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今週のヘッドライン: 2009年12月アーカイブ

 2010年度農業共済関係予算について、農林水産省は10日、年末の予算案決定に向け、政府の行政刷新会議が「事業仕分け」で「3分の1程度の予算縮減」と判定した共済掛金国庫負担金(概算要求額544億円)と事務費国庫負担金(同456億円)の要求額確保を財務省に要請する方針を決めた。同日開いた赤松広隆農相ほか政務三役による会議で確認した。
 山田正彦農林水産副大臣は会見で、共済掛金国庫負担金は「法律で(負担率)2分の1と決められているので、縮減するわけにはいかない」と強調。事務費国庫負担金についても、「農家に負担をかけないようしっかり守る」と明言した。
 NOSAI制度は、国の農業災害対策の基幹であり、農家経営のセーフティーネットとして重要な役割を果たしてきた。国庫負担金の縮減は、掛金など農家負担の増加と、加入手続きや損害評価を含む円滑な事業運営の破たんを招くと懸念されている。

(1面)

 2013年以降の温室効果ガス削減の数値目標など地球温暖化対策の枠組みを協議する気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)が7日、デンマークの首都コペンハーゲンで開会し、18日までの議論が始まった。鳩山由紀夫首相は温室効果ガスの排出量を2020年までに90年比で25%削減を掲げ、地球温暖化対策で日本のリーダーシップ発揮をねらっている。農林水産省は「25%削減」の約3分の1に当たる7.9%を農林水産分野で削減できるとの試算を公表。温暖化防止に農業・農村が大きく貢献できる可能性を示した。実現に必要なコストは20年までに最低30兆円とした。同省は試算結果を基に農村の雇用創出や地域振興につながる具体策を検討する方針だ。
 
 温室効果ガス削減の試算は先ごろ、赤松広隆農相を本部長とする農林水産省地球温暖化対策本部の中間とりまとめとして公表した。
 赤松農相は8日の会見で、「(温室効果ガスの)吸収源対策をできるのは、農林水産省しかない」と強調。今回のCOP15の中で森林・農地の吸収源対策の重要性を「強く主張していきたい」と述べた。
 「25%削減」に向け、予算的・制度的な制約にとらわれず、新技術や設備などを最大限導入した場合を想定して分析。〈1〉農林水産業・食品産業の排出削減対策〈2〉森林・農地土壌の吸収源対策〈3〉木材利用による省エネ効果〈4〉バイオマス(生物由来資源)・再生可能エネルギーの利用――の4項目でそれぞれ対応策と削減量を数値化した。
 農林水産業・食品産業は、現状からの削減量は二酸化炭素(CO2)換算で約630万トン、90年比で国全体の約1.7%を削減できるとした。うち、農業分野では加温ハウスの6割にヒートポンプと多層被覆を導入し、チッ素施用量の1~2割削減を推進。約313万トン削減可能とした。
 最も削減効果が大きいのは、森林・農地の吸収源対策で、削減量は約4140万トン、90年比で約3.2%の削減を掲げた。
 バイオマス・再生可能エネルギーの利活用は削減量は3190万トン、約2.5%の削減効果を見込んだ。

(2面・総合)

 政府の行政刷新会議が農業共済の共済掛金国庫負担金と事務費国庫負担金を「3分の1程度の予算縮減」と評価したことを受け、予算要求額の確保を求めてNOSAI団体が取り組んだ農家署名が、10日までに全国で50万人を超えた。都道府県の民主党本部に提出した署名数をNOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)が集計した。
 全国のNOSAI団体は、与野党に必要額の確保を要請するとともに、農家の署名活動を展開している。
 また、8日には、民主党の筒井信隆衆院農林水産委員長ら同党の議員約10人が、農政転換にかかわる予算要請と併せて農業共済関係予算の確保を小沢一郎幹事長に要望した。
 筒井農林水産委員長は「農家の負担増につながらないよう、共済掛金国庫負担金は削減しないことと、事務費国庫負担金は最小限の削減にとどめるよう求めた。NOSAIの予算確保を訴える署名の状況も伝えた」と明らかにした。
 農政転換予算では、米の戸別所得補償制度モデル事業や水田利活用自給力向上事業などの重要性を訴えた。

(2面・総合)

 「食料の安全保障と日本農業の活性化を考える」シンポジウムが、東京都千代田区で開かれ、農家や行政、学生など約350人が参加した。シンポジウムは、東京農業大学などが主催。国産農産物の安定供給に向け、新規就農を促進する担い手確保対策のあり方などを意見交換した。
 
091217_01.jpg 米の生産基盤が弱くなる中、来年度から始まる米戸別所得補償制度のモデル事業。生産数量目標に即して生産する販売農家を対象に、生産費と販売価格との差額を全国一律単価で補てんする。
 群馬県などで野菜の大規模経営を行う株式会社野菜くらぶの澤浦彰治代表は経営者の立場から発言。「経営として稲作をやりたい人は手足を縛られ、これまでの生産調整と変わらない。規模にかかわらず、生産する面積や量に応じた一律の補てんが正当な競争につながる」と訴えた。
 日本プロ農業総合支援機構の髙木勇樹副理事長は、耕作放棄地が39万ヘクタールにのぼり、耕地利用率が93%と落ち込んでいる状況を指摘。「水田を使い切るため、経営判断で飼料用米や加工用米、機能性を持つ米を栽培できるシステムにすべきだ」と訴えた。国民の命を最後に守るのは穀物であり、多くの用途に使える米を作れば、主食用米が不足した時には転用も可能と説明する。
 新規就農者が農地を取得する場合、農業委員会の許可など手続きが必要となる。タレントの大桃美代子さんは4年前、地元で農業を始める時に農地を借りられなかった経験を紹介。「地元で暮らしていても面倒な手続きと感じた。外部から入るのはもっと勇気が必要で、システムを簡略化できないか」と話した。
 キリンホールディングス株式会社の荒蒔康一郎相談役は「新規就農者を育てようという周辺農家の意識転換が必要だ。JAを含めて、農地を有効に使おうと前向きな気持ちを持つことが解決策」と提言。一方、澤浦代表は「農業は地域に解け込めなければ成功しない。安易に『誰でも来て農業を始めてください』ではうまくいかない」と指摘した。
 髙木副理事長は「就農希望者から供託金を取ればいい」と話し、仮に農地を荒廃させた場合は供託金で現状復帰する仕組みを提案。「特に水田農業は衰退が進んでいる。まず就農してもらい、それから選別してもいい状況になっている」と話し、農地法は「農地を守った上で、利用しやすいように工夫すべきだ」と付け加えた。

(6面)

写真:パネルディスカッションでは、食料安全保障と日本農業の活性化について議論した

 2005年以降、国産麦の需要は順調に伸びていたが、国際相場の低下で減退している。10年産麦の播種前入札では、輸入麦の政府売渡価格値下げが影響し、小麦や六条大麦を中心に多くの銘柄で値幅制限の下限に近い価格安となった。景気低迷も国産麦需要の減少要因となっており、一層の低コスト化や品質向上が課題となっている。
 
 農林水産省は、10月から輸入麦の政府売渡価格を改定した。前期に比べ、主要銘柄の加重平均価格を平均23%引き下げた。オーストラリア産スタンダードホワイト(ASW)はトン当たり6万4140円から4万7460円に引き下げ。平均14.8%下がった4月の改定に続く値下げだ。
 全国米麦改良協会が10月に実施した10年産国産4麦の播種前入札では、27万トンが上場され、約8割の21万5千トンが落札された。
 小麦、六条大麦、二条大麦の多くの銘柄が10%とした値幅制限の下限か下限近くまで値を下げている。裸麦は、みそ加工向け需要などが堅調で前年実績を上回った。
 落札加重平均価格は、小麦5万5241円(前年比92.5%)、六条大麦5万3448円(同90%)、二条大麦4万6097円(同90.9%)、裸麦5万1489円(同105%)となっている。
 民間の製粉業で作る製粉協会では「輸入麦の政府売渡価格が下がり、それに伴って入札価格も下がった。ここ2年は輸入麦が国産麦より高かったが、相場が逆転した」と説明する。
 小麦では、上場数量が最も多い北海道「ホクシン」はトン5万5910円(前年実績比91.4%)だった。栃木県「農林61号」(同99%)や北海道「春よ恋」(同98%)などは下げ幅が小さかった。
 業界関係者は「輸入小麦と価格差が小さい銘柄や、価格が高くても品質がよい値ごろ感のある銘柄に入札が集まった」としている。

(9面・流通)

 徳島県阿波市土成町でミニトマトを栽培する和田元治さん(63)は、IPM(総合的病害虫・雑草管理)を実践しながら、糖度8度以上で出荷するエコファーマーだ。2カ月間の湛水(たんすい)式太陽熱土壌消毒や微生物資材を使った土づくり、節間が短く堅い樹(き)の育成などで化学合成農薬の使用量削減に取り組んでいる。昨年までは天敵昆虫を使ってコナジラミやハモグリバエなどの害虫を防除してきたが、全体の1割ほどに黄化葉巻き病が発生したため、今年は耐病性品種を作付けしている。
 
091217_02.jpg 和田さんは現在、妻の登茂子さん(60)と2人で、ミニトマト30アール(促成栽培、夏秋栽培)、水稲40アールを経営する。
 黄化葉巻き病を媒介するタバココナジラミ対策には、効果的な農薬が少ないため、今年から耐病性品種「TY千恵」のポット苗を本格的に導入した。
 3月下旬~4月末と9月~10月のコナジラミ対策には、微生物農薬の「ゴッツA」「ボタニガード」、葉カビ病対策には「タフパール」などを使う。夕方に散布したあとは、ハウスを締め切っておく。「特に、明日が雨という天気予報の日によく効く」と強調。微生物の繁殖に必要な高湿度が保たれるからだという。
 促成栽培は、労働時間の平準化を図るため9月上旬と中旬に分けて定植を行う。畝幅120~130センチで、株間は56センチと慣行栽培家より10センチ近く広い。これは生育後半でも、できるだけ茎葉が重ならず病害の発生を抑えることが目的。10アール当たり1300本を植え付ける。
 定植時の根回し水以降の1カ月間は灌水(かんすい)しない。堆肥や元肥成分の溶出を防ぎ、また養分吸収を抑えて節間が短く堅い樹を育成するためだ。1段目は垂直に育て、あとはゆるやかな斜め誘引とし、不要な下葉は取り除き風通しをよくする。
 収穫後の土づくりでは、敷料に稲わらを使った牛ふん堆肥を10アール当たり8トン投入し、代かきする。7月中は湛水式太陽熱消毒を行う。微生物資材の光合成細菌、乳酸菌、放線菌は、米ぬかともみ殻で作ったボカシ肥と一緒に水面に散布する。
 その後1カ月かけて乾燥させる。

(11面・営農技術)

写真:「長期間収穫するには、各段で摘花して着果量をコントロールすることが大切」と話す和田さん

 農林水産省は8日、2009年産水稲の全国の作況指数は98、収穫量(子実用)は846万6千トンで、うち主食用は830万9千トンになったと発表した。
 北海道を中心に夏場の低温などにより不稔(ふねん)もみや登熟不良が発生した。10キロ当たり収量は522キロで、作況指数は前回の発表(10月15日現在)と同じ。主食用の収穫量は2千トン減少した。
 地域別では、北海道は作況指数89の「不良」だった。7月中・下旬の低温などで不稔もみが発生、その後も低温が続き、登熟不良となった。東北は7月中旬~8月上旬に日照不足の影響を受けたものの、天候が回復したため100の「平年並み」だった。中国は99、四国は100、九州は101で「平年並み」だった。
 そのほかの地域は北陸と関東・東山は99で「平年並み」、東海は96、近畿は98で「やや不良」だった。全もみ数はおおむね「やや少ない」か「平年並み」となり、登熟はおおむね「やや良」か「平年並み」となった。

(2面・総合)

 ▼日本穀物検定協会が運営する「こっけん料理研究所」(東京都中央区)がリニューアルし、米粉の知識と実技を総合的に学べる施設となった。オープン記念として「米粉パン・プロの技!教えます」と題し、NPO法人国内産米粉促進ネットワークなどが主催する米粉パン技術講習会を開く。
 ▼研究所では、米粉と製粉機械の特性、パンをはじめとする食品の加工技術などを習得できる各種講座を開催する予定だ。普及指導者育成や開業を目指す業務用コースから個人向けまで幅広く対応するため、本格的な業務用製パンや冷凍生地製パン用小型ベーカリー、小型製粉機、小型パスタ機などの施設を整備した。
 ▼米粉用や飼料用など新規需要米の2009年産の作付面積は、前年比5割増の1万8142ヘクタールとなった。米粉用米は2401ヘクタールで22倍増だ。穀物の国際相場高騰や水田の有効活用促進に向けて拡充された支援策が後押ししたのは確かだが、実需者との交渉など関係者の努力あっての結果と言える。
 ▼大手スーパーやコンビニエンスストアが米粉商品のキャンペーンを展開し、米粉を使ったスイーツ専門店の登場などマスコミも話題を取り上げた。新たな食材として一般にも認知されてきたようだ。ただ、日常の買い物で米粉や商品を目にする機会は少なく、まだ物珍しさが勝る。
 ▼米粉を一過性のブームに終わらせないためには、店舗での商品購入や家庭料理への食材利用を定着させる取り組みが大切。米粉食品や料理の情報を発信する料理研究所のような拠点をもっと増やす必要がある。
 ▼水田農業政策は来年度から大きく転換するが、水田利活用自給力向上事業として新規需要米の生産支援は継続される。高齢化や人口減少で主食用米の消費は今後も減少する見通しで、米粉など新規需要米も消費が増えなければ生産を縮小せざるを得ない。水田に最も適した米の生産を拡大できるか。ここからが正念場だ。

091210_00.jpg 農業で村を元気にしたい――岐阜県東白川村の高齢農家で構成する「てんとうむしガーデン組合」(組合員60人)は、過疎化が進む村を守ろうと、農産物直売所「茶の里野菜村」を建設。地場農産物の販売や学校給食の食材提供に取り組んでいる。消費者を招いて野菜の収穫体験も開く。直売所には組合女性部が運営する食堂を併設し、年間約3千万円を売り上げる。60~80代の農家が長年培った経験と知恵を生かし、村の活性化につなげている。
 
 「山に囲まれ、観光資源が乏しい。だからこそ農家の力で村を守りたい」と話すのは、組合の顧問を務める松岡勝さん(77)。2000年に組合を設立し、01年には地域活性化の拠点として農産物直売所「茶の里野菜村」を建設した。野菜村では、組合員が栽培したニンジンや米、茶など地場農産物の販売や収穫体験の受け入れ、わら細工の即売会などイベントを開いている。
 直売所には新鮮な旬の野菜を求め、地元住民や下呂温泉を訪れる観光客が来店。多い日には1日約600人が訪れるという。
 農産物価格は、再生産価格の確保と組合員間の安売り競争を防ぐため、トマトは1キロ200円など品目ごとに基準単価を設定。組合員は、前後1割の範囲で価格を設定する。
 人気商品は、地元の伝統野菜「赤ネギ」だ。かつて長ネギに押されて栽培面積が減っていたが、特産品にしようと組合で生産量を増やしてきた。
 組合長の松岡諄さん(76)は「水がきれいで昼夜の気温差が大きいので、おいしい野菜作りには恵まれている」と強調する。
 直売所の売り上げのうち、組合女性部(21人)が運営する食堂が約6割を占める。食材の野菜類は茶の里野菜村から買い取り、米は地場産を使う。地元の伝統料理「ほお葉ずし」や、野菜の煮付けなど家庭料理がメーン。
 提供する料理は手作りで、すべてレシピを作成している。「消費者に提供するものなので、家庭料理だが常に同じ味になるよう心掛けている」と諄さんは話す。
 滋賀県彦根市から訪れた和田幸男さん(62)は「おふくろの味が魅力。旬の野菜を使っていて、とてもおいしい。また利用したい」と笑顔で話す。
 
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(1面)

<写真上:「体験をきっかけに農家の後継者になってくれるとうれしい」と勝さん>
<写真下:食堂のメニューは季節の食材に合わせて女性部が開発している>

091210_02.jpg 冬期間の子牛の病気や死亡事故を減らそうと、ちばNOSAI連(千葉県農業共済組合連合会)の中央家畜診療所(市原市天羽田、清野宏所長)では、哺乳(ほにゅう)子牛用ベッドの木枠を150個製作し、酪農家に配布している。
 これは、保温性の高いベッドが、冬の寒さから子牛を守る効果を知ってもらうのが狙い。木枠の中にもみ殻や乾草を詰め込む簡易なものだ。けいよう農業共済組合・市原センター、ぼうそう農業共済組合・君津センターのNOSAI職員と協力して製作、11月末までに診療所管内の酪農家に1個ずつ配布した。
 使ってみて、本格的に飼養管理に取り入れたい農家には、配布した木枠を見本に自作してもらう。使っている農家は「気持ちよさそうな子牛を見ると、気に入っているのが分かる」「掃除が楽になった。乾草も節約できる」などと話している。

(1面)

写真:哺乳子牛用ベッドの製作。慣れてくると1個当たり30分ほどで作れるという

 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は11月30日、ワーキンググループが行った来年度予算概算要求を査定する「事業仕分け」の評価を大筋で了承。政府は結果を尊重して予算編成に当たる方針を確認した。農林水産省所管事業は対象97事業のほとんどが「廃止」「予算要求の縮減」など厳しい評価となった。事業内容や税金の使い方を公開の場で議論する点で、事業仕分けは画期的だった。だが、説明から判定まで1時間程度しかなく、はじめから予算削減が目的とされたこともあり、事業の効果や必要性などを十分に議論した上での評価とならなかった。農業・農村の疲弊は深刻で、安易な事業の廃止・縮小はこの流れに拍車をかけかねない。年末の予算編成では、生産現場の実情に即した農業・農村の振興策充実が求められる。
 
 A 事業仕分けは概算要求で過去最大の95兆円規模に膨らんだ予算の縮減につなげるのがはじめからのねらいだ。概算要求の約3千事業のうち447事業を与党議員と民間人で構成するワーキンググループが判定した。
 B 農林水産分野は97事業が選定され、判定は軒並み厳しい結果となった。中山間地域等直接支払い制度は事務費削減以外は「要求通り」と判定された。公共事業関係では、農道整備事業が「歴史的役割は終わった」として「廃止」の判定だ。
 B 緊急対策として進める耕作放棄地再生利用は、本年度予算の執行率が低いとし、「予算要求見送り」と判定した。仕分け人からは「耕作放棄地は森林原野に戻すべき」との乱暴な意見もあった。
 C 民主党がマニフェスト(政権公約)に掲げた農山漁村の6次産業化にかかわる事業も厳しい判定を受けた。農商工等連携促進施設整備支援は「予算要求の3分の1の縮減」で、都市部で仮設型の直売設置を支援する事業(マルシェ・ジャポン・プロジェクト)は「廃止」とされた。マニフェストの後退や国が農業・地域振興の事業から手を引くべきとのメッセージは、農家や地域の大きな失望感につながる。
 A 鳩山内閣は、仕分け結果を尊重して年末の予算編成に臨む。評価を覆す場合は国民が納得する説明を求めるとした。
 B 政府・与党の中で農政についての考えの食い違いが目立つ。仕分け対象となった事業は、赤松広隆農相の指示・査定を経て、農林水産省が来年度予算概算要求に盛り込んだ。赤松農相は要求額の確保を訴えているが、来年度予算の目玉とした米の戸別所得補償制度モデル事業すら、財務当局との調整が難航している。
 C 日本農業の維持・発展に不可欠な事業は、政府の中で意思統一を図り、着実に実行すべきだ。ここで農政が停滞すると、農業・農村の一層の疲弊を招く。

(2面・総合)

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は3日、民主党に2010年度農業共済関係予算の確保を緊急要請した。
 NOSAI制度が自然災害に対する農家経営のセーフティーネットとして重要な役割を果たしており、同日までに約31万人の農家署名が各県から同党県本部に提出されていると説明。農家の負担軽減や事業の安定運営に必要な概算要求額の確保を訴える要請書を提出した。副幹事長の一川保夫参院議員は「農業共済の実態や必要性はよく分かっている」と述べた。
 予算を査定する行政刷新会議の「事業仕分け」で、共済掛金国庫負担金と農業共済事業事務費負担金は、いずれも「3分の1程度の予算縮減」と評価された。しかし、大幅な予算縮減は、掛金など農家負担の増加と、加入手続きや損害評価を含む円滑な事業運営の破たんを招きかねない。このため全国のNOSAI団体は、与野党に必要額の確保を要請するほか、農家の署名活動を展開している。
 また、自民党は、農林部会に「農業共済制度に関する小委員会」(委員長・森山裕衆院議員)を設置し、NOSAI団体のヒアリングを4日に実施。予算の大幅縮減で「農業共済制度は崩壊する」と指摘する「農業共済事業の10年度概算要求の満額確保に関する申し入れ」を決議し、郡司彰農林水産副大臣に即日提出した。
 農林水産省がまとめた概算要求では、共済掛金国庫負担金に543億8千500万円、農業共済事業事務費負担金に455億8千500万円を計上している。

(2面・総合)

 自分たちが生産した農産物を加工・販売するのは、福島県会津坂下町坂本の「百姓HOUSE(ハウス)」。女性3人が運営し、伝統野菜「立川ゴボウ」を使った加工品づくりに力を入れている。客との会話などをヒントに、クッキーや混ぜご飯のもとなどを次々と開発。代表の古口陽子さん(66)は「食べきれずに捨てていた規格外品も無駄なく使いたい」と話す。仕出し弁当などの注文も受け付け、家族の理解を得ながら活動し、地域を盛り上げている。
 
091210_03.jpg 店内にはゴボウの漬物や凍みもち、揚げパン--などの加工品が並ぶ。観光客が休憩し、交流できる場を指定する「会津まちの駅」にもなっている。古口さん=露地野菜37アール=は「金もうけでなく、人との出会いを大切にする『人もうけ』がしたい」と話す。
 百姓ハウスは2004年に立ち上げた。古口さんと二瓶武子さん(61)=水稲5ヘクタール、露地野菜10アール、山内歌子さん(56)の3人で運営する。米や野菜はメンバーが減農薬栽培し、足りない分は知り合いの農家から仕入れている。
 売れ筋の加工品は、「ごんぼ一本勝負」と混ぜご飯のもと「ごんぼと地鶏まぜらんしょ」。香りが良く、肉質がやわらかい伝統野菜「立川ゴボウ」を素材としている。
 ごんぼ一本勝負は、出荷できないス入りのゴボウを利用する。中央のスを抜き、ニシンを昆布で巻いたものを入れ、外側にカンピョウを巻いた。カンピョウを柔道の白帯に見立てた。切り端は漬物に利用し、無駄なく使い切る。今年11月の県の特産品コンクールでは奨励賞を獲得。注文が多く、加工が追いつかないという。
 06年度は「ごんぼクッキー」、07年度はまぜらんしょで県の農産物加工品コンクールの最優秀賞を受賞。まぜらんしょは1缶530円で1カ月に約600缶売れている。

(3面・暮らし)

写真:「ごんぼ一本勝負」を作る古口さん(右)と山内さん

 「NOSAIは必要だ。何とかならないか」と、各地の農家に不安が広がっている。来年度予算を査定する政府の行政刷新会議ワーキンググループによる「事業仕分け」で、NOSAI事業の運営に欠かせない共済掛金国庫負担金と事務費国庫負担金が、それぞれ「3分の1程度の予算要求の縮減」と評価された。NOSAI制度は、国の農業災害対策の基幹であり、農業経営のセーフティーネットとして重要だ。NOSAI予算の大幅な縮減は適正・円滑な事業運営に支障を来たしかねない。
 
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◆政府予算案は年末に決定へ
 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は、年末の2010年度予算政府案の決定に向け、「事業仕分け」の評価結果を尊重する方針を確認した。
 NOSAI関係予算の概算要求のうち、共済掛金国庫負担金は約544億で、事務費国庫負担金は約456億円。ワーキンググループは、どちらも「予算要求の3分の1程度縮減」と判定した。赤松広隆農相は、衆院農林水産委員会で「概算要求通り認めていただく努力をしたい」と述べたが、財務省との折衝が難航する懸念もある。
 NOSAI団体は11月25日のNOSAI事業推進大会で、概算要求額は、農家負担の軽減、円滑な事業運営に必要不可欠であり、予算確保を関係方面に強く要請していくことを緊急決議。各地で署名活動も展開している。
 
◆掛金国庫負担縮減の影響
 共済掛金国庫負担金が3分の1縮減されると、現行の補償水準維持には農家負担が必要になる。全国平均の1戸当たり農家負担掛金は、水稲共済はおよそ2700円、麦共済では2万9千円、大豆共済では1万2千円の増額。乳牛共済では31万6千円の増額だ。台風や冷害など自然災害の多い地域や、経営規模の大きい農家ほど、掛金負担は大きくなる。
 掛金の農家負担が増えれば、生産コストも増加。農産物価格が低迷する現状では、販売価格への転嫁は難しく、農業経営の圧迫が心配される。
 共済掛金国庫負担金は、農家の負担軽減のため、掛金の約2分の1を国が負担すると法律で規定。3分の1の縮減には法律改正が必要となる。
 
◆事務費国庫負担縮減の影響
 事務費国庫負担金は、農家に負担してもらう事務手数料と合わせて、人件費や交通費に当てられる。2000年度以降は毎年度、約3億円ずつ削減され、NOSAI団体では、事業運営に支障が生じないよう配慮しながら、組合合併や役職員の削減、事務の効率化努力を続けてきた。
 最近の15年ほどで、NOSAIの組合等数は814組合等から275組合等に減少。職員は約1万2500人から約7800人ほどに減少した。さらに、将来ともに効率的・安定的な事業運営ができるよう、NOSAIの組合等・連合会ごとに組織体制強化計画を策定し、来年度以降実施する予定だ。
 NOSAI事業の事務処理は法令で細かく規定され、すべてを適正・迅速に行う必要がある。一気に「3分の1」の縮減をすれば、事業運営に支障を来しかねない。

(5面・NOSAI)

写真:共済掛金国庫負担と事務費国庫負担が議論された「事業仕分け」の会場(11月24日)

 農林水産省は11月27日、2010年産米の生産数量目標となる都道府県別需要量を公表した。全国は前年産比2万トン減の813万トン(面積換算で154万ヘクタール)で、22府県が増加し、24道府県が減少、東京都は据え置きとなった。
 都道府県別需要量は11月26日の食料・農業・農村政策審議会食料部会で了承された考え方に基づき、過去6年の需要実績のうち中庸4年分の平均値をもとに配分。生産調整の不公平感を是正するため、09年産の目標達成県は生産目標数量の減少率が全国の削減率(99・8%)を下回らないなど調整した。
 生産数量目標が前年産比で増えたのは、岐阜県、長崎県、熊本県、栃木県など。一方、減少は、新潟県、秋田県、北海道、宮城県の順。

(2面・総合)

 「土づくり・施肥改善を通じたコスト低減をどう進めるか」と題して土づくり推進シンポジウム(主催・土づくり推進フォーラム)が1日、東京都内で開かれた。農業者や行政、研究者など約200人が参加。昨年5月に高騰した肥料価格は、その後、沈静化しつつあるが、2007年に比べ塩化カリなどは1.8倍と高止まり状態にある。肥料としての堆肥利用やコスト低減効果について、講演と意見交換を行った。
 
091210_05.jpg 東京農業大学生物応用化学科の後藤逸男教授は「土壌診断と適正施肥管理」と題して講演。土壌診断を適正施肥管理に生かすには、園芸農家の「堆肥迷信」を払拭(ふっしょく)する必要があると報告した。
 堆肥迷信とは、「堆肥は土づくりの資材であって肥やしではない」「完熟堆肥をたくさん施すほど土はよくなる」というものだ。
 土壌病害に苦しむ野菜産地の多くで、堆肥の多投などで、可給態リン酸や交換性カリの過剰、塩基バランスの崩れ、極端な土壌の酸性化の状態にあるという。
 土壌には後藤教授が「土力」と名付けた病原菌の活動を妨げる力が、本来備わっている。リン酸過剰は土力を弱めてしまい、地力が高まるほど土力は低下する。この可給態リン酸変換点は土100グラム中に50ミリグラムと紹介した。
 肥料価格の高騰を乗り切るため、土壌診断に基づいた家畜ふん堆肥の肥料利用を呼びかけた。牛ふんはカリを、豚ぷんと鶏ふんはリン酸を多く含むなど特徴がある。
 また、肥料や資材を販売するために一部で無料で行われてきた土壌診断から決別し、有料化することを提起。診断結果は農家自身が読み、自ら施肥設計を立てる大切さを強調した。

(13面・営農技術)

写真:シンポジウムでは活発な意見交換が行われた

091210_06.jpg 【長野支局】リンゴ新わい化栽培に、安曇野市の二木武志さん(35歳、リンゴ1.9ヘクタール)が取り組んでいる。
 この栽培方法では、従来のわい化栽培より低樹高で密植でき、若木から収穫が可能だ。二木さんは「収穫量が増え、熟成も良い。高所での作業が少なくなるので、安心して作業ができる」と期待する。
091210_07.jpg 二木さんは2008年4月、約10アールの休耕地に導入。新わい化栽培は、県果樹試験場やJAなどが推進しているもので、県内に6カ所あるモデル園の一つだ。台木2種類(M9台木、JM7台木)と2品種(「ふじ」「シナノゴールド」)を組み合わせ、4種類を植えている。
 従来のわい化栽培は、「台木と中間台木」「中間台木と穂木」の2回接ぎ木するが、新わい化栽培は、本来、中間台木として使用されるM9とJM7を台木とし、直接穂木を接ぎ木した苗を使用する。
 「成熟が早く、シナノゴールドは熟すまでにムラがなく、早い時期に収穫を迎えることができた」と二木さん。薬剤を余分に散布することが減り、従来の約2分の1の量でできたこともメリットだという。

写真:リンゴの生育を確認する二木さんと、新わい化栽培のリンゴの木

091210_08.jpg 【青森支局】「完熟リンゴのおいしさを広めたい」――。板柳町表町の中畑元男さん(50歳、3ヘクタール、果樹共済損害評価員)は、リンゴを樹上で完熟させる栽培方法に取り組んでいる。
 これは、藤崎町のリンゴ移出業「諏訪商会」の諏訪信幸社長(42)が、「宮崎県の完熟マンゴーをヒントに、樹上完熟リンゴを作りたい」と企画。わい化栽培で高い技術を持つ中畑さんに栽培を委託したものだ。
 中畑さんは、わい化栽培の「サンふじ」約3千個(22本)を、「熟して自然に落果しても大丈夫なように」とネットで包み、枝に固定。完熟するまでならせている。収穫は12月中旬の予定という。
091210_09.jpg 「今ではリンゴが透き通っている感じ。長くならせると甘味が増すのは間違いない。どこまでいけるのか試したい」と期待する中畑さん。諏訪社長は「1個1千円くらいの高級品として発売し、農家の所得アップにつなげていきたい」と話す。

写真:リンゴの熟し具合を見る中畑さんと、樹上完熟サンふじ

091210_10.jpg 【鳥取支局】おとぎ話の世界から飛び出たような、かわいいタケノコ形のキャベツ――鳥取市の中村精(まこと)さん(59)、幸子(さちこ)さん(54)夫妻は、そんな変わった野菜を栽培している。
091210_11.jpg 小ぶりで、甘味と柔らかさが生食に向いており、1回で使い切れる大きさ。直売所では、ほかのキャベツが残っても、これだけは売り切れるという。
 中村さんは「冬至に向けて、ミニカボチャを少量出荷する予定で、消費者の反応が気にかかる。野菜栽培を楽しみながら続けたい」と話す。

写真:出荷前のミニカボチャを手にとる中村さんと、タケノコ形のキャベツ

091210_12.jpg 【新潟支局】「最近の子供は知識は豊富だが、あまりにも常識にとらわれすぎているような気がします」と話す新潟市西蒲区福島の原哲秀さん(67)は、自宅の畑で"巨大野菜"を作っている。
 原さんは、数年前から学校の授業で地域の小学生に野菜作りを教えており、児童との何気ない会話から、巨大野菜を作ることになったという。
 昨年はヘチマ、今年はスイカの巨大化に成功し4玉を収穫した。一番大きいものは普通のスイカの10倍以上で、重さは65キロほど。糖度は12.5度と、市販のスイカに負けない味だったという。
 今年は、ユズの巨大化にも取り組み2個が結実。「巨大野菜作りを通じて、大きな夢を持った子供に育ってほしいです」と原さんは話す。

写真:実った巨大ユズを、普通の大きさのユズと比較する原さん

091210_13.jpg 【北海道支局】「短角牛の素晴らしさを伝えたい」――えりも町えりも岬で日本短角種の純粋種飼育に励む高橋祐之さん(51)は、牧場内に、牛肉販売スペースや宿泊・食堂などの施設を設け、短角牛をPRしている。
091210_14.jpg 高橋さんは「小さいころから慣れ親しみ、生活を支えてくれた短角牛を純粋種のまま残す」と決意。2002年、牧場の中に牛肉販売のほか、宿泊、食事もできる施設「守人(まぶりっと)」と、焼き肉小屋「短々(たんたん)」をオープンした。
 短角牛の肉を使った食育講座や、親子を対象にした料理イベントなどを積極的に開催。スローフードの推進・交流にも精力的に参加する。

写真:えりも短角種の純粋種と、販売・宿泊施設「守人」

091210_15.jpg 【千葉支局】「特産のブルーベリーを、内外に広めたい」と、いすみ市商工会(浅野和夫会長)では今年10月、乾燥ブルーベリー入りの「ブルーベリーカレー」を発売した。
 1袋の内容量は220グラムで、約30グラムの乾燥ブルーベリーが入っており、フルーティーな風味を味わえるカレーだ。ブルーベリーを粒として残し、口当たりを良くするため、7割程度乾燥させたものを使う。
 片岡農園の片岡尉代表(同市小高、60歳、110アール)は、果肉が締まり、乾燥などの加工に適している品種「ティフブルー」を提供。「食べた時に、ちょっとした甘味と酸味のバランスを感じてもらいたい」と話している。

写真:ブルーベリーカレーは、レトルトパウチ入りで530円

091210_16.jpg 【香川支局】ダイダイは、冬を越しても実が落ちないため、「代代」の字に当て、縁起担ぎとして、しめ縄や鏡餅(かがみもち)に飾られている。
 観音寺市豊浜町の川下肇さん(55)は、80アールで400本のダイダイを栽培。「出荷業者からの引き合いが強く、やりがいがあります。日本の風習や文化を大切に考え、これからも家族で栽培していきたい」と話す。
 苗木を定植したのは1992年。当時から農作物のイノシシ被害に悩まされていたが、ダイダイは皮が厚く、酸味が強いためか、食害がないという。
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写真:「食用にしても香り高く、重宝しますよ」とダイダイを手に話す川下さんと、着色が進み、出荷を待つダイダイ

 ▼「全国農業高校収穫祭2009」と題し、高校生たちが作った農産物や加工食品を自分たちの手で販売するイベントが開かれた。北は青森から南は長崎まで16都府県から33校が参加。会場となった東京・吉祥寺の百貨店前に、テントと色とりどりののぼりが立った。
 ▼ダイコンやハクサイ、米など農産物のほか、ジャムやレトルトカレー、シクラメン、ハーブなど多様な加工食品や花き類が出品された。和歌山県立南部高校の「梅干し」、群馬県立富岡実業高校の「下仁田ネギ」といった地域特産品も並び、神奈川県立相原高校は在来大豆のきなこで作ったクッキーを販売した。
 ▼野菜の多くは1点100円、ジャムも1瓶150円程度からという格安の価格設定で、午前11時の開店前から買い物客が行列を作る。開店と同時に「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と元気な声が飛び交い、2時間弱で用意した商品を売り尽くし、店じまいした高校もあった。
 ▼イベントへの参加にとどまらず、最近の農業高校は、店舗を常設して運営を生徒にまかせるなど実践を重視した取り組みが目立つ。地元農産物を使った加工食品には、凝ったネーミングやパッケージも楽しめるものが多い。自分たちの手で作った農産物や加工食品が売れていく喜びは格別ではないだろうか。
 ▼一方、子どもたちの多くが普通高校に進学する中、農業高校の数は減少している。1970年には679校あったが、統合や廃校が進み、2005年には半減近い358校となった。持続可能な循環型社会への転換が求められる時代となり、農産物の生産や加工、環境問題、バイテク、食育などを実践的に学べる農業高校はもっと注目されていい。
 ▼疲弊する農山漁村の活性化方策として、農商工連携や6次産業化の推進が期待されている。農家には地元農業高校の出身者も多い。農業高校と地域農家が手を組めば新たな展望を開く可能性もある。

 温室効果ガス削減を目指して設立された高知県芸西村の農事組合法人「高知バイオマスファーム」(竹﨑修央代表、41歳)は、ハウスの暖房に木質ペレットを使って重油の削減に取り組んでいる。構成する5人の施設園芸農家は、環境省が進める二酸化炭素(CO2)の排出量取引制度「自主参加型国内排出量取引制度」(JVETS=ジェーベッツ)に参加。年間300トンのCO2削減目標を立て、昨年11月から木質ペレットボイラーを稼働させている。試験実施では目標を上回る好成績を実現。本年度はメンバーが16人に、ボイラーは32台に増える見込みだ。
 
091203_01.jpg 竹﨑代表は「県内の84%を森林が占める。そこで生産されるエネルギーを使うことで、山村の活性化にもつなげたい」と説明する。構成農家はハウス7棟(1.3ヘクタール)に木質ペレットボイラーを1台ずつ導入。ピーマンやナス、トルコギキョウなどを栽培する。
 高知バイオマスファームは、昨年4月に発足した。木質ペレットを重油の代替燃料として使い、農業と林業の連携を図りながら一次産業の地球温暖化対策に取り組む。
 10アールのハウスでA重油を使ってピーマンを栽培する場合、年間のCO2排出量は約40トンになる。一方、再生可能な資源の木質ペレットを使うとCO2の排出量はゼロ換算となり、製造・輸送、電気使用量などを入れても6トンにとどまる。
 ジェーベッツは2005年度からスタートした。排出量の削減枠を取引できるほか、参加すると施設整備費の補助を受けられる仕組みもある。本年度までに大企業を中心に264社が参加。環境省によると「農業分野の参加は少ない」という。
091203_02.jpg バイオマスファームでは昨年11月、構成農家が共同で重油用のボイラーを購入し、バーナーを木質ペレット用に交換した。バーナーや燃料タンク、燃料搬送装置など機器の導入代は7台で約2200万円となり、588万円ほどの補助金を受けた。
 今年9月のA重油価格は1リットル当たり約70円で、100円を超えた昨年ほどではないが、高止まり状態にある。木質ペレットは金額に換算すると60円以下で運転可能。5立方メートルの燃料タンクに3トン入り、10日から2週間は持つ。

(1面)

写真上:「木質ペレットボイラーの加温効果は重油とほとんど変わらない」と話す竹﨑代表(左)とナスを栽培する藤戸広利さん(81)
写真下:木質ペレットは燃料タンクから搬送装置でハウス内のボイラーに送る

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は11月25日、東京・日比谷で「『信頼のきずな』実践強化運動 NOSAI事業推進大会」を開き、来年度の農業共済関係予算確保を強く要請する緊急決議を採択した。
 
▼緊急決議
 11月24日に開催された行政刷新会議ワーキンググループにおいて、農業共済の共済掛金国庫負担金および農業共済事務費負担金については、いずれも「3分の1程度の予算要求の縮減」との評価が下された。
 これら農業共済の負担金については、災害時における農業経営のセーフティーネットとして重要な役割を果たしているNOSAI事業において、農家の負担軽減、事業の安定的な運営のために必要不可欠な予算であり、極めて遺憾な評価結果であると言わざるを得ない。
 われわれ農業共済団体は、農家負担の増高を招いたり、また、円滑な事業運営に支障を来したりすることとならないよう、2010年度農業共済関係予算について、その確保を関係方面に強く要請する。
 2009年11月25日 「信頼のきずな」実践強化運動 NOSAI事業推進大会

(1面)

 「『信頼のきずな』実践強化運動 NOSAI事業推進大会」には、全国のNOSAI関係者約1千人が参加、衆・参国会議員78人が出席した。
 農家・地域とともに行動するNOSAI団体の全面展開に向け、〈1〉地震・集中豪雨などの自然災害や鳥獣害から農家と地域農業を守る全事業の引受拡大〈2〉被災農家の経営安定のため共済金の早期支払い〈3〉現全国運動の総仕上げと、次期全国運動「『信頼のきずな』未来を拓(ひら)く運動」の推進――などを掲げる決議を採択した。
 決議に関連して、北海道の空知中央NOSAI(空知中央農業共済組合)の谷内章広組合長と、NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会)の工藤悟会長が意見表明した。
 谷内組合長は「戸別所得補償制度が注目される中、災害による損失を補てんするNOSAI制度の重要性を再認識し、健全な運営のために事務費国庫負担金の確保が必要だ。衛生画像を活用した水稲損害評価方法の確立や、農家ニーズを踏まえた損害防止活動と制度改善の必要がある」と主張した。
 工藤会長は「NOSAI団体は、担い手の確保や農家経営の安定・再建のため、戦後60年制度を運営してきた。行政刷新会議の事業仕分けでは、NOSAI制度の内容をよく吟味せず予算要求の縮減が求められ、憤りを感じる。耕作放棄地の解消や自給率向上など課題は多いが、全国のNOSAI団体が一丸となって農業を守っていこう」と述べた。

(2面・総合)

 「宮崎産のバナナを全国に広めていきたい」と話すのは、宮崎市で鉢花生産を行う農園に勤める広村大樹さん(31)。市内の生産者3人で「バナナ倶楽部〈くらぶ〉みやざき」を組織。10~30代のメンバーがバナナ栽培に挑戦している。商品の差別化を図るため、熟す前に収穫し、青いままで糖度を上げる"青いバナナ"などを出荷。葉タバコや露地野菜経営に加えてバナナ栽培用のハウスを導入するメンバーもいるなど、若手生産者たちはバナナ作りを楽しみながら、経営の新しい可能性を広げている。
 
091203_03.jpg メンバーの川島健太さん(24)のハウスでは、8~9段に仕立てられた青いバナナが収穫目前になっていた。「バナナは成長が早く、実がなるまで一日一日大きくなるのでおもしろいですよ」と話す。
 栽培するのは広村さんと葉タバコ・野菜農家の川島さん、野菜農家の比江島一馬さん(19)。広村さんが勤務する農園の経営者、土居哲美さん(49)が、バナナをはじめ亜熱帯果実などの苗供給や販路開拓を行う。川島さんと比江島さんは土居さんが親しい農家の後継者だ。
 それぞれのハウスで栽培し、合計で20アール。ハウスに納まるわい性品種の「三尺バナナ」を導入している。
 直接小売店に出荷するバナナは、2~3日蒸して青いまま糖度20度ほどになるよう加工する。売り場で消費者に興味を持ってもらったり、グループの商品だと一目でわかりやすくする工夫だ。
 卸価格は100グラム80円。出荷先は地元のスーパーや宮崎空港の土産もの店などのほか、青果卸業者を通じて県外にも流通している。

(3面・暮らし)

写真:メンバーの広村さん(左)と川島さん。ハウスを訪ねて収穫のタイミングなど情報交換し、品質向上に努めていた

 高知県のNOSAI中央(中央農業共済組合、川野憲三郎組合長)の農済部長(NOSAI部長)は、建物共済の加入推進や広報紙の配布などを中心に、農家と組合を密接に結ぶ役割を果たす。施設園芸の盛んな地域にあって、台風など自然災害が多いことから園芸施設共済のニーズが高い。農家訪問の機会を生かして、災害に備える大切さなどをPRしている。
 
091203_04.jpg 「そろそろ、建物共済の契約更新の時期になる。十分な補償額で加入して、住まいの安心を確保してもらいたい」と話すのは、土佐市北地・明ヶ谷地区の農済部長を務める西森修さん(65)=ニラ25アール、水稲50アールなど。損害評価員、総代も務めている。
 建物共済の加入推進で、西森さんが気を付けているのは、NOSAIの建物共済は1年ごとの掛け捨て型だが、掛金が安くて補償が高い仕組みになっているとしっかり伝えること。また、ほかの共済や保険に重複加入する人も多いため、超過保険で掛金が無駄にならないよう、しかし、万一の事故に備えて十分な補償額が確保されているよう声かけをするという。
 明ヶ谷地区は施設園芸が盛んで、台風災害が度々起こる。園芸農家の大部分は園芸施設共済に加入しているが、加入していない農家、継続加入の手続きが済んでいない農家には、農済部長が声をかけ、経営安定を図る大切さを説明している。
 「04年の台風災害を経験しているから、農家みんなに加入してもらいたい」と西森さん。
 西森さんと同じ明ヶ谷地区の森田努さん(43)は「04年から3年連続で浸水被害を受けた。農業で生計を立てる以上は、NOSAIへの加入は欠かせない」という。被災時には組合に連絡するが、普段、園芸施設共済などNOSAI制度の疑問点は西森さんに聞く。「経験が長いし、顔見知りなので何でも聞きやすい」と話している。

(5面・NOSAI)

写真:「整備中の波介川の隧道(ずいどう)が早く完成し、浸水被害がなくなってくれるといいのだが」と西森さん(中央)。森田さん(左)は「園芸施設の耐用年数を使用実態に応じてもっと延ばしてもらえるとありがたい」という

091203_05.jpg 奈良県宇陀市大宇陀区西山の農事組合法人「阿騎野(あきの)農産物加工組合」は、組合員や地元農家が栽培する野菜や米を買い取り、粉末化して直売所などで販売している。粉末には野菜の風味や色合いが生きていて、ムラサキイモ入りの米粉うどんなどを商品化。料理学校と連携して離乳食や介護食のレシピを約30種類作成し、販路拡大を図る。加工依頼は小ロットでも引き受けると評価され、売り上げを伸ばしている。
 
 「市場に出せない規格外野菜をなんとか活用したかった」と話すのは、代表の内田勲さん(61)。水稲70アールと延べ25ヘクタールの作業受託、アスパラガスなど野菜20アールを栽培する。
 加工組合は、農家20人と直売所など3団体が出資して2005年に設立した。理事6人が野菜粉末や米粉の加工・販売に携わり、加工依頼も引き受ける。
 粉末化するメリットについて、内田さんは「野菜が苦手な人も食べられ、年1作しか作れない農産物を長期間保存できる」と説明する。調味料として料理の隠し味に使うほか、牛乳やヨーグルトに入れて飲んでもおいしいという。
 どんな農産物でも引き受けるのが「売り」で、これまで約50品目の野菜や果実を粉末にする技術を研究してきた。現在は、ニンジンやカボチャ、健康ブームで人気が出ているウコンやキクイモなど約20品目を粉末化し、販売する。
 価格はニンジン粉末が45グラム入り340円、ムラサキイモ粉末が同480円だ。直売所のほか個人客や企業に販売し、約100件の顧客をかかえる。
 原料は、規格外野菜を市況の5~7割の価格で購入。無農薬か減農薬栽培の野菜を利用し、購入する際は栽培履歴と圃場を確認する。キクイモ粉末は、規格外品だけでは供給が追いつかないため、10アールを栽培委託するほどだ。

(9面・流通)

写真:「これまでなかった赤色の野菜の粉末ができた」と、食用ビーツの粉末を手に内田さん。今後、商品化する予定だ

 来年度予算概算要求を査定する政府の行政刷新会議のワーキンググループ(WG)は11月24日、農業共済の共済掛金国庫負担金と事務費負担金について、「3分の1程度の予算要求の縮減」と判定した。評価結果に法的な拘束力はないが、年末に決定する予算編成の判断材料となる。NOSAI制度は、食料の安定供給を図る国の農業災害対策の基幹的制度として、農家経営や地域社会の安定に貢献してきた。仮に来年度から大幅な予算縮減となれば、農家負担の増加や円滑な事業運営への悪影響は避けられない。農家の間にも大きな不安が広がっている。
 
 A NOSAIは、農家の相互扶助を基本に保険の仕組みで運営している制度だ。農業は自然条件に大きく左右され、時として広範囲に甚大な被害が発生する。国はNOSAI事業を農業災害対策の基幹的制度と位置付け、食料の安定供給に資する観点から掛金や事務費などの一部を負担。農家の負担軽減と安定的な事業運営を図ってきた。
 B 行政刷新会議のWGは与党議員と民間人などで構成する。事業仕分け作業は来年度概算要求の無駄を削る観点から約3千事業のうち477事業を査定した。共済掛金国庫負担金と事務費負担金については「国庫負担が必要か」「事務費が過大」などを指摘し、予算要求額を「3分の1程度縮減」と判定した。
 A 事業の説明から判定までわずか1時間での評価だ。国の災害対策としての位置付けや事業運営に対する理解がないままで、まず削減ありきの判定となった。農作物の被害率は一般の損害保険などに比べ非常に高く、水稲の面積被害率は火災保険の出火率の約170倍に上る。必然的に掛金が高くなることから、国は農業災害補償法に基づき掛金の2分の1を負担。より多くの農家がNOSAIに加入できるよう支援している。
 B 同じような農業保険制度を持つ先進国でも掛金の一部を国庫が負担している。その割合は韓国が5割、カナダやアメリカは6割と手厚い。
 C 共済掛金国庫負担金の縮減は、法改正が必要。ただ万が一にも予算が3分の1程度縮減という事態になれば、現行の補償水準を保つには農家負担の大幅な増加につながる。農業所得が低下する中、さらに負担を強いると経営を圧迫する。

(2面・総合)

 農林水産省は11月26日、2010年産米の生産数量目標を、今年産より2万トン減の813万トンと決めた。食料・農業・農村政策審議会食糧部会が開かれ、農林水産省が提示した「米穀の需給および価格の安定に関する基本指針」を了承、審議会の決定として農林水産大臣に答申した。
 10米穀年度(10年7月~11年6月)の需要見通しは、米消費の減少傾向を反映して813万トンと算定。10年産米の生産数量目標に設定した。都道府県別の生産数量目標は、需要実績を基に生産調整の達成・未達成の状況を調整して配分する。
 主食用米の需給は、今年産主食用米の予想収穫量(10月15日現在)が831万トンとなり、需要量はこれより10万トン少ない821万トンと推計。民間在庫と政府備蓄を合わせた10年6月末の在庫数量は、308万トンと見込んだ。
 政府備蓄米は今年9月末現在84万トン。農林水産省は、12月に入札を行い、適正備蓄数量の100万トンまで、16万トン買い入れると報告した。入札方法は、従来の産地銘柄別に行う方法を見直し、一定品質基準を設定し、全国一律の予定価格で入札、低価格の米から買い入れる。

(2面・総合)

091203_06.jpg 神奈川県農業技術センター(神奈川県平塚市)は、トマトの養液栽培でもみ殻など有機質培地を使い、廃棄の際に茎葉残さとともに土壌改良材や肥料として水田や畑に還元するリサイクル型養液栽培システムを開発した。廃棄処理費用がかかるロックウール培地の代替とし、培地や茎葉残さの有効利用を図る。処理費用の削減や肥料効果もあり、農家の経費削減が期待されている。
 
 システムは県内のトマト養液栽培で主流の半促成栽培と抑制栽培を組み合わせた年2作体系を基本に構築した。培地のもみ殻は一晩水に浸し水を吸わせてから使用。1~3年程度の利用を想定する。
 抑制栽培では、7~8月に培地と茎葉残さが廃棄物として出る。使用済み培地は、病害リスクを減らすため、ハウス密閉処理とベンチ被覆を組み合わせた熱処理を行う。試験では1週間の熱処理で培地全体が60度以上で約17時間以上維持できた。処理後は土壌改良材として水田や畑に施用する。
 茎葉残さは地際切断後1~2日放置してから粉砕機で細かく裁断。バッグに入れて密閉したハウス内に置く。試験では最高温度50~60度のハウス内に4週間置いた。
 竹本稔主任研究員は「容量500リットルのフレコンバッグに100キロの残さを入れると約3割まで重量は減少し、運ぶときも容易だ」と説明する。残さ堆肥は牛ふん堆肥程度の肥効があり、水田には10アール当たり1トン程度の使用を勧めている。成分分析では、チッ素2.9%、リン2.3%、カリ7.1%だった。

(11面・営農技術)

写真:粉砕で細かく破砕し、フレコンバッグに詰める作業

 【島根支局】イノシシの肉の活用を目指す松江市八雲町の「八雲猪肉生産組合(土谷昭治組合長=62歳、31人)」では、イノシシの解体処理施設を設置。加工技術などを研究しながら、イノシシ肉で地域の活性化に取り組む。
 
091203_07.jpg 事務局の石倉一夫さん(62)は、「保健所の指導を受けて衛生的な解体処理施設を作って、イノシシの肉を地元で活用したいという話になりました」と話す。今年10月に市の補助金を受けて、検体室、解体室、包装室などの設備を持つイノシシの解体処理施設が完成した。
 パック詰めしたイノシシ肉は、「やくも猪舞(ししま)い」と名付けている。
 また、このほど町内の温泉施設「ゆうあい熊野館」で、このイノシシ肉を使ったぼたん鍋やハンバーグ、くしカツなどの試食会が開催したところ、イノシシ独特の風味が大変好評だったという。

写真:解体処理施設の前で「やくも猪舞い」を手に石倉さん

091203_08.jpg 【山口支局】下関市の伝統野菜「『彦島夏播甘藍(ひこしまなつまきかんらん)」の復活に向けて、同市勝山地区で今年、本格的に生産が再開された。石田泰さん(74)、春江さん(69)夫妻は8アールで作付けて、「普段作付けている『金春』に比べて二回り大きくて、重さも1.5倍。こんなに大きくなるとは思わんかった」と笑顔で話す。
 彦島夏播甘藍は1955年ごろ同市彦島地区で盛んに栽培されていたキャベツだ。寒さに弱く、大きさにばらつきが多い理由から栽培が途絶えていた。JA下関西部営農経済支部の大野秀治営農指導員は「現在、勝山園芸組合(植村儀組合長、部会員約40人)に所属する7戸の農家が、35アールで栽培しています。形を大きくするために、畝幅や株間を統一して取り組んでいます」と話す。

写真:「収穫時期の良しあしは、球の真ん中を押さえてみて判断するんよ」と石田さん夫妻

091203_09.jpg新潟支局】長岡市浦の有限会社アグリカンパニーこしじ(今井利昭代表=63歳)では、アスパラガスの擬葉の粉末を練りこんだ「アスパラ餅(もち)」の製造に取り組み、12月から販売を始めた。
 アスパラガスの擬葉は、食用部分の若茎が成長して葉のように育ったもの。秋には刈り込み処分するのが一般的だ。最近、北海道大学と北海道農業企業化研究所の研究で、ルチンの含有量が多いことや、中性脂肪・コレステロールを下げる効果があることが分かり注目されている。
 今井代表は、自社製の「こがねもち」と合わせて商品にできないかと思い、すぐに同研究所から擬葉粉末を取り寄せ、自社もち工場で試作に取り組んだ。
 7月に開いた試食会では、こがねもち本来の甘味とのど越しの良さにアスパラの風味が加わり、すっきりとして食べやすいと評判は上々。

右写真:翌年の養分蓄積のため茂らせた擬葉を手に今井代表〉〈左写真:アスパラ餅

091203_11.jpg 【茨城支局】無農薬のマッシュルーム栽培に取り組む、稲敷市の黒田武(いさむ)さん(61)は、良質な馬厩肥(ばきゅうひ)を培地作りに利用。息子の裕一さん(37)・恭子さん(37)夫妻とともに、8棟の栽培棟で年間約100トン生産している。
 黒田さんが手掛ける品種「ホワイト種」は、純白の見た目と、ほのかな甘味、独特の食感でどんな食材にも合わせやすいという。新鮮なものは生でも食べられる。
 培地に使う馬厩肥は、「美浦トレーニングセンター」から取り寄せている。十分に発酵させたあと種菌を混ぜ、ピートモスで覆い、約3週間で収穫となる。農薬は一切使用しない。
 
写真:栽培に意欲を見せる黒田さん(中央)と裕一さん、恭子さん

091203_12.jpg 【福岡支局】「お客さんに、いろいろな種類のイチゴを味わってほしい」と話す、筑紫野市の石橋徳昭さん(61)はイチゴ狩り農園を経営。ハウス7棟、34.2アールで「とよのか」「あまおう」など12品種を高設栽培している。
 「お客さんが希望する日程で、いろいろな品種のイチゴ狩りができるように、開花や成熟具合を管理するのが大変です」と石橋さんは話す。品種によって、温度管理だけでなく、肥料の種類や量も異なり、栽培管理が難しいという。
 イチゴ狩りは電話やメールなどでの完全予約制のため、利用者は安心して来園できるとあって、リピーターも多い。
 「観光農園の経営は、収穫の喜びだけでなく、お客さんが楽しそうに食べる姿を間近に見られる喜びも味わえる。わたしの生きがい」と笑顔を見せる石橋さん。「規模拡大も図りたい。とにかく楽しく続けていきたい」と意欲的だ。
 
写真:石橋さんは栽培床のチューブに井戸水を循環させ、省エネも図っている

 【北海道支局】大豆の新品種「タマフクラ」の甘納豆をJA新はこだて厚沢部支店が商品化し、消費者から好評を得ている。
 タマフクラは2007年に道立中央農業試験場が、「新丹波黒」と「ツルムスメ」を交配・育種した国内最大粒の白目極大粒大豆だ。
 晩生品種であることから、北海道でも比較的温暖な道南の渡島半島周辺で主に栽培され、面積が年々増加してきている。さまざまな加工品のアイデアが検討されており、今後の商品開発に期待が高まっている。

091203_13.jpg 【石川支局】地元産の米や特産野菜を使った加工品「ごはんば~が」を、能美市のJA根上加工部会(構成員13人)の「ごはんば~が部」9人が製造。2005年から同JAの直売所などで販売している。
 成形したご飯に具材を挟んだこの商品は、通常、冷凍パックで販売しているが、解凍してもふっくらとおいしくなるように工夫したという。
 現在、月に5000~6000個製造。07年に商標登録を取得し、今年11月には市内の小学校の学校給食に提供したほか、学童保育のおやつに作りたてを届けて、子供たちから人気だという。
 
写真:具材は13種類ある

 ▼都市部から新規就農し、施設園芸経営で度々表彰されるほどになった農家に、何が一番大変だったかと尋ねたことがある。言下に「村中の役が回ってきた」との答え。農協の部会や消防団など可能な限り役を引き受け「夜はほぼ毎日出歩く羽目になった」と笑った。
 ▼「早く村の住人と認められたかったし、周りには自分より若い人がいないので仕方ない」とも。役の一つがNOSAI部長と伺い、恐縮した。地域で異なるが、共済の加入推進や取りまとめ、広報紙配布、災害発生時の被害申告の呼びかけなど、NOSAI部長が担当する仕事は多い。わずかな手当てに引き合う内容ではなく、さまざまな役の兼務となれば相当忙しいはずだ。
 ▼村には昔から「結い」などの相互扶助的な仕組みがあり、用排水路の管理をはじめ、労働や資材、資金を融通しあってきた。NOSAIもそうした仕組みを基本とし、地域の農家がNOSAI部長や損害評価員などの役を分担してきた。NOSAIの事業運営は、農家の理解と協力なしには成り立たない。
 ▼政府の行政刷新会議ワーキンググループは、来年度予算概算要求を査定する「事業仕分け」を実施。NOSAIの共済掛金国庫負担金と事務費負担金も対象となり、いずれも「3分の1程度の予算要求の縮減」と評価した。実質1時間ほどの質疑だけで、掛金を「自主自立で負担すべき」との乱暴な意見まで添えられた。
 ▼国の農業災害対策の基幹的制度との位置づけと掛金国庫負担など支援があるからこそ、農家は安心して経営に専念でき、忙しい中でも事業運営を担う役割を引き受けてくれる。現行の予算規模でも、農家の協力なしで安定的で適正な事業運営はできない。
 ▼相互扶助の気持ちで事業運営を支えるNOSAI部長の姿を、事業仕分けの担当者にも見てもらいたい。

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