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防風林「台風の暴風雨による川の氾濫 居住地の地形や歴史を知ろう【2016年8月4週号】」

 ▼日本列島に上陸する台風の発生が記録的に遅れた今夏、台風7号をはじめとする複数の台風が相次いで東日本太平洋沿岸地方から北海道に来襲し、まるでバケツの水をひっくり返したような豪雨と強風をもたらした。特に北海道の水稲・畑作地帯の被害は深刻な状況だ。
 ▼筆者が住む埼玉県西部の市でも記録的短時間大雨情報が120ミリを記録。市の調査(26日現在)で床上浸水約50棟、床下浸水約180棟、茶や露地野菜などの農作物被害は約1ヘクタールという。荒川水系の入間川支流・霞川と、不老川の氾濫が主な要因だ。
 ▼河岸段丘の高台で被害から免れたが、緩い坂道を数百メートル下った隣接地区は膝上まで漬かる被害。普段意識しないわずかな立地条件が明暗を分ける。両河川流域の住民に避難勧告が出されたが、普段は瀬が浅く場所により底が見える川だけに、避難勧告は住民の多くがあわてふためいた。
 ▼不老川は幅が狭く、場所によって車で通過すると見逃してしまうほど。氾濫場所の一カ所は、橋を境に狭まる場所で以前も大雨であふれたため住民の要望で改修工事をしたばかり。想定を上回る水量が押し寄せた。
 ▼地名に「久保」の字が使われる住宅地では、坂の上から集中した雨水が溜(た)まり下水が追いつけず、床上浸水した家もあった。久保がつく地はかつて「窪み」がある(った)場所が多いといい、居住地の地形や歴史を把握することが大切。今後も大型台風の来襲が予想され、危険個所の点検や土嚢の準備も怠れない。