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今週のヘッドライン: 2010年5月アーカイブ

 水稲の作業受託を基本に水田営農を展開するのは、奈良市大柳生町の大柳生営農組合(組合員63戸、田畠俊秀組合長=64歳)だ。女性組合員が中心となり毎週日曜日に開く朝市は、地域住民との交流や高齢組合員が収入を得る機会となっている。戸別所得補償モデル対策の実施を機に、今年は稲WCS(発酵粗飼料)栽培も手がけ、中山間地域での営農継続へ力を合わせる。田畠組合長は「相互扶助の考えから設立した。この集落で安心して農業を続けていけるようにしたい」と話す。
 
100531_01.jpg 大柳生町は近鉄奈良駅から30分ほどの中山間地にあり、清流にホタルが飛び交う山に囲まれた地域だ。水田面積は約50ヘクタールで、1枚当たりでは平均20アールほど。
 営農組合の活動は水稲作業の受託が中心となる。昨年の作業実績はトラクターでの耕うん作業が5ヘクタール、田植え作業が7.4ヘクタール、収穫作業が11ヘクタール、乾燥調製作業が12ヘクタールだ。組合員4人がオペレーターを務める。
 女性部による「ホタルの里大柳生直売所」は毎週日曜日、JAの倉庫を借りて開いている。今年で6年目。商品棚はビールケースを並べて板を置いた簡易なものだ。組合員が栽培した野菜を主体に、漬物やこんにゃくなどが並ぶ。
 田畠組合長は「野菜作りは組合員の張り合いになっている。直売所で言葉を交わす機会が増え、野菜談議をしたり地域のことを話したりと、地域が元気になってきた。売り上げ以外の目に見えない効果を実感している」と話す。
 周辺地域の住民だけでなく、レストランや仕出し業者なども仕入れに訪れるという。店番は女性部が交代制で担当するが、毎回ほとんど全員が集まる。組合員は10%、組合員以外は15%を手数料として集めている。店番の手当にするほか、親睦(しんぼく)会の開催費用にも充当する。
 ネギやナス、トマト、スイカなどの露地野菜を売る今中正子さん(70)は「朝市を始めるまでは家で使う分だけ作っていました。今は何を作ろうかと考えることも楽しみ。やってよかった」と笑顔を見せる。

(1面)

写真:「地域にお世話になってきた分、地域への恩返しのつもりで力を合わせて頑張りたい」と田畠組合長
 
 
 
 
100531_02.jpg写真:永井さんは「少々体が重い時でも直売所があるから畑に出ようという気になる」という

100531_03.jpg 宮崎県で被害が拡大している口蹄疫(こうていえき)の早期終息に向けて、防疫措置の推進・強化、国の補償の拡充などを目的とした「口蹄疫特別措置法」が28日、参院本会議で全会一致で可決、成立した。現行の家畜伝染病予防法を補完するもの。
 農相がワクチン接種と殺処分による防疫対策が必要と判断すれば都道府県知事に勧告できるほか、殺処分などで生じた農家の損害を生産費用も含めて国が全額補償することなどを盛り込んだ。
 2012年3月までの時限立法で、4月以降に確認された口蹄疫に起因する事態に適用する。関連予算は約1千億円と見込んだ。
 民主党、自民党、公明党が議員立法として用意した法案を修正協議し、衆議院・農林水産委員長提案として提出した。

(1面)

写真:口蹄疫対策特別措置法が全会一致で可決・成立した(28日、参院本会議)

 2009年産米の販売が伸びず在庫の過剰感が増しており、需給緩和の懸念が高まっている。農林水産省が25日に公表した4月の相対取引価格は、全銘柄平均で前月比1%安の60キロ当たり1万4383円(運賃、包装、税込み)となり、7カ月連続で下落した。米卸の間では「価格が下がっても消費の回復にはつながらず、当面は厳しい販売が続く」との見方が強い。同省は、戸別所得補償モデル対策の実施に伴い10年産米の需給は均衡するとしている。しかし、消費低迷で出来秋に30万~40万トンの持ち越し在庫が生じるとの予測も広がっていて、過剰米対策を実施しないままでは、10年産米価の大幅下落を招くとの指摘もある。米の需給をめぐる状況を話し合った。
 
〈A〉昨年9月から公表されている09年産米の相対取引価格は、下落を続け、4月の平均価格は09年産米の最安値となった。前年同月比では6%(886円)下げた。
〈B〉農林水産省は09年産の主食用米の需要量を821万トンと見通した。生産は全国的な日照不足などの影響で、作況98の「やや不良」となったが、生産目標を5万ヘクタール程度上回る過剰作付けがあり、生産量は831万トンとなった。政府と民間を合わせた本年6月末在庫量は、前年同月比10万トン増の308万トンとなる見込み。08年6月比では48万トン増加する。
〈A〉政府は1月から2月に政府備蓄米として09年産を適正水準(100万トン)まで16万トン積み増した。09年産米だけをみれば需給は均衡する計算だが、特に昨年1月以降、景気後退や麦製品の値下げなどの影響で米の消費が低迷。09年6月末の民間在庫量は前年同月比で51万トンも拡大した。09年産米需給は、消費低迷に加え、08年産米の持ち越し在庫(30万トン程度)が大きくのしかかった状態で推移してきた。
〈B〉総務省の家計調査によると、09年7月から10年3月までの1世帯当たりの米購入量は前年同期比2.9%減となった。全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)が会員企業を対象に実施した調査では、09年の米販売量が「減った」が38%で、「やや減った」とあわせると68%を占める。特に米専門店の落ち込みが大きい。大手量販店では、単価の安い商品や特売が増加する傾向にある。
〈C〉米卸の間では、「09年産米の需要実績は、農林水産省の需要見通し(821万トン)を大幅に下回るのではないか」との声もある。出来秋時の09年産米の持ち越し在庫は40万トンに上ると予測する卸もいる。

(2面・総合)

 相手の話が聞き取れず、あいまいにほほ笑んでごまかしてしまう――聴力が低下しても、補聴器を使わない人は少なくない。最近は、小型で高性能なデジタル方式の補聴器が販売されている。6月6日の「補聴器の日」を前に、日本補聴器工業会・普及委員会の野々村英一委員長に補聴器選びのポイントを聞いた。
 
100531_04.jpg どんな人でも、ある程度の年齢になると、聴力は低下します。個人差はありますが、だいたい40歳を過ぎるあたりから聞こえにくくなる傾向があります。聞こえが悪いなと感じたら、耳鼻科医に相談の上、補聴器の使用を検討してみてはどうでしょうか。
 補聴器を付けると、スムーズな会話が楽しめる、安心して外出できる、積極的に行動できる――といった効果が期待できます。現在は、耳の中に収まる「耳あな型」や耳にかけて使う「耳かけ型」が主流です。小さくて目立たないものや、デザイン性に優れたものも販売されていますので、実際に手に取ってみて、自分に合った補聴器を選んでください。
 補聴器は、認定補聴器技能者などの専門家がいる補聴器販売店で購入することをお勧めします。認定補聴器技能者は、補聴器を選択・調整するための聞こえの測定、適切な補聴器選び、補聴器の調整などを行います。補聴器販売店では、アフターケア態勢も充実しています。
 補聴器はすべての音を大きくするのではありません。その人の聞こえづらい音を聞こえやすくするように、一人一人に合わせて調整します。

(3面・暮らし)

写真:「補聴器を選ぶときは専門家にご相談を」と野々村委員長

 農研機構中央農業総合研究センター(茨城県つくば市観音台)は、千葉県のNOSAI団体と協力して、水稲共済の損害評価時にイノシシ被害の発生圃場で取得した位置情報などから、被害発生の危険度を予測するモデルを構築。リスクマップを作成する技術を確立した。開発に当たった鳥獣害研究サブチームの百瀬浩サブチーム長は「野生動物による被害の増え始めに、行政や農業団体などがあらかじめ危険度の高い場所を分かっていれば地域ごとの防除対策を立てやすい。被害対策の場面で役立ててほしい」と話している。
 
100531_05.jpg イノシシ被害の危険度を推計する予測モデルは、被害圃場の位置情報(緯度・経度)と、環境情報GIS(地理情報システム)データを収集してデータベースを構築し、両者の関係を分析して構築した。
 NOSAIの水稲損害評価員がイノシシ被害圃場を一枚ずつ現地確認していることに注目。千葉県のNOSAI団体に協力を依頼して2007年と08年、損害評価時に全地球測位システム(GPS)受信機のボタンをイノシシ被害の発生圃場で押す方法で、約250地点ずつの位置情報を記録した。
 予測モデルを広い地域に適用することで、県域のリスクマップを作成できる。
 被害発生要因を詳細に検討するため、環境情報には水田率、地形(地上開度)、人口密度のほか、森林や河川、道路、集落からの距離といった7種類のデータを使用した。
 予測モデルの検証のため、NOSAIの損害評価方法と関係のない方法で、千葉県内の水田から1540圃場を抽出してイノシシ被害の有無を調査。水稲共済・一筆方式の共済金支払いに該当する3割以上の被害は31圃場だった。被害の有無と、予測リスクの高低を突き合わせると正解率は75%ほど。「リスクマップとして使うには実用上支障ない精度を確保できた」と百瀬サブチーム長。
 イノシシ被害が大きく拡大していない県北部と南端部に広がらないよう、監視が必要とされている。

(5面・NOSAI)

写真:「深刻化する獣害への対策に効果的に使ってほしい」と百瀬サブチーム長。同じ手法で、シカなど異なる獣種のリスクマップも作成できる

 山梨県果樹試験場(山梨市)は、ハウスブドウ栽培で、深夜に3時間ほど赤色光を当てると日照の少ない時期でも果粒が大きくなることを明らかにした。短梢剪定〈たんしょうせんてい〉で仕立てたブドウ樹を用い、赤色光には消費電力の少ない発光ダイオード(LED)を使った。ハウス栽培の「巨峰」や「ピオーネ」は、4月末から出荷され高値で取引されるが、果粒の肥大に影響を及ぼす満開期~着色始期の日照時間が短く、粒の大きさにばらつきが出る課題があった。最近は燃料や資材費の高騰で収益性が低下しており、高品質ブドウを低コストで容易に生産できる技術として期待されている。
 
100531_06.jpg 今年は2月16日から50日間、午後11時から午前2時まで照射した。波長が660ナノメートル付近の赤色光を利用すると、照射しない場合と比べ、果粒は2~3割大きくなった。光の強さは1平方センチ当たり20マイクロワット以上が効果的という。LEDの光は平行整枝・短梢剪定で仕立てたブドウ樹との組み合わせが良く、主枝と主枝の中央部に光を当てる。長梢剪定では新梢が一定方向に向かないため、この電照装置では効果が安定しない。
 深夜、ハウスにはぼんやりとした赤い光がともる。栽培部の齊藤典義主任研究員は「光量が少なく光合成には役立たなくても、ブドウの樹に夜ではないと勘違いさせることは可能」と説明する。
 光を照射して長い夜を分断すると、短い夜を2度与えたことになり、ブドウは成長期と錯覚して長日条件下と同様に実が大きくなる。齊藤主任研究員は「日没からと日の出までの暗期(夜)が同じ長さになる時間帯に光を照射するのが効果的」と話す。
 巨峰やピオーネは欧州系に比べ、日長により栄養成長をコントロールしやすい特徴がある。ハウスブドウでは、2~3月の日長や日射量などの光環境が果粒の肥大に影響する。

(11面・営農技術)

写真:「連続点灯のほか15秒間隔の点滅による効果も試験中」と話す齋藤主任研究員

 気象庁は25日、6月から8月の3カ月予報を発表した。太平洋高気圧の北への張り出しが弱いため、7月は北日本から西日本の広範囲で、8月は北日本でそれぞれ低温傾向が予想されるとして、冷害への警戒を呼び掛けている。以下、各月の予報は次の通り。
 〈6月〉天気は北・東・西日本では平年と同様に曇りや雨の日が多い。降水量は、沖縄・奄美で平年並みか多い。
 〈7月〉天気は北・東・西日本では平年に比べ曇りや雨の日が多い。北日本は気温の低い時期があり、平均気温も低い。降水量は北・東・西日本で、平年並みか多い。
 〈8月〉天気は北・東日本では平年に比べ曇りや雨の日が多い。西日本と沖縄・奄美では、平年と同様に晴れの日が多い。気温は、西日本で平年並みか高く、北日本で平年並みか低い。降水量は、北日本で平年並みか多い。

(2面・総合)

100531_07.jpg 10月に名古屋市で開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では、農林水産業の営みを通じた生物多様性の維持が重要なテーマの一つだ。農林水産業は、多くの生きものが生息・生育する環境の中で営まれ、生態系の維持など生物多様性に貢献。一方、農薬や肥料の不適切な使用、耕作放棄などによる環境変化は生態系を脅かすと指摘され、生物多様性に配慮した持続的な生産への転換が課題となっている。
 
 パネルディスカッション
 生態系や種、種の遺伝子の多様さを指す生物多様性は、概念が難しいとされている。環境省が認定する環境カウンセラーの岡本明子さんは「空気を吸うことやご飯を食べることも生物多様性の恩恵。暮らしの中で身近なもの」と説明する。「今まで当然だった生物多様性の恩恵が当然ではなくなりつつある。自然の恵みを再認識することが大切だ」と主張した。
 東京農業大学の林良博教授は「日本人は自然の恵みを長い間享受し、感謝してきたが、この数十年間で生物多様性を失ってきた。21世紀は取り戻さないといけない」と強調した。

◇    ◇

 生物多様性と農業は密接に関係する。生産効率を追求した農薬や肥料の不適切な使用は、生態系に影響を与える。一方、耕作放棄地の増加で耕作されなくなると、圃場に生息したり、圃場を餌場とする種の減少を招くことも知られている。
 10年ほど前から農薬と化学肥料を使わずに水稲を栽培する宮城県大崎市の佐々木陽悦さんは「生物多様性が豊かなほど農業生産が安定する」という。
(7面・特集)

写真:シンポジウムには、約250人が参加した

100531_08.jpg 【山形支局】苗代作業を少ない労働力で効率的に行うことを目的に、飯豊町の菊地友男さん(61)が「苗代ブリッジ」を発案、製作した。苗代ブリッジは、苗代での育苗箱の運搬作業を軽減する道具で、一人でも楽に苗代作業ができる。苗代作業は、苗箱運搬の上げ下げ作業が重労働で、それが原因で腰を痛める農家も多い。菊地さんは「大規模で作業人数が少ない農家には便利だと思う」と話している。

 苗代ブリッジは、苗代をまたぐように金属製の橋を架けたもので、橋の上に苗箱を載せるタイヤ付きの台車を設置し、左右に移動できるように工夫した。橋の足回りにもゴムタイヤを装備し、苗代内の作業のしやすい場所への移動も可能にしている。
100531_09.jpg ブリッジのサイズは長さ14メートル、幅0.75メートル、台車は長さ2メートル、幅0.45メートルで一度に育苗箱を3枚×6列分で18枚を載せることができる。苗代への箱の上げ下ろしと、育苗後の苗代から軽トラックへの搬出も腰に負担のかからない高さにした。二つに分解し、収納用の台車に載せればコンパクトに収納できる。

写真上:苗を「苗代ブリッジ」の台車に載せる菊地さん
写真右:長さ14メートルの「苗代ブリッジ」。汎用資材を使って製作した

100531_10.jpg 【高知支局】フルーティーで肉厚、果汁が飛び散りにくく生食以外にも煮る、焼くなどいろいろな料理に向くミニトマト「スウィーティア」を、安芸市井ノ口の宇田尚郎(うだひさお)さん(48)が栽培している。
100531_11.jpg スウィーティアは、井上石灰工業株式会社(本社=南国市)が4年前から開発。果肉が厚く種が少なくて青臭さがないのが特徴だ。糖度は12度に達する。ダブルの果房で見た目はトウガラシとのような赤い長粒型。耐病性があり減農薬栽培にも向く。そのうえ裂果が少なく多収性という。
 ミニトマトと同様に、9月にポット苗を定植後、約5カ月で元肥を1回、追肥は木の状態を見て少量与えていく。受粉力が強いことから、マルハナバチによる受粉が不要で、経費が少なくて済むのがメリット。「なんといっても、作りやすいことが魅力ですね」という。

写真右:長細いスウィーティアを収穫する宇田さん
写真左:房なりのスウィーティア

100531_12.jpg 【長野支局】飯山市の山田廣さん(78歳=旧のうさい岳北参事)は、ペットボトルや塩ビパイプを使ったネズミ捕り器を作成し、農作物のネズミ被害軽減に役立てている。
山田さんは「1回に2匹から5匹ぐらい捕れ、1本に9匹も入っていたことがあった。餌の少ない冬から春がよく捕れるようです」と話す。
 ◆作り方
 ○ペットボトル使用の場合
1リットル~1.5リットル入りのボトルの底部分を斜め(45度ぐらい)に切断、飲み口を下にする。
 ○塩ビパイプ使用の場合
30センチぐらいの長さにして、片側を斜め(45度ぐらい)に切断。反対側の底面になる側を直角に切り、サバの空き缶を入れる。
100531_13.jpg ◆仕掛け方
 (1)新しいネズミの通り道(穴)に45度ぐらいの角度で斜めに置く(ネズミが滑って上がれない角度)(2)餌の米ぬかを器の入口に一握りと、底の部分に一握り入れる(3)雨水が入らず、天敵から守るように覆いをする(自動車の足元に置くゴムマットが便利)。

写真上:畦畔のネズミの通り道に、塩ビパイプの捕獲器を設置する山田さん

100531_14.jpg 【長崎支局】キクを栽培して10年になる諫早市小長井町の大谷崇さん(30)は、「ブライダルなど葬儀以外で使う品種をもっと勉強し、消費者のイメージを変えるようなキクを栽培したい」と話し、仏事以外でのキクの活用を広げていきたいと取り組んでいる。
 大谷さん方では毎年、新品種を育てている。キク栽培の先導的な役割をしている父を持つ大谷さんだが、自分なりに勉強。市場で流行をつかみ、他県への視察などを行い、新品種の導入を判断していく。今年は種苗会社から勧められた6種類のブライダル用の新品種を栽培する。
 多忙な虎次さんに代わり、作業を任されることも多い大谷さん。「葬儀以外で使うキクは、需要がまだ少ないので面積は多くありませんが、作りやすい品種を見つけて栽培したい」と意気込んでいる。

写真:大谷さん(左端)と中国人研修生

100531_15.jpg 【宮崎支局】ギンナンを生産する延岡市北川町の片岡勝幸(かたおかかつゆき)さん(62)は、廃材の灌水(かんすい)チューブでシカの食害防止に成果を挙げている。
 片岡さんはここ数年、シカがイチョウの樹皮を食べる被害に悩んでいた。策を講じてもシカが慣れると効果がなくなり、頭を抱えていたという。
 普及センターやJAに相談し、試行錯誤して考案した方法は、イチョウの木に5センチ幅で灌水チューブを巻いていくだけの簡単なもの。効果は高く、食害を受けなくなった。
 片岡さんは「このチューブのおかげで、イチョウの木がシカの被害にほとんど遭わなくなりました」と笑顔で話す。

写真:灌水チューブを巻いた木と片岡さん

100531_16.jpg 【青森支局】「もっと手軽にニンニクを消費してもらいたい」――。ニンニク1.5ヘクタールを栽培する、つがる市車力の工藤三千輝(みちき)さん(51)は、自家産ニンニクを加工・販売している。
 工藤さんは昨年秋、「ニンニクを発酵させて、そのままおいしく食べることができる」という発酵黒ニンニクに着目。自宅作業所に加工設備を設置し、開発を始めた。
 開発にあたって最も重要視したのは味。「全く味付けせず、発酵作用だけで味を出すのは非常に難しかったが、ニンニク自体のしっかりした味にたどり着いた」と胸を張る。
 工藤さんはこれを"つがる発酵黒にんにく"と命名、販売にも力を入れる。

写真:「『おいしい』の声が一番の励み」と工藤さん

 100531_17.jpg北海道支局】「地域に貢献できる何かをしたい」と、由仁商業高校(由仁町、難波繁之校長、生徒19人)の生徒と教職員が一丸となって、地元食材を使った新しい特産品作りに挑戦している。
 試作やアンケートを重ねメーカーと連携して商品化した後は、バイヤーとの商談・販売会と、生徒が前面に出てこなしていく。そして生徒たちは、写真入りの名刺を持って現場に赴く。「先生に言われたのではなく、自分たちで独自に作りました」と生徒の藤沢嶺さんは話す。
 第1弾は由仁町特産の食用ホオズキを練り込んだうどんで、昨年8月に商品化。続いて、ホオズキのケーキや、シイタケうどん、隣接する栗山町特産のタマネギをベースにしたノンオイルドレッシングと、次々に商品化している。

写真:自分たちが企画した商品を手に藤沢さん(左)、高瀬まどかさん

 ▼お菓子が並ぶ食卓、具がないうどんやパスタだけの食事、洗い物を増やさないよう鍋やフライパンから直接食べるなど、岩村暢子氏の近著『家族の勝手でしょ!』(新潮社刊)には、首都圏に在住する120世帯の食卓写真274枚を紹介する。怖さを感じるのは、それが特殊な例でなく、ありふれた普通の家庭の現実を映しているからだ。
 ▼著者は、レンズ付きフィルムで1週間の食卓を撮影してもらい、インタビューする調査を10年以上続けている。食卓から家族関係の変化を明らかにするのが目的で、著書では直近数年分の結果をまとめた。
 ▼特に食事のお菓子化が進み、外食や冷凍食品、持ち帰り総菜などを利用して料理に手をかけない主婦が多いと指摘する。「子どもが嫌がる」からと野菜や魚料理を食べさせることを避け、はしの持ち方や食事マナーも学校給食でやってほしいと何もしない家庭が多い。岩村氏は「現代の家庭には父や母がいても『親』がいない」と断じている。
 ▼6月は、望ましい食習慣や知識を身に付け、栄養バランスに配慮した食生活の実践を呼びかける「食育月間」だ。しかし、食文化や食習慣を学ぶ場である家庭は、個食やバラバラメニューも当たり前で、家族が食事を囲む団らん風景も消滅寸前だ。
 ▼切る、煮るなど調理技術の基本は、経験しないと身に付かない。そこで注目を集めているのが、子どもたちが自分で調理した弁当を持ち寄る「弁当の日」の取り組み。小中学校主体に全国に広がっている。
 ▼喜々として弁当作りに励む子どもを見て、親世代が食事に関心を示す効果もある。栄養バランスを考えない食事のツケは、いつか自分に返ってくる。親世代が動かないなら、子どもたちへの働きかけを強めればよい。

100527_01.jpg 京都府綾部市や福知山市では、地元在住の定年退職者が新規就農し、府やJAが特産化を進める「ブランド京野菜」栽培を支えている。品目は「万願寺とうがらし」やエダマメ「紫ずきん」など。技術指導や販売はJAや農業改良普及センターが支援する。後継者不足が深刻化する中で、定年帰農者は新たな担い手として期待され、産地を守っている。

 「農業は、努力すれば努力しただけ結果が出る。責任は重いけど、会社勤めよりやりがいは大きい」と話すのは、綾部市里町の四方(しかた)多眞規さん(62)。
 車の部品工場を退職したあと、就農セミナーをきっかけに2007年から万願寺とうがらしのハウス栽培(480平方メートル)を始めた。日常の肥培管理などは、JAの技術指導員がアドバイスする。生産部会が年に数回開く技術講習会にも積極的に参加している。
 就農後は、地元の高齢農業者から圃場50アールを借りてナバナなども栽培。今年はハウスを1棟新設し、万願寺とうがらしを増産する計画だ。大西さんは「まだ農業の初心者だが、生涯現役を目標に農地を荒らさないよう守っていきたい」と話す。

100527_02.jpg 綾部市下八田町の大西洋爾さん(67)は、JAに勤めながら水稲4ヘクタールを耕作していたが、06年に早期退職し、万願寺とうがらしと紫ずきんの栽培を始めた。合計220平方メートルで栽培する。
 大西さんは「京野菜はほかの品目に比べて単価が高い。年金だけでは生活できないので経済的にも助かる」と話す。
 万願寺とうがらしや紫ずきんなどは、個選したあと全量をJA京都やJA京都にのくにに出荷する。規格外品は、地元の農産物直売所などで販売する。

(1面)

写真右上:四方さんは「退職後、何もしないと体がなまる。農作業で体を動かし、健康的な日々を過ごしている」と笑顔で話す
写真左中:就農後も頻繁に、普及センターの職員からアドバイスを受ける

100527_03.jpg 宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の感染拡大が収まらないため、政府は19日、口蹄疫対策本部(本部長=鳩山由紀夫首相)を開き、殺処分を前提としたワクチン接種を柱に新たな防疫措置を決めた。ワクチン接種は発生地(えびの市は除く)から10キロ圏内のすべての牛や豚が対象。さらに半径10~20キロ圏内(搬出制限区域内)を牛や豚のいない緩衝地帯とするため、食肉用に早期出荷を促して価値の低減部分を助成する対策も打ち出した。ウイルスの増加と拡散を抑え、殺処分や埋設作業を進め、口蹄疫の封じ込めを図る。
 口蹄疫ワクチンの使用は国内初。接種した家畜には殺処分奨励金と経営再開支援金を交付する。併せて家畜伝染病予防法に基づく手当金交付の概算支払い実施や防疫を行う獣医師の増員など追加措置も発表した。赤松広隆農相は同日、臨時会見を開き、「できるだけ早く処理(作業完了)することに全力を挙げる」と強調した。

(1面)

写真:19日に臨時会見を開き、新たな防疫措置を説明する赤松農相

100527_04.jpg 「住みたくなる集落にしたい」。過疎化が進む集落を活気づけようと岐阜県瑞浪市釜戸町の平山集落では、20戸で集落協定を結び、マコモタケやヤマトイモ(商品名「みずなみの芋」)などの特産品づくりを進めている。また休耕田の有効活用に繁殖和牛を放牧するほか、農道の草刈りなど共同作業にも取り組む。集落協定の代表を務める土屋範典さん(65歳、水稲35アール)は、「生まれ育ち、生活の場であるこの集落を守っていきたい」と話す。

 平山集落までは市の中心部から車で約30分。標高400メートルで周りは山に囲まれている。一人当たりの農地保有面積は30~50アールと小規模だが、高齢化や過疎化が進むにつれ休耕田も目立ってきた。「集落には祭でみこしを担ぐ大人も、太鼓を打つ子どももほとんどいない」と土屋さんは現状を話す。
 マコモタケの栽培は休耕田を解消しようと4年前から始めた。「集落の農地を守るために何かやらなければ」と機運が高まったという。土屋さんは「若者が気に入る農産物を第一に考えた。試食会を開いたらマコモタケはおいしいと評判だった」と話す。マコモタケの管理は水稲とほぼ変わらず、水はけの悪い水田でも栽培でき、中山間地の狭い水田に適するという。
 4月下旬には、住民が水田に集まりマコモタケの植え付け作業を行う。今年の作付面積は40アールだ。収穫作業は9~10月の1週間ほどで、10アール当たり500キロほどの収量がある。
 マコモタケは市内外の卸売業者や地元スーパーなどに出荷するほか、市内の小学校給食にも使われている。平山集落と市内のマコモタケ栽培農家8戸で構成する「瑞浪マコモ生産出荷組合」が出荷を一元的に行う。現在、地元の食品加工業者と連携し、マコモタケのレトルトカレーなど、加工品の開発を進めている。

(3面・暮らし)

写真:「マコモタケの皮むきに70代、80代の人が喜んで手伝ってくれる」と土屋さん(左)。足立さんは「マコモタケの栽培はこれからも続けていきたい」という

 日本農作業学会の2010年度春季大会が15、16日の両日、東京農業大学(東京世田谷区)で開かれ、農作業の効率化などの研究成果が発表された。主食用米をはじめ、飼料用米など、米生産のコスト低減、省力化につながる主な研究要旨を紹介する。

100527_05.jpg ▼ショットガン播種機で行う鉄コーティング種子の湛水(たんすい)直播(発表者=九州沖縄農業研究センター九州水田輪作研究チーム・深見公一郎主任研究員)
 ショットガン播種機で鉄コーティング種子を播種する際の打ち込み速度を検討した。三つの試験区(打ち込みディスクの回転数が毎分300回転・600回転・900回転)を比較した結果、600回転区で、苗立ち率が58・7%、10アール当たり収穫量(坪刈り収量)が567キロとなり、ほかの試験区より高い値となった。
写真:条数の多いショットガン播種機(12条)を使用した


 ▼粒剤散布用多孔(たこう)ホースによる水稲直播技術(発表者=中央農業総合研究センター北陸大規模水田作研究チーム・元林浩太主任研究員)
 市販の動力散布機と多孔ホースで、耕起・代かきをした湛水(たんすい)圃場に、カルパーコーティング(酸素供給剤粉衣)種子を効率的に播種する方法を検討した。乗用条播機と比べて大幅に作業時間を短縮でき、ほぼ同じ苗立ち率が得られた。休耕田を活用してエタノール原料米栽培をする簡易な播種技術の開発を目的とした。
 長さ20メートルの多孔ホースを用いて、毎秒0・37メートルの速度で播種した場合、長辺の長い水田では、2人体制で10アール当たりの作業時間は6分となった。これに対し、幅1・8メートル、毎秒0・51メートルの乗用播種機では、28・3分かかった。


 ▼プラウ耕・鎮圧体系の乾田直播(発表者=東北農業研究センター東北水田輪作研究チーム・大谷隆二上席研究員)
 大規模経営に適し、田畑輪換できる新たな耕うん体系として、プラウ耕・ハローによる整地、均平作業の後、グレーンドリルで乾田直播する栽培方法を、岩手県花巻市の大規模農家で現地試験した。2009年は、11圃場中、7圃場で10アール当たり収穫量(全刈り収量)は500キロを超え、うち1圃場は633キロを確保した。
 品種は「ひとめぼれ」と「萌(も)えみのり」。プラウ耕・鎮圧体系の乾田直播の開発は03年から進めていて、07年から現地試験を実施している。


 ▼飼料イネ向けの流入施肥の省力効果(発表者=東北農業研究センター東北飼料イネ研究チーム・関矢博幸主任研究員)
 飼料用稲向けの簡便な追肥方法として、コンバイン収穫用もみ袋を用いて硫安を水口で徐々に溶解させ、省力的に均一に流入施肥するもみ袋施肥法を開発した。追肥後の田面水のEC(電気伝導度)の均一性が高いことから、液肥用の流入施肥器に近い精度で追肥できることを確認できた。

(6面)

100527_06.jpg 母の日など需要期に合わせた鉢花の出荷で販売を伸ばすのは、さいたま市見沼区膝子の有限会社「HANAMICHI(はなみち)」(小泉安弘代表=33歳)。ハウス1千坪でカラーとチューリップ、カラジウムを栽培し、肥培管理を工夫して花持ちを向上させ、ラッピングの提案や販売促進のポスターを付けるなど工夫を凝らす。販売店の支持を受け、注文を伸ばしており、昨年の売り上げは約1億円だ。新たに直売会を実施するなどさらなる販路拡大を目指している。

 HANAMICHIでは、カラーは「ゴールドラッシュ」や「ルビーライトローズ」など10品種、チューリップは25品種ほどを生産。定番の品種と珍しい品種を組み合わせている。
 カラーは入学式や母の日、父の日、敬老の日に合わせて生産する。チューリップはクリスマスやバレンタイン、卒業式など、カラジウムは夏期のお中元用だ。合わせて年間25~30万鉢を栽培する。
 予約相対取引を重視し、現在、出荷の6~7割を占める。取引価格は販売店の小売価格から逆算し、その半値程度を目安としている。出荷の約2カ月前、市場担当者に電子メールで花の画像とともに出荷予定を知らせる。1カ月前には市場に出向き、生育途中の鉢花と花の画像を見せる。取引が少ない市場では、競りの開始前に買参人へのPRも行う。
 出荷先は北海道から九州まで40市場に及ぶ。出荷先を分散することで価格の暴落などリスクを防ぐ。
 鉢花は、販売店で1カ月は形を維持できるように肥料にカルシウムを加えるなどし、花持ちを向上させている。栽培方法などをまとめた消費者向けの説明書も添える。販売店には、生産者の写真や栽培管理のポスターを送り、販売促進に活用してもらう。
 商品力をさらに高めるため、ラッピングの提案も行う。

(8面・流通)

写真:「根の張り方がいい」と父の日向けのカラー「エチオピカ」の生育状況を見る小泉さん

100527_07.jpg 水稲と転作大豆を栽培する栃木県日光市小林の赤羽初男さん(61)は、早晩生の異なる水稲3品種を組み合わせ労力を分散。作業機械の改良や作業体系を見直すなど省力化を進めている。薬剤は育苗箱施用し田植えと同時に側条施肥するなど作業を合理化した結果、「水稲の耕うんから収穫までの作業時間は20~30%減った」という。

 「できるだけ手間をかけないことを基本にしている」と赤羽さん。水稲13ヘクタール、大豆8ヘクタールなどを妻・嘉津子さん(56)と母親の3人で経営する。自作地は4・5ヘクタール。周辺の農家14戸から17・5ヘクタールを借りるが、自宅から500メートル以内と条件に恵まれている。

●肥料は側条施肥1回で対応

 基盤整備の済んだ圃場は、1区画50アールが中心で、大型農機による効率的な作業が可能だ。農機は圃場まで自走で移動できる。
 水稲は作期の早い順に「なすひかり」3ヘクタール、「コシヒカリ」7ヘクタール、「あさひの夢」3ヘクタールを作付ける。
 イモチ病やイネミズゾウムシなどの防除は箱施用剤を使う。一般には種播き後に箱施用するが、メーカーに改良を依頼、播種と同時に薬剤を散布できるようにした。
 田植機は8条植えで側条施肥機を付ける。条間30センチ、株間21センチで、5月上旬の2週間で田植えを済ませる。水稲に使う元肥一発肥料は品種ごとに成分割合を変えており、コシヒカリには肥料(20‐18‐16)を10アール当たり30キロ施用。除草剤も同時散布する。
 10アール当たりの作業時間は12~13時間。収量は県平均と同等の540キロで、すべて1等米でJA出荷する。

(9面・営農技術)

写真:「圃場がまとまっているから朝夕の田んぼの見回りは10~15分で済み、省力化が図れる」と話す赤羽さん

 農林水産省は20日、生産者や卸売業者、量販店など関係者を集め、「米の流通に関する情報交換会」の初会合を開いた。情報を共有して戸別所得補償モデル対策の適正・円滑な実施と、米の需給と流通の安定を図るのがねらい。同省は特にモデル対策の交付金を前提とした米の値引き要請など不適切な取引防止を求めた。
 最近の米の流通状況や価格動向、同モデル対策の狙いや加入申請状況などを説明し、意見交換した。2010年6月末在庫量については、前年同期比10万トン増の308万トンになると見通した。卸関係者を中心に、家庭消費の減少などに伴う在庫の積み増しを予想する意見があった。10年産米価への影響を懸念し、出口対策(過剰米対策)の実施を求める声も出た。同省はモデル対策で需給は均衡するため、出口対策の実施はないと強調した。
 生産者団体からは本年産米の播種前契約が前年に比べ遅れている現状が報告された。卸関係者からは「在庫がある中、価格不透明な10年産の契約を進める流れにならない」「需給バランスの問題が解消されなければ、米価は下げ傾向のまま進む」などの発言があった。

(2面・総合)

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 【青森支局】板柳町日新の成田千秋さん(24)は、実家のリンゴ園に就農して3年目。「両親からいっぱい学び早く一人前になりたい」とリンゴ栽培に張り切る。
 成田さん方では、リンゴ1.5ヘクタールを栽培。作業には両親の英雅さん(49)と真佐子さん(49)を中心に3人であたり、樹上で完熟させたリンゴとその加工品をメーンに、「成田農園」(「ふじ」を主力に「つがる」「ジョナゴールド」「王林」など)を営む。
 千秋さんは、青森県りんご剪定(せんてい)士でエコファーマーでもある英雅さんから栽培技術を学ぶ。今冬から剪定にも挑戦。「手が冷たくてつらい時もあったが、少しずつ分かってきた」と笑顔を見せる。
 千秋さんは3人きょうだいの次女。高校卒業後、農機具販売会社に勤めたが、「体を動かす仕事をしたい」と、2年間で退社。その後1年間はアルバイトの傍ら家のリンゴ作りを手伝った。3年前、祖父がリンゴ作りから離れたことから、「両親2人では大変。自分もやらなきゃ」と就農を決意した。
 千秋さんは同町の農家青年約20人で構成する「美俊里会」の唯一の女性会員として、月に1回ほど開かれる栽培技術講習会に参加し、腕を磨く。 千秋さんは、「宅配したお客さんから『おいしい』『楽しみにしている』と言われるとうれしい。これからもおいしいリンゴを作り、お客さんに満足してもらいたい」と話している。

写真:「リンゴ一筋だった祖父は昨年1月に他界。栽培面積を拡大したいという父の力になれるよう頑張ります」と千秋さん

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 【島根支局】「ふるさとに帰るのに職業選択の一つとして農業を選びました」と話す、秋間康志(こうじ)さん(50)は、2006年に安来市伯太町井尻にUターン。現在、自己所有4棟とリースハウス6棟で、トルコギキョウのほかストック、葉ボタン、輪ギク、ナデシコなど多品目の花を手掛ける。
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 就農の際に技術指導を行った島根県農業技術センター技術普及部の角忠通普及指導員(38)は「生産基盤がないところから設備投資や技術の取得など営農が軌道に乗るここまで、よく頑張ってこられました」と話す。出荷販売面の指導にあたったJAやすぎ営農経済部生産流通課の二岡正和課長は「安定した品質と、栽培に取り組む積極的な姿勢がすばらしい」と評価する。
 県やJAなどの関係者は、U・Iターン花き農家のリーダーとして、栽培面と経営面でほかの生産者を先導してもらいたいと期待している。
 秋間さんは「土地にあった作型や品種の選定など独自に創意工夫していきたい。ゆくゆくは、法人化や集落営農の規模拡大なども考えたい」と話している。

写真:これから開花収穫を迎えるトルコギキョウの手入れを行う秋間さん(顔写真も)

100527_11.jpg 【香川支局】「昔から万病に効くとされる灸(きゅう)は、牛の卵巣や子宮を刺激し、繁殖機能が活性化するようです」。三木町池戸の植村正敏さん(70)は、繁殖和牛30頭を飼育。一年一産の牛は平均5割といわれる中、7割の繁殖成績を残している。
 「分娩(ぶんべん)30日後に3日間連続して行い、発情後にまた3日間連続で行います。この方法が理想的で、効果が一番大きいようです」
 方法は、腰骨付近にある9カ所のツボにみそを塗ってからもぐさを置く。みそは固定の意味合いが強いが、体を温める作用もあり、灸との相乗効果が望めるという。
 もぐさは「春のヨモギは柔らかく、火が付いている時間が長いので、品質的には最高」と話す植村さんの手作り。牛舎近くに自生するヨモギの葉を摘んで天日で乾燥、手もみして梅干し大に丸めて使う。
 植村さんは「全頭一年一産を目標に、気長に治療していきたいですね」と話す。

写真:「牛に優しく経費もかかりません」と、灸で繁殖成績の改善に効果を挙げている植村さん

100527_12.jpg 【山形支局】畑5アールとサクランボ7アールを栽培する、山形市東二位田の悪原賢悦さん(75)は、パソコンで農作業を管理するためのソフトを、独学で作成した。防除や農作業の記録・管理に役立てていて、ソフトは、希望農家に無償で提供するという。
 「記録することで来年の作業の参考になる」と悪原さんは話す。参考書を手に独学し、大量の情報を扱える、マイクロソフトのデータベースソフト「Access(アクセス)」で作成した。確定申告用の医療費管理システムや、近くの直売所のために管理ソフトを作成したことも。
 悪原さんは「ソフトは多くの農家に使ってもらい、無償で提供したい」と話す。

写真:独学で農作業管理ソフトを作成した悪原さん。希望農家に無償で提供するという

100527_13.jpg 【山口支局】高齢者や後継者のいない農家からミカン園を預かって栽培する周防大島町の「かんきつリリーフ隊」(砂岡廉隊長=74歳)。「夫が亡くなり、ミカンの木を切らざるを得ない」「息子が帰るまで、わたしの代わりにミカンの栽培を続けてほしい」という農家からの依頼がきっかけで、2006年に活動を開始した。メンバーは次の作り手に園地を「つなぐ」取り組みを積極的に行っている。
 メンバーは20代の若手1人を含む9人で、依頼を受けた6園地(1.3ヘクタール)の栽培を行う。活動は1カ月に3~4日だ。
 収穫したミカンは、園主に届け、その後出荷。園主たちに喜ばれている。砂岡隊長は「木の背丈を低くしたり、園地内に車で入れるように、年をとっても栽培がしやすいよう、早く自分たち流の栽培方法を確立して、それを提案していきたい」と話している。

写真:園地の草刈り作業を行う

100527_14.jpg 【埼玉支局】ネギ、ニンジン、サツマイモなどの野菜3ヘクタールと稲2ヘクタールを栽培し、観光農園も営む上尾市菅谷の平野修一さん(38)は、食品残さ(生ごみ)から作られた生成物を利用して堆肥を作り、野菜栽培に生かしている。このことで、食品残さのリサイクルを実現。肥料の経費削減にもつながっているという。地元の大手スーパーや自宅直売所で消費者から「品質が良く、おいしい」と好評だ。
 食品残さを、生ごみ処理装置を使って処理し、生成物を作り出す。これを落ち葉、小枝のチップ、米ぬか、牛ふんと混ぜ合わせ、2年ほど熟成し自家製堆肥にしている。
 野菜は自家製堆肥を利用した有機農法で生産。多品目を栽培する。平野さんは「循環サイクルで作物を育てれば、安心・安全なものができ、お客さんに提供できる」と話す。

写真:自家製堆肥を利用して栽培したネギを手に平野さん

 【群馬支局】川場村で節分や田植え期、祝儀・仏事などの際に作られてきた行事食や伝承料理を後世に残そうと、かわば農村女性会議(角田良江会長=60歳、16人)が、レシピ集「四季食彩・川場村の伝えていきたい郷土料理と行事食」を発刊し、同村の全世帯に無料配布した。
 事務局の吉野たね子さん(60)らメンバーは、同村のお年寄りや寺の住職を対象に、行事食の言い伝えや料理の配膳(はいぜん)などをきめ細かに調査。そこで得た知識を基にメンバーが調理し、写真撮影やレシピのデータ入力、編集作業などは吉野さんが手掛けた。
 本には、同グループが考案し、調理実習なども行う米粉のパンやロールケーキなども掲載され、村民から好評だ。米粉には同村のブランド米「雪ほたか」を使用している。
 吉野さんは「後世に郷土料理を伝えていきたいというメンバーの思いの結集です」と話す。

 ▼宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)は、疑い事例の拡大に歯止めがかからず、政府は殺処分を前提に10キロ圏内でのワクチン接種による封じ込め対策の実施を決めた。さらに10~20キロ圏で飼養される牛や豚の早期出荷を促し、感染拡大を防ぐ緩衝地帯を作る
 ▼最初の疑い事例発表から1カ月を過ぎても先の見えない状況が続き、畜産農家や防疫措置に携わる人たちの疲労や不安は限界に近づいている。防疫措置の遅れも考慮すれば、ウイルスの増加と拡散をとめる対策強化は必要だ。ただ、病気が出ていないのに飼養する家畜の全頭殺処分を迫られる畜産農家の気持ちを思うといたたまれない
 ▼こうした事態で安易に現地には行けないが、畜産農家たちがインターネットで発信する情報には目を通している。朝の給餌で家畜の無事を確認して安心し、次の発生は自分の農場ではないかとの不安、交錯する情報へのいら立ちなどが正直につづられている。元気な言葉の裏にも焦燥感や孤独感が見え、心を打つ
 ▼国内有数の畜産地域であり、口蹄疫の発生がなければ、近隣農家は毎日顔を突き合わせていたはず。しかし、今はお互いの家を訪問するのはもちろん、日用品の買い物さえはばかられ、商店街も閑散としているという
 ▼口蹄疫への対応で緊張した状況が長期化するに伴い、不安やストレスによる心身への影響が心配されている。宮崎県では相談窓口を設けたほか、チラシを作成。十分な食事と睡眠を心がけ、悩みを一人で抱え込まないよう注意を呼びかける。直接会えない中では手紙や電話、メールのやり取りも大切だ
 ▼1日も早い口蹄疫の撲滅とともに、経営再開が見通せなければ畜産農家の不安は消えない。畜産地域の再建に早く動き出せるよう、政府や県には物心両面から安心できる十分な支援策を用意してほしい。

 宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の早期終息に向け、国・県の口蹄疫対策本部を中心に懸命な防疫対策が続く。発生農場を中心に移動・搬出制限区域が設けられ、九州各県の家畜市場が閉鎖している。ただ、発生地域周辺では疑い事例の発生が続き、14日現在、患畜・疑似患畜は86事例・8万257頭に上る。殺処分の終了は37事例・3万9398頭と約5割にとどまる。防疫措置の遅れが指摘されていたが、赤松広隆農相は10日、東国原英夫知事との会談で人員増派を表明。実施体制を強化し、まん延防止に全力を挙げている。当面の生活、農業経営の運転資金の確保などが要望され、農林水産省は経営安定対策の要件緩和や特例措置など支援を打ち出している。赤松農相は「必要な追加対策は今後も打ち出していく」としている。
 
100520_01.jpg 「残念ながら数は増えているが、約3キロ以内のところでとどめている。専門家からは今の方式を徹底してやることが重要との意見がある。飛び火しない限り、この方式でしっかり進める」と赤松農相は11日、閣議後の記者会見で述べた。
 口蹄疫の疑似患畜の発生が確認された4月20日以来3週間以上たった13日も、川南町を中心に10事例の疑似患畜が発生。地元農家は「なぜ終息しないのか」「殺処分など防疫措置が遅れている」――などと不安やいら立ちを募らせている。
 農林水産省では「被害の発生状況から、空気伝播よりは接触感染での感染拡大の可能性が大きい。移動・搬出制限区域を設定し、人や車両・農場などの消毒の徹底・衛生管理が図られる中、疑似患畜の殺処分など着実に進めていけば、封じ込めの効果はこれから出てくる」(消費・安全局動物衛生課)とする。口蹄疫には潜伏期間があり、防疫措置の効果が現れるまで時間差がある。「発生地域を拡大させず、迅速・確実に封じ込めなければならない」(同)としている。
 農林水産省は、同省や全国の都道府県からの獣医師派遣を100人規模に倍増。同省職員の派遣も10人から100人に増やす方針。畜産関係団体も呼びかけに応じている。農林水産省や都道府県などから宮崎県への人的支援は14日現在、合計327人に上る。
 家畜市場の閉鎖、出荷停止などの影響で農家の経営は厳しくなっている。農林水産省は、資金対策で融資額・対象枠の拡大や経営安定対策の要件緩和などを打ち出した。
100520_02.jpg 当面の資金対策では、法定伝染病の発生で被害を受けた生産者に低利資金を融通する「家畜疾病経営維持資金」の融資枠を、20億円から100億円に拡大し、対象区域を搬出制限区域内まで広げた。殺処分後の新たな家畜を導入するときに交付金を支払う「家畜防疫互助基金」制度(2分の1が国費)の加入を呼び掛ける。
 経営安定対策では、「肉用子牛生産者補給金制度」の飼養開始月齢を2カ月齢未満から4カ月齢未満に、「肉用牛肥育経営安定特別対策(新マルキン)」の登録月齢は14カ月齢未満から16カ月齢に緩和。対象区域は宮崎・鹿児島・熊本・大分(以下4県)の全域まで広げた。移動・搬出制限区域内の生産者に限り、新マルキンの生産者拠出金を免除する。
 家畜共済では、九州各県のNOSAI団体を対象に、家畜共済の掛金納入の猶予など特例措置を実施するよう通知した。家畜市場が閉鎖された後に共済掛金期間が満了する場合は、満了日から閉鎖が解除された後60日までを支払い猶予期間とする。掛金を分納している農家で、家畜市場の閉鎖で収入が減少した場合は、掛金支払いが遅れても共済金を支払うとした。

(1面)

写真上中:赤松農相(左)と東国原知事(右から2人目)との会談。早期終息に向けた対策、県家畜改良事業団の種牛の避難、農家の心のケアへの対策など要請(10日、知事応接室)〉
写真下左:畜産農家の代表者は、経済的にも精神的にも限界に来ている切実さを訴え、一日も早い終息への対策を求めた(10日、宮崎市内)〉

 国内の飼料生産は配合飼料価格高騰した2008年に作付面積が10年ぶりに増加に転じたものの、09年産は前年産並みにとどまった。10年産は戸別所得補償モデル対策の導入に伴い10アール当たり8万円を交付する飼料用米や稲発酵粗飼料(稲WCS)の大幅な作付け拡大が見込まれている。ただ、畜産農家との出荷契約が前提となるが、自給飼料基盤に立脚した酪農・肉用牛生産への転換に期待は高まっている。一方で、耕畜連携の強化や低価格・安定供給体制の構築など課題も多い。飼料用米など自給飼料をめぐる現状と課題を話し合った。
 
 〈A〉 農林水産省は飼料自給率向上に向けた09年度行動計画で、飼料作物の作付面積2万ヘクタール拡大を目標に、水田フル活用による稲WCSや飼料用米の増産、青刈りトウモロコシの作付け拡大などに向けた取り組みを強化した。09年産の稲WCSの作付面積は前年産比1073ヘクタール増の1万306ヘクタールとなり、10年度に1万ヘクタールとした作付け目標を1年前倒しでクリアした。
 〈B〉 青刈りトウモロコシは9万5000ヘクタールとした計画目標には及ばなかったが、1500ヘクタール増の9万2800ヘクタールとなった。また、肉用牛の水田放牧頭数は約8700頭となる見込みで、7500頭とした計画目標を大幅に上回る。
 〈C〉 青刈りトウモロコシの作付け拡大は主に北海道で牧草地からの転換が進んだためだ。牧草は4900ヘクタール減少し、飼料作物の全作付面積は前年並みの90万1500ヘクタールとなった。生産現場では畑地での飼料生産の拡大に限界感も強く、農林水産省は「飼料自給率向上には、飼料用米など水田の有効活用が欠かせない」(畜産部畜産振興課)と強調する。
 〈A〉 2009年産の飼料用米の作付面積は、前年産比2518ヘクタール増の4129ヘクタールと大幅に拡大した。10年産は戸別所得補償モデル対策として水田利活用自給力向上事業が導入され、飼料用米の生産に交付金が支払われる。
 〈B〉 飼料用米は、耕種農家にとって既存の機械や栽培技術で対応できるため、栽培しやすいメリットがある。米戸別所得補償モデル事業に加入するには、生産数量目標に即した生産が必要で、転作作物の柱として、爆発的な作付拡大も予想されている。
 〈A〉 飼料価格の高止まりが畜産経営を圧迫する中、飼料用米への期待・関心は高い。ただ、実際に利用を拡大するには耕種農家と畜産農家のマッチングなど課題もある。農林水産省では地方農政局・農政事務所に相談窓口を設置し、対応を強化している。

(2面・総合)

100520_03.jpg 農家女性7人で構成する山形県酒田市広野の「えぷろんまま」(熊谷花井会長=69歳)は、自分たちが生産する米や野菜を仕出し弁当やオードブルなどに加工・販売する。注文する利用客の年齢や性別、価格に応じてメニューを考えた家庭料理を提供し、喜ばれている。運営面では、メンバーに仕事を均等に振り分け、負担を分散する工夫も。売り上げの一部を積み立てて全員で旅行に行くなど、1996年の設立当初から変わらないメンバーで楽しみながら活動している。
 
 食材は、肉や魚以外はメンバーが生産したものを中心に仕入れている。米は「はえぬき」を30キロ8500円、野菜は直売所価格の8割程度で買い取り、規格外も活用する。
 米は30キロずつ精米して炊くため、「精米から時間を経たずに提供するので、『ごはんがおいしい』とよく言われます」と花井さん。
 季節の野菜を使うおかずは、焼き物や揚げ物、煮物、漬物など多様だ。メニューは、子ども向けや女性向けなど注文に応じて喜んで食べてもらえるように工夫。常連客には、毎回同じおかずを入れないように配慮する。
 経費をかけすぎないよう、エビ1尾40円、はし1膳(ぜん)1.3円など、食材や資材ごとに単価を考慮し、メニュー作成の参考にする。会合やイベントでのまとまった注文が多く、昨年は1千万円ほどを売り上げた。
 一人暮らしの高齢者を対象に、年末になるともちやミカン、黒豆の甘煮などを民生委員を通じて無償配布する。昨年は15人に提供した。
 花井さんは「お礼の電話が来るとうれしい。地元の人にえぷろんままを利用してもらう恩返しです」と話す。

(3面・暮らし)

写真:ダイコンとゴボウを下処理するメンバー。右から4人目が熊谷花井さん

100520_04.jpg 宮崎県のNOSAI団体では、口蹄疫(こうていえき)の早期終息に向けて、県口蹄疫防疫対策本部と連携して、車両消毒などの防疫対策に取り組んでいる。連日、40カ所の消毒ポイントに約120人のNOSAI職員を派遣。現地防疫活動に獣医師13人が協力している(10日現在)。NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会、工藤悟会長)は4月20日、口蹄疫発生の情報を受け、直ちにマニュアルに沿って口蹄疫対策本部(本部長=工藤連合会長)を設置した。口蹄疫の感染拡大防止の観点から、緊急の往診以外の診療業務を中止。農家に事情説明を行うとともに、家畜共済の掛金支払い猶予など農家の要望を取りまとめ、県を通して農林水産省に提案、特例措置の実施に反映している。
 
 NOSAI連宮崎の口蹄疫対策本部では、(1)感染拡大防止の観点から診療業務の中止(2)県口蹄疫対策本部からの情報収集(3)防護服や消毒薬など資材の確保(4)防疫業務の人数調整・手配、獣医師派遣(5)国との家畜共済の事故取り扱い協議――などを進めてきた。
 家畜市場の閉鎖、出荷停止などの影響で資金繰りが厳しい農家の声を踏まえて、NOSAIでは、家畜共済の特例措置の要望を取りまとめ、県口蹄疫対策本部を通して農林水産省に提案。同省は4月27日、九州各県(沖縄県は5月11日)に家畜共済の掛金納入の猶予など特例措置を実施するよう通知した。
 さらに、4月30日付け指導通知で、家畜防疫員の指導や県畜産主務課の判断でNOSAI職員の農場への立ち入り自粛が適当とされた場合、家畜共済の継続加入・異動などに伴う現地確認を電話での確認と終息後の現地確認とする――などの業務対応が取られた。感染拡大防止を最優先とする対応とした。
 NOSAI連宮崎では4月20日、県から疑似患畜発生の情報を受けるとすぐに各組合に連絡、「NOSAI伝染病防疫初動マニュアル」の確認を指示。口蹄疫対策本部を立ち上げ、感染の拡大防止・関係機関との連携に向けた体制を整えた。有川課長は「NOSAIとしての初動体制は迅速に立ち上げた。発生件数が多数に上ったことが残念だ。発生地域の拡大防止に尽力したい」としている。初動マニュアルは12年前に作成し、2000年に発生した口蹄疫の経験を踏まえて、01年8月に再整備していた。

(5面・NOSAI)

写真:口蹄疫の感染拡大防止に向け、連日、車両消毒が行われている。NOSAI職員も行政や農業団体職員と連携して取り組んでいる(写真提供=NOSAI連宮崎)〉

100520_05.jpg 徳島県のNOSAI南部(徳島南部農業共済組合、助岡克則組合長)では、家畜共済の損害防止事業の一環として、子牛の除角作業に取り組んでいる。除角後は、群飼育する牛同士の角突きが少なくなり、発育の均一化と肉質の向上が図れる。農家は高齢化や人手不足などで、除角を実施したくてもできないのが現状。昨年度はで1736頭の除角を実施し、肥育牛農家などから喜ばれている。

◇     ◇

 取材当日は、小松島市田野町の谷崎賢二さん(64)方で、14頭の除角を実施した。谷崎さんは、肥育牛(和牛20頭、交雑種120頭)、温州ミカン1ヘクタールを経営。毎年、8カ月齢前後の牛を70~80頭導入、2~3カ月後に除角を依頼している。
 谷崎さんは、「除角をすると、牛同士は仲良くなり、採食時間が長くなった。角突きによるアタリ(皮下出血による瑕疵〈かし〉の発生が減り、出荷後のクレームが少ない」と説明する。
 作業は、谷川忠義・組合指定獣医師の指導・協力のもと、NOSAI職員3人を派遣して行う。子牛は牛舎の柵に、1頭ずつ頭部をロープで保定し、角根部から1~2センチ上を除角用のはさみで切断。すぐに熱した焼きごてを角の断面に当てて止血し、状態を確認して終了する。
 管内では、畜産農家の8割が肥育牛を飼養している。除角は家畜共済に加入する農家を対象に、1995年の合併組合の発足当初から取り組んできた。
(5面・NOSAI)

写真:角を切断した後で焼きごてで止血する谷川獣医師(右)とNOSAI職員

 トマトの促成栽培に取り組む埼玉県熊谷市上中条の吉野文男さん(67)。耐病性品種を使い、ハウス内の湿度を低く抑えて病気の発生しにくい環境を整え、減農薬栽培を実践している。湿度調整と雑草防除のため、畝間には稲わらを敷き詰め、湿気を逃がす内張りカーテンを利用。ハウス天窓の開閉でこまめな温・湿度の調整を行う。暖房機は除湿にも利用し、「今年は化学合成農薬を使わずに済んでいる」という。直売主体のため、完熟で食味が良く、多くの客のニーズに合ったトマト栽培を心掛けている。
 
100520_06.jpg トマトの病害対策には湿度を下げることが大切と考え、畝間には50アール分の稲わらを敷き詰めている。「稲わらは昼間に乾燥し、夜間は湿気を吸収してくれる」と吉野さん。内張りカーテンには、保温と湿気を逃がす役目を果たすLSフィルムを使っている。
 加温期間は11月下旬から3月末まで。暖房機は除湿にも利用し、温度むらを無くすため、循環扇を設置する。
 灰色カビ病防除には、4月末まで暖房機のダクト内に生物農薬「ボトキラー水和剤」を投入。化学合成農薬の使用回数の低減に努めている。吉野さんは、化学合成農薬と肥料を慣行の5割以上削減して生産される埼玉県特別栽培農産物の認証を取得した。
 品種は葉カビ病に強い「CF桃太郎はるか」の接ぎ木苗を購入する。「かわいがるが過保護にはしない」と吉野さん。定植まで肥料や水を与えず細く育てる。11月上旬に2花目で定植。畝間1.5メートル×株間60センチの1条植えとし、1段でも多くとるため、苗は南側に寝かせている。2本仕立てで10アール当たり1千本ほどの苗を使う。

(11面・営農技術)

写真:「摘果は行わず、実った果実はすべて収穫する」と話す吉野さん

 農林水産省は11日、本年度からスタートした戸別所得補償モデル対策の全国の加入申請件数(速報値)が、4月末現在で15万336だったと発表した。モデル対策は、基本的に水稲共済の加入農家約180万戸が対象であり、その1割弱となった。
 赤松広隆農相は同日の会見で農協などとの出荷契約が始まったばかりであるなど、始めの1カ月としては一定の評価ができると強調。今後は政務三役が各地に出向いて制度の普及を図る「あぜ道キャラバン」などを展開し、広く加入を呼び掛けていく方針を示した。
 加入の相談や申請は各農政事務所や地域水田農業推進協議会などで受け付けている。申請の受付期間は6月30日まで。
 4月末現在の都道府県別の申請件数は、熊本県が1万7755と最も多く、鹿児島県1万5386、長野県1万3475、宮崎県1万1794、茨城県1万320――などとなった。

(2面・総合)

100520_07.jpg 【熊本支局】トマト100アールを栽培する南関町の菅原静子さん(50)は昨年11月、自家産トマトを使った「鶏肉と夏野菜のトマトソース煮」で「くまもとふるさと食の名人」に認定された。トマトは、夫・芳雄さん(53)と一緒に減農薬で栽培。料理のレシピや加工品の製造を通して、地域で野菜の普及活動に努めている。
 
 菅原さんは、減農薬で栽培したトマトをソースにすることで、付加価値を付けるだけでなく、規格外品の有効活用にもつなげている。くまもとふるさと食の名人は、地域の特産品を使用し、日々の食生活を活性化させる料理だと県から認められたものだ。
100520_08.jpg 06年に自宅の敷地内に加工場を建設し、加工品作りを本格的に始めた。長男・一真さん(27)が就農し、午前中は加工品作り、午後はトマトの選別と、時間を有効に使っている。
 「トマトソースの商品化を視野に入れており、「お客さんの意見を大切にした加工品作りをしたい」と意気込んでいる。

写真:トマトの選果作業をする菅原さん(右)と「鶏肉と夏野菜のトマトソース煮」(左)

100520_09.jpg 【愛媛支局】「正直びっくりしましたが、今後の果樹栽培の励みになりました」。2009年度「えひめ・みかん祭り」ほ場コンクールの部で愛媛県知事賞を受賞した西予市三瓶町の菅原明信さん(46)は、「不知火」を中心に、「紅まどんな」など約170アールを栽培している。
 受賞したのは、このうち不知火15アールの圃場で、09年度は、2L・3Lを中心に10アール当たり約4.5トンを収穫。全体の80%が秀・優で高品質だった。
 受賞した園地では、9年生の樹木400本を植栽していたが、昨年、列単位で間伐し、半数の約200本に。一本一本の樹冠を独立させることで、収穫量はほとんど変わらず、作業効率は上がり、労力も大幅に軽減した。
 菅原さんが果樹を栽培するうえで最も注意しているのが、樹体管理だ。樹勢を維持するため、堆肥、液肥を積極的に施用するほか、3年に1度、樹冠下にコアラピートモス(ヤシ殻)を投入し、細根を増加させ、木の水分維持を図る。
 「とにかく、消費者に喜んでもらえる品質の高い果実を目指しています」と菅原さん。「甘平」など新品種にも挑戦する予定だ。

写真:間伐後の圃場。樹木を約半数に減らすことで日当たりが良くなり、収穫量を維持したまま作業の軽減ができる

100520_10.jpg 【新潟支局】上越市中郷区藤沢の渡辺岩夫さん(64)は13年前から、自家栽培のトウガラシを使った香辛料「辛味子(からみっこ)」をJA直売所などで販売し、地域の特産品として好評を得ている。
 辛味子は、麹(こうじ)の中に粉末のトウガラシ、塩、ニンニク、酒、ユズを入れて発酵させ、3年ほど寝かせたもの。材料には魚沼・川西地区から取り寄せた伝統野菜「かぐら南蛮(トウガラシの一種)」も使用している。
 年間10回ほど、イベントに参加して対面販売も行っており、渡辺さんは「リピーターが増え、お客さんに会えるのが楽しみです。これからも、顔の見える販売を行いたい」と意気込みを話す。

写真:「辛味子」。1月の大寒の時期に仕込みを行う

 【和歌山支局】有田川町でサンショウの栽培・加工を行う「かんじゃ山椒(さんしょう)園(永岡冬樹代表・53歳)」では、商品の一つ「山椒水煮」がこのほど、「米国人ジャーナリストが選ぶ日本食品10選」に選ばれ、販路拡大にますますやる気を見せている。
 「いろんな人と知り合えた。それが今回の受賞につながった」と喜ぶ永岡さん。今後は、「もっと加工部門を拡大し、国内はもちろん国外の人にもサンショウの良さを知ってもらうため、輸出もしたい」と話す。

写真:山椒水煮。作業場の隣りには軽食喫茶があり、山椒を使ったパスタなどの料理が楽しめる

100520_12.jpg 【千葉支局】房州ビワ栽培の第一人者として知られている中井滋郎さん(73歳、館山市)が、ビワの栽培方法を分かりやすく解説した「ビワの絵本」を執筆した。
 中井さんは、県農業試験場安房分場(現・県農林総合研究センター暖地園芸研究所)で、果樹担当としてビワ、ミカンなどを研究。現在は枇杷倶楽部(びわくらぶ)(道の駅とみうら)の技術顧問を務めている。
 絵本では、整枝剪定(せんてい)、摘果、袋かけなども詳述。巻末には、大人向けの解説も加え、絵本でありながら、ビワ栽培の教科書ともいえる内容だ。
 中井さんは「水やりをまめにして、日ごろの管理を怠らなければ、2、3年後には、おいしい果実を手にとることができる」と、ビワの大鉢栽培を勧めている。

写真:「やさしい表現にしています」と、ビワの絵本を手に中井さん

100520_13.jpg 【岩手支局】繁殖牛を飼育する久慈市山形町の八幡利武さん(73)方でさきごろ、日本短角牛では珍しい真っ白な毛の雄牛が生まれ、話題となっている。
 「無事に出産させることに夢中で、驚いている暇はなかった。祖父の代から繁殖牛を飼育しているが、全身が白い毛の牛を見るのは初めてだ」と話す八幡さん。
 妻のトシノさんは白い子牛を「シロ」と名づけ、うれしそうに毎日、子牛の背中をなでている。

写真:「シロ」の背中をなでる八幡さん

 ▼農林水産業の営みを通じ、自然環境と生物多様性を守り育てる活動が各地に広がっている。農林水産省は、生産物を活用した情報発信や環境教育を進める取り組みを「生きものマーク」と呼び、普及を図る。先ごろまとめた「生きものマークガイドブック」には全国で活動する42の先進事例を掲載。実践に向けたポイントを解説する。
 ▼兵庫県豊岡市の「コウノトリと共生した米づくり」や新潟県佐渡市の「朱鷺と暮らす郷づくり」では、地域を挙げて農薬や化学肥料の使用量を減らした稲作に取り組む。餌となる小動物が生息しやすい環境づくりで農家の役割は大きい。消費者の関心を集め、米は慣行栽培よりも高値販売され、売れ行きも好調だ。
 ▼当然ながら生きものマークの取り組みは高値販売が目的ではない。しかし、生産物の販売や情報発信を通じて一般の人たちの理解や支援を広げないと、農家側の負担が大きく、活動の継続が難しい。
 ▼魚道や小動物用のスロープ設置、地域住民や子どもたちと行う生きもの調査には、費用や労働の負担が伴う。中干しの時期を遅らせたり、冬期に水田に水を張って水鳥の生息場所を設けるには、稲作との両立が可能な作業や栽培体系の工夫も必要だ。
 ▼農林水産政策研究所の調査では、生物多様性に配慮して生産した「生きものマーク米」と慣行栽培米の価格差は5キロ当たり最大2千円程度。価格差がなくても直販で中間マージンを省いて利益を確保したり、価格の一部を生物多様性保全の費用に利用する例もあった。
 ▼コウノトリ保全の米購入者に対する調査では、生物多様性や農法の知識を持つ人ほど追加的な金額負担に理解を示す傾向があった。生物多様性保全の取り組みは、自然環境の改善にも貢献でき、生産者、消費者双方に利益がある。さらなる広がりを期待したい。

 酪農を経営しながら乳製品の製造・販売を手掛ける、佐賀県佐賀市鍋島町の有限会社ヨコオ牧場。代表取締役の横尾文三さん(61)は、「年間の乳量約26万キロのうち、18万キロが加工用」と話す。低温殺菌牛乳やアイスクリーム、飲むヨーグルトなど多くの乳製品を生産、直営店舗のほか県内外の百貨店やスーパーなど23カ所で販売する。「牛乳を飲む量が減ったら、食べてもらうしかない」と、チーズの生産者団体を設立、消費拡大に取り組んでいる。
 
100505_01.jpg 牧場は標高600メートルの背振(せふり)高原にあり、現在は従業員2人で経産牛30頭と育成牛6頭を飼育する。ホルスタインが主で、ジャージーは12頭ほど。フリーバーン牛舎には2ヘクタールの運動場を併設し、出入り自由になっている。
 ホルスタインの搾乳牛1頭当たりの年間乳量は1万キロ、乳脂率3.9%、無脂固形分率8.5%、1ミリリットル中の細菌数は平均3千個だ。
 加工場では従業員4人とパート4人が働く。プライベートブランド「ミルンの牛乳」は、生乳中の脂肪球を砕かないノンホモで65度30分の低温殺菌処理を行う。価格は1本800ミリリットル入りが570円(税込み)。
 2000年からは、20製品のOEM生産(相手先ブランドでの製造)を行う。「地産地消に取り組む企業や団体などから、果物や野菜、加工品などを使った商品の依頼が多い」と横尾さん。500個から注文を受け付けており、アイスクリーム製造量は夏場の3割を受託が占める。
 OEMは加工場の稼働率を高めることに加え、自社製品の販路拡大にもつながっている。OEM生産を引き受けるとともに委託元の店舗に自社商品を納入する。
 道の駅「大和(やまと)」そよかぜ館では、ヨコオ牧場に加工を委託し、オリジナルのソフトクリームを販売する。小野善隆代表は「地元特産の干し柿を若い人にも食べてほしいと考え、ソフトクリームの原料に使った。『干し柿ソフト』を中心に年間7万個ほどを売り上げる」と話す。
100505_02.jpg 横尾さんは佐賀市内で牧場を経営していたが、宅地化が進むにつれ、悪臭への苦情が増えた。
 97年には牧場と加工場を脊振村(現・神埼市)に移した。
 牧場ではナチュラルチーズやモッツァレラチーズなどを製造。横尾さんは、九州・四国地方でチーズ作りに取り組む生産者が設立したローカルチーズネットワーク(7戸)の代表を務めている。
 
 アイスの店を上海に出店
 新たな取り組みとして、中国・上海にソフトクリーム原液を冷凍して輸出。08年11月に出店し販売を始めた。「2年半かけ、友人の協力でうまくいった」と横尾さん。
 牧場で事務を担当する長男の里幸さん(36)は「1個15元(約205円)のソフトクリームの売れ行きが良い。月に4千個から5千個を売る」と話す。上海万博による需要の増加を期待している。

(1面)

写真上:「背振高原は環境が良く、1頭当たりの平均産子数は3.6~3.7頭と多い」と話す横尾さん
写真右:モッツァレラチーズを製造する従業員

 農林水産省は4月27日、政府の新成長戦略(基本方針)で掲げた「『食』に関する将来ビジョン」を策定するため、全府省の大臣政務官らで構成する検討本部の初会合を開いた。「食」や「農」が持つ医療や教育、観光、環境などの多様な機能の有効活用など関係省庁と連携した施策立案につなげ、食料自給率向上や農山漁村活性化を促す。検討の素材に新ビジネスの掘り起こしや健康・生きがいづくりの場としての利用、6次産業化の推進などを示した。今後は生産者や消費者、産業界など有識者も参画してもらい、6月をめどに中間報告をまとめ、年末までにビジョンを策定する。
 
 検討事項には、「食料自給率向上と食料安全保障」「農山漁村活性化」の二つを挙げた。食料自給率を50%に引き上げ、食料安全保障に万全を期すための課題として、「食」や「農」が持つ多様な機能を活用した関係府省連携による施策の立案や新ビジネスの掘り起こしを挙げた。人口減少・高齢化の進展や新型感染症の発生、食品の安全への関心の高まり、環境問題、最近の食料の国際価格高騰など食料供給に関する新たな課題への対応なども検討する。
 農山漁村活性化の課題には、関係府省の連携による6次産業化を支える技術開発と研究の推進策、農山漁村コミュニティ活性化方策などの検討を打ち出した。雇用創出やNPO(民間非営利団体)など都市住民との連携、高齢化対策も検討する。
 農林水産省は検討に向けた具体例を提示。農業者率・有業者率が高い県ほど老人医療費が低い傾向にあることや、農業体験などに期待される教育効果を報告した。農山漁村への観光・交流需要が高まっていることから、観光庁(国土交通省)と連携した観光施策推進の必要性も強調。カイコの絹糸を活用した小口径人工血管など医療用新素材やサプリメントなどの機能性食品の開発、さらに太陽光・小水力の導入など農山漁村の6次産業化によって、10~20年後に6兆円規模の新産業創出とする見通しを示した。

(2面・総合)

 NOSAI山形中央(山形中央農業共済組合、青柳長一郎組合長)では4月下旬から5月中旬に管内26会場でNOSAI部長研修会を開き、2010年度事業を本格的にスタートさせる。春先からの天候は、寒気の影響で低温ぎみに推移。NOSAI部長は、農家に適切な肥培管理を呼びかけるとともに、NOSAI制度で経営を守る大切さを説明していきたいとする。春作業の準備を急ぐNOSAI部長や農家に話を聞いた。
 
100505_03.jpg NOSAI部長研修会の出席率は毎年7~8割と高く、NOSAI部長の役割や制度の仕組みの勉強、加入申し込み・被害申告の取りまとめの注意事項の確認に役立っている。研修会後は、建物・農機具共済の加入推進、次いで麦やサクランボの被害申告――と本年度事業が始動する。
 「サクランボの開花が1週間ほど遅れぎみ。栽培管理に注意が必要だ」と話すのは、東根市神町西地区の工藤隆男さん(63)=サクランボ、リンゴなど1.2ヘクタール。果樹生産が盛んな地域で、NOSAI部長と損害評価員を30年ほど務める。サクランボの半相殺減収総合方式とリンゴ・西洋ナシの半相殺特定危険暴風雨方式、樹体共済をメーンに推進する。
 工藤さんの担当地区は本年度、集落再編で拡大した。「農家の兼業化と果実の価格低迷で、果樹共済の加入推進は難しい。新たに担当する農家に耳を傾けてもらえるよう、制度説明に努めていきたい」と話す。
 東根市神町南地区の須藤一元さん(45)=サクランボ、リンゴなど3ヘクタール=は、本年度からNOSAI部長を担当する。「NOSAI部長の役割などを研修会で勉強し、前任者を見習って、役割をしっかり果たしたい」という。
 「もっとフィールドへ」をスローガンに掲げる、NOSAIの全国運動「信頼のきずな・未来を拓(ひら)く運動」が本年度から始まった。NOSAI山形中央の青柳長一郎組合長は「NOSAI部長は事業運営の要。組合職員とNOSAI部長との情報交換を一層密にして、NOSAI部長の活動を支援したい」という。
 今年は春先から度々強い寒気に見舞われる。「果樹や水稲の生育への天候不順の影響が心配だ。NOSAI部長の協力で、農家に栽培管理への注意を呼びかけていきたい」と話している。

(5面・NOSAI)

写真:芽かき(摘らい)を行う工藤さん。「遅霜や低温への注意を声かけしていきたい」という

 今年の夏は、北日本を中心に冷夏傾向が心配されている。気象庁は、4月22日に発表した3カ月予報で5~7月に北日本から西日本にかけて気温が低くなる時期があると予報した。3月以降は継続的に日照不足と低温に見舞われ、野菜などの出荷に影響が出た。水稲の田植え時期を迎え、今後の気象変化に注意し、技術的対策を講じていく必要がある。
 
100505_04.jpg 気象庁地球環境・海洋部気候情報課――前田修平予報官に聞く
 低温と日照不足が顕著だった最近の気象と夏の天候予報について、気象庁地球環境・海洋部気候情報課の前田修平予報官に聞いた。
 ――春先から低温が続いている。
 前田 3月上旬は気温が上がったが、中旬から低下。4月上旬は平年並みに持ち直すが、中旬以降、再び低温になった。寒暖の差が大きいのは、北極振動で寒気が南下したり押し戻されたりしたためだ。強い寒気は4月で終わり、5月上旬には気温は上昇すると見込んでいる。
 ――北日本の夏の低温が心配されている。
 前田 長期予報では6~8月は「北冷西暑」の傾向といえる。特に北日本で低温傾向の予報が出ている。6~7月の梅雨時期の降水量は、北日本を中心に多い見込み。
 

写真右:前田予報官

 
 
 
 農研機構・東北農業研究センター――やませ気象変動研究チームに聞く
100505_05.jpg 農研機構・東北農業研究センター(岩手県盛岡市下厨川)やませ気象変動研究チームは4月24日、「水稲冷害早期警戒システム」に、2010年産水稲を対象とした早期警戒情報の連載を開始した。インターネットで、東北各県の気象情報や栽培管理のポイント、最近1週間の平均気温に基づく水稲生育・活着障害の危険度(地図表示)などを情報発信する。
 菅野洋光チーム長は「近年、東北地方の夏の平均気温は年次変動が大きくなっている。突然の低温・寡照にも適切に対応する必要がある。気象庁は2月から夏の低温傾向を予報しており、穂ばらみ期、開花期など低温危険期の温度変化には特に注意してほしい」と強調する。
 現在、「気象予測データを基にした農作物被害軽減情報サービス」(利用には登録が必要)も運用している。7日先までの気象予測データを用いることで、より早めの対策に生かせる。「水稲情報」では、出穂期や低温危険期の予想日のほか、5日先までを対象に深水管理の必要度を表示する深水管理警報、葉イモチ発生予察情報(感染好適条件の発生状況)などを確認できる。
(6面)

 
写真上:「冷害対策にインターネット情報をうまく使ってほしい」という菅野チーム長

 伝統野菜「東京うど」の長期出荷体制を確立し、直販を伸ばしているのは、東京都立川市幸町の須﨑雅義さん(66)。贈答用中心に個人客約500人のほか、スーパーや飲食店に販売する。東京うどは、穴蔵に根株を伏せ込んで作る軟化栽培が特徴。根株を冷蔵保存し、12月中旬から翌年10月上旬までの長期出荷を実現した。小学生の穴蔵見学を受け入れるなどウドをPRし、販路確保と消費拡大に努めている。
 
100505_06.jpg 須﨑農園は、家族4人の経営でウドをメーンにブロッコリー1ヘクタールなど野菜を栽培する。ウドの品種は軟化栽培向けの「都」を使用。栽培する穴蔵は、自宅から800メートル離れた雑木林に八つある。深さは約3.5メートルで、地下に降りると四方に1.5坪ずつのスペースがある。
 かつては全量を市場出荷していたが、価格が安定しなかった。雅義さんは「経営安定のため、直販中心に切り替えてきた」と話す。現在では、直販が6割を占めている。
 良いウドは、長さ70センチほどで白く、表面がきれいなものという。4キロ入りを年間7千~8千箱出荷し、価格は1月下旬まで3千円、それ以降は2500円(いずれも税込み、送料別)だ。贈答用など食べ方が分からない人もいるので箱にはレシピを入れている。
 根株の養成は年1作で連作すると障害が出る。市内で養成する70アールでは不足するため、群馬県の準高冷地に1.2ヘクタールを栽培委託する。高値販売できる年末から正月の出荷向けに根株を確保するのがねらいだ。
 根株を穴蔵に伏せ込んで30日後に出荷できる。須﨑農園では穴蔵をローテーションして5~7日間隔で伏せ込み、長期間安定的に出荷できる体制にしている。2月末ごろからは根株を保冷庫で保存する。電気代などコストはかかるが、注文に応じて出荷し、顧客の信頼を獲得している。

(8面・流通)

 
写真:地下には光が入らず、ウド栽培に適した18~20度に保てる。ハウスでも栽培できるが「地下の方がコストはかからない」と雅義さん

 ハウス60アールと露地7.7ヘクタールで野菜を栽培する静岡県森町谷中の農業生産法人・有限会社「佐野ファーム」は、GAP(農業生産工程管理)手法を導入し、生産コスト低減や秀品率向上など経営に役立てている。収量など畝ごとの詳細なデータを作付け品目の選択に生かしたり、整理整頓の徹底で作業効率向上につなげている。佐野元洋社長(54)は「GAP導入のきっかけは取引先との信頼関係を築くためだった。次期作の計画や無駄の防止につながるなど経営に欠かせない」と話す。
 
100505_07.jpg 佐野ファームは社員3人、パート15人を雇用する。2008年にJGAP認証を取得した。対象品目は、レタスやルッコラ、ミズナなど計39品目。06年に県版GAP「しずおか農水産物認証制度」の認証を受けており、ステップアップを図った。また25アールの施設で有機JAS認証を受けている。
 「GAPでは作業ごとにチェック項目があり、生産工程の改善に役立つ」と佐野さん。土壌分析結果や農薬の使用回数などは、GAP審査に必要な畝ごとの詳細なデータを取っている。審査資料には必要ないが、収量なども細かく記録し、次期作の作付けや施肥計画などに活用する。
 「土壌分析の結果だけなく、日射量や温度、湿度なども栽培に影響する。さまざまな作物を試し記録してどの品目がどの圃場に適するか分析している」と佐野敦子専務。データ蓄積の開始後、秀品率が向上し、収量も毎年数%ずつ伸びているという。
 整理整頓もGAPのチェック項目となっている。GAP導入以前に比べ、道具を探す時間の短縮につながったという。
 GAPのチェック項目に合わせて作業をマニュアル化し、従業員が取り組みやすいように個条書きで注意事項にまとめている。

(9面・営農技術)

 
写真:「GAPを初めて導入した時、こんなこともやるのかととまどいがあった」と佐野社長

 口蹄(こうてい)疫が発生した宮崎県で疑似患畜例が拡大している。4月30日には新たに川南町の養豚農家で疑似患畜を確認。30日現在で12例となり、まん延防止のための殺処分対象頭数は合計約4400頭に上っている。
 農林水産省は28日、口蹄疫防疫対策本部を開催。宮崎県に加え、隣接する大分・熊本・鹿児島県全域で畜産農家への消毒薬散布(全額国庫負担)を実施し、宮崎県での防疫措置を支援する獣医師などの増員を決めた。29日には感染険路解明に向け、宮崎県内に疫学調査チームを派遣した。
 疑似患畜例のうち11例は都農町と隣接する川南町に集中するが、28日にはえびの市は両町から南西に約70キロ離れたえびの市の肉用牛肥育農家で確認。宮崎県は同日、えびの市の当該農場から半径10キロ圏内を「移動制限区域」に指定。半径20キロ圏内を「搬出制限区域」にした。対象地域は熊本県と鹿児島県の一部が含まれる。
 出荷停止など影響を受けた農家への支援について、農林水産省は23日に当面の資金対策などを発表。27日には家畜共済の共済掛金納入を猶予する特例措置の実施などを農業共済組合等に指導するよう九州各県に通知した。家畜市場が閉鎖された後に共済掛金期間が満了する場合には、満了日から閉鎖が解除された後60日までを支払い猶予期間とする。また、共済掛金の分納者で家畜市場の閉鎖で収入が減少した場合には、共済掛金の支払いが遅れても共済金を支払う。

(2面・総合)

100505_08.jpg 【山形支局】山形県の花「紅花(べにばな)」を健康食材として広めようと、長井市平山の蒲生日出男さん(56)が、花や葉の加工と販売に取り組んでいる。ベニバナの抗酸化作用に注目し、染料や観賞用としての利用だけでなく、食べて健康になろうと呼びかける。
 蒲生さんは、ベニバナ栽培のベテラン・青木勝助さん(76)=白鷹町=のアドバイスを受け、地元農家の赤間孝一さん(56)ら10人と2004年に「県花紅花咲かせる会」を発足。ベニバナの持つ、がんや脳梗塞(のうこうそく)の予防につながる坑酸化作用を知ったのをきっかけに、食用としてのベニバナ栽培を始めた。
 蒲生さんらが栽培している品種は「最上紅花」で、5月上旬ごろ10アールの畑に種を播く。40日ほどで若葉を収穫、7月には花を収穫している。昨年は、ハウスでの栽培にも挑戦。9月と12月に種を播いた。葉だけの収穫なら、年間3回収穫できるが、無肥料・無農薬の栽培のため、除草に手間がかかる。

写真:左から赤間さん、蒲生さん、青木さん

100505_09.jpg 【広島支局】シベリア原産の野菜「ルバーブ」の栽培に取り組む、三次市三和町の坂田尚也さん(80)は、「ほかのどこにもないものを作って、地域の特産品にしたい」と、地域と連携し、ルバーブの食酢をこの夏から販売する予定だ。
 坂田さんは、水稲や野菜などを栽培・出荷する傍ら、地域独自の特産品作りに挑戦している。ルバーブの栽培を始めたのは15年ほど前。消費者の健康志向が高まる中、クエン酸が多く含まれ、健康食品として注目されているルバーブに目を付け、ジャムの製造も手掛けた。
 ルバーブ酢の開発には、同市の三次広域商工会が仲介し、広島市の食酢製造会社が協力。坂田さんが持ち込んだルバーブの葉柄(葉の一部で、葉身を茎や枝につないでいる細い柄の部分)約2キロを使い、酢を試作した。
 昨年2・2アールに作付け、この春に収穫するルバーブ60キロを使い、夏には300ミリリットル入りのルバーブ酢3千本が完成する予定だという。販売は市内の観光農園で行う。

写真:「鶏ふんなどを大量に施肥している」と坂田さん

100505_10.jpg 【三重支局】耕作放棄地を増やさないようにと、特産甘夏の栽培・加工に、尾鷲市天満浦(てんまうら)地区の「天満浦百人会(てんまうらひゃくにんかい)」(北村恵史理事長=71歳、会員27人)が取り組んでいる。
 同会は、過疎化・高齢化が進む中、より楽しく住みやすい地区にしたいという思いから、住民たちで結成。甘夏を栽培する高齢農家の作業支援から始め、8年前、約17アールの園地を借り受け、会として栽培している。
 会員にはかんきつ類の栽培経験者もいて、市農業委員のアドバイスを受け、環境に配慮した農業を実践。北村理事長は「地区の財産である園地を絶やしたくないという思いでやっています。農薬は一切使いたくないので、除草作業が一番大変ですが」と話す。
 2007年にNPO法人となり、甘夏のマーマレードやジュースの製造・販売を始めた。

写真:マーマレード「べっぴんさん」と「夏柑塩」「塩ぽん酢」

100505_11.jpg 【山口支局】山口市名田島地区の女性4人グループが、山口県のオリジナル野菜「はなっこりー」の栽培に取り組んでいる。
 山田美穂さん(36歳)が代表を務める「オリーブ」の栽培はハウス10アールと露地10アール。山田さん以外の3人は、農業の経験がまったくなく、幼稚園の子育て仲間として山田さんの生産を手伝っていた。4人の頑張る姿を見た周りの人たちから「グループで本格的に生産してみたら」とのアドバイスを受け、今年4月から「オリーブ」として活動を開始した。
 山田さんは「農作業に休みはありませんが、4人で栽培するからこそ、子どもに手が掛かる時は気軽に休みを取ることができますよ」と話す。

写真:「4人で栽培するから、家族サービスや子育てなど両立ができるなどメリットがたくさん。だから毎日が楽しい」と山田代表(右)と仲間は口をそろえる

100505_12.jpg 【福岡支局】直売所に農産物を出荷する八女市立花町の松尾信行さん(52)は、「山間部の小規模な圃場を利用し、促成、抑制栽培も取り入れながら、より多くの種類を計画的に生産するようにしています」と話す。
 松尾さんは、標高で違う気温差を利用。水稲のほか、野菜や果実、カサブランカやホオズキなどの花類、ワラビやニンニク、ウドなど全部で数ヘクタール栽培。主に道の駅など直売所3カ所に出荷している。
 農薬を使わず、鶏ふんと油かすを利用する有機栽培を徹底し、直売所で「松尾ブランド」を築いている。現在は道の駅の野菜生産の講師を務めることも。
 「直売所のお客さんのニーズをもとに、普及センターやインターネットなどの情報も取り入れて、いろいろな作物を作っています」と松尾さん。

写真:「多くの種類を計画的に生産している」と松尾さん

100505_13.jpg 【愛媛支局】農作業に便利なガーゼ素材のショール「かぶりまショール」を、西条市周布の農業生産法人「り~べる」の代表・藤岡恵美子さんが開発した。
 藤岡さんは、り~べるを運営する傍ら、ハウスでブルーベリーの水耕栽培をしていて、「ちょっとハウスを見に行くとき、わざわざ着替えなくてよいものはないか」と、ショールを考えついた。
 かぶりまショールは指通し付きで、手袋をしなくても手の甲まで覆えるように工夫。また、顔周りにソフトワイヤを入れている。
 紫外線カット加工された、肌ざわりの良いガーゼ生地を使用しているため、紫外線防止効果はもちろんのこと、汗もふける。
 藤岡さんは「農作業だけではなく、ガーデニングやドライブにも重宝。また、マフラーやスカーフ代わりにも使用できる万能ショールです」とアピールする。

写真:ショールを身にまとった藤岡さん。手まですっぽり覆われる

100505_14.jpg 【岡山支局】「大好きなチーズを自分の手で作りたくて、製造工場を建てました」と話す、真庭市蒜山富山根の川合省吾さん(55)は、有限会社蒜山ラッテバンビーノ・を経営。78頭のジャージー牛を自給飼料で飼養し、品質を重視したチーズを作っている。
 川合さんは、1994年につなぎ牛舎からフリーストール方式に切り替え、牛のストレス軽減に努めている。「牛の堆肥で育てた牧草で牛を育てる」という自己完結型農業に取り組む。「良質な牧草を作りたい」と、毎日12ヘクタールの牧場を回り、スコップで雑草を根こそぎ取り除いている。
 08年にチーズ製造工場を建設。現在、13種類のチーズをネット販売中心に、年間約400キロ販売する。

写真:カチョカバロ(右)とチェダーチーズ

 ▼政府の行政刷新会議は、独立行政法人などを対象とした第2弾の事業仕分けを実施し、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の農業者大学校を「廃止」と判定した。定員割れの現状や国費負担が多額などと問題を指摘。農学系の4年制大学や地方の農業大学校に任せるべきと評価者のコメントを添えた。
 ▼先に閣議決定した新たな「食料・農業・農村基本計画」では、10年後に食料自給率を50%まで引き上げる目標を掲げ、意欲ある多様な農業者の育成・確保を重要な政策課題とした。農業者の育成・確保に国が果たす役割を示さずに、唯一の国の農業者育成機関を切り捨てるような判定は理解に苦しむ。
 ▼農業者大学校は1968年に東京都多摩市に設立された。自然科学など実用技術に加え、地域のリーダー育成も視野に入れた農業者教育に取り組んできた。約1200人の卒業生は多くが就農し、大規模経営や加工・販売、有機農業など、多様な経営を展開する。地域農業の先導役として活躍する農業者も多い。
 ▼存亡の危機もあった。01年から独立行政法人となったが、行財政改革の中で04年に農林水産省が「廃止」を打ち出したためだ。卒業生を中心に要請運動を展開。農研機構の内部組織として存続が決まり、08年から茨城県つくば市に移転した。
 ▼教育課程も、より専門的で高度な技術や経営を学ぶ内容に見直した。周辺は農研機構の研究機関が集中し、研究者との交流や最先端の研究に触れる機会は多い。日本農業法人協会と提携し、第一線の経営者との交流や実習もできる。
 ▼研究者や経営者との交流は貴重な経験になる。実用技術や先端技術を学ぶには、座学よりも経費がかかるのは当然だ。「定員割れは宣伝が足りないからだ。もっと予算を付けろ」と発破をかける評価者がいないのは残念だ。

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