米国における環太平洋連携協定(TPP)批准の見通しが全く立たない状況となっている。11月の米大統領選を争う民主・共和両党の候補者がともにTPPに反対の姿勢を鮮明にしているためで、与党・民主党候補のクリントン前国務長官は11日の演説で改めて反対を強調。野党・共和党候補のトランプ氏に至っては、再三"脱退"を明言しており、オバマ大統領が目指す来年1月の退任までの議会承認も困難な情勢にある。安倍政権は9月にも招集される臨時国会でTPP承認・関連法案の成立に全力を挙げる方針を示し、TPP発効をにらんだ農業対策もまとめるとしている。ただ、米国の批准なしにTPPは発効しない。再交渉や協定失効の可能性すら浮上する中で、日本だけが承認手続きを急ぐ必要はない。
(2面・総合)