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今週のヘッドライン: 2010年1月アーカイブ

 都市化が進む横浜市都筑区折本地区で活動する「折本新鮮野菜出荷組合」(角田益夫組合長=57歳、野菜100アール)は、メンバー11人全員が市から「環境保全型農業推進者」の認定を受け、環境に優しい農業を実践。農薬を極力抑え、堆肥で栽培した葉物野菜の契約出荷に取り組む。堆肥は出荷組合の母体である「折本地区有機肥料生産利用組合」(内藤勇一組合長=45歳、野菜70アール)が、鶏ふんや食品残さなどを集めて混合、供給する。角田組合長は「契約栽培は安定した価格で取引できる点がメリット。組合員間で補えるからこそできる」と話す。
 
100128_01.jpg ビルが立ち並ぶ横浜市営地下鉄の仲町台駅から車でわずか1、2分。折本地区は、市が農業振興と環境保全を目的に指定する農業専用地区の一つで、43ヘクタールの面積がある。
 出荷組合の契約先は「大地を守る会」や「らでぃっしゅぼーや」など、有機・低農薬の農産物を扱う宅配業者だ。出荷先ごとの栽培基準に合わせて、コマツナ(周年出荷)、ホウレンソウ(10~5月)、結球しないハクサイの一種ベカナ(5~10月)の3品目を出荷。契約面積は約3ヘクタール、年間出荷量は40トンになる。
 宅配業者に事前に提出する年間作付け表を基に、毎週木曜日午前7時半から3班に分かれて出荷作業を行う。出荷予定量が不足した場合には組合員間で調整する。
 「個人では難しい大きな業者と取引できる点が契約出荷のメリット」と話すのは、40アールのうち35アール分を出荷する渥美勇さん(57)。「農薬や除草剤を極力抑える分大変ですが、消費者が求める野菜をこだわりを持って作っていきたい」と話す。
 「環境保全型農業推進者」は、堆肥などを使った土作りや化学肥料の使用を減らす技術の導入などに取り組む農家を認定する市の制度で、2005年に全員が認定を受けた。組合員の中には、農薬の成分回数が慣行の50%以下、化成肥料由来のチッ素分が50%以下などの基準を設けた「横浜ブランド特別栽培農産物」の認証を取得したメンバーもいる。
100128_02.jpg 「自分で生のまま食べられる野菜を作りたい。手間はかかりますが、農薬は使いたくない」と話す。加藤之弘さん(48)「子供たちへ住みよい地域環境を残したい思いもある」と続ける。経営面積100アールのうち60アールで契約出荷に取り組み、学校給食へ供給するほか直売所へも出荷する。
 契約栽培は、土作りに必要な堆肥の共同生産に取り組んだのが始まりだ。1988年に国、県、市の援助を受け有機肥料生産利用組合を設立。市の仲介で大地を守る会との契約栽培がスタートし、ほぼ同じメンバーが91年に出荷組合を設立した。

(1面)

 
写真上:「においはしないでしょう」と角田組合長。2週に1度、組合員の堆肥舎に運ぶ
写真左:出荷組合のメンバー。各自の経営を持つが、毎週木曜日には集まる

 農林水産分野で二酸化炭素(CO2)の排出量取引の取り組みが広がりをみせている。農林水産省は19日、国内クレジット制度への農林水産分野からの参加申請数が昨年11月2日時点から28件増え、76件になったと発表した。同制度は、地球温暖化対策の一環として試行的に実施されている排出量取引の一つ。参加農家はCO2削減の取り組みによるコスト低減効果に加え、CO2削減量の販売で副収入も見込める。農林水産省は削減対象範囲を拡大して農林水産業者の参加を促すほか、削減量の購入を希望する企業とのマッチングを推進し、取り組みを加速させる方針だ。排出量取引の仕組みや課題などを話し合った。
 
  国内の排出量取引は、2008年10月に政府が始めた「排出量取引の国内統合市場の試行的実施」をもとに、「試行排出量取引スキーム」と「国内クレジット制度」の二つの制度を導入している。
  試行排出量取引スキームは、企業が自主的にCO2削減目標を設定し、目標以上に削減した企業は、排出枠(超過分)を目標を達成できない企業に販売できる。国内クレジット制度は、削減目標を設定した企業が資金(クレジット)や技術などを提供し農家を含む中小企業が行った排出削減の取り組みを認証する仕組み。排出枠とクレジットの取引統合を通じて、排出削減の取り組みを推進・強化する。
  排出削減量などの認証などを行う国内クレジット承認委員会への排出削減事業計画の申請件数は19日現在、述べ248件(CO2の削減見込み量換算で年間約16万トン)で、うち農林水産分野は76件(約7万トン)となっている。
  削減量は国が定めた排出削減方法論に基づき算定し、取引単価は、当時者同士の契約で決める。削減量の調査費など申請・承認費用が必要だ。ヒートポンプは導入コストの負担が大きいが、コスト低減効果が見込まれ、企業からの支援が加われば、一層の経営改善が期待される。
  現在、排出削減方法論が策定されている取り組みのうち、農業分野で活用できるのは、ヒートポンプや木質ペレット加温設備への転換、照明設備の更新(発光ダイオード導入)など少ない。排出量取引に参加する農家も施設園芸などに限られているのが現状だ。
  削減量の買い手とのマッチングも課題だ。地球温暖化への国民の関心が高まる中、「CSR(社会的責任)や企業イメージの向上などを目的に、コストがかかっても排出量取引に参加する企業は増えていくと見込まれる」(農林水産省・環境バイオマス政策課地球環境対策室)。とはいえ、実際に一農家・組織が自助努力で買い手企業と結びつくのは難しい。

(2面・総合)

 農林水産省は15日、全国のNOSAIの組合・連合会に対して政治的中立の確保と効率的な事業運営の推進を求める通知を出した。
 政治的中立の確保は、NOSAI制度は国の農業災害対策の基幹であり、運営を担うNOSAI団体は極めて公共性の高い性格を持つため、当然に求められるとした。
 団体役員に国会や地方公共団体の議員、候補者が就任したり、NOSAI団体が特定の政党、組織を支援・優遇していると疑念を持たれない公正・公平で透明性を保った制度運営を求めた。
 土地改良や漁業共済などにも、同様に政治的中立性の確保を求める通知が出されている。
 効率的な事業運営の推進では〈1〉人件費を含む業務経費の縮減〈2〉役員定数と報酬の見直し〈3〉適切な職員採用〈4〉余裕金運用の適正化――などを求めた。
 2010年度予算編成過程の行政刷新会議事業仕分けで、役員数や人件費が多いなどと指摘された事項に対応した。
 大臣折衝で農業共済事務費負担金の予算額は前年度比37億円減の419億円で決着した。農家負担増を生じさせないことを前提に、NOSAI団体に業務経費全体の徹底した合理化を求めている。

(2面・総合)

 農業体験などを通じて農や食への理解を深めてもらう「教育ファーム」が全国に広がっている。「教育ファーム推進全国大会」(主催=農山漁村文化協会)が16日、東京・東京国際フォーラムで開かれた。生産者や学校関係者、学生など約350人が参加。成果や課題を話し合うパネルディスカッションや、各地の活動紹介が行われた。報告された成果や体験の工夫を紹介する。
 
100128_03.jpg 宮崎県えびの市の「JAえびの市青年部」は、南九州大学(宮崎市)で管理栄養士を志す学生と「食と農をキビリ隊」を昨年結成。サツマイモ栽培の場を学生に提供し、加工品開発にも取り組む。
 青年部の鬼川直也部長は「農業をよくするには消費者にも変わってもらわないといけない」と強調。ただ、話題が農薬や栽培技術のみでは「農業は大変」と体験者に同情されるだけで、畑の生き物の話など演出力も必要という。「農家も一緒に変わらないといけない」。
 広島県尾道市立木ノ庄西小学校は、地域の農家やボランティアが協力し、水稲やブドウ作りなどを実施している。依頼やお礼の文書は必ず児童が届ける。鶴満喜枝教頭は「協力者が増え、人の輪が広まった」と話す。
 コーディネーターを務めた農山漁村文化協会の栗田庄一常務理事は「育てるから食べる楽しさまでつなげることが深い体験の共通点」と話す。

(3面・暮らし)

 
写真:パネルディスカッションでは、活動を継続していくための課題などついても意見が出された

 薬剤抵抗性をめぐる内外の情勢と展望をテーマにしたシンポジウム(主催・日本植物防疫協会)が19日、東京都内で開かれた。農薬規制が進む欧州では、農薬の減少に伴い、薬剤抵抗性の発達に対する懸念が増大している。国内でも同様の問題が心配されるという。栽培現場での対策や農薬メーカーを対象に行ったアンケートなどシンポジウムの概要を紹介する。
 
100128_04.jpg 「生産現場での薬剤抵抗性問題と対策」と題して講演した奈良県病害虫防除所の國本佳範氏は、野菜や花き類でのハダニ類の薬剤感受性検定結果を紹介した。
 ハダニが一年中生活できる栄養繁殖系の作物では、常緑果樹と並んで薬剤抵抗性が発達しやすい。講演では、ナミハダニ黄緑型の薬剤感受性が、イチゴ→キク→バラの順に低下していると報告された。葉が混み合って薬液が付着しにくい上、栽培期間が長く高品質を求められるため、防除回数が多くなる傾向にあるという。國本氏は「多くの殺ダニ剤は、3年間の使用回数が10回を超えると死虫率が低下する」と指摘した。
 農薬規制が進むEU(欧州連合)の農薬登録再評価で、7割以上の薬剤が登録失効になったと報告されている。
 農業環境技術研究所で薬剤耐性菌を研究する石井英夫氏は、「農薬市場は世界シェアの上位を欧米企業が占めている。日本でも将来、薬剤が不足する可能性があり、耐性菌問題の発生が危惧(きぐ)される」と話す。
 国内でも農薬の再評価が進み、再登録されない農薬が増加。製剤では1990年の6100製品から2008年の4100製品に減少した。薬剤抵抗性の出現や安全性評価項目の増大、新規作用性を持つ農薬開発の困難さなどが背景にある。
 日本曹達株式会社は農薬工業会、日本植物防疫協会と協力し、主要農薬企業23社に薬剤抵抗性についてアンケートを実施。報告した同社の水野晶巳参与によると、企業の6割で抵抗性が確認された製品が5つ以上あり、抵抗性の問題がないと回答した企業はなかった。
 抵抗性への対処法は、薬剤のローテーションを挙げたのが21社。このほか、タンクミックス(混用)は11社、混合剤17社、使用回数の制限12社、使用中止6社、生物農薬・気門封鎖剤との体系5社だった。
 指導機関、農家への要望では、回答した全社が「連続使用の回避」を挙げている。作用性の異なる剤との混用も13社あった。
 薬剤のローテーション使用や混用について石井氏は「農家にとって薬剤のグループを理解することは容易ではない。色やアルファベットで識別できるような工夫が必要」と指摘した。

(8面)

 
写真:シンポジウムには約700人が参加

 海洋深層水のにがりなどを使った「ミネラルトマト」を生産する、高知市春野町西畑の野村巧さん(44)=JA高知春野トマト部会養液栽培部代表=は、ロックウール栽培で3ヘクタール(16棟)の大規模経営に取り組む。2年ほど前から低段密植栽培を導入し、省力化と増収、品質の安定化を図っている。10アール当たり3千本と慣行の多段取りの1.5倍を定植し、第3~4果房まで収穫。年3回作で収量は約20トンとなる。野村さんは「現在の収穫量は多段取りの1.2倍。23~25トン収穫できるよう技術を高めた上で、ハウスの更新や増設に合わせて低段密植栽培を増やしたい」と話す。
 
100128_05.jpg 「ミネラルトマト」は、野村さんが代表を務めるトマト部会養液栽培部(5人)が生産出荷するブランド。市場出荷を中心に、栄養価に優れたトマトとして生協などに販売する。
 野村さんは長期多段取りを主体に、経営の一部(4棟)に低段密植栽培を取り入れている。畝幅180センチで株間が45センチ、1株3本植え。第4果房を確保して摘心する。「桃太郎」系統の品種を使う。長期多段取りで必要なつる下ろし作業がなく、わき芽取りも1~2回で済む。
 栽培期間が短く、展開した葉がすべて硬化すると病虫害の心配も少なく、防除は2回(5成分)で済む。
 「低段密植栽培は、収量を数学で考える栽培方法だ」と野村さん。トマトが若くて勢いがあるうちに第4果房まで収穫し終わるため、着果率や果形、大きさ、味などが安定。栽培本数と収穫段数、果房当たりの果実数、果実重、年間の作付け回数を一つずつクリアすれば、「予定した収量」を確保しやすいという。
 長期多段取りは、定植から9~10カ月の間、病害虫防除、樹勢の維持に努める必要があり、肥培管理が難しい。野村さんは、「ハウスの増設や更新する場合は、軒高の低いハウスで施設費を抑え、低段密植栽培を取り入れたい」としている。

(11面・営農技術)

 
写真:低段密植栽培のハウスの様子。「将来は低段密植栽培を増やしていきたい」と野村さん

 農林水産省は、2008年の農業総産出額(概算、以下同)が前年比2.6%(2151億円)増の8兆4736億円になったと公表した。6年ぶりの増加。米、豚、鶏などの産出額が価格上昇で増えたためで、肉用牛と果実は価格低下で減少した。
 主要部門別では、畜産が前年比4.4%増の2兆5882億円で最も多く、全体の30.5%を占める。次いで野菜が1.0%増の2兆1105億円(24.9%)、米は6.2%増の1兆9014億円(22.4%)、果実が1.9%減の7410億円(8.7%)だった。
 農業地域別の産出額では、1位は関東・東山の1兆9486億円、2位は九州の1兆6675億円、3位は東北の1兆3599億円、4位は北海道の1兆251億円だった。

(2面・総合)

 【新潟支局】「このもちの味を一度覚えたら、ほかのもちは食べられないね」と話す、上越市安塚区牧野の高波耕太郎さん(59)は、自ら栽培する幻のもち米「越後ねばり」を使って加工品を製造・販売している。越後ねばりは、加工しても硬くなりにくく、粘りが強いのが特長。製造・販売しているもちや赤飯、ちまきなどが「もち米本来の風味が引き立つ昔懐かしい味」として地域で話題となっている。
 
100128_06.jpg 高波さんは、2004年から「こがねもち」を使った加工品の製造・販売を始めた。さらに付加価値を付けた加工品を販売したいと、同集落の高波重春さん(60)に相談。重春さんが「越後ねばりを使用した加工品を作ったら」と、県農業総合研究所作物研究センターから10グラムの種もみを取り寄せ、選抜を始めた。
 重春さんは「生命力があり良い系統を残すために選抜を繰り返し、昨年やっと満足のいく越後ねばりができました」と苦労を話す。
 耕太郎さんは重春さんが選抜したもみを使い、05年に2アールで作付けを開始した。08年には35アールで約1.5トン、09年には70アールで約3トンを収穫。08年からは越後ねばりの加工品一本の販売を行っている。
 越後ねばりを使った加工品は、もち、赤飯、ちまき、素焼きをはじめ10種類程度。同市内の物産館のほか、携帯サイト(koutarounoen.com)で販売している。購入者からは「赤飯は冷めても柔らかく、もち米の甘さが味わえる」と好評だ。

写真:「味には自信があります」と話す耕太郎さん(左)と重春さん

100128_08.jpg100128_07.jpg 【神奈川支局】川崎市中央卸売市場北部市場の花き卸売場に昨年11月、20代の女性2人が競り人としてデビューした。2人は、生産者が丹精込めて作った花を「少しでも高く売りたい」と努力している。
 デビューしたのは、卸売業者・川崎花卉(かき)園芸株式会社(柴崎太喜一社長=53歳)の太田理恵さん(25)と田中真希さん(24)。昨年7月に競り人資格を取得し、特訓を重ねてきた。
 太田さんは、「素早い判断が必要だと痛感しています。販売価格を仕切る判断力を早く身に付けたい。良いと思った花を、高く売れるような競り人を目指します」と話す。
 一方、田中さんは、「花屋さんや仲卸業者の方が欲しい品物を、欲しいときに提供できるようになりたい」と話している。
 
写真右:「まだ仕切るところが難しい」と太田さん
写真左:「素早い判断力と目利きが大切」と田中さん

100128_09.jpg 【秋田支局】「栄養価も高く、調理も簡単。多くの人に味わってほしい」と話す、美郷町金沢東根の髙橋啓子さん(63)は、夫の定男さん(69)とプチヴェールのハウス栽培に取り組んでいる。
 髙橋さん夫妻は昨年、苗を静岡県の種苗店から約200本購入。約40坪のビニールハウスに昨年の8月2日に定植し、その後、防除と追肥を2回ずつ行った。出荷は昨年11月中旬から始まり、今年3月中旬までを予定している。
100128_10.jpg プチヴェールをしょうゆ仕立ての漬物にしたり、外葉を利用しバナナやリンゴと混ぜてホットケーキ風にアレンジするなど、さまざまな食べ方を試行する髙橋さん。「アイデア料理にチャレンジし、多くの人にプチヴェールを広めたい」と期待を寄せる。
 
写真左:出荷用に袋詰めしたプチヴェールを手にする髙橋さん
写真右:プチヴェールの外葉を使った菓子

100128_11.jpg 【青森支局】おいらせ町新敷(にしき)の祐川敬子さん(56)は、自家産リンゴとプルーンを使って、アップルパイを手作りするほか、ジュース、ジャムなどに加工し、販売している。「心込めて作っている。リンゴが少ない地域なので喜んでもらえるのがうれしい」と笑顔で話す。
 現在、夫の貢さん(60)と果樹園1ヘクタール(主にリンゴとプルーン)、大豆(加工用エダマメ)20アールを栽培。ほかにリンゴ煮、プルーンの瓶詰め、豆(エダマメ)漬けや山菜ご飯の素(もと)など15種類ほどの加工品も手掛ける。自宅から500メートルほど離れた国道沿いに面した直売所をはじめ、近くの道の駅や直売所、三沢空港売店で販売し人気を集めている。
 現在、力を入れるのが「紅玉」の果肉をふんだんに使った「手作りアップルパイ」。祐川さんは、将来は「自宅敷地内に加工施設を備えて、焼きたてのアップルパイを食べてもらう、くつろぎの空間を整備したい」という夢を持つ。
 
写真:「瓶詰のふくべの自家栽培プルーンは無添加で甘さ控えめ」と話す祐川さん

100128_12.jpg 【兵庫支局】中古コンバインを改造して、自走式除草剤散布機を自作した加西市大内町農会長の藤原英さん(62)は「除草剤散布の手間とコストが大幅に減った」と話す。
 中古コンバインのエンジン部分以外を取り除き、タンク、ポンプ、ノズルを設置。パイプを伸ばせば8メートル程度先まで散布が可能で、複数のノズルから満遍なく出る。8.6ヘクタールほどの麦圃場で数人がかりだった散布作業が、2人程度で2日で終えられるという。
 
写真:除草剤の散布作業

100128_13.jpg 【和歌山支局】「若い人たちにも喜ばれる加工品を」と、紀の川市の農家女性らが、地元産のかんきつなどを使い加工品作りに取り組んでいる。このグループは、JA紀の里かがやき部会(1681人)の「漬物グループ」(赤井美佐子会長・70歳)。平均年齢56歳、非農家2人を含む6人で構成されている。
 地元産のウメやネーブル、イチゴ、柿、モモ、イチジクなどを使ったジャムや、タケノコの水煮、モモのフレッシュ漬け、梅干しなどを出品。若い消費者の反応も上々だ。
 加工の材料は選果場などから調達するほか、メンバーが栽培したものも使用する。
 イベントにも出品。幅広く活動する。赤井会長は「若い世代に人気があるのがうれしい。また頑張ろうという気になる」と前向きだ。
 
写真:加工品を前にメンバー

100128_14.jpg 【島根支局】繊維質が少なく、ピリッとした辛味と上品な香りを持つ「出西生姜(しゅっさいしょうが)」。斐川町の出西地区でしかできないとされ"幻の生姜"として知られるこのショウガを栽培する永戸豊さん(66)、文江さん(64)夫妻が、同地区での生産を支えている。
 昨年11月から、「出西生姜入り文ちゃん味噌(みそ)」=写真=が地元スーパーなどで販売されている。豊さんは「昔は、自分の家でショウガ入りのみそを造り食べていました」と話し、そのころを思い出して造ることにしたという。
 製造は、収穫や草取りなどの交流がある同町の社会福祉法人「喜和会」に依頼。原材料は大豆に米、出西生姜と地元産を徹底している。
 文江さんは「多くの皆さんに味わってもらえるといいですね。和(あ)え物、しじみ汁、豚汁などにお勧めですよ」と話している。

 ▼農林業など人の営みとともに管理・利用してきた里地里山は、昆虫をはじめ多様な動植物の生息場所でもある。政府は、10月に名古屋市で開く生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、自然共生社会の実現に向けた理念として「SATOYAMAイニシアチブ」を世界にアピールする予定だ。
 ▼しかし、社会や生活の環境が変化し、国内では里地里山の荒廃が進んでいる。本州日本海側を中心にナラ・カシ類の樹木が集団枯死する「ナラ枯れ」被害が広がっているが、それも里山の管理が行き届かない状況との関連が深いと分かってきた。
 ▼ナラ枯れは、カビの一種であるナラ菌の繁殖が原因で、樹を枯死させてしまう。ナラ類の樹幹で生息・繁殖するカシノナガキクイムシが菌と共生関係にあり、運び役となっている。ナラ菌もカシノナガキクイムシも樹の内部にいるため、薬剤防除は困難だ。
 ▼樹と昆虫と菌の関係は昔からあった。最近になってナラ枯れ被害が目立つのはなぜか。カシノナガキクイムシは径の大きい樹を好んで繁殖するため、太い樹ほど被害を受けやすい。里山から燃料を採取しなくなって大きく育つ樹が増え、カシノナガキクイムシの繁殖場所も増加。世代を重ねる度に個体数が増えて生息範囲が広がり、結果としてナラ枯れ被害の拡散を招いたと考えられている。
 ▼里山の樹木を燃料利用した時代は、ナラ類は大木にならず、カシノナガキクイムシの繁殖場所が限られて被害も限定的だった。燃料の転換が進んだのは数十年も前にさかのぼるが、ナラ枯れを助長する里山の環境変化は、この間にゆっくりと確実に進行した。
 ▼野生動物による農作物被害や放置竹林の問題も里地里山の循環が崩れた影響と指摘されている。新たな循環を構築し、健全な里山を取り戻す必要がある。地球温暖化対策として木質ペレットストーブ利用が注目されるなどの状況を好機とし、急いで着手すべきだ。

 熊本県山鹿市菊鹿町の「菊鹿町葡萄(ぶどう)生産振興会」(会員13戸)は、県内産ブドウを使ったワインを製造する「熊本ワイン」と連携し、契約栽培で醸造用ブドウを生産する。オリジナルワイン「菊鹿」は、国内の品評会で何度も入賞し、すぐに完売する人気商品だ。垣根仕立て栽培は作業性も良く、農家所得の向上や遊休農地の発生防止につながっている。行政やJAも初期投資の助成や栽培指導にあたるなど醸造用ブドウの産地化を支援している。
 
100121_01.jpg 「特産品づくりを通じて町を元気にしたい」と話すのは、振興会の会長を務める徳丸一成さん(65)=ブドウ27アール、水稲1ヘクタールなど。熊本市の「熊本ワイン」と契約し、白ワイン用の「シャルドネ」(1.9ヘクタール)と赤ワイン用の「カベルネ」(71アール)を栽培する。2009年は、約38トンを出荷した。
 ブドウの単価は糖度に応じて設定され、糖度が高いほど高値で取引される。副組合長の小林弘昭さん(56)=ブドウ1.5ヘクタール、米2.5ヘクタールなど=は「価格が安定している上、他品目に比べて単価もよい。経営安定には欠かせない品目」と強調する。
 振興会のブドウで醸造したワインは、町名由来の「菊鹿」の商品名で販売する。08年産は約1万8千本を製造した。熊本ワインでは「おいしいワインづくりには高品質のブドウが不可欠。良質な原料を提供する振興会は大切なパートナー」(広報担当者)という。
 同社は99年の創業で「当初は焼酎が有名な熊本県で本当にワインが売れるか不安だった」(同)というが、04年に菊鹿が国産ワインの品評会「国産ワインコンクール」で金賞を獲得。昨年は国際的なワインコンクールで最高賞を受賞し、一躍有名になった。
 生産本数も限られていて小売店の店頭に並んでから約1週間で完売するほどの人気だ。徳丸さんは「自分たちが育てたブドウで作ったワインが国際的にも認められたのは、とても励みになる」と笑顔で話す。

(1面)

<写真:徳丸さんは「品質を向上させながら収量も増やしていきたい」と話す>
 
 
 
 
 
 

100121_02.jpg<写真:振興会が栽培するシャルドネ。熊本ワインによると、さらに品質向上が目指せる有望品種だという>

 農林水産省は来年度政府予算案に盛り込んだ「未来を切り拓(ひら)く6次産業創出総合対策」に131億円を計上。今後の農政の柱の一つに「農林漁業・農山漁村の6次産業化の推進」を掲げている。直売所施設や加工機械の整備支援、農産物の輸出拡大、バイオ燃料や太陽光発電といった再生可能エネルギーの利活用などを推進する。ただ、今年度実施した都市部における仮設型直売所の普及・定着事業(マルシェ・ジャポン・プロジェクト)など三つの関連事業は、行政刷新会議の事業仕分け対象となり、予算編成作業で「廃止」となった。総合対策の内容と6次産業化推進に向けた課題を話し合った。
 
  政府予算案の6次産業創出総合対策には131億円を盛り込んだ。そのうち、「地産地消・販路拡大・価値向上」には34億円を確保した。直売所などの施設整備や、農業法人などが加工・流通・販売に取り組む場合に必要な加工機械・施設の導入、異業種との連携を通じた新商品開発・販路拡大を支援する。
  マーケティング力向上などを指導する専門家を活用した地域ブランド化も推進する。地域食材を活用した特徴ある料理・加工食品に対する地域団体商標など知的財産権の取得を進める。米の新規市場開拓に向け、医師などによるごはん食の効用に関する情報発信を促す。
  「流通の効率化・高度化」(2億円)として、卸売市場におけるコールドチェーン体制づくりに必要な設備の導入を支援する。「輸出促進」には14億円を確保し、海外販売促進・商談活動、各国の食品規制や流通構造などの情報収集を行う。2020年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円とする目標を掲げている。
  再生可能エネルギーを活用して省エネ、省コスト化を進める「資源・環境対策」は73億円を計上した。バイオ燃料原料の利用可能性を調査するなどバイオ燃料の利用を推進。農産物の保冷倉庫や畜舎など農林水産関連施設への太陽光パネルの設置を助成する。
  「企業体質の強化」(3億円)では、食品事業者の品質管理の強化・徹底に加え、自主的な原料原産地表示の取り組みを促進する。農林水産業の医薬品や素材、燃料への活用を目指す「環境技術革命プロジェクト」には5億円を計上。花粉症緩和米、カイコを活用した人工血管の開発など農山漁村の資源を活用した新産業の創出に向け、総合戦略を策定するとともに、技術開発の実現可能性調査や人材育成などを支援する。

(2面・総合)

100121_03.jpg 農林水産省は来年度実施する戸別所得補償制度モデル対策のブロック説明会を12日から始めた。13日に関東農政局(さいたま市)で開いた関東ブロック説明会には、1都9県の県水田協議会や農政事務所の担当者ら約260人が参加。米粉・飼料用米など新規需要米の生産拡大に向け、実需者との連携強化支援などの要望が出された。
 冒頭、郡司彰農林水産副大臣は「多くの農家が、農政の傘の中でしっかりと元気を取り戻していこうと思える制度にしていきたい」とあいさつ。農林水産省からモデル対策と水田利活用自給力向上事業の概要を説明し、質疑を行った。
 「(実需者との契約が要件となる)大豆を自家加工し、直売所などで販売した場合は対象となるのか」(山梨県など)との質問に「検討する」と回答。「麦・大豆共済の加入者は加入書類で麦・大豆の作付け確認としていいのか」(長野県)には、「未加入者は確認が必要だが、加入者は認める方向で整備する」と答えた。このほか、麦・大豆の支援減額に対する激変緩和措置の仕組みや生産数量目標の配分方法などへの質問が相次いだ。
 同省では今後、市町村レベルでの説明会の開催も予定している。

(2面・総合)

写真:関東ブロックの説明会は約260人が参加

 「農家手作りのナチュラルチーズをたくさんの人に楽しんでもらいたい」と話すのは、北海道大樹町の有限会社半田ファーム代表の半田司さん(60)。妻の芳子さん(56)と二人三脚で酪農(搾乳70頭、育成牛50頭)とチーズの製造・販売を営む。生産調整や乳価低迷を背景に1994年に取り入れたチーズ作りは現在、年間乳量500トンの約1割を利用し、粗収入の3割を占める重要な経営部門となっている。新しい味の商品開発に挑戦するほか、消費者交流も大切にしている。
 
100121_04.jpg 雪景色の中、半田ファームを訪れると、牛舎の手前に2階建てのチーズ工房が目に映る。階段を上がると心地よいジャズが流れるティールームで、自家産のナチュラルチーズやミルク、酵母パンなどを味わえる。営業は水曜~日曜日の午前11時~午後6時。年間7千人が訪れる。
 「チーズは作り方、管理の仕方の微妙な違いが味や風味に影響する。そこが難しくて面白いところ」と半田さん。芳子さんは「メニュー変更やイベントもめったにないけれど、『良いチーズを作ろう』とわくわくした気持ちはいつもある。そんなところをお客さんも感じてくれるのかしら」とほほ笑む。
 酪農部門は、半田さんと従業員3人。チーズ部門は、半田さん夫妻と娘の楓子さん(23)、従業員2人が担当する。年間6トン生産するチーズは、対面販売と宅配便を合わせて9割を直売。残る1割を量販店などに卸売りする。
 ナチュラルチーズは長期熟成型のセミハードタイプが中心だ。良質なチーズは良い生乳、良い牧草からできるとの思いから、主力3品には「チモシー」「オーチャード」「ルーサン」と牧草の名前を付けた。
 半田さんは現在もチーズ生産技術の向上に努める。客観的な品質評価や情報交換を目的に、中央酪農会議が隔年で開くナチュラルチーズコンテストに積極的に参加。昨年11月の第7回コンテストでは、ハード熟成3カ月未満タイプの部門でチモシーが優秀賞を受賞した。商品開発にも熱心で、池田ワインの搾りかすに漬け込んだ「ワイン搾りかす漬けチーズ」のほか、群馬県の漬け物会社と「みそ漬けチーズ」を共同開発している。

(3面・暮らし)

写真:「日本ではもっとチーズ消費が伸びていい。手作り工房ならではの商品作りで牛乳を食べる文化を広げたい」と半田さん(左)。右は娘の楓子さん

 自分たちの花を多くの消費者に届けたいと、兵庫県の若手花農家8人が市場と連携して、花壇苗を専門店に販売する「花の新鮮組」ブランドを立ち上げるなど販路拡大に取り組んでいる。春は月替わりのミックス植えを主力商品とし、今年は約60商品を用意した。売り場で消費者の目にとまるよう、商品とともに自作のポスターを送るなど販売促進に努める。仲間が作る品目を組み合わせた商品も企画し、経営向上に結びつけようと懸命だ。
 
100121_05.jpg 「花の新鮮組」ブランドの取り組みは、丹波市春日町で花壇苗をハウス1800坪(20棟)と露地1千坪で栽培する三井優生さん(35)が、ガーデンシクラメン部会やハボタン部会の30代の部会員に呼びかけたのがきっかけ。豊明花き株式会社(愛知県豊明市)と連携し、2009年春から販売を始めた。
 豊明花きが専門店への営業を担当し、売り場の意見を農家に伝えて次の企画に生かす。09年は、豊明花きを通じて約20の仲卸や小売店と取引し、700ケースを販売した。
 三井さんは「メンバーが栽培を分担し、さまざまな商品を一定量販売できる強みを生かしたい」と話す。
 目玉は、4~6月に月替わりで提供するミックス植えで、品目ごとに色違いの花を混ぜた商品だ。三井さんは「高価な花が売れにくい中、一つのポットに色違いの花が咲くのはお得感がある」とねらいを説明する。複数のミックス植え商品を準備し、専門店向けに提案。今年は、消費者が比較的育てやすい、マリーゴールドやペチュニアなど10品目を生産している。
 消費者から注目を浴びるように、妖精をイメージとした花の新鮮組のマスコットキャラクターを作り、イラスト中心のポスターを作成した。ホームページで栽培方法を閲覧できる仕組みも作ろうと検討している。

(9面・流通)

写真:吉田さん(左)が栽培するレウシアの生育状況を確認する三井さん

 17ヘクタールの転作田で粗飼料生産に努めながら、経産牛190頭の大規模酪農経営に取り組む、愛媛県西予市宇和多町小野田の有限会社小野田牧場(宇都宮秀成代表=66歳)は、牧草は年2作でサイレージを生産し、1年に給餌する粗飼料の約3分の1をカバー。牛の健康増進のため、育成牛と乾乳牛は周年放牧する。未経産牛には黒毛和種を種付けてF1子牛を生産。ふん尿は分離・堆肥化して耕種農家に販売するなど、牛乳以外の所得確保を図り、安定的な経営を行っている。
 
100121_06.jpg 小野田牧場の敷地には、ラッピングサイレージが並ぶ。粗飼料栽培は、夏はスーダングラス、冬はイタリアンライグラスを作付ける。宇都宮代表は「今後も餌の自給率を上げ、飼料の購入費用を抑えていきたい」と話す。
 収穫後にロールして1日置き、発酵促進剤を添加してラッピングする。以前はタワーサイロを使っていたが、カビや腐敗によるロスが多かったため、6年ほど前からラッピングに切り替えた。粗飼料を生産する転作田17ヘクタールのうち14ヘクタールは借地だ。徐々に粗飼料の生産を拡大してきた。地域の高齢化が進み、農地を借りてほしいとの依頼が増えたという。
 1971年に法人化し、74年にフリーストール・ロータリーパーラー方式を導入した。搾乳牛向けの飼料は粗飼料2分の1、配合飼料3分の1、ビールかすやビタミンなどを混ぜた配合飼料(TMR)だ。朝と夕方の搾乳前に給餌する。
 経産牛1頭当たりの年間乳量は8千キロ、乳脂率3.8%、無脂乳固形分率8.6%を確保する。1ミリリットル当たりの体細胞数は15万~20万個という。全量を県酪連に出荷。県酪連と連携し、県内の酪農家3軒とともに夕方搾った牛乳を24時間以内にパック詰めする地域ブランド「夕しぼり」に取り組む。

(11面・営農技術)

写真:「夕しぼりの売れ行きは好調」と宇都宮代表

 農林水産省は7日、国産食料品を買うとポイントが貯まり、商品券などのプレゼントに応募できる「国産食料品のポイント制度」の実証実験を始めた。実施は首都圏にある東急ストアやイトーヨーカドー、ダイエーの合計80店舗。消費者が国産食料品を意識して購入するきっかけを作り、国産農産物の消費拡大を目指す。ポイントは各社共通で、2月28日まで実施する。
 
100121_07.jpg ポイント制度は、農林水産省が自給率向上を目指して展開する国民運動「フードアクションニッポン」の参画企業などに委託し、「おいしいニッポンを食べよう!キャンペーン」(事務局=電通)として行っている。
 昨年13店舗で実施したのに続く2回目だ。同省は、参加企業に対し、制度をPRするチラシの製作費やポイントの集計システムの開発費などを助成。ポイントを貯めて応募できる商品券や食事券、国産農産物などは、参画企業が提供する。
 電通によると、昨年の実験後のアンケートでは、キャンペーンに参加した消費者の72%が「今後、国産食料品を購入したい」と回答。一方で「対象商品を店頭で探しにくい」「国産品のすべてが対象でなく分かりにくい」などの課題もあった。
 今回は、対象商品を認識しやすいよう包装にシールを添付。昨年は携帯電話とパソコンだけで応募可能だったが、はがきでも応募できるよう改善した。

(6面)

 
写真:東急ストア藤が丘店に設けられたキャンペーンコーナー

 【徳島支局】「孫においしい卵を食べさせたい」――。養鶏業などを営むほか、旬の味の直売所「清流穴吹物産センターかまや」(穴吹町)の代表を務める中元剛さん(58)は、そんな思いを込めて、「かまやの米玉子」を商品化した。昨年10月から本格的に販売を開始した自慢の一品は、トウモロコシの代替飼料として飼料用米を使用するほか、餌に地元の食品廃棄物も活用。さわやかなレモンイエローの卵黄が特徴だ。
 
100121_08.jpg 「かまやの米玉子」の黄身が白っぽい理由は、米を使った餌にある。中元さんは「卵の黄身の色は与える餌で変わります。ひなの時からもみ殻付きのお米を食べさせているので、自然と白っぽくなるんです。生で食べると、卵独特の臭みがなく、甘くておいしいですよ」と説明する。
 トウモロコシの代替飼料として米(飼料用米)を活用することで、輸入に頼らない自給飼料の調達が可能となるばかりでなく、耕作放棄地の有効活用にも道をひらくことができ、「土地も農機も技術もある農家の自立、真の意味での地域農業の復活につなげることができれば」と意欲を燃やす。
 可能な限りストレスを除去した環境と平飼いが飼育の基本。「生みたい時に生ませる」という、自然な環境を重視しているため、産卵ペースはケージ飼いに比べると低いが、「大切なのは鶏が健康で元気なこと。その結果、良い卵ができればそれが一番」という。
 より安全な餌を求めてたどりついた「お米」をエネルギーとして転用することで、新たな付加価値を得て販路拡大を目指す。

写真:「わらごと全部食べさせるのが最終目標」と話す中元さん

100121_09.jpg 【青森支局】青森市奥内の田中ツナ子さん(62)は、栽培した自慢のヤーコンから「ヤーコン茶」「乾燥ヤーコン」「ヤーコンの実チップス」を加工している。「ヤーコンは芋、茎、葉まで健康にいい。いっぱい作り多くの人に味わってもらいたい」と笑顔で話す。
 「水稲と作業がかち合わず、病虫害に強く薬剤散布も必要ない」と利点を挙げるヤーコンは、昨年、40アールに作付けた。田植え後に定植し稲刈り後の霜が降りるころに収穫。芋を冬場に加工し副収入化を図る。
 13年前、トマト栽培で腕を痛めていた田中さんは、作業が比較的楽な代替作物としてヤーコンを導入。「最初の3年は、栽培は試行錯誤。食べ方も知らないので作っても売れないで大変だった」と振り返る。
 そこで田中さんはヤーコンイモの食べ方を研究。煮物やサラダ、天ぷら、漬物といった料理を友人知人に紹介し始めた。その結果、「JAの直売所でも徐々に売れ始め、手応えをつかんだ」と話す。
 8年前には、県の指導機関から助言を得ながら、茎も葉も一緒に細かく刻んだ「ヤーコン茶」を作り始めた。効率化を図るために太い茎を切るヤーコン専用のカッターを購入。手間がかかる乾燥も乾燥機を設置し取り組んだ。
 設備が充実した6年前には、ヤーコンをスティック状に切り、乾燥させた「ヤーコンの実チップス」を製品化。これら加工品を各地のイベントやスーパーなどに持ち込み、消費者に直接試食してもらうなど普及に力を入れる。今では何度も購入する固定ファンが増え、注文は増えているという。
 
写真:ヤーコンの実チップスを乾燥機に入れる田中さん

100121_10.jpg 【島根支局】水稲(220アール)のほかに、キャベツやブロッコリーなど葉物野菜(40アール)を栽培する大田市静間町の竹下寛さん(64)。昨年、初めて「超大球(ちょうだいきゅう)」という品種のキャベツに取り組んだ。
 超大球は、大きさが通常のキャベツの倍以上、重さが4~5キロにもなる大玉品種。葉は柔らかく食味に優れ、生でも熱を加えても、おいしく食べられるという。
 テレビでこのキャベツを見た竹下さんは、その大きさに圧倒され、栽培する気になったという。さっそく苗を販売店に注文し、栽培に臨んだ。「普通のキャベツは、毎年栽培しているが、これは初めてなので分からないことが多かった。特に病虫害に気を使ったよ」と竹下さん。
 昨年、100個ほど試験的に栽培したが、「満足のいく大きさにはならなかった」と振り返る。今年は、さらに大玉を目指すとともに、販路の開拓が進めば、栽培数を増やす予定だという。
 
写真:普通のキャベツと大きさを比べる竹下さん

100121_11.jpg 【高知支局】色が白く、サラダでも食べられるほどアクが少なく柔らかいのが特長の短根ゴボウ。香南市では、2009年から20アールで本格的な栽培が始まり、「ごぼたん」として販売している。
 「短根ゴボウは水はけの良い圃場を好むため、土作りが大切。あえて条件の悪い圃場で挑戦している」と話すのは香南市野市町兎田の恒石謙(つねいしゆずる)さん(60)、邦子さん夫妻。
 恒石さん夫妻は、JA土佐香美と中央東農業振興センターが08年に行った試験栽培に参加。3月と6月に播種したものは、排水が悪く高温多湿で根腐れが発生したが、9月に播種したものは成功した。
 「去年は9月に播いて、12月中旬から年明けにかけて収穫した。品は良かったですよ」と恒石さん。収穫後は3時間ほど水に浸し、洗浄・選別し、包装をして出荷する。作業は大変だが、近くの量販店ではいつも完売しているという。
 担当の普及指導員は、「戸数の拡大が重要です。遊休農地の再利用につながれば。目標面積は1ヘクタールです」と話す。
 恒石さんは「生産者が増えて、共同出荷ができるようになれば」と期待している。
 
写真:短根ゴボウは「ごぼたん」の名で販売

100121_12.jpg 【埼玉支局】菖蒲町小林の長谷川由美子さん(60)は、約50アールの果樹園で収穫するソルダム、ネクタリンなど十数種の果物で、無添加ジャムを作っている。そのほかに、地元で取れた規格外の果物も利用。JA南彩農産物直売所菖蒲グリーンセンターなどで販売され、「ほかでは売っていないジャム」と好評だ。
 ジャム作りを始めたのは、2004年ごろ。消費者が好む味を目指し、10%単位で砂糖の分量を変えるなどして完成させた。入れる瓶、キャップの選定、賞味期限の設定にも気を配ったという。
 ジャムは、20本作るのに丸1日かかる。現在は、バラのジャムを試作中だ。長谷川さんは「今後は加工場を拡大し、お茶が飲めたり、ジャムを販売できるスペースも作りたい」と話している。
 
写真:多彩な果物を使ったジャム

100121_13.jpg 【新潟支局】長岡市王番田町の「はっつぉう農園」(池津宏代表=62歳)が、自家産の長岡野菜「肴豆(さかなまめ)」から作ったきな粉が消費者の関心を集めている。
 このきな粉は、地元でも栽培量が少ない伝統野菜の肴豆の新たな活用法として5年前から販売。消費者からは「自然な甘味と香り」「濃厚な味わい」と評判は上々だ。
 2009年は約40アールのうち、5アールをきな粉用として栽培。手作業で刈り取りから選別まで行った後、市内の業者に製粉を依頼した。現在、自家直売や地元スーパーで販売しているが、生産数量が少ないため無くなり次第終了だ。
 販売を担当する池津伸俊さん(36)は「もちにつけて食べるだけでなく、牛乳やヨーグルトに入れてもおいしい。ぜひ味わってほしい」と話す。
 
写真:きな粉は1袋(100グラム)200円で販売している

100121_14.jpg 【群馬支局】「自家栽培のウメを無添加で加工しています」と話す、川場村の宮田りえ子さん(59)は、ワイン漬けやシソ巻きなど珍しいウメの漬物を販売している。
 10年前から「白加賀」や「南高」など5品種を使用し、漬物作りを始めた宮田さん。現在は、しょうゆ漬け・辛子漬け・寒干しウメなど10種類以上の加工を一人で手掛ける。
 販売先の道の駅では、2カ月で完売するほどの人気商品という。「ウメを漬けた漬け汁を欲しがるお客さんもいますよ」とうれしそうに話す宮田さん。「これからも喜ばれる商品作りにチャレンジしていきます」と意欲的だ。
 
写真:左からブルーベリー漬け、シソ巻き漬け、しょうゆ漬け

 ▼「コシヒカリ」並みの食味を目標に富山県が開発した黒米「富山黒75号」と赤米「富山赤71号」が話題だ。品種登録を申請し、新たなブランド米にしようと名付け親を募集している(詳細は県庁ホームページに掲載。問い合わせは農産食品課まで=電話076・444・3283)。
 ▼赤米は赤飯の起源と言われ、古代米として有色素米の産地化を図る地域も多い。色素には抗酸化性があり、消費者の健康志向にも合致している。ただ、白米品種に比べ食味は落ちるため、これまでご飯を炊く際には、白米に少量の有色素米を混ぜる方法が一般的だった。
 ▼新品種は、有色素米にコシヒカリを繰り返し交配し、色素を残しながら食味向上を図った。色素以外の特性はコシヒカリとほぼ同等という。単品で炊飯してもおいしく食べられ、色素を生かした料理やお菓子の原料など新たな需要の開拓が期待されている。
 ▼明治時代には、交雑による白米の品質低下を理由に赤米の根絶運動があったほどで、有色素米をブランド化する時代の到来など従来は考えられなかったはず。米には不要とされた特性が、角度を変えてみれば一つの魅力となるから不思議だ。
 ▼米に限らず、最近は黄や赤、紫といった肉色が特徴のイモや、果肉まで赤いイチゴやリンゴなど個性的な品種が続々と登場している。農産物需要が低迷する中、個性的な品種を地域振興の柱に据え、特産品化や6次産業化に取り組む事例も増えてきた。
 ▼現在の栽培品種は、長い年月をかけて食味や病害虫への抵抗性、作りやすさなど人に役立つ特性を重視して育成されてきた。その反面、さまざまな形や色があった地方品種が市場から消えるなど画一化が進み、個性が失われたとの指摘もある。個性的な品種への注目は、その反動もあるだろう。需要拡大の可能性に期待したい。

 苗作りを重視した冬春トマト主体の経営に、岐阜県本巣市上保の大熊昭哲さん(37)が取り組んでいる。大熊さんは、就農後に水耕施設を導入して規模を拡大し、現在は90アールのハウスの半分が水耕栽培。「種から育てるからこそ、自分のトマト」と話し、接ぎ木後の苗木養生施設を自作するなど、収量と品質の両立を目指し、丈夫な苗生産に力を入れる。大玉トマト「麗容(れいよう)」は10月から翌年7月まで収穫し、糖度は6度以上、10アール当たり収量は20トンを確保。経営のかたわら、地元の幼稚園児や小学生をハウスに招いて農業体験もさせている。大熊さんが呼びかけて立ち上げた若手後継者組織の協力もあり、農業への理解を広げる活動の輪が広がってきた。
 
100114_01.jpg 「消費者に、『おいしい』といってもらえると、もっとおいしい物を作ろうと頑張れる」と話す大熊さん。現在、水耕栽培と土耕栽培を45アールずつ採用する。
 麗容は80アール(水耕35アール、土耕45アール)で、中玉トマトの「華小町〈はなこまち〉」(水耕10アール)を、麗容と同じ冬春長段どりで生産。華小町は、10アール当たり6~7トンの収量を確保しているという。労働力は家族5人とパート9人だ。
 「種からどう育っていくのか想像するのが面白い」と大熊さん。夏場に丈夫な苗を育てるため、2年前にトラックのコンテナを安く購入し、養生施設にした。「市販の施設を買えば数百万円するが、約10分の1の数十万円で作った」と説明する。
 苗作りは、7月初めに台木を播種し、その2日後に穂木の種を播く。接ぎ木後、7月中旬から下旬にかけて1週間ほど施設内で養生させる。
100114_02.jpg コンテナの入り口正面奥に家庭用クーラーを取り付け、室温は26度前後に設定。コンテナの外側上部にはスプリンクラーを設置し、水を流して外からも冷却する。特に注意するのが湿度管理。活着前の極端な蒸散を防ぐため、苗木を置く棚の周りをビニールで囲い、噴霧器で1日1~2回水をかけている。

(1面)

 
<写真上:経費の削減のため1つのロックウールに2本植えしている>
<写真右:4トンコンテナを改造した育苗施設。1台で苗木1万本以上を育てる>

 農林水産省は2010年度から中山間地域等直接支払制度の第3期対策をスタートさせる。10年度政府予算案では、中山間地域等直接支払交付金に約265億円(09年度当初予算比30億円増)を確保した。基本的な枠組みは現行制度を維持しつつ、深刻化する高齢化を踏まえ、高齢農家がより参加しやすいよう制度を見直す。1ヘクタールの団地要件を緩和して交付対象を広げるとともに、高齢化で離農する農家の農地を共同で守る集落への交付金単価を10割とする。さらに小規模・高齢化集落を支援する近隣集落には加算措置を講じる。制度の見直しの内容と中山間地域をめぐる状況を話し合った。
 
  見直しの柱は三つだ。対象農用地を1ヘクタール以上の一団とする要件を緩和し、山あいに点在する飛び地や小団地などの協定取り込みを推進する。また、ステップアップ型に加え、高齢化で協定参加者に離農者が出た場合を想定し、共同でその農地を引き受ける「取り決め」を行う集落も、10割単価を支払う対象とする(集団的サポート型)。
  交付金支払いは5年間の対策期間中の活動継続が要件で、耕作放棄地を出したり、面積・参加人数などの実施要件を満たさず途中離脱する場合はさかのぼって交付金を返還しなければならない。だが、離農者が出ても集落内で支え合う体制を整えれば交付対象とし、高齢農家も安心して参加できる仕組みとした。
  さらに「小規模・高齢化集落支援加算」を新設する。規模拡大や法人化など現行の加算措置に加え、余力のある集落が小規模・高齢化集落を支える体制の構築を促す。農家戸数が19戸以下で、65歳以上の割合が2分の1を超える集落が、近隣の集落と広域的な集落協定を結んで農業生産活動を行う場合に、小規模・高齢化集落内の対象農地に対し、田は10アール当たり4500円、畑は1800円を加算する。
  1戸当たりの受給上限額は100万円となっているが、対象から役員手当や日当などを除外する。後継者の住宅を建てるための農地転用容認なども盛り込んだ。

(2面・総合)

 政府は12月25日、2010年度政府予算案を閣議決定した。農林水産関係予算は、09年度当初比4.2%(1088億円)減の2兆4517億円で、10年連続の減額となった。
 農政の目玉に掲げた戸別所得補償制度関連対策(5618億円)は概算要求通り満額確保した。非公共事業費は、14.7%増の1兆7954億円で、戸別所得補償関連予算を含む食料安定供給関係費は33.9%増の1兆1599億円に拡大した。一方、公共事業費は34.1%(3389億円)減の6563億円と大幅に減額し、特に農業農村整備費は63.1%(3643億円)減の2129億円となった。
 農山漁村の6次産業化対策には131億円を確保した。農林漁業者と食品関連事業者などの連携による地産地消や商品開発、販路拡大などを支援する。
 10年度から第3期対策がスタートする中山間地域等直接支払制度のため、中山間地域等直接支払交付金として265億円を計上した。農地・水・環境保全向上対策交付金は199億円の所要額を盛り込んだ。
 公共事業費を大幅に削減した一方で、新たに農山漁村地域整備交付金1500億円を創設した。
 鳥獣被害防止対策は、都道府県への交付金とする見直しを行い、23億円を計上した。

(2面・総合)

 NOSAI群馬(群馬県農業共済組合連合会、矢内一雄会長)は、家畜事故低減対策事業として、牛群の血液を検査し、健康状態や栄養状態を把握する「代謝プロファイルテスト」を実施している。酪農家が対象で、本年度は23戸を予定。飼養状況調査と合わせて検査結果を分析し、餌の適切な給与方法などをアドバイスする。酪農家からは「血液検査は数値が出るので悪い部分がはっきり分かる」と好評で、事故低減と酪農経営の向上を支援している。
 
100114_03.jpg 代謝プロファイルテストは、酪農家の牛群から30頭を抽出して血液を採取。NOSAI群馬中央家畜診療所で分析してカルシウムやコレステロール、遊離脂肪酸などを検査し、病気の予防や早期発見に役立てている。
 検査前には、牛群検定や繁殖の成績、飼料の種類や量など飼養管理の状況を調査。牛群の健康管理や生産性向上に結びつく改善策をアドバイスする。農家の費用負担はない。
 連合会家畜部の小林晴紀獣医師は、同部の西川圭介考査役と二人で担当。「飼料給与の改善では、農家の大きな負担にならずに経営向上できる方法を基本に考えています」と話す。

(5面・NOSAI)

写真:茂木さん(右)に血液検査の結果を説明する西川考査役(中)と小林獣医師

 2010年度政府予算案が12月25日に閣議決定し、NOSAI関係予算は前年度比59億2582万円(5.9%)減の943億8624万円となった。共済掛金の一部を国が負担する「共済掛金国庫負担金」は22億2千万円(4.2%)減の503億8528万円。「農業共済事業事務費負担金」は37億円(8.1%)減の418億8515万円となった。
 NOSAI関係予算は、昨年10月の概算要求では前年度比18億3246万円(1.8%)増の1021億4453万円を計上。しかし、共済掛金国庫負担金と事務費負担金が行政刷新会議の事業仕分け対象となり、それぞれ「3分の1程度縮減」と判定された。その後、農林水産省と財務省との折衝で共済掛金国庫負担金は概算要求額に対して40億円の縮減、事務費負担金は同37億円の縮減で決着した。
 赤松広隆農相は「農家に新たな負担増をさせない」として、NOSAI団体に事業運営の一層の合理化に努めるよう経営局長名で通知を発出する方針。
 農家がNOSAI事業に加入する際の掛金国庫負担割合(多くの事業で2分の1)は法律で定められているため、予算縮減が農家の掛金負担に直接影響することはない。
 関連事業では「衛星画像を活用した損害評価方法の確立事業」に前年度同額の2億5128万円を計上。水稲損害評価員が行う検見調査に代わる手法として、衛星画像データから単位当たり収穫量を把握する新たな損害評価方法の確立を図る。
 家畜の集団検診などで事故を予防する「家畜共済事故防止事業」には、6億3432万円(0.3%減)を確保。乳牛の乳房炎や周産期疾患、肉用牛の尿石症、牛や種豚の繁殖障害――などを対象に損害防止に必要な検査や指導などを行う。

(5面・NOSAI)

 ブロッコリーのネコブ病防除対策で、作付け前にネコブ病抵抗性ダイコンを栽培し、生石灰による土壌ペーハー(pH)の矯正を組み合わせると、化学合成農薬とほぼ同等の防除効果が得られることが分かった。研究を行った石川県農業総合研究センター(金沢市才田町)によると、ネコブ病多発圃場でも、発病株率を7割から1割に抑制。10アール当たりの経費は3万~5万円。カブやハクサイでも導入可能だ。
100114_04.jpg この技術は、ブロッコリー作付け前に1カ月程度ネコブ病抵抗性ダイコンを栽培して土壌中の休眠胞子の密度を下げ、土壌pHを7程度のアルカリ性に維持することで作物への感染率を抑える。
 抵抗性ダイコンは、菌の休眠胞子を発芽させるおとり作物となり、胞子が発芽しても抵抗性があるため感染せず、病原菌が増殖しない。
 研究センター生物資源グループの塚本昇市主任研究員は「胞子の状態では防除しにくいが、発芽すると宿主がなければ死滅する。おとり作物は、その性質を利用した」と説明する。
 品種は、葉ダイコンの「CR―1」(種子1リットル当たり約2千円)を用いた。種子は10アール当たり6キロを播種し、約1カ月栽培して12~13葉になると土壌にすき込む。すき込んだあとはダイコンの株が分解するまで約2週間放置する。
 その後、ブロッコリー栽培前の耕起作業の際に生石灰を条施用して土壌pHを矯正。散布量は土壌分析を行った上で、土壌条件に応じて調整する。

(11面・営農技術)

 ▼2010年度政府予算案が昨年末に閣議決定され、農林水産予算は前年度比で4・2%減の2兆4517億円となった。農林水産省は、10月に戸別所得補償制度モデル事業を別枠計上して2兆7518億円を概算要求したが、縮減された。
 ▼総額5618億円を計上した戸別所得補償制度関連事業は満額確保し、非公共事業費は約15%増えた。一方で「コンクリートから人へ」を掲げる鳩山内閣の方針に沿い、公共事業費は前年度当初比で約35%を削減。赤松広隆農相は、「皮を切られ、肉を削がれ、しかし、骨だけはしっかり残った」と総括し、農林水産業の立て直しに意欲を示した。
 ▼公共事業費が大幅に削減され、地域の生産環境整備を遅滞させないか心配が残る。農業の生産性向上には農道や圃場などの整備は欠かせない。地方の公共事業支援に1500億円の農山漁村地域整備交付金を計上したが、効率的に使わないと必要な地域に行き渡らない可能性がある。
 ▼また、有機農業振興のモデル事業を盛り込んだ生産環境総合対策事業は、概算要求比で6割削減され14億5千万円となった。モデル事業は、行政刷新会議による事業仕分けで「廃止」と評価され、有機農業者や流通の関係団体が「有機農業の火を消すな」と訴えていた。
 ▼「廃止」にならず安心した反面、釈然としない気持ちも残る。事業仕分けの評価を「最大限尊重する」と閣僚が確認してからの議論が見えにくいためだ。改めて有機農業振興予算を計上した目的や意義を、政府として説明してほしい。
 ▼景気後退に伴う税収減もあり、予算の無駄削減が必要なのは確か。しかし予算編成課程をもっと分かりやすくしないと不要な誤解を招きかねない。国民理解を得て、農業・農村の活性化に効果を上げる予算とすることが大切だ。

 景気悪化に伴い農畜産物の消費や価格が一層低迷し、農業・農村の先行きへの不安が広がっている。政府は、農家所得の向上と農山漁村の活性化を掲げ、戸別所得補償制度など農政転換を打ち出した。ただ、農業・農村には、豊かな農的資源と循環型社会に貢献できる力があり、農家や地域の結束で自ら展望を開くことは可能だ。地域に根ざした活動で明日をつかもうと努力する経営などを紹介する。
 
 みんなでつかむ 経営力〈高知県宿毛市 おおぐし農園〉
000107_01.jpg 25ヘクタールの果樹園で「土佐文旦(ぶんたん)」などのかんきつ類を生産し、全量直販する高知県宿毛市樺の有限会社おおぐし農園(大串謙二代表=52歳)。新規就農者など16人を常時雇用し、データを基に農作業経験のない人でも栽培管理できる大規模経営に取り組む。大串代表は「スタッフが仕事にやりがいや働きがいを持ち、自己成長につながる農園にしたい」と話す。地域住民との交流を深める「文旦デコリン祭」を企画するなど、ブンタン産地の盛り上げにも積極的だ。
 
写真:「20年来の顧客もいて身内の感覚」と大串代表(左)。右は生美社長

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 安定経営つかむ 連携力〈富山県高岡市 北陸営農組合〉
000107_02.jpg 農商工連携で郷土食を守ろうと、富山県高岡市今泉の農事組合法人「北陸営農組合」(組合員13人)は、北陸地方の郷土料理「かぶら寿(ず)し」を製造する食品会社と契約し、原料の大カブを生産している。契約栽培で単価が市場より高く、経営の安定につながる。食品会社には新鮮な地場産の原料を入手でき、運賃コストを抑えられる点がメリットだ。組合では大カブを水稲や大麦、大豆とのブロックローテーションに組み込み、栽培体系を確立している。
 
写真:洗浄、選別した大カブをみる安田組合長。「食文化を守り、農地を後世に引き継ぐことで地域に貢献したい」と強調する

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 消費者との交流でつかむ 信頼力〈千葉県印西市 船橋農産物供給センター〉
000107_03.jpg 千葉県印西市の農事組合法人「船橋農産物供給センター」(飯島幸三郎代表、59歳)は、都市部の消費者と結びつき、30年以上も産直に取り組んでいる。140人の生産者が、生協との提携や直売所での販売に携わり、2008年度は前年比14%増の5億5千万円を売り上げた。生産費補償を行う基金をもうけるなど、安心して生産できる体制を整えている。消費者との交流では、本当の農業を知ってもらうため、田んぼの再生から手がけ、田植え、収穫までの体験コース、野菜の種播きから収穫までを農薬を使わないで体験するコースなどを展開。参加者は「田んぼづくりから始めるのは大変だけど、やりがいがあった」と話している。
 
写真:野菜を出荷する生産者。左から平川さん、飯島代表、渡辺さん、会田さん

 
 
 
 
 地産地消や加工でつかむ 販売力〈岩手県紫波町 しわ牛研究会〉
000107_04.jpg 岩手県紫波町の「しわ牛研究会」(9戸)は、地元特産の「ヒメノモチ」玄米や稲発酵粗飼料(WCS)を給餌して肥育した黒毛和牛を「岩手しわもちもち牛」ブランドとして市場出荷している。年間出荷頭数は現在、約140頭。さしが入って柔らかい肉質と、軽い食感で甘味がある脂身が特長だ。市場関係者へのPRとともに、地元消費者への定着を図ろうと、町内の食品関連業者との連携、産業祭りなど各種イベントへの出店、小中学校の食育活動への協力などに精力的に取り組む。町内の農産物直売所や精肉店、レストランなどで、もちもち牛を扱う店が増えている。会長の畠山正宏さん(50)=肥育120頭=は「地元のみなさんに一層愛されるブランドに育てたい」と話している。
 
写真:「飼料米が注目されている。先発の強みを生かして、しっかりブランドを打ち出していきたい」という畠山さんと妻の悦子さん

 農林水産省が2010年度予算概算要求の目玉に掲げた戸別所得補償制度関連予算(5618億円)について、赤松広隆農相は12月22日、要求通り満額確保したと発表した。主食用米の戸別所得補償制度モデル事業は3371億円を計上し、全国一律単価で補てんする「定額部分」の交付単価は10アール当たり1万5千円とした。新設する水田利活用自給力向上事業は、2167億円を計上。水田で生産する麦・大豆や米粉用など新規需要米の面積に応じた全国一律単価の補てんを基本とするが、地域で単価調整などができる仕組みを設けた。赤松農相は「戸別所得補償制度による農政の大転換の第一歩となる」との談話を発表した。
 
 関連予算の総額は5618億円で、内訳はモデル事業が3371億円、水田利活用自給力向上事業が2167億円、推進事業費として制度導入推進事業が76億円、統計調査事業費4億円となった。
 モデル事業の最大の焦点だった定額部分は、10アール当たり1万5千円とした。標準的な生産費(60キロ当たり1万3703円)と販売価格(同1万1978円)との差額を10アール当たりに換算した。
 懸案だった調整水田など不作付けによる生産数量目標の達成は、理由と復元に向けた改善計画を市町村に提出・認定された場合に認める。
 水田利活用自給力向上事業は水田で生産する麦、大豆や新規需要米を戦略作物と位置付け、販売農家に全国一律単価を直接交付する。地域によって現行政策と比べ減額となるため、激変緩和措置(総額310億円)を確保した。
 激変緩和措置は、単価設定の弾力的運用(50億円)と激変緩和調整枠の設定(260億円)などで対応する。地域で振興するその他作物は、1万円以上の単価設定も可能。新規需要米を除く戦略作物(麦・大豆・飼料作物)への加算などを認める。

(6面・ニュース)

 2010年度政府予算案のうち、NOSAI関係予算は、赤松広隆農相と藤井裕久財務相らによる12月16日の大臣折衝の結果、共済掛金国庫負担金は概算要求額(544億円)から40億円削減した504億円で、農業共済事業事務費負担金は概算要求額(456億円)から37億円削減した419億円で合意した。NOSAI関係予算の総額は、概算要求比77億円減の944億円となる見込み。
 NOSAI関係予算は10月の概算要求では、適正な事業運営に必要な額として前年度比18億円増の1021億円を計上した。しかし、共済掛金国庫負担金、事務費負担金が行政刷新会議の事業仕分けに取り上げられ、それぞれ「3分の1程度縮減」と判定された。
 共済掛金国庫負担金は「法律で国庫負担割合が定められている」、事務費国庫負担金は「急な削減は事業運営に支障を来す」ことなどから、農林水産省は農家負担を増やさない方針で、財務省や関係閣僚との折衝を進めていた。
 赤松農相は記者会見でNOSAI団体に、事業運営の合理化を行うよう、経営局長名で指示通達を発出する考えを示した。

(6面・ニュース)

 このままやったら「あかん」――もうかる稲作経営を目指し、兵庫県の若手米農家17人が立ち上がった。「兵庫大地の会」(髙本知宜会長)は2008年から、農薬や化学肥料を使わないブランド米を10ヘクタールで生産。卸とは自分たちで交渉し、販路確保の難しさにも直面している。さきごろ開いた総会では、今後の活動方針を議論。その後の忘年会では、酔いも手伝い、普段は話さない不満や夢など"ホンネ"が飛び出した。
000107_05.jpg写真:兵庫県 兵庫大地の会
 
▽農業は机の上でやってるんじゃない!!
▽もらえるものはもらうぜ
▽自分の土地に自由に作らせてくれ
▽用途を決めずに補助金くれ

 「兵庫大地の会」は、兵庫県内の若手米農家が集まり、2002年に結成した。メンバー全員が環境保全型農業に取り組み、エコファーマーに認定されている。総耕作面積は約500ヘクタール。1千ヘクタールを目標に規模拡大していくという。
 ブランド米作りを通じて、栽培技術や販売方法などを情報交換し、安定した農業経営の確立を目指している。(1)おいしい米を作りたい(2)安心して食べてもらいたい(3)田んぼに生き物を取り戻したい(4)次世代のために大切な土地を残したい――というのが共通の願いだ。

(9面)

 畑作物共済と園芸施設共済は、1979年の本格実施から30年を経過した。農家が手がける経営作物や栽培方法、販売方法など経営環境の変化に応じて、制度改正を繰り返し、補償の拡充が図られてきた。昨年は東北・北海道を中心とした低温・日照不足や、中四国・北九州を中心とする集中豪雨、台風18号など災害が多く、各地の農作物や園芸施設に大きな被害が発生。損害を補てんする畑作物共済や園芸施設共済の役割が注目された。NOSAI制度に対する農家の評価や将来への期待を聞いた。
 
園芸施設共済 熊本県/NOSAI熊本・八代支所
 NOSAI熊本(熊本県農業共済組合、岡田健士組合長)の八代支所管内は、園芸施設経営が多く、園芸施設共済の加入推進に力を入れている。2008年度の加入棟数は3953棟、加入率は79.4%。91年と99年の台風で大きな被害が出た。農家は「大きな損失だったが、加入していたので助かった」と話す。
 
000107_06.jpg 八代市は温暖な気候を生かし、トマトや花きなどの園芸作物の栽培が盛ん。八代海に面し、台風の接近時は強い風が吹く。
 「台風の常襲地帯なので園芸施設共済への加入は不可欠」と話すのは、八代支所のNOSAI部長を務める八代市水島町の鶴田親生〈ちかお〉さん(58)=ハウストマト1ヘクタール。
 担当地区の農家は大半がハウストマト経営で、加入率はほぼ100%。施設内作物も加入している人が多い。
 91年に発生した台風19号では、施設の倒壊や損傷など224棟が被災し、共済金は約5400万円にのぼった。99年の台風18号では、1110棟で倒壊やパイプの損傷などが発生。共済金の支払額は約8億5千万円だった。
 同町の千代永〈ちよなが〉博昭さん(50)=ハウストマト1.2ヘクタール=は、85年から施設内作物も含めて園芸施設共済に加入している。台風19号では、幸い施設自体の被害は軽微だったが、トマトの茎が折れるなどの被害が出た。
 千代永さんは「内作も加入していて助かった」と話す。一方で「投資額の大きいハウスほど被災時には再建が大変だ。現制度では、全棟を同じ補償割合で加入するが、棟ごとに補償割合を設定できるようにしてほしい」と提案する。
写真:農家にじかに制度を説明することで接点強化にもつながる
 
 
畑作物共済 北海道/十勝NOSAI
 畑作地帯が広がる北海道の十勝NOSAI(十勝農業共済組合、松井博幸組合長)管内では昨年、6~7月の天候不順で畑作物に大きな被害が発生した。NOSAIは、麦共済や畑作物共済のうち損害評価結果のまとまった作物について、12月末までに約93億円の共済金を支払い、農家の経営、生活を支えた。農業は自然環境を生かして営む産業のため、冷害や湿害、日照不足、干害、霜害――など災害の影響を受けやすい。農家からは「経営の安定、継続には、NOSAI加入が欠かせない」などの声があった。
 
000107_07.jpg 「昨年の夏は、お天道さんが出なかったなあ」と、豊頃町牛首別の武隈茂男さん(63)=畑作58ヘクタール、繁殖和牛60頭。6~7月の雨量は例年の2倍。バケツをひっくり返したような大雨もあった。圃場条件の良しあし、晴天日をとらえて排水対策を十分やれたかどうかで、明暗が分かれた。
 十勝NOSAIの損害評価会委員を務める武隈さんは、小豆、インゲンなどの損害評価に延べ10日間ほど出た。「自分の収穫作業があったが、大事な役回りだから仕方ない。圃場間の作柄の差、圃場内でも出来にむらがあり、見極めが大変だった」と振り返る。「近ごろは、干ばつかと思えば、雨ばかり......。12月になっても雪がない。温暖化に伴って気象変化が激しくなった」と肩を落す。
 武隈さんは「自然の影響を受ける農業経営では、NOSAIの9割補償が大きな安心になる」と強調する。畑作物共済は制度発足以来、補償割合の引き上げや対象作物の拡充などが行われてきた。「インゲン・小豆の半相殺・7割補償方式を、大豆やビート、バレイショのような出荷量方式(全相殺方式)にして補償割合を上げてほしい」と要望。政策作物については、農家への加入の義務付けや、ナガイモ・ダイコンなど特産品の制度化――などを提案している。
 
写真:「安心して生産に打ち込むにはNOSAIへの加入が欠かせない」という武隅茂男さん(左から2人目)と、息子の英和さん(左から3人目)

 「晴れ間」の筆者が全員集合――本紙くらし面(3面)「晴れ間」を昨年1年間担当した農家女性8人が、昨年末に東京に集まり、交流会を開いた。南欧料理のシェフと連携して畑の脇にレストランを設置するなど、工夫を凝らして都市農業に取り組む練馬区の「白石農園」を訪問。農業の魅力や苦労、20代の女性2人の結婚観など、おしゃべりは止まらなかった。
 
000107_08.jpg 晴れ間メンバーたちが訪れたのは、東京都練馬区大泉町にある南欧料理のレストラン「La(ら)毛利」。年間40種類の野菜やハーブを生産する白石農園のすぐ横にあり、農園産の食材を使った料理を提供している。料理を楽しみながら、夫と農園を運営する白石俊子さん(49)に話を聞いた。
 俊子 シェフの毛利彰伸さんは休みの日に牧場や港を訪ね、肉や魚も直接仕入れています。まさに「生産者の顔が見える食材」を使っていますよ。
 昭子 東京にこんなに広い農地があるなんて驚きました。
 俊子 1.3ヘクタールあります。ここは電車の駅から離れているなどの理由で農地が残ったんです。ご先祖さまに感謝しなくちゃ。
 昌子 うちの周りも、自分たちの田んぼ以外は住宅が建ちました。

(13面・特集)

 
写真:後列左から石坂昌子さん、川合久利子さん、佐藤昭子さん、上田知子さん、斎藤弘美さん
前列左から新地真実さん、広瀬真由美さん、岩藤佐知子さん、白石農園・白石俊子さん

 NOSAI団体は、昨年末までに2009年産水稲の共済金支払い(沖縄県の二期作を除く)を完了した。全国の水稲共済金は100億241万円となった(農業共済新聞調べ)。
 09年産水稲は、北海道では不稔(ふねん)もみや登熟不良の発生から作況指数が89になった。ほかの地域では96~101だった。各都道府県の共済金支払額は、北海道が73億3717万円、新潟県が1億8915万円、鹿児島県が1億7039万円――など。
 麦共済支払額は176億2755万円で、7月の低温などから登熟の抑制や穂発芽が多発した北海道が143億8146万円となった。年明け以降の降雨で湿害が起きた福岡県が8億5068万円と続いた。
 なお陸稲の共済金の全国計は378万円だった。

(6面・ニュース)

 最近、市販された農機具や実用化が間近い先端技術の中には、「どうなっているの?」といった疑問が生じるものがある。詳しい原理は知らなくても困らないが、あらましぐらいは知っておきたい。そんな最新技術の基本的な仕組みなどを紹介しよう。
 
000107_09.jpg  「リアルタイム土壌センシング装置」ってどんな装置?
  トラクターでけん引すると、土の水分やPH(ペーハー)、電気伝導度、有機物の量などがわかる。サブソイラーの刃部分(チゼル)に集光ファイバーやCCDカメラなど測定器がついている。計測深さは15~30センチ。既存のトラクターに取り付け可能だ。
 衛生利用測位システム(GPS)を搭載し、水分などをマス目状に示す圃場マップを作成できる。必要な個所だけ施肥を行うなどばらつきに応じた土壌管理が可能で、資材コスト抑制や環境負荷軽減に役立つ。開発した東京農工大学大学院の澁澤栄教授は「農家が経験で得る圃場情報を高い精度で後継者に渡すこともでき、農地保全につながる」と説明する。
  なぜ測れるの?
  チゼルで土中を掘り進みながら、平らにした底面に光を照射。土中の水分や有機物などに吸収されずに反射した光を測定する。物質ごとに吸収しやすい波長の光があり、その吸収度合いで水分などの物質がどの程度含まれているかわかる。光の吸収量が多いほど、土中に含まれる量が多い。
 測定値を出すには、事前に土壌サンプルを複数採取し、分析して統計的に推定できる検量線の作成が必要だ。農地の利用状況(水田か畑)と土質から検量線のタイプを選び、測定データを当てはめる。

(15面・営農技術)

 
写真:リアルタイム土壌センシング装置

000107_16.jpg 【岩手支局】昨年は、政治・経済が大きく変化した年でもあり、農政においても、2011年度から導入される「戸別所得補償制度」の円滑な実施に向け、来年度から「米戸別所得補償モデル事業」と「水田利活用自給力向上事業」が実施されることになり、農業を取り巻く環境も年々変化している。そこで岩手版では、県内農家の農政に対する期待や意見を2週にわたって紹介する。
 
写真:矢巾町で米を栽培する川村巧さん(55)は、「担い手の育成に力を注ぐべき」と話す

000107_11.jpg 【山形支局】「10年、20年先もこの土地で生き残っていくためには、個人の力では限界がある」――。米沢市李山(すももやま)の後藤仁さん(59)は、地域農業を守るためには法人化が必要と住民を説得、株式会社「田んぼ花の里李山」を立ち上げ、代表取締役として李山地域内の室沢・丹南地区の農業を牽引(けんいん)する。
 
写真:「地域はみんなで守らないと」と話す後藤さん。啓翁桜は出荷日に合わせて温度・湿度を管理し、開花を調節する

000107_12.jpg 【栃木支局】伝統加工食品として古くから食べられ、お節料理の一品としてもなじみの深いこんにゃく。本県ではコンニャクが盛んに栽培され、生産量は全国2位を誇る。鹿沼市上永野の大森基安さん(73)は、40年ほど前に地域としては初めてコンニャクを導入。試行錯誤の末、圃場に小麦を播種する独自の栽培法を確立し、高品質なコンニャクの安定生産を実現している。
 
写真:「今年も品質の高いコンニャク玉が収穫できました」と話す大森さんと妻のマツさん(72)

000107_13.jpg 【新潟支局】県内では毎年、学卒、Uターン、新規参入、法人への就職などで約180人が新規就農している。農業従事者の高齢化、米の需要減少や経済情勢の影響から、米を含めた農産物価格の下落による収入の減少など、農業生産現場の実情は厳しい。そのような中、県内の各地域で夢を持って農業に取り組む若手農業者4人にスポットを当て、農業への思いや新たな挑戦、経営理念などを紹介する。
 
写真:新潟市南区で水稲約3ヘクタール、果樹(ブドウ・ナシ・モモ)約3ヘクタールを栽培す阿部健太郎さん(23)は「ル・レクチエの販売も頑張りたい」と話す

000107_14.jpg 【千葉支局】「ちばエコ農業」は、環境負荷の低減と持続可能な農業の推進を図るため千葉県が2002年に創設し、普及拡大に努めている。統一された生産方法で5ヘクタール以上栽培し、管理体制が整備された産地を指定する「産地指定制度」と「農産物認証制度」の2種類から成り立っている。新年号と1月4週号の2回にわたり、産地指定を受け「ちばエコ農産物」を生産する各地の取り組みを紹介する。
 
写真:農事組合法人房総食料センターの宝利武専務理事。「センターでは農家ごとに肥料設計を出している」と話す

000107_15.jpg 【鹿児島支局】鹿児島県内で新規就農した人の状況を見ると、2001年度以降で300人を超えている。08年度の新規就農者数は314人。そのうち学校などの新卒者は84人、Uターン就農者は183人、Iターンなどの新規参入者は47人だった。県経営技術課によると03年から07年までに新規就農した1656人のうち、09年3月時点で元気に農業を続けているのは、94%に当たる1562人という。「農」に魅せられて就農した女性にスポットを当て、家族や農業への思いを聞いた。
 
写真:水迫美穂さん(23歳、指宿市)は「課題は、畑の四隅を耕す時のトラクター操作ですね」と話す

 ▼新たな年の訪れを喜びたいが、不況の影響で農畜産物の消費は冷え、価格も低迷して農家経営を圧迫している。消費低迷と物価、所得の下げが続くデフレスパイラルと指摘され、昭和初期の大恐慌に例える報道もある。
 ▼当時は生糸輸出の落ち込みと農産物価格の低下に加え、冷害など凶作が続き、娘の身売りなど農村の疲弊が社会問題化した。小説「乳と蜜の流るゝ郷」は、そうした昭和初期の福島県会津地方の寒村を舞台に、幾多の困難を乗り越え、協同組合運動を通じて村再建に尽力する青年の姿を描く。貧民救済とキリスト教布教に献身し、農民運動や協同組合運動を先導した賀川豊彦が執筆した。
 ▼「乳と蜜の流れる地」は、旧約聖書の出エジプト記などの表現で、ユダヤ人に神が約束した美しく豊かな理想郷を指す。小説は、月刊誌「家の光」で1934年1月から2年間連載され、評判を呼んだ。賀川が救済活動のために神戸の貧民街に居住して100年を迎えたのを機に家の光協会が復刻版を刊行した。
 ▼繭の安値と干ばつなどで疲弊する70年以上前の農村の様子は、農畜産物価格の低迷などに悩む昨今の状況とも重なる。脱却に向け主人公が情熱を傾けたのは、有畜複合を基本とした「立体農業」の普及だ。青年たちは、山でドングリなどを集め、鶏やヤギ、ウサギなど家畜の餌に利用。徐々に成果が表れ、誤解や対立も消えて結末を迎える。
 ▼農山漁村活性化方策の一つに、林地残材や畜産堆肥、食品残さなど未利用資源の活用が掲げられている。現代版立体農業の実現には、排出側と利用側が連携し、地域内で低コストに流通する仕組みづくりが課題だ。
 ▼賀川は「乳と蜜の流れる地」は、自分たちの手でつくるものと訴えている。景観や伝統、食文化なども含めれば埋もれた資源はさらに多い。地域の知恵と力の結集が道を開く。

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