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防風林「資材価格引き下げは必要。だが、選択の幅を狭めないよう【2016年9月3週号】」

 ▼農薬や肥料、農業機械などの新製品が矢継ぎ早に販売された高度経済成長期。「過剰投資」だと、農業経済学者などから指摘されながらも、耕うん機からトラクターへ、バインダー・自走自脱体系からコンバインへ、さらに高馬力機種へと農家の買い替え需要は膨らんだ。
 ▼経営面積に見合った投下馬力は満たされていても、泥田を歩かずに座って作業ができる快適性は背に腹は代えられなかった。しかし、農協口座に米代金の入金と同時に、農機代返済で引き落とされる現実、「機械化貧乏」が農村生活の俳句や川柳などのお題目になる世相でもあった。
 ▼資材価格引き下げ議論が自民党で始まった。環太平洋連携協定(TPP)発効後に輸入農産物が流入し、国内農産物価格が低下しても、生産費に占める資材費の圧縮で農家の利益幅を確保できるとの計算。だが、資材費低減への努力が、流通分野等からの農産物価格低下圧力になるとしたら本末転倒といえよう。
 ▼生産資材の流通構造の簡素化や企業間競争による資材価格の引き下げは、農家も異論はない。肥料製造業による成分虚偽表示問題は登録銘柄数の多さなどが一要因だったが、かといって製品選択の幅を狭くしたり粗悪資材の氾濫は営農の障害となる。
 ▼農業資材専門のネット通販は複数あり、価格比較し購入する農家も増えた。病害虫発生情報や土壌分析による散布・施用の徹底、規模に合った農機導入、中古農機の活用など、先進農家はすでに経営リスクを考え取り組んでいる。