稲穂を見つめる蒔田さん。「不稔の影響が心配だ」という(東神楽町、13日)>

<写真下:「例年なら、小豆の草丈は腰の高さになり、畝間にも枝葉が伸びているはずなんだ」と牧田さん(本別町、14日)>

(1面)

 農林水産省は11日、2008年度のカロリー(供給熱量)ベースの食料自給率が前年度から1上がり41%になったと発表した。2年連続の上昇となった。ただ、国際相場が高騰したチーズや大豆などの輸入減少によるところが大きく、国内生産の強化に向けた課題は多い。年間1人当たりの米の消費量は1俵(60キロ)を下回った。さらに生産額ベースの自給率は、果実の生産・価格低迷や輸入飼料価格の高騰などから65%と1下落。65年以降最低を更新した。担い手の確保など生産基盤の強化を基本に、国産農産物の消費拡大を促し、食料自給率を高めていく必要がある。

(2面・総合)

 農林水産省は13日、2008年の新規就農者数が前年比1万3460人(18・3%)減の6万人になったと発表した。
 自営農業への就農者数が1万4780人(22・9%)減の4万9640人に減少。一方、法人などへの雇用就農者は1110人(15・2%)増の8400人、新たに農業経営を始めた新規就農者数は210人(12・0%)増の1960人となった。
 年齢別では、60歳以上が約半数(46・3%)を占めた。39歳以下が90人(0・6%)増の1万4340人とわずかに増えたものの、40~59歳は5290人(23・0%)減の1万7760人、60歳以上は8270人(22・9%)減の2万7800人となった。

(2面・総合)

日本製作金融金庫が消費者動向調査

 経済危機を背景に、消費者の食に対する安全志向が急低下し、価格重視の経済性志向が強まっていることが12日、日本政策金融公庫が公表した「消費者動向調査」で分かった。
 調査は7月上旬に全国2千人の成人を対象に実施。食に対する安全志向は、19・8%と、前回調査(昨年12月)に比べて11・9ポイント低下。国産志向も14・9%と4・8ポイント落ち込んだ。一方、安価な商品を重視する経済性は、35・1%(0・5ポイント増)で依然高い水準にあった。
 安全志向は、昨年1月に発生した中国製冷凍ギョーザ事件を機に急速に高まり、昨年5月調査では41・3%に達したが、1年2カ月を経過し半分以下に下落した。
 公庫では「食品メーカーや流通業者の安全・安心回復への取り組みが進展した」(農林水産事業本部情報戦略部)と分析する。

(2面・総合)

090826_03.jpg090826_04.jpg 7月以降、低温・日照不足、集中豪雨や台風、地震といった自然災害が頻発し、全国各地で水稲や大豆など農作物に影響が出ている。各地の状況やNOSAIの対応などを聞いた。

▽低温・日照不足

 7月以降の低温・日照不足の影響を受け、北海道や東北をはじめ、全国各地で生育の遅れや病害虫の発生などが懸念されている。このような気象条件で発生しやすい水稲イモチ病について、7月24日以降、12の都道県が注意報を出している。

▽駿河湾を震源とする地震

11日、最大震度6弱の地震が発生。農林水産省によると、19日現在、ナシの落果など4・8ヘクタール、農地の損壊28カ所、農業用施設の損壊27カ所といった農業被害が報告されている。

▽台風9号

 太平洋沿岸に接近した台風9号の影響を受け、8~11日、九州から東北までの広い範囲で大雨となった。20日現在、農林水産省が公表している農林水産関係の被害額は114億円。主な被害地域は兵庫県、岡山県、香川県、高知県、京都府など。

<写真右:大雨の被害を受けて早期水稲が倒伏した(香川県さぬき市、10日)>
<写真左:ハウス内で割れた地面(静岡県沼津市、11日)>

(5面・特集)

090826_05.jpg 栃木県真岡市長田の鶴見信夫さん(67)は、長ナスの水耕栽培に取り組んでいる。「13年前、トマトでできるのだから、ナスでもできるはずだと考え導入した」という。関東地方ではいち早くロックウール(RW)栽培をはじめ、露地の夏秋ナスと組み合わせて周年出荷を行う。連作障害は起きにくく、肥料・水分・室温などはコンピューター管理にして労力軽減を図る。ナス産地の生産振興のため、増収技術の開発とRW栽培圃場での現地検討会などを通して地域農家の技術指導にも努めている。

 周年雇用のナス専作経営を考えていた鶴見さんは、1996年から夏秋ナスと促成RW栽培に取り組んだ。給液方法には、培養液をかけ流す方式(非循環式)を導入。廃液は家庭菜園用の肥料として使う。栽培環境などはコンピューターで管理していて、室温は13度から30度までに設定する。
 RW栽培は、初期生育がよくて多収となり、土壌病害の回避と土づくりが省けるなどの長所がある。反面、施設設置費が高い、肥料代がかさむなどの課題もあるが、土耕栽培に比べて多収となるため経費の増加分を補ってきた。
 今年は、7月24日に鉢上げし8月3日にRW培地に定植した。

 「ナスは腰から目の高さまでで取れ」と鶴見さん。V字4本仕立てで、誘引は30×30センチのネットで行い、培地からの高さ約1・6メートルで摘心する。年内に摘心を行って樹形を完成させ、単価の高い年末から厳寒期にかけて収量を上げることで収益確保につなげているという。

<写真:「今日は日照不足で開花が続かず収量が少ない」と話す鶴見さん>

(13面・営農技術)

090826_06.jpg 【兵庫支局】ブナシメジなどキノコを生産する養父市八鹿町の「武村キノコ産業」(武村信雄代表=57歳)では、省力化を進めながら家族経営での多角化に取り組んでいる。産業廃棄物だったキノコ栽培後のおがくず(廃床)を再利用し、昆虫マットや堆肥も生産。水稲138アール、「富有柿」50アール、露地野菜15アールも栽培し、年間を通じた労働配分で多角経営を実現している。
 武村さん方では家族経営協定を結び、年間の労働を配分することで、家族労働力での多角経営を実現した。武村さんが主に水稲、柿、野菜を担当し、妻の桂子さん(50)が包装、出荷、事務を受け持つ。息子の政広さん(25)はキノコと昆虫マットの生産、直売所への配送を担う。
 武村さんは、キノコ工場でシメジやブナシメジ、ヒラタケ、シイタケ、エリンギを栽培する。培地は、おがくずと栄養体を練って配合し、瓶詰めして殺菌釜で加熱。その後、無菌室でキノコの菌を加え、保冷室で培養し、発生室で成長させる。
 キノコ栽培後のおがくずは産業廃棄物だったが、武村さんが加工技術を考案し、昆虫マット(10リットル入り200円と250円)として製品化。広葉樹などの材料を混ぜ、昆虫が吸収しやすいように水分調整した。おがくずは、発酵、攪拌(かくはん)して堆肥(1袋40リットル入り300円)としても販売。「土壌が柔らかくなり、イモが掘りやすくなった」「果樹では実が甘くなった」「水稲では根の張りが良くなった」と、利用者の評判は上々だ。

<写真:政広さん(後ろ)と、仕込み具合をチェックする武村さん>

090826_07.jpg 【岩手支局】地元の農家や会社と連携して加工品の製造販売に取り組む、西和賀町沢内の農事組合法人銀河の里沢内(柴田照男代表理事=59歳、職員14人)では、菌床シイタケを栽培し、総菜に加工して盛岡市近郊のホテルや仕出し業者へ提供。そのほか、地場産の材料を使ったアイスクリームやジェラート、豆腐なども製造・販売する。
 ジェラートは、地元の牛乳公社から原料を仕入れ、これまで30種類以上を製造。ジェラートアイスショップで販売するほか、道の駅やホテルなどにも提供している。
 アイスを保存する冷凍庫は、冬場にスペースが空くため、06年からは凍(し)み豆腐作りに利用。さらに昨年からは地元のダイコンを使って凍みダイコン作りも始めた。
 「豆腐の製造過程で出る大量のおからも『うの花』として無駄なく販売できるようになった」と柴田代表理事は話す。

<写真:シイタケの菌床ブロックはつり下げて管理する柴田代表理事。ブロックも銀河の里沢内で生産している>

090826_08.jpg 【福島支局】矢吹町明新下で成乳牛98頭を飼養する円谷勝幸さん(54)は、作業時間の短縮と労力軽減を図ろうと、飼料掃き寄せ機を製作した。
 以前は、ほうきなどで牛の餌場に飼料を寄せていた円谷さん。乾草などの軽いものは簡単に寄せることができるが、重いサイレージなどは、掃き残りが多く、1日4~5回の手間は(莫大ばくだい)なものだったという。
 「作業で使っている機械を工夫できないか」と自宅にあったドラム缶を半分に割いて、フォークリフトのつめに差し込むという簡単な掃き寄せ機を考案。製作費用は、ほとんどかからなかった。
 「飼料掃き寄せ機のおかげで、時間の短縮、労力の軽減につながっています」と円谷さんは話している。

<写真:「牛の餌場にきちんと寄せることができる」と円谷さん>

090826_09.jpg 【大阪支局】高槻市服部地区で古くから栽培されている「服部(はっとり)越瓜(しろうり)」の需要の拡大を図ろうと、北部農と緑の総合事務所など関係機関と市内の農業者が連携して、外食産業への働きかけやレシピ集の作成などに取り組んでいる。
 服部越瓜は「なにわの伝統野菜」に認証されていて、粕漬(かすづ)けが古くから親しまれてきたが、青果物としての利用はほとんどない。そこで、料理の素材など、新たな利用方法の検討が始まった。その一つとして、市内の観光ホテルが服部越瓜を使った創作料理4種を考案し、夏季限定メニューとして提供している。
 このほか地元の小学校や消費者団体が新たなレシピ作りに取り組んでいて、北部農と緑の総合事務所では「レシピ集を作り、市民へのPR活動に利用する」としている。

<写真:ヘタに近い部分が細くくびれている服部越瓜>

090826_10.jpg 【岡山支局】JA倉敷かさや夏秋ナス部会(11人、2・3ヘクタール)は、笠岡湾干拓地で露地ナスのソルゴー障壁栽培を行い、農薬散布量の減少に成功している。
 「風よけで初めてソルゴーを植えた年、なぜか害虫が少なく、きれいなナスができた」と岡田忠部会長(58)。「不思議に思い調べてみると、ソルゴーはナスに付く害虫を捕食する天敵のすみかとなるので、害虫が減ることが分かった」という。
 4月後半に播種機でソルゴーの種を播き、ナス畑を囲む。「ソルゴーは約2カ月で2メートルほどに成長し、作が終われば畑にすき込む」と岡田部会長は話す。
 岡田部会長は「農薬は慣行の5割以下。大切に育てています」と話している。

<写真:「ソルゴーに付く虫が害虫を駆除してくれた」と岡田部会長>

090826_11.jpg 【宮城支局】1・3ヘクタールの園地でモモ、ブドウ、リンゴを生産・販売する大郷町の村山貴宏さん(35)。モモは65アールで、「暁星(ぎょうせい)」「川中島白桃」など11種類だ。その中に全国的にも珍しい品種の「大紅蟠桃(だいこうばんとう)」がある。
 大紅蟠桃は中国原産で、日本名は「座禅桃(ざぜんもも)」。晩生種で、袋かけ作業が必要。手間が掛かり栽培が難しい。収穫時期が近づくと生理落果するため、収穫時期の見極めが難しいが、今年も9月上旬からの収穫に期待を掛ける。
 5年前から販売を始めた村山さん。「硬いモモが食べたい」という購入者からの要望に応え、すぐに出荷調整し、午前中には直売所に並ぶ。味と鮮度の良さで購入者との信頼も厚くなった。

<写真:大紅蟠桃(写真提供=村山さん)>

 【熊本支局】地下水を噴霧して牛舎内や牛体を冷やす機器を、小国町下城田原の高村勇三さん(70)、和子さん(65)夫妻(乳用牛58頭・水稲55アール)が利用している。
 地下水を、356平方メートルの牛舎通路の天井中段に設置したパイプを通して噴霧。4台の送風機で牛舎全体に霧を拡散させるというものだ。タイマーを設置してからは、30~40分間隔で10~15分ずつ噴霧できるようになった。気温が30度を超えそうな日は、搾乳後にスイッチを入れる。
 地下水を利用することで、牛舎内の温度は5度前後下がるという。高村さんは「冷たい地下水を噴霧して牛の疲労を抑え、安定した生乳の出荷を目指したい」と話している。

 ▼今年も終戦の日前後は、テレビや新聞、雑誌などが戦争回顧の企画に力を入れていた。その中で共同通信がインターネットで紹介した1枚の写真が印象に残った。国会議事堂を背景にした畑仕事の様子をとらえている。
 ▼撮影は終戦翌年の1946年6月。議事堂周辺の空き地を職員が耕し、イモを栽培していたという。一見すると、のどかな風景にも映るが、食糧難を生き抜くために懸命に努力する姿だ。戦後も64年を過ぎ、すでに国民の4人に3人は戦後生まれ。世界では多くの人が今も紛争や飢えにさらされている。戦争や飢えを知らずに育った幸せに感謝し、復興に尽くした先人の苦労を忘れてはならない。
 ▼そんな光景を見てきた国会議事堂が、帝国議会議事堂として完成したのは36年だ。明治時代に計画が持ち上がったが、日清・日露戦争や第一次世界大戦による政治経済の混乱の影響などで進行が大幅に遅れた。結果的に50年がかりの大事業になり、着工からも17年を要した。
 ▼建設に際しては、できるだけ国産品を使用する方針を打ち出し、石材もほとんどを国内産地から調達した。使われた石の種類は40を超え、"国産石材の標本箱"とも称される。左右対称で、正面に向かって左側に衆議院、右側に参議院を配置している。
 ▼政権選択選挙と位置づけられた衆院選挙も終盤を迎えた。小選挙区300、比例代表選挙区180の計480議席を争う。世界的な経済危機の影響を受け、景気低迷や雇用、国の財政運営など課題は山積み。農政や農山漁村の活性化も大きな争点で、各政党が掲げるマニフェスト(政権公約)には、農業経営の安定や食料自給率向上を目指す方針や政策が並ぶ。農政で願うのは、農業者が希望を持って経営に専念でき、実りを喜べる政策の実現だ。
 ▼政治、経済ともに閉そく感が強い中で、どの政党に政権を預けるのか。一票を投じる国民一人一人の判断に委ねられている。

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 「お客さんのおいしいという一言が、やりがいにつながる」と話す青森県田舎館村の成田貴久さん(48)は、父・逸雄さん(74)とともに、水稲「つがるロマン」6ヘクタールとトマトなど野菜50アールを栽培し、全量直販する。ブランド米「成田家伝承」は、直売を始めた1995年から10キロ3800円の定価を維持し、個人販売のほか、地元直売所などで販売。刈り取り時期の見極め方や乾燥方法などを研究して、食味向上に努力を惜しまず、信頼を得ている。成田さんの長男・祐一さん(20)は、県の営農大学校に通い、卒業後に就農する予定だ。目指すのは顧客に喜んでもらえる日本一の農家という。

20090812_02.jpg 成田さんは米とトマトの栽培で、有機酸を利用する「植酸栽培」を基本にしている。初めはトマトで導入し、06年から水稲でも本格的に採用した。
 米の食味向上で重視するのは収穫のタイミング。つがるロマンは刈り取りが遅くなるほど、タンパク質含有量が増えて食味が落ちるという。葉色を観察し、穂に占める青米の割合が約2割になった時点で収穫する。平均収量は10アール当たり600キロほどだ。
 さらに乾燥も天日干しに近い方法を目指し、遠赤外線乾燥機を2年前に導入した。収穫時の水分が22~23%の場合、24時間かけて15%まで落とす。

 米の直売では、多くの人に食べてもらいたいとの思いもあり、10キロ3800円に価格を設定。当初は地域でも安い価格だったが、米価が下落する中でも価格を維持してきた。
 成田家伝承は、1・95ミリで選別した米だけに付けるブランド名だ。個人客約80人のほか、地元の道の駅や農産物直売所で販売。東京都内にある青森県のアンテナショップにも置いている。1・95ミリの選別機で落ちた米は再度1・85ミリでふるい、飲食店向けに販売。さらに肥料高騰など生産コストが上昇しているため、本年産から規格外品は米粉にして販売し、収益向上を図る予定だ。

<写真上:貴久さんと逸雄さん。祐一さんが加われば、親・子・孫三代での米作りが始まる>
<写真下:トマトを収穫する成田さん。「昔のトマトの味がして懐かしい」との声も多い>

(1面)

 農林水産省は7月31日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、2008年7月から09年6月末までの主食用米の需給実績(速報値)を824万トンと報告した。景気悪化に伴う外食向け販売の不振など米消費が減退し、今年3月時点の需給見通しを31万トン下方修正した。09年7月から10年6月の需要量は、実績比3万トン減の821万トンの見通し。民間在庫が膨らんで荷余り感が強まる中、09年産早期米の価格は前年比1~2割安で推移。今後の作柄動向にもよるが、米卸業界に「不足感はない」との見方が強く、米価下落が懸念されている。

(2面・総合)

 米専門の民間調査会社、米穀データバンク(東京都千代田区)が5日、7月31日現在の収穫予想を発表した。7月の天候不順などの影響を受け、2009年産水稲の全国の作況指数を96の「やや不良」と見通した。94以下の「不良」は北海道(87)、青森(90)、福岡(89)、長崎(86)など10道県と予測した。7月末までの気象データなどに基づいて、独自推計を行った。
 全国的な生育状況は田植え以降気温が高く推移し、おおむね平年並みとなっていたが、7月の記録的な多雨・日照不足や7月中・下旬の低温で生育が抑制された。作況指数102~105の「やや良」は宮崎の1県のみで、99~101の「平年並み」は茨城、富山、滋賀など12県、95~98の「やや不良」は岩手、新潟、静岡など24都府県と見込んだ。

(2面・総合)

20090812_03.jpg 竹林資源を生かし、保全にも一役--横浜市戸塚区舞岡町の農家など5人でつくる「舞岡笹竹出荷グループ」(相澤晴男代表=54歳)は、市内の動物園が飼育するレッサーパンダの餌として、竹の枝葉を出荷している。伐採、採取する場所は地元農家の竹林。農家が普段、手が回らない管理作業の代わりになっている。本業の傍らで、週2回ずつ続けてきた取り組みは、売り手と買い手だけでなく、地域にもメリットを生み出している。

 午前7時半、白いヘルメットをかぶり、農家の裏にある竹林に入るメンバーたち。一人がチェーンソーで竹を切り倒して移動させ、ほかの人が枝を切って束ねる。チームワークで作業を進めていく。
 グループは、野菜農家の相澤さんと田中稔成〈としなり〉さん(42)、ナシ農家の金子浩幸さん(41)、花農家の小泉国雄さん(32)、元会社員の金子勝美〈まさみ〉さん(64)。作目が異なるため、それぞれの繁忙期に出番を調整できるのが利点だという。

 レッサーパンダの餌になるのは1~2年生のモウソウチクだ。出荷量は季節によって変化し、2頭分で1回20~30キロほど。排気ガスの影響を考慮して道路沿いはなるべく避け、林の奥から取る。
 枝葉を採取するほかに、枯れた竹の伐採やゴミ拾いなど掃除も行い、作業は1時間ほどで終える。相澤さんは「作業時間が短いので、それほど負担は感じない」と話す。出荷先の市立野毛山動物園へは、一人ずつ当番制で配送している。

<写真:左から田中さん、金子浩幸さん、小泉さん、相澤さん。「きれいになった竹林を見ると気持ちがいい」という>

(3面・暮らし)

20090812_04.jpg 「昨年産大豆は反収380キロだった」と長野県駒ヶ根市下平にある農業生産法人大盛堂生産農場の大沼昌弘さん(68)は話す。地域資源であるシメジ菌床の廃材を使った堆肥の投入で地力の向上を図り、生石灰の散布で根粒菌が働きやすい環境をつくる。大豆の開花期までの間に中耕・培土を行い、開花終了後は適期防除を実施。密植栽培でも大きな草型に育て、農林水産省が目標に掲げるA品質300キロをはるかに超える収量を確保している。
 
 大盛堂生産農場では、大豆18ヘクタール、水稲20ヘクタール、麦23ヘクタール、ソバ20ヘクタール、野菜7ヘクタールを、大沼さん夫妻と長男夫妻で経営、研修生8人が学んでいる。
 大豆の品種は、5月下旬から6月上旬の普通播きに「ギンレイ」「タチナガハ」、6月中旬からの晩播栽培に「ナカセンナリ」、ほかに「東山205号」を作付ける。
 大沼さんが10アール当たり380キロを収穫するためのポイントには、(1)密植で大柄な草型(2)堆肥と生石灰の重視(3)中耕・培土(4)3回の適期防除――などがある。
 種子は、紫斑病予防と鳥害防止のため、播種前に薬剤を塗布しておく。播種は平畦(ひらうね)への条播きで、畝幅は60センチ。普通播きでは10アール当たり8キロを使用し1メートルに15~16株、晩播栽培では30~33株にしている。「栽植密度を高くすることで、畝間が暗くなり雑草を抑制できる」と大沼さん。成長すると草丈は1・5メートルになるため、除草剤は使わない。
 堆肥はシメジ菌床の廃材にもみ殻などを混ぜ、1年間切り返ししながら発酵させておく。毎年、前作の収穫後に堆肥を10アール当たり2トン散布する。
 耕うんは播種までに3回行う。3月中・下旬にプラソイラーを使って15~20センチの深耕。土壌のPH(ペーハー)を高めて根粒菌を多く着生させるために、生石灰は10アール当たり100キロを施用する。

<写真:「草丈は1.5メートルくらいに成長する」と大沼さん。今年は天候の影響で開花が2、3日遅れているという>

(9面・営農技術)

20090812_05.jpg 香川県東かがわ市の農家女性などで構成する「水主(みずし)第2生活研究グループ」(会員72人)では、地元の特産品パセリをPRしようと、パセリクッキーやパセリマドレーヌなどを開発し、販売している。独特の苦味があるパセリだが、菓子に混ぜて食べやすいよう工夫した。小麦粉は県産を使用し、手作りする。加工品は、同グループが所属する「東かがわ市生活研究グループ」が運営する農産物直売所で販売している。

 水主第2生活研究グループの会長を務める東かがわ市のパセリ農家、田村照栄さん(60)は、「パセリは独特な苦味があるため、苦手な人や食わず嫌いをする人も多い。少しでもイメージを変えるきっかけにしたい」と話す。
 10年前からパセリクッキー作りを開始。現在はパセリマドレーヌやパセリ入りのリンゴケーキ、青のりの代わりにパセリをふりかけたおはぎを手作りする。郷土菓子「おちらし飴(あめ)」にパセリを混ぜたおちらし飴も開発した。
 加工品に使うパセリは、生のパセリを電子レンジで6分加熱し、粉末状にする。地元のパセリ農家が乾燥パセリを作る際に用いる方法で、長期保存でき緑が鮮やかになるという。
 地場産に思い入れを持ち、原料の小麦粉は「さぬきの夢2000」などの県産を使用する。会員の原田恵美子さん(59)は「パセリの加工品を通じて少しでも産地の活性化につなげたい」と強調する。

<写真:田村さん(左)は「農家、非農家を問わず、地元を元気にするために女性ががんばっています」と笑顔で話す>

(8面・流通)

 7月以降の全国的な日照不足や低温などの状況を受け、農林水産省は4日、省内に「日照不足・低温等対策連絡会議」を設置した。
 関係機関・団体と連携して農作物被害を最小限に抑える技術指導などを徹底し、被害発生時には迅速・適正な損害評価に基づく共済金の年内支払いなど適切な対応を図るのがねらい。
 石破茂農相は会見で、今後の気象動向に細心の注意を払うとともに、「各地方自治体とも連携して農作物の作柄の安定に向けた技術指導を行い、農家の経営安定と農作物の安定供給に万全を期さねばならない」と強調した。
 また、作柄に連動しない水田・畑作経営所得安定対策の固定払いが、原則8月中に支払われるよう確認作業を行っていることを明らかにした。
 NOSAI連合会と都道県には、同日付で被害発生時の共済金の支払いや仮渡しが年内実施できる準備を進めるよう通知を発出した。

(2面・総合)

20090812_06.JPG20090812_07.JPG 【新潟支局】村上市里本庄の里本庄生産組合ほたる(磯部盛代表=50歳、構成員6人)は、8年前から転作作物としてソバの栽培を始め、出荷するだけでなく、そば粉や乾そばなど、加工・販売まで取り組んでいる。
 2008年に販売を始めた乾そば「ひめごぜん」は、「風味が良く、つるっとしたのど越しがお客さんから好評です」と磯部代表。作付面積を増やして、ひめごぜんの販売を拡大していく計画だ。
 同組合では昨年、3ヘクタールに作付けし3・5トンを生産。「もっと多くの人に食べていただけるよう、高品質で安定生産に努めていきたい」と磯部代表は話してくれた。

<写真右:ソバの元肥散布に集まったメンバー。左から2人目が磯部代表>
<写真左:乾そば「ひめごぜん」>

20090812_08.jpg 【岩手支局】二条大麦を栽培する一関市舞川の農事組合法人「アグリパーク舞川」(千葉勇代表理事、構成員5人、職員1人)では、酒造会社と連携して、地ビールを開発。地ビールは、地場産の大麦を使用しているとあって、人気を集めている。
 アグリパーク舞川では、地ビール開発に2005年から取り組んできた。昨年の春には酒造会社が「こはるビール」を限定発売。今年も春に3千本を限定販売している。麦にはビール醸造用の寒冷地向け二条大麦「小春二条」を使う。
 麦をビールの原料にするには、発芽させて麦芽にする必要があるが、近くに少量単位の麦芽を製造する施設がなかった。そのため、アグリパーク舞川では、所有していた育苗器、超音波加湿器、シイタケ乾燥機を利用して、麦芽の製造に成功している。
 今年産では新たに小麦を使用した姉妹品「こはるビールヴァイツェン」のほか、発泡酒「こはるビールエール」も発売する予定だ。

<写真:「こはるビール」>

20090812_10.jpg 【群馬支局】上野村の「黒沢食菌(黒澤典久代表)」の黒澤皆子さん(63)は、シイタケやマイタケなどのキノコの栽培・販売をはじめ、自家栽培したプラムやラズベリーを使ったジャムの販売や農業体験の受け入れなどの多角的な活動を通して、同村の活性化に力を注いでいる。
 黒澤さんのジャムは食品添加物のペクチンを使用せず、砂糖だけを加えて作る。このため、透明感があり、舌触りがさらっとしているのが特徴だ。2008年度の「かあちゃんの天下一品フェア(ぐんま女性アグリ起業ネットワーク会議・県が主催)」のジャム部門で最優秀賞を受賞したこのジャムは、自家販売のほか、同村の国民宿舎(やまびこ荘・ヴィラせせらぎ)などでも販売している。

<写真:プラムとラズベリーのジャムを手に黒澤さん>

20090812_11.jpg 【山形支局】「規格外などで出荷できずに廃棄されてしまう農産物を何とかしたい」と、山形市の東北芸術工科大学の学生がリヤカーを利用して「やおや」を開店した。契約する農家(現在13人)が野菜などを持ち込み、学生が販売。週1回の開店を待ちわびる常連客も出てきた。
 運営するのは、飯塚咲季さん(22)=美術科洋画コース、吉田勝信さん(21)=美術史・文化財保存修復学科、管野一葉さん(22)=プロダクトデザイン学科、竹田奈那さん(22)=美術科洋画コースの4年生4人だ。
 契約農家には余った野菜だけを持ってきてもらい、値段は農家が決める。売り上げの95%は農家、残りの5%が学生の取り分で、備品購入などの運営費に充て、もうけるつもりはないという。
 契約農家の一人、山形市の平尾眞太郎さん(69)は「学生たちのもったいない精神はすばらしい。流通についてもよく勉強している」と感心する。
 飯塚さんは「規格に合わなくても味に変わりはない。捨てずに活用する活動を続けたい。後輩に引き継いでいくつもり」と話す。

<写真:リヤカーを使って「やおや」を始めた学生。左から管野さん、飯塚さん、吉田さん>

20090812_12.jpg 【秋田支局】「1株に1本」で良質のスイートコーン栽培に取り組む鹿角市花輪二ツ森の奈良努さん(54)は「味には自信がある。ブランドとして確立させたい」と張り切っている。
 このスイートコーン栽培は、JAかづの青年部花輪支部(福島文英支部長、会員44人)が行っているもの。支部活動の資金確保のため、3年前から手掛けている。
 品種は「ピクニックコーン」と呼ばれる小型のもの。コーンの長さは、通常のものより10センチほど短い約20センチ。粒は大きく、薄く柔らかい皮が特徴だ。
 通常、スイートコーンは1株に雌穂(コーン)が2~3本付くが、奈良さんたちは、養分の分散を防ぐため最上部の雌穂を残し、ほかはかき取る。交配後には雄花をトッピング(切除)し、雌穂の充実を図る。「1株に1本の収穫だが、出荷単価は、通常の倍以上になる」という。
 同市用野目地区の転作田12㌃には、約6千本が育つ。奈良さんは「ほかのグループなども含め栽培面積は40~50アール。1ヘクタールまで拡大して産地化したい」と話している。

<写真:スイートコーンの圃場で奈良さん>

 【埼玉支局】埼玉県内のアライグマの被害は、面積・金額とも増加傾向にある。そうした中、SSK梨(なし)研究会(矢野学会長=35歳、会員15人)では、県春日部農林振興センター久喜農業支援部の協力でアライグマ対策に取り組む。
 研究会は、菖蒲町(S)、白岡町(S)、久喜市(K)の若手ナシ農家で結成された。現在は、鷲宮町、宮代町、春日部市、蓮田市の農家も加わり、22~42歳までの会員が視察研修や勉強会などで日々研鑽(けんさん)を図っている。
 アライグマ対策は、昨年、会員の圃場で被害が確認されたのを機に取り組み始めた。まず、県主催のアライグマ防除研修会への参加や狩猟免許の取得(会員6人)などで体制を整え、市販の箱わなを設置。その後、コストダウンのため100円ショップやホームセンターなどの材料で手作りのわなを作製した。
 鷲宮町でナシ90アール、水稲5ヘクタールを栽培する矢野会長は、「今後もわなの改良を重ねるとともに、ネットや電気柵の併用、地域住民への協力などを呼びかけていきたい」と積極的だ。

20090812_13.jpg 【北海道支局】千歳市泉郷で酪農(育成牛)と畑作経営を営む小栗力さん(63)・美恵さん(59)夫妻は、アイスクリーム&レストランカフェ「花茶(かちゃ)」=写真=を運営している。
 店内には大きな窓があり、自然の景色が広がる。「都会の人に農村でのんびりしてもらい、お互いにいろいろな刺激を受け、理解し合う場になれば」と美恵さんは話す。
 農村ならではの季節のメニューやアイスクリームなどを提供していることに加え、美恵さんの人柄から「アットホームな雰囲気」と、リピーターも多い。
 今後について美恵さんは、「自家産野菜を使った料理を提供することでお客さんは安心して来てくれます。地域農業の活性化も考えながら運営していきたい」と話している。

 ▼8月に入り、九州北部と中四国、近畿、東海、北陸もようやく梅雨明けが発表された。平年比で2週間ほど遅く、九州北部と中国、近畿、東海は、記録のある1951年以降で最も遅い梅雨明けとなった。
 ▼7月は全国的に大雨や日照不足など不順な天候が続いた。8月も太平洋高気圧の張り出しが弱く、曇りや雨の日が多い見通しだ。農林水産省は、都道府県に通知を発出し、農作物の生育回復と、水稲のイモチ病をはじめ日照不足や大雨の年に多い病害虫への警戒と防除など技術対応の徹底を呼びかけている。
 ▼特に北日本は、8月も低温・日照不足が予測され、出穂期までの低温に弱い水稲や収穫期を迎えた北海道産小麦などへの影響が心配だ。北海道は7月の降雨量が平年の2倍を超え、農作物全般に生育遅れが目立つという。市場では、ジャガイモやタマネギなど道産が多い野菜が高騰し始めた。
 ▼政権選択選挙と位置づけられた衆院選を控え、非自民政党の連立で細川内閣が発足し、大冷害に見舞われた93年との類似を指摘する報道があった。政局と気象災害の関連づけは無理があるが、不安な気持ちになる。水稲作況指数は74の「著しい不良」で、政府は米の緊急輸入を実施。水稲の共済金支払額は、過去最大の4394億円に上った。
 ▼93年の秋、北東北の稲作地帯を取材した。黄金色になるはずの稲穂は青々と直立し、稲刈りをあきらめた農家もいた。共済金の早期支払いに向け、NOSAIの組合等は組合員農家や関係団体にも協力を求め、土日返上で損害評価と取りまとめに奔走していた。
 ▼水稲では現在、耐冷性の高い品種が普及し、気象推移に応じた適切な管理を実行すれば一定の被害回避は期待できる。しかし、下がり続ける米価は農家の生産意欲を奪い、高齢化など労力不足も深刻だ。収穫の喜びを実感できる政策の不在が、被害回避に向けた農家の気力を失わせていないか。それが一番の心配だ。

 農村文化を次世代に伝える--。三重県多気町丹生の「有限会社せいわの里」は、バイキング形式で伝統的な農村料理を提供する農家レストラン「まめや」を運営。1日に約30種類の料理を提供し、休日には約150人が訪れる。肉や魚を使わず、地場産の米や大豆、野菜を中心としたメニューが人気だ。加工場ではみそや豆腐、漬物のほか昔ながらの菓子を製造し、地場産農産物の生産振興と付加価値販売につながっている。地元の若者を雇用し、年配者が農村の食や物づくりの知恵や技を伝承。集落の良さを再認識するきっかけになるとともに、若者が定住できる環境づくりが地域活性化につながっている。
20090805_01.jpg 「この地域では昔からタンパク源として大豆を食べていました。だから、お店では肉や魚は使っていません」と、せいわの里の代表・北川静子さん(54)=水稲2ヘクタール、ネギなどハウス10アール=は話す。
 せいわの里は地元住民35人の出資で、2003年に設立された。現在、メンバーは約60人いる。05年にオープンした「まめや」を活動拠点として、地場産農産物でみそや豆腐、漬物などの加工・直売や農家レストランに取り組む。
20090805_02.jpg まめやで使う大豆「フクユタカ」は、水田転作を請け負う丹生営農組合から購入。年間生産量約44トンの半分以上の24トンを使う。同組合は、水田90ヘクタールで3年周期のブロックローテーションを行い、麦30ヘクタールと大豆22ヘクタール、ハクサイ8ヘクタールなどを栽培する。中村豊實組合長(64)は「丹生地区では営農組合が生産を、まめやが販売・交流を行い、連携しています」と話す。
 野菜は、メンバーや地元農家が持ち寄って、直売所価格を参考にして精算する。
 「子供や孫においしく食べてもらおうと家庭で作る料理を、そのまま店で提供しています」と北川さん。その日に持ち寄った食材からメニューを決定する。献立は、おからサラダやいり大豆、豆乳寒天など大豆を使った定番料理、旬の野菜や山菜の料理など。1日約30品目を準備する。
 バイキングは、午前11時から午後2時まで営業し、価格は大人1千円。直売スペースも併設し、みそなどの加工品や米、野菜、竹細工を販売する。

<写真上:せいわの里まめやのメンバー。右端が代表の北川静子さん。敷地と隣接して金ゴマの圃場がある>
<写真下:取材当日は、おからコロッケやジャガイモのおかかまぶし、なます、五穀米おはぎなどが並んでいた>

(1面)

 3月の生乳取引価格(乳価)引き上げ以降、牛乳消費の減少幅が拡大し、比較的安価な成分調整牛乳や加工乳にシフトしている。農林水産省が7月27日に発表した6月の牛乳・乳製品統計によると牛乳生産(需要)量は前年同月比9・1%減少した。一方、成分調整牛乳は92・3%増加し、加工乳と合わせて53・3%増となった。日本酪農乳業協会(Jミルク)の需給見通しでは、7月以降も同様の傾向が続く見込みだ。さらにバター・脱脂粉乳は在庫量が拡大し、チーズの需要も落ち込んでいる。安価な成分調整牛乳需要の急増や乳製品需給の低迷は「乳価引き下げ圧力につながる」との懸念が広がっており、酪農経営に深刻な影響を与えかねない。

(2面・総合)

20090805_03.jpg 「農家と消費者をもっと身近に結びつける手伝いをしたい」と、農家の田畑を会場に、農業体験などのイベントに精力的に取り組むのは、千葉県佐倉市を拠点に活動する「でんぱた舎」の寒河江早苗さん(35)。田植えや大豆播種、野菜収穫などを楽しみながら、農作業の意味や大変さなどもやさしく解説する。消費者に生産現場が理解されていない「食農分離」が指摘されて久しいが、両者を結ぶコーディネーター役はまだまだ少ない。企画、参加者の募集、農家との打ち合わせ、当日の受け入れ対応--など何役もこなす寒河江さんを取材した。
 「今日作る案山子〈かかし〉の役割を知っているかな」「スズメなどからお米を守ってくれるんだよね」「よく知ってるなあ。かっこよく作ってね」
 7月25日に開かれた「案山子作りとブドウの袋かけ」には、7家族・合計20人ほどが参加した。
 でんぱた舎は、水稲農家、野菜農家、果樹農家など5戸の協力で、3月から12月まで毎月2~3回、農作業や収穫を取り入れたイベントを開く。保育園や小学校、生産者団体などのイベントも手がけ、2008年は合計33回の企画運営を行った。
 寒河江さんはでんぱた舎を07年7月に立ち上げ、08年2月に「グリーンツーリズム・インストラクター」の資格を取得した。「初めは遠慮していたけれど、ようやく垣根なく話し合えるようになった。一山越えた感じですね」とほほ笑む。

<写真:季節ごとの農作業と作物の様子を説明する寒河江さん(右写真は中央)。「農業の楽しさ、大変さも一緒に伝えたい」という>

(3面・暮らし)

20090805_04.jpg 長野県のNOSAI東信(東信農業共済組合、佐藤治郎組合長)では、損害防止事業の一環として、水稲のイモチ病発生予察支援装置(クロップナビ)を購入、JAや関係機関の協力を得て適期防除を支援する。設置した管内23カ所の圃場から毎日収集されるデータは、イモチ病発生予察情報としてインターネットなどを通じて農家に提供。追肥時期や稲刈り適期などもわかり、良質米生産につながっている。
 「管内では標高400~1千メートルで水稲が作付けされており、イモチ病が出やすい。3カ年計画でクロップナビの設置を進めている」とNOSAI東信農作畑作課の山浦将来課長は話す。
 水稲の損害防止事業は、NOSAI、JA、農業改良普及センター、市町村で構成する「いもち病発生予察ネットワーク」が取り組む。NOSAI東信は、クロップナビを購入して管内4JAの各営農センターに無償貸与し、2年間で23台を設置した。
 水稲品種は「コシヒカリ」が多い。クロップナビは、イモチ病の発生率が高い圃場近くに設置され、5月中旬から10月中旬まで気温、降水量などの気象データを収集する。
 データは毎日、分析・加工のため農業改良普及センターなどに送られ、翌日インターネット上に表示される。また移植日を入力すると、出穂日と収穫日の予測が表示されるため、追肥や稲刈りなどの計画が立てやすいのも特長だ。

<写真:JA佐久浅間しらかば西部営農センター管内の圃場でクロップナビを見守る左から田中茂センター長代理、山浦課長、森本芳則さん>

20090805_05.jpg 山口県と福岡県を中心に中国地方と九州北部地方で局地的な大雨となった「2009年7月中国・九州北部豪雨」では、各地で水稲の冠水や農地への土砂の流入など大きな被害が発生した。各地のNOSAIの組合等・連合会では共済金の早期支払いに向け、迅速・適正な損害評価に全力を挙げている。 農林水産省によると7月30日現在、農作物や農地、農業用施設などの被害額は58億円を超えた。主な被害地域は、山口県、福岡県、佐賀県、島根県など。
 内訳は、水稲や大豆、野菜などの冠水・流出・土砂流入などの被害面積が3158ヘクタールで、被害額は4億600万円、営農施設の破損は24カ所で被害額は400万円、家畜などにも2500万円の被害が出た。農地の損壊は2253カ所で被害額は24億8300万円、農道・ため池など農業用施設の損壊は1964カ所で被害額は29億3400万円となった。

<写真:河川のはんらんで土砂が流入した水田(福岡県篠栗町、NOSAI福岡提供。7月29日撮影)>

(5面・NOSAI)

20090805_06.jpg 岐阜県高山市国府町上広瀬の上広瀬果樹組合(43戸)は、岐阜県中山間農業研究所(飛騨市)と共同で、凍害を受けてモモの若木が枯れるのを防ぐ台木品種を開発した。新品種「ひだ国府紅しだれ」は地域在来のハナモモから選抜。台木にすると、野生モモなど従来品種に比べて枯れる割合が減少し、同等の収量や品質を確保できる。地域のモモ農家は、20年近く若木の枯死に悩まされてきたが、山脇高男組合長(62)=モモ1ヘクタール、リンゴ20アール=は「この台木のおかげで、産地として生産を続けていける」と話している。
 高山市国府町は名古屋方面を中心に人気の「飛騨桃」の産地。地域では4~5年生の木が枯れることが多かったという。「秀品がとれるようになるのはだいたい5年目から。その木が枯れる損害は大きい」と、上広瀬果樹組合の舩坂正信さん(52)=モモ1・2ヘクタール、リンゴ15アールなど=は話す。
 中山間農業研究所によると、枯死は近年の暖冬の影響で発生する凍害などが主な原因。暖かさで休眠状態から目覚めたモモが、寒の戻りの低温に耐え切れず枯れてしまう。
 ひだ国府紅しだれは従来の台木品種に比べ冬場の休眠が深く長いため、春先に気温が下がっても枯れにくいという。根が土壌の垂直方向に深く伸びるため、地温の影響を受けにくい。ワセンチュウなど土壌センチュウが根につきにくいなどの特徴を持つ。
 同研究所の宮本善秋専門研究員は「圃場ごとに木が枯れる理由はさまざま。いくつか長所を持つこの台木が国府町の土地に合い、枯死を防いでいると考えられます」と話す。

<写真:「若木が枯れなくなって組合員も喜んでいる」と話す山脇組合長㊨と舩坂さん>

(11面・営農技術)

 【広島支局】地域住民で構成する「上根・向山振興会」(安芸高田市八千代町、久保野哲也会長=73歳)では、地域の農家が作る米を水車を使って精米し、地域の棚田を守るため、「水車米」のブランド化を目指す。おにぎりの販売や田植え体験の実施など積極的な取り組みは、固定客の確保へとつながりつつある。

20090805_07.jpg 特に、八千代町内の本郷地区の棚田で作られた米は「棚田水車米」として販売。「水車を使って精米した米をブランド化することで、おいしいお米ができる棚田を守っていきたい」と久保野会長は話す。水車は、「潜龍峡ふれあいの里」(同町)に設置されていた水車を改造して使用している。
 また、併設するレストハウスでは、水車米や棚田水車米のほか、手作りのおにぎりなども販売。
 訪れるのは2回目という広島市から来た利用客は、「友達から、『おにぎりがおいしい』と薦められたのがきっかけ。本当においしかったので、また来ました。今日は棚田水車米を買います」と話す。
 今後は水車を1機増設し、水車米のブランド化に勢いをつける予定。さらに、もっと多くの人に棚田を知ってもらおうと、今年初めて都市住民を対象に田植え体験を実施した。

<写真上:「水車米で棚田を守っていきたい」と久保野会長>
<写真下:水車小屋でぬか取り作業をするのは男性の仕事>


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20090805_09.jpg 【高知支局】「遊休農地の解消と餌代などのコスト低減になれば」と、室戸市佐喜浜町の山口信吾さん(44)は牛の放牧に取り組んでいる。「遊休農地10㌃に対し1、2頭を数日間貸し出す、いわばレンタル牛を目指しています」と話す山口さん。現在、親子合わせて11頭の土佐褐毛和種を飼育している。
 遊休農地に放牧するためには、電気牧柵に慣れた経験牛が必要。現在、放牧場や自作地で電気牧柵を用いて放牧し、経験牛を育成中だ。
 個人での経験牛の養成は、県内では珍しく、県の畜産振興課は「土佐褐毛和種は放牧特性に優れており、イノシシなどの獣害を予防したり、里山の保全も期待できる」とエールを送る。
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<写真左:放牧特性に優れている土佐褐毛和種と山口さん>
<写真右:増頭のために建てた簡易育成施設。建設費は通常の半額以下に抑えた>

20090805_11.jpg 【岩手支局】養液栽培システムを導入している、紫波町宮手の株式会社銀河農園(橋本正成代表取締役=57歳)では、農薬を抑えて生産したトマトを、独自ブランドで周年出荷している。
20090805_12.jpg 栽培システムは、全国でも3例目という、土を使わないスプレーポニック栽培。培養液のチッ素分などをコンピューター制御することで、樹勢をコントロールし、コンパクトな木で高品質なトマトが多収できる。
 使った培養液は回収し、調整後に繰り返して使え、廃液が出ないため、環境への負荷も少ない。橋本さんは「農薬は通常に比べ約6分の1。環境に負担をかけず、元気なトマトを育てられる」と話す。


<写真左:トマトハウスで橋本さん(左から2人目)と研修生。研修生は、岩手県立農業大学校の卒業生だ>
<写真右:「賢治のトマト」の商品名で販売>

20090805_13.jpg 【福島支局】「深く耕すことなく、真っすぐで長いゴボウを作ろう」と、浪江町高瀬の吉田悦夫さん(72歳、水稲1・6㌶、畑10㌃)は、ビニール製の肥料袋と、パイプハウスの鉄骨を利用した栽培に挑戦している。
 方法は①ビニール袋を縦に二つ重ねる②内側に鉄骨の支柱を立てる③肥料を混ぜた土を目いっぱい入れる④袋の中でゴボウを栽培する――というもの。
 ゴボウ栽培を始めたのは昨年からで、「まだまだ試験的な栽培規模ですが、ゆくゆくは直売所などで『うまいゴボウ』として販売してみたい」と吉田さんは話す。

<写真:「収穫はビニール袋をカッターなどで切りゴボウを手で抜くだけ」と吉田さん。品種は「滝野川ごぼう」>

20090805_14.jpg 【千葉支局】「スライスされた水ナスが、氷の上に並べられて出されました。ワサビじょうゆで食べると、おいしかった」――。九十九里町小関の高橋政利さん(52)、富美子(ふみこ)さん(45)夫妻は、5年前に食べた「水ナスのお造り」のおいしさに魅せられて、ハウスで水ナスの栽培を始めた。
 水ナスは水分が多く、あくが少ないため、サラダや一夜漬けなど生食に向く。市場出荷のほかハウス隣の作業場で直売し、「『おいしかったから』と何度も足を運んでくれるお客さんがいて、人気があります」と政利さん。

<写真:水ナスのハウスで高橋さん夫妻。水ナスはミツバチ交配だと種ができるので人工授粉するという>

20090805_15.jpg 【長崎支局】「材料は、身近にある竹と割りばしです」と話す大村市の山口千恵子さん(66)方では、「マルチ押さえ」を自作して、自家用の野菜作りに役立てている。
 作り方は簡単で、長さ約20㌢、幅約2㌢の竹の杭(くい)を作り、その杭の頭に穴を開けて、割りばしを差し込むだけだ。
 山口さんは、この器具を約50㌢間隔で使用。「これで全くはがれなくなりました」と喜んでいる。

<写真:「マルチ押さえ」を手に「これでマルチがまったくはげなくなりました」と山口さん>

20090805_16.jpg 【新潟支局】「今の時期は朝4時ころには家を出て、トキがよく訪れる場所で観察しています」と話す佐渡市羽茂本郷の酒川善一さん(62歳、NOSAIさど総代、事業推進員、水稲20㌃)は、昨年9月のトキの放鳥から観察を続けてきた。今年6月からは、佐渡市が公募したトキ保護監視員となり、本格的に活動している。
 酒川さんは毎日3回程度、トキが飛来してくる場所に出掛け、トキを観察して情報をリアルタイムで報告。特に、個体番号06と11の2羽は、羽茂上山田地区の調整水田のドジョウや、周辺の田んぼにいるミミズなどをついばみに毎日訪れており、酒川さんが近くに寄っても驚かなくなってきているという。」と話す。

<写真:「旅行に行く日も、早朝の観察をしてからでないと落ち着かない」と酒川さん>

 ▼岡山県美作市や群馬県館林市などで竜巻が発生し、多くのけが人や住宅、自動車などへの被害をもたらした。気象庁によると、最近は年間平均で約17の竜巻が発生。竜巻とみられる突風被害は、今年4月以降だけで10を超える。
 ▼竜巻は、積乱雲の発達で生じる激しい渦巻きで、柱状の雲を伴う。短時間で幅数十~数百メートルの狭い範囲に被害が集中するのが特徴だ。早いものは秒速25メートルで移動し、長さが数キロに及ぶ例もある。年間を通して発生するが、月別では夏以降の8~11月に多く、台風シーズンの9、10月が特に多い。
 ▼渦にならなくてもダウンバーストと呼ばれる破壊的な強風被害を引き起こす場合がある。局地的な大雨をもたらす「ゲリラ豪雨」も急速な積乱雲の発達による災害だ。
 ▼家ごと吹き飛ばす米国中西部の竜巻ほどではないが、日本でも電柱や太い樹木が根こそぎ倒れる被害が出ている。自動車や車庫など簡易な構造物では防ぎきれない。ビルなど頑丈な建物の中で、ガラス窓から離れた場所に避難するのが最も安全という。木造住宅ではできるだけ1階の窓から離れた位置に隠れ、やり過ごすしかない。
 ▼気象庁は、昨年3月から「竜巻注意情報」の発表を始めた。積乱雲の発達で竜巻など突風の発生が予測される際に、都道府県単位で1時間前に注意を呼びかける。屋外での作業が多い農家には、ラジオなどの気象情報が参考になる。ただし、現在の観測技術では正確な予報は難しい。黒い雲が近づいて周囲が急に暗くなったり、雷光が見え雷鳴が聞こえるなど積乱雲が発達する際の兆候を見逃さず行動する必要がある。
 ▼日本では冷夏傾向が強まるというエルニーニョ現象の発生が確認され、8月の予報は北日本から西日本にかけて低温や日照不足の可能性が高いと発表された。水稲など農作物への影響も懸念される状況にある。これから秋に向けては、例年以上に気象変化への警戒と備えが重要だ。

20090730_01.jpg 「お客さんの声を聞き、作り手の思いも伝えられる農業」の実現を目指し、地元農家など10人が力を合わせる会社が北海道旭川市西神楽にある。農業生産法人「有限会社西神楽夢民村(むうみんむら)」は、経営面積約150ヘクタールで水稲や野菜、畑作物、花きを生産。農産物を道内外の飲食店や個人などに販売する。全国のデパートの物産展やイベントなどに出店し農産物をPRすることで、顧客を増やしてきた。代表取締役の島秀久さん(55)は「後継者が育つ農業にするためにも、自分たちが作ったものをお客さんに適正な価格で買ってもらえる信頼関係づくりが大事」と話している。
<写真:出荷間近のトウモロコシの出来を確認する小林さん。「旬の農産物」という商品名の野菜の詰め合わせは、60件ほどに発送する>

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◇物産展など利用し顧客獲得/適正価格の取引支える信頼関係

 旭川空港にほど近い旭川市西神楽地区。構成員や地元農家から借りている夢民村の圃場は、端から端まで25キロある。
 夢民村は、40~50歳代の農家9人と新規参入者1人で運営している。農家はJA青年部のOBで農業体験や料理教室など消費者交流に取り組んできた仲間だ。
 現在、構成員と正社員4人、パート約40人で生産・販売に取り組み、昨年は2億9400万円を売り上げた。
 米は人気商品の一つ。収穫後にJAへ出荷し、客からの注文に応じてJAから買い戻して販売する。取り扱う品種は「彩(あや)」「ほしのゆめ」「きらら397」だ。
 事務所で購入申し込みを受けた場合、彩の販売価格は10キロで4300円。年間契約は、個人で約300軒、レストランや弁当屋など10軒ほどに届けている。
 販路を広げるため、積極的に参加するのは全国のデパートで開催される北海道物産展や道内のイベントなど。出店の要請は農繁期に多いが、島さんは「機会をもらえるのはありがたいこと」と話す。
 ブースに米や野菜を並べ、販売担当の島さんや社員が接客する。購入客には事務所の連絡先を伝え、注文の案内をする。「今の夢民村があるのは、会場で出会うお客さんのおかげです」と、販売を担当する社員の土田正徳さん(36)は話す。

<写真:デパートの物産展に出展した夢民村のブース。消費者だけでなく、実儒者とも知り合う機会になるという>

 農林水産省は7月22日、花き産業振興方針検討会(座長・腰岡政二日本大学教授)を開き、新たな花き産業振興方針の策定に向けた中間取りまとめ案を示した。花離れの進展などから消費減少が懸念される中、消費者が求める花の日持ち性向上への対応強化を柱にした需要拡大策の必要性を強調。花きの取り扱い方など正しい知識の普及や花育の推進、日持ち保証販売や生産者から小売りへの直送など具体策を提示した。品質管理の徹底や生産者・産地の積極的な情報提供の重要性も指摘した。同省では可能なものは8月末に提出する2010年度政府予算の概算要求に盛り込む考え。来年3月までに最終取りまとめを行い、新たな食料・農業・農村基本計画に反映する。

(2面総合)

20090730_03.jpg 九州北部や中国、四国地方で7月21日、局地的に激しい大雨が降り、各地で農地、農作物などに甚大な被害が発生した。中でも山口県では21日午前8時までの1時間雨量が80ミリを超える猛烈な雨を観測。降り始めから22日午前8時までの雨量は、防府市で332ミリ、山口市で295ミリを記録した。
 農林水産省がまとめた7月23日現在の被害状況は、島根、山口、岡山を中心に、水稲、大豆、果樹への冠水・土砂流入などの被害が304カ所(777ヘクタール)で発生。農地の損壊は島根、岡山、広島、山口、愛媛などで212カ所、農業用施設の損壊は235カ所で発生している。
 被害直後から各地のNOSAIでは、被災農家に適切な被害申告を呼び掛けるとともに、管内の見回り調査を実施。被災農家への共済金早期支払いに向けて、適正迅速な損害評価に全力を挙げている。
<写真:土石流で家屋や圃場に被害を受けた(山口県防府市、7月23日)>

(2面・総合)

20090730_04.jpg 「里山の大切さを多くの人に知ってもらい、一緒に守っていきたい」と話すのは、東京都稲城市百村で「稲城里山元気塾」を主宰する内田竹彦さん(42)。父の忠敬さん(72)と内田農園(畑40アールなど)を経営し、雑木林(4ヘクタール)を管理する。昨年7月、友人2人と元気塾を立ち上げ、参加者を募って農作業体験を楽しんでもらうほか、里山を散策しながら、自然環境の大切さを伝える活動を行っている。

 稲城里山元気塾では月1回を基本に、季節に応じた農作業体験などを企画している。野菜の播種や収穫、ジャガイモ・サツマイモ掘り--など。作業の後は、取れたて野菜をみんなで料理して昼ごはん。草木染めや「夜の雑木林探検」などの企画も好評という。
 参加費は1家族1千~1500円。募集はインターネットやチラシなどで行い、多いときは30人ほど集まるという。野菜の豊富な春や秋、子供たちの夏休みの期間は、イベントの回数を増やす。
 農作業体験と併せて、スケッチブックに描いた手作り資料で、里山を中心とした自然循環や、生息する生物の多様性、長い歴史をはぐくんできた先人の知恵などを紹介するのも特徴だ。

<写真:ニンジンの収穫作業。「野菜がどうできるかを知ってもらうのは、大人にも子どもにも大切なことです」と竹彦さん(右)。左から佐藤さん、和田さん>

(3面・暮らし)

 三重県のNOSAI桑員〈そういん〉(桑員農業共済組合、水谷元組合長理事)では、NOSAI部長が建物共済の加入推進や共済細目書の取りまとめを行っている。管内は名古屋市に近く、宅地化が進んでいる地域も多い。NOSAI部長は、地域農業を支えるため、災害に備える大切さを伝えながらNOSAI制度の普及に努めている。

20090730_05.jpg50年以上のNOSAI部長歴 星野 義昭さん

 「農業を長く続けるためには、自然災害への備えとしてNOSAI事業が欠かせない」と話すのは、桑名市大福地区の農家、星野義昭さん(80)。1955(昭和30)年から50年以上もNOSAI部長を務めている。
 星野さんは「自然災害は起こらないのが一番だが、何もないときこそ十分な備えと心構えが大切」と強調。「地区の会合など日ごろの生活の中でNOSAI部長としてNOSAI制度の仕組みなどを説明している」と話す。
 星野さんがこう考えるのは、59(昭和34)年9月に発生し、桑名市などが被災した伊勢湾台風の経験からだ。当時、大福地区では海面の上昇に伴い、52日間にわたって宅地や農地に海水が冠水したという。
 「被害の大きさは今でもはっきり覚えている。大きな災害を経験しているので、備えの大切さを実感している」と話す。

<写真:NOSAI桑員の職員と、建物共済の仕組みについて話す星野さん(左)>

(5面・NOSAI)

20090730_06.jpg 有機農業推進で課題となっている販路確保などの情報交換を目的に、農林水産省は7月21日、「全国有機農業モデルタウン会議」を開催。行政や有機農業者、流通関係者など約260人が参加した。同省は本年度、47地区をモデルタウンとし、有機農業を振興する。学校給食への農産物供給などモデルタウンの取り組み事例を報告し、意見交換した。有機農業者からは「いろいろな表示があり、消費者がわかりにくい。わかりやすい表示制度にしてほしい」など意見が出た。


消費者の理解が必要 <有機農業推進委員会会長 茨城大学農学部・中島紀一教授>

 有機農業に対する消費者の関心の高まりは、民間の取り組みだけでは考えられないスピードと規模で広がっている。しかし、雰囲気やブームから有機農業は良いと言っている消費者も多い。
 有機農業推進法には、消費者に有機農業の理解を広げる重要性が書かれている。モデルタウン事業で消費者向けの講座を開くなど、消費者に有機農業への理解を広げていくことが課題だ。


<写真:「優良事例を参考にして有機農業の推進を図ってほしい」とあいさつする農林水産省の本川一善生産局長>

(8面・流通)

20090730_07.jpg 欧州系ブドウを栽培する神奈川県藤沢市長後の井上毅さん(55)は、考案したアーチ仕立てで品質向上に取り組んでいる。ハウス内で鉄パイプをアーチ型に組み、頂上に沿って一文字に仕立てて房を付け、結果枝を垂らす仕立て法だ。棚仕立てに比べて光が入るため着色がよくなり、管理が容易で省力化が図れる。販売は直売所が中心のため、「利用客を飽きさせないことが大切」と考え、多品目・多品種の果樹を栽培している。
 1・6ヘクタールの果樹園ではナシ(80アール)を主体にブドウ(30アール)、洋ナシ、ウメなどを栽培。ブドウは「マニキュアフィンガー」「ジーコ」「紅高」など欧州系を中心に15~16品種を作付ける。
 210坪の無加温ハウスには、10品種以上のブドウが房を付けている。「欧州系の魅力ある味を安定生産したい」と考えてアーチ仕立てを考案した井上さん。「基本的には一文字整枝と同じ」という。アーチの頂上で主枝を伸ばし、房を付けるのが特徴だ。結果枝はアーチに沿って下に垂らしている。棚仕立てに比べると、光線が中まで入り、剪定(せんてい)などの管理が容易になった。
 枝同士の交差を避けるために、樹間は8~10メートルを確保。収量は10アール当たり1500キロで、1房500グラムのブドウを目標にしている。

<写真:「欧州系品種は、房に色がついてからの灌水は劣化に注意が必要」と井上さん>

(9面・営農技術)

20090730_08.jpg 【秋田支局】「スイカ産地のレベルアップを」と、横手市雄物川町今宿の小野茂さん(62)は昨年から、果皮の色が異なる3種類の中玉スイカ栽培に取り組み、東京・築地市場へ出荷している。今年は「3色スイカ」として本格的に販売を開始する。
 スイカの栽培を始めて30年という小野さん。これまでも、スイカの新品種の栽培に積極的に取り組んできた。今年は70アールを栽培し、うち15アールに中玉スイカを植えている。
 「昨年は、贈答品用として老舗の果物店や、都内の高級料理店に引き合いが多かった」と話す小野さん。「この地域に適した特色あるスイカが、今後の産地としてのカギを握るのでは」と中玉スイカに期待する。
<写真=小野さんは今年から本格的に3種類の中玉スイカ栽培をスタート>

20090730_09.jpg 【山口支局】5アールでレモンを栽培する周防大島町の杉田与さん(75)は、2003年からミラクルフルーツの栽培も手がけ、レモンとセットにして道の駅に出荷している。
 ミラクルフルーツは西アフリカ原産。2メートルから4メートルの低木で、2センチ程度の小さな赤い実をつける。実を口に入れてなめ続けると、舌の甘味を感じる神経が刺激され、酸味を甘く感じるという。
 周年で花を咲かせ、実を付けるが、日本での越冬は難しく、栽培は一年を通して、湿度70~80%、温度20~30度に保つ必要があるという。
 「ミラクルフルーツでレモンの需要が増えればうれしい」と杉田さん期待を寄せている。
<写真=「ミラクルフルーツはレモンとセットにして、週に1度、道の駅に出荷している」と杉田さん>

20090730_10.jpg 【広島支局】近年の健康志向に着目し、地元の特産にと、福山市の農業生産法人「アグリインダストリー」(岡田吉弘社長)では、紫落花生やもち麦など、栄養価の高い紫色の作物を栽培している。
 常務取締役の石井一孝さん(32)は「紫の作物はポリフェノールを多く含んでいるうえ、県内では珍しい」と価値を見いだした。今年から紫ニンジンの栽培も始めるなど、積極的に挑戦する。
 栽培は同市駅家町と岡山県の圃場約17ヘクタールで行っていて、加工は市内の「株式会社紫萌堂」が請け負う。
<写真=「地元産を使うことで、地域の活性につながれば」と石井常務(左)と丹下課長>

20090730_11.jpg 【栃木支局】「この地域で誰も作っていない野菜を、楽しみながら栽培しています」と話す、さくら市の岡崎清治さん(53)は、約1・2ヘクタールで珍しい西洋野菜を作っている。
 作付けている品目は、スイスチャード、花ズッキーニ、イエローズッキーニといった西洋野菜のほか、生食用のカボチャ「コリンキー」など。収穫した野菜は、地元にある道の駅を主体に、県内のレストランや大型スーパーなどに卸している。
 レストランへは、岡崎さんが直接配達。シェフから評価を聞いて、経営に生かしているという。「珍しい野菜だけでは顧客はすぐに飽きてしまうため、ニーズにあった野菜を毎年検討し、導入している」と岡崎さん。顧客からの要望で始めた、珍しい野菜も多い。
<写真=「丹精込めて栽培した珍しい西洋野菜です」と岡崎さんと妻のよし江さん(54)>

20090730_12.jpg 【山形支局】山形市下反田の寒河江胤男(つぐお)さん(66)は、妻の昭子(てるこ)さん(64)とともに多品目の野菜、花、果樹などを栽培し、地元の産直施設へ出荷している。市内で行われる朝市などにも出店し、種類の豊富さが評判だ。
 定年退職を機に野菜栽培を中心とした農業に専念。遊休農地を借り受け、栽培面積を広げてきた。野菜1ヘクタール、果樹55アール、花10アール、水稲50アールなどを栽培している。
 野菜、花ともに露地栽培で、ナスとナンバンは苗を購入するが、ほかはすべて種から栽培。春から秋まで品目が途切れないように多様な種類を栽培し、同じ作物でも播種時期をずらす。
 寒河江さんは「いろんなものを少しずつ植えている。何種類作っているかなんて、わからないなあ」と畑を見回しながら話す。
<写真=寒河江さん。ナスやズッキーニなどの野菜や、ベニバナなどの切り花など、今の時期、畑の作物は30種を超えるという>

20090730_13.jpg 【徳島支局】「食育の教材になればと考えました」と話す、つるぎ町の大塩邦光さん(73)は、わら草履を利用したユニークなつり下げ法でスイカを栽培する。
 方法は、ポリバケツに支柱を4本立て、ツルを絡ませて実をならせるあんどん仕立て。スイカの重みを支える工夫がポイントになる。そこで思いついたのが、毎年、中学生に受験のお守りとして渡しているわら草履だ。
 「手作りなので、スイカの成長に合わせて履き替えさせることができるので便利だと思いました」と大塩さん。最初は10センチのわら草履を履かせていたが、成長に合わせて徐々に大きくし、今は約20センチ、3足目だ。
 大塩さんは「教室のベランダでも育てられるので、子供たちにもぜひ挑戦してもらって、成長の楽しみや収穫の喜びを感じてほしい」と話す。
<写真=「わら草履で支えています」と大塩さん>

20090730_14.jpg 【福岡支局】宮若市内の若手農家7人で構成する「宮若4Hクラブ(安田久雄会長・33歳)」は、栽培したサツマイモを原料にした「本格芋焼酎・宮姫」の販売を始めた。 同クラブでは2005年から、無農薬・無化学肥料栽培米を使った焼酎を製造・販売している。
 芋焼酎造りは昨年、市内の子供たちと一緒に約2千本の「ベニサツマ」の苗を植え、無農薬で栽培。12月に食用と焼酎用を収穫し、久留米市の酒造会社に醸造を依頼した。
 芋焼酎は、1500本(720ミリリットル、税込み1800円)製造し、順調に販売量が増えている。安田会長は「特産品となるよう、品質の向上や宣伝に力を注いでいきたい」と話す。
<写真=焼酎を手に安田会長(左)とメンバー>

 ▼衆院が解散し、8月30日の投開票に向け事実上の選挙戦がスタートした。今回の選挙は、自民、民主の両党を軸にした政権選択選挙と位置づけられている。
 ▼前回の衆院選は、構造改革の象徴として郵政民営化の是非に焦点が絞られ、自民党が圧勝した。農政は、農業の構造改革を掲げた品目横断的経営安定対策(水田・畑作経営所得安定対策)の具体化と生産調整見直しの議論のさなかだった。
 ▼品目横断的経営安定対策は、農業者・団体による主体的な米需給調整への移行を目指した米政策改革、農地・水・環境保全向上対策とともに2007年4月に導入した。しかし、規模要件など担い手の絞り込みに小農切り捨てとの不満が強く、同年の参院選は、戸別所得補償政策を掲げた民主党が大勝。出来秋の大幅な米価下落もあって政府・与党は政策の軌道修正に迫られた。
 ▼今回の衆院選でも、世界的な経済危機からの脱却や地球温暖化対策などと並び、農政改革と農山漁村活性化対策は重要な争点だ。政府・与党は、本年度から米粉や飼料用米など新規需要米振興を打ち出して水田フル活用政策を展開。09年度補正予算で1千億円余を確保し、農業所得向上にも目を配る。ただし、農相主導で着手した米の生産調整見直しを含めた農政改革の検討には、自民党農林幹部が反発し、議論の集約に至っていない。
 ▼一方の民主党は、引き続き戸別所得補償政策を掲げて農業者票を集め、政権交代を目指す方針だ。12年度とした導入時期の前倒しも視野にマニフェスト(政権公約)の検討に入った。
 ▼日本農業は後継者不足や農産物価格低迷などの問題を抱えて存亡の危機にさえ直面し、農山漁村の疲弊は深刻化している。1票を投じる判断ができるよう、各党には農業・農村の将来展望を開く理念と明確な具体策を示してほしい。

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