農業共済新聞 全国農業共済協会(NOSAI全国)
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今週のヘッドライン: 2010年6月アーカイブ

 富山県氷見市は、ハトムギを転作の最重点作物と位置付けて振興。今では全国生産量の約1割を占める産地となった。同市仏生寺の「細越ハトムギ生産組合」(田村幸治組合長=77歳、14戸)が1985年に栽培を始めたのがきっかけ。収益を上げようと、いち早く茶やせんべいの加工に取り組み、スーパーなどで試飲試食を繰り返して販路拡大に努めてきた。JA氷見市が開発したペットボトル茶の人気にも後押しされ、販売は好調だ。細越集落では、2008年にハトムギのオーナー制度をスタート。特産となったハトムギを生かして高齢化、過疎化が進む集落に多くの人を呼び込もうと懸命だ。
 
100701_01.jpg 標高180メートルの山間地にある細越集落には、17戸48人が住む。集落の中心にある細越集落総合センターの1階が生産組合の加工場だ。
 加工場に入ると焙煎(ばいせん)して粉砕したハトムギの香ばしい香りが漂う。加工部の女性3人が手際よく10グラムずつをスプーンですくい、ティーバッグに入れて封をする。
 「集落内に働く場所があるのがうれしい。忙しいけど充実しています」と、加工部代表の大平志津江さん(62)=水稲40アール、ハトムギ30アール。焙煎機を2台持ち、ハトムギを200度で約1時間焙煎する。作業は週5日で、1日でティーバッグ7千個を詰めるという。
 小麦粉とハトムギ粉末を混ぜて作るせんべいは、製造を委託し、袋詰めは加工部が行う。
 加工品は、JA氷見市に7割以上を卸し、市内のスーパーや直売所などで販売する。直接購入する個人客も100人ほど抱えている。価格は、ハトムギ茶がティーバッグ20個入りで650円、ハトムギせんべいが1袋20枚入りで250円(ともに税別)だ。
100701_02.jpg 生産組合の大平誠一さん(63)=水稲40アール、ハトムギ30アール=は「作って売るだけでは経営は厳しい。集落全体で加工・販売に取り組んできたから、他産地が栽培をやめる中、続けられた」と振り返る。
 加工品作りはハトムギ栽培と同時に取り組んだ。スーパーやデパートに出向き、試飲・試食してもらい、美肌効果があるとされるハトムギの機能性をPRし、地道にファンを獲得してきた。

(1面)

写真上:「水を張っていない圃場はハトムギを栽培している」と話す田村組合長(右)と大平誠一さん
写真右:慣れた手つきで作業を進める加工部のメンバー。左が代表の大平志津江さん

 NOSAI全国(全国農業共済協会)の竹中美晴会長は24日、山田正彦農相と面談し、夏に決定する2011年度NOSAI関係予算の概算要求で必要額確保を要請した。共済掛金の一部を国が負担する掛金国庫負担金と、加入・損害評価など事務手続きに充てる事務費国庫負担金の確保を求めた。
 要請内容は、NOSAI全国が23日に開いた、都道府県NOSAI連合会長・特定組合長による全国会長会議で決議した。09年の「事業仕分け」結果を踏まえ、本年度の事務費国庫負担金などNOSAI関係予算は大幅に削減された。役員定数の削減、職員採用の抑制など経費削減・合理化に努めているものの、特に事務費負担金のこれ以上の削減は、団体運営を困難にし、農家負担の増高を招きかねないと訴えた。
 東日本地区連合会長・特定組合長会議、西日本地区連合会長等会議から全国会長会議に出された制度改善に関する要請も24日、農林水産省に提出した。農作物(水稲・麦)共済の当然加入制度堅持と、戸別所得補償制度の本格実施に併せたNOSAI制度見直しでは相互の機能と役割が最大限発揮される関係調整――などを求めた。

(2面・総合)

 「あなたのお家の身近なやおやさん」――そんな存在になりたいと、農業に奮闘する二人の女性がいる。千葉県我孫子市と柏市にある4カ所の畑(合計1ヘクタール)で60品目の露地野菜栽培に取り組む、今村直美さん(39)と細渕有里さん(23)だ。消費者と直接かかわりたいと宅配と直売所で販売する。農薬を使用しないので、病害虫や雑草の処理など苦労が多い。就農2年目の二人は、周りの農家に栽培方法などアドバイスを受けながら夢に向かって日々成長している。
 
100701_03.jpg 我孫子駅から車で約10分。「わが家のやおやさん 風の色」と名付けた、今村さんと細渕さんの畑を訪ねた。圃場には現在、トマトやオクラ、ジャガイモ、キャベツなどが植えられている。
 「安心して食べてもらいたい」という思いから、農薬は使用しない。堆肥は今村さんが以前勤めていた大学の馬術部から譲り受けた馬ふんから作る。肥料に使うおからは豆腐屋から、カニ殻などと合わせてぼかし肥の材料にする米ぬかは近くのライスセンターから無料でもらう。
 ぼかし肥の作り方や栽培方法などを教えてくれるのは周りの先輩農家だ。「みんなのご指導あっての畑です」と今村さん。
 農業経営者養成などを目的にした千葉大学園芸学部別科で二人は出会った。「自分で作ったものを家族に食べさせたい」と家庭菜園を作っていた今村さんの作業を細渕さんが週1回手伝ったことがきっかけとなり、2年前から農業を本格的に始めた。
 現在のところ、販売の確保と拡大が課題だ。チラシを作成し、地域のイベントで配布したり、セット野菜を販売するなど工夫している。
 今後は、地域の人や子ども、野菜を買ってくれる利用客など「たくさんの人たちが集まる畑にしていきたい」と二人は夢を話している。

(3面・暮らし)

写真:「農業はいろんな人と出会いがあって楽しい」と細渕さん(左)と今村さん

100701_04.jpg NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会、工藤悟会長)は19日、県選出国会議員との緊急意見交換会を開いた。衆参4人の国会議員が出席し、口蹄疫(こうていえき)に対する家畜共済の役割発揮が重要と意見が一致した。
 NOSAIの組合・連合会は、被災農家から「災害に備えての家畜共済なのに共済金が少ない」「加入農家と未加入農家で補償が同じなら、加入の必要がない」「ワクチン接種家畜には共済金が出ない。感染させた方が得なのか」などの苦情が多数寄せられていると報告した。
 法定伝染病の患畜・疑似患畜に対し、家畜共済が損害補てんの役割を十分に果たせるよう制度の改善が必要だと要請し、理解を得た。疑似患畜とワクチン接種家畜で同じ補償が受けられるようにすべきだとの点でも一致した。
 出席議員からは「評価額の全額を国庫で補償することを第一に口蹄疫対策特別措置法(特措法)を作った。家畜共済との整合性が取れなかったのは問題だ」「疑似患畜発生農家とワクチン接種農家との公平性を図る必要がある」などの意見が相次いだ。
 工藤会長は「既存制度の想定外のことが起きている。家畜共済のあり方に大きく影響する問題だ。それぞれの立場から改善を働きかけていただきたい」と要請した。意見交換会終了後、政府口蹄疫現地対策本部の篠原孝農林水産副大臣に緊急要請を行った。

(5面・NOSAI)

写真:工藤会長は「口蹄疫に対する家畜共済の補償を検討してほしい」と話した

 「信頼のきずな」実践強化運動中央推進本部(本部長=竹中美晴NOSAI全国会長)は23日、東京都千代田区の全国農業共済会館で、2009年度「信頼のきずな」実践強化運動の中央表彰式を行った。表彰式では、最優秀賞3組合と優秀賞24組合等、優良賞13組合等、部門優秀賞2組合を表彰。最優秀賞を受賞した3組合の活動を紹介する。
 
 NOSAIオホーツク〈北海道〉
100701_05.jpg NOSAIオホーツク(オホーツク農業共済組合、佐々木環組合長)は、NOSAI制度の説明と接点強化に努め、畑作物共済(タマネギ)の加入拡大につなげた。2009年産の加入面積は、有資格面積の71%に当たる4892ヘクタール(対前年比2.3倍)と大幅に増加している。
 主要JAの役員や幹部職員を対象に畑作物共済事業推進協議会を開き、加入推進の支援を要請。担当職員との打ち合わせも定期的に実施した。JAタマネギ振興部会の会議にも参加し、制度を説明。近年の降ひょう被害に危機感を持ち、NOSAI制度の説明を求める組合員も多かったという。
写真:本年度は6月中旬に引受推進会議を開いた
 
 
 
 
 
 
 
 
NOSAI平鹿〈秋田県〉
100701_06.jpg 秋田県のNOSAI平鹿(平鹿農業共済組合、佐井祐助組合長)は、産業用無人ヘリコプターを利用した水稲や大豆の病害虫防除と防除組織の育成・強化に取り組んでいる。
 組合員と役職員が同じ目線に立って共通した話題を確保するため総代や共済部長、損害評価員などを対象に役付者研修会を開く。また女性部研修会、税の申告セミナー、グラウンドゴルフ大会などを開催。組合員にNOSAI応援団となってもらえるよう努める。
写真:水稲の病害虫防除には無人ヘリが活躍
 
 
 
 
 
 
 

NOSAI三豊〈香川県〉
100701_07.jpg NOSAI三豊(三豊農業共済組合、森徳義組合長)は、戸別訪問を基本に、NOSAI制度の理解と信頼関係の構築に努め、加入を伸ばしている。組合員向けの講習会や鳥獣害防除機器の貸し出しなど農家サービスにも取り組む。
 加入農家間の不公平感を少しでも減らそうと、過去の被害実績に基づき、個人ごとに掛金率を細かに設定する「個人別危険段階共済掛金率」を家畜共済と果樹共済、園芸施設共済の一部に取り入れている。
写真:電子防鳥機の状況を確認するため、職員が農家を訪ねる

(7面・特集)

100701_08.jpg イノシシ被害に悩む栃木県益子町西明寺地区では、イノシシが警戒して侵入しにくくなるよう山と圃場の境界部分の見晴らしをよくし、柵の設置など対策を組み合わせて被害回避に成果をあげている。農研機構・近畿中国四国農業研究センターの井上雅央鳥獣害研究チーム専門員を定期的に招き、試験圃場で実技を交えて対策を学ぶ。12日に開かれた「イノシシ被害対策現地研修会」から、イノシシ被害対策のポイントを紹介する。
 
 山と圃場との境界部分に植えていたクリをすべて伐採し、作付面積を減らして広い空間を確保。見通しをよくするとともに、草刈りの労力を考えて防草シートを敷いた。
 井上専門員は、「イノシシが侵入を警戒するスペースを設け、畑を守れる状況にしないと、どんな柵を設置しても効果はない」と強調した。昨年はサツマイモへの被害が無く、収量も確保できたという。
 鳥獣害研究チームが開発した「おしゃもじ型多獣種柵」の作り方と設置方法も説明した。柵に厚みを持たせており、シカなどの飛び越えを防止できるのが特徴だ。材料はトンネル栽培に使う弾力のあるポールとネットで、身近で手に入る。
 圃場の作付面積を減らして収量減につながると、農家の生産意欲に影響する。井上専門員は今回、一株当たりの収量を増やすナス栽培について、ひもを使った仕立て方や追肥を説明した。
 主枝を決めたら、葉の下の茎にひもを結び、巻き付けて誘引する。ひもは畝〈うね〉に平行に組みたてた支柱に結び、支柱は作業がしやすい高さに調整する。雌しべが雄しべに隠れて見えにくくなってから追肥するなど説明した。

(11面・営農技術)

写真:ナスの仕立て方を説明する井上チーム長

 第22回参院選挙が24日公示され、7月11日の投開票に向け、選挙戦が本格的にスタートした。改選定数は選挙区73、比例代表48の計121議席で、与党の過半数維持には、56議席以上が必要。民主党が60議席以上を確保すると単独過半数となる。昨年秋の政権交代後、初めての全国的な国勢選挙であり、民主党中心の現政権に対し、有権者が初めて評価を下す。農業・農村の再生に向け、農政も重要な争点となっている。
 
 農業政策では、民主党は「戸別所得補償制度の段階的拡大」や「6次産業化による農業・農村の再生」を明示。自民党は「多面的機能を評価した日本型直接支払いの創設」や「多様な担い手を支える経営所得安定制度の導入」を打ち出した。公明党は食料安全保障のための「特別予算枠」の創設を掲げ、日本共産党は農業予算1兆円増額を目指すとした。各党とも食料自給率の向上や農業所得の増大、食の安全・安心や口蹄疫(こうていえき)対策など幅広い分野で独自政策を訴えている。

(2面・総合)

 今年3月下旬からの低温・降霜による農林水産関係の被害総額が、51億9064万円(21日現在)に上ることが分かった。農林水産省は22日、公表した。
 都道府県別の被害額は、和歌山県が最も多く、カキやウメなどを中心に26億1543万円と全体の半分を占める。次いで、奈良県がカキや茶、キクなど4億7203万円、長崎県がジャガイモなど2億2936万円、埼玉県がナシの多目的防災網や棚など2億354万円、高知県が茶やナシなど1億8257万円――などとなっている。なお、茶に被害が発生した静岡県は被害額を調査中だ。
 同省は同日付けで、金融機関に対し被災農業者への既貸付金の償還猶予を依頼する通知を発出。農家から申し込みがあった場合に、被害の実情や農業経営への影響などを踏まえた配慮を求めた。

(2面・総合)

100701_09.jpg 【宮城支局】米粉の消費を促進するため、村田町の有限会社サン・ファーム韮神(にらがみ)(村上伸一社長=57歳、メンバー13人)では、自社で栽培する米「ササニシキ」とシイタケを使い、シイタケの粉末を練り込んだ「しいたけ米粉麺(めん)」を製造・販売している。
 しいたけ米粉麺は、添加物を使用しない半生めんで、手早く調理でき、コシが強く、しっとり、もちもちした食感が特徴。シイタケの味と香りが食欲を誘う。
 シイタケ入りの米粉めんは全国でも珍しく、大阪をはじめ関西方面からも問い合わせが来ているという。
 平めん、中太めん、ワンタンを商品化。村上社長は「シイタケが苦手な人でも食べられると思う。学校給食をはじめ、町内外の飲食店に提供したい」と話す。
 
写真:「もちもちした食感です」と商品を手に村上社長

100701_10.jpg 【熊本支局】地元農産物の消費拡大にと、山鹿市鹿本町の観光複合施設「水辺プラザかもと」では、地元産米粉でパンを作り、施設内で販売。利用客の人気を集めている。さらに、地場産大豆を練り込んだ新しい米粉パンを開発し、「大豆の消費拡大にもつながれば」と期待をかける。
 大豆が入った米粉パンの名前は「畑まるごとパン」。1日に60~120個、多い日は150個を販売する人気商品だ。開発に携わった同施設の中嶋広宣部長(40)は、「黒糖を使っているのでほんのり甘味があり、大豆はクルミのような食感。大変おいしいパンとなっています」とPRする。
 
写真:施設内で販売されるパン。畑まるごとパンは、1日100個前後が売れる人気商品だ

100701_11.jpg 【鳥取支局】水稲の有機・特別栽培にかかわる技術開発の一環で、鳥取県農林総合研究所農業試験場(沢田義久場長)では、昨年度からチェーン除草機の試作・効果の試験をしている。
 除草機は、2メートルの金属のバーに42ミリの間隔でチェーンをすだれ状につり下げたものだ。この器具を人力または田植機に装着して圃場内を牽引(けんいん)。チェーンで水田土壌を攪拌(かくはん)させる。田植えの3日または7日後に、5日または10日間隔で数回行う。この結果、雑草を浮遊させ、除草剤なしで効果を発揮させる。
 開発を担当した、有機・特別栽培研究室の西川知宏農林技師は「田植え後で苗への障害が心配されたが、除草機が入っても健全な苗への影響は少ないようだ」という。
 同研究室の山本博美農林技師は「土質にもよるが、人力の場合10アール当たり20~30分で終了し、効率的だ」と話す。
 
写真:西川農林技師。チェーンの輪7個を1セットにし、中央の輪を金属のバーに42ミリの間隔で固定する

100701_12.jpg 【香川支局】「『飲む輸血』といわれるほど栄養価が高い野菜です。ぜひ試してほしい」と話す観音寺市八幡町の小西美千代さん(51)はこのほど、東欧やアメリカなどで盛んに栽培されている「テーブルビーツ(アカザ科)」を初収穫した。
 テーブルビーツは、地中海沿岸地方原産で、ロシアのスープ料理・ボルシチには欠かせない野菜。濃い紅色の根はリン、ナトリウム、ビタミンなどを多く含み、若い葉と茎には鉄分が豊富だ。
100701_13.jpg 「根は皮ごとゆでてからむき、甘酢漬けに。生をサラダに加えても彩りがいいですよ。葉と茎は、食味がホウレンソウと似ているので、おひたしがお薦めです」と身近な調理法を紹介している。
 
写真右:テーブルビーツを収穫する小西さん。「とても栄養のある野菜です」と話す
写真左:輪切りにすると美しい輪紋がある

100701_14.jpg 【和歌山支局】和歌山県産の新ショウガを使った「生姜(しょうが)丸しぼり・わかやまジンジャーエール」が、和歌山市内のJA直売所やスーパーなどで5月から販売されている。
 和歌山県は、温州ミカンやウメ、柿などのイメージが強いが、新ショウガは全国2位の生産量を誇る。それを全国的にアピールしようと、JAわかやま、和歌山市農業委員会、和歌山商工会議所が連携して、県産新ショウガを使った商品を完成させた。
 試行錯誤を重ね、新ショウガ本来の香りや辛味、風味を最大限に引き出す独自のろ過製法で作り、そのまま飲んでも、カクテルのミキサーとしてもぴったりという。
 
写真:「この夏は、ジンジャーエールで乗り切ろう」と商品を手にJAわかやま職員

100701_15.jpg 【秋田支局】数年前、知人から切り花用のヒマワリを贈られ、「一目見て、鮮やかなイエローと、かわいらしさにほれました」と話す横手市雄物川町常野の渡部美和子さん(61)は、2005年から周年利用するハウスで、ヒマワリ栽培に取り組んでいる。
 渡部さんはトルコギキョウなどの栽培を始めて15年で、花作りのベテランだ。周年被覆のビニールハウス4棟(約320坪)で、観賞用の切り花と野菜を作る。
 ヒマワリは、ホウレンソウなどの葉菜類が終わった4月に播種する。現在、約500本のヒマワリは順調に育ち、収穫の最盛期を迎えている。
 渡部さんは「2カ月間程度の栽培で追肥や病害虫防除は不要。水の管理だけで、いたって作業は楽。労力が掛からないので、女性向きの花の一つ」と説明する。

写真:「ヒマワリは労力が掛からないので、女性向きです」と渡部さん

 ▼家庭から出る生ゴミを堆肥化するなど資源として再利用する取り組みは、循環型社会への転換に向けた事例と注目を集めている。しかし、なかなか広がっていかないのが現実だ。
 ▼先ごろ発表された「生ゴミ資源化全国調査報告書」は、12の自治体による実践例と、焼却施設を管理する931の運営管理団体(市町村と一部事務組合)の意識調査から、生ゴミ資源化の実態と課題を検証する。長崎大学大学院の中村修准教授が中心になってまとめた。
 ▼焼却施設の16%が、モデル実施も含め生ゴミ資源化に取り組んでいると回答。堆肥化が74%を占めた。運営経費など課題もあるが実施団体の63%は事業継続の意向だ。一方、新たに資源利用を始める想定の質問には、施設建設費など予算のほか、分別や堆肥の品質、供給先確保などが「大いに問題」とされた。予算は当然としても多くの事項が生ゴミ資源化の大きな壁と映るようだ。生ゴミ以外の混入や堆肥の品質は、利用する農家の関心も高く、心配な点でもある。
 ▼事例紹介された山形県長井市のレインボープランは、年間900トン弱の生ゴミを回収。畜ふんやもみ殻と混ぜ、310トンの堆肥を製造する。分別を徹底してもわずかにビニールなどが混入するため、施設で除き焼却する。成分は定期的に分析し、表示する。
 ▼堆肥利用を促す工夫が、農産物の認証制度運営だ。年間30トンの認証米を学校給食に利用。食堂やレストランが協力し、認証農産物のメニューを提供する。中村准教授は、地域農業の展開と合わせた循環の取り組みが長期継続事例に共通すると報告し、行政の視点を廃棄物処理から環境政策に移す重要性を訴えている。
 ▼堆肥化は生ゴミの形を変えるだけのこと。農業生産を通じて、再び食卓に戻る仕組みを作らなければ資源循環の輪は完成しない。

 兵庫県加古川市八幡町の農事組合法人八幡営農組合(芦原安男代表、66歳)では、圃場の一元管理ができるパソコン用ソフト「作業計画・管理支援システム」を活用して作業の効率化を図っている。水稲や大麦、大豆などの栽培と作業に関する情報は、地図上に表示しながら1筆ごとに管理できるのが特徴だ。120ヘクタールの農地(1200筆)は、圃場の状態や作業履歴などの記録を生かして、適地適作を実践し、生産性の向上につなげている。作業圃場の間違いが解消され、各種申請書類の作成ミスや転記ミスなども無くなった。
 
100624_01.jpg システムは、農研機構・近畿中国四国農業研究センターが開発した。パソコンで地理情報を管理するシステム(GIS)と地図データを結び付けて、圃場ごとの作付けや栽培管理作業などの情報は、地図上に着色表示して一目で確認できる。
 圃場の面積が分かるため肥料や農薬の適正使用につながる。また、作業の進ちょく状況が確認できるなどメリットは多い。
 組合では、以前は毎朝の作業打ち合わせに時間がかかっていたが、システム導入後は、前日中に作業指示書が作成できるようになった。芦原代表は「職員5人で短縮できた時間を積算すると0.7人分に相当する」と話す。
100624_02.jpg 実際に使う場合は、事前に圃場地図の下絵となる航空写真や自治体が所有する地形図などを入手してデータ化する。パソコン画面上の地図には、1筆ごとに地番や所有者、面積、圃場区画などの情報を入力しておく。
 作付け後は栽培作物、使用した機械や資材(肥料、農薬)、作付けや日々の栽培管理作業などの情報を入力する。栽培中は、作物ごとや疎植・不耕起・直播栽培なども色分け表示できる。

(1面)

写真上:芦原代表は「管理する農地は1200筆になる」と話す
写真右下:組合ではシステムの運用に専門の職員を配置している

100624_03.jpg NOSAI連宮崎(宮崎県農業共済組合連合会)の工藤悟会長は15日、農林水産省の佐々木隆博農林水産大臣政務官に、西日本地区農業共済組合連合会会長等会で決議した緊急要請を行った。
 口蹄疫(こうていえき)など法定伝染病への補償対策で、家畜共済が損害補てんの機能を発揮できるよう、家畜伝染病予防法に基づく手当金との関係調整を踏まえた、制度の改善を求めた。
 併せて、被災地域のNOSAIの組合運営に必要な予算措置や、行政と連携したNOSAI獣医師の防疫活動が円滑に実施できる協力体制の確立を訴えた。

(1面)

写真:佐々木政務官(右)に家畜共済の改善などを求める工藤会長(中央)。左は、川村秀三郎衆院議員(民主党会派・宮崎1区)

 農林水産省は15日、宮崎県の口蹄疫(こうていえき)発生に伴う経営再開支援など追加対策を発表した。ワクチン接種農家への経営再開支援金単価や家畜を早期出荷する搬出制限区域内の畜産農家への支援金単価などを決定。経営再開資金対策では融資枠の拡充し、貸付限度額も引き上げた。戸別所得補償モデル対策関連では、稲発酵粗飼料(稲WCS)や飼料作物などの供給先を失った生産農家への新たな需要先確保支援なども盛り込んだ。現場では極度の疲労や先行きへの不安感が増している。早期終息に向けた防疫措置の徹底と、経営再建に向けた支援の充実が欠かせない。
 
 ワクチンを接種した家畜に対し、時価評価額に基づく殺処分奨励金に加え、ワクチン接種から殺処分までの飼養衛生管理費用相当額として肉専用種肥育の12カ月以上で1日当たり600円を加算する。これに加え、肉専用種肥育で1頭当たり5万9千円などとした経営再開支援金を交付する。
 搬出制限区域内(発生農場から半径10キロから20キロ圏内)の畜産農家への助成単価は、早期出荷に伴う価値低下分が肉専用種肥育の12カ月以上28カ月未満で1頭当たり50万500円、12カ月未満では38万円などに設定した。出荷促進支援金は肉専用種肥育で1頭当たり1万9500円などとし、直ちに販売できない食肉の冷凍保管などに要する経費も助成する。
 また、肥育牛の出荷遅延対策では、移動制限区域内(発生農場から半径10キロ以内)と搬出制限区域内(6月9日以降の設定は除く)を対象に、当該農家の平均出荷月齢から40日以上飼養した肥育牛につき、1頭1日当たり600円を支払う。宮崎県・鹿児島県・熊本県の肉用子牛の出荷遅延助成は、当該農家の平均出荷月齢後30日に達した月の翌月の1日から市場再開までの間、1頭・1日当たり400円を交付する。
 経営再建に向けた資金対策は、農協や市中銀行が行う家畜疾病経営維持資金の融資枠を100億円から300億円に拡充する。経営再開資金の貸付限度額も引き上げ、経営継続資金の限度額は1.3倍に増額する。また、飼養家畜を殺処分・早期出荷した生産者がリース方式で優良種畜を導入する場合に貸付料の金利相当額の半分を助成。日本政策金融公庫が実施する農林漁業セーフティーネット資金の限度額を600万円または経営費の6カ月分に倍増した。

(2面・総合)

 「地域の人たちと支え合いながら、無理せず気張らずレストランを続けていきたい」と話すのは、岩手県一関市大東町下内野地区で農家レストラン「おふくろ」を運営する勝部友子さん(66)。地場産の食材を使った料理を提供し、友人の力を借りて老人クラブや婦人会の会合などへの仕出しにも応じる。民生委員や赤十字ボランティアも務める勝部さんは、一人暮らしの高齢者宅などに料理や菓子を届けて声をかけるなど、地域を見守る"おふくろ"のような存在だ。
 
100624_05.jpg 下内野地区までは、JR大船渡線・摺沢駅からバスで30分以上かかる。自宅横の養蚕小屋を改装したレストランの顧客は月平均30人ほど。完全予約制で「続けるためには無理をしない」と、おもてなしができない人数の場合は断ることもある。
 「料理を作るのが好きだったし、一人暮らしの高齢者の食事が気になって」と、2005年にレストランの開店に踏み出した。以前から無料で高齢者へ料理や菓子を届けていたが、活動を続けるには食品衛生の知識を身につけた方がよいとアドバイスを受けたためだ。今でも月に一度は高齢者宅を訪ね、様子をうかがって話相手になっている。
 定食メニューは「ハーブ豚カツ定食」(1100円)、「野菜天ぷら定食」(980円)、「すいとん定食」(800円)の3種類。各定食には、「ワラビのショウガあえ」や「ナノハナのゴマあえ」など、その時季にとれる山菜や野菜の料理が加わる。

(3面・暮らし)

写真:「出会いがあることが楽しい。接客も苦になりません」と勝部さん

 酪農家が自家産生乳を使って焼くパンが人気になっている。石川県七尾市古府町の有限会社「くぼちゃんパン」(久保吉彦代表=54歳)は、家族4人で酪農とパンの製造・販売に取り組む。店舗は持たず、昼休みに近隣の会社や学校25カ所に出向く対面販売が中心。食パンや菓子パン、調理パンは100種類のレパートリーがあり、客との交流をヒントにした新商品開発にも励んでいる。注文販売も行い、1個から無料で宅配するサービスが好評だ。昨年のパン部門の売り上げは980万円で、年々伸びている。
 
100624_06.jpg くぼちゃんパンは、搾乳牛19頭、乾乳牛5頭を飼養する酪農部門とパン部門からなる。乳牛の飼養管理は吉彦さんと長男・貴光さん(24)が担当。パンの製造・販売は妻・いえみさん(50)と次男・法光さん(23)が中心だ。忙しい時は全員が袋詰めや対面販売に対応する。
 パンの製造に水を使わず、生乳を使うのが売りだ。生乳は保健所の許可を得て、加熱して殺菌し、冷ましたものを使う。カスタードクリームやグラタンにも生乳を使用。1日当たりの乳量約520キロのうち、10~20キロを利用する。
 調理パンに使うジャガイモやトマトは自ら栽培し、そのほか旬の野菜はできるだけ地場産を仕入れる。100種類以上ある中で一番人気はメロンパンで1個140円だ。そのほか、クルミベーグルが160円、ロールパンが100円など。
 法光さんは「季節によって売れるパンが違う。お客さんから意見を聞けるので、商品開発の参考になります」と話す。

(10面・流通)

〈写真:JA志賀訪問介護センターで対面販売するいえみさん(右)と貴光さん(奥)〉

 養豚で発生する汚水中に含まれる高濃度のリンなどは、規制値以下までの低減が義務付けられ、農家の負担となっている。農研機構・畜産草地研究所などは、汚水に空気とマグネシウム剤(ニガリ液など)を混ぜ、簡易、低コストでリンを回収する技術を開発。回収率の向上など実用化に向けた研究を進めている。リンは、肥料として利用できる上、現行処理施設で問題となっている配管詰まりの防止にもなる。同研究所の鈴木一好(かずよし)研究調整役は、「実用化すれば農家のメリットは大きい。さらなるコスト低減などを実現し、2~3年以内の実用化を目指したい」と語る。
 
100624_07.jpg 養豚農家で発生する、ふんや尿が混じった汚水には、1リットル当たり100~600ミリグラムと、高濃度のリンが含まれる。開発した方法は、汚水にマグネシウム剤を混ぜ、空気を送り込み、汚水中のリンをMAP(リン酸マグネシウムアンモニウム)の形に結晶化する技術(MAP法)だ。
 MAP結晶は、反応槽内の金網に付着し、簡単に剥〈は〉ぎ落として回収できる。水洗いと天日干しをすると純度99.5%のMAPが得られ、そのまま肥料などへの活用が可能だ。リンの回収率は最大で50%程度。MAPを反応槽内で結晶化させると、配管内での結晶化が低減され、配管詰まり防止にもつながる。
 また、リンは肥料三要素(チッ素、リン、カリウム)の一つ。耕種農業に広く利用されている。日本はすべて輸入に頼っているが、世界的な食料需要の増加で、米国や中国は、リン鉱石の輸出規制などの措置を取っている。
 実用化に向けた研究では、設備を新設せず、既存の設備を改造して初期導入コストを抑えたり、ニガリ液の代わりにマグネシウムを含む海水を利用するなど、コスト低減に取り組んできた。現在、母豚100頭(肥育豚1千頭)規模で、初期導入費用は100万~150万円程度。運用に必要な電気代や薬剤費は年間8万~18万円と試算されている。

(11面・営農技術)

写真:実験プラントを前に説明する鈴木研究調整役。手前はMAP結晶付着前後の金網

 農林水産省は15日、口蹄疫の感染拡大防止のため飼養家畜(牛・豚)にワクチン接種した宮崎県の農家に対し、家畜共済の農家負担掛金の一部返還を決めた。ワクチン接種時以降の共済掛金期間(補償期間)に相当する額を返還する。移動制限区域内の全頭にワクチン接種を決めた5月19日にさかのぼって適用する。
 農家負担掛金の一部を返還するため、ワクチン接種区域を管内に含むNOSAIみやざき(みやざき農業共済組合)とNOSAI北部(宮崎県北部農業共済組合)では、それぞれ、事業内容を定めた共済規程を改正する。農林水産省は県を通じて、所要の改正内容を通知した。
 ワクチン接種した家畜への補償は、口蹄疫対策特別措置法に基づいて時価評価額の全額が殺処分奨励金として支払われる。実損害額が生じないため、家畜共済の共済金は支払われない。疑似患畜には、手当金(時価評価額の5分の4)と県の見舞金(同5分の1相当)のほか、家畜共済の共済金(基本的に、共済価額から手当金を差し引いた額)が支払われる。共済加入農家からは「疑似患畜には共済金が出る。ワクチン接種家畜にはなぜ出ないのか」――などの声があった。

(2面・総合)

 特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センターや生協、JA全中などで構成する「『農』を礎(いしずえ)に日本を創(つく)る国民会議」(会長=堀口健治早稲田大学副総長)は16日、都内で「日本の食料安全保障を国家戦略に」をテーマにシンポジウムを開いた。食料の国内生産維持を基本に、備蓄と輸入を適切に組み合わせた総合的な政策展開と予算確保を求める提言を行った。食料の海外依存率が高いことの危険性を指摘、国民理解のもとで国産品を購入し、生産を支えていく大切さなどを確認した。生産者や消費者など約400人が参加した。
 
100624_04.jpg 国民会議の堀口会長は、世界の穀物価格が高騰した2008年の食料危機を事例に、カロリー(供給熱量)ベースで食料の6割を海外に依存する日本の脆弱(ぜいじゃく)さを説明。「以前から食料の国際備蓄を提案してきた。一番は国土を使った食料増産だ」と自給力向上の必要性を訴えた。
 農林水産省の舟山康江農林水産大臣政務官が講演し、「食料安全保障は国の最も基本的な責務だ。食料自給率50%を目指す食料・農業・農村基本計画を閣議決定した。政府全体で推進していく」と強調した。
 パネルディスカッションでは、日本食を子供たちの食習慣に定着させる食育への取り組みや、産直活動で顔の見える関係を作り、地産池消を推進している事例などがパネラーから報告された。
 青森大学の見城美枝子教授は「東京・渋谷区では、姉妹都市から購入した『あきたこまち』で週3回の米飯給食を実施する。子供たちも『もっと増やしてほしい』という。自給率が非常に高い学校給食に驚いた」と紹介。
 雑誌「九州のムラヘ行こう」の養父信夫編集長は、元気のなかった農産物直売所をネットワーク化して、学校給食の食材として出荷、売り上げを伸ばしている事例を報告した。

(2面・総合)

写真:食料安全保障の大切さを幅広く議論していこうと呼びかけた

 【秋田支局】約200品目400品種の野菜栽培に取り組む秋田市仁井田の「リトルガーデン」。代表の斉藤善秀さん(54)は、収穫した野菜を地元の直売所やスーパーで販売する。珍しい野菜も多く、料理人から消費者まで、幅広い客層に人気となっている。

 100624_08.jpg 「まず作ってから売ることを考える」と話す斉藤代表。現在、水稲1.3ヘクタール、露地畑2ヘクタール、ハウス7棟(約150坪)を家族2人のほか、従業員4人で管理する。
 高校卒業後に就農し、野菜栽培に取り組んだ斉藤代表は一時、離農したが、さまざまな職種を経験して1987年に再び就農し、リトルガーデンでハーブ栽培に着手。「栽培品種は600を超えた。これだけの数を栽培するので、話題になった」と振り返る。
100624_09.jpg リトルガーデンで手掛ける野菜は、「ふじ色水菜」やちりめんケール、キャベツのつぼみ、アイスプラントなど珍しい野菜も多い。そのため「市内の料理人などから『こんな野菜も欲しい、作ってほしい』と頼まれる。応えているうちに栽培する品目や品種も増えた」という。
 栽培品種が多いため、野菜の多くはあまり大きく成長させずに収穫する。「消費者からすれば、野菜は小型のものが料理しやすいはず。畑での栽培サイクルも早くなり、雑草対策にも有効」とし、「栽培計画は1カ月以上前に立てる。畑を有効活用することが大事だ」と説明する。
 「作りたい野菜はまだまだある。栽培面積を拡大し、もっと多くの野菜作りに挑戦したい」と斉藤代表は話す。

写真右:「まず、作ってから販売戦略を考える」と斉藤代表
写真左:キャベツのつぼみな

100624_10.jpg 【栃木支局】水稲2.6ヘクタール、大豆2ヘクタールを栽培する那須塩原市の人見基義さん(63)は、ドライブハローを改良して、畝立てと大豆の播種が同時にできるマルチシーダーを自作。大豆の水害対策や栽培の省力化に効果を挙げている。
 「2年連続の集中豪雨で大豆の種が流されたことがあり、畝立てをすれば水に流されずに済むと考えました」と人見さん。「播種しながら畝立てができる農機具があればと、自家製マルチシーダーを作りました」と話す。
 このマルチシーダーは、ドライブハローに播種機を取り付けたもの。播種機を取り付けた部分のハローの底辺を台形型にして、畝立てができるようにした。また、播種機の先端に取り付けたドライブの角度を調節して溝を掘り、そこに播種していく。ハローは地元JAから中古を無償で譲り受けたため、制作費は10万円程度だという。
 「これからも便利な機械を開発し、省力化に取り組みたい」と人見さんは抱負を話してくれた。

写真:ドライブハローに播種機を取り付けて改良したマルチシーダー

100624_11.jpg 【群馬支局】伊勢崎市でトマトを栽培(ハウス約39アール)する町田好弘さん(63)・智哉さん(34)親子は、「Qターン整枝法」という誘引整枝技術を取り入れ、労力の軽減などに成果を上げている。
 6段ほどに成長した枝を下に垂らし、12段程度でまた上にあげ、6段ごとにこれを繰り返す。Qの字を描くように栽培することからQターン整枝法と呼ばれている。
 以前は斜めに木を誘引して栽培していたが、県園芸試験場でこの栽培法を見て手間が省けるのではと考え導入。枝をつる手間が少なく、コストが削減でき、栽培しやすくなるなど効果が上がっている。「ひざや腰への負担も減り、楽になった。ほかの農家にも教えたい」と好弘さんは話す。

写真:「ひざや腰への負担も減り楽になった」という好弘さん(右)と智哉さん

100624_12.jpg 【滋賀支局】栗東市東坂で花苗・野菜苗(ビニールハウス40アール)を生産する竹村明さん(51)は、直売用ハウスに自作のPOP広告を飾り、消費者の目を楽しませている。
 使うのは資材入荷後に不要となった段ボール。野菜や果物の絵のそばに、苗の特徴などの情報を添えた。
 絵を描くことが趣味の竹村さん。3月には、消費者の提案で、ハウス内で絵の展示会と、子供たちに絵を描いてもらうイベント「びにーるはうすde美術館」を開催した。
 「異業種とのコラボなど、ハウスを生かした新しいことに挑戦したい。自分ならではの農業の形をつくっていけたら」と竹村さんは話す。

写真:カラフルでかわいいと好評だ

100624_13.jpg 【徳島支局】菓子作りの技術コンサルタントをしていた三好市井川町の上田泰生さん(72)は、2003年からヤギの飼育を始め、ヤギ乳を使ったチーズケーキやプリンなどを製造している。
100624_14.jpg きっかけは「牛乳アレルギーの人でも、ヤギ乳なら飲めることがある」という話を聞いたこと。ヤギ乳は独特のにおいがあるため、酪農家に話を聞くなどした結果、乾燥アルファルファ、トウモロコシ、フスマを給餌。「牛乳に近いにおい」と上田さんは話す。
 ヤギ乳のチーズケーキは、JA阿波みよししののめ産直市や香川県内の道の駅のほか、兵庫県でも提供。週に1500個ほど販売している。
 妻の美江子さん(60)は「若い人の方が、興味を示してくれることが多い」と話す。

写真右:ヤギと美江子さん
写真左:ヤギ乳を使ったチーズケーキ

100624_15.jpg 【愛知支局】ニホンザルの被害から農作物を守るため、岡崎市の「大幡町猿害対策を考える会」では、サルを威嚇するトラのぬいぐるみを圃場に置いている。
 さらに、ただのぬいぐるみだったものを、からくりで動く「トラ駆動装置」に改良。風力・太陽光を動力に、動いたり光ったりするぬいぐるみにして、猿害対策に効果を挙げている。
 この装置は、音などでも威嚇効果を高めているという。4月15日に、同会の佐野馨さんの畑に設置。総代・生産組合長・農家・主婦ら住民7人で結成された同会が、詳細な記録を付けながら効果を検証した。
 「サルは明らかに警戒している。トラ駆動装置の効果は出ている」と同会メンバーで総代の本多勝佳さんは話す。

写真:風力・太陽光を動力にした「トラ駆動装置」

 【広島支局】ハウス9棟(25アール)でカスミソウなどを中心に生産・出荷する安芸高田市甲田町の宮本仁郎さん(61)は、土地に適した品種を自ら育種している。40年間、花きを専業で続けてきた宮本さん。一手間かけ付加価値を付けるなどの工夫もしている。
 耕地は水はけが悪く日照時間も短いため、従来の品種では満足なカスミソウが作れなかった。そこで、茎のしっかりした花を選抜育成し「ニューフェイス」を開発。この品種は草丈が短めで茎は硬く丈夫なため、花が絡みにくい。
 また、宮本さんは花に色を付けたカスミソウを出荷する。切った枝の切り口から専用の着色料を吸わせて花を染めたもの。赤、青、黄などの色を作ることができる。
 ニューフェイスの枝変わりから「ビッグベン」「ビッグミスター」など切り花向き品種も作り出した宮本さん。「より軸がしっかりして枝数も多く花にボリュームのあるカスミソウを作りたい」と話す。

100624_16.jpg 【新潟支局】「『〆張糯(しめはりもち)』の味の特徴は、お米本来の甘味が強いことです」と話す、佐渡市金丸の林博之さん(55)は、昨年から、希少価値の高い〆張糯の栽培に取り組んでいる。
 栽培にあたって、うるち米ともち米の作業機械の分別を行い、もち米専用の乾燥機を導入するなど、作業工程の完全な区分けを行った。「ここまでやらないと、自信を持って提供できません」。また、販売には市販の米袋ではなく、知人から、クラフト米袋に一枚一枚、直接毛筆で執筆してもらうことで、オリジナルの米袋を完成させた。
 「佐渡でも80代の農家の人たちは〆張糯を栽培していたと聞いています。初めて食べた方からも喜ばれます」と林さん。今年の作付けは昨年の1.5倍の60アールに増やした。

写真:「〆張糯」を手にする林さん

 ▼映画「降りてゆく生き方」を見た。映画館主体の興業とは一線を画し、自主上映会主体に1年以上のロングランとなっている。地方都市の寂れた商店街と限界集落を舞台に、リゾート開発の土地買収のために訪れた団塊世代の営業マンが、地域の人たちとの触れ合いを通じ、自分を見つめ直していく。
 ▼一般参加の役者もいてぎこちなさはあるが、武田鉄矢さんが調子のよい営業マンを演じ、コメディータッチで進行する。主人公の意識が変わるきっかけの一つは、有機栽培の米を棚田で作る頑固な農家との交流だ。商店街の造り酒屋と組んだ酒づくりでは、玄米からの醸造を要求して造り酒屋を悩ませる。
 ▼映画では、米や酒など妥協しない物づくりにかける人の熱意が印象に残った。実際に有機農業者をはじめ物づくりや地域おこしに携わる200人以上を取材して集めた実話からストーリーを構成したという。
 ▼タイトルの「降りてゆく生き方」は、右肩上がりの経済発展や物質的な豊かさを追求し、勝ち抜き競争に明け暮れる「登る生き方」と対比させた言葉だ。日本は戦後の焼け野原から奇跡的な経済発展を遂げたが、年間3万人を超える自殺者が出て、うつ病の増加など多くの問題を抱える。この状況が本当に幸福な社会と言えるのかとのメッセージを込めている。
 ▼日本農業は、グローバル化の進展とともに、政策的な誘導を図り、大規模化と効率化を追求してきた。しかし、目標とした経営的なゆとりや経済的な豊かさの実現にはほど遠く、農業所得は減少を続け、担い手不足なども含め、問題はますます深刻化している。
 ▼農業も経済的な豊かさを求める「登る」生き方に捕らわれていたのではないか。映画を見て、作る喜びが実感できる「降りる」農業を考えてみたいと感じた。

 宮城県栗原市一迫(いちはさま)の有限会社「長崎高原ファーム」(狩野守男社長=59歳)は、水田15ヘクタールで減農薬・減化学肥料主体の稲作を展開。実需者と結びついた販売の拡大に努めている。地元の酒蔵「金の井酒造」と連携した地酒づくりでは、「お米のおいしさや地域の良さをPRしたい」と酒米の圃場に消費者を招き、田植えと稲刈りの体験イベントを開く。今年の田植えには120人を超える消費者が集まり、満開を迎えた転作田の菜の花を楽しんだ。狩野さんは「ここの米は味がいいことを伝え、直販を拡大していきたい」と話す。
 
100617_01.jpg 長崎高原ファームは酒米の「トヨニシキ」を2.5ヘクタールで栽培。JAを通じて金の井酒造に供給する。田植え体験のイベントは今年で3年目。金の井酒造の銘柄「綿屋(わたや)」の愛飲者を中心に参加を呼びかけ、5月15日に25アール分の手植えをした。
 初年度は20人ほどの参加者だったが、家族連れの参加も増え、年々盛況になっている。金の井酒造の三浦幹典社長は「消費者に綿屋が作られている現地を見て、栽培を体験してもらいたい。イベントは地域の協力があってできる。酒蔵だけではできない」と話す。
100617_02.jpg 狩野さんの妻・優子さん(54)は、「朝早くから準備におわれるが、自分たちも楽しいから続けられる。道端で会うと体験の話で盛り上がる」という。
 夕方には前年産の米で仕込んだ日本酒を味わいながら、交流を深める。「一迫の自然にふれ、地域の方とお酒を交えながら話すと元気をもらい、また行ってみたい気になる」とは、毎回参加する宮城県経済商工観光部の加藤慶太富県宮城推進室長だ。「田植えや稲刈り体験は、地域資源を生かした農業振興の取り組みとして発展させてもらいたい」と話す。
 転作田でのナタネ栽培は6年目を迎え、今年は5ヘクタールの水田に作付けた。狩野さんは「この辺りは圃場の水はけが悪く、1枚当たりの面積も小さいので小麦や大豆の栽培には向かない」と話す。
 最初は花が楽しめればいいと思って始めたナタネは、新たな特産品になりつつある。9月ごろに動噴で播種し、翌年7月に刈り取る。毎年1~2トンの種が採れるという。岩手県の搾油業者に依頼して油を搾り、820グラム瓶入り1本2千円で地元の直売所4カ所で販売する。
 また環境に配慮した循環型農業にも取り組み、自社での精製装置を所有し、バイオディーゼル燃料を作っている。廃食油を県内の飲食店100軒から回収。トラックやトラクターなどの燃料に使っている。狩野さんは「米の直売を増やすとともに、ナタネ油の販売にも力を入れていきたい」という。

(1面)

写真上:「地元の人や通りすがりの人が、立ち止まって花をよく見ていく」と狩野さん
写真左:ナタネ油を手に優子さん。「スキンケアにも使えますよ」

 政府は11日、2009年度農業白書(食料・農業・農村の動向)を閣議決定した。食料・農業・農村基本法制定から10年間の政策を検証し、食料自給率の低迷や農業生産・所得の減少など「食料・農業・農村は厳しい現状にある」と報告。戸別所得補償制度や6次産業化を柱とした新たな農政へ大転換を図る必要性を強調した。特に食料の安定供給は国家の基本的な責務であり、農業・農村の多面的機能の恩恵をすべての国民が享受していると紹介し、国民全体で農業・農村を支えていく社会を目指す重要性を訴えた。
 白書はこれまでの施策では、農業・農村の厳しい状況を打開できないと指摘。現状を放置すれば、食料自給率の向上や多面的機能の発揮が脅かされ、国民全体が不利益を被るとして、農政の大転換を図る必要性を訴えた。
 新たな食料・農業・農村基本計画は、食料・農業・農村施策を国家戦略と位置付けた。食料自給率目標を50%に設定。戸別所得補償制度と農業・農村の6次産業化を柱に農政を展開し、「国民全体で農業・農村を支える社会」の創造を掲げたと強調した。
 白書は農業生産・所得の減少や高齢化の進展など農業・農村の現状の厳しさを浮き彫りにした。と同時に食料自給率向上の取り組みは、食料の安定供給だけでなく、国民経済や多面的機能などの便益をもたらすと明記した。
 農業・農村の現状からすれば、担い手の育成や農地の確保など課題は山積しており、対策を急ぐ必要がある。ただ、農政の柱と位置付けた戸別所得補償制度でさえ、具体的な仕組みや財源確保の問題などを含め、本格実施に向けた道筋は見えてこない。まずは国として農業・農村の再生に向けた実効性のある具体的な施策を早急に示す必要がある。

(2面・総合)

100617_03.jpg 菅直人内閣が8日に発足し、農相には衆院議員で前農林水産副大臣の山田正彦氏が就任した。9日の会見では、「農家が食べていけて、地域が活性化できる付加価値の高い第一次産業を目指す」と述べた。
――口蹄疫(こうていえき)問題への対応は。
 国の判断で実施したワクチンの効果は出てきているものの、埋却処分が済んでいない家畜が多数ある。いつ、どこに飛び火するか分からない、厳しい状況は続いている。篠原孝副大臣を現地に派遣し、抑え込みに努める。農家の疲労は限界に達している。時価評価分の支払いや補助金相当の生活支援を行いつつ、家畜の殺処分、埋却処分を急ぐ。今回、口蹄疫対策特別措置法が成立したが、家畜伝染病予防法の抜本的な見直しも必要だ。発生疑いが出たら24時間以内に殺処分し、埋却するシステムを作りたい。
――戸別所得補償の実施に向けた進め方は。
 口蹄疫の対応などで作業が遅れているが、来年度の本格実施に向けて内容と法案の検討を加速させたい。1兆円規模の予算を考えており、確保に努める。戸別所得補償は、経済成長戦略の一環であり、雇用対策でもある。加入申請件数は、5月末現在で55万件程度だが、今までは生産数量目標に参加しなかった農家の加入もあり、最終的な件数は伸びると見込んでいる。
――米の需給状況の認識は。
 2009年産の米価が、じりじりと下がっていることは認識し、在庫の動きも調べている。今の段階では、戸別所得補償制度で需給が締まってくれば、心配する状況は生じない。米価が下がったからと、すぐに政府が買い入れを行う状況にはないと考えている。

(2面・総合)

 加工施設を拠点とした女性たちの活動が地域を元気にしている。長野県中野市永江の「中野市豊田農産物加工施設利用組合」は、女性51人が参加し、おやき部、菓子部、みそ部に分かれて加工品を製造・販売する。おやき部は、地元農家から野菜などを買い取って具材に利用。菓子部は、規格外リンゴを使ったアップルパイを販売する。みそ部は、遊休農地で栽培した大豆を原料に用いて、地域農業を盛り上げる。農業委員や市の協議会の委員を務めるメンバーも生まれ、女性の社会参画を果たす拠点にもなっている。
 
100617_04.jpg 「それぞれの部が目標を設定し、互いに競い合って活動しています」と、おやき部の所属で組合長を務める中野市穴田の岡村郁子さん(71)は話す。
 おやき部(16人)では、年間で7種類のおやきを製造する。今の時期は、野沢菜のほか、特産のキノコや小豆、カボチャを具材に利用する。
 菓子部(20人)の部員はリンゴ農家が中心だが、非農家も引き入れ、農繁期を乗り切っている。
 みそ部(15人)は、農閑期の1~4月に行う仕込みが主な仕事。遊休農地を借り受け、大豆「エンレイ」を栽培する。
 組合は、1人5万円の出資金を募り、1998年に40人で結成した。旧豊田村の女性たちが集まり、「特産品を作り、女性の拠点を作ろう」と村に加工施設の建設を働きかけた。
 各部が作る加工品は、現在では冠婚葬祭に使われるなど地域で浸透し、昨年度の売り上げは約2400万円になった。70歳を超えて、年収100万円以上の組合員もいるという。
 北信農業改良普及センターでは「地域を良くしようと、自分たちでできることを実践した積み上げが自信になっている。仲間が応援してくれることも役の引き受けを決断させている」としている。

(3面・暮らし)

写真:中野市豊田農産物加工施設利用組合のメンバー。右から3人目が岡村組合長

100617_05.jpg 農林水産省は1日、水稲共済における飼料用米・米粉用米の取扱要綱を改正した。主食用米と併せて飼料用米や米粉用米を生産する農家が増えている。新たに飼料用米や米粉用米を栽培し、これまで選択していた水稲共済の加入方式が申請できなくなった場合などに、飼料用米と米粉用米は、主食用米と異なる加入方式を選択できるようにした。2010年産米から適用する。全国のNOSAI団体に、飼料用米や米粉用米を作付けた農家に説明するよう通知した。水稲共済の共済細目書異動申告票は既に、NOSAIの組合等に提出されているため、引受内容の確認作業の段階で修正を行う。

(5面・NOSAI)

写真:旺盛な生育を示す飼料用米の登熟期の草姿。飼料用米や米粉用米など新規需要米は、食料自給率向上に重要な「戦略作物」に位置づけられ、生産が増えている

 ナシ作りに取り組む愛知県安城市橋目町の猪飼孝志さん(60)は、極早生品種「愛〈あい〉甘〈かん〉水〈すい〉」を自ら育成し、晩生品種と組み合わせた長期出荷体制を確立している。今年3月には、新たに大玉で高糖度の「甘〈あま〉ひびき」を品種登録した。また、園地での作業効率を高めるため「2本主枝交互配置仕立て」を考案。日当たりと風通しが良く、果実の品質向上と病害虫発生の抑制につなげる。猪飼さんは「安城梨のブランド力を強化して、農家の所得向上に貢献したい」と話している。
 
100617_07.jpg 甘ひびきは、旧盆前の早出し用として20年前に育成した赤ナシの愛甘水をもとに育種した。早生品種「幸水」より1週間ほど早く収穫できる。果実は500グラム前後で果汁が多く、果心が小さいため果肉は厚い。「愛甘水50アールの半分を甘ひびきに切り替える」と猪飼さんは話す。
 愛甘水は「長寿」と「多摩」の交雑実生から育成した。極早生で熟期は幸水より10日ほど早い。400~450グラム程度と大玉で、黒斑病や黒星病に抵抗性を持つ。JAあいち中央梨〈なし〉部会で普及をすすめた結果、地域のナシ栽培の15%程度を占めるまでになった。東北から九州にかけて栽培されている。
 「早生で高収益が見込めるナシの育種を目指した」と猪飼さん。ナシの出荷は、極早生品種の愛甘水が7月18日ごろから始まり晩生品種「豊月」の10月中旬まで続く。
 収量は、極早生や早生が10アール当たり約3トン(地域平均2.5トン)、晩生は約4トン(同3トン)。収穫したナシの半分は庭先や顧客への宅配で販売する。
 ナシ棚は、22年前に考案した2本主枝交互配置仕立てが中心で、亜主枝を作らず側枝を配置する棚仕立てだ。
 棚の高さは1.8メートルで、2本の主枝を伸ばす方向は隣接する樹とすべて直角になり、1本置きに同じ方向を向いている。
 さらに、腕や肩への負担を軽くするため、低樹高の棚仕立てを考案した。「五十肩になり、手を上げずにナシを作りたかった」と猪飼さん。高さ1.4メートル、幅2メートル、通路1.5メートルで、2本の主枝は棚に直列方向に伸ばし、直接側枝を配置。中生品種「あきづき」と豊月で採用している。

(11面・営農技術)

写真:「開花は昨年より2~3日早かったが、2、3月の低温で生育は3~4日遅れている」と話す猪飼さん

 宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の早期終息に向けて、防疫措置の強化、国の対策の充実などを図った口蹄疫対策特別措置法(特措法)が4日に公布、即日施行された。これを踏まえて、殺処分した家畜に対する家畜共済の共済金支払いの範囲が固まった。また、家畜伝染病予防法(家伝法)に基づく手当金や県の見舞金、特措法に基づく殺処分奨励金の交付により、疑似患畜の殺処分、予防的な殺処分の場合のいずれも時価評価額の全額が補てんされる。

(5面・NOSAI)

100617_06.jpg NOSAI鳥取(鳥取県農業共済組合連合会、坂本昭文会長)と県内のNOSAIは、イノシシなどの鳥獣被害対策を指導する専門家を育てようと、職員の「イノシッ士」(鳥取県鳥獣技術士)登録に取り組んでいる。イノシッ士は、県が実施する「鳥獣・里山塾」の受講者を登録する制度で、鳥獣害に悩む農家に助言するなど、頼りにされている。5月28日に鳥取市鹿野町で開催された本年度最初の研修会には、新たにイノシッ士を目指すNOSAIの職員5人が参加した。
 研修会には、農家、NOSAI職員、森林組合職員など約60人が参加。「鳥獣被害対策の知識を学んで、農家から信頼されるNOSAI職員になりたい」と、NOSAI鳥取東部(鳥取東部農業共済組合)の北邨(きたむら)裕之主任は意気込みを話す。
 イノシッ士は、侵入防止柵の設置方法、緩衝帯となる里山の管理方法などについて、技術的な助言・指導を農家に行う専門家で、県が認定する。また、鳥獣被害防止のために、県が組織するボランティア団体「イノシッシ団」の一員として、侵入防止柵設置の手伝いなどの活動もしている。
 鹿野町鬼入道(きにゅうどう)地区の農家、林輝幸(てるゆき)さん(59歳=水稲1ヘクタール)は、4年前にイノシッシ団の力を借りて、集落の水田の周り約4キロにワイヤメッシュを設置した。「車では入れない場所にある圃場には、人の手でワイヤメッシュを運ばなければいけなかった。集落だけで設置は難しく、助かった」と話す。設置後、1年目は侵入を完全に防いだ。2年目以降も侵入場所が限定されるため、対策が立てやすくなるなどの効果があったという。
 県の2009年の鳥獣被害額は、9634万円に上る。新たに被害が発生した地域もあるが、08年の1億1501万円に比べ減少した。

(5面・NOSAI)

写真:ワイヤメッシュを設置するコツを学ぶ

100617_08.jpg 【長崎支局】全国第2位の生産量を誇るジャガイモと県内産米粉を使い、長崎名物のカステラと組み合わせた「じゃがステラ」を、県立諫早農業高校食品科学部が開発した。
 開発を始めたのは2008年8月。当時、6人の部員で取り組んだ。現在は3年生の木下百合花さん、荒木ゆりえさん、川原千穂さん、古賀香菜美さんが取り組んでいる。
 週3回の部活の時間や土・日曜日に試作を繰り返し、生徒や教諭、県農林技術開発センターや地域業者などに試食をしてもらい、昨年12月についに完成。今年3月には商標登録も行った。
 これまでジャガイモはスーパーから購入していたため、今後、規格外ジャガイモの活用を検討していく。部員たちは、「もっとジャガイモらしさを出して、しっとりとしたカステラになるよう改良していき、メーカーとのタイアップで商品化できるよう取り組んでいきたい」と話している。

写真:「じゃがステラ」を手に開発した食品科学部の部員

100617_09.jpg 【岩手支局】花巻農業高校食農科学科ソーセージ研究班(リーダー=照井美紗さん)が、花巻特産のブランド豚「白金豚」を使ったソーセージを開発した。研究班のメンバーは現在、3年生5人と2年生6人の11人。
 白金豚は、花巻市の高源精麦株式会社が飼育するブランド豚で、柔らかい肉質と甘味のある脂身が特長だ。
 レシピの完成に携わった3年生は「昨年は失敗の連続で、先輩が卒業するころにやっとおいしくできるようになり、販売できるようになりました」と話す。
 同校は、販売のために加工施設を整備し、1月に保健所から食肉製造の許可を取得。3月には東京日本橋の高島屋デパートの物産展に参加し、初の試食販売を行った。
 3年生の菊池詩乃さんは「おいしいとほめられて、うれしかったです。予想以上に売れ行きが良く、試食販売を通じて県外の人に花巻農業高校のことを知ってもらえて良かったです」と話す。

写真:花巻農高のアンテナショップ「羅須プラザ」で試食対面販売を行った

100617_10.jpg 【和歌山支局】「紀州すさみF1(一代雑種)イノブタ」の肥育に、すさみ町の「すさみイノブタ生産組合」(岡賢氏組合長、組合員4人)が取り組んでいる。愛称は公募で、「イブの恵み」に決定。「町おこしにもつながる」と期待が寄せられている。
 イノブタとは、豚とイノシシを交配した品種で、特に同町の和歌山県農林水産総合技術センター畜産試験場では、父親がイノシシで母親が有色系の豚のバークシャー種(「黒豚」=育てやすい)かデュロック種(大きくなりやすい)を交配した一代雑種を推奨し、和歌山のイノブタとして差別化を図っている。
 「今は年間50頭から60頭の出荷数なので、徐々に増やして年間100頭くらい出荷したい。ソーセージや生ハムなど加工品作りも検討しています」と岡組合長は話す。

写真:豚舎内でイノブタの説明をする岡組合長。「床には、においなどを吸収するおがくずを50センチ敷き詰めています」

100617_11.jpg 【秋田支局】ドイツの食肉加工国家資格「ゲセレ」を持つ、三種町森岳の川井紀恵子さん(29)は、父親が育てた豚肉を使って、ハムやソーセージを製造している。2003年にドイツへ渡り、3年間の修業で資格を取得した。
 ドイツソーセージは、塩漬けしてじっくり熟成させた豚肉を腸に詰めて直火式で薫煙させるのが基本。これに独自のアイデアを加え、オリジナルのソーセージを作り上げている。
 桜の花びらやミョウガ、ギョウジャニンニクなど地元の旬の素材を使ったソーセージは珍しく、人気だという。
 実家の「かわい農場」(川井博代表)では、養豚から精肉、加工、販売まで行っており、「ほかのハム・ソーセージとの一番の違いは素材」と強調する川井さん。
 「原料の豚は、希少種とされる『中ヨークシャー』の交配種。父が長年かけて自家改良したオリジナルの豚で、弾力性のある肉質と脂のうま味が特徴です」と話す。

写真:ソーセージの重さを量る川井紀恵子さん

100617_12.jpg 【愛媛支局】「井内清流米で作った混ざりもののないどぶろくを、多くの人に味わってもらいたい」と話す、東温市井内の永井公一さん(60)は、製造・販売許可を取得し、市内の3農家と共にどぶろく造りに励む。
 その傍ら、農家レストラン「ぼたん茶屋」を経営し、自家産赤ソバの手打ちそばや、地元産の食材を使った料理を提供。どぶろくを使ったデザートも考案し、どぶろくシャーベットがお勧めという。
 どぶろく「ながい」は、今年2月に山形県で開かれた「全国どぶろく研究大会」の濃醇(のうじゅん)部門で優秀賞を受賞している。

写真:ぼたん茶屋の前で、どぶろく「ながい」を手に永井さん

100617_13.jpg 【岡山支局】「徳山牧場アイス工房」(星の郷産直プラザ内)は、井原市美星町で酪農を営む徳山茂さん(57歳、ホルスタイン成牛102頭、育成牛8頭、子牛9頭)が昨年4月にオープンさせたジェラート専門店だ。
 徳山さん方では、家族4人で牧場を経営しながら、ジェラートの製造から販売まで行う。加工・販売は主に息子の彰(しょう)さん(24)が担当。毎朝搾った生乳を工房へ運び、濃厚で低脂肪なジェラートを作る。
 「ミルク味は、新鮮な生乳を扱う酪農家だからこそ作りだせる味。抹茶味やチョコ味のほかに、地元産のイチゴ、モモ、『ピオーネ』、紫芋などを使ったジェラートも季節限定で販売します」と彰さん。

写真:店頭で接客する彰さん

 ▼菅直人首相は就任会見で「最小不幸の社会づくり」を政治が果たす役割に挙げた。貧困、戦争など国民や世界の人々が不幸になる要素を少なくする政治を目指すという。6月中にまとめる新たな成長戦略を基に経済と財政、社会保障を立て直すと強調した。課題山積の農政にも積極的に取り組んでもらいたい。
 ▼昨年秋の政権交代は、行き詰まっている政治や経済からの脱却を国民が期待した結果だ。「命を守りたい」と訴えた鳩山首相は、国民に不信感を残して退陣した。もう政権の投げ出しはやめてほしい。求められるのは、将来を展望できる具体策の提起と着実に前進する実行力だ。
 ▼閣議決定された2009年度農業白書は、食料・農業・農村基本法を制定した99年から10年間の政策と成果を検証した。5年ごとに基本計画を策定し、食料自給率などの目標や施策を示しながら改革を進めてきた。しかし結果は農業生産額や販売農家数の減少などが続き、農業・農村の疲弊が深刻化していると現状を指摘した。輸入に依存する食料消費の改善も進んでいない。
 ▼さらに懸念材料がある。食に対する消費者意識は、景気低迷の影響で安全性志向が低下し、低価格重視の経済性志向が上昇していると報告。節約意識も強く、食料品価格の下落が農産物価格の一層の低下を招くデフレスパイラルの恐れがあると警戒を呼びかけている。
 ▼家族農業の労働1時間当たり農業所得は、08年で水田作販売農家が485円、露地野菜作が643円、酪農が766円、肥育牛が502円だ。飲食店アルバイトの時給は925円で、農産物価格がさらに落ち込めば農家経営が立ち行かなくなるのは明らかだ。
 ▼政府は戸別所得補償制度の創設など農政の大転換を打ち出したが、モデル対策を実施する米は、需給緩和も背景に価格下落の予測が強まっている。所得向上の実効性確保には、国民を襲う不幸の連鎖を断ち切る政策が不可欠だ。

 農林水産省が今年度実施する「戸別所得補償モデル対策」は、加入申請期間が6月末となっている。制度普及のため、同省は各地で「あぜ道キャラバン」を展開。「加入漏れのないよう、農家はぜひ申請を行ってほしい」(生産局農業生産支援課)と呼び掛けている。モデル対策が生産現場でどのように受け止められているか、宮城県で水田営農に取り組む農家を取材した。

100609_01.jpg 太陽が雲に隠れると急に肌寒さを感じる東風が、水田地帯に吹く。気象庁は6~8月の低温傾向を予測しており、水稲など農作物への影響も心配されている。天候への不安とともに、「戸別所得補償モデル対策」という農政の大転換は、水田営農に取り組む農家の経営にどのような影響をもたらすのか。
 仙台市若葉区荒浜で農事組合法人荒浜農産専務、荒浜集落営農組合組合長を務める二瓶幸次さん(60)は、「水田営農は労働費をきちんと計算すれば、どこも恒常的な赤字傾向だ。そういう点では、米の戸別所得補償はいい制度だ。一部の集落営農では専従スタッフの人件費もままならず、解散したところもあった」と経営環境の厳しさを話す。
 最近は、高齢化や後継者の不在で2~3ヘクタール規模の農家からも耕作依頼が来るようになった。現在の施設・装備では近々受けきれなくなる心配があるという。
 家族で水田営農に取り組む角田市岡の面川義明さん(56)は「戸別所得補償制度の実施で評価する点は、農家が自分自身の経営を見つめ直す機会を与えたことだ。所得補償を受ける以上は、自分の経営により責任を持ち、食料の安定供給など、消費者の期待に応えていかないといけない」と強調する。

100609_02.jpg 農家の多くは、収益性の低い水稲生産に10アール当たり1万5千円の交付金が出ることで、素直に「ありがたい」という。その反面、「所得補償を受けるのだから、農業界にはより厳しい目が向けられる」と慎重な意見もある。
 一方、全国一律の補てんなど「シンプルで分かりやすい制度」を目指したことで、麦・大豆など転作作物への助成体系が一変。激変緩和措置も講じられたが、生産現場には混乱を生じている。結果、モデル対策交付金の一部を積んで、地域独自の「とも補償」を行う動きも見られるという。


 農林水産省の「あぜ道キャラバン」でも、事業への疑問や米価下落への不安を指摘する声が多い。岡山県(5月14日)では、農家が「戸別所得補償制度を継続実施してほしい」「全国一律ではなく、地域に応じた交付単価の設定を」と要請した。福島県(5月21日)では、「生産調整未達成でも自給率向上事業が適用されるのはありがたい」「米価の下落が心配だ」――など。
(1面)

〈写真上:「周囲の農家からの耕作依頼が急増している。担い手を支える新たな対策が必要だ」と二瓶さん〉
〈写真右:「所得補償制度の本格実施に向けた議論も知りたい。自給率向上や後継者育成の力になる制度になって欲しい」と面川さん〉

 政府は5月28日、2010年版食育白書を閣議決定した。食育への関心度が高い人ほど、健全な食生活を実践し、人生を肯定的にとらえる傾向が強いとの調査結果を報告。子供時代の食習慣が食育への関心度に影響するとして、家庭だけでなく、学校や地域など社会全体での取り組み強化を訴えた。農山漁村に期待される取り組みでは、都市と農村の交流を通じた農林漁業体験を上げ、教育ファームなどの重要性を強調した。

 白書では、食育への関心度と食生活や人生観などの要因との関係を分析した。食育に関心がある人で、バランスの良い食事を毎日食べるとの回答は77%と、関心がない人(61%)と2割近い差がある。
 食育への関心度に影響を及ぼす要因として、小学生のころの食生活との関係を報告した。「1日3食決まった時間に食事をしていた」や「『いただきます』などあいさつをしていた」と回答した人の7割以上は、「食育に関心がある」と回答。一方で、これらに当てはまらない人の食育への関心度は5割程度にとどまった。白書は「規則正しい食習慣が身についていた人ほど食育への関心が高くなる傾向が見られる」と分析、子供時代の食習慣の重要性を指摘した。
 06年に策定した食育推進基本計画の実施状況と課題もまとめた。食育推進に当たって設定した10年度までの目標値9項目のうち、10年3月現在で、7項目が未達となっている。特に「食育に関心がある国民の割合」(目標値90%以上)は71.7%と前年を0.5ポイント下回った。

(2面・総合)

 「手作りの毛糸で織ったセーターは市販のものとは比べものにならないほど暖かいんですよ」と、島根県出雲市佐田町東村の「メリーさんの会」(8人)の渡部弘子さん(69)はほほえむ。メリーさんの会は、有限会社グリーンワーク(山本友義代表・63歳=水稲13ヘクタールなど)が水田などに放牧する羊(コリデール種)の毛を有効活用しようと、毛糸やセーターなどを生産、販売している。同社従業員の妻が中心となって活動。量産はできないが、都市住民が見学に訪れるなど、集落の活性化に一役買っている。

100609_03.jpg 羊は畦(あぜ)などの除草を目的にグリーンワークが2005年に購入。「捨ててしまうのはもったいない」と、手探りで毛糸づくりに取り組んだ。
 毛糸は、毛刈り、選別、2度の洗浄・すすぎ、ほぐし、乾燥、紡ぎ、染色の工程を経て完成する。すべてが手作業だ。「編み」までは手が回らず、口コミで探した編み手に編んでもらっている。出雲市の木村恵さんは「手で紡いでいるため、機械を使った市販の毛糸に比べて柔らかく、非常に軽い」と評価する。
100609_04.jpg 導入当初3頭だった羊は、自然交配で24頭まで増えた。1頭からは、およそベスト2~4着分の毛糸が取れる。毛糸やベストなどは、旧町名を付けた「窪田ウール」のブランドで販売している。
 東村は、出雲市から車で約30分の中山間地。グリーンワークでは、化学合成肥料や農薬を半分以下にするなど、県が認定するエコロジー米を生産し、「山奥の米」のブランドで主に直販している。毛糸がきっかけで米の販売につながることもあるという。
 羊の導入で、年4回行っていた法面などの草刈りが必要なくなり、獣害も大幅に減った。山本代表は羊のメリットとして、牛よりも性格が穏やかで扱いやすく、放牧中は餌やりが必要ないなど飼養・管理コストが安いことなどを挙げる。

(3面・くらし)

〈写真上:「ちょっとかわいそうだけど......」と、毛刈りに興味津々の子どもたち〉
〈写真右:紡ぐ前の毛を手に取る渡部弘子さん。「本当に軽くてふかふかです」〉

100609_05.jpg 災害に強いリンゴ産地をつくろうと、NOSAI津軽広域(津軽広域農業共済組合、福士寛美組合長)では、共済部長(NOSAI部長)を中心にリンゴ共済の加入推進に力を入れている。台風や霜、降ひょうなど、過去の災害を教訓に、担当地区の農家に、リンゴ共済で経営安定を図る大切さを説明する。果樹共済の全国の面積加入率が25%程度の中で、NOSAI津軽広域のリンゴ共済の加入率は4割を超える。中でも板柳町の加入率は約7割に上る。加入推進に力を入れる板柳町の共済部長に出会った。
 「リンゴで生計を立てるなら、NOSAIへの加入は欠かせない」と話すのは、板柳町横沢地区の寺田俊二さん(73)=リンゴ1.3ヘクタール。同地区の福山将才さん(52)=リンゴ1.2ヘクタール=と、諏訪聖文さん(56)=リンゴ1.5ヘクタール=とともに共済部長を務める。3人とも損害評価員を兼ねている。
 リンゴ生産では収穫期の台風災害が一番の難敵。台風が日本海側に沿って北上してくると、台風の進路が気になって夜も眠れないという。しかし、「NOSAIの補償があれば、大きな安心感になる。リンゴ共済の掛金は少々高いが、自然災害に対する安心料だ」と諏訪さんはいう。寺田さんは「数年に一度は災害に見舞われる。逆に無事故が続けば無事戻しもある。目先の損得に振り回されない方がいい」と話す。
 横沢地区の世帯数は86戸で、そのうちリンゴ専業農家とリンゴ・水稲の複合経営農家はそれぞれ約30戸。12月ごろリンゴ共済のパンフレットを配りながら予約加入を行い、1~2月に農家を対象に制度説明会を実施する。その後、共済部長3人にNOSAI職員も加わり、あらためて農家を戸別訪問。今年も3月25日まで加入推進に取り組んだ。リンゴを経営の柱に置く農家の大部分は加入している。
 08年の凍霜害・ひょう害での大被害を契機に、町が行うリンゴ共済の掛金の一部助成(暴風雨に加え、霜、ひょうが補償対象の加入方式が対象。09年から3年間)も大きな力になっている。

(5面・NOSAI)

写真:「気候が不安定な年が続く。より多くの農家にリンゴ共済への加入で経営を守ってもらいたい」という寺田さん(中央)。左は福山さん、右は諏訪さん

100609_06.jpg JR北陸本線・福井駅から車で5分ほど。福井市内の住宅街で、毎週土曜日に開かれる朝市が地元住民中心ににぎわっている。運営は、福井県大野市と勝山市で活動する三つの女性グループを含む21人で組織した「おいしい奥越マーケットの会」が行う。農産物を通じて奥越地方の魅力を伝えようと、7年前から始めた。料理法などを農家から直接聞く交流も魅力となり、開店準備を手伝う常連客もいるほどだ。それぞれ農産物や加工品の生産・販売に取り組むメンバーには、商品のPRや販路の一つとして定着している。
 朝市は、車が3台ほど入る商店の車庫を借りて開かれる。午前8時の開店前に、常連客はレジや台を準備し、メンバーが到着すると搬入も手伝う。
 メンバーの一人、大野市板谷の多田数枝さん(67)は「お客さんがわたしたちを歓迎してくれているのでうれしい」と喜ぶ。野菜を生産・販売する「スターランド有機家庭菜園の味」から参加する。
 取材に訪れた時は、ホウレンソウやサトイモなど野菜のほか、ワラビやウドなど季節の山菜が並んだ。豆腐やおにぎりにきな粉をまぶして朴葉(ほおば)でまいた郷土料理「朴葉めし」などもあった。
 毎週、朝市に来るという福井市月見町の渡辺弘美さん(59)は「農家と料理法などの会話ができ、ふれあいがあるのが魅力」と話す。
 朝市は、4月から12月2週目までの土曜日に開き、営業時間は午前10時まで。毎回70人ほどが訪れ、1回の売り上げは10万円ほど。出荷規格は統一し、価格競争にならないようにワラビ250グラム300円など目安を設定する。会には売り上げの2%を収める。

(9面・流通)

写真:売り場では、客がメンバーの猪島愛津子さん(66)(左)に気軽に話しかけ、買い物を楽しんでいた

100609_07.jpg 静岡大学農学部は、イチゴの炭疽〈たんそ〉病の発生防止に有効とみられる3種類の微生物を発見した。これは放線菌で、試験の結果、病気の発生を25%以下に抑える効果が確認された。炭疽病はウドンコ病とともにイチゴの生産を左右する難防除病害で、全国の被害額は年間で160億円以上といわれる。徳山真治准教授は「実用化をすすめ、イチゴ農家の経営安定に貢献したい」と話している。

 イチゴの炭疽病は、苗や圃場にカビの一種の病原菌が入り込むと、収穫直前などに葉や株は枯れてしまう。梅雨期以降の高温多湿条件下でまん延しやすく、泥はねや水滴の飛散を避けることが大切とされる。
 徳山准教授は、学内に保存してあった1千株近い放線菌の中から、炭疽病菌の発生を抑えるストレプトマイセス属の3株を探し出した。
 放線菌に粉砕したカニ殻を与えると、増殖することが知られている。放線菌は、カニ殻に含まれるキチンを分解するキチナーゼを持っており、カビにもキチンが含まれている。このため炭疽病の発生した圃場に施用すると抑制効果があるという。
 炭疽病には、葉枯れ症状を示すものと従来からの立ち枯れ症状を示すものとの2種類がある。試験は、被害が大きい立ち枯れ症状を示す炭疽病を対象に実施した。
 放線菌は、県内の農業資材メーカーと協力し、堆肥に混ぜた形で地域を限定しての販売を検討中だ。

(11面・営農技術)

写真:「放線菌の抑制効果を明らかにするため、炭疽病に弱いイチゴ『紅ほっぺ』を使った」と話す徳山准教授

 宮崎県で発生した口蹄疫(こうていえき)の防疫活動に協力するため、全国のNOSAI団体から獣医師が派遣されることになった。宮崎県口蹄疫対策本部からの要請を受けたもので、派遣されるのは4~10日に10人、11~18日に10人。NOSAI全国(全国農業共済協会、竹中美晴会長)が3日、発表した。さらに17人を即時派遣できる体制を整えている。
 宮崎県内のNOSAI団体は発生直後から消毒や防疫活動に協力しており、3日までに出役した職員は延べ387人、獣医師は同447人に上る。
 また、被災農家支援のためNOSAI全国が全国のNOSAI団体に呼び掛けて募集した義援金は、約1千万円(2日現在)に達している。
 農林水産省によると、患畜・疑似患畜が確認された農場は2日現在、264例、計17万9207頭となった。1日までに、約7割に当たる12万131頭は殺処分・埋却を終了した。移動制限区域内の対象家畜へのワクチン接種は、ほぼ終えている。
 なお、えびの市を中心とした移動制限区域では清浄化を確認し、4日に制限を解除した。

(2面・総合)

100609_08.jpg 【広島支局】北広島町千代田地区の農家18人で構成する「JA広島北部青壮年連盟」(橋本寅夫委員長=60歳)では、昨年から水稲の「育苗箱全量施肥法」を用いた苗作りに取り組み、試験栽培で一定の成果を挙げている。この方法では、追肥作業の省略など農作業の省力化が可能なため、期待を込めて早期の実用化を目指す。

 「育苗箱全量施肥法」は、育苗箱に床土を入れる代わりに、専用の肥料を入れて苗を作る新しい方法だ。
 JA広島北部青壮年連盟はJA全農の依頼を受けて育苗箱全量施肥法の苗作りに取り組み始め、育苗箱に入れる肥料の適切な配合割合を研究している。「肥料配合は0.1%単位で決めていかなければいけない。苗作りは難しいが、この苗を使えば誰にでも簡単に米作りができるようにしたい」
 同連盟のメンバーで育苗管理を担当する大下正則さん(65)は、「培土が少ない分、通常の苗作りよりも育苗中の水管理は慎重にしなければ」と気を引き締める。

写真:「誰でも簡単に米作りができる苗箱にしたい」と話す橋本委員長(左)とメンバー

 【茨城支局100609_09.jpg】日本めん用小麦の安定生産を目指して、茨城県では、「さとのそら(旧系統名=利根3号)」を、2009年度から県の奨励品種として採用している。
 製粉性やうどん加工適性は「農林61号」と同程度からやや優れることから、県では大規模製粉試験などを行いながら、農林61号に替わる日本めん用小麦として、普及推進に取り組んでいく考えだ。
 県では大規模製粉試験に向けて、15ヘクタールの試験栽培に取り組み、約4500ヘクタールの栽培面積を目標に、11年産から県内全域を対象に徐々に普及を図っていく。

写真:縞萎縮病発生圃場での生育。左がさとのそら、右が農林61号

100609_10.jpg 【福島支局】斜面での草刈りに便利な「L字型スパイク」を考案した須賀川市保土原の桑名辰幸さん(57歳、水稲172.6アール)。商品化に向け改良に取り組んでいる。
 傾斜面で草刈り作業をする際、スパイクの付いた地下足袋を履いていた。しかし、地下足袋がズレたり脱げたり、足首を痛めたりと、毎回苦労していた。
 普段からアイデア品を生み出している桑名さんは、足元を安定させるげたを思いついた。鉄板を足の大きさよりも少し長めに切ってL字に曲げ、軸足側の靴にひもで固定。斜面を歩いてみると、鉄板の先端が体重の重みで斜面に食い込み、足元を水平に保つことができた。
 「歯の部分が地面に食い込んで、体勢が安定します」と桑名さん。軽量化と強度の面で改良を重ねている。

写真:軸足の靴にひもで固定

100609_11.jpg 【宮城支局】丸森町の農家7人でつくる「丸森自然猪(いのしし)利用組合」(一條功代表=59歳)では、野生イノシシの精肉や加工品などを販売する「いのしし館」をオープン。有害鳥獣として捕獲したイノシシの有効利用ができ、地域の活性化にもつながると期待が高まる。
 同組合では駆除されたイノシシを買い取って、精肉や加工品として販売。現在、月12~15頭の買い入れがある。
 精肉はスライスして冷凍保存し、ソーセージなどの加工は、地元JAの関連会社に委託している。
 イノシシ肉は同町の特産にもなっているが、野生イノシシの肉が取引され、精肉などが供給される例は珍しく、飲食店などでも注目され始めているという。

写真:扱っているイノシシ肉と加工品

100609_12.jpg 【島根支局】高校の正教員から非常勤となり、祖父の代からの果樹農家となった浜田市高佐町の中山正さん(51)。さらに、地元のベテラン養蜂(ようほう)家との出会いで、養蜂家の道を本格的に歩み出した。現在も教壇に立ちながら、中山農園株式会社の代表取締役として、妻・ゆき子さん(33)と精進している。
 ミツバチ(西洋)は、家畜と同様に人がコントロールして初めて、はちみつなどの採取が可能となる。一般に採みつ作業は、春から梅雨まで。その短い採みつ期間に合わせて、数などを含めハチをピークに持っていくことが、養蜂技術だという。
 果樹栽培と並行して約150群(箱)を飼養する中山さんに、師匠の山本徹さん(77歳)は「中山さんは、よくやっています。いい養蜂家になるでしょう」と話す。

写真:巣箱を見る中山さん(右)と山本さん

100609_13.jpg 【高知支局】室戸市佐喜浜町の西河誠司さん(49)は、水稲350アールを栽培する傍ら、昨年から海洋深層水を使って菌床シイタケを栽培している。
 深層水は、最初に菌床に水を含ませる浸水や、その後の散水に使っている。
 「深層水が雑菌の繁殖を抑えるため、菌床が通常より1カ月ほど長持ちします。収穫量も、同じ菌床を使っている農家と比べて4割ほど多い約1キロ」と西河さん。
 現在、1千ブロックほどを栽培しており、来年は3千ブロックほどに増やす予定という。

写真:シイタケ舎で西河さん

100609_14.jpg 【山口支局】岩国市南岩国の棚田で、「農業は全くの未経験」というシルバー人材センターの仲間たち21人が、野菜作りに情熱を傾けている。
 メンバーは一昨年、3年ほど耕作放棄となっていた山あいの棚田約60アールを借り、各自気に入った田を"自分の畑"として再生することからスタート。人の背丈ほどになった草木を伐採してすき込んだ。
 翌年、メンバーは初めての野菜作りに着手。本で勉強したり、知り合いの農家に教わりながら、全員手探りの状態だったという。
 毎日のように畑に足を運び、汗を流すことでうれしい収穫も経験。2年目の今年も手探りでの野菜作りが続く。

写真:「収穫が楽しい」とメンバー

 ▼地球は、総面積の7割を水に覆われているが、ほとんどは海水だ。人が利用できる淡水は全体の2・5%で、地下水や氷を除くと実際に利用可能な水の量は0.01%に過ぎない。人は、雨や雪となって循環するわずかな水を確保し、飲用や農業、工業に使ってきた。
 ▼先に閣議決定した2010年版環境・循環型社会・生物多様性白書(環境白書)は、水資源の問題から地球環境保全の重要性を訴えている。世界で使われる水の量は、人口増や農業、工業の発展で50年間に2.9倍になった。7割が農業用だ。人口増で必要量は今後も増える見通しだが、循環する水の量が増えることはなく、効率利用が求められている。
 ▼また、水資源は地域的な偏りが大きい。十分な量を確保できず制約を受ける人は約20億人で、水不足状態にある人は約3億3千万人に及ぶという。安全や衛生の問題も深刻だ。安全な水を利用できない人は9億人近く、アジア地域がその半数を占める。水と衛生の問題から、毎年180万人の子どもたちが死亡していると指摘した。
 ▼水の恩恵を十分に享受している日本では、量の確保や安全、衛生などで差し迫った課題はない。家庭で利用する水は1日1人当たり245リットルに達している。飲用は2~3リットルあればよく、トイレや風呂、洗濯で多くを消費している。
 ▼その中で白書は、食料輸入を通じて持ち込む水(バーチャルウオーター)の総量が、国内で使う生活、工業、農業用水の合計と同程度と指摘。食料供給を支える海外の水資源の状況を「念頭に置くべき」と注意を促す。
 ▼地球温暖化のほか、大気や土壌の汚染など水資源を脅かす懸念材料は多い。微妙なバランスを崩せば、貴重な水資源を失いかねないことを忘れてはならない。

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