農業共済新聞 全国農業共済協会(NOSAI全国)
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今週のヘッドライン: 2010年2月アーカイブ

 手間をかけて育てた農作物が、一夜にして全滅――。そんな野生鳥獣の被害が、中山間地域を中心に毎年のように繰り返される。集落に野生動物を引き付けている現状を「餌付けが成功している状態」と指摘し、知らず知らずのうちに行っている餌付けを断ち切り、守りやすい圃場づくりを進める研究・普及が進められている。農研機構・中央農業研究センターと農林水産省は2月9日、都内で「新しい時代の鳥獣害対策」と題して、「営農管理的アプローチによる鳥獣害防止技術の開発成果発表会」を開催。併せて「2009年度鳥獣被害対策優良活動表彰」を行った。
 
100224_01.jpg 野生鳥獣の農作物被害額は08年は199億円。毎年約200億円の被害が発生し、各地で鳥獣被害対策の取り組み強化に努めていても、減少に転じない。
 鳥獣被害に強い営農管理手法を研究する近畿中国四国農業研究センターの井上雅央鳥獣害研究チーム長は、「集落内の『餌付け』を断ち切ろう」と呼びかける。
 稲刈り後のヒコバエや、野菜畑に残る収穫残渣〈ざんさ〉、放任果樹園の果実は格好の餌だ。秋口に草刈りした水田畦畔〈けいはん〉は冬に青々した茎葉を伸ばす。イノシシ、シカなど鳥獣がこれらを食べても、農家は「被害じゃない」から追い払わない。すると餌をたらふく食えると教え、人慣れを進めることになる。餌付けした鳥獣から出荷販売・自家消費する米や野菜、果樹だけ守ろうとしても被害は止まらない。
100224_02.jpg 井上チーム長は「集落に出没する鳥獣は何を食べていても追い払う必要がある。被害農家、無被害農家も一斉に意識を切り替えることが必要だ」と指摘する。
 現在の田畑、果樹園は基本的に鳥獣の侵入に対して無防備だ。従来の〈1〉山際の草むらや藪〈やぶ〉の刈り払い〈2〉柵の補修管理の徹底――などに加えて、〈3〉コンパクトで守りやすい圃場に変えていくことが必要とアドバイスする。
 
 ▽果樹・低面ネット栽培(島根県農業技術センターなど)=作業者の腰の高さに棚を作ってネットを張り、ネット面に枝を誘引して栽培する方法。圃場に空間ができ、鳥獣類の侵入防止柵の設置や管理が容易になる。また、島根県では最後の下草刈りを10月下旬以降に行うと青草の量は少なく、餌場になりにくい。
 
 ▽イノシシの捕獲個体の処理ケージ(栃木県県民の森など)=箱わなで捕獲したイノシシを移動し、処理しやすくする小型ケージを開発した。イノシシの大きさ別に2種類あり、小型個体用はかご式、中大型個体用はけん引式。箱わなに小型ケージを取り付け、捕らえたイノシシを追い込む。
 
 ※研究成果は農研機構・中央農業総合研究センターのホームページで参照可能(http://narc.naro.affrc.go.jp/kouchi/chougai/index.html

(1面)

 
〈写真上:柿を低面ネット栽培用に切り戻した農園〉
〈写真右下:中大型個体用のケージ。車輪付きでけん引できる〉

 中央酪農会議(中酪)は12日の理事会で、2010年度の生乳計画生産対策を決めた。全国の計画生産目標数量は、09年度受託量見込み対比1.3%減の749万7千トン。うち、北海道は前年並みの382万9千トン、都府県は2.7%減の366万9千トンとした。3年ぶりの減産型となる。生乳需給が大幅な緩和状態にある中で、生産基盤の維持・強化のため、生産者自らが輸入調整品との置き換えなどにより新たな需要先を創出する「選択的拡大生産数量」の仕組みなどを導入し、急激な減産の回避を図った。需給の安定に向けて、牛乳・乳製品の需要拡大策の強化が急務となる。酪農をめぐる状況を話し合った。
 
  生乳計画生産の基となる日本酪農乳業協会(Jミルク)の需給見通しでは、10年度の生乳供給量は、チーズ向けを除くと09年度比5.6%減。チーズ向けを含めても4.5%減となる見込み。単年度の需給均衡を図るには「5%程度の大幅な減産は避けられない」(中酪)状況だ。
  急激な減産は、生産意欲の低下を招く。離農の増加も懸念される。最近は乳製品の国際市況が変動し、一昨年バター不足が起きたように需給は流動的な要素が多い。国際市況の変動で、需給が逼迫(ひっぱく)して急に増産を求められても、生産現場では対応が困難だ。
  10年度の生乳計画生産対策は、3段階の仕組みを導入して減産幅を09年度受託量見込み対比1.3%減にまで圧縮した。需要拡大の取り組み強化が前提で、中酪は「10年度の乳製品在庫量は09年度以上に増加させない」と説明する。
  Jミルクの生乳需要予測を踏まえ、基礎部分の「販売基準数量」は09年度受託比(チーズ向けを除く)で94.5%とした。指定団体への配分枠は、新規就農枠(2500トン)を除いて675万9千トンに設定。北海道は09年度受託乳量(実績)比94.1%の319万3千トン、都府県は94.8%の356万6千トンが上限となる。
  需要拡大を前提とする「特別調整乳数量」と「選択的拡大生産数量」の合計は73万8千トンとし、北海道は63万6千トン、都府県は10万2千トンを仮配分した。

(2面・総合)

 赤松広隆農相は17日、都内で開かれたシンポジウムで基調講演を行った。新たな「食料・農業・農村基本計画」の策定に向け、食料自給率の数値目標として、10年後に50%、20年後に60%を掲げる考えを示した。
 世界の食料はいつでも輸入できる状況ではなく、2008年に穀物価格が2倍、3倍に高騰した際、22~23カ国の輸出国が輸出制限を行った経緯を説明。世界の農地の拡大が望めない中、今後の世界人口の増加を補うだけの食料増産は難しく、日本の自給率向上の必要性に理解を求めた。
 一方、先進諸国は所得補償を実施して食料自給率を向上させているとし、アメリカが128%、フランスが122%、イギリスが70%――などと紹介した。赤松農相は「少なくとも日本の国民が食べる食料の半分以上を自国で賄えるようにしたい」と述べた。

(2面・総合)

 NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)は17日、東京都千代田区九段北のアルカディア市ヶ谷で「第26回農業共済新聞全国大会」を開いた。東洋大学名誉教授で日本農業研究所の服部信司研究員が「新政権による戸別所得補償制度がもたらすもの」をテーマに講演した。概要を紹介する。
 
100224_03.jpg 戸別所得補償モデル対策では、生産数量目標に即して米を生産する販売農家に、標準的な生産費と販売価格の差額を全国一律の定額で補てんする。販売農家は、水稲共済の加入を基本とし、約180万戸を対象とした。
 政府は、来年度の米戸別所得補償モデル事業に3371億円を計上したが、これは08年産の米の所得安定対策と比べると4.7倍の額になる。
 モデル事業で補償される標準的な生産費は、経営費に家族労働費の8割を加えた額で、全算入生産費の81%に相当する。10アール当たり1万5千円を支払う定額部分は、60キロ当たりにすると1万3700円の標準的生産費を保証するもの。補償が十分でなかった従来の稲作経営安定対策が抱えていた問題は解消されるのではないか。そのほか、米価下落に備えた変動部分もあり、農業所得の減少に歯止めをかけ、増大に転換しうる政策と期待している。
 経営規模が大きくなるほど生産費は低下するので、全国平均で支払う定額部分は、規模拡大を促す刺激にもなるだろう。
 ただ、労働費は実際に働いた労働への対価であり、8割ではなく10割の補償を検討すべきだ。定額部分の単価が大きくなるほど需給調整への参加メリットが大きくなる。

(2面・総合)

 中山間地域を中心に野生鳥獣による農作物被害が深刻化している。NOSAI団体では、侵入防止柵や箱わなの設置など農家が取り組む鳥獣害対策を支援しようと、地域の要望に即したさまざまなリスクマネジメント(RM)支援活動を展開。さらに、行政や農林漁業団体で組織する鳥獣害対策協議会にも参加し、より効果的な損害防止に努めている。
 
 農林水産省調査によると、2008年度に鳥獣害対策に取り組んだNOSAIの組合等数は、「侵入防止柵・電気柵の設置や助成」が92組合等(対前年度比16組合等の増)で、「おりなど捕獲施設の設置や助成」が37組合等(4組合等の減)、「有害鳥獣害対策協議会や猟友会活動への参加・助成」が78組合等(7組合等の増)「狩猟免許取得・免許更新の助成」が11組合等(1組合等の増)――など。「侵入防止柵、電気柵の設置・助成」が最も多く、調査を始めた02年度から年々増加している。
 野生動物の捕獲には免許が必要で、狩猟免許を取得するNOSAI職員が増えている。わな猟免許を持つNOSAI職員数は09年4月現在、190人で前年より26人増加。猟銃免許は第1種(装薬銃・空気銃)・2種(空気銃)を合わせて40人(2人の増)だ。
 効果的な鳥獣害対策には地域ぐるみの面的な対策が必要とされる。NOSAIの組合等の「鳥獣被害対策協議会への参加」は106組合(52%)で、「今後参加予定」が23組合(11%)。協議会に参加し、地域の被害防止計画に沿って防護柵の設置などを行う場合、農林水産省の「鳥獣被害防止総合対策事業」(補助率2分の1以内)を使うことができ、19組合(9%)が同事業の交付金を活用している。

(5面・NOSAI)

 全国麦作共励会(主催=JA全中、全国米麦改良協会)の2009年度中央表彰式が18日、東京都千代田区で開かれた。本年度は農家の部58点と集団の部56点が参加し、6農家・5団体が表彰を受けた。その中から全国米麦改良協会長賞を受賞した農家の部・斉田藤尚さん(福岡県)と集団の部・有限会社葛原アグリ(大分県)の事例を紹介する。
 
 全国米麦改良協会長賞農家の部 斉田藤尚さん〈福岡県筑前町東小田〉
100224_04.jpg 地域での水稲―麦―大豆のブロックローテーションに参加し、作業の効率化を考え圃場は麦種ごとに団地化している。
 小麦は「チクゴイズミ」(6.4ヘクタール)、ビール大麦は「ほうしゅん」(7.3ヘクタール)を作付ける。経営安定を図るため小麦の5割は採種圃場にした。
 全圃場で本暗きょを施工し、弾丸暗きょは毎年実施。湿田では3メートル間隔で設置するなど排水対策を徹底する。10アール当たり収量は、小麦509キロ(県平均348キロ)、ビール大麦368キロ(同303キロ)を達成。全量1等の麦づくりを実現する。
 畝立て栽培を取り入れ、出芽や初期生育の安定に努める。播種は1畝10条で、遅れ穂を減らし品質向上を図るため、畝の中央に一輪管理機で土入れを行う。自家配合した堆肥を1年おきに施用、土壌分析に基づく土壌改良資材の散布で土づくりを実践する。
写真:斉田さん
 
 
 
 
 
 全国米麦改良協会長賞集団の部 有限会社葛原アグリ〈大分県宇佐市葛原〉
100224_05.jpg シーディングロータリーを利用した高速畝立て同時播種・施肥や土入れ・踏圧で省力化を図る。圃場にはシートパイプ暗きょを計画的に施工し額縁排水を施した結果、湿害での生育障害を回避できた。10アール当たり収量は、428キロ(県平均268キロ)で、4年連続して全量1等の実績を残す。優良種子生産地の指定を受けていて、採種用は9.7ヘクタールに作付ける。
 播種後の初期除草剤を省いて早めの中耕・土入れ・踏圧を行い、1回の除草剤散布で雑草を抑制するほか、赤カビ病の適期防除でコスト低減に努める。
 二条大麦は雨に遭うと醸造適正が低下するため、適期収穫を行う。30アール圃場を集積した作業の効率化と大型機械化一貫体系の整備で、低コストと省力化を実現した。
写真:吉用代表

(11面・営農技術)

100224_06.jpg 【山形支局】「おいしいリンゴジュースを作るには、おいしいリンゴを作ることから」と話す村山市大槇の永澤克恵さん(35)は、果樹を栽培しながら、リンゴジュースの加工と販売に挑戦している。さまざまな品種のリンゴを使い、ニンジンや山ブドウを加えるなどアイデア豊富に加工し、消費者に直接販売して好評だ。
 永澤さんは、リンゴ約2ヘクタールとサクランボ約1ヘクタールなどを栽培する。ジュース作りは、今シーズン約20トンを加工し、全7種類を販売している。
 ジュースはすべて果汁100%。澄んだ色が特徴的で、さっぱりした飲み口の中にも果汁のうま味がある。「サンふじ」や「陽光」は、糖度14.6度と甘い。「4―23」(品種未登録)は淡いピンク色、「山ブドウミックス」は赤紫色と見た目も鮮やかだ。永澤さんは「品種によって風味は違う。そのおいしさの違いを味わってほしい」と話す。
 約40種のリンゴを栽培し、両親と妻の4人で作業を分担。早生から晩生までを植栽し作業の分散を図り、シーズンを通して栽培管理をしやすくしている。
 消費者との対面販売を大事にしている永澤さん。試飲をしてもらい、消費者の感想を直接聞くことを大事にしている。「お客さんのダイレクトな反応が楽しみ。信頼関係を築いていきたい」と話す。
 
写真:7種類のリンゴジュース(1本1リットル入り600円)を前にジュース作りへの思いを話す永澤さん

100224_07.jpg 【新潟支局】佐渡市沢根の本間健一さん(63)は、荒れ地となった畑地1.3ヘクタールで野ブドウの有機栽培に取り組み、その果実から作った「野ぶどう酒」が人気を呼んでいる。
 10年ほど前に地元の4人のメンバーで栽培を始めた。「自然観察を繰り返し、挿し木や植え込みなど試行錯誤の連続でした」と本間さん。徐々に栽培方法を確立していった。
 野ブドウの生産量が1トンを超え、製薬会社、販売会社、薬草会と商品化の契約が成立し、苦味のある野ブドウから飲みやすい野ぶどう酒が完成した。昨年秋に収穫した実から3千本が製造され埼玉、千葉、新潟の直売所と通販で販売している。
 農薬や化学肥料は一切使用せず、カキ殻、鶏ふんでの土づくりから取り組み、安全・安心な有機栽培を心がけてきた。本間さんは「生活習慣病の悩みを解消できる補助薬味酒として、多くの人に愛用いただけるよう呼びかけていきたい」と話す。
 
写真:野ぶどう酒を手にする本間さん。健康を守る薬味酒として1本(720ミリリットル)2980円で販売

100224_08.jpg 【山口支局】「岩国市の吉原宏昌さん(68)は、トラック荷台用シート支持具とトラック荷台カバー装置を考案した。
 2005年10月に実用新案に登録した吉原さん。「トラックの荷台に乗せた荷物を、風や雨から保護するシートを簡単に収納し設置できればと製作したんです」と話す。
 収納器具は、荷台前部に手動でシートを巻き取って収める仕組み。急に雨が降った場合、荷台にシートをかけるのに2分程度だ。また、シートを収納するのにも1分程度の時間があればできるため、とても楽になったという。
 値段は1万9800円で、取り付け費は2千~4千円。「ふと考えついたことが、商品になることもあります。これからも不便なことを見つけては、便利にしていきたい」と吉原さんは話している。 
 
写真:荷台のシートを巻き取る吉原さん

100224_09.jpg 【香川支局】「今年は注文が多く、2月末で出荷が終わりそう」と話す藤井武浩さん(49歳、高松市中間町)は、5年前から観賞用の鉢植えイチゴ栽培に取り組んでいる。
 本年度は6千鉢を栽培し、12月中旬から高松市をはじめ、岡山や大阪の市場へ出荷。消費者には、生育過程を楽しみながら食べられる点が受けているという。
 苗は、炭疽(たんそ)病などの病気を見込んで多めに育てる。この余った苗の有効活用と、年間を通じたハウスの稼働を考え、観賞用の栽培を始めた。
 藤井さんは「週1回の出荷なので実が熟れすぎてしまうのが難点ですが、年間を通じて作業ができるのはいいですね」と話す。
 
写真:観賞用の鉢植えイチゴを手に藤井さん

100224_10.jpg 【鳥取支局】野菜ソムリエを4年前に取得した八頭町茂田の西田悦子さん(62歳、ナシ30アール・水稲30アール)は、野菜や果物のおいしさや楽しさを伝えることで、農産物の消費拡大を図っている。
 「地元産農産物を見直し、その魅力を引き出したい」と話す西田さん。月に1回程度、野菜や果実などを材料にしたレシピを紹介する「あいのみ通信」を発行し、消費者とのふれあいを深めている。
 また、JA鳥取いなば八東柿生産部と2年間、大阪市場に出向き、「西条柿」を材料に使用したレシピなどで特産品をアピール。西田さんは「無農薬野菜を、一年を通して直売所にレシピと一緒に毎週出荷したい」と話している。
 
写真:独自のレシピを紹介する西田さん

100224_11.jpg 【長崎支局】「骨董(こっとう)や自然にあるものを利用しながら、自分が癒やされる空間をつくっています」と話す佐世保市の川島敏憲さん(63)は、掘りごたつの足元に置いて使用する竹製の湯たんぽを製作した。
 以前から、まきストーブなども自作していた川島さん。炭を入れて暖をとるように掘りごたつを作った際、炭が少なかったこともあり、知人からヒントを得て「竹湯たんぽ」を完成させた。
 竹湯たんぽには、約80センチの竹筒を利用。節と節の間に開けた穴から湯を注ぎ、栓をして使う。こたつの中で動かないよう縦半分に切った竹を2列に敷き、そのくぼみに置く。ほどよい温かさで、1回の給湯で2~3時間はもつという。川島さんは「仲間が集まるととても喜んでくれて、話も盛り上がりますよ」と話す。
 
写真:「和家具などの骨董などを利用しています。仲間も喜んでくれます」と話す川島さん

100224_12.jpg 【岐阜支局】地域でみそが手に入りにくかった時代に、みその代わりとして親しまれていた「玉みそ」を、関市下之保の丹羽益子さん(67)が造り人気となっている。
 玉みそは、かまどでじっくり蒸した大豆をつぶし、90グラムほどの玉になるように丸めて造る。この玉にひもを通し、1月上旬から3月下旬まで倉庫につるして乾かす。乾いたらしょうゆと米こうじで漬け8カ月ほど寝かせて完成だ。
 砕いてみそ汁にしたり、刻んだネギやかつお節と一緒にご飯にのせて食べる。丹羽さんは「皆さんに懐かしんで食べていただいています。若い人たちの間でも、おつまみとして人気が出ているようです」と話す。
 
写真:玉みそをつるす丹羽さん

 ▼脚気が結核と並ぶ二大国民病と言われた時代がある。特に富国強兵を進めた明治から大正にかけて陸海軍の兵士に多発し、死亡率も高かった。国内の患者数は毎年1万~2万人で推移し、医学上の大問題だった。
 ▼ビタミンB1の欠乏症と確定したのは大正時代後半の1920年代のこと。しかし、戦争による食料事情の悪化もあり、患者数はなかなか減らなかった。国内の患者数が1千人を割り、発生の終息をみたのは50年代の後半になってからだ。
 ▼原因が十分に分からない明治期に、脚気の予防に尽力したのは、海軍軍医を務めた高木兼寬だ。その生涯は吉村昭の小説「白い航跡」に詳しい。欧米にない日本特有の病気であることから、食事を原因とみて研究を重ねた。米中心で炭水化物が多い兵士の食事を、パンや肉類などタンパク質の多い洋食に切り替えるよう訴えた。特に麦の摂取を重視した。
 ▼練習艦での実証試験などを経て、洋食の導入が進むにつれ、多い時は乗組兵士の3分の1を占めた患者数はほぼ皆無となった。ビタミンB1は、米ぬかに多く、豚肉やウナギ、大豆などにも含まれる。現代の知識からは正解とは言えないものの、副食の摂取を増やす提案が功を奏した。ただ、パン食は敬遠され、麦を混ぜたご飯に代えたが、白米を好む兵士には不評だったという。
 ▼脚気の原因をめぐっては、細菌感染説を主張した森林太郎(鴎外)をはじめとする陸軍との対立もよく知られている。臨床主体の英国医学を取り入れた海軍に対し、陸軍は細菌学など基礎医学が発展したドイツ医学を導入したので対抗意識が強かった。
 ▼原因も予防法も分かり、過去の病気になったはずの脚気だが、若者を中心に発症が増えている。清涼飲料水や即席めんなどインスタント食品に偏った食生活のため、カロリーは十分でもビタミンなどの摂取が不足しがちだ。情報も食材も豊富なのに肝心の食生活は貧しくなっている。

 稲作を中心に経営を多角化している、福井市黒丸町の株式会社「アジチファーム」(義元孝司代表=58歳)では、米粉用や稲発酵粗飼料(WCS)など新規需要米に力を入れる。耕作面積は約70ヘクタールで、パートを含めた6人が、栽培から米粉やパンなどの加工、販売までを一貫して行う。昨年12月には、地元の大学や乳業メーカーと連携し、「ミルク米パン」を開発。販路を広げながら新規需要米の生産をさらに伸ばそうと工夫を凝らしている。
 
100218_01.jpg アジチファームは、主食用、もち米、米粉用、WCS、飼料用米など販路の異なる水稲48ヘクタールを栽培。地元農家向けに、水稲苗の販売も手掛ける。「米というキーワードで1本切れても何とかなる『タコ足経営』が農業には大切だ」と義元さんは話す。
 用途ごとに品種を組み合わせ、収穫時期を分散する。主食用は「コシヒカリ」と「ハナエチゼン」を栽培し、WCSは「日本晴」やハナエチゼンのほか、遅植えのコシヒカリも使う。米粉用はすべてコシヒカリだ。
 米粉用米は自社で製粉し、ほとんどをパンやパン生地に加工して販売する。義元さんは「消費者はコシヒカリにブランドイメージを持っている。米粉パンを売りやすい」と説明。作業の状況で米粉用米は刈り遅れもあるが、「製粉するため、多少割れても品質に影響しない」と話している。
 現在は、主食用米は全量をJA出荷するが、米を炊いて売りたいと、来年にはレストランを設立する予定だ。先進事例の視察を重ねる義元さんは「レストランが提供する農家の暮らしに、消費者が価値を見いだしている。地方の活性化につながる」と話す。
100218_02.jpg

(1面)

 
〈写真左:「毎月の収入と年間の労働配分ができないと雇用は難しい。配送が必要なWCSや農産物加工は最適だ」と義元さん〉
〈写真右下:名津井さんが設立した直売所「ふぁーむさるーと」でも米パン倶楽部の米粉パンを扱う〉

 稲わらや間伐材、規格外農産物などの未利用資源を有効活用し、地球温暖化防止や農山漁村の活性化につなげようと、政府は、バイオマス(生物由来資源)活用推進基本計画の策定に向けた検討を開始した。昨年6月に成立したバイオマス活用推進基本法のもと、2030年までの長期目標を示し、計画期間とする14年までの5年間で達成を目指す数値目標や具体的な施策を盛り込む。新たに設置した専門家会議の初会合では、バイオマスの活用状況が報告され、製造コストの低減、原材料の安定供給など活用推進に向けた課題が指摘された。基本計画は今春にも策定する。バイオマス推進をめぐる状況を話し合った。
 
  専門家会議で、農林水産省は基本計画の"たたき台"を提示した。温暖化防止や農山漁村の活性化、産業の発展と国際競争力の強化などに加え、推進上の基本視点には、エネルギー供給源の多様化、食料の安定供給の確保、環境保全への配慮など11項目を挙げた。
  政府は06年3月にバイオマス・ニッポン総合戦略を閣議決定。30年までの見据えた国の方針で、国産バイオ燃料利用促進を図り、11年度に単年度で5万キロリットル、30年には600万キロリットル生産するとの目標を掲げている。地域が連携して国産バイオ燃料の生産と利用を図るバイオマスタウン構築の促進なども位置づけている。今春にも策定する基本計画は取り組みを加速化させるのがねらいだ。
  国内需要に占める国産バイオエタノールの割合は約3%と、欧州連合(EU)60%)や米国(99%)などと比べて非常に少ない。ただ、実用化に向けたモデル実証事業を活用し、昨年10月から北海道などで規格外の小麦やテンサイなどを使った国産バイオエタノールの製造施設が稼働を始めた。09年度中に1万3千キロリットル程度生産できる見込み。
  地域に即した未利用資源の活用を進めるバイオマスタウン構想は、10年1月現在で224地区225市町村が策定。間伐材や家畜排せつ物、稲わらなど地域の事情に即した取り組みが進んでいる。総合戦略では10年中に300地区での策定を目標達成に向けた。農林水産省は、さらに構想実現に向けた支援や取り組みの推進を図る方針だ。

(2面・総合)

 環境保全型農業の技術交流を図ろうと「エコファーマーブロック研究会」(主催=日本土壌協会、全国エコファーマーネットワーク化推進準備委員会)の関東地区研究会が、4日、茨城県つくば市で開かれた。エコファーマーや行政担当者、研究者など約160人が参加。事例発表のほか、秋に設立する全国組織の説明も行われた。
 
100218_03.jpg 部員131人全員がエコファーマー認定を受けた茨城県の「JA北つくば結城市園芸部会レタス部」は、オオタバコガやハスモンヨトウなどチョウ目害虫類の防除に、行政と連携して取り組む事例を報告した。
 フェロモントラップで害虫の発生消長を把握。秋作で害虫発生がピークを迎える前に農家に一斉防除を呼びかけるなど、効率的な防除で農薬の使用を減らしている。
 群馬県吉岡町のトマト農家、栗田文明さんは土壌病害対策に微生物資材を活用する。圃場は有用微生物が増殖しやすい水分状態に保ち、米ぬかなど微生物が好むえさを施用。土壌中の微生物の密度を保ち、資材コストの低減につなげている。
 「土壌が健全だと樹も丈夫になる」と栗田さん。土壌消毒だけでなく、接ぎ木もしていないと報告した。

(2面・総合)

 乳用種ヤギ170頭を飼育する沖縄県中城〈なかぐすく〉村の株式会社「はごろも牧場」は、2002年からヤギミルクを製造・販売している。社長の新城将秀さん(67)は「ヤギは沖縄文化の一つ。ヤギミルクを地域の新たな産業に育てていきたい」と話す。ヤギミルクを生協やスーパーに出荷するほか、飲むヨーグルトやチーズなど、乳製品の開発にも積極的に取り組んでいる。
 
100218_04.jpg サトウキビ畑に囲まれた200坪の畜舎では、「メェ~メェ~」と鳴き声が高低入り交じって聞こえる。子ヤギを抱いた新城さんがほ乳瓶を使い授乳していた。「子ヤギが慣れるまでが大変」と話す。
 はごろも牧場は新城さん夫妻と娘3人の家族経営で、新城さんは飼育を担当。搾乳はヤギ専用のミルカーを使う。母ヤギ70頭で、1日の総搾乳量は多い時で約100キロだ。
 搾乳後のミルクは冷蔵し、週に2回、女性が中心に殺菌と瓶詰め、加工を行う。65度・30分以上で低温殺菌したヤギミルクは、生協や地元スーパー、那覇空港の土産店などに出荷・販売する。ホームページでも注文を受け付ける。価格は「やぎみるく」(150ミリリットル入り)と「のむヨーグルト・プレーン」と「同・オリゴ糖」(同)が250円、チーズ「ピンザブラン」(100グラム)が1500円などだ。

(3面・暮らし)

写真:子ヤギにミルクを与える新城社長。「うちのヤギは人なつっこいよ

 有機農産物のJAS規格(日本農林規格)がスタートして10年になるが、認定件数は伸び悩み、消費者の認知度も低いのが現状だ。農林水産省は、2010年度に、見直し時期を迎えた農産物と畜産物、加工食品、飼料の4規格の内容を検討する。9日には意見交換会を開き、生産者や消費者、関係業者が課題や改善点を議論。認定に必要なコスト負担が高いなどの問題が指摘された。
 
100218_05.jpg 09年5月現在、国内の有機JAS認定事業者は3925人(うち農家3821人)。近年は4千人前後で推移し、横ばい状態だ。有機農産物の08年度の生産量は5万6000トンで、国内生産量の0.18%。品目別では野菜が一番多く3万6000トン、次いで米1万1000トン、果樹2000トンなどとなっている。
 農林水産省消費・安全局は「米国やヨーロッパなどに比べ、有機農畜産物の生産が増えていない。有機食品の市場規模は、約150億円と非常に小さい」(表示・規格課)としている。
 有機農産物を販売するクレヨンハウスの落合恵子代表は「店舗で消費者に有機JAS制度の内容を説明するのにとても時間がかかる。もっと国がPRすべき」と発言した。
 飲食店を展開する傍ら、グループ企業で有機農業に取り組むワタミの渡邉美樹会長は「コストに見合った価格で売れないから普及しない。有機農業のビジネスモデルの確立が必要」と強調。「認定費用などの必要経費を行政で支援してほしい」と訴えた。
 宮城県の水稲農家、長沼太一さん=水稲10ヘクタール=は「認定申請が煩雑で書類の作成に手間がかかる。登録認定機関によっては認定基準や登録費用が異なり、現場で混乱が生じている」と指摘する。

(9面・流通)

写真:意見交換会の会場には70人が参加した

 イチゴ栽培に取り組む静岡県菊川市三沢の三倉直己さん(57)は、育苗用連結ポット「Dトレー」を使った高設栽培システムを考案した。苗は、栽培ベンチに置いたトレーからランナーを伸ばして取るため、定植作業が不要で、初期投資の抑制と省力化が図れるのが特長だ。「作業量は4分の1程度に軽減した」という。また、従来の養液栽培に比べて1.5倍以上の密植が可能で、10アール当たりの収量は6トン以上を実現している。
 
100218_06.jpg 三倉さんは、5棟・1400坪のハウスでイチゴの超促成と促成栽培に取り組む。労力は、家族3人とパート5人。品種は「紅ほっぺ」を作付ける。
 Dトレーを使った栽培は、促成イチゴの一部(200坪)で行う。トレーは12センチ間隔にD型ポットを連結したもの(5×2列)で、ポット1個の容積は250ミリリットルと小さく、培地にはロックウール粒状綿を使う。
 育苗は、栽培期間中に果実をよくつける株を親株として5%ほど確保する。収穫後はランナーを伸ばし、別のポットで子株を受けていく。三倉さんは「1株から10本とるのに1カ月はかからない」と話す。
 苗はDトレーに入れたまま栽培ベンチに置く。不良果の発生が少ないなどの理由で少量多頻度給液を行い、チューブを使って1日10回、1株に1回当たり20~40㏄が目安だ。株は持ち上げて、常に根の状態を観察できる。
 収穫期間は12月初旬から6月中旬まで。果実は整形果率が高く、2番果以降も2L、3Lが多いという。
 イチゴ定植作業の省力化を図りたいと考えていた三倉さんは、農業視察先のオランダでDトレーを見つけた。Dトレーを使った栽培システムを考案、特許を取得している。
 「培地の量が少なくイチゴにストレスがかかっているため、適正な生育コントロールが必要」と三倉さん。「環境制御さえ正確に行えば、高糖度で締まった果実が収穫できる」と話す。

(11面・営農技術)

写真:「この栽培法では不良果の割合が少ない」と話す三倉さん

 【新潟支局】「これからは、作業の手伝いだけでなく、自分の手で、一から野菜を作り、出荷・販売していきたい」と決意を話す石本崇さん(29)は、現在の研修先である新潟市秋葉区の農業法人「白銀カルチャー」(土田誠代表)の社員になることが正式に決まった。4月から、若手農業者として第一歩を踏み出す。
 
100218_a.jpg 石本さんは、新潟市江南区の出身。東京農工大学を卒業後、山形大学農学部の大学院に進んだが、その後中退して農林水産省に入省し、統計情報業務を担当していた。
 「実家が農業を営んでいたこともあり、地元で農業をやりたいと考えていたとき、アグレンジャーの募集を知りました」と石本さん。採用が決まり、同省を退職し、2009年5月から同市の農業モニター「アグレンジャー」として活動してきた。
 アグレンジャーとは、農業に意欲的な若者の就農を支援しようと、同市が県外在住者を対象に09年度から始めた新規農業者研修制度だ。1年目は石本さんを含め3人が採用された。
 任務は農業法人で農業を体験し、農業の魅力や楽しさ、体で感じたことなどを、ブログなどを通じて全国に発信すること。また、研修後は、担い手として就農に結びつけるねらいもある。
 「3月末でアグレンジャーとしてのブログは終わりますが、4月からは個人的にブログを続け、地域農業の素晴らしさを発信していきたいです。また、農機具の免許を取得し会社の中心となって作業をしていきたい」と石本さんは意欲を見せる。
 
写真:ブログを更新する石本さん

100218_b.jpg 【埼玉支局】ときがわ町の互笑会(ごしょうかい)(村田憲一郎会長=70歳・会員8人)では、2008年から北米原産のマメ科ホドイモ属の植物「アピオス」を栽培。この作物を同町の新たな特産品にしようと、活動している。
 アピオスは、イソフラボン、カルシウム、ビタミンEを多く含み、鉄分、食物繊維が豊富。栽培では、虫がつきにくく、連作に強い反面、乾燥に弱い。3月下旬から種芋を植え付け、7月には薄紫色の花を咲かせる。
 11月に入り、つるが枯れるころになると収穫。ほかの根菜類とは違い、種芋を植えた場所から四方八方にランナーが伸びて、実を付ける。「このため、種芋付近だけでなく畑全体を掘る必要があります。また機械化できない部分が多く手仕事となるので、非常に大変です」と村田会長は栽培の苦労を話す。
 食べ方は、そのままみそ汁に入れても良し、また、素揚げや、軽くゆでて塩・こしょうをすると晩酌のつまみになり、おいしいという。
 収穫されたアピオスは、地元の「ふれあいの里たまがわ」や「木のむら物産館」に出荷。リピーターも増え始め、最近では、近隣のカレー屋も食材として購入している。
 アピオスを使った目玉商品として期待されるジェラートの完成も間近だという。村田会長は「新たな町の特産品となるような商品をいろいろ試していきたい」と話している。
 
写真:互笑会のメンバー。左から2人目が村田会長

100218_c.jpg 【佐賀支局】ホワイトアスパラガスの栽培に5年前から取り組んでいる、佐賀市久保泉町の山田道廣(やまだみちひろ)さん(63)・美世子(みよこ)さん(61)夫妻は、今年、31アール、ビニールハウス12棟で作付けしている。
 アスパラガスは、1月中旬に遮光用のシルバーマルチで被覆。遮光・保温することでホワイトアスパラとして成長し、3週間程度で収穫できる。
 遮光することで病虫害の心配が少なく、無農薬で栽培できるので、安心して食べてもらえるという。山田さん夫妻は「無農薬で育てたホワイトアスパラは、グリーンアスパラに比べ、青臭さが少なく、やわらかくておいしいですよ」と話す。
 ホワイトアスパラは、JAさが佐賀市支部に全量を出荷し、主に東京で流通しているが、アスパラ部会では、県内での消費拡大にも意欲的だ。スーパーなどでホワイトアスパラ料理を紹介するなど、販売促進にも力を入れている。
 
写真:遮光したホワイトアスパラのハウスで山田さん

100218_d.jpg 【宮城支局】健康で多産な牛作りを目指して、石巻市の浜畑善男さん(73)は、「腸間膜脂肪壊死(えし)症」の予防に役立てようと、餌と共に牛に与えるハトムギを転作田で栽培している。
 浜畑さんは昨年、NOSAI関係者の勧めもあり7アールの転作地でハトムギを栽培し、200キロ収穫した。
 現在、浜畑さんは繁殖和牛の母牛を7頭飼養しているが、その中の1頭は10産目という。余分な脂肪を蓄積させないよう、粉末にしたハトムギを1日1回一握り程度、配合飼料と一緒に与えている。
 浜畑さんは「ハトムギは本来は畑の作物だが、水稲と同じような作り方もでき、転作物にとても良い。多くの人に栽培してもらい地域の特産物になれば」と話している。

写真:ハトムギをいる浜畑さん

100218_e.jpg 【山形支局】鳥海モロヘイヤ麺(めん)工房(酒田市南遊佐地区)は小松勝子代表と佐藤祐子さん、石黒由美さんの、農家女性3人の加工グループで、自家産モロヘイヤを使った「モロヘイヤ生うどん」を製造・販売している。
 モロヘイヤ生うどんは1996年、小松代表らも加入していた地域の加工グループが商品化。「最初はモロヘイヤの適量が分からず、試作しては捨てての繰り返し」と小松代表は振り返る。
 2年前には、「古代米生うどん」を開発し、昨秋からは、水稲新品種「つや姫」を練り込んだ「つや姫生うどん」の販売も始めた。「つや姫のめんは、もちもちして腹持ちが良く、おいしいと好評です」と小松代表は話す。

写真:モロヘイヤパウダーとめん

100218_f.jpg 【島根支局】水田約100ヘクタールで大豆を栽培する安来市宇賀荘町の「農事組合法人ファーム宇賀荘(岩﨑隼雄代表理事組合長=72歳、247人)」では、今年から自家産大豆で作ったオリジナル豆菓子の販売を始めた。
 品種「ナカセンナリ」を使ったこの菓子は、「やすぎの豆菓子」と命名し、6種類の味を展開する。同法人の岡田一夫総務部長(61)は、「エコファーマーであるこの法人ブランドを浸透させる商品になってくれれば」と話す。
 岩﨑組合長は「今後は栽培面積の大きい『サチユタカ』を使用して、大々的に販売していければ」と話している。

写真:「やすぎの豆菓子」。1袋(70グラム)200円

100218_g.jpg 【徳島支局】「新品種『さくらももいちご』のブランド力と品質の向上に頑張りたい」と話す栗坂政史さん(35)は、佐那河内村で「ももいちご部会青年部」の部長として活動している。
 栗坂さんら14軒の農家は、「ももいちご」に代わる新ブランドを考え、2008年にさくらももいちごを導入。さくらももいちごは、真っ赤な円すい形の果形が特徴で、先端部の糖度は17度を超える。味を損なわずに空輸に耐える硬さを確保し、関西だけでなく、関東方面への販路拡大も目指す。
 栗坂さんは「徳島産イチゴをもっと盛り上げていきたい」と意気込んでいる。

写真:さくらももいちご

 ▼家畜にストレスを与えない飼養管理を国内の畜産経営に普及しようと、新しい家畜飼養管理指針の整備が進められている。畜産技術協会が中心になり、2008年度に採卵鶏と豚の指針を策定。本年度はブロイラーと乳用牛の指針案を検討中で、肉用牛の指針作りも始まった。
 ▼欧米に広がる「アニマルウェルフェア」の考えを反映している。一般に「動物福祉」や「家畜福祉」と訳されるが、指針では具体的な内容を表そうと「快適性に配慮した家畜の飼養管理」と位置づけた。国内の経営実態も踏まえて整理する。
 ▼アニマルウェルフェアが注目される背景には、経済性や効率性を追求した結果、密飼いや過剰な濃厚飼料給与など飼養環境が悪化し、異常行動や病気の多発を招いたとの反省がある。牛海綿状脳症(BSE)の発生なども契機となり、家畜を"健康に飼う"要望が強まった。国際獣疫事務局(OIE)も国際的なガイドライン策定に動き出している。
 ▼健康な飼養管理の原則には「五つの自由」が掲げられている。「飢えと渇き」「肉体的苦痛と不快」「痛み、苦痛、病気」「恐怖」からの解放と「正常行動の自由」だ。指針には、産業動物として経済性との整合性にも配慮し、畜舎の環境整備や餌と水など栄養の確保、個体当たり面積などの考え方が示される。
 ▼物財費など生産コスト増加が畜産経営を圧迫する中で飼養環境の整備を進めるのは簡単ではない。ただ、アニマルウェルフェアへの対応は、安全・安心を求める消費者の志向にも合致する。生乳の需給緩和や食肉の消費・価格の低迷など現状を打破し、国産農畜産物への信頼を高める新たな力となるのではないか。
 ▼2月末の決着を目指し、10年度の畜産物価格・関連対策の検討は大詰めを迎えた。危機的な状況から脱却できる経営安定対策の充実・強化が急務だが、畜産を元気にするためには、将来を展望できる新たな布石を打つことも重要だ。

 「売れる品種の育成には、消費者ニーズの反映が大切」と話す、岡山市瀬戸町の花澤茂さん(77)は、ハウス50アールでブドウを栽培する傍ら、30年以上育種に取り組んでいる。今までにマスカット系の7品種を品種登録。農園では自ら育成した品種を栽培し、全量を直売する。多様化するニーズに応えながら、皮も食べられる「瀬戸ジャイアンツ」や果皮が黒いマスカット「ハイベリー」など珍しい品種を提供し、個人ブランド「花澤のぶどう」の確立を目指している。
 
100211_01.jpg JR山陽本線・瀬戸駅から車で約5分、住宅地の一角にブドウ農園「花澤ぶどう研究所」がある。ぶどう研究所は、妻の睦子さん(75)とパート6人で経営。自ら育種した品種を中心に、年間14~15品種を無加温ハウスで平棚栽培し、育成品種の苗木販売も手がける。
 「消費者志向の多様化に合わせ、色や形が異なるさまざまな品種を生産している」と話す花澤さん。"農業は品種に優る技術なし"と考え、品種育成を基本に生産、販売を行う。消費者の好みを把握する上で欠かせないのが、直売での消費者との顔の見える関係づくりだ。
 インターネットを利用した宅配などで全量を直売し、消費者の反応をみながら売れ筋の品種を確認。花澤さんは「種の有無を確認する消費者が多く、食の簡便化が進んでいる。直売は品種の育成・選抜の大切な情報源」と説明する。
 1年間の農作業や農薬の散布回数は、ホームページ上で公開。情報紙「千客万来」を年2回発行して消費者に情報提供している。情報紙には、資材価格の高止まりなど農業の実情のほか、消費者に信頼され、喜ばれるブドウを届けたいとの花澤さん夫妻の思いも掲載。睦子さんは「農業を理解し、わたしたちの考え方を分かってくれる人に食べてほしい」と話す。
 最近の人気品種は、瀬戸ジャイアンツやハイベリー、「マスカットデュークアモーレ」など。いずれも種がなく皮ごと食べられ、糖度は約20度。果肉が硬くシャキッとした食感が特徴だ。
 花澤さんは「果皮が薄く皮も食べられるので手が汚れず食べやすい。最近は、食感のよいブドウが好まれている」と話す。

(1面)

 
 
 
 

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写真上:瀬戸ジャイアンツの父株「ネオ・マスカット」。研究所では、育種資源として既存品種だけでなく自作選抜個体も栽培している
写真下:剪定(せんてい)作業を行う花澤さん夫妻。剪定枝は、チップにして堆肥にする

 農林水産省は1月29日、2008年の農業経営体(個別経営)の1経営体当たり農業所得は前年比9.5%減の108万円だったと発表した。生産資材費の高騰などが要因。農外所得と年金などの収入を加えた総所得も3.7%減の466万円となった。
 営農類型別では、特に肉用牛経営で農業所得が大幅に減少した。繁殖牛経営は43.8%減の106万円、肥育牛経営は68.7%減の166万円。酪農経営の農業所得は16.5%減の419万円で、養豚経営の農業所得も11.0%減少し755万円だった。
 耕種関係では、畑作経営の農業所得が4.9%減の230万円となった。施設野菜作経営の農業所得は5.6%減の365万円。果樹作経営の農業所得は16.2%減の157万円。
 一方、水田作経営の農業所得は5.6%増の39万円だった。

(2面・総合)

100211_03.jpg 都市住民に日本農業と食の現状を伝えようと、1月30日、東京・日比谷で「未来につなぐ農のチカラ」と題したフォーラム(主催=食と地域を考えるフォーラム委員会)が開かれ、約1500人が参加した。
 意見交換では、生源寺眞一東京大学大学院教授が、「農政のバロメーターと言える10ヘクタールの稲作経営が立ちゆかなくなっている」と指摘し、効率的な経営が可能な10~15ヘクタール規模の稲作に対する支援の重要性を訴えた。来年度実施される戸別所得補償モデル対策について、「農家所得の財政補てんは先進国の流れ。すべての農家が対象という点で今までにない政策だ。だが、これから地域農業を支えていく人をどう支えるかが詰められていない」と言及した。

(2面・総合)

 けがや加齢によって「足が痛い」「転びやすい」「歩くのが不安」などの悩みを持つ人は多い。そんな時、つえは足にかかる負荷を軽減し、より安定して長い距離を歩く助けとなる。つえの役割や選び方、使い方を高齢者生活福祉研究所の所長で理学療法士の加島守さんに聞いた。
 
100211_04.jpg つえは、歩行に不安を感じたらできるだけ早く使いましょう。つえのある生活に早く慣れると転倒の予防になり、行動範囲を狭めずに自分らしい生活を営むことができます。足の具合が悪いときだけ、つえを使う方法も良いでしょう。
 つえには三つの役割があります。①足の筋力低下や足に痛みがある人が、片足にかかる体重を分散する②ふらつく人や転びやすい人が、体重を支える面積を広くして、安定感を増す③骨折などのリハビリの際に、歩くリズムを作る――。転びやすい人は、つえと一緒に靴の購入をすすめます。つま先が地面より2センチほど高く、中敷きが入っている靴は転びにくいです。
 つえには一本つえや地面を3~4点で支える多脚つえ、前腕を固定するロフストランドつえ、松葉づえなどの種類があります。多脚つえは、地面に垂直に体重をかけるため、足への負荷をより減らすことが可能ですが、歩幅が小さくなります。

(3面・暮らし)

 
写真:「長さが調整できるつえが便利」と加島さん

 農業機械の事故を防ごうと、宮城県のNOSAI宮城(宮城県農業共済組合連合会、浅野衛会長)では、農機具共済加入者とその家族などを対象に、大型トラクターの安全運転講習会を開催している。研修はトラクター本体とけん引の二つを設定。3日間で運転操作の実習などを行い、免許取得に向けた技術習得を支援する。農家からは「きちんと勉強でき、安全でスムーズな運転技術が習得できる」と好評だ。
 
100211_05.jpg トラクターけん引の研修は1月18日から3日間、宮城県農業大学校(名取市)で開催。県内各地から30~60代の農家8人が参加した。
 最終日は、免許試験を想定した運転実習だ。参加者は4台のトレーラー付きトラクターに交代で乗り、方向変換やS字カーブの走行などを中心に練習。講師の指導だけでなく、参加者同士で「後進はハンドルをもっとゆっくり切るといいよ」などと声を掛け合っていた。
 仙台市で水稲6ヘクタールなどを経営する千葉武さん(61)は「自分ではうまく運転できるつもりだったが、研修で巻き込み確認など安全確認の必要性をあらためて学べた」と話す。
 研修は2007年から始めた。運転実習とトラクターの構造や機能、関係法令などの講義を行う。講師は宮城県農業大学校に委託している。
 受講料は3日間で1500円(傷害保険料は別)。トラクター本体の研修は普通自動車運転免許、けん引は大型特殊自動車運転免許(農耕用限定を含む)が必要になる。
 二つの研修を年に1回ずつ開き、延べ44人が受講した。本体の研修を受け、けん引技術の必要性も感じて申し込む人もいるという。

(5面・NOSAI)

 
写真:トラクターけん引の運転操作実習は2日間半行われた


 2009年度「畜産大賞」(中央畜産会主催)の業績発表と表彰式が8日、東京都内で開かれた。「経営」「地域畜産振興」「研究開発」の3部門の最優秀賞の中から、鳥取県畜産農業協同組合が畜産大賞を受賞した。酪農家が生産する雄子牛やF1などを預かって哺育(ほいく)・育成し、肥育や加工に取り組む。生協との産直事業による付加価値販売などが評価された。大賞と各部門の最優秀賞の事例を紹介する。
 
 大賞・地域畜産振興部門最優秀賞 鳥取県畜産農業協同組合――積極投資でブランド確立〈鳥取市〉
 ▽代表=鎌谷一也
 酪農家(正組合員109人)で構成する専門農協。生協との交流拠点として、1990年に美歎(みたに)牧場を整備し、組合員の子牛を預かって肥育する。
 食肉処理加工場や直売所、試食体験施設を備えた「フレッシュパーク若葉台」の設立など積極的な投資を行い、「COOP鳥取牛」のブランドを確立。組合員の所得確保と地域雇用の拡大を図る。消費者との交流を積極的に行う。
 2001年からは耕作放棄地を活用した稲発酵粗飼料(WCS)の生産、ふん尿を圃場に還元する資源循環型農業にも取り組む。
 
 経営部門最優秀賞 山道義孝さん――衛生管理徹底し事故率低減〈宮崎県川南町・養豚〉
 母豚450頭規模の豚舎で370頭を飼養して、ストレス軽減を図る。「あじ豚」ブランドを確立。生産から加工・販売までの一貫経営で6次産業化に成功した。
 飼養環境改善のための衛生管理プログラムを導入して事故率が低減。年間分娩(ぶんべん)回数2.46回、1腹当たり産子数11.5頭、1頭当たり出荷頭数23.5頭を実現する。配合飼料は、メーカーと共同で肥育仕上げ用飼料を開発した。
 年間を通した枝肉販売価格の統一や飼料の一括購入などで収益性が向上し、年間3億3900万円を売り上げる。
 
 研究開発部門最優秀賞 宮崎大学農学部――食肉脂質測る小型装置開発〈宮崎市〉
 ▽代表=入江正和
 光学的手法で食肉中の脂質を測り、肉質評価を簡単に数値化できる小型装置を開発した。
 仕組みは、枝肉に光ファイバーを通して近赤外光を照射し、反射する波長のパターンでオレイン酸(不飽和脂肪酸)含有量など食肉の組成成分を測定するというもの。
 脂質は牛豚ともに肉質評価の重要な項目だが、現在は外観や触感などで判断されている。最近はオレイン酸が多く含まれるほど、うま味が向上することが分かってきた。

(11面・営農技術)

 2月末の決定を目指し、政府は2010年度の畜産・酪農関係の価格・関連対策の検討を本格化させている。09年度で終了する肉用牛肥育経営安定対策(マルキン)事業などの扱いや物財費高騰を踏まえた経営支援策の強化が課題。配合飼料価格は高値水準で推移する一方、景気悪化に伴う消費者の低価格志向などから牛・豚肉価格は低迷、畜産経営は危機的な状況で、生産基盤の強化が欠かせない。酪農では牛乳の消費低迷で生乳需給は大幅な緩和状態にあり、脱脂粉乳やバターの在庫量が増加する中、需給の安定と生産への支援、消費拡大の強化・推進が求められている。畜産・酪農をめぐる状況や課題を話し合った。
 
  10年1~3月期の配合飼料価格は、09年10~12月期に比べトン当たり約400円値下がりし、約5万3200円となった。トウモロコシの国際相場下落などを受け2期連続の引き下げとなったが、高騰前の06年7~9月期に比べると、農家負担は依然約1万600円高く、経営を圧迫している。
  景気悪化が深刻化する中、消費者の低価格志向が強まり、牛肉の枝肉価格は下落傾向が続いている。
  08年の肥育牛経営の農業所得は1経営体当たり前年比68.7%も減少した。09年もコスト上昇と価格低迷でコスト割れとなっている。家族労働費を補てんするマルキン事業に加え、物財費割れの際に国がその6割を補償する肥育牛生産者収益性低下緊急対策(補完マルキン)事業も発動された。さらに肥育牛経営等緊急支援特別対策事業(ステップ・アップ奨励金)も措置されているが、マイナス分を補いきれていない。
  酪農は牛乳消費の減退に伴い生乳需給が大幅に緩和。09年の牛乳生産量(需要量)は前年比9.4%(28万3605キロリットル)も減少した。
  10年度も生乳供給量が脱脂粉乳ベース需要量を32万6千トン上回り、乳製品在庫は大幅に拡大する見通しだ。2月中旬には10年度の生乳計画生産が決定する予定だが、減産に転じてしまうと生産基盤の弱体化は避けられない。

(2面・総合)

 【岐阜支局】間伐の徹底と草生栽培で樹勢管理する、高品質な柿の生産技術を確立した本巣市上保の加藤泰一さん(65)が、農林水産省「農業技術の匠(たくみ)」に選ばれた。農業技術の匠は、優れた技術を生み出し実践してきた農業者を、全国から選定するもので、岐阜県では加藤さんが2人目。この技術は、加藤さんが委員長を務める糸貫柿振興会(会員320人)では必須条件となっており、全国トップレベルの産地として評価を受けている。
 
100211_06.jpg 就農当時は収穫量を重視し、木を高く大きく育てる栽培方法をとっていた加藤さんだが、道路脇の枝ほど大きく色付きの良い柿ができることに気付いたという。そこで独自の試験を繰り返し、10アール当たりの植栽本数を当初の約40本から、現在では20本程度にまで間伐している。
 隣同士の枝の間隔は1メートル以上。園内すべての木が道路脇の木と同様に日が当たり、風がよく通る環境にするため、開心自然形に仕立て直した。
 樹間は、夏には傘を差して通れるほどの広さ。収穫・防除・剪定(せんてい)作業時は、軽トラックで園内を移動でき、作業効率が向上している。
 加藤さんは「この栽培技術を多くの柿農家に知ってもらえるよう、県内の講習会などで伝えていきたい」と抱負を話す。
 
写真:認定証の交付後、圃場で関係者に高品質柿生産技術について説明する加藤さん

100211_07.jpg 【秋田支局】水稲育苗後のハウスを使用した「つぼみ菜」の収穫作業が、大仙市南外の伊藤一雄さん(67)方で最盛期を迎えている。
 2006年からビニールハウスで野菜を手掛け始めた伊藤さんは「水稲育苗後は、10月までモロヘイヤを栽培する。その後作の作物を見つけ、年間を通じてハウスの有効利用をしたい」と思案。加温が不要で低コストで栽培できる、つぼみ菜に着目し、07年からハウス2棟(約95坪)で栽培を始めた。
100211_08.jpg つぼみ菜は、ブロッコリーやキャベツなどのアブラナ科の野菜で、主に葉茎を摘み取って食べる。伊藤さん方では、モロヘイヤ終了後の11月初めにつぼみ菜の苗を植え、2月初めから本格的に収穫を開始。地元JAを通じて、関東方面に販売する。
 
写真:家族でつぼみ菜に取り組む。左から、妻の貞子さん、伊藤さん、孫の杏名(あんな)ちゃん

100211_09.jpg 【熊本支局】「健康の秘けつは、毎日ミカン山に来て体を動かすこと。好きなことを続けているから幸せですよ」と話す水俣市袋の松田サイ子さん(76)は、甘夏180アール、「デコポン」(露地35アール、ハウス21アール)を一人で手掛けている。
 松田さんは、12月上旬からシルバー人材センターにパートを依頼して甘夏の収穫を始め、2月のハウスデコポンの収穫まで大忙しだ。
 50年ほど前に会社勤めの夫・登さんと2人で栽培を開始。10年前に登さんが亡くなってからは、収穫以外のすべてを一人で管理してきた。
 「ミカンの木一本一本に話しかけながら作業を進めると、木も毎日、わたしを待っていてくれるようで、行かないわけにはいきません。これからも体力の続く限り頑張ります」と元気に話している。
 
写真:運搬車で園地へ向かう松田さん。「車の運転は、今はもうしません。運搬車が日常の足です」

100211_10.jpg 【兵庫支局】軟弱野菜を生産する西宮市の吉村良野さん(87)は、農業経営士の長男夫妻(光晴さん、京子さん)と3人で、約50アールの農地にホウレンソウやコマツナ、シュンギクなどを周年で5、6作栽培している。
 年間200日ほど農業に従事する吉村さん。元気の秘けつは「安全・安心で良質な野菜作りへの意気込みと、責任感を持つこと。それから、土作りに精を出すこと」と説明する。
 長男夫妻は「母が懸命に働く姿を見て、わたしたちも頑張ることができるのです。わたしの息子も、そんな祖母の背中を見て、来年1月から後継者としてやっていく決心をしてくれました」と喜ぶ。
 吉村さんは「これからは4人が協力し合い、丹精を込めることで、多くの人に『おいしい』と言ってもらえる野菜作りに励んでまいります」と力強く話してくれた。
 
写真:今年、米寿を迎える吉村さん(右手前)と長男夫妻の光晴さん、京子さん

100211_11.jpg 【山形支局】郷土食「ごんぱもち」を特産品として商品化し、地域活性化につなげようと、上山市山元地区の「ごんぱ餅(もち)保存会」(平吹巌会長=56歳)が活動している。14人のメンバーは農家や会社員で、年齢も50~70歳代とさまざまだ。
 ごんぱもちは、自生するオヤマボクチ(ヤマゴボウの一種)の葉の裏の綿毛を練り込んだもち。歯切れがよくこしの強さが特徴だ。しかし、葉を乾燥させて綿毛を取り出すには手間がかかるため、作る家庭はほとんどなくなっていたという。
100211_12.jpg 平吹会長は「地域活性化が目的なので、山元に足を運んでもらえるように地域内で販売したい。今後は、休校となっている山元中学校を活用して産直を行うなど、山ならではのものを提供したい」と活動の広がりに意欲を示す。
 
写真:「ごんぱもち」と「ごんぱ」

100211_13.jpg 【岩手支局】地元に活力を与えたいという思いで活動する、釜石市甲子町(かっしちょう)の藤井サエ子さん(64)は、経営する「創作農家レストランこすもす」で、地元食材を使った商品を提供している。
 一押し商品は、自ら収穫した柿を干し柿にして、ビターチョコでコーティングした「夢の甲子柿~柿チョコ~」だ=写真。性別問わず幅広い年代から人気があり、約500パックが完売する。
 「食材を生かすため、柿の柔らかさに気をつけて作っています。食感がよく、干し柿の自然な甘味がおいしいですよ」と藤井さん。県外からも毎年注文があるという。
 普段は店頭だけの販売だが、今期は三陸鉄道株式会社と提携し、バンレンタイン企画として釜石駅やインターネットでも販売される予定だ。100211_14.jpg
 
写真:「夢の甲子柿~柿チョコ~」と新商品「甲子柿ドレッシング」

100211_15.jpg 【高知支局】「農業に新しい光を。商品とともに自分たちの思いを届けたい」と、大月町の「苺氷(いちごお)り本舗株式会社」(代表=野村満久さん・43歳)では、地元産イチゴを使ったかき氷用の氷「一期一会(いちごいちえ)の苺氷り」を商品化し、県内外へ販売網を広げている。
 苺氷りは2002年、JA高知はた大月支所青壮年部会の町おこし活動から生まれた。野村さんが生産するイチゴを使って、特産品作りを開始。「イチゴを凍らせてかき氷のようにして食べてみたら、新鮮味があっておいしかった」と当時を振り返る。
 苺氷り本舗は地元の農家が中心になって設立。2棟のハウス(47アール)で「さちのか」を栽培しており、製造・販売までの一貫経営を展開している。昨年は、全国60店舗に約8千ブロック(1ブロック約14個分)を販売した。
 
写真:「一期一会の苺氷り」をイベントで販売。ふわっとした食感が特徴だ

 ▼平成に入って約20年の間に65歳以上の交通事故件数は5.5倍に増加したという。65歳未満の事故件数はほぼ横ばいで、最近は交通事故件数が減少傾向にあるため、高齢者が絡む事故の多さが目立つ。
 ▼運転免許保有者も高齢者の割合が増え、2008年末で70歳以上が8.1%を占める。高齢ドライバーによる事故の増加を受け、70歳以上は免許証更新時の適性検査や専門講習受講が義務づけられた。特典を用意した自主返納の働きかけも行われている。
 ▼加齢とともに身体機能が低下するのは避けられない。喜寿を迎えた故郷の母親も連絡をとるたびに足腰の衰えや痛みを訴える。ただ、免許は手放さず運転を続けている。集落を通るバス路線はあるものの、利用者の減少に伴い数時間に1本となった。身体的な衰えは自覚していても、畑の往復や買い物、通院など自動車がなければ生活できないのだ。
 ▼地方では1世帯で数台の保有が当たり前になるほど自動車が普及した。その反面、不採算の公共交通路線は減便や廃止となり、公共交通路線がない空白地域が増えている。高齢ドライバーが運転をやめれば交通事故に遭う危険は減り、事故件数は少なくなるだろう。しかし、高齢者が日常の移動手段を失い生活に支障を来す事態を招く。
 ▼公共交通の空白地域を埋める役割が注目されるのが、地域内の拠点を結ぶコミュニティーバスの運行だ。小型バスで路線バスが行かない支線を通るなど利便性も高く、新たな住民の足となっている。ただ、利用者が多い都市部を除くと採算がとれず、自治体の財政負担で維持する例が多い。
 ▼公共的な交通網の確保は、安全で豊かな高齢社会を迎えるための大きな課題だ。運営に民間非営利団体(NPO)が参画し、ボランティアの運転者を募るなど各地で工夫もみられる。一定の財政負担は必要としても、地域で知恵と労力を出し合わないと持続的な仕組みの構築は難しい。

 中山間地域に位置する岩手県奥州市江刺区にクロワッサンが人気の米粉パン工房がある。工房は、原体〈はらたい〉集落72戸で作る農事組合法人「原体ファーム」が経営。農薬と化学肥料の使用を抑えて育てる地域ブランド米「江刺金札米(えさしきんさつまい)」のふるい下米を使って米粉パンを製造、販売している。原体ファームでは、米の生産と加工を軸に収益を確保。組合長の及川烈(いさお)さん(69)は「付加価値販売で農業経営を安定させ、自分たちが生まれ育った集落の農業と農地を守っていく」と話す。
 
100204_01.jpg 原体ファームの加工・販売施設「夢の里工房はらたい」は、水田地帯の集落を南北に貫く県道沿いにある。クロワッサンやコッペパン、メロンパンなどが並ぶ店内で、レジを打つ従業員が男性客に「クロワッサンは温めてもらうと、またおいしく食べられますよ」と伝えていた。
 一番人気のクロワッサンは10個入り450円。区内在住という30代の女性は「もちもちしておいしい。11歳の息子の好物です」と話す。
 パンを製造・販売する工房の従業員は30~60代の女性を中心に13人。法人の構成農家でもある、菅原カツ子さん(67)は2005年の工房設立時から勤める。「若い人と一緒に働いて元気をもらっています。パンで地元の米を販売できるのもいいですね」と話す。
 江刺金札米は、奥州市江刺区で生産し、JAが販売する特別栽培米だ。原体ファームでは、「ひとめぼれ」を23ヘクタール作付け、大部分をJAに出荷する。
100204_02.jpg パンの材料は1.9ミリのふるいを通した後に残る加工向けの米だ。JAから年間15トンほどを購入し、自家製粉する。店の看板や入り口には、江刺金札米の名前を明示。米粉パンをふくらませるため、グルテンを加えるが、米粉の割合はなるべく多くするようにしている。
 調理パンの具にはファームで生産するブルーベリーや区内産のホウレンソウ、キャベツなど地場産農産物を使う。新たな米粉製品の開発にも取り組み、たい焼きやたこ焼きも商品化した。
 工房で販売するほか、地域の直売所や県内のスーパーなど約10カ所にも納品する。JAや市役所などを移動販売で回り、市内と隣の北上市までは個人宅への配送も行う。

(1面)

 
写真上:「パンに最適な米粉のひき方を見極めるのに苦労しました」と及川さん
写真右:正月を除き、毎日午前6時からパンを製造する

 農林水産省は1月28日、食料・農業・農村政策審議会企画部会(部会長・鈴木宣弘東大大学院教授)を開き、離農増加や農地面積の減少などの状況が続くと、2020年度の国内の「農業生産力」は05年度比で25%低下するとの試算結果を示した。委員からは担い手育成や農地の確保など生産基盤の強化を求める発言が相次いだ。消費面では食料自給率向上に向け、農業の多面的機能をはじめ環境や健康など幅広い観点での広報活動の重要性が指摘された。また、世界の食料需給逼迫(ひっぱく)などを踏まえた食料安全保障の国家戦略構築も提起された。今後、全国9ブロックで開く公開討論会なども参考に、具体的な食料自給率目標や施策の方向性などを議論し、3月に策定する新たな食料・農業・農村基本計画に盛り込む。
 
  農業生産力は農業生産要素のうち、農地(作付総面積)、人(規模階層別農家数)、技術(単収)に着目して動向を推計した。00年から05年までの変化をもとに、20年度の値を見通した。各品目で農家戸数・作付面積の減少が続いており、20年度の米の販売農家戸数は05年度比64万3千戸減の99万7千戸と推計。経営規模拡大が進み、3ヘクタール以上層は増加するが、作付面積は32万ヘクタール減の117万4千ヘクタールに落ち込む。
  民主党はマニフェスト(政権公約)で10年後に食料自給率50%を目指すと明記。赤松広隆農相はじめ政務三役は新たな基本計画に自給率目標50%を盛り込む方向で議論の集約を図りたい考えだ。
  ただ、農地、人、技術をどう確保していくのか、具体的な方策は示されていない。農産物価格の低迷や生産資材の高騰など農業経営をめぐる状況は厳しさを増している。部会では委員から「自給率向上には農業所得の増大が必要」「担い手の育成や農地の有効利用の支援が重要」などの発言があった。戸別所得補償や6次産業化を柱とする農政転換で、どのような農業・農村の将来像を目指すのかを示す必要がある。

(2面・総合)

 「火災事故による死亡者を出さないように」――総務省消防庁では、2004年の消防法改正により義務付けが進む住宅用火災警報器の設置を働きかけている。住宅火災は05年の約1万7000件をピークに減少しているが、火災事故の死亡者は03年から毎年1000人を超えたままだ。死亡事故原因の59%が逃げ遅れで、死亡者の63%を65歳以上の高齢者が占める。住宅火災は少しでも早く感知し、避難したり、初期消火に当たることが重要だ。
 
100204_03.jpg 住宅用火災警報器の設置は、消防法改正で06年6月1日から新築建物に義務付けられた。既存建物には市町村の条例で11年6月1日までに適用される。
 設置場所は、寝室と寝室につながる階段の天井付近には必ず設置しなければならない。市町村によっては、台所や居室にも設置を義務付けている。義務付けられているのは煙を感知する(煙式)タイプで、煙を感知しやすい場所への設置が重要。天井に設置するときは、壁や梁〈はり〉から60センチ離す。壁への設置では、天井から15~50センチの高さに付ける方法が推奨されている。
 消防庁では、各地の消防団や婦人防火クラブでの共同購入を勧めている。

(3面・暮らし)

 
写真:「家族や自分自身のいのちを守るため必ず設置してほしい」という消防庁予防課の竹村好史課長補佐。新品の乾電池で10年ほど稼働するが、気付いたときに時々動作確認が必要だ

 広島県のNOSAI西部(広島県西部農業共済組合、福本正彦組合長)では、各集落の区長などがNOSAI委員を務め、建物共済(火災・総合)の加入推進や広報紙の配布などを行っている。経験を重ねたNOSAI委員がNOSAI部長を兼務して取りまとめ役となり、委員の仕事をサポート。建物共済の加入推進では、1戸ごとに建物の価額に応じた加入プランを作成するなど補償内容の充実を図っている。
 
100204_04.jpg 「雪が多いので雪害が一番心配。農家の建物総合共済への関心は高い」と話すのは、北広島町阿坂の平岡正典さん(69)=水稲11ヘクタール、ソバ3ヘクタールなど。2002年からNOSAI委員を務め、08からNOSAI部長を兼務している。
 「担当地区でも何戸か被害を受けたが『総合共済に入っていて助かった』との声を聞いた。落雷が多い地域なので建物共済の加入推進に特に力を入れたい」と平岡さんは話す。
 NOSAI委員とNOSAI部長は、組合と農家をつなぐ役割も果たしている。
 NOSAI委員とNOSAI部長を兼務する北広島町後有田の橋本寅夫さん(60)=水稲7.3ヘクタール=は、水稲の収穫時期など農繁期を除いて毎週組合を訪問し、NOSAI職員と情報交換を行う。
 組合を訪れた際は、水稲の作柄や獣害の状況など現場の情報を伝えるという。「高齢化が進み農家と組合が情報交換しづらい状況だが、少しでも損害評価などに役立ててほしい」と橋本さんは話す。

(5面・NOSAI)

 
写真:「NOSAI委員やNOSAI部長を努めてからは地域住民との交流も増えた」と話す平岡さん

 石川県白山市向島町の株式会社「牛乳村夢番地」(中村忠信代表=57歳)は、地元のおいしい牛乳をたくさん飲んでほしいと酪農家が出資して設立。2戸の生乳から製造する低温殺菌牛乳「おまっと牛乳」を個人宅約500軒と保育園8カ所に週3回宅配するほか、ジェラートなど8種類の加工品販売を手掛ける。地場農産物を使った仕出し弁当も販売し、2008年は5500万円を売り上げた。イベントに出向いて搾乳体験を行うなど酪農が盛んな松任地区を広くPRし、販路拡大に努めている。
 
100204_05.jpg 「おまっと牛乳」は、松任地区には、毎週火・木・土曜日に約1千本を宅配する。価格は900ミリリットル瓶入り315円(税・宅配料込み)。瓶は回収してリサイクルする。地元に根ざした販路の確立を目指し、酪農家が地道に声掛けするほか折り込みチラシも活用する。
 09年4月には、地元客や観光客が多く訪れる金沢市の近江町いちば館内に支店をオープン。インターネット販売にも取り組む予定で、松任地区が誇る「おまっと牛乳」を広くPRしたいという。
 牛乳村夢番地は、元JA職員の中村さんが、JA松任酪農部会(14戸)の6人に出資を呼びかけて、05年に設立した。おまっと牛乳は、酪農部会が品質の良い牛乳を地元に提供しようと企画し、1994年に生まれた。製造はホリ乳業に委託し、65度で30分の低温殺菌処理。生乳に含まれる脂肪球を砕くホモジナイズをできるだけ抑えている。

(8面・流通)

 
写真:「牛乳石けんの開発も行っている」と中村さん(左)と高来さん

 群馬県館林市赤生田本町の遠藤藤一さん(78)は、キュウリの施設栽培で、「締めづくり」と呼ばれる技術を確立し、高品質・高収量生産に取り組んでいる。促成では、本葉11枚目から昼夜の生育適温より2~3度低い温度で管理、水分は控えめにして、有機質肥料中心の施用で樹(き)を生殖成長気味に栽培する方法だ。根張りが広くて、小葉で受光体制がよく、樹の老化が遅くなるという。昨年の促成キュウリは、5月ごろからのセンチュウ被害で、例年より3割ほど減収となった。10アール当たり収量は約13トンで、A品果率80%以上を確保している。
 
100204_06.jpg 古くからのキュウリ産地、館林市で遠藤さんは、妻のフジ子さん(76)と長男夫妻でキュウリ主体の経営を行う。800坪のハウスで促成(「ハイグリーン22」など)、抑制(「エクセレント」など)の年2作。ほかに水稲80アール、ニガウリ17アールを作付ける。
 促成栽培は、12月20日ごろに定植、収穫は1月末から6月末まで続く。締めづくりの方法は、次の通りだ。
 ベッドは十分に灌水(かんすい)し、気温16度、地温20~22度で、苗は坪当たり4本植えとする。本葉10枚までは十分な灌水を行うため、樹はのびのび育つ。その後、回数は変えずに灌水量を5割程度にする。夜温は1~2日に1度ずつ10日ぐらいかけて下げて11度程度にし、昼間は25度以下にする。これは主枝を摘心する18~20節位まで続ける。
 締めづくりをすると、真っすぐだったキュウリの茎が「く」の字に曲がる。遠藤さんは「後々、この茎が働いてくれる」と話す。
 根張りが良くなり、小葉になって厚く、受光体制もよくなる。側枝が一斉に発生することもなく、湿度が低くなるため病害の発生が少ない。

(9面・営農技術)

 
写真:「このキュウリは、ピンチ栽培で仕立てます」と話す遠藤さん夫妻

 北海道農民連盟は1月27日、2010年度の酪農畜産政策と価格対策の提言書を政府と与党に提出した。再生産価格の確保や生産者の所得向上を実現する基本政策の確立を求めた
 加工原料乳生産者補給金単価(キロ11円85銭の)と限度数量(195万トン)は、現行以上とするよう要請。輸入乳製品との競争力を高めるため、計画的で安定した国内生乳生産の推進と国産乳製品(チーズなど)の需要・供給拡大支援の拡充を求めた。
 09年度末で期限切れとなる肉用牛肥育経営安定対策事業(マルキン)や肉豚価格差補てん事業は、継続を要望した。
 また、政府が打ち出した酪農・畜産への戸別所得補償制度の導入では、畜種の特性や地域事情を検証し、生産現場の意見や営農の継続性に配慮した円滑な制度移行を要望した。

(2面・総合)

 【島根支局】2008年7月に国の構造改革特区の「果実酒特区」の認定を受けた浜田市。それを受け、浜田市田橋町の佐々木玲慈さん(53)は、地元特産の「西条柿」を使った「柿ワイン」の醸造に取り組む。「この浜田市から明るい情報を全国へ発信したい」と、特区ワイン製造に意気込みを見せている。
 
100204_07.jpg 特産の西条柿約1ヘクタールの栽培を手掛ける佐々木さんは、浜田市の果実酒特区の事業者第1号として、09年12月に浜田税務署から酒類製造免許を取得。初めてのワイン醸造に取り掛かった。
 ワインの醸造には、佐々木さんが無農薬、無化学肥料で栽培した約40キロの西条柿を使用。20リットルほどの「柿ワイン」が出来上がった。
 ワインは、上澄み部分の透明なものと鮮やかな柿色を持つ濁り酒に似た2種類。アルコール度数は、12度ほどで、渋味がなく、なめらかな口当たりで飲みやすいという。
 初めてのワイン造りについて佐々木さんは、「乳酸菌が勝つと癖のある味になるので、酵母を発酵させる時の温度と衛生管理がポイントですね」と話す。
 
写真:2種類のワインを手に「今年は、400リットル製造したい」と佐々木さん

100204_08.jpg 【山口支局】「伝統野菜だからこそ、絶やしていけないという使命感に燃えています」と話す、下関市の河﨑信子さん(81)は、伝統野菜「かきちしゃ」の栽培(1アール)に取り組んでいる。
 かきちしゃは鉄分やビタミンA、カリウムを多く含む野菜。河﨑さんは、「葉の色はサニーレタスより濃い赤紫色で、葉が少し硬く、少し苦味があるのが特徴なんよ」と説明する。サニーレタスの需要で次第に栽培が減っていたが、伝統野菜の復活に向けて、5年ほど前から栽培するようになった。それと同時に出荷もしているという。
 自家採種し、仲間9人と栽培に取り組んでいる河﨑さん。一年中露地で栽培できるが、冬場が一番かきちしゃらしい色になるという。
 
写真:「仲間が一緒だから楽しいですよ」と河﨑さん

100204_09.jpg 【栃木支局】タイ料理や沖縄料理などで野菜として使われる、完熟前のパパイアの生産に那須烏山市の菊池晋さん(48)が取り組んでいる。
 菊池さんは約1.65ヘクタールで「幸水」「豊水」「あきづき」「にっこり」など栽培するナシ農家。凍霜害を受けやすい園地の有効利用策として、気候の影響を受けにくい、鉄骨ハウスでのパパイアを導入した。
 沖縄の種苗業者から種を購入したのが一昨年。12月にポットへ播種し、昨年の5月末には、苗をハウスに定植する。
 9月下旬から収穫されている野菜パパイアは、サラダやいため物などの調理用だ。現在は、タイ料理店や宇都宮市内の直売所に出荷。パパイアの葉を入浴剤として購入する人もいて、固定客が増えている。
 菊池さんは「パパイアを地域の特産品にしたいので、苗木の生産・販売も考えています。多くの人に食べてもらえるように、PRにも力を入れたい」と、意欲的に話す。
 
写真:収穫予定のパパイアと菊池さん

100204_10.jpg 【広島支局】イチゴ約1万株とパパイア約250本をハウス15アールで栽培する呉市蒲刈町の中道義文さん(43)。全国でも例がないという、パパイアの水耕栽培に試行錯誤しながら挑戦している。
 中道さんは、イチゴの補完作物として、生育が早い上、葉が広がらずイチゴの日照を妨げる恐れのないパパイアを3年前に導入。栽培には、イチゴの栽培ベッドの下にある苗取り用の棚を利用する。
 「双方の管理のバランスを取るのに苦労している」と話す中道さん。ハウス内の温度はもちろん、肥料濃度や水の温度にも気を使う。夏場のイチゴの生育のため水の循環回数を減らした結果、パパイアがしおれたこともあったという。
 昨年11月に初収穫を迎えたパパイアは、大きさや品質など良好だ。
 
写真:「いずれはパパイアの産地化ができれば」と中道さん

100204_11.jpg 【福島支局】二本松市の旧東和町にある「NPO法人ゆうきの里東和ふるさとづくり協議会」(2005年設立、大野達弘理事長=55歳、会員=230人)では、特産加工推進事業の一環として、遊休桑園の再生と地域の活性化を目指して活動している。
 これまでに、加工に適した桑品種を導入し、遊休園約60ヘクタールを再生。桑の葉は生産者12戸から50トン、桑の実は20戸から3トンを買い上げている。
 04年に健康飲料会社の協力を得ることができたことから、桑を使った加工食品の開発が加速。現在、桑の葉や実を使った茶やジャム、アイスクリーム、パウダーなどを製造・販売している。
 
写真:道の駅ふくしま東和で販売されている桑製品

100204_12.jpg 【北海道支局】上士幌町八千代地区で酪農を営む大西仁志さん(53)は、乳牛の飛節の腫れに、手製のサポーターを施して効果を上げている。
 以前、飛節が腫れた乳牛に、抗生物質などを使わざるを得なくなり、牛乳廃棄の損失が発生。作業の手間も悩みの種だった。
 大西さんは試行錯誤の末、6年ほど前、軍手と粘着性の伸縮包帯を利用したサポーターを思いついた。包帯が食い込まないようにアキレス腱(けん)にも軍手を施すのがポイントとか。「早めに処置し、1週間巻くことで腫れや痛みが引くようだ。飛節の腫れに、抗生物質を使うことはほとんどなくなった」と大西さんは話している。
 
写真:手製の飛節サポーター

100204_13.jpg 【埼玉支局】トマト、イチゴ「とちおとめ」、草花、観葉植物を生産・販売する桶川市坂田の加藤富夫さん(60)は、コンサートや催し用にビニールハウス(70坪)を無料で貸し出し、利用客から好評を得ている。
 「急激に人口が増えたので、近隣の人が集まれる場や、趣味・サークル活動を発表する場をつくりたかったことが始まり」と加藤さんは話す。
 貸し出しハウスでは月に1回(7、8月除く)、歌や演奏(琴、ハンドベル)が行われている。
 加藤さんは「大勢の人に集まってもらい、にぎやかになってもらえれば何よりです」と笑顔で話す。
 
写真:昨年12月のコンサートには家族連れなど約100人が参加

 ▼暖冬で少雪傾向という当初の予報から一転し、北海道や本州日本海側の地域は大雪となっている。雪景色は美しいが、降り積もる雪は生活上は厄介な存在だ。多ければ日に3、4回も雪かきが必要で、除雪車が残していく雪が家の出入り口をふさぐため、片付けが日課となる。
 ▼降雪量が増えるにつれ、屋根の雪下ろしなど雪処理作業中の事故が多発している。最近では「2006年豪雪」の際に全国で152人が命を落とした。屋根の雪下ろしなど雪処理作業中の事故が4分の3を占め、65歳以上の割合が3分の2に上る。
 ▼雪処理に伴う事故を防ごうと内閣府と国土交通省の検討会は昨年、地域防災力の向上を訴える提言をまとめた。事故は、落下した屋根雪に埋まったり、屋根やはしごからの転落、エンジンをかけたままの除雪機に巻き込まれるなど多様だが、犠牲者の多くが高齢で一人での作業中といった共通点がある。作業者に体力への過信や作業に対する慣れ・油断があり、発見が遅れるほど死亡につながると指摘した。
 ▼提言は、必ず二人以上で作業し、命綱やヘルメットの着用ほか安全対策の徹底を訴える。特に効果的な事故防止対策として、地域の共助による雪処理活動を提起。具体的には、市町村や自治会を中心とした協議会の組織、ボランティアなど雪処理の担い手の配置、講習や広報による安全意識の周知を挙げる。
 ▼高齢化や過疎化が進む農村部では、高齢者の独居世帯が増えている。若い住民が減る中で作業者の確保は最も難題だ。例えばだが、都市部には「地吹雪」や「屋根の雪下ろし」の体験ツアーに喜んで参加する人たちがいる。地域の雪処理活動と結びつける仕組みが作れないだろうか。
 ▼事故を招く背景には、除雪作業を負担に感じても「まだ一人でできる」とか、他人への依頼を気兼ねする気持ちがある。地域的に取り組む体制を早く作らないと雪処理作業中の事故低減は難しい。

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