農業共済新聞 全国農業共済協会(NOSAI全国)
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今週のヘッドライン: 2009年11月アーカイブ

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は25日、東京千代田区の日比谷公会堂で「『信頼のきずな』実践強化運動――NOSAI事業推進大会」を開く。全国から約1千人のNOSAI関係者が参加。自然災害に遭った被災農家の経営安定に向けて共済金の早期支払いに努めるとともに、NOSAI制度の加入拡大や補償の拡充、2010年度からスタートする新全国運動「『信頼のきずな』未来を拓(ひら)く運動」の推進などに全力を挙げて取り組むことを確認する。
 
091126_01.jpg 今年は、7月下旬に九州北部・中四国での集中豪雨があったほか、8月には駿河湾を震源とする地震が発生。北海道を中心とした低温日照不足・長雨で農作物の生育障害など被害を受けた。台風9号は8月9~11日に日本列島に接近して各地に豪雨をもたらし、2年ぶりに上陸した台風18号は10月8日、暴風雨を伴って、愛知県から東北地方太平洋岸に駆け抜けた。
 NOSAI団体では適正・迅速な損害評価を実施、共済金の早期支払いに全力を挙げた。大会では、相次ぐ自然災害から農業経営を守るため、NOSAI事業の引受け拡大や適正運営に努めることなどを決議する。
 民主党を中心とした鳩山由紀夫内閣が9月16日に発足し、農林水産大臣に赤松広隆氏が就任。2011年度の本格実施を目指す農業者戸別所得補償制度などを柱とする農政改革を打ち出し、10年度以降の農政の指針となる食料・農業・農村基本計画の策定作業を進めている。
 農林水産省は10月15日、2兆7518億円(09年度当初予算額対比7.5%増)の10年度予算概算要求を財務省に提出。自民党政権下の農林水産施策を抜本的に見直し、09年度当初予算額対比6.0%減の2兆4071億円に縮減した上で、別枠で主食用米を対象とした戸別所得補償モデル事業費3447億円を計上した。併せて米粉など新規需要米や麦、大豆の生産振興を図る水田利活用自給力向上事業も盛り込んだ。
 国際的には、世界貿易機関(WTO)交渉が大詰めを迎えている。新政権は経済連携協定(EPA)、自由貿易協定(FTA)の交渉加速を掲げていて、国内農業への打撃回避が課題となっている。
 国内農業は、農業者の高齢化、後継者不足が続き、耕作放棄地が増加。農産物価格は低迷し、肥料・飼料などの生産資材価格は高止まりが続く。安全・安心な食料を安定的に供給し、食料自給率の向上に懸命な努力を続ける農業者にとって、経営のセーフティーネットとしてのNOSAI制度の役割はますます重要となっている。
 全国のNOSAI団体は、将来にわたる安定的・効率的な事業運営を目指し、組織体制強化計画の策定に取り組む。10年度からは新全国運動「『信頼のきずな』未来を拓く運動」がスタートする。「もっとフィールドへ」を行動スローガンに掲げ、農家・組合員との対話を一層積み重ねながら、「農業経営の安定」に向けて全事業の完全引受け、リスクマネジメント(RM)支援活動など地域貢献活動を展開していく。

(1面)

 
写真:北海道上川地方の水稲作況(10月15日現在)は83。上川北NOSAI(上川北農業共済組合)では、損害評価員はじめ組織を挙げて、損害評価に当たった(9月22日)

 「新政権に問う!どうする農山村政策」と題し、研究者や自治体関係者で組織する中山間地域フォーラム(佐藤洋平会長)が14日、東京・お茶の水で緊急シンポジウムを開いた。郡司彰農林水産副大臣との意見交換では、来年度実施する米戸別所得補償モデル事業が全国一律支払いを基本としていることに疑問の声が集中した。郡司副大臣は条件不利となる中山間地域の再生には、戸別所得補償制度と中山間地域等直接支払制度、6次産業化を柱に、総合的な施策の展開が必要との考えを示した。過疎化を背景に地域をマネジメントする人材育成への支援を求める声もあった。

(2面・総合)

 農林水産省は19日、夏以降の日照不足・低温で農作物に大きな被害を受けた北海道の被害農家に対する支援対策を発表した。
 NOSAI関連では、水稲で被害粒が多発したことから、北海道NOSAIの申請を受け、被害粒分を減収量に加味する「損害評価の特例措置」を実施。通常は翌年支払いとなっているタマネギの共済金は年内に仮渡しを行う。金融対策では、被害農業者が長期運転資金を無利子で借りられるようスーパーL資金の無利子化枠(3億円)を確保する。
 日照不足・低温が続いた北海道では、7月下旬から排水対策・適期防除などの技術指導や野菜の出荷促進の要請、共済金の早期支払いのための体制整備の指導などを行ってきた。道の調査では、農業被害額は595億円に上る見込みとなり、追加対策を決めた。

(2面・総合)

 NOSAI団体は、2010年度から新たな全国運動「『信頼のきずな』未来を拓(ひら)く運動」をスタートさせる。期間は14年度までの5年間で、運動目標を「安心ネットを広げ 農家・地域の未来を拓こう」とした。行動スローガン「もっとフィールドへ」のもと、役職員は積極的に生産現場に出向き、これまで以上に農家との対話を重視した事業運営を展開する。新運動のねらいなどを共子さん、済太郎くんが話し合った。
 
 〈共子〉 全国のNOSAIが進めてきた「『信頼のきずな』実践強化運動」は本年度で終わり、来年度から新たな全国運動が始まるそうね。
 〈済太郎〉 現在の運動をさらに発展させる「『信頼のきずな』未来を拓く運動」を始めるよ。「安心ネットを広げ 農家・地域の未来を拓こう」を運動目標に掲げ、災害による損失の補てんと損害の未然防止というNOSAIの主要機能を地域の全農家に提供することを目指すんだ。役職員は「もっとフィールドへ」を行動スローガンに、積極的に生産現場に出向き、農家・組合員との対話を積み重ねる行動を強化し、農家の期待に応えられるNOSAIになるよう努力を重ねていく。
 〈共子〉 今年は北海道を中心に夏場の低温・日照不足による水稲や畑作物の被害が発生し、2年ぶりに上陸した台風18号では、東海地区など多くの県が被害を受けたわ。
 〈済太郎〉 農業災害に遭いながら未加入だったために補償を受けられない農家が出ないよう新運動では「完全引受け」を強力に進める。農家それぞれの経営に即した提案型の加入推進に取り組むとともに、地域・農家のニーズを掘り起こして魅力のあるNOSAI制度の実現を目指していくよ。

(6面・NOSAI)

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 FS(農家満足)活動や事業推進で成果を挙げた「FS推進『信頼のきずな』実践強化運動」の2009年度優秀事例が決定、25日に開くNOSAI事業推進大会で表彰される。受賞組合・連合会は、実践強化運動中央推進本部(本部長=竹中美晴NOSAI全国会長)の実践事例選定委員会で選定された。優秀賞を受賞した「事業推進部門」3事例と「農家・地域支援部門」の2事例を紹介する。

▼農家・地域支援部門 優秀賞 福岡県・NOSAI筑前福岡
●テーマ=「個体異動情報の適正把握めざして」
●サークル名=NOSAI筑前福岡プロジェクトKⅢ
 家畜の個体異動情報を適正把握

091126_03.jpg NOSAI筑前福岡(筑前福岡農業共済組合、長知宏組合長)は、農家経営支援として家畜の個体異動情報の適正把握に取り組んだ。農家側に、異動報告の不徹底や耳標の未装着などがあり、農家への説明と現地での異動確認に着手した。
 対策は〈1〉異動報告の徹底〈2〉トレーサビリティー(生産・流通履歴の追跡)情報との照合の改善〈3〉定期的な現地確認の徹底〈4〉関係機関や嘱託獣医師との連携強化――など。「ファクスによる報告を徹底し、督促の電話を減らそう」を目標とし、電話本数は年間142件から119件に、農家の報告ミスは149件から133件に減った。
写真:NOSAI職員は牛舎へ出向いて耳標装着の指導を行った

▼農家・地域支援部門 優秀賞 宮崎県・NOSAI連宮崎
●テーマ名=「農家のみなさん、お産に立ち会いましょう」作戦
●サークル名=にーはちごー倶楽部〈くらぶ〉
 黒毛和種牛の胎子死低減へ

 県内で毎年約1500頭発生する黒毛和種牛の胎子死を減らそうと、NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会、工藤悟会長)は、リスク管理指導センターが中心となり、事故発生状況や正常分娩〈ぶんべん〉の流れを紹介するポスターを作成。農家を対象にした講習会や座談会の開催し、農業共済新聞地方版と各組合機関誌に胎子死の特集を組み、農家に分娩への立ち会いを呼び掛けた。

▼事業推進部門 優秀賞 広島県・NOSAI北部
●テーマ=「2010年産果樹共済(ブドウ)災害収入共済方式の引受けを目指して」
●サークル名=チームピオーネ
 農家ニーズに応えた加入方式推進

 NOSAI北部(広島県北部農業共済組合、宮脇勝博組合長)は、ブドウ共済で農家ニーズに応える加入方式として2010年産からの災害収入共済方式導入を決定。3カ年計画を立てて加入推進し、10年産は災害収入共済方式で1273アールを引受け、ブドウ共済全体の引受率は08年産の1%から19.6%に拡大した。
 引受率が低迷していたブドウ共済(半相殺減収総合一般方式)の問題点を分析。農家の被害リスクが、収量減より品質低下での収入減の方が大きいため、災害収入共済方式の導入を決めた。
 連合会と協力して制度説明会などの3カ年の行動計画「ブドウ共済災害収入共済方式導入のスケジュール」を作成。年度ごとにスケジュールの実施状況を検証し、加入推進の実施と成果を確認した。

▼事業推進部門 優秀賞 愛媛県・NOSAI八幡浜地方
●テーマ=「果樹共済の引受拡大を目指して!――低加入地区特別推進による引受拡大」
 関係機関と連携して引受面積拡大

 NOSAI八幡浜地方(八幡浜地方農業共済組合、石崎照夫組合長)は、温州ミカン共済の引受拡大を目指し、理事役員(共撰長)と共済委員(共撰運営委員)、職員が同行して、低加入地区の未加入農家や中止農家に加入推進。その結果、復活や新規引受けが81戸(7868.5アール)となった。
 果樹地帯の管内では、後継者不足、農家の高齢化などから、引受面積が減少。県・JA・市町村などで農業共済加入促進連携協議会を昨年発足させ、関係機関の協力を得ながら果樹共済の加入推進に取り組んでいる。今年からは、役員と共済委員、NOSAI職員の補完推進を始めた。

▼事業推進部門 優秀賞 福岡県・NOSAI筑後川流域
●テーマ=「果樹共済 新規農家をがっちり!!」
 果樹の加入方式見直し新規農家獲得

 NOSAI筑後川流域(筑後川流域農業共済組合、緒方登志安組合長)では、加入率が低迷する果樹共済の新規農家獲得に力を入れ、加入方式の見直しを実施。2009年産の加入は、前年産と比べて226園地、27ヘクタールの増加となった。
 ブドウ共済は災害収入方式を実施していたが、主産地で共同選果での出荷が少なく、多くの農家が加入できなかったという。そのため、JA担当者と意見交換し、新たに半相殺総合短縮方式と樹園地特定危険方式を導入した。ブドウ部会の役員に、加入や評価の仕組みを説明して協力を依頼。農家には説明会でパンフレットや保険設計書を配布し、加入を募った。

(7面・特集)

 青森県五所川原市水野でベゴニアなどの花壇苗を施設栽培する小田桐美喜雄さん(60)は、冬季の暖房費削減のため、早朝に施設内の気温を下げる「早朝降温処理」を行っている。日の出の3時間30分前から約4時間、暖房機の設定温度を下げる技術で、県産業技術センター農林総合研究所が開発した。外気温が下がる深夜から早朝に暖房機の稼働率を抑えることで燃料を最大3割削減でき、パンジーなどではわい化の効果もある。

091126_04.jpg 「気温を下げても品質に影響はない。品質を低下させずに暖房燃料を削減できる」と話す小田桐さん。鉢物のシクラメン4万鉢(2810平方メートル)、ベゴニアやマリーゴールドなど花壇苗15万鉢(3250平方メートル)を栽培している。
 1月に播種する春出し花壇苗の一部で、試験的に早朝降温処理を今年から試験導入。県産業技術センター農林総合研究所の技術指導を受け、気温を下げ始める時刻と設定温度は、作業効率や栽培品目を考慮して小田桐さんが決めた。
 処理時期は、育苗した苗を鉢上げし、根が活着したあとの3月から約1カ月間。タイマーを使って午前3時から日の出までの約4時間は暖房機の設定温度を12度から7度に変更し、気温を下げる。昨年までは12度に保っていた。
 日の出後は、太陽熱で外気温が徐々に上昇するため、施設内を効率的に暖められる。育苗中と根が活着していない期間は、気温を下げると生育に影響するので暖房するという。

(11面・営農技術)

写真:暖房機に変温機能がないときは、市販の4段サーモを取り付ける

091126_05.jpg 【山形支局】米沢市で「古山きのこ園」を営む古山泰彦さん(61)は、妻、息子夫妻、娘の一家5人でナメコの空調栽培を行っている。直売による対面販売に力を入れ、地元置賜地域はもとより、山形市の朝市などでも販売。商品を待ちわびるなじみの客も多い。

 古山さんは、発生室9室、培養室6室を備える栽培施設で、年間約40トンのナメコを生産する。
 国産のおがくずを瓶詰めし蒸気で殺菌後、種菌を植え付ける。培養室で60~70日間、15~22度で培養し、加湿した発生室に移動。約20日後に1回目の収穫が始まり、同じ瓶から複数回収穫する。
 収穫したナメコは、地元市場やJAを通じて築地市場に出荷するほか、「直売に力を入れている」と話す古山さん。地元の愛宕朝市や毘沙門(びしゃもん)朝市のほか、山形市のてっぽう町青空市場や駅西朝市、官公庁での販売など多数の産直に参加している。
 一般に売られているのはつぼみなめこだが、食べ応えのあるひらきなめこが人気だ。プチなめこも、妻の孝子さんのオリジナルレシピを紹介したところ人気が上昇。リピーターも増えたという。
 古山さんは「いずれは息子を主導にし、自分は趣味の音楽や釣りの時間も楽しみたい」と話してくれた。

写真:ナメコの発生室で古山さん。発生室のナメコはハサミで切って収穫する

091126_06.jpg 【秋田支局】日本一辛いダイコンといわれる「松館しぼり大根」――。鹿角市八幡平松館地区の山崎道博さん(54)は、地元特産のこのダイコンを栽培し、栽培仲間と共に知名度向上に取り組んでいる。
 品種は「あきたおにしぼり」で、山崎さんは5年ほど前に導入。大きさは、長さ15~20センチ、カブとダイコンの中間のような形で「収量は10アール当たり約1トンにもなる」という。
 7月上旬に種播きをし、その後は間引きや病虫害対策の薬剤散布などを行う。10月下旬から収穫期を迎える。
 同地区にはダイコンの品質統一などを目指した「松館しぼり大根栽培組合」があり、地域一体となって栽培しながらPRにも取り組む。
 出荷は来年3月ぐらいまでで、ほとんどが市場出荷という。「取引価格は1キロ当たり150円から350円で、主に秋田市方面への出荷」と山崎さんは話す。

写真:「多くの人がこのダイコンを知って食べてくれれば」と話す山崎さん

091126_07.jpg 【青森支局】市販の布粘着テープ(ガムテープ)を使い、リンゴ腐らん病対策に効果を挙げている青森市浪岡下十川の加藤孝之進さん(72)は「患部にグルグル巻くだけと簡単。泥巻き法より手間がかからず仕事がはかどる」と効果を話す。
 水稲93アール、リンゴ52アールを栽培する加藤さんは「泥まき法は泥で患部を密閉している。布製粘着テープを巻くことも同じ効果があるのでは」と、腐らん病患部をテープでらせん状に巻いたところ、「若い樹勢の良い樹(き)ほど回復が早く、1年ぐらいで完治した」と結果に驚いた。
 現在20本ほどに施している。「リンゴ園では腐らん病を見つけ次第、対処しているので、ガムテープは欠かせない」と話す。
 ポイントは、園地を常に観察して初期のうちに対処すること。樹体がぬれていても効果は変わらない。「リンゴ農家は試してみては」と加藤さんは勧める。

写真:「とにかく初期に見つけ次第、早く巻くようにしている」と話す加藤さん

091126_08.jpg 【石川支局】渋柿を使った干し柿「ころ柿」を作る志賀町上棚の山田静江さん(57)は、甘柿や渋柿を使って、工夫を凝らした加工品を製造・販売している。
 山田さんはスイカ(1ヘクタール)を中心に、秋から冬にはころ柿を生産する専業農家。農作業中はいろいろなことを考える最良の時間で、新しいアイデアが次々と浮かんでくるという。その一つに、甘柿で作った「ころも柿(がえ)」がある。
 ころも柿は甘柿を干したもので、上品な甘さと果実の色が特徴だ。冷凍しなくても1年ほど保存が可能だという。
 山田さんは、熟れた渋柿を使ってジャムも作る。また、ころ柿をワインに浸したものは香りが良く、試食での評価は上々で、共に商品化を検討している。「ひらめきを大切に、楽しく農業を続けたい」と意欲的だ。

写真:ころ柿(左)と、ころも柿を手に山田さん

091126_09.jpg 【熊本支局】阿蘇市生活研究グループ(井手キミ子代表=66歳、メンバー8人)は、阿蘇神社近くの「うなり茶屋」で、自家栽培した食材などを使った郷土料理を提供している。
 グループでは地産地消を重視し、食材のほとんどが自家産の無農薬野菜、米や小豆、コンニャクで、みそは市内で造られたものを使用する。
 井手さんを含め3人が県認定の「くまもとふるさと食の名人」。メニューは、だご汁をはじめ、高菜めし・煮しめなど郷土料理が中心だ。メンバーはその日に持ち寄った野菜を見てメニューを決めるという。
 多くのリピーターの、「『また来たよ』『おいしかった』の声が支え」と井手さんは話している。

写真:前列左から2人目が井手さん

 【岩手支局】「寒締めハクサイ」の栽培に今シーズンから取り組んでいる、一関市萩荘の「古内営農組合」(千葉悦雄組合長、組合員20人)が、まもなく出荷時期を迎える。
 「寒締め」は、寒さで凍りつくのを防ぐため、細胞中の水分量を低下させるという、野菜の防衛機能を利用する栽培法。水分量が減ることで糖分やビタミンなどが凝縮され、甘く栄養価の高い野菜となる。
 組合では9月上旬に約6千株の苗を20アールの畑に定植。寒さにさらすため、出荷開始は12月上旬と、通常のものより1カ月ほど遅くするという。
 千葉組合長は「1玉3キロ以上と、通常のサイズより大きい。売れ行きを見て来年度の生産を考えたい」と、寒締めハクサイの栽培に手応えを感じている。

091126_10.jpg 【兵庫支局】蚊取り線香と打ち上げ花火を組み合わせた装置を作った、新温泉町宮脇の岡田豊一郎さん(78)は、今年はイノシシの被害に遭わなかったという。
 電気柵を設置しても効果が少なく、イノシシ対策に悩んでいた岡田さん。「何とか被害を防げないか」と試行錯誤し装置を完成させた。装置は、2~3時間の間で約10分おきに花火に点火する。音と火薬のにおいで、その後もイノシシが近づかなかったという。
 岡田さんは「イノシシの行動時間を読み、その時間に点火するのが効果的ですが、火を使うので注意が必要。課題は雨が降ったときの対策」と、改良に余念がない。

写真:蚊取り線香と花火

 ▼農業生産性と生物多様性の両立を目標に、農林水産省は圃場の生物多様性を測る指標生物を探して評価手法を開発するプロジェクト研究を進めている。生息環境の違いなど全国を8地域に分け、250カ所以上で2年間調査した結果、天敵を中心に多くの指標候補が見つかった。
 ▼捕食性昆虫のヒラタアブやクサカゲロウ、寄生性昆虫のヒメバチ、コマユバチ、訪花昆虫のハナバチ、ハナアブなどだ。来年度から3年間で候補を絞り、現場レベルで多様性を評価できる手法を開発してマニュアル化し、普及に移していく。
 ▼先ごろ開かれたシンポジウムでは、和歌山県がナス圃場での研究成果を報告。農法の違いなどで天敵生物の生息密度は異なり、ヒメハナカメムシ類は有機栽培圃場に多く、アブラバチ類はアブラムシが多い時だけ発生したと紹介した。慣行栽培圃場でも防除が少ないほどヒメハナカメムシが多い傾向があったという。
 ▼農業生産と圃場の生態系は密接につながっている。しかし、今までは害虫と防除の研究が主体で、天敵や農業生産に影響しない"ただの虫"には目が向けられてこなかった。天敵のクモを集めるユスリカを増やすなど圃場の生物を一定程度管理できる技術開発が進めば、害虫の被害抑制や農薬散布の軽減につながる。
 ▼また、欧州連合(EU)が導入した環境直接支払いは、有機など農法のほか、圃場周辺の植栽も含めた生物多様性保全も要件となっている。生物多様性を測る指標と評価手法の確立は、日本型の環境直接支払い制度導入に道を開くと期待されている。国民の理解促進も念頭に、指標生物の検討ではルーペで確認できる大きさも条件の一つだ。
 ▼来年10月には、名古屋市で第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が開かれる。生物多様性の保全に国民的な関心が集まる中、誰にも分かりやすい指標が見つかれば、環境保全型農業の取り組み推進にも弾みが付く。

091119_01.jpg パンや洋菓子、めんなど、新規需要向けの米粉用米の生産が広がっている。米粉用米の生産が盛んな新潟県では、麦や大豆などの生産に向かない水田地帯で、実需者との連携体制を整えながら生産を振興。国の支援事業が後押しとなり、取り組みが増えている。しかし、再生産可能な利益を上げるために低コスト化が必要になるほか、主食用との混入を防がなければならないなど課題もある。胎内市と上越市で米粉用米生産の現状を取材した。

◇胎内市
 「この辺りは湿田が多いので、米が一番適している」と話すのは、胎内市下館の水稲農家、近藤重雄さん(69)=水稲5.3ヘクタール、ソバ12アールなど。3年前から米粉用の「コシヒカリ」を栽培している。
 同市水田農業推進協議会は、個人・団体で栽培面積1ヘクタール以上を参加条件とし、米粉用米生産を振興。近藤さんは集落の60~70代の水稲農家2人とグループを作り、今年は計1.8ヘクタール栽培した。
 近藤さんが住む黒川地区では、米粉用米生産をJA黒川村が取りまとめる。JA全農にいがたを通じて、契約先の製粉業者「新潟製粉」(本社・同市)に販売。2005年から本格生産し、今年は62ヘクタール分を13の個人・団体が作付けた。
 品種はコシヒカリと「こしいぶき」。米粉の販売先が「新潟県産コシヒカリ」を売りにした米粉パンを開発するなど、ニーズがあるという。
 主食用との混入防止に、栽培圃場に看板を設置する。同一品種でも出荷は主食用と米粉用を分け、収穫・カントリーエレベーターへの搬入日を設定。搬入の伝票は、主食用が白、米粉用が黄色と、一目で判別可能だ。
 

◇上越市
 上越市では、米めん用の新品種「越のかおり」の生産に取り組もうと、今年2月、認定農業者など12人が「上越米粉研究会」を設立した。会員の相馬保輔さん(65)=水稲約10ヘクタール、大豆1.1ヘクタール=は「新しく機械を導入せずに作れるのが魅力」と話す。
 越のかおりは高アミロースで、加工しためんはゆでてもくっつきにくい特性がある。農研機構中央農業総合研究センター北陸研究センターが開発した品種だ。ふ先が褐色で「主食用米と見分けやすく、混入防止に役立つ」と低コスト稲育種研究北陸サブチームの三浦清之サブチーム長は説明する。
 越のかおりは、そば・うどんを製造する市内の製めん業者「自然芋〈じねんじょ〉そば」との契約栽培だ。今年は合計10ヘクタールほど作付け、約52トンを出荷した。
 低コスト化を図るため、植栽密度は県の指針より約3割減らす疎植栽培とし、収穫を1週間遅らせて圃場で乾かす立毛乾燥などに取り組んだ。立毛乾燥は自然芋そばの要望で、原料に青米が入るのを防ぐ。

(1面)

<写真上:刈り取り後のわらのすき込み作業を終えた水田で近藤さん。「選ばれる米粉にするため、いい米を提供します」>
<写真中:上越米粉研究会の会員たち。後列美右の内山義夫さん(57)=水稲25ヘクタール=は「食の多様化でパンやめんも食べるようになった。そのときに米粉製品を選んでほしいですね」>

 農林水産省は9日、2010年度に実施する米戸別所得補償モデル事業で、交付対象とする「販売農家」を、水稲共済加入者を基本とする考え方を示した。未加入者は前年度の出荷・販売先との契約状況を申告する必要がある。戸別所得補償制度推進本部の第2回会合を開き、交付対象の販売農家の定義や範囲、交付対象面積のとらえ方、交付申請手続きなどの実施体制を決めた。
 米戸別所得補償モデル事業は、「米の生産数量目標に即して生産を行った販売農家」に、全国平均の販売価格と生産費の差額を全国一律単価で交付する仕組み。
 対象を水稲共済加入者としたのは「販売目的で米を生産する農家を広くとらえつつ、その確認を容易に行える」ため。2008年産の水稲共済の引受実績は約180万1千戸・147万9千ヘクタールで、水稲作付面積の91%を占める。水稲共済には基本的に米・麦合わせて10アール以上の農家が加入でき、統計上の販売農家(30アール以上または販売金額50万円以上)175万戸より多くの農家が対象となる。
 集落営農は、規約や代表者を定めて米を共同販売経理している経営体が対象。交付申請の際は、集落営農の構成農家名簿の提出を求め、交付金の重複支払いがないよう確認する。

(1面)

 農地の効率的な利用促進を柱とする改正農地法などが来月施行される。転用規制を厳格化して農地を確保するとともに、賃借要件を大幅に緩和して企業などの農業参入を促す。生産現場では、新規参入に伴う地域農業への影響を懸念する声がある。農林水産省はこのほど運用指針などを定めた政省令とガイドライン案を提示。参入規制の緩和に伴い新設した「地域との調和要件」の基準や、許可を行う農業委員会のチェック事項や許可取り消しの判断基準などを例示した。農地の確保と有効利用のため制度の厳格な運用が欠かせない。

(2面・総合)

 環境保全型農業の一層の推進を目指し、エコファーマー全国交流会が5~6日、宮城県大崎市で開かれた。エコファーマーの認定が18万人を超え、技術研修や情報交流の場づくりなどの要望が高まっている。来年秋の全国協議会設立に向け、当面の進め方や活動内容を確認した。

 全国交流会は、9月に発足した全国エコファーマーネットワーク化推進準備委員会と日本土壌協会が主催。5日のフォーラムには、農家や行政、JA関係者など約360人が参加した。
 準備委員会の佐々木陽悦会長は「グローバル化の波が押し寄せている。日本農業が存在意義を持つには、地球温暖化防止や生物多様性の保全など市場原理とは違う価値を見いださないといけない。日本の食と農のあり方を変える大きなうねりとなりたい」と話した。
 エコファーマーの認定件数は、2009年3月時点で約18万6千件となった。07年度には、農地・水・環境保全向上対策の営農活動支援にエコファーマーの認定が要件となり、認定件数は大きく増えている。

(2面・総合)

091119_03.jpg 農家10軒で一つの宿――都市住民に農村や地場産農産物の良さを知ってもらおうと、福島県南相馬市鹿島地区の「鹿島都市農村交流研究会」では、会員の農家10軒が民宿を営んでいる。シイタケの駒打ち体験など会員独自のおもてなしを基本に、郷土料理作りなどの共同体験メニューも提供。代表で農家民宿「もっけの幸〈さいわい〉」を営む小野田等さん(水稲8.5ヘクタールなど、56歳)は「大勢の都市住民を呼び込むより、この地区とずっとつながりを持てる人を探していきたい」と話す。地域農家を中心に地場農産物の直送販売が始まるなど、活動は広がりつつある。

 2005年11月に立ち上げた研究会は農家10軒で構成。設立と同時に会員全員が民宿を開いた。宿泊料金は1泊6500円に統一。一流ホテルから講師を呼んで接待の基本を学んだり、料理を持ち寄って意見交換会などを何度も重ねた。
 新規の個人客や団体客は小野田さんが窓口となり、要望を聞いた上で宿泊先を振り分ける。小野田さんは「1軒でグリーンツーリズムはできない。協力は欠かせない」と話す。冠婚葬祭など急用で受け入れができなくなると、10軒で調整する。
 民宿では経営内容に応じて水稲の苗作りや田植え、野菜の収穫など体験メニューがある。そのほか、おかみさんたちが指導役となり、郷土料理や布製の草履作りなど共同体験も用意している。

(3面・暮らし)

<写真:布製の草履作り。古くなったシャツを再利用する>

091119_04.jpg 肉用牛を肥育する神奈川県葉山町の三留武さん(68)は、食品副産物を飼料として給与、銘柄牛の低コスト生産に取り組む。飼料には豆腐かすやビールかすを利用、国内産稲わらの不断給餌を行い、肥育後期には濃厚飼料の割合を増やす。素牛(もとうし)は黒毛和種の去勢牛を生後10カ月齢前後で導入し、20カ月間飼養して出荷。高級ブランド「葉山牛」として出荷できる4等級以上が約8割を占める。
 
 三留さんは、三浦半島の北西部で娘婿の学さん(34)と肉用牛180頭を飼養する。素牛は北海道・東北地方の市場から、黒毛和種の去勢牛を選定している。
 導入から15、16カ月齢までは、濃厚飼料と食品副産物(豆腐かす+ビールかす)を同量ずつ配合して給与する。肥育後期は濃厚飼料の割合を増やし、1日に10.3キロの飼料を給与する場合、濃厚飼料7キロ、豆腐かす2.5キロとビールかす0.8キロ。豆腐かすには腐敗防止のため食酢を添加する。配合飼料は1日1回夕方に給与。素牛は約300キロで導入し、20カ月間飼養して約800キロで出荷する。
 飼料に使う豆腐かすとビールかすは、三留さんが会長を務める三浦半島酪農組合連合会(会員数11戸)が食品製造業者と契約を結び、各農場へ配達される。
 葉山牛は、会員が三浦半島で12カ月以上肥育した黒毛和種のうち、4等級以上に格付けされた枝肉であり、商標登録されている。豆腐かすやビールかすなど加熱した穀類を配合飼料に利用し、牛肉の脂肪に甘味が出てやわらかくなるという。飼料の配合割合は会員ごとに異なる。

(9面・営農技術)

<写真:「稲わらは、いつでも食えるよう給与している」と話す三留さん>

 青果物の契約栽培やイチゴの産地で通い容器のレンタル利用が徐々に普及している。通い容器は輸送効率の向上など利点は多いが、流通過程での管理が難しく紛失しやすいことなどが問題。レンタルは業者が容器を回収するが、使用料など利用者負担が課題になっている。産地の取り組みと合わせて現状と課題を取材した。

 通い容器の利点は〈1〉繰り返し利用でき、段ボールごみを削減できる〈2〉積み重ねて大量輸送できる〈3〉通気性が良く、予冷などの温度管理がしやすい――など。
 課題は〈1〉管理が難しく紛失しやすい〈2〉使用後の返却や保管場所が十分に理解・確保されていない〈3〉通い容器に適した集荷施設が少ない――など。
 レンタルは、農家や出荷団体が使用料を払って容器を借り、出荷したあとは業者が回収・洗浄して再び貸し出すという仕組み。使用者は、回収の手間を省けるメリットがあるが、レンタルには使用料のほか、紛失防止のデポジット(保証金)や紛失した場合の弁償金が必要になる。使用料は段ボール箱の購入費と同等程度だが、これら利用者負担が普及推進の課題になっている。
 また、レンタルを利用するには、あらかじめ容器の流通経路を特定できるよう卸売や小売店など使用者を決めることが原則だ。決まった相手と取引する契約栽培などでは導入しやすいが、不特定多数の業者がかかわる市場出荷では回収率が落ちるなどの課題がある。
 農林水産省によると、2008年度の青果物でのレンタルによる通い容器の使用量は約7千万箱。段ボール箱の年間使用量15億2400万箱に対し、普及率は4・4%にとどまる。

(8面・流通)

091119_05.jpg 【秋田支局】サボテンやアロエなどに代表される多肉植物の栽培に、羽後町高尾田の後藤昌太郎さん(53)、裕幸さん(26)親子が取り組んでいる。現在は「少量多品種で勝負」と、(25属)約5千種を栽培。「インターネット販売で栽培に弾みがついた。もっと種類を増やして販売を拡大したい」と意気込んでいる。

 後藤さん方は、水稲1.5ヘクタールとハウス10棟(700坪)でシクラメンやカーネーションなどを栽培する専業農家。多肉植物に出合ったのは、裕幸さんが東京都大田市場の大手花卸業者での研修中のことだった。当時、「コレクターの間で安定した価格で取引されていることを知った」という。
 実家に戻り、早速50種ほどの多肉植物を手掛け始めた。多肉植物は、原産地が南米やアフリカのため湿度を嫌う。そのため、当初はハウス内の温度管理などに苦労したという。「冬は5度を下回らないように、夏は遮光カーテンを使って温度管理に注意する。水管理も含めて、栽培のコツはだいぶつかんだ」と後藤さん親子は話す。
 多肉植物は独自の色や形とその希少性などから、観賞マニアや愛好家が買い求めることがほとんどだ。「昨年8月にホームページを立ち上げた。そのため全国から直接、注文が舞い込むようになった。1日10件ほど問い合せがある」と販路確立に手応えを感じている。最近は、県外から直接、買いに来る人もいるという。
 「購入者の7割ほどは女性。愛好者を一人でも多く獲得するため、さまざまな品種を育てたい」と、品種の拡大に意欲を見せる後藤さん親子だ。

写真:品種の拡大に張り切る昌太郎さん(左)、裕幸さん親子

091119_06.jpg 【埼玉支局】県独自の地鶏「タマシャモ」の味にほれ込んだ坂戸市片柳の尾島一正さん(52)は、父・豊さん(82)、次女・奈津貴さん(21)とともに、タマシャモの生産に力を注ぐ。
 タマシャモは、大和シャモに「ニューハンプシャー」「大シャモ」「ロードアイランドレッド」を交配して作り出された県独自の地鶏だ。飼育期間は150~180日以上と、一般のブロイラー(約50日)よりも長い。
 尾島さんは、タマシャモのひなを2週間おきに300羽ずつ購入し、80日までは自宅の周りで飼育する。ひなの世話は奈津貴さんの担当だ。80日以降は、ストレスをためないように約1千坪の農場で、11ブロックに分けて放し飼い。餌は全農で独自に配合したもので、そのほかに旬の野菜などを与えている。
 尾島さんが会長を務める「採の国地鶏タマシャモ普及協議会」では、年間10回ほどイベントを開催し、タマシャモ販売、PRを行い普及活動に力を注ぐ。「県唯一の地鶏として手間暇かかるが、大事にしていかないといけない。生産者をもっと増やし、顔が見える経営を目指していきたい」と意欲的だ。

写真:「顔を見れば健康状態がわかります」と話す尾島さん

091119_07.jpg 【宮崎支局】都城市梅北町の平川勝(ひらかわまさる)さん(69歳、繁殖和牛6頭、水稲50アール)方の観賞用バナナが、今年も小さな赤い実をたくさん付けている。2007年に妻のタツ子さん(66)が、友人から苗を譲り受け、移植したものだ。
 早いものは7月ぐらいから花が咲き、盆前には実になる。通りがかった人から「珍しい花だね。どんな実がなるの。食べられるの」と尋ねられることもしばしば。そこで食べてみたところ、アケビに似た味だったという。
 3本ぐらいで始めた観賞用バナナは、今年は20本以上に増え、実の数も多い。タツ子さんは「赤い実は花瓶に生けると、長く持ちますよ。これからも近所の人たちに差しあげるつもりです」と話す。

写真:「手入れは不要です」とタツ子さん

091119_08.jpg 【新潟支局】より品質が優れ、市場価値の高い柿の生産・出荷を目指して、柏崎市新道の新道柿栽培組合(鴨下純二組合長=62歳、組合員93人)では今年から、渋柿の「平核無」の樹上脱渋に取り組んでいる。
 鴨下組合長は「今年は、ヘタを含めて約40個に袋かけをしました。1個ずつ枝ごと輪ゴムで袋かけをする作業は初めてで大変でした」と話す。
 樹上脱渋とは、果実を樹上で脱渋する方法。満開後110日ころに、果実1個を3グラムの固形アルコール剤を入れたポリ袋で被覆し、3日後にポリ袋の下部を切って固形アルコールを除去する。
 果実は収穫期まで樹上に置くことで脱渋された状態で収穫でき、カラーチャートで果頂部が6.5以上になったら収穫適期だ。樹上脱渋された柿は、果肉が締まり、甘味が増し、パリパリとした食感と日持ちするなどの特長がある。
 「今は、収穫した柿を選果施設に運び、選別後にアルコール処理をしています。樹上脱渋できれば、袋かけの手間はかかりますが、ほかの作業が省けるので省力化ができそうです」と鴨下組合長。来年は20本くらいの木で実施する見込みだという。

写真:袋かけされた樹上脱渋中の柿

091119_09.jpg 【岩手支局】理想の「いぶりたくあん」作りに取り組んでいる一戸町の柴田久栄さん(70)は、薫製作りの経験を生かして、独自の方法で製造に励んでいる。
 いぶりたくあんが好きだったが、市販品は、味が濃くて硬い上、値段も高く感じていたという柴田さん。「前の勤務先で、薫製作りの経験があったので、自分が好きな味のいぶりたくあんを作ろうと思った」と話す。
 現在、約5アールの畑で1千本以上のダイコンを栽培。乾燥を早めるため、太くならないうちに収穫しているという。また、「燃料に桜の木を使うと独特のいい香りがする」と工夫を話す。
 いぶりたくあんは、直売施設で販売し、リピーターも多い。柴田さんは「通年販売できるようにして、多くの人に味わってほしい」と話している。

写真:窯にダイコンを入れる柴田さん

091119_10.jpg 【高知支局】果肉がギュッとつまった「ほっぺトマト」を、日高村下分の森下剛充さん(34)が、6棟23アールのハウスで栽培している。
 春先には糖度が12度ほどになるというこのトマト。森下さんは、糖度を上げるため、2日に1度だけ灌水(かんすい)し、木全体が適度にしおれるように様子を見ながら栽培する。
 ほっぺトマトを販売する「土佐ふるさと市」の黒岩好治さんは「どのブランドにも負けない味」と評価。リピーターも多いという。
 森下さんは、「地元のお客さんから『トマト嫌いの子どもが、また食べたいと言っている』と聞いてうれしかった。誰もが『おいしい』と言ってくれるトマトを作っていきたい」と話す。

写真:ほっぺトマトのパッケージ

091119_11.jpg 【徳島支局】「ユズ」「スダチ」「ユコウ」は「3大香酸かんきつ」と呼ばれる上勝町の特産品。特にユコウは、まろやかな香りと酸味で"ユズやスダチをしのぐ"ともいわれ、生産量の少なさから"幻の果実"と呼ぶ人もいる。
 生産者の一人、青木冷子さん(54)は「このあたりでは、ユコウは昔からおすしの合わせ酢として欠かせない果実なんですよ」と話す。
 収穫した果実は、町内にある最新鋭の搾汁施設に出荷され、生酢(きず)や味付けポン酢として加工して販売。
 「香りユズ、酸味スダチ、味ユコウ」と言われるユコウだが、まだ一般的に知名度が高くないのが現実で、生産者らは消費拡大に向けてPRに励んでいる。

写真:左から順にスダチ、ユコウ、ユズ

 ▼政府の行政刷新会議は、来年度予算概算要求を査定する「事業仕分け」を始めた。約3千事業のうち447事業を選定し、月末までに内容と予算額、国の事業としての妥当性などを評価する。結果は、年末に決定する来年度予算に反映する方針だ。
 ▼予算の無駄使い根絶を掲げた鳩山内閣による改革の柱であり、概算要求で過去最大の95兆円規模に膨らんだ予算の縮減を図る。農林水産省の所管は97事業を選定。民主党マニフェスト(政権公約)で重点施策とした6次産業化や中山間地域等直接支払制度も対象になった。
 ▼事業仕分けは、行政改革の手法で、前例踏襲主義の見直しを目的に導入する自治体が多い。予算項目ごとに、〈1〉そもそも必要か〈2〉誰がやるべきか(官か民か、国か地方か)――などを外部の評価者(仕分け人)と行政担当者が公開の場で議論する。評価結果には拘束力を持たせず、判断を首長や議会に委ねるのも特徴だ。議論の公開は、行政サービスのあり方を行政と住民が考える機会になると評価されている。
 ▼行政刷新会議の仕分け作業は公開され、インターネット中継された。一時的につながりにくい障害も起きるなど国民的な関心は高い。しかし、1項目当たり1時間程度で議論を打ち切って評価するため、傍聴した議論は消化不良の印象が強かった。有無を言わせない評価には、閣僚からも「乱暴だ」との声が漏れる。
 ▼農林水産分野は、農道整備事業は「廃止」、耕作放棄地再生利用緊急対策は「来年度の予算計上は見送り」など厳しい判定が続いている。基金事業はほとんど「国庫返納」と評価された。
 ▼国民に議論を公開して予算を精査し、無駄の排除と有効に使うあり方を検討する意義は大きい。多くの人に農業・農村施策を考えてもらう機会となる。早急に結果だけを求めるのでなく、十分に議論を尽くしてほしい。

 主食用米や乳牛・肉用牛向け稲発酵粗飼料(稲WCS)の生産・作業受託に取り組む、山形県酒田市の株式会社「和農日向(わのうにっこう)」(阿曽千一代表=57歳、役員5人、従業員1人)は、水田農業の担い手として活動している。高齢化や後継者不在など耕作がままならない農地が増える中、日向三ヶ字地区農用地利用改善組合に参加する農家の農地約65ヘクタールのうち、約75%に当たる47ヘクタールを耕作。稲WCSは畜産農家に供給し、畜産農家からは牛ふん堆肥を購入して土作りに利用する循環型農業にも取り組む。阿曽代表は「耕畜連携を柱に、収益の上がる地域農業をつくっていきたい」と話している。

091111_01.jpg ホールクロップ収穫機が稲を刈り、約300キロのロールを作る。ラッピングマシンで黒ビニールを2重に巻いた稲WCSは、1年間保存できるという。畜産農家への運搬は、臨時雇用の集落住民が行う。
 肉用牛向けの稲WCSは、わらに近い状態まで水田に置き、ベータカロチンの含有量が少なくなってから収穫する。主食用米の収穫が終わる10月中旬から下旬までが作業だ。庄内総合支庁酒田農業技術普及課の新野峯〈にいの・たかし〉専門普及指導員は「わらを求める肉用牛農家からの引き合いがある」と話す。
 和農日向では、黄熟期に刈り取る乳牛向け稲WCSの作業を8月下旬から9月中旬まで、主食用米の収穫を9月中旬から10月中旬まで行い、労力を分散。阿曽代表は「稲WCSで飼育した肉牛は、肉が長持ちし品質も良いと聞く。全国的で稲WCSへの需要が高まれば、水田の活用と食料自給率の向上にもつながる」と期待する。
091111_02.jpg 稲WCSは自社栽培と近隣農家からの作業受託を合わせて計32ヘクタールあり、乳牛向けが22ヘクタール、肉用牛向けが10ヘクタールだ。品種は主食用米と同じ「コシヒカリ」「ひとめぼれ」「はえぬき」など。主食用米とのコンタミネーションが起こらないようにするためという。自社栽培の中では、稲WCS向け品種の「べこあおば」も試験的に導入している。
 日向三ヶ字地区は農地の荒廃を防ごうと、上黒川や下黒川など周辺4集落が集まり、05年4月に集落協定を締結した。協定には農家20戸と和農日向1社が参加。「ものづくり部会」「集落協定研修部会」「土づくり部会」など五つの部会を設け、農地利用や地域活性化に取り組む。和農日向は五つの部会すべてにかかわり、活動の中心的な存在だ。
 取り組みの原点は、2000年に始まった中山間地域等直接支払制度に合わせて締結した上黒川の集落協定。02年に基盤整備事業を行い、地域水田農業再編緊急対策を活用して、稲WCSを始めた。07年には集落営農を一層推進するため、株式会社和農日向を設立した。

(1面)

<写真上:稲WCSは収穫機1台、ラッピングマシン1台、トラック2台を使い、6人ほどで収穫する>
<写真右:「牛ふん堆肥の散布は中山間地域等直接支払制度の交付金の共同作業分を利用している」と阿曽代表>

 農林水産省は10月30日、2009年産米の作況指数(10月15日現在)は98の「やや不良」と発表した。作況指数は前回(9月15日現在)と同じだが、天候回復による単収の増加で予想収量は1万9千トン増えて831万1千トンとなった。約5万ヘクタールの過剰作付けがあり、生産目標数量821万を10万1千トン上回る。同省は政府備蓄米を適正水準の枠内(15万トン程度)で積み増す検討を始めた。景気後退に伴う米消費の低迷で08年産米の民間在庫が例年に比べ多く、09年産米の取引進度は昨年より遅れている。需給緩和による価格下落も懸念される。

(2面・総合)

 全国の農山漁村では、多くのシニア世代が長年培った経験や知恵を生かして、農業や農産物加工など積極的に取り組んでいる。地域で活躍中のグループなどを表彰する「農山漁村いきいきシニア活動表彰」(主催=農山漁村女性・生活活動支援協会ほか)の2009年度の受賞者・団体が選定され、東京都港区で5日、表彰式が開かれた。農村地域部門で最優秀賞「農林水産大臣賞」を受賞した2団体の取り組みを紹介する。

091111_03.jpg
▼ユズ使って町おこし 農事組合法人安富ゆず組合 兵庫県姫路市
 姫路市安富町の住民54人が、「ゆずで町おこし」を目標にユズの栽培から加工、販売まで組織で取り組んでいる。
 遊休農地や転作田に植えたユズを活用する「安富ゆず組合」を1993年に発足。高齢者や女性でも管理しやすい低樹高にする栽培技術を全員で習得し、現在は約7ヘクタール作付けている。
 地域の高齢者の経験を生かし、ゆず茶やゆずみそ、ゆず大福など商品開発を行っている。07年に加工・販売施設「ゆず工房」を新設。直売以外に市内のスーパーや特産品を取り扱う店などで販売され、09年度の販売額は5千万円を超える見込みだ。
<写真:ユズの加工作業を行う組合員>

▼集落に人を呼び込む 株式会社萩の会 島根県益田市
 「集落から空き家を出さないために何かやろう」と、益田市匹見町萩原集落の高齢者男女で「萩の会」を結成し、ブルーベリーの栽培や自然体験などを行う。2006年に株式会社化し、現在、42人で活動中だ。
 作り手がいない農地を利用し、会員が米とブルーベリーを栽培している。自然体験にも活用する。
 食品加工施設を併設した特産品販売所「萩の舎〈や〉」で、地場産の農産物や農産加工品を販売するほか、郷土料理などを提供。炭焼きやブルーベリー摘み取り、古代米の穂摘みといった「縄文体験」など、自然体験も実施している。

(3面・暮らし)

091111_04.jpg 愛知県のNOSAI東三河(東三河農業共済組合、佐原光一組合長)の管内は、台風18号で田原市などを中心に園芸施設に大きな被害を受けた。園芸施設共済は、自然災害などの損失を補てんし、農家経営の再建を支援する。NOSAIでは10月22日までに損害評価を終え、共済金の早期支払いに向けて全力を挙げている。

 田原市は、電照ギクやトマトの施設栽培が盛んだ。「園芸施設共済に入っているので安心感はあった」と話す、田原市高松町の伊藤友雄さん(59)=輪ギク約4900平方メートル(ガラス室4棟など合計12棟)=は、台風18号で、強風のためプラスチックハウス2棟の側壁が損傷。施設内に雨が入り、キクの一部が枯れる塩害も発生した。
 「ほかの地域に比べて幸い被害は小さかった。自然災害が少ない地域だが、あらためてNOSAI事業の大切さを実感した」と伊藤さんは話す。
 園芸施設本体に加え、作物と撤去費用の補償にも加入している。「被災すると撤去費用は必要になる。園芸施設共済で補償してくれるのはありがたい」という。
 NOSAI東三河では台風の上陸前にNOSAI連絡員(NOSAI部長)を通じてチラシを配布。被災した際の早急な被害申告を呼び掛けた。
 8日正午には被害申告が寄せられ始め、同日から見回り調査と損害評価を実施。休日を返上し、職員総出で22日まで損害評価を行った。
 組合の園芸施設共済の引受棟数約1万1千棟のうち、約4割の4200棟以上で施設の倒壊や被覆材の損傷などが発生した。台風通過後の吹き返しの風で被害を受けた園芸施設もあった。

(5面・NOSAI)

<写真:塩害が発生した輪ギク。「ほかの株に比べ、少なくとも3回は出荷回数が減る」と伊藤さん>

091111_05.jpg 宮崎県のNOSAIみやざき(みやざき農業共済組合、菊池信勝組合長)では、酪農家を対象に、乳質改善などを目的とした巡回指導を実施している。月1回の巡回は、JA・JA宮崎経済連・県と一緒に農家を訪ね、牛や飼養環境を確認しながら改善点を提案。酪農家からは「えさや繁殖など専門的なアドバイスまで一度に聞くことができて助かる」などと好評だ。

◇     ◇

 「巡回指導は、自分では気がつかなかった点を指摘してもらえるからいいと酪農家仲間でも話していますよ」とは、川南町川南で酪農を営む高橋一彦さん(42)=経産牛31頭など。取材当日の巡回では、最初に、NOSAI獣医師から前回採血された血液検査の結果を聞き、乳牛の粗飼料摂取量を増やすよう勧められた。
 その後、全員で牛舎内にある粗飼料を確認。県の担当者が粗飼料を細かく裁断して食べやすくするように提案し、まずは分娩(ぶんべん)前の牛で試すことにした。
 JA尾鈴管内の都農町、川南町での巡回指導は「農家の手助けをするには、酪農の関係機関が一体となった取り組みが必要」と、7年前から行われている。当初からNOSAIとJA、JA宮崎経済連、県が連携。同JAの酪農家全27戸の中から、1回で4~5戸を訪ねる。
 巡回先はバルク乳の体細胞数などを目安にJAの担当者が選定。農家の訪問時間前に関係者で指導方針を打ち合わせ、実際に牛を見て、農家から聞き取りを行いながら、改善策をアドバイスする。
(5面・NOSAI)

<写真:高橋さん(右)は検査結果を見ながら、由地課長(左)からアドバイスを受けていた>

091111_06.jpg 健康な土づくりは堆肥づくりから――。三重県津市白山町の橋本力男さん(57)は、発酵管理を徹底した堆肥づくりと浅耕での施肥技術を基本に、70アールで野菜を有機栽培する。経営の傍ら、「堆肥・育土研究所」を立ち上げ、良質な堆肥づくりを30年以上研究してきた。材料を炭素、チッ素、微生物、ミネラルに分類し、目的に沿った製造方法を体系化。2002年には農家などを対象にコンポスト学校を設立し、指導者の育成にも力を入れている。

 橋本さんは地元の有機栽培農家3戸で「菜遊(さいゆう)ファーム」を結成し、約50人の顧客に野菜を宅配する。堆肥は、20リットル1100円で販売も行う。
 堆肥は、材料に壁土を利用するのが特徴だ。橋本さんは「壁土にはミネラルの供給と発酵分解した養分を吸着する働きがある。より緩効的に植物の成長に合わせて吸収され、肥料効果が長持ちする」と説明する。
 堆肥の材料は炭素資材「C」、チッ素資材「N」、微生物資材「B」、ミネラル資材「M」に分類。配合割合を変えて4~6種類の堆肥を製造する。
 「低炭素型堆肥」は落ち葉などで製造。野菜の培養土など広く用いる。「高炭素型堆肥」はもみ殻やチップなどで作り、野菜の育苗などに使う。「土ぼかし堆肥」は米ぬかなどチッ素資材と壁土で作る。橋本さんが最も使う堆肥で野菜の元肥や追肥に使用。「改良畜ふん堆肥」は牛ふんと米ぬかなどを混ぜて製造。野菜や果樹、茶などに利用する。

(11面・営農技術)

<写真:「仕込み後の1日目から2日目や切り返し後に温度を確認する」と橋本さん>

 JA全中は5日、政府が来年度モデル事業を実施する主食用米の戸別所得補償制度と今後の水田農業政策に対するJAグループの政策提案を決定した。
 農業所得の増大や多様な担い手の育成を目指し、〈1〉万全な所得確保対策〈2〉地域の農業振興を核とした自給力向上対策〈3〉過剰米対策など総合的な需給調整の仕組み――などの確立を求めた。政府や与野党の国会議員などに広く要請活動を行う方針だ。
 戸別所得補償制度のモデル事業は、「計画生産参加者への追加メリット対策」と位置付けるよう要請。補てん水準の算定基礎となる家族労働費を政府案の8割ではなく10割への引き上げを求めた。産地銘柄によっては平均以上に米価が下落している実態を踏まえ、全国一律単価での補てんに加え、地域・産地銘柄ごとの支援策の実施を提起した。
 主食用米以外の作物に全国一律単価で補てんする水田利活用自給力向上事業では、10アール当たり3万5千円とした麦・大豆の支援水準が現行に比べ、大幅に減少する可能性を指摘。生産性向上の取り組みが進むよう担い手育成や団地化など加算措置の実施を求めた。

(2面・総合)

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は10月29日、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「任意共済制度60周年記念全国研修会」を開いた。全国のNOSAIの組合等、連合会の担当職員など約260人が参加した。
 竹中会長は「任意共済は、幾多の仕組み・料率改定、共済金額(契約補償額)の引き上げなどで、補償の拡充に努めてきた。60周年を機に一層の加入拡大に努めていただきたい」とあいさつ。
 農林水産省経営局の青木勉保険監理官は「任意共済は農業経営の安定に大きな役割を果たしてきた。今後も農家の信頼に応えられるよう、事業運営に尽力ください」と述べた。
 任意共済制度60周年記念特別表彰と任意共済「信頼のきずな」実践強化運動に基づく表彰を実施した。NOSAI全国の瀧川佳秀建物共済部長は、任意共済制度の60年の歴史について説明。当初19億3千万円ほどだった共済金額は、2008年度には58兆1700億円に達し、大手損保会社に匹敵する業績に成長したことなどを紹介した。
 記念講演では、鹿屋体育大学教授の児玉光雄氏が「限界を作らない考え方――イチロー思考で成功をつかむ方法」をテーマに講演した。

(2面・総合)

091111_07.jpg 【岩手支局】幻のサトイモと呼ばれる在来種「ツルクビ」の栽培に、一関市川崎町の「かわさき鶴(つる)の芋(こ)研究会(千葉秋子会長、会員10人)」が取り組んでいる。
 ツルクビは、一関市川崎町の河川敷などで、戦前から栽培されているサトイモの在来種。一般のサトイモと違って形状が細長く、鶴の首に似ていて、独特の粘りと滑らかな食感が特徴だ。
 収穫したツルクビは道の駅で販売される「つるくびそば」やドーナツ、団子など、加工品の原料として使われ、小・中学校の給食用食材としても提供されている。
 千葉会長は、「今後も皆さんの期待に応えられるよう、より品質の向上に努めたい」と話している。

<写真:土を落としたツルクビを干す千葉会長>

091111_09.jpg 【秋田支局】粒の大きさは1センチを超え、平たく、中心部がつぶれた独特の形――。由利本荘市東由利田代の佐藤ノブ子さん(66)は、この「黒平豆(くろひらまめ)」の栽培を昨年からスタート。粒の大きさを生かし、地域特産の甘納豆の原料として提供している。
 黒平豆は、在来の黒大豆の一種。雁(がん)が食べたようなくぼみがあることから「雁食豆(がんくいまめ)」ともいわれる。東北各地では古くから栽培され、煮豆や加工用などに使われてきた。
 佐藤さんは2アールで黒平豆を栽培。ポットで発芽させたものを畑に移植し、「元肥は少しで、生育を見ながら追肥をした。収穫は10月下旬から11月上旬まで」という。

<写真:粒が大きく平たい黒平豆の圃場で佐藤さん。昨年から契約栽培している>

091111_10.jpg 【山形支局】フルーティーな香りと甘酸っぱさが特徴の食用ホオズキを酒田市の特産品にしようと、行政や農業者、飲食店関係者などが連携し、試験栽培と加工品試作を行っている。このほど試食会が開かれ、出席した関係者らは、特産化に向け手応えを感じていた。
 食用ホオズキは、南米ペルー原産のナス科の一年草で、動脈硬化や脂肪肝予防に良いとされるイノシトールなどのビタミン類を豊富に含むといわれている。
 試食会は10月14日、市内のレストランや産直関係者などを対象に開かれた。食の都庄内親善大使の太田政宏シェフが考案した「ホオズキソースの魚のムニエル」や「庄内豚のグリエ」、サラダ、タルト、シャーベットなど5品を試食。
091111_11.jpg 参加者は「香りも良く、上品な酸味が料理に合っている。若い女性に人気が出るのでは」と期待していた。
 22日には、生産者や北平田地区の農業関係者を対象に、加工品や料理の試作と試食検討会を実施。コンポートやジャムのほか、パスタ、ちらしずしなど10品が並んだ。

<写真:露地栽培のモデル圃場で北平田加工グループのメンバー。メンバーは、ハウスでホオズキ栽培に取り組んでいる>

091111_12.jpg 【熊本支局】南阿蘇村の観光施設「あそ望(ぼう)の郷(さと)くぎの」内にある「食事どころあじわい館(山部武志支配人=46歳)」では、地元で採れたトマトや特産のあか牛などを使ったハヤシライスを提供している。
 ハヤシライスは、施設内の直売所で、収穫の盛んな時期に供給が過剰気味になるトマトを生かそうと、地元出身の女性従業員が考案したもの。併設する「あか牛の館」で販売されるあか牛の肉も使用している。
 11月以降は、栗(くり)おこわ、地場産大豆で作った豆腐に手作りみそを塗った田楽、新そば、むかごご飯などを提供。山部支配人は「これからも地元の食材を使い、田舎料理やおふくろの味をお客さんに味わってもらいたい」と話している。

091111_13.jpg<写真:ハヤシライスを提供咲いている「あじわい館」は田舎料理をメーンに提供していて、従業員は地元の女性たちだ>

091111_14.jpg 【広島支局】農家女性の2人組「生活研究グループ お山の畑 Y&K」では、地元・神石高原町の食材を使って加工品を作っている。
 メンバーの田辺縁さん(55)と池田楓さん(51)は「生まれ育った土地のものを生かして好きなことをしているので、楽しいですよ」と笑顔。エゴマソルトや、山菜のブレンド茶を中心に、ウメのジャムなど約10種類を作る。
091111_15.jpg 調味料以外、すべて自家産・地元産の材料を使用した商品は、道の駅などで販売。現在、自家栽培しているユズを使ったジャムの製造を企画している。

<写真:「いつも自然を楽しみながら作業しています」とカシワの実を摘み取る田辺さん(左)と池田さん。商品の写真は左からハーブソルト、エゴマソルト、ブレンド茶>

091111_16.jpg 【千葉支局】「風土産業くりもと有限責任事業組合(増田康治会長=71歳・養蚕業、メンバー10人)」は、香取市栗源地区の中高齢者たちが定年退職後に新たな挑戦をしようと、2006年3月に誕生した。メンバーは遊休農地3ヘクタールで地区の特産・サツマイモを栽培し、昔ながらの製法で干し芋を作っている。
 さまざまな職歴を持つメンバーで構成する同組合は、「年金以外の収入を得ること」「セカンドライフの生きがいと地元農業の活性化のため」という思いからスタートした。
 増田会長は「畑によって土壌成分が異なるため、芋の出来が変わってくる。ふかして切ってみなければわからない。今年で4回目の収穫を迎えるが、これから先もずっと勉強」と話す。来年はさらに栽培面積を増やす予定だ。

<写真:加工施設の前でメンバー。「干し芋は『ほし娘』と名付けて販売しています」と増田会長(後列中央)>

091111_17.jpg 【岡山支局】仏事の供花として欠かせない「シキミ」。美作市のJA勝英梶並(かじなみ)シキミ生産部会(皆木邦夫部会長=74歳、55戸、約5ヘクタール)では、シキミ生産を40年以上続け、昨年度は400グラム束で約6万5千束を出荷した。
 シキミは、盆や彼岸など特定の時期に需要が集中し、市場価格が安定しない。そこで販売業者と単価契約を結び、通年安定出荷を可能にしており、「全量買ってもらえるので、安心して出荷できる」と皆木部会長は話す。
 「小遣いとしては良い」と話す皆木部会長。年間収入は10アール当たり30万~50万円で、山村の貴重な特産物となっている。

<写真:シキミの枝を切り出す皆木部会長>

 ▼農林水産省は、育種や栽培技術の開発・改良に取り組み、生産性の向上や地域活性化に貢献する農業者14人を「農業技術の匠(たくみ)」に選定した。昨年12月の選定に続く第2回で、認定者数は合わせて42人になった。
 ▼今回は、有機・特別栽培の技術体系が3人、機械・設備の改良が3人、せん定と仕立て方法が2人、育種から栽培までの技術体系が1人、その他の栽培技術体系が5人という内訳。農林水産省は、選定された技術内容をホームページなどに紹介し、技術の普及推進と地域活性化支援に結びつける考えだ。
 ▼「匠」とは、本来は手先の技術や道具を使って高度な建築や工作物を作る大工などの職人を指す。国産農産物の品質は、海外からの評価も高い。高品質な農産物を作り出す農業者の技術は十分「匠」に値する。
 ▼優れた知識と技術を持ち、農業振興に努める農業者を認定する取り組みには、日本特産農産物協会が2000年度から始めた地域特産物マイスター制度もある。08年度までに165人を認定した。マイスターと明記された顔写真入りの名刺を受け取り「やってきたことが認められた」と喜ぶ農業者の姿は今も印象に残る。
 ▼滋賀県は、高度な技術や知識を持つ高齢者を「農の匠」に認定する。市町村でも、福岡県直方市の「農業マイスター」、福島県会津若松市の「地域農業マイスター」、神戸市の「神戸アグリマイスター」など認定制度を設け、先進的な農業者が培った知識と技術の普及支援を図る例は多い。
 ▼農業は、高齢化や後継者不足に加え、景気悪化による需要と価格の低迷などの課題に直面する。地域資源を生かした新規需要の開拓など、育種や技術の工夫・改良に励む農業者の存在があれば心強い。地域で匠やマイスターに値する農業者を探していけば、現状打破の道筋が見えてくるはずだ。

091105_01.jpg 「風連町といえば、誰もが『もち米の里』と連想するくらいに広めていきたい」と話す、北海道名寄市の株式会社「もち米の里ふうれん特産館」社長の堀江英一さん(57)=水稲(もち)7.5ヘクタールなど。地元産のもち米を原料に、もち菓子や切りもちなどの加工販売を手掛ける。年間のもち米使用量は4500俵ほど。冬季の職場の確保や付加価値販売での経営の安定、地元産もち米のPRなどに力を発揮している。現在は、ふうれん特産館本社の隣に開設された道の駅「もち米の里☆なよろ」の指定管理者として、地元産品の販売や併設レストランの経営、ファーマーズマーケットの運営支援などと事業を拡大している。

091105_02.jpg 旭川市から稚内市へと向かう名寄国道沿いにある道の駅「もち米の里☆なよろ」。観光客や地元住民の車が次々に立ち寄る。
 売店では、果物や野菜などをもちの生地やあんに練り込んで18種類の味に仕上げた「ソフト大福」や「クリーム大福」が人気だ。
 ふうれん特産館が加工販売を手掛けるもち菓子や切りもち、鏡もちなどの商品は50種類ほど。年間売上は3億円強で、3分の2を道の駅や札幌・旭川・名寄市内の直営店などで販売する。残り3分の1は食材として株式会社モスフードサービスなど企業に提供。従業員は65人で、鏡もちや切りもちなどの需要が増す冬季はパートを増やし、100人ほどの体制をとる。
 ふうれん特産館は1989年、もち米生産農家7人で創業。旧風連町農協の施設を改修し、中古品などで必要機材をそろえて事業を開始した。94年に有限会社化、2006年には株式会社化し、設備施設も充実させている。昨年は、道の駅の開設に伴って指定管理者になり、売り上げも増加。経営の比重が増す中でも「もち米生産農家の直営のもち製品」というストーリーを守りたいと、創業メンバーのうち4人は今も農業と両立している。

(1面)

<写真上:ソフト大福を手に「『はくちょうもち』を使い、硬くなりにくいのが特長です」という専務の渡邉主税さん>
<写真右:衛生管理の行き届いた工房で、50種類もの製品が周年生産される>

 2009年産大豆の集荷・販売計画量が前年産比13%減の約17万7千トンの見通しであることが、10月27日に開かれた国産大豆協議会(生産者団体や実需者団体などで構成)で明らかになった。JA全農と全国主食集荷協同組合連合会(全集連)の報告によると、全国的な日照不足や長雨など天候不順が影響した。平年作だった07年産比では2%増で、景気悪化に伴う消費低迷などから民間在庫も過多傾向にあり、供給量に不足感は出ていない。実需者からは景気悪化に伴う大豆加工食品の消費低迷や値下げ競争の激化などが報告され、高品質・安定生産に加え、国産大豆に安価を求める要望が強まっている。

(2面・総合)

 日本酪農乳業協会(Jミルク)は10月26日、10~12月期の生乳と牛乳乳製品の需給見通しを公表した。
 生乳供給量は前年同期比99.5%の190万8千トンと見込まれるが、牛乳消費の減少を反映して牛乳等向けは94.5%の104万4千トンになると予測。乳製品向けは104.6%の86万4千トンの見通しで、「生乳需給は緩和しており、今後の需給は予断を許さない状況にある」と強調した。
 北海道の生乳生産量は100.7%の見込み。都府県は、98.1%と前年実績を下回っているものの、夏場の低温の影響で減少率が縮小した。一方、牛乳生産量は大幅に減少し、加工乳・成分調整牛乳・乳飲料が拡大。脱脂粉乳とバターの需要の大幅減少で在庫水準も増加しており、チーズや生クリーム需要も苦戦している。
 学乳が休止する12月の特定乳製品向け処理量は、前年に比べ11.4%増の4万トンに達する見込み。Jミルクでは「余乳処理検討会」を立ち上げ、対応を検討する方針。

(2面・総合)

091105_03.jpg 景気低迷の深刻化に伴い、国産果実の市況が昨年以上に低迷している。極早生の温州ミカンは、表年で着果量が多い上に干ばつで小玉果傾向となり、京浜市場では10月中旬のキロ当たり単価が150円を割り込んだ。リンゴは早生種「つがる」が出始めた9月上旬ごろに出荷が集中し、その後も昨年より低価格で推移。産地や関係団体は果実のPR活動を強化し、価格浮揚に努めるが、消費の低迷に頭を悩ませている。

 日本園芸農業協同組合連合会(日園連)がまとめた京浜市場の主要国産果実の販売実績では、10月中旬の露地ミカンの平均単価はキロ当たり141円(対前年同期比92%)だった。佐本和男専務理事は「消費者は果実を嗜好(しこう)品と見ており、景気の低迷で安価でも売れない状況が続いている」と話す。
 極早生ミカンは、夏期の干ばつで糖度は上がったが果実が肥大せず、S級以下が総出荷量の6割以上を占めた。台風18号の影響で一時的に出荷量は減少したが、その後出荷量が増え、価格は下落している。
 農林水産省は、10月20日に緊急需給調整を発動。10月21日から30日までの出荷計画数量の20%に当たる約4000トンを市場隔離し、極早生ミカンの価格浮揚を図っている。昨年は10月下旬に実施して価格は持ち直した。

◇     ◇

 リンゴは、出始めた時期に出荷が集中し、価格が下落。夏期の雨量が少なく、秋になり急に涼しくなったため、昨年同様、果実の出荷時期が早まった。
 特に早生種「つがる」は、9月上旬ごろに出荷が集中し、中生種に切り替わった現在も影響が残る。リンゴの平均単価は、9月上旬がキロ当たり219円(同107%)、中旬が187円(同98%)だった。
 主産地の青森県では昨年、ひょう害などで下級品が多く、価格が低迷。今年は品質が良いにもかかわらず、昨年以上に価格が低迷した。JA全農あおもりでは「農家が頑張って高品質のリンゴを作っても価格が付かない。リンゴを食べてもらえるように消費を喚起していきたい」としている。
(4面・流通)

 長野県のNOSAI中信(中信農業共済組合、菅谷昭組合長)では、NOSAI部長が建物共済や農機具共済の加入推進などを行う。管内は南北に広く、平地から山間地まで地域ごとに農家の経営形態が異なるため、支所単位で農家ニーズに応じた損害防止事業などを展開している。北アルプス支所と木曽支所のNOSAI部長を取材した。

091105_04.jpg 「NOSAI部長になってNOSAI制度を勉強し、あらためて農家に有利な補償内容だと分かった。自信を持って勧めている」と話すのは、松川村細野のNOSAI部長、西山重廣さん(62)=水稲13ヘクタール。
 北アルプス支所のNOSAI部長を務めて2年目になる。地域は比較的平坦部が多く、10ヘクタール以上を耕作する水稲農家も多い。農業機械の大型化も進んでいるという。
 西山さんが特に加入推進に力を入れるのが農機具共済だ。大型機械は、ちょっとした故障でも修理額が大きい。
 「担当地区の集会などでは、『加入すれば安心できる』と呼びかけている」と西山さんは話す。
 北アルプス支所では、農家の経営支援として水稲種子の温湯消毒の経費を補助している。NOSAI部長は、種子消毒を希望する農家の取りまとめも行う。

◇     ◇

 一方、木曽支所管内は、御岳山系のふもとに位置する中山間地域で、農家1戸当たりの経営面積は20~30アール。高齢化が進む中、病害虫防除の効率化が求められている。
 水稲農家を対象とした損害防止支援事業として産業用無人ヘリコプターでのイモチ病とカメムシの防除を行っている。NOSAI部長は、無人ヘリ防除の希望者の取りまとめに当たる。
 NOSAI部長を務めて3年目になる木曽町の林下一男さん(74)は「この地域はイモチ病が発生しやすい。防除作業が重労働となっている高齢農業者など周りの農家からは評判がいい」と話す。
 また、最近は地震や集中豪雨などの風水害に対する備えとして建物総合共済への関心が高まっているという。支所の加入棟数のうち、総合共済は約3割を占める。
(5面・NOSAI)


<写真:「担当地区の農家と信頼関係を築くことが一番大切だ」と西山さん(右)>

 「有機農業における技術的諸問題をさぐる」と題して、有機農業技術セミナーが10月27日、鯉淵学園農業栄養専門学校(水戸市)で開かれた。セミナーには、有機農業者など約230人が参加。有機農業推進法の成立を受け、普及に向けた基本技術や地域特性に合わせた多様な応用技術など、広く展開するための課題などについて意見交換を行った。

091105_05.jpg 年間70~80種類の野菜などを3ヘクタールの畑で有機栽培する茨城県石岡市の魚住道郎さんは、「有機農業で培ってきた経験と英知を、より多くの人々と共有し行動に移す時期に来ている」と報告した。
 これまで有機農業の視野は田畑と周辺の山林までしか及ばなかったが、環境保全の面からみると、上流域の森林から耕作地、河川や湖沼、海辺まで広範囲に、流域の住民で育て守っていく必要性を指摘。その成否のかぎを握るのが「腐植」と強調した。
 埼玉県農林総合研究センター水田農業研究所の根本久所長は、輪作はじめ耕種的防除や天敵の利用など自然循環機能を活用した害虫防除を紹介した。
 天敵利用の場合、栽培期間が長い果菜類では天敵がよく働くが、キャベツやコマツナなどのように作期が短い作物では天敵は使えず、ハウスで隔離したり防虫ネットの利用が効果的という。天敵のすみかとなるバンカー植物を配置する技術を使うと、作物を安定して生産できると報告した。
 農研機構・中央農業総合研究センターは、「有機農業の生産技術体系の構築と持続性評価法の開発」に昨年から5カ年計画で取り組んでいる。露地野菜を中心とした有機輪作技術体系の開発に携わる金澤健二主任研究員は(1)転換後の年数の異なる圃場での作物生育、養分収支、土壌微生物相などの特徴を明らかにする(2)適切な肥培管理法を提示する(3)病害虫の防除技術を提示する――を達成目標としている。

(9面・営農技術)

<写真:鯉淵学園の有機圃場で行われた現地検討会>

091105_06.jpg 【岩手支局】中山間地域の休耕地でヤマブドウを栽培する、一関市大東町の「大原山ぶどうの会」(千葉政吾会長、会員数約80人)では、気候にあった品種を導入し、高糖度のものを生産している。

091105_07.jpg 山ぶどうの会は2003年に設立。千葉会長が、休耕地でのヤマブドウ栽培を紹介した本紙の記事に着目し、有志を募ったのがきっかけだ。
 初年度は大東町に生息するヤマブドウを3ヘクタールに1千本植栽した。翌年からは、県オリジナル品種「涼実紫(すずみむらさき)」も導入。現在、4ヘクタールで計1200本を栽培している。09年産の出荷量は3.5トン。千葉会長は「量の拡大よりも質の向上に力を注いでいる」と話す。
 会では、棚ではなく垣根にツルをはわせるなど、独自の工夫を凝らして省力化。高齢者でも作業しやすいように、配慮している。
 06年に商品化した果汁原液ジュース「徳林」は、甘くてさわやかな飲み口が好評。町内の直売所で販売している08年産の徳林も残りわずかで、来年は2500本の出荷を見込んでいる。

<写真左:大原山ぶどうの会のメンバー>
<写真右:垣根にツルをはわせ高齢者でも作業しやすくしている>

091105_08.jpg 【高知支局】幹、枝、実が鮮やかな紅色をしているベニアオイを10アールで栽培する芸西村和食の春田浩吉さん(54)。今年、初めての収穫を終えた。
 同村では現在、約10戸の農家が栽培し、生け花用として出荷している。
 「栽培はとても簡単です。マイカ線を張って風害による倒木や裂け木を防ぎ、定期的に消毒を行うだけ。肥料は全く必要ないので、作りやすい。
 5月初旬に播種し、9月下旬から10月にかけての収穫期には、1本の木から約20本の枝を収穫できるという。
 春田さんは、「今年は天気が良く、量もたくさん採れた。来年からはアイボリーやパープルカラーの品種にも挑戦してみたい」と話している。

<写真:調整作業をする春田さん。葉を摘みサイズ分けをして出荷する>

091105_09.jpg 【新潟支局】ツノナスを地域の特産にしようと、上越市三和区下中の農事組合法人「サン・ファーム18」(荻原憲昭代表理事=62歳)では、女性メンバーが中心となって約10人で栽培に取り組んでいる。栽培は2007年からで、今年は8アールの圃場に480株を植え、10月上旬から収穫を始めた。
 ツノナスは、黄色の実を着けることから「かなりやなす」や、実の形がキツネの顔に似ていることから「フォックスフェース」と呼ばれるアメリカ南部原産の観賞用植物だ。
 5月上旬に移植した苗を3本に分岐させ、風などで実が落下しないよう支柱とマイカ線で枝を固定。5月下旬から収穫まで、週1回のペースで不要な芽と葉を取り除く。
 出荷直前の10月上旬には高さ2㍍ほどに成長。1カ所に3~5個の黄色の実が着き、枝ごと出荷する。害虫防除や茎をまっすぐ育てるなど、根気がいる作業が多いという。

<写真:ツノナスの不要な芽や葉を取り除くメンバー>

091105_10.jpg 【北海道支局】別海町中西別の稲葉仁彦(ひとひこ)さん(55)は、地域では珍しい肉牛経営に取り組み、「将来は和牛の産地を築きたい」と夢を広げている。
 1980年に新酪農村建設事業の肉牛団地に入植。ホル雄を年間約1200頭出荷していた。
 しかし2007年、購入飼料や資材が急激に高騰。「このままでは採算割れの状態になってしまう」と、黒毛和種への転換に踏み出した。
 自己資金と道農業開発公社の事業を利用して繁殖雌牛を導入。牛舎を改造して、現在は黒毛和牛の成牛60頭、育成40~50頭を飼養する。
 「ホル雄飼育と違って、発情の見極めや種の選定など、いろいろ難しいことも多い」と稲葉さん。中でも分娩(ぶんべん)管理には最も気を使う。このため、各分娩房にカメラを設置し、分娩事故の防止に努めている。
 稲葉さんは今年4月に設立された「べっかい和牛生産改良組合」に所属し、副組合長として飼養管理技術の向上を目指して30人の組合員と共に頑張っている。

<写真:「和牛の産地を築きたい」と話す稲葉さん>

091105_11.jpg 【福岡支局】「地球温暖化が進み、九州も亜熱帯並みの気候になってきているという話を聞いて、栽培できるのではないかと好奇心から始めました」と話す、朝倉市馬田の草場利治さん(73)は、パイナップルを栽培している。
 草場さんは妻・春子さん(72)とハウストマトを栽培しトマトの出荷先の大型量販店で、カットフルーツに使われたあとのパイナップルの冠芽を見て、栽培を思いついたという。
 2007年5月、冠芽を土に挿し、10月に3アールのハウスへ約300本定植した。
 「夫がパイナップルをハウスで作ると言い出した時は、正直あきれました」と春子さんは笑う。
 福岡県ではパイナップル栽培は珍しいため、草場さんは近所に住む元農業高校校長の井上雅博さんから助言を受けながら、ほぼ独学で栽培し続けた。
 翌08年12月には80個の果実を収穫。知人や近所に配ったところ「おいしい」と好評だったという。

<写真:パイナップルを手に草場さん夫妻>

091105_12.jpg 【茨城支局】ピーマンを栽培している神栖市須田の飯田芳克さん(67)は、冬場のハウス内の温度を維持できるよう温度調整機を自作し、重油のコスト削減に取り組んでいる。
 暖房は11月下旬から使用。温度調整機には二つのタイマーを取り付け、午前5時から午後10時までは20~23度、夜間は18~18.3度に、それぞれ設定する。「温度が少しでも下がってしまうと、一定温度に戻すのに重油使用がかさむので、神経を使う。去年は機械トラブルもなくてよかった」と話す。
 排気用の煙突から冷たい外気が入らないよう高さを変えるなどの工夫も凝らし、年間30%ほどのコスト減に成功した。

<写真:自作した調整機と飯田さん>

091105_13.jpg 【三重支局】竹林の整備を行う大台町の建設業・野呂和敏さん(55)は、伐採した竹で竹粉肥料を製造している。
 「竹は細かく粉砕して発酵させると質の良い肥料になると知り、製造プラントを建設して肥料を作ることにした」と野呂さん。
 発酵パウダー肥料や、牛ふんブレンド堆肥などを製造し、知人の水田や、自社で野菜の栽培に使ったところ、生育がよくなり、米は粘りが強くなったと実感している。
 この結果をもとに、今年は地元の水稲農家10戸と、種苗会社に栽培試験を依頼して、竹粉肥料の効果を検証した。
 投入時期や量などの比較で生育を調べ、今後もデータを蓄積する。野呂さんは「データが増えれば、効率の良い利用方法などがさらに判明し、竹粉肥料の普及につなげていけると確信しています」と意欲的に話す。

<写真:竹粉肥料を手に野呂さん>

 ▼農業生物資源研究所は、10月30日から11月23日まで、茨城県つくば市の食と農の科学館(つくばリサーチギャラリー)で「皇后陛下の御親蚕とカイコ研究今昔」と題した特別展示を開催中だ。天皇陛下ご在位20年の慶祝行事として、皇室と農業のかかわりを紹介し、カイコ産業と研究の歴史をたどる。
 ▼皇室では、天皇陛下が水稲を栽培し、皇后陛下はご養蚕をされる。特別展示には、天皇陛下によるお手まき、お手植え、お稲刈り、皇后陛下によるご給桑〈きゅうそう〉、上蔟〈じょうぞく〉、初繭掻〈はつまゆかき〉の写真を紹介。日本のカイコ「小石丸」の繭などを展示する。皇后陛下のご養蚕から作られた絹は正倉院宝物の修復にも使われている。
 ▼中国発祥の養蚕が日本に伝わったのは弥生時代の中ごろ。養蚕や絹織物産業の定着は、貨幣経済が浸透した江戸時代中期で、各藩が殖産興業策に位置づけた。明治以降は生糸と蚕種が重要な輸出産品となり、近代化を支えた。大正から昭和初期には輸出総額のほぼ半分を生糸が占めている。
 ▼最盛期の昭和初期には養蚕農家戸数は200万戸を超え、桑畑は水田と並ぶ農村風景だった。第二次世界大戦による輸出中断や化学繊維の台頭によって需要は減少し、養蚕も衰退した。
 ▼最近は、養蚕や絹産業で培われた研究蓄積を生かし、バイオテクノロジー分野でカイコが注目されている。皮膚と親和性のある絹の特性を利用した創傷被覆材などの開発、医薬品に使う有用物質の大量生産など新産業創出に期待がかかる。蛍光絹糸をはじめ新たな機能を持つ繊維開発も手がけられている。
 ▼2007年の養蚕農家数は1169戸。群馬、福島、栃木、埼玉など産地は、業者と連携して生糸や絹製品のブランド化に努めるが、輸入品との競合など環境は厳しい。研究開発が新産業創出や需要の拡大につながれば、養蚕は再び活気づく。

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