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今週のヘッドライン: 2009年10月アーカイブ

091029_01.jpg 八尾の農業を元気に――大阪府八尾市恩智中町の「おんぢ若菜の会」は、地場野菜をたくさん食べてほしいと食育に力を入れている。女性中心に出荷農家19人で組織し、2001年から週1回直売所を開く。野菜の下処理や料理法を知らない人が増えているため、試食品を並べるなどおいしい食べ方を提案し、販売につなげている。若いお母さんに特産の若ゴボウやエダマメの味を知ってもらおうと、06年から地元幼稚園で料理教室を開催。洗い方やあく抜きなど下処理から料理方法を教えている。

091029_02.jpg おんぢ若菜の会の直売所は、近鉄大阪線・恩智駅から徒歩5分の住宅街にある。毎週金曜日に直売所を開き、営業時間は午前7時~11時半だが、常連客は品ぞろえが良い時に買い物しようと午前6時ごろから訪れる。
 代表の畑中里子さん(65)=露地野菜50アール=は「互いの顔が見える直売所にしています。試食で味見してもらうと同時に調理法を教えています」と話す。
 同市黒谷から訪れた板東紀久子さん(34)は「地元の野菜が安く手に入るのが魅力です。スーパーにはない野菜の食べ方を教えてもらえるので、料理のレパートリーが増えます」と喜ぶ。
 八尾市はなにわ特産品に選定された「若ごぼう」の産地として知られる。若ごぼうは葉・軸・根と丸ごと食べるが、根の砂取りやあく抜きなど下処理が必要。「産地なのに住んでいる人が食べ方を知らないのはさみしい」と畑中さんは話す。
 若いお母さんに料理してもらおうと、若ゴボウの出荷が最盛期を迎える3月に、地元の幼稚園に出向く食育活動に取り組む。洗い方やあく抜きなど下処理を教え、若い人向けに軸や根を使ったパスタなどメニューを提案する。
 「みんな熱心に話を聞いてくれます。翌日、子供の弁当に料理を入れたと聞くとうれしいですね」と畑中さん。「子供たちに地場野菜を食べてもらい、ふるさとを大事にする心を身につけてほしい」と期待する。

(3面・暮らし)

<写真上:直売所は、午前6時過ぎから常連客が訪れ、活気であふれている>
<写真下:幼稚園でサツマイモ掘り体験前に、ツルの煮物を教える。「サツマイモだけだなくツルも持ち帰ってますよ」と畑中さん(左)>

 農林水産省が来年度予算概算要求に盛り込んだ戸別所得補償制度のモデル事業は、主食用米の生産数量目標に即した生産を条件に、標準的な生産費と販売価格との差額を全国一律単価で直接支払いする。生産調整を基本としてきた水田農業政策の転換を目指す。生産数量目標や補てん基準となる単価などの決定は11月中になる見通し。米価低迷が続き、現行の生産調整が行き詰まる中、生産現場の期待は大きい。一方、事業の実施体制など詳細が明確でないため、不安感も強い。

(2面・総合)

 北海道農政部は21日、今年の冷害などによる農業の被害見込み総額が10月1日現在で、595億円に上ると発表した。被害農家戸数は2万5800戸で、被害面積は49万8千ヘクタールに達している。
 作物別の被害見込み金額は水稲が168億円(被害面積8万9千ヘクタール)で最も多く、麦類123億円(8万5千ヘクタール)、野菜79億円(1万5千ヘクタール)、ジャガイモ70億円(2万9千ヘクタール)――など。支庁別では十勝の被害が168億円と最も多く、空知116億円、上川103億円などとなった。
 北海道では7月以降、低気圧の影響で低温や多雨、日照不足となり、8月に入ってからもオホーツク海高気圧などにより低温、日照不足で推移した。水稲は低温障害により不稔(ふねん)が多発し、小麦は収穫期の降雨で穂発芽が発生。豆類やジャガイモやテンサイ、飼料作物などでは、湿害による生育不良の被害が発生した。

(2面・総合)

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は29日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで「任意共済制度60周年記念全国研修会」を開く。任意共済事業(建物共済・農機具共済)の円滑な運営と一層の普及拡大に取り組む全国研修会に加え、今回は60周年記念特別表彰を設ける。任意共済の普及推進に貢献した役職員、基礎組織・NOSAI部長や優れた事業成績を収めた組合、連合会等を表彰する。

(5面・特集)

 地域を活性化し、食料自給力を向上させる方策を探ろうと、農学会(会長=林良博東京大学大学院教授)は17日、東京大学弥生講堂でシンポジウムを開いた。シンポでは、都市と農村の交流活動を効果的に収入に結びつけること、後継者確保の大切さなどを提言。「ふるさと教育」「環境教育」を通して、広く農山漁村を知ってもらう取り組みが欠かせないと結論づけた。栃木県茂木町町長の古口たつや氏、兵庫県森林動物研究センター主任研究員の坂田宏志氏らの基調報告とパネルディスカッションも開催。主な内容を紹介する。

091029_03.jpg 茂木町では都市と農村の交流を地域興しにつなげようと、田んぼのオーナー制度やユズ、タケノコ、柿、ブルーベリーなどの収穫体験などに取り組む。牛ふん、間伐材、もみ殻、生ごみ、落ち葉で作る有機堆肥の製造も事業化した。
 古口氏は「都市と農村の交流で大切なのは、大きなイベントではなく、何度も足を運んでもらい、応分の負担をもらうこと。町内の活動は1億2千万円ほどの粗収入になる」と話す。「無いものねだりより、有るもの探し。『自分たちにもできる』と、農家の意識が変わった」と紹介した。
 中山間地域の深刻な問題の一つに、野生鳥獣の被害がある。坂田氏は、兵庫県の事例を紹介。2007年に森林動物研究センターを設置し〈1〉正確な被害状況の調査〈2〉被害予測〈3〉適切な対策の指導と実施――で、被害回避できるようになってきたと報告した。
 古口氏は「中山間地域の暮らしを守るには、多面的な方策が必要だ」と訴えた。農家の9割以上を占める兼業農家の勤め先が要る。地域のコミュニティーの維持、買い物の利便性など、暮らしをトータルに考えないといけないと指摘する。

(8面)

<写真:「地方の実情を広く知ってもらい、都市部と同様に発展させていきたい」との意見が多数出された>

 農林水産省と日本農林漁業振興会は15日、農林水産祭中央審査委員会(八木宏典会長)を開き、2009年度(第48回)農林水産祭天皇杯のほか内閣総理大臣賞などの受賞者を決定した。委員会では、農産、園芸、畜産、蚕糸・地域特産、林産、水産、むらづくりの7部門からそれぞれ各賞を選出。表彰は11月23日、農林水産祭式典で行われる。天皇杯受賞者の中から農産、園芸、畜産、蚕糸・地域特産の経営概要を紹介する。
 
091029_04.jpg 〈農産部門 有限会社瑞宝――有機栽培で安定収量確保 青森県〉
 ▽米▽三上新一代表▽青森県中泊町
 水稲23ヘクタール、大豆60ヘクタール、ニンニク2・5ヘクタールの全面積で、有機栽培の企業的経営を実践する。
 三上さんは、1962年の就農当初から有機栽培の米づくりに取り組んだ。今では県平均収量の8割を安定的に確保する。賛同する仲間も増え、生産・販売を行う中里町自然農法研究会を立ち上げた。
 農地の集積を進め、2004年には瑞宝を設立。常勤雇用9人、非常勤雇用は年間で延べ910人で、豆腐やみその加工も手掛ける。
<写真:有限会社瑞宝のスタッフ。中央が三上代表>

 〈園芸部門 宮崎県果樹振興協議会亜熱帯果樹部会――マンゴー出荷規格を統一 宮崎県〉
 ▽マンゴー▽松田泰一代表▽宮崎市
 1993年に部会を設立した。部会員は262人、栽培面積は60ヘクタール。完熟マンゴーのブランド産地化を進める。
 県全体で研修会を開催。出荷規格を統一する。また、目揃(めぞろ)え会や抜き打ち検査を行う。
 マンゴーは熟すと自然落果するため、ネット収穫を考案し、すべてに導入。糖度15度以上で2L以上、鮮紅色部分が2分の1以上を最高級ブランド「太陽のタマゴ」として商標登録した。

 〈畜産部門 山道義孝さん――飼料を開発し銘柄豚生産 宮崎県〉
 ▽養豚▽宮崎県川南町
 40年前から養豚経営に取り組み、現在は母豚370頭の一貫経営でブランド豚肉「あじ豚」を生産する。
 肉豚品種は、系統まで吟味して交雑方法を統一する。配合飼料は、メーカーと共同で肥育仕上げ用飼料を開発した。
 獣医師の指導の下、衛生プログラムを導入。事故率が低下し、高い生産性と安定した収益性を実現した。
 
 〈蚕糸・地域特産部門 農事組合法人中山茶業組合――園地に応じた管理体系 静岡県〉
 ▽茶▽鈴木昻(たかし)代表▽静岡県掛川市
 起伏の激しい中山間地で1970年に農事組合法人中山茶業組合を設立。16戸で33・3ヘクタールを経営、荒茶の製造・販売に取り組む。
 茶園ごとの日照・土壌を考慮した栽培管理体系を確立した。秋芽を手摘みして製造する深蒸し煎茶(せんちゃ)「秋摘み茶」の開発などは、茶の差別化や取引先との信頼関係強化につながっている。

(11面・営農技術)

 【秋田支局】「独特のサクサク感が何とも言えない」と話す東成瀬村田子内北蛭川の平良浩さん(82)は、地域に伝わる「平良かぶ」を作り続ける農家の一人だ。地元JAの「平良かぶ部会」で代表を務め、伝統野菜の栽培に意欲を見せている。

091029_05.jpg 平良かぶは、長さ約15センチ、太さ3センチほどの青首の白いカブは、塩漬けなどにし、冬場の保存食として食べられてきた。毎年、各農家では種を自家採種しながら栽培している。
 平良さんがこのカブに本格的に取り組んだのは20年ほど前。「どこの家でも自家栽培し、漬物にしてきた。県の農業試験場で、わたしのカブを調査しながら改良型の平良かぶを育種したが、昔ながらのカブを作る人は多い」と話す。
 この麹漬けに原料を供給しているのが、平良さんが代表を務める地元JAの平良かぶ部会だ。会員は6人ほどで栽培面積は50アール程度。平良さんは家の近くの転作田約5アールで栽培していて「収穫が手作業なので大変だ」と話す。
 平良さんの栽培方法は至って簡単だ。二百十日にあたる9月1日をめどにトラクターで土を耕起し、播種するだけ。今年は3~5センチ間隔ですじ播きした。収穫は11月上旬から。「以前は尿素肥料に混ぜて散播した。2、3日で発芽し、雑草にも負けない。収穫まで管理はまったく不要」と旺盛な生育力を強調。今年は300キロ(約4千本)の収穫を見込む。

<写真:平良かぶを手に「塩と砂糖を加えた麹で浅漬けにするとおいしい」と平良さん>

091029_06.jpg 【新潟支局】「消費者が求める安全・安心な農産物を生産する環境づくりの第一歩が畦畔(けいはん)緑化でした」――。燕市分水地区の農事組合法人「畦畔緑化ぶんすい」(小林修二代表理事、63歳)では、被覆植物・ヒメイワダレソウを生産し、「みどりの畦(あぜ)づくり運動」を進めている。
 同組合では、水稲苗箱を利用して育成した縦30センチ横60センチの苗を、芝を張る要領で移植していく。併せて、黒マルチで畦畔や法面(のりめん)の下部を覆うことで雑草の発生を抑え、移植後の管理作業を大幅に軽減できるほか、定着率を上げるメリットがある。
 苗の生産では、一般的な販売価格の約3分の1を実現し「来春は1箱500円でお渡しできる」と小林代表。構成員の労賃を無償化し、予約受注としてコストを削減した。「今年は県内外で75の地域保全会と個人に7500箱を出荷し、ほとんどの畦畔で定着できました」と話す。

<写真:ランナーを刈り取る構成員>

091029_07.jpg 【愛媛支局】南予地方局鬼北農業指導班では2008年から、農家にヤギをレンタルして除草作業の省力化や鳥獣害対策に活用する実証研究を行い、成果を挙げている。
 これは「ヤギ除草等普及実証事業」での取り組みで、10アール当たり2頭を2カ月間、無料で農家に貸し出し効果を確認するというもの。ヤギの逃亡を防止するための電気牧柵や小屋、健康管理のための鉱塩などもセットで貸し出す。管内で3戸の農家に6頭が貸し出され、借り受け農家は飼育日記を作成して報告する。
 宇和島市祝森の川中達雄さん(59)は「夏場は毎週、耕作放棄地の草刈りに追われていたが、今年はヤギのおかげでほとんど刈らずに済んだ。助かりました」と話す。

<写真:放牧しているヤギを見守る川中さん>

091029_08.jpg 【香川支局】安全・安心な農作物生産をテーマに活動する、三豊市財田町の農家グループ「大地と語り合う会」(会員13人)では、2005年からボイセンベリーを栽培している。07年からはジャム、シロップ漬け、ジュース加工に着手。消費者への認知度が高まるとともに販売量が増えている。
 ボイセンベリーは、ブラックベリーとラズベリーを掛け合わせた木イチゴの仲間。
 同会の多田弘美代表(66)は「風味や効用を知ってもらい、三豊市の特産にしたい」と話す。無農薬で、自然の甘味をしっかり残すよう完熟で収穫し、2、3時間以内に冷凍保存して、周年で利用する。

<写真:自慢の加工品を前に並ぶ「大地と語り合う会」のメンバー(前列中央が多田代表)。右上は、栄養豊富なボイセンベリーの実>

091029_09.jpg 【千葉支局】長生村の農家女性4人で組織する「ながいき味工房」では、地元で採れた作物を使った加工品作りに励んでいる。主な加工品はトマトケチャップ、焼き肉のたれ、みそなど。近隣のホテルや直売所で販売していて、土産用としても好評だ。
 人気のトマトケチャップは、完熟した「長生(ながいき)トマト」(JA長生のブランド)を使う。トマト40キロの皮をむき、メンバーが栽培したタマネギやショウガなどと共に6時間かけて煮込む。まろやかで甘味があるのが特徴だ。
 同工房は、代表の根本光子さん(70)、会計の市東秀子さん(64)を中心に活動している。地元のイベントに出品したり、パンフレットを配布するなどして販路を広げてきた。
 畑40アール、水稲50アールを栽培している市東さんは「新作を作るために日々試行錯誤しています」と話している。

<写真:「40キロのトマトから120本分のケチャップを作っています」と市東さん>

091029_11.jpg 【大阪支局】「おいしいバジルソースが食べたいと思って試行錯誤して作りました」と話す、藤井寺市林の大村元昭(もとあき)さん(37)・成恵(なりえ)さん(37)夫妻は、農薬を極力使用せずにバジルを栽培し、オリジナルソースを製造、商品化している。
 バジルは、水田の隣の圃場に植え付け。元昭さんが栽培・収穫・乾燥調整まで行い、乾燥後の選別は夫妻で行う。
 市内で開かれる朝市では、採れたてのバジルの葉も展示したり、試食で来場者に味をアピールするなど、販路拡大にも一生懸命だ。
 元昭さんは、「今後はハウス栽培に切り替え、6カ月間ぐらい収穫できるようにしたい」と意欲的に話している。

<写真:自慢のバジルを手に元昭さんと成恵さん。右上写真は、バジルソース(130グラム630円)>

 【兵庫支局】「コウノトリ育(はぐく)む農法」で作った減農薬米の米粉100%のめん「鸛(こう)の巣(す)」を、朝来市和田山町久世田の髙本(こうもと)彰一(しょういち)さん(66)が開発した。7月からは、注文販売を中心に小売りも開始。新たな特産品として期待され、米の消費拡大の切り札としても注目されている。
 有限会社髙本農場で、水稲約20ヘクタールを中心に家族経営している髙本さん。米粉めんの開発は、耕作放棄地の増加、米価の下落など農業情勢が混迷する中、「なんとかしなければ」と一念発起。関西はもちろん、関東方面にも出かけ、情報収集に奔走したという。
 「本物の米の味がする米粉めんを、子供たちに味わわせたい。それが食育にもつながる」と髙本さんは意欲をみせる。

 ▼国産果実の市況が今秋も低調だ。長期的な消費減少に加え、景気低迷で贈答用需要が縮小、消費者の節約志向も強く荷動きが停滞している。温州ミカンは昨年に続き需給調整対策が発動され、リンゴも出荷集中を避ける産地間協力に動き出した。
 ▼市況の回復に向けた最大の課題は消費拡大だ。国内の生鮮果実購入量はこの30年で4割減少した。生食に限らず、ジャムやジュースなど加工品も含め、日常の食卓を彩る食材として定着させる必要がある。肥満や生活習慣病の予防効果を訴える「毎日くだもの200グラム運動」などをさらに強化すべきだろう。
 ▼JA総合研究所が行った消費行動調査では、果物が「好き」との回答が97%に及ぶ一方、「ほぼ毎日」食べる人は3割にすぎない。60代以上は半数が「ほぼ毎日」食べるが、20~30代は1割強で、若い世代の果物離れが目立つ。果物の購入は週3回以内が7割弱、購入金額は1回500円以内が8割を占める。
 ▼若い世代も青果物に無関心な人ばかりではない。日本ベジタブル&フルーツマイスター協会によると、青果物の知識を身に付けたマイスターの資格取得者は今年2万3千人を超えた。その7割が20~30代だ。
 ▼果物が敬遠される理由に皮むきなど手間の問題が指摘されている。コンビニエンスストアでは、カットフルーツに人気があるという。生活が便利になり、包丁など調理器具が使えなくても食生活に不自由はない。ただ、リンゴの皮がむけないばかりか、卵が割れない子どももいるとの話が小中学校など教育現場から伝わってくると「それでいいのか」と疑問もわく。
 ▼食生活の乱れや生活習慣病の増加などの問題を背景に、食育への関心が高まり、政府も食育推進に取り組む。しかし現状は、知識のPRが主体で基本的な調理技術を身に付ける機会が少ない。豊かな食生活を実践できるよう、PRと並行して調理技術の取得機会を増やしてはどうか。

091021_01.jpg 先祖から受け継いだ「沢野ごぼう」で地域を元気にしようと、石川県七尾市沢野町の農家や地域住民など24人でつくる「沢野ごぼう生産組合」は、ゴボウの農業体験に取り組んでいる。種播きや収穫といった体験メニューで、昨年は市内の小学生や金沢市の婦人会、外国人観光客など約600人を受け入れた。「ここで農業を続けるためには、生産者の顔が見える農業体験が必要」と、組合長の谷口藤悦さん(57)。山あいの小規模農家が作るゴボウのファンは年々、増えている。

 沢野ごぼうは約350年前から沢野町で作られていた能登野菜の一つ。一般的な品種に比べ、太さが約3倍で、香りがあり、柔らかいのが特徴だ。みそで7日間炊く郷土料理の「七日焚(た)き」や雑煮など、町内の食卓に欠かせない食材で、自家消費や親類への歳暮用に栽培が続けられてきた。
091021_02.jpg ゴボウを20アール作付ける松野義照さん(63)は「沢野ごぼうは土が命。ここでなければ作れない」と強調する。
 農業体験の実施期間は3~11月で、田植えや稲刈りの時期は外す。雨天の場合、かかし作りなどを行う。
 ゴボウの収穫体験は組合員の畑で実施。腰に縄を巻き、引っ張って抜く昔ながらの方法も見せる。
 農家レストランでは、参加者が台所でゴボウ料理作りを手伝う体験も可能だ。組合員で、農家レストラン「前田亭」を運営する前田れい子さん(60)は「お客さんの笑顔を見ると満足です。活動の励みになります」と話す。
 今年5月から、農業体験で独身の男女が交流する「お見合い交流会」を始めた。1組の結婚が決まるなど好評で、3回目の参加者を募集中だ。「アイデアは組合員同士の雑談の中から出てくるんです」と谷口さんは話す。
 学校行事の場合を除き、参加費は1人当たり2千~3千円(食事代込み)。組合で企画・募集するほか、口コミからの依頼も受けている。外国人の体験は大手旅行会社のパックツアーに組み込まれたものだ。

(1面)

<写真上:組合のメンバー。左から前田義一さん(67)、松野さん、谷口さん、高僧弘さん(71)。高僧さんは「交流は地域の将来にプラスになる」と話す>
<写真左:沢野ごぼうのきんぴらを手に前田さん。農家レストランは組合の立ち上げをきっかけに開店した>

091021_03.jpg 台風18号は、8日早朝に愛知県の知多半島に上陸し、同日午後に東北の太平洋側に抜けた。九州から東北までの広い範囲で強風・大雨が発生。15日現在、農林水産省が公表している農林水産関係の被害額は全国で約176億円(うち愛知県約86億円)にのぼる。
 内訳は風での野菜の損傷など約65億8千万円(約6720ヘクタール)、果樹の落果など約18億3千万円(約3320ヘクタール)、大豆の倒伏など約4億3千万円(約6890ヘクタール)、ビニールハウスの破損・損壊など約7億4千万円(約2530棟)、水稲の倒伏など約2億3千万円(約2480ヘクタール)、農地・農業用施設の破損約16億7千万円(約1300カ所)--など。主な被害地域は愛知県や三重県、長野県、岩手県、鹿児島県など。
 各地のNOSAI団体では、早期支払いに向けて見回り調査や損害評価に全力を挙げている。
(1面)

<写真:損害評価を行うNOSAI職員(田原市・9日撮影=NOSAI愛知県提供)>

 農林水産省は15日、2010年度予算概算要求を財務省に再提出した。総額は09年度当初予算額対比6.0%減の2兆4071億円。民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた戸別所得補償制度のモデル事業費3447億円を別枠で計上した。これを加えると同7.5%増の2兆7518億円となる。モデル事業は11年度からの本格実施に向け、主食用米を対象に全国規模で実施する。水田を活用した米粉など新規需要米や麦、大豆の生産を支援する水田利活用自給力向上事業など関連事業をあわせて5618億円を盛り込んだ。現行の産地確立交付金などは廃止する。

 政府が9月29日に閣議決定した予算編成の基本方針を踏まえ「民主党が掲げたマニフェスト(政権公約)の推進」「既存予算のゼロベースの見直し」「特別会計改革」を柱に概算要求を作成した。重点事項には、〈1〉所得補償制度のモデル対策〈2〉食料供給力の向上〈3〉農山漁村の活性化対策〈4〉食の安全の確保対策〈5〉農山漁村の6次産業化対策――など7項目を掲げた。
 公共事業費は09年度予算額対比15.0%(1493億円)減の8459億円を計上した。非公共事業費は0.3%減の1兆5612億円。目的・手段が類似・重複する事業を整理・統合し、公益法人向け補助金や施設補助金の削減、既存基金のうち残高を国庫に返納する。

 戸別所得補償制度のモデル事業は、生産数量目標に即した生産を行った販売農家(集落営農を含む)に対し、標準的な生産費と標準的な販売価格との差額を全国一律単価で直接支払いする。11月中旬までに生産目標数量と基準となる価格を示す。
 販売農家は、経営耕地面積30アール以上または農産物販売金額が年間50万円以上を基本に設定する。標準的な生産費は、家族労働費の8割に経営費を加算した額の数年分の平均をとり、標準的な販売価格も数年分の平均を用いる。差額は定額部分として販売価格にかかわらず交付する。当年の販売価格が大幅に下落し、不足分が生じた場合に追加補てんする仕組みとした。支給対象面積は約132万ヘクタールと見込んでいる。
 関連事業として、水田利活用自給力向上事業(2167億円)を新設した。水田を有効活用して麦や大豆、米粉・飼料用米などの作物を生産する販売農家に対し、主食用米並みの所得確保水準の補てんを全国一律単価で交付する。

(2面・総合)

091021_04.jpg 乳牛98頭(搾乳牛49頭)の酪農経営を行う岡山県津山市加茂町の坂手牧場では、坂手茂則さん(57)・美智子さん(51)夫妻に長男・寛達さん(25)、三男・健吾さん(23)が加わった。経営環境が厳しい中、食品加工の資格を生かして、乳牛のモモ肉を使ったビーフジャーキーの加工・販売を始めた。今後、チーズ作りのための加工場建設も検討中。茂則さんは「生乳の出荷だけでは経営は厳しい。付加価値販売を進めていきたい」と、酪農を基本に食品加工を手がける家族経営を目指している。

 ビーフジャーキーの販売は2007年から始めた。更新で出荷した牛のモモ肉を買い戻して加工する。茂則さんは「決められた乳価での経営は厳しい。何か付加価値をつけた製品を作りたいと思った」と話す。
 つけだれに入れる塩は沖縄県石垣島、国産大豆を使ったしょうゆは長野県から取り寄せたもの。ジャンボニンニクは無農薬・無化学肥料で作った自家産だ。坂手牧場の診療を担当するNOSAI岡山北部基幹家畜診療所の西山篤獣医師は「ビールとこのジャーキーさえあれば十分。一度食べるとやめられず、家族にも好評」と話す。
 加工作業は普段の仕事を終えた後、市内の肉屋の施設を借り、家族4人で3日かけて行う。一度の加工でモモ肉20キロ前後を使用する。

(3面・暮らし)


<写真:健吾さん(左)の作業を見守る茂則さんは「ああやれ、こうやれとは言わない。やりながら覚えてもらう」と話す>

 農林漁業者と商工業者が技術やノウハウを持ち寄り、新しい商品の開発や販売に取り組む農商工連携が広まっている。国産農産物の消費拡大とともに、地域の雇用確保や経済活性化などの成果が期待され、農林水産省と経済産業省は支援を強化し、連携を推進する。農商工連携の現状や課題を取材した。

 農林水産省では、成功に向けたポイントとして「商品を作ってから販路を考えるのではなく、消費者のニーズをとらえた商品開発が重要」(食品産業企画課)と説明。地元の観光施設や旅館など観光業界を巻き込んだ連携も効果的という。
 農商工連携を推進するセミナー開催も盛んだ。
 JA全中が7日に開いたセミナーでは、ハトムギの商品化を進めた富山県のJA氷見市の事例が紹介された。
 氷見市細越地区では、1985年ごろから転作作物としてハトムギを導入。付加価値を高めようと2006年、ペットボトル飲料「氷見はとむぎ茶」の販売を始めた。
 地元の消費拡大を目指し、はとむぎ茶の売り上げから1本5円を寄付し、同市で開く全国中学生ハンドボール選手権大会の運営を支援。その結果、はとむぎ茶の販売数は、06年の13万本から08年には150万本に、ハトムギの作付面積は、15ヘクタールから72ヘクタールに拡大した。
 同JAの川上修組合長は「会議や老人会などいろいろな会合で飲まれるようになった。地元の消費を促す体制づくりが不可欠だ」と説明する。
 同JAでは、ハトムギを1キロ700円で購入する。産地づくり交付金を加え、生産者には10アール当たり18万円ほどの収入になり、所得向上につながった。
 現在は、大学などと連携し、ハトムギの機能性を生かした新商品開発を進めている

(8面・流通)

091021_05.jpg 明治大学農学部(神奈川県川崎市)はこのほど、目に見えない微細なオゾンの気泡(マイクロバブル)を水耕栽培で使うと、病原菌の殺菌に高い効果があると発表した。オゾンの代わりに酸素を使うと、農作物の生育促進に効果があることが分かり、水耕栽培の効率化など農業面での実用化が期待されている。
 
 マイクロバブルは、発生装置を使って水中に送り出す気泡で、直径は50マイクロメートル(0.05ミリメートル)より小さく、肉眼でとらえることは不可能だ。極めて微細なために浮力が失われ、オゾンや酸素の気泡が気化せずに水中に長時間とどまる。排水の浄化や養殖カキの成育促進などで実用化されているが、農業分野への導入は進んでいない。
 水耕栽培では、培養液中に病原菌が侵入すると、短時間で全施設内に広がる。現在、紫外線や温水、オゾンでの殺菌法などが導入されている。「これらの方法は、大量の培養液殺菌には十分ではない。オゾンマイクロバブルを使うと、効率良く瞬時に殺菌できる」と玉置教授は話す。
 農薬取締法で、水耕栽培で使う培養液に農薬を混ぜることは禁止されている。安全で効率的な殺菌方法の開発が求められていた。
 病原菌の殺菌にオゾンマイクロバブルを使った場合、熱帯魚用の水槽などで空気を送り込むときに使う散気管で通常のオゾンを注入するよりも、殺菌効果が高い。水中のオゾン濃度はマイクロバブル発生装置を使うと2.0PPM程度になるが、散気管では0.1PPM以上は溶けないという。
 アグリサイエンス研究室の玉置雅彦教授は「病原菌ごとの殺菌効果をみると、フザリウム菌より大腸菌や軟腐病菌などで高い結果が出た」と説明する。

(9面・営農技術)

<写真:「オゾンマイクロバブルでは大量の培養液が殺菌できる」と話す玉置教授>

 予算概算要求のうち、NOSAI関係予算は、前年度比18億3246万円(1.8%)増の1021億4453万円を計上した。8月末の概算要求と比べ、68億3461万円の減となった。
 共済掛金の一部を国が負担する「共済掛金国庫負担金」は、前年度比17億8千万円(3.4%)増の543億8528万円。各NOSAI事業の加入実績や果樹共済と畑作物共済の掛金率改定などを踏まえ、事業運営に必要な額を要求した。「農業共済事業事務費負担金」は前年度と同額の455億8515万円。
 関連事業では、衛星画像データを用いて水稲の単収を推計する「衛星画像を活用した損害評価方法の確立事業」に前年度同額の2億5128万円を計上。家畜の検診などで疾病を早期に発見し、事故を予防する「家畜共済損害防止事業交付金」には6億3432万円(前年度比174万円減)を要望した。

(2面・総合)

 農林水産省は15日、地方農政事務所の廃止など大幅な組織再編を含む2010年度組織・定員の要求を決定した。機構改革は来年10月を予定。
 地方農政事務所(38拠点)や地域課(132拠点)、統計・情報センター(176拠点)を廃止し、65拠点の「地域センター」(仮称。以下同)と38の駐在所に集約して、地方組織を簡素化する。地域センターは「農政・統計」と「消費・安全」を担当。戸別所得補償制度浸透の円滑化・迅速化を図るほか、米トレーサビリティー法の実施に伴う米の流通監視業務を行う。
 本省は、事故米問題を踏まえて、「農林水産行政監察・評価本部」を大臣直属の組織として設置。大臣官房の協同組合検査部を「検査部」(同)に再編し、共済事業などの検査部門を集約する。
 米の流通監視業務は消費・安全局に分離・移管する。販売・管理業務は、生産局を改組、新設する「食料生産局」が行う。食料生産局は、農畜産物の生産振興政策などを一元的に行う。
 総合食料局を再編して「資源産業局」を新設。農林水産業や農山漁村の資源と他産業とを結びつけ、農山漁村の6次産業化を推進する。
 農林水産技術会議を廃止し、大臣官房に「技術・環境政策部」を新設する。研究から普及までを戦略的に行う体制を整備する。

(2面・総合)

091021_06.jpg 子どもたちに牛乳を飲んでほしいと埼玉県深谷市の若手酪農家によるミルクマンプロジェクトが3日、熊谷市で開かれた「彩の国畜産フェア2009」で、「ミルクマンショー」を上演した。
 ステージ前に陣取った子どもたちに、牛乳を奪おうとする悪の軍団「ワルスギー」が迫る。会場から「ミルクマーン!」と叫ぶと、テーマ音楽が流れ、ミルクマンが登場。「頑張れ!」との声援を受け、ワルスギーを懲らしめていく。子どもたちは歓声を上げ楽しんだ。
 ショーの合間には牛や牛乳に関するクイズや、ミルクマンとの記念撮影会も行い、子どもたちは終始笑顔だった。
 ミルクマンプロジェクトの小林誠さん(32)は「子どもたちが応援してくれるおかげで、酪農の仕事もショーも頑張れる。喜んでもらえて本当にうれしい」と笑顔を見せる。

(7面・情報)

<写真:大人気だったミルクマンとの記念撮影会>

091021_07.jpg 【島根支局】点在する休耕田を活用し、飼料作物の生産振興を始めた邑南町。今年4月、「アグリサポートおーなん(坂根繁樹組合長=52歳)」が、畜産農家と水稲農家をつなぐコントラクター組織として、関係5団体で設立された。飼料作物の収穫や堆肥散布などを請け負い、飼料と堆肥の相互交換で耕畜連携を支援する。

 中国山地の山あい、広島県に面する邑南町は、農家の高齢化などから、多くの遊休農地を抱える。また、畜産は、飼料の高騰などで経営が圧迫される状況にある。このことから、今年、遊休農地を活用した飼料作物の生産振興を開始した。
 畜産農家に安定した粗飼料供給を行い、飼料作物生産者に堆肥を還元する耕畜連携の循環型農業で、双方の課題解消が狙い。今年、同町では、水稲農家10戸が飼料用稲7ヘクタールの試験栽培と、酪農家が20ヘクタールのトウモロコシ栽培に取り組む。
 この飼料生産を支えるのが、アグリサポートおーなん。今年4月、JA島根おおち、邑智郡酪農業協同組合、邑南町農事法人組合ネットワーク、邑南町特定農業団体、邑南町農業活性化支援センターが設立したコントラクター組織だ。
 同組合は、機械のない生産者に代わり、飼料用稲などの収穫から、WCS(ホールクロップサイレージ)用のラッピング作業まで行う。また、畜産農家が生産した堆肥を運搬し、圃場への散布作業も行うという。
 同組合の日野康弘主任は、「250ヘクタールの未活用農地を有効に利用したい。畜産農家は堆肥が活用され、飼料の自給率向上が図られれば目的を達成できる」と話す。
 来年以降、栽培を本格化し、将来は、飼料用稲50ヘクタール、トウモロコシ40ヘクタールの栽培を目指している。坂根組合長は、「休耕田の有効利用と飼料自給率の向上。双方の生産基盤強化がうまく図られることを目指していきます」と話す。

<写真:飼料稲専用ホールクロップ収穫機で、ロール状にされた飼料用稲>

091021_08.jpg 【埼玉支局】ホンモロコを川越市の特産品にしようと、同市今泉の高野長治さん(75)は、地元の有志5人と「南古谷モロコ養魚組合(高野長治組合長)」を結成。休耕田(500平方メートル)を利用し、県農林総合研究センター水産研究所の指導を受けて、養殖に取り組んでいる。
 養魚場は休耕田を利用。水は、地下110メートルからくみ上げた井戸水を利用する。井戸は高野さんが掘ったものだ。
 出荷前に、水槽に移し1週間ほどきれいな水で飼い、泥臭さを抜く。高野組合長は「病気には気をつけています。常に水が汚れないよう1日5時間くらいは水を入れ、水温を一定に保っています」と養殖のポイントを話す。
 ホンモロコは、ワカサギに似た食感で、空揚げにするとおいしいという。「昔、川魚を食べていた地元の人も買いに来ます」と高野組合長。「減反対策で始めた養殖だけれども手間がかからず順調です。地元の町おこしに役立てればうれしい」と話してくれた。

<写真:空揚げや雑魚煮などで食べられるホンモロコ>

091021_09.jpg 【和歌山支局】有田市で温州ミカン2ヘクタールを営む岩橋正男さん(76)は、オート三輪「ミゼット」を運搬車として30年以上愛用している。
 購入時にオーダーメードしたもので、屋根をはずし、車幅は園内道に合わせ、「ダットサン」のエンジンを搭載。前輪後輪合わせて8段変速とし、荷台はダンプ仕様になっている。
 「2トンまで積めて、ミカンや肥料を運搬するときに大活躍する。どんな急斜面でもへっちゃら」と岩橋さん。
 「こいつが元気でいるからミカンを作り続けていられる」と岩橋さんも元気いっぱいだ。

<写真:「小回りもよく、本当に使い勝手がいい」と話す岩橋さん>

 【岩手支局】新たな収入源として期待されるホースラディッシュの栽培に、遠野市宮守町の下郷営農組合(伊藤三男組合長・組合員57人)が、遊休農地で取り組んでいる。
 ホースラディッシュは、北海道や長野県が主産地。白色をした根には強い辛味があり、薬味として使われるほか、練りわさびの原料にもなる。
 営農組合では、2008年から本格的に出荷を始め、今年は企業と契約を結び、3ヘクタールで20㌧の出荷を予定。副組合長の浅沼修さん(55)は「高額な機械が必要ないため低コスト。生命力が強いため安定して収穫できることが良い」と話す。収穫には芋掘り機が使えるため、労力がかからない。
 浅沼さんは「とにかく組合員みんなで協力して頑張っていきたい。作業を通じて地域住民のきずなが深まれば」と話す。

091021_10.jpg 【新潟支局】県内一の生産量を誇る五泉市のサトイモは、「帛乙女(きぬおとめ)」のブランド名で有名だ。このほど、この帛乙女を使った焼酎「帛乙女」が完成した。
 この焼酎は、五泉市経済活性化戦略会議の農業専門部会(伊藤能徳会長)が中心となり、サトイモに付加価値をつけた新たな特産品の開発・検討を進めて完成したもの。
 製造した長岡市の吉乃川株式会社の高橋部長は「サトイモは色、香りが無く、焼酎に特色を出すのに苦労しました。2年間の試行錯誤を経て、きれいな焼酎に仕上がりました。今後も改良を加えながら、より良い焼酎にしたい」と意気込む。
 伊藤会長は「癖がなくまろやかと好評です。サトイモの販売促進に一役買ってくれると期待しています」と話す。
 今回製造された焼酎は720ミリリットル入り1500本で、今後、農業イベントや地元咲花温泉の旅館などで販売される予定だ。

091021_11.jpg 【青森支局】「とにかく珍しい野菜を作るのが楽しい」と話す、深浦町松原の松沢甚一さん(76)。毎年30種類以上の野菜を栽培し、趣味と実益を兼ねて楽しんでいる。
 松沢さんは水稲49アール、野菜約30アールを栽培する。また、NOSAI部長を20年以上務め、組合員とのパイプ役として活躍、地元の信頼も厚い。
 今年初めて栽培に挑戦したのがアイスプラント、エアーポテト、台湾山芋、金時草、白ナス。「今年も自分なりによくできたと思う。できた野菜は近所におすそ分けしたい」と、満足した表情を見せる。
 そして、「今年はアケビやナメコ、ズッキーニもいい。今から来年栽培する野菜を検討している」と話す。

<写真:自慢のアケビを収穫する松沢さん>

 ▼農林水産省が再提出した2010年度予算概算要求に「農山漁村コミュニティ維持・再生事業」として26億円が計上された。農業生産から生活まで幅広い集落の活動は、高齢化の進行などに伴い困難になっており、地域活性化や生活支援サービスを一体的に行う「地域マネジメント法人」の育成を促し、集落機能の維持・強化を図る。
 ▼前政権下で農政改革を検討した特命チームに農林水産省が基本的な考え方を打ち出し、8月時点の概算要求では新規事業の目玉として56億円を盛り込んだ。要求額は半減したが、新政権がマニフェスト(政権公約)推進や既存予算のゼロベースでの見直しを掲げ、厳しく査定した中でも重要性は認識されたようだ。
 ▼事業は、住民などが地域マネジメント法人を組織する際の経費や運営を支援する。活動は、配食・介護サービスや生活必需品の販売など生活支援のほか、棚田や道路・水路など環境保全活動、地域資源を生かした特産品作りや農家民宿など多岐にわたる。関連省庁とも連携し、農業支援を基本としてきた農林水産省予算の枠組みを広げる方向だ。
 ▼過疎化、高齢化が進む集落の住民が、日常生活で一番困るのは食料や日用品の買い物だという。コンビニエンスストアも採算が合わない地域には進出しない。特に移動手段を持たない高齢者が不便な生活を強いられている。
 ▼個人商店の廃業やバス路線の廃止を機に、さらに過疎化が進む悪循環も懸念されている。集落には昔から「結い」などの互助的なつながりがあり、活動を後押しする支援があれば活気を取り戻すきっかけになる。
 ▼平場に比べ生産条件面で不利な中山間地域の農業は、多くの高齢農家や小規模農家が支えている。安心して農業を続けるには、しっかりした生活基盤の確保が重要だ。

091014_01.jpg キクのインターネット販売と農園の情報発信に、熊本県上天草市大矢野町の電照ギク栽培農家・木下一さん(30)と藤島幹大さん(29)が、共同で取り組んでいる。「大きな産地ではない大矢野町で、キク栽培に頑張っていることを知ってもらいたい」と、2005年にホームページを開設。インターネット販売の割合は全体の1%ほどだが、関東や関西に販路が広がり、接点のなかった一般消費者とのやりとりも生まれた。映画製作会社から美術協力の依頼が飛び込むなど、活躍の場が広がっている。

 ホームページの屋号は「菊ばり」。自分たちが作ったキクを配り、気持ちを配る"気配り"との意味を込めた。マスコットも作成してチラシや発送用ダンボールなどに使い、印象に残るように工夫を凝らす。
 幼なじみの二人は、ともに花き農家の3代目。藤島さんは2000年、木下さんは01年に就農した。大矢野町でキク農家は木下さんと藤島さんだけだ。木下さんは「産地でもなく、法人化もしていないので一戸の農家としてしか見てもらえなかった。自己紹介の際に、相手の印象に残るものがほしかった」と話す。
 ホームページのきっかけは、天草地域振興局が主催した若手農家対象の研修会。藤島さんが木下さんを誘って、取り組んだ。菊ばりの文字とマスコットが目立つようにデザイン。注文画面のほか、農園の様子も紹介している。
 開設後、消費者からの問い合わせが来始めた。「ホームページを見てくれる人がこんなにいるんだと驚き、同時にうれしかった」と藤島さん。木下さんは「商品のことなどいろいろ聞かれるが、初めてでどう対応していいか困った」と振り返る。消費者からのお礼の手紙をもらうのも初めてだった。
091014_02.jpg ホームページの管理は熊本市内の民間会社に委託。注文があれば交互に連絡が入り、それぞれ発送する。ダンボールにはキクの手入れ方法を書いた文書を同封するなど"気配り"を忘れない。

(1面)

<写真①:「作ったキクに付加価値をつけ、新しい事業にも挑戦したい」と藤島さん(左)。木下さんは「品質にばらつきがでないよう栽培技術を磨きたい」>
<写真②:「菊ばり」のホームページ。インターネット販売はわずかだが、情報発信の大切なツールだ>

 農林水産省は2日、2009年産米の作況指数(9月15日現在)は98の「やや不良」と発表した。予想収量は829万2000トン。約5万ヘクタールの過剰作付けがあり、09年産米の生産目標数量821万トンを8万2000トン上回る。政府備蓄米に余裕があり、積み増しを行えば需給は均衡する見通し。しかし、景気後退に伴う米消費の低迷で民間在庫が増えており、一層の需給緩和による米価下落も懸念されている。農林水産省は、需給動向を踏まえ、必要な対策を検討する方針。今年産米の作柄や需給状況などを話し合った。

(2面・総合)

091014_03.jpg 「農業は家族が一緒にがんばれる仕事。好きな環境だから守っていきたい」と話すのは、富山県南砺市信末の花農家、石村修子さん(30)。両親が作るシクラメンやパンジーなど花壇苗に加えて、サザンクロスやブルーデージーなど花木類の生産を始め、経営の一端を担っている。経営面積約40アールのうち石村さんの担当は約8アールで、年間約30品目を栽培する。寄せ植え教室を開いて地域の人との交流を図るなど、経営の幅を広げようと取り組む後継者だ。
 
 品種選びは市場関係者や種苗会社などからアドバイスを受ける。最終的に自身が作りたいものに決めて「愛着を持って育てる」という。挿し木をして9~12センチポットの大きさまで育て、地域の花屋や愛知県・金沢市の市場に出荷している。
 北陸3県で生花店「花まつ」をチェーン展開する「ジャパンフラワーコーポレーション」(本社=富山県射水市)とは従来からシクラメンと花壇苗の取引があり、花木類も昨年から出し始めた。鉢物・苗物の買い付けを担当する山岸久夫さんは「農園からすぐ入荷でき、水が切れにくいので徐々に増やしたい。品種などを話し合って商品作りをしていけば、先々につながると思います」と話す。
 今年の夏からは、市内の直売所での販売にも挑戦している。売り場に寄せ植えの見本(購入可)を置くなど工夫を凝らす。「直売は毎日何が売れたかわかるので刺激になります」と石村さん。「もっと売り方を勉強したい」と話す。

(3面・暮らし)

<写真:「丈夫な花作り」をモットーにする石村さん。土作りは、もみ殻や茶などを使った自家製堆肥が欠かせないという>

091014_04.jpg 島根県のNOSAI出雲広域(出雲広域農業共済組合、山根昊一郎組合長)は、出雲地区防除協議会の事務局を務め、無人ヘリでの防除活動を支援している。地区の防除組合からの申請を取りまとめ、散布日などを調整。NOSAIの組合員が無人ヘリの資格を取得する際には費用を一部助成し、管内の病虫害の発生抑制に努めている。

 出雲地区防除協議会の今年の無人ヘリ防除は、延べ面積で、水稲2547ヘクタール、麦462ヘクタール、大豆19ヘクタール。農家を中心に組織する出雲地域無人ヘリコプター作業受託組合(オペレーター18人、無人ヘリ6機)が作業を請け負う。
 「無人ヘリ防除を導入してからは、それまで発生していたカメムシが出なくなり、効果を実感している」と話すのは、大社地区中荒木防除組合の代表、中山幸義さん(水稲2ヘクタール、ブドウ60アールなど、61歳)だ。今年は地区の30ヘクタールの水稲で、防除を2回実施した。中山さんは「農家が高齢になり、防除作業を行う後継者もいない。今後も無人ヘリ防除をお願いしたい」と話す。
 管内では15年ほど前から共同の無人ヘリ防除が始まり、地区ごとに防除組合が組織されてきた。現在、6地区の48組合が防除協議会に加入している。防除組合が集落の散布予定面積や希望散布日、回数をまとめ、NOSAIへ申請。NOSAIは、作業受託組合と相談して日程調整し、散布計画を作る。
 散布日は作業受託組合のオペレーター二人とNOSAI職員が出動し、圃場案内係、薬剤調合係、交通整理係として地元農家三人に協力してもらう。防除組合は、10アール当たり2千円の散布料金と薬剤費を負担する。
 NOSAIでは、県農林振興センター農業普及部やJAとともに圃場を見回り、防除組合を通じて地域へ病害虫発生状況を伝えている。

(5面・NOSAI)

<写真:オペレーター1人当たり約350ヘクタールの圃場を担当する>

091014_05.jpg 農林水産省は6日、食料・農業・農村政策審議会の農業共済部会を開いて、2010年度の加入から3年間適用される果樹共済と畑作物共済の掛金率の算定方式について諮問し、了承された。果樹共済(収穫共済)の全国平均の掛金率は現行に比べやや下がる見込み。畑作物共済では、大豆や小豆は下がるが、テンサイは上がる見込みだ。
 果樹共済や畑作物共済の掛金率は、直近の20年間(基礎年次)の金額被害率に基づいて算定する。現行の基礎年次は1986~2005年で、新たな基礎年次は1989~2008年。
 新旧基礎年次の平均被害率を計算すると、果樹共済(収穫共済)全体では現行対比96.8%で、温州ミカンは98.3%、リンゴは93.6%、ナシは99%となる。同様に畑作物共済全体では102.2%で、大豆は96.6%、小豆91.9%、ジャガイモは100%、テンサイは111.1%となる。
 農業共済部会では、委員の互選で部会長に鈴木宣弘氏(東京大学大学院教授)が就任(再任)した。鈴木部会長は「新政権の下で農業者戸別所得補償制度を導入し、農業経営に対するセーフティーネット(安全網)が強化される。セーフティーネットの重要な一翼を担う農業共済制度をしっかり位置づけ、重要な役割を果たすことが期待される」と述べた。

(5面・NOSAI)

<写真:農業共済制度への期待を述べた鈴木部会長>

091014_07.jpg 岩手県滝沢村の井上美津男さん(56)は、わい性台木を使って樹高を2メートル以下に抑えたリンゴの低樹高栽培を行う。脚立を使わずに作業が可能で、安全性が高く、剪定(せんてい)や収穫などの作業効率が向上した。樹形は、骨格枝を作り込んで枝を丈夫にし、つり上げを少なくした。品種の計画的な改植を進めるため、自家増殖の台木を使ってポット養成した大苗を定植、初期収量の確保に努めている。

 労働は井上さんと妻の京子さん(56)に、娘・祐香さん(30)と母親が手伝う。経営はリンゴ2.1ヘクタールが中心で、「きおう」や「つがる」「ふじ」など20品種を組み合わせ、早生から晩生までのリレー出荷に取り組む。
 圃場のほとんどが平坦地で、栽植距離は4.5×2メートル(10アール当たり57~58本植え)、スタンダード開心形を応用した樹形に仕立てる。
 台木は地上高40センチ、結実側枝の発出位置は1.7~1.8メートル。改植したすべての若木の樹高は2メートルまでにしている。また、「M26」台木を使った27年生古木が1割ほどあるが、多くは脚立を使わず管理や収穫などの作業を行う。「立ったままでの作業は安全で、省力化が図れる」と井上さん。リンゴのコンテナやビール箱を使って手作りした踏み台は、古木の2割程度で利用する。
 リンゴは樹(き)の頂上付近が高品質となり、増収も図ろうとすると樹高を高くしてしまう。井上さんは「毎年、目の高さに高品質の果実を成らせる技術は難しいが、実現できた」と話す。樹形は、切り戻しを繰り返して骨格枝を作り、枝を堅くしてつり上げを少なくしている。

(11面・営農技術面)

<写真:「低樹高で脚立を使わないため、作業の効率がよい」と話す井上さん>

 JA全中は8日、東京・渋谷で第25回JA全国大会を開き、「大転換期における新たな協同の創造」をスローガンとする2010年度から3年間の取り組み方針を決議した。全国のJAの代表者約2500人が参加した。
 農業の復権と地域再生に協同組織であるJAグループが積極的に役割を果たすことを打ち出した。茂木守会長は「いきすぎた競争原理の下で地域は疲弊し、協同の理念が見直されている。消費者や地域の人・組織と結びつき、『新たな協同』を創造して乗り切ろう」と述べた。
 「農業の復権」では、農業生産額と農業所得の増大を目指す。JAが策定する地域農業戦略をもとに、グループが一体となった生産・流通・販売戦略を構築。食料生産の拡充と農地の有効活用、担い手支援に取り組む。農業や国産農産物の重要性・安全性などを広くアピールし、国民理解を醸成していく。
 「地域の再生」に向けては、経済事業をはじめ、共済、金融、福祉・介護などJAの総合力を発揮して、組合員・住民の暮らし支援を強化。「食と農」を軸にした地域活性化や、高齢者生活支援・子育て支援など「助けあい」を軸にした地域セーフティーネット(安全網)機能の発揮に取り組む。
 さらに「JA経営の変革」として、組合員・利用者の満足度の向上を通して組織基盤の拡充と組合員との関係強化を図る。

(2面・総合)

091014_06.jpg 日本獣医師会主催の「2009動物感謝デー」が3日、東京都世田谷区の駒沢オリンピック公園で開かれ、時折小雨の降る中、1万2千人を超える来場者があった。
 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)では、産業動物の診療に携わるNOSAI獣医師の役割や家畜共済制度をPRするため、昨年に引き続き出展。NOSAI獣医師の手記を載せた冊子「産業動物臨床の魅力と夢」や農業共済新聞を配布し、産業動物獣医師の役割や家畜共済制度などを宣伝した。
 メーンステージでは「獣医師の仕事(役割)対談」と題して、NOSAI獣医師や動物園の獣医師などが仕事の内容ややりがいなどを報告。ボランティアスタッフの獣医学系大学生も、多数傍聴していた。

(5面・NOSAI)

<写真:アンケートに答える参加者>

091014_08.jpg091014_09.jpg【新潟支局】農事組合法人「森光担い手生産組合」(長岡市小国町森光、田中実雄代表=67歳)では、棚田米の生育をウェブカメラで監視・管理する取り組みを試験的に始めた。今後、棚田など作業管理が大変な田んぼの省力化が期待されている。

 棚田に設置されたウェブカメラは、太陽光パネルで電力を供給。午前7時~午後7時の間、30分おきに5パターンの写真を撮影する。
 撮影データは専用ルーターを通して、衛星受信用アンテナから3万6千キロ上空の通信衛星を経由してスカパーJSAT株式会社茨城ネットワーク管制センターで受信。地上回線経由で電気通信興業のサーバーに送信される。その後、地上回線を経由して新潟大学と同組合に配信され、パソコンの画面で棚田の状態を確認する仕組みだ。
 田中代表は「将来は棚田の沢ごとに数カ所のウェブカメラを設置し、葉色や温度、湿度を把握して、事務所のパソコンから水管理ができるようになれば、さらなる成果につながる」と期待している。
091014_10.jpg

<写真左:棚田に設置された森光棚田監視システム装置。アンテナ(左)、ウェブカメラ(中央奥)、太陽光パネル>
<写真中:ウェブカメラ>
<写真右:事務所にあるパソコンで棚田の状態を把握できる>

091014_11.jpg091014_12.jpg 【滋賀支局】トラクターと軽トラックを合体させた、オリジナル「軽トラックター」を、野洲市堤の山本宗男さん(72)が製作し、水稲や大豆(58アール)の中耕作業に愛用している。
 きっかけは十数年前、「冬でも快適に作業したい」という思いからだ。当時、キャビン付きトラクターは大変高価だったため、軽トラックの運転席部分をトラクターにかぶせてキャビンにすることを発案。鉄工所を営む腕を生かして、仕事の合間に少しずつ加工し、4カ月かけて完成させたという。
 その後は、操縦席から前輪が確認できるようにミラーを取り付けたり、乗ったままロータリー調整が行えるように、後部窓を開閉可能にした。
 「作業していると、車を止めて見ていく人もいますよ」と山本さん。「機械の特徴に合わせて運転しています。愛着があるので、大事にしていきたい」と、やさしく愛車をなでる。

<写真左:「軽トラックター」と山本さん>
<写真右:走る姿はユニークそのもの>

091014_13.jpg 【宮崎支局】「離乳した子牛を、町道を挟んで約50メートル離れた子牛舎別棟へ移動させるのは大変だ。安全に楽に移動させられないか」――。
 繁殖和牛40頭(育成含む)を飼育する三股町樺山の白尾(しらお)利春(としはる)さん(58)は、枠に子牛を固定し、フォークリフトで持ち上げて移動する方法を考案し、時間短縮と省力化につなげている。以前は毎月、離乳する子牛をロープで引っ張り、後ろから棒などを持って介添えしながら移動していた。
 アイデアのヒントは、子豚などを運ぶための枠。枠の材料は、自宅にあった廃材のL型アングルで、壁にはコンパネを使用し、牛が暴れても枠が動かないよう、底の部分にC型鋼を溶接している。
 白尾さんは「以前は、1頭当たり10分から15分ぐらいかかりました。今では2頭移動させるのに牛を積んでしまえば2、3分で済みます」と話す。

<写真:2頭の子牛を一人で楽に運ぶ白尾さん>

091014_14.jpg091014_15.jpg 【岩手支局】ヤマブドウを栽培する野田村の佐藤農園(佐藤嘉美(よしみ)さん=56歳)では、昨年から「山ぶどう狩り体験」を企画し、訪れる人たちと交流を深めている。
 佐藤さんは、2001年にヤマブドウ栽培を開始。1ヘクタールに、早生種から晩生種の3種類のヤマブドウを栽培する。
 ブドウ狩りの受付や体験案内は、主に妻・京子さん(60)の担当だ。甘味や酸味など、好みのものが収穫できるように、案内しているという。
 「収穫体験を通じてヤマブドウの魅力を伝えたい」と話す佐藤さん。参加者は、子供のころに食べて味を知っている中高年が多いという。
 収穫体験のほかに、ヤマブドウを使った料理教室や商品開発も意欲的だ。佐藤さんは「今年は、収穫したヤマブドウを使った染め物ツアーを行い、ヤマブドウの魅力を発信したい」と話している。

<写真右:ヤマブドウ畑で佐藤さん夫妻。山ぶどう狩りは1キロ250円で、10月下旬まで開園している>
<写真左:佐藤さんが栽培するヤマブドウ>

091014_16.jpg 【岡山支局】高品質な「坊ちゃんカボチャ」を生産するため、里庄町のJA岡山西坊ちゃんカボチャ生産部会(佐藤正二部会長=80歳、34人、60アール)では、2005年から「空中栽培」を導入している。
 空中栽培とは、パイプで組んだ棚にネットをかぶせ、つるを誘引させる方法。「地面で育てるとカボチャの下側が黄色になり、商品価値が下がる」と佐藤部会長は話す。また、人工交配や収穫の際に花や実の位置が分かりやすいので、作業が楽になるというメリットもある。
 消費者からは「電子レンジで温めるだけで手軽に調理できる。甘くておいしい」と好評だ。大阪では、お供え物としても喜ばれるという。
 佐藤部会長は「毎日畑に行って、カボチャの状態を見ることが大切。浅口地域の特産品・坊ちゃんカボチャの栽培に頑張りたい」と話している。

<写真:カボチャの空中栽培は、実が地面につかないので黄色く変色しない>

 091014_17.jpg
 【長崎支局】繁殖成牛20頭を飼育している対馬市上県町の糸瀬治さん(67)は、数年前から周辺地域の遊休農地を利用した移動放牧に取り組んでいる。
 「生い茂った遊休農地の茂みから、イノシシが出入りしていました。牛を放牧することで雑草が牛の餌となり、併せてイノシシ対策にもなるとの思いから、放牧を始めました」ときっかけを話す。
 糸瀬さんは、10カ所ほどある遊休農地まで自分で牛を搬送し、9月は上対馬町舟志(しゅうし)地区の3カ所(約90アール)に3~4頭ずつを放牧。雑草を食べ終えるころ、次の放牧地に移動する。
 遊休農地を持っている人からは、「牛を入れてほしい」と頼まれるほど好評だ。地元住民からも「除草作業の手間が省け、地域内が明るくきれいになった」と喜ばれているという。
 糸瀬さんは「放牧をしたことで牛が丈夫になり、お産が楽になりました。地域もきれいになり、喜んでもらえてよかったです」と話している。

<写真:遊休農地で放牧牛と糸瀬さん>

091014_18.jpg091014_19.jpg 【山形支局】無農薬・無化学肥料で栽培したヘチマから採水した「へちま水」を原料に、添加物(グリセリンやアルコール)を使わないで作った天然の化粧水が評判だ。
 ヘチマを栽培しているのは、農事組合法人「庄内協同ファーム」(鶴岡市藤島地域、五十嵐良一代表理事)の女性グループ「のどか倶楽部(くらぶ)」(佐藤喜美代表、メンバー6人)。
 メンバーは、各自の畑に完熟堆肥やボカシ肥料、炭の粉、貝化石などを投入して栽培する。こまめに側枝を整枝し、太いヘチマを育成。採水は9月中旬ごろで、薬事法をクリアするため、製造は製薬会社に委託している。
 化粧水は、全国各地に多くの愛好者がおり、佐藤代表は「有機栽培で無添加だからこそ、長く愛用していただいています。これからも、高品質のへちま水を提供できるよう、力を入れていきたい」と話す。

<写真左:有機栽培のヘチマ畑で、のどか倶楽部のメンバー>
<写真右:化粧水「へちま水」と「へちまたわし」>

 ▼台風18号が、本州を縦断した。過去10年で最強クラスという強い雨と風を伴い、農林水産関係でも各地に被害をもたらした。NOSAI団体は現在、損害評価に向けた被害状況の把握など対応に努めている。
 ▼台風は1年間に平均27個発生し、3個が上陸する。日本から300キロ以内に近づく接近は平均11個。統計上は、この2年間台風の上陸がなかった方が珍しいのだ。1951年以降の記録で最も遅い上陸は11月30日で、この先も油断はできない。
 ▼水稲や果樹など収穫期を迎えた中の台風襲来で強く印象に残るのは、91年の台風19号だ。9月27日から28日にかけて日本海側を通り抜け、九州北部と北海道に上陸した。50メートルを超える強風を伴いながら北上し、被害はほぼ全国に及んだ。30カ所近い観測地点で、気象庁の最大瞬間風速の記録を更新した。
 ▼台風19号は「リンゴ台風」とも呼ばれる。青森県では50万トンに迫る豊作を見込んでいたが、たった一夜で大量に落果し、根こそぎ倒された樹も多かった。被災直後に取材に入ったものの、地面にリンゴを敷き詰めたような状況で、泣きながらリンゴを拾う農家にカメラを向けるのがつらかった。
 ▼「天災は忘れた頃に来る」との警句を残した物理学者の寺田寅彦は、関東大震災で発生した火災旋風の調査などにも携わった。天災を題材にした随筆では、文明が進むほど災害の影響を受けやすくなるもので、自然の暴威を封じ込めたつもりになってはいけないと指摘している。
 ▼宇宙での長期滞在が可能になるなど、科学技術の発達は目覚ましい。しかし、台風や地震など自然災害の前では、人間は依然として無力だ。ただ、台風の進路予測などの技術は向上しており、被害拡大を防ぐ事前事後の対策と合わせて徹底すれば一定程度の被害抑制は可能になっている。自然相手の農業では、災害に見舞われる可能性も想定した経営・技術の組み立てが欠かせない。

091005_01.jpg 水稲生育期間中の低温寡照の影響で、作柄が心配されている北海道を9月23~25日に訪れた。上川北NOSAI(上川北農業共済組合、新田一弘組合長)と上川中央NOSAI(上川中央農業共済組合、岩井敬治組合長)では、水稲共済金の早期支払いに向けて、適正・公平な損害評価に組織を挙げて取り組んでいる。損害評価の様子や農家の声などを取材した。
 
◇減収量把握 適正・公平に/共済金の早期支払いへ一丸
 
091005_02.jpg 水稲実測調査の稲株を脱穀する音が、実測センターに響く。上川北NOSAIの水稲共済の加入方式は全相殺方式(9割補償)が主体で、収穫前に被害申告のあった農家の水田全筆を刈り取り本実測の方法で悉皆〈しっかい〉調査する。圃場ごとに2区6カ所刈りをし、乾燥調製した玄米から収穫量を算出する。
 水稲農家約1200人のほぼ全員が被害申告する状況になったため、220人の損害評価員に加えて、被害申告した全農家を補助員に任命。NOSAIの役職員も総出で作業に加わった。前・後期の2回に分けて損害評価し、調査筆数は合計1万8500筆に及んだ。
 乾燥調製作業に加わっていた新田組合長は「組織を挙げて、休日返上で損害評価に当たっている。実測調査は、労力はかかるが精度は高い。適正公平な損害評価に努め、農家の信頼に応えたい」と話した。
 今年の被害状況について前田彦信参事は「低温による生育遅延に、幼穂形成期の強い低温が重なった。遅延型と障害型の冷害の両面が見られる」と説明する。
 上川中央NOSAIでは9月10~18日に悉皆調査を実施し、18、19日と24日に組合が抜取調査。損害評価の終わった農家から、収穫作業が始まった。
 水稲農家約2500人のほぼ全戸が被害を申告。全相殺方式(9割補償)が主な加入方式で、悉皆調査は約5万4千筆に及ぶ。管内約400の評価地区ごとに、1班4人の評価班を基本に、稲株の生もみ重から収穫量を推計する簡易実測調査を実施し、さらに損害評価員が抜取調査(本実測)を行った。
 上川中央NOSAIの行天英雄参事は「農家が購入資材費などを清算する年末に間に合うよう、共済金の早期支払いに努めたい」と話す。組合の損害評価結果は、連合会、国の認定を経て確定。12月中の共済金支払いが予定されている。

(1面)

<写真①:上川北NOSAI・実測センターに運ばれた稲束の脱穀の様子。28台の脱穀機がならび、一筆ごとの稲束が次々と処理されていく>
<写真②:「粒張りの小さい米や青米が多い」と前田参事(右)。新田組合長は「品質低下の被害を加味する『損害評価の特例措置』も検討してもらいたい」という>

091005_03.jpg 農林水産省は1日、赤松広隆農相を本部長とする戸別所得補償制度推進本部を設置し、初会合を開いた。2011年度から農業者戸別所得補償制度を実施できるよう、制度の具体化に向けた検討を行う。15日までにまとめる10年度農林水産予算概算要求に制度の実施に向けた調査やモデル事業を計上する方針だ。
 推進本部の下に山田正彦副大臣をチーム長とする制度推進チームを置き、実務を担当する。
 赤松農相は「(戸別所得補償制度は)民主党が国民に約束した柱の政策だ。職を賭(と)して頑張る。日本農業再生の結果を出したい」とあいさつ。山田副大臣は「大臣、副大臣、政務官の政務三役と省が一体となって制度をつくり上げよう」と話した。

(2面・総合)

<写真:推進本部の看板を掛ける赤松農相ら>

091005_04.jpg 農業従事者の過半数が60歳を超える長崎県大村市今村町の硯出石〈すつでいし〉集落では、中山間地域等直接支払制度を利用し、農道や水路を共同で維持管理する。後継者に参加を呼びかけて炭窯作りや桜の植樹にも取り組み、地域の活性化を図っている。集落協定の代表を務める養豚農家の上野孝幸さん(母豚150頭、62歳)は「月に一度開く定例会に加え、草刈りや炭窯作りなどの共同作業を通じて、昔からの集落のつながりが保たれている」と話す。
 
 傾斜地にある硯出石集落の農業は、ミカン栽培が中心だ。昨年から取り組み始めた炭窯作りは、中山間で雑木が調達しやすく、改植で切ったミカンの木も利用できると、集落の話し合いの中から形になった。
 市議会議員で集落協定の事務局を務める山口弘宣さん(46)は「わたしたちの世代が退職を迎える際に、スムーズに地域へとけ込めるように何かできないかと考えた。炭窯作りの仲間に、自分たちの地域だという連帯感が生まれれば、世代交代もうまくできる」と話す。
 40、50代の後継者中心に、県内外を見学して炭窯作りの指導を受けた。教わった通りに窯作りに挑戦したが、火入れをすると天井が崩落。2度失敗が続いた。3度目は頑丈なれんがをアーチ状に積み上げた形で、先月完成したという。

(3面・暮らし)


<写真:炭窯作りを一緒に行うことで、仲間意識が生まれる。毎回十数人が参加する>

091005_05.jpg 水稲の適切な損害評価の実施に向け、秋田県のNOSAI秋田中央(秋田中央農業共済組合、柴田傳一郎組合長)は9月16~18日、管内11カ所で損害評価員を対象にした「水稲損害評価員会議」を開いた。17日の潟上市での会議には損害評価員44人が参加。検見する際の注意点や損害評価野帳の記入方法などをNOSAIの職員が説明した。事前に収量を計測した圃場を検見し、精度を競う「検見競技会」を行った。
 NOSAIから、適正な損害評価の注意点として〈1〉検見は日中の明るい時間に行う〈2〉圃場をさまざまな方向から見る〈3〉稲が倒伏した圃場では倒伏時期を確認する――などをあげた。

(5面・NOSAI)

<写真:検見競技会では、品種や倒伏時期を確認しながら検見した>

091005_06.jpg 「『ササニシキ』を扱っていない小売店はたくさんある。販路はまだまだ拡大できる」と話す、宮城県登米市南方町の有限会社PFTサービスの代表・後藤政浩さん(61)。ササニシキ38ヘクタールを栽培し、量販店や飲食店を中心に直販し、個人客も約450人いる。量販店向けの販売は、地域で栽培方法を統一したグループを結成し、必要な取引量を確保する。昨年は、新たに「Fuji Rice」のブランド名で香港に44トンの輸出をスタートした。「日本の米を認めてくれる地域に販売したい」と、輸出拡大を目指している。
 PFTサービスでは後藤さんが販売を、息子の貴之さん(34)と従業員1人が栽培を担当。1988年から直販に取り組む。5年ほど前に70アールで有機JAS認証を取得した。そのほかはすべて特別栽培米だ。
 後藤さんは「ササニシキがあると米屋は話に乗ってくる。有機栽培米は、さらに売り込む時の武器になる」と説明する。
 ササニシキの主産地、宮城県ではかつて8万ヘクタール以上の作付面積があった。
 特別栽培米の価格は、個人向けが10キロ5千円、飲食店など業務用が10キロ3800円。業務用が7割を占めている。

(8面・流通)

<写真:「海外では日本といえば富士山というイメージがあるから」と後藤さん。袋には「藤」の字を大きく書いてある>

 「第27回全農酪農経営体験発表会」(主催=JA全農)が9月18日、東京都港区内で開かれた。書類審査を通過した5経営体が体験発表し、最優秀賞の農林水産大臣賞は、先見性と堅実さを備えた循環型経営が評価された、岩手県雫石町の小松郁人さん(56)が受賞した。
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◆循環型経営を確立

 牛群は高泌乳牛と低泌乳牛の2群に分け管理。自家調整したTMR(混合飼料)を用い、高泌乳牛にはさらに配合飼料を添加し、低泌乳牛にはそのまま与えて過肥防止に努めている。輸入乾草の高騰で、昨年からは自給飼料の割合を増やした。
 低コスト化を図るため、地域に先駆けてウオークスルータイプのフリーストール・アブレストパーラー方式を導入。労力軽減と作業の効率化を図る。
 1998年には、ふん尿の発酵乾燥処理施設を導入した。
 粗飼料生産は30ヘクタールに牧草を作付け、全量をロールラップサイレージにする。品種はオーチャード主体で、チモシーとルーサンを混播する。搾乳牛には一番草のサイレージを給与するとともに、圃場ごとに飼料の成分分析を行って飼料設計に生かす。

 〈経営概要〉夫妻と父、長男の4人で経営し、飼養頭数90頭のうち経産牛54頭。経産牛1頭当たり乳量は9393キロ、平均乳脂率3.83%で無脂固形分率8.66%、体細胞数15万4千個、分娩(ぶんべん)間隔は13.2カ月(2008年成績)。

(9面・営農技術)


<写真:農林水産大臣賞を受賞した小松さん>

 社団法人中央酪農会議(中酪)は9月25日、2008年度の酪農教育ファーム認証牧場の受け入れ実態調査結果を発表した。全国257の牧場で体験を行った人は70万5568人に上り、前年度に比べ約2%増えた。夏場の余暇として利用する一般消費者や小・中学校など教育機関の参加が増え、農業体験や食育の場として需要が高まっている。一方で、飼料価格高騰に伴う経営悪化などを背景に受け入れをやめる牧場も出てきた。牛乳の消費低迷に歯止めがかからず、牛乳・乳製品の消費拡大策の強化が求められている。

(2面・総合)

091005_08.jpg 「食料自給力の向上と植物防疫」をテーマに報農会は9月25日、シンポジウムを開催。飼料稲の生産・利用や水田大豆の安定生産について、研究者や生産現場から報告した。
 茨城県農業総合センター農業研究所の弓野功氏は、大洗町で取り組む飼料稲の研究成果などを紹介。「耕畜連携システムの維持発展には、飼料稲の生産量を高め、生産費を削減する栽培技術や泌乳牛への給与技術などが課題」と指摘した。
 大洗町では、稲発酵粗飼料専用品種「クサホナミ」を株間22センチで移植し、出穂前15~20日前にチッ素成分で10アール当たり2キロ追肥。株間18センチで追肥を行わなかった場合に比べ、生産量が15%高まったという。また、オーツヘイの代替飼料として夏から秋に稲発酵粗飼料を短期間給与したが、乳量や乳質に差が見られなかったとも説明した。

(9面・営農技術)

091005_09.jpg 【高知支局】高知県農業技術センターでは、トマトなどの果菜類などに灌水(かんすい)管理を自動化できる日射比例灌水制御装置を開発した。適度な水分ストレスを与えて作る高糖度トマトが安定生産できるとあって、農家などから注目されている。
 同センター作物園芸課の新田主任研究員は「灌水量を多くすると大玉となり、少なくすれば糖度は高くなるが、小玉になる。高糖度トマトの長期栽培と増収を図るには、できるだけ適度な水分ストレスを保ち、糖度9度前後(1果60グラム程度)のトマトを維持することが大切」と話す。
 3年前、ハウスの約10メートルに同装置を導入した香南市夜須町の西内孝さん(45歳、フルーツトマト50アール、水稲2ヘクタール)は、「毎日の日射データや灌水量が分かるので、防根シートだけのトマト栽培の灌水量の参考にも役立つ」と話している。

<写真:タッチパネルで灌水量を調整する西内さん>

091005_10.jpg 【岩手支局】農場直売店「たまご家(浅沼利久店長・37歳)」を養鶏場の敷地内にオープンさせた、紫波町の有限会社「浅沼養鶏場」では、卵とその関連商品を取りそろえ好評だ。直売店では、新鮮な卵のほか、温泉卵や自家産卵を使ったチーズケーキなどを販売。試食コーナーやギフトコーナーも設け、集客につなげている。

<写真:「直営店だからこそ鶏が産んだ卵が、その日のうちに店頭に並ぶ」と浅沼店長>

091005_11.jpg 【北海道支局】北海道農業研究センターと株式会社渡辺採種場が共同育成したカボチャ品種「ほっとけ栗(くり)たん(TC2A)」のセル苗移植試験が、深川市納内町の大野博幸さん(60)の圃場で行われている。食味も良く、省力化・高品質・多収性が期待でき、水田の転作作物としての普及も期待されている。

<写真:ほっとけ栗たんの圃場で大野さん>

091005_12.jpg 【三重支局】花や野菜の生産と育種に取り組む伊賀市の奥隆善(おく・たかよし)さん(31)は、「皆さんに喜んでもらえる品種を開発したい」と話す。
 自宅の倉庫を改造した研究室で、これまでに10種類以上の品種登録に成功している。
 国内はもとより海外でも育種家、園芸研究家として名が知られ、「コスモスの花博士」として新聞の取材に応じたりテレビに出演。園芸教室を開いて、花の魅力を広める奥さんだ。

<写真:チョコレートコスモスを摘み取る奥さん>

091005_13.jpg 【新潟支局】新潟市南区上新田の知野三義さん(83)は、農業日誌を書き続けて60年近くになる。
 1950年、知野さんは4年間のシベリア抑留から戻り、翌年から日誌を書き始めた。「抑留前には田んぼが1反1千円で買えたのに、帰港先での滞在4日間の飲食費にしかならなかった」と、当時の物価の変わりようを書いたのが始まりだ。
 日誌に記録されているのは、当時の物価や栽培作物の変遷、家族と地域のことなど。知野さんが農業を始めたころの品種更新の話や、91(平成3)年の台風19号による惨状なども書きつづられている。

<写真:50年分の日誌を前に思いを話す知野さん>

091005_14.jpg 【福島支局】年間100種類ほどの野菜を生産し、高原野菜直売所「どてかぼちゃ」を営んでいる相馬市東玉野の島隆光さん(69)、シノブさん(69)夫妻は、自家産の「あきたこまち」「ヒメノモチ」、山ゴボウの葉を使用し、昔ながらの保存食・凍み餅(しみもち)を作り、販売している。
 凍み餅作りは例年1月10日ごろから始め、一冬でうるち米5俵(製粉)、はせがけで自然乾燥したもち米2俵、乾燥した山ゴボウの葉20キロを使う。
 つきあがった餅は雨どいを利用して整形する。2~3日置いて硬くなったら1.5センチ幅に切る。わらで編み、マイナス5度以下で一晩凍らせた後、作業場内で約3カ月間陰干しして完成。

<写真:凍み餅を手に島さん夫妻>

091005_15.jpg 【埼玉支局】杉戸町の泉夕市直売会(森田はつ代表、会員4人)では、昔ながらの素朴な味の小麦まんじゅう「泉まんじゅう」を生産・販売し、利用客から好評だ。
 泉まんじゅうのほか、牛乳まんじゅう、黒糖まんじゅう、自分たちで栽培した紫イモを使った「紫いもまんじゅう」があり、毎朝4時半に加工作業を始める。「朝早くて大変だけど、大勢でやるから楽しみです」とメンバーは話す。
 商品は、主に町内の道の駅で販売。森田代表は「若い人にもどんどん参加してもらい、盛り上げていきたい」と話している。

<写真:まんじゅうを作るメンバー>

 ▼地産地消活動の拠点である農産物直売所は、今や全国で1万を超えたとされ、地域に活気をもたらしている。各地の直売所を訪ねて驚くのは、量販店ではみられない野菜の種類・品種など食材の豊かさだ。
 ▼キュウリやナス、ダイコン、カボチャなど、見慣れた色や形とは違う種類が並んでいると、つい手を伸ばしてしまう。そんな「発見」が楽しいと直売所通いを趣味にする人も増えている。個性的で昔懐かしい伝統野菜が目玉商品となり、地域の貴重な財産として産地化する動きも盛んだ。
 ▼このほど日本種苗協会が発刊した「日本のふるさと野菜」(頒価2500円、税込み)は、全国の地方野菜・品種を網羅し、索引には833の品種名が並ぶ。地方野菜・品種の来歴や最近の栽培状況などを紹介。豊富な写真を眺めるだけでも多種多様な野菜の存在が分かる。
 ▼企画・監修した芦澤正和氏の解説によると、地方野菜・品種で多いのはアブラナ科の葉根菜だ。栽培の歴史も長く、日本の食生活に密着している。また、大量生産・大量供給を前提とした流通では野菜も汎用性の高さが重視されたが、生活程度の向上とともに珍しさや新しさへの要望が強まっていると説明する。
 ▼地域活性化を促そうと、県や試験研究機関、団体が連携し地方野菜・品種の保存や産地化に取り組む例も増えた。「京の伝統野菜」(京都府)や「加賀野菜」(石川県)などブランドとして定着したものもある。ただ、農家の自家採種でほそぼそと伝えられた野菜・品種で、この間に消えた数も多いとみられる。
 ▼ダイコン一つとっても、おろしやサラダ、煮もの、漬け物など食べ方はさまざまだ。青首・短太の系統だけでなく、甘さや辛み、歯触りなどの食感、色や形も含め、選べることで食は一層豊かになる。直売所の活況は、そうした消費者ニーズの現れとも言える。多様な遺伝資源を残してくれた先人に感謝しなければならない。

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