堆肥を土作りに使用した地域ブランド米「じゃんご米」を支えよう――秋田県仙北市田沢湖神代地区の農家と県外の米小売店が協力して運営する任意組織「田沢湖牛銘柄確立推進組合(モートピア神代)」は、30頭の繁殖牛経営に取り組み、米作りに不可欠な牛ふん堆肥を地域に供給している。モートピアは、1997年に設立され、12年にわたって活動を続けてきた。モートピアを応援する消費者組織「じゃんご倶楽部〈くらぶ〉」を立ち上げ、生消交流にも積極的だ。モートピアの顧問を務めるJA秋田おばこの藤村正喜組合長は「生産のプロと流通のプロが責任を持って消費者に米を届けたいと活動してきた。消費者との信頼関係を築く交流を進め、さらに地域を元気にしていきたい」と話す。
「じゃんご」とは、秋田の方言で田舎のこと。じゃんご米は、牛ふん堆肥を10アール当たり1~1・5トン施用し、県の特別栽培米やJAこだわり米の基準で栽培した「あきたこまち」のブランド名だ。化学肥料はチッ素換算で10アール当たり4キロ以下、農薬は1成分を1回と数えて10回以下に抑えている。
今年は「JA秋田おばこ神代有機米生産研究会」を中心に、農家54人が61ヘクタールを作付けた。昨年の集荷量は487トンだ。
モートピア神代は、農家14人と千葉県、静岡県、東京都の米小売店主10人で構成。農家2人を常時雇用し、30頭の和牛を飼育する。昨年は、子牛22頭を販売した。
堆肥は、牛舎2棟で集めたふんに酵素を混ぜ、堆肥舎で切り返し、十分に腐熟させて作る。
神代地区の米は、食味が良いと高評価を受けてきた。藤村組合長は「冷害で不作の年でも、牛ふんを使った農家は被害が少なく、全国から引き合いがあった」と振り返る。
ブランド米として流通が軌道に乗ったものの、91年の牛肉輸入自由化などから、牛の飼養頭数が減少。堆肥の確保が困難になっていた。また高齢化が進み、重労働の堆肥散布も敬遠されつつあったという。危機感を持った県外の米小売店は95年、堆肥散布機12台の購入に対し、資金援助を申し出る。これを機に、1人当たり40万円の出資金を元手に生産者と米小売店が共同出資し、モートピア神代を設立した。
静岡市で片山米店を経営する組合員の片山岳彦さん(48)は、「じゃんご米は、甘味があり粒がしっかりしている。神代地区の環境や農家の人柄も含め、この米なら消費者の方に薦められる」と評価する。
<写真上:堆肥を手にする藤村組合長。「切り返しを十分に行い、使いやすく、水田に適した堆肥に仕上げている」という>