ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「災害の時、常態の時もNOSAIは活動する【2016年10月3週号】」

 ▼九州地方に巨大な台風が接近中との情報を受けたNOSAI組合の職員Aさんは、担当地区のNOSAI部長宅へ「台風に備えるよう集落農家に伝えて」と電話連絡し終えると愛用のスーパーカブを走らせた。強風が吹き荒れるなか、近隣集落を注意喚起して回るAさんの姿を目撃した農家がいた。
 ▼組合事務所に一本の電話が鳴る。「Aさんに連絡し、呼びかけを止めて帰るよう指示してほしい」。「なぜ?」と問うと「Aさんは地域にとって大切な人。強風で怪我(けが)でもされたら困るのは私たちだ」
 ▼日本海側中心に中越地震が発生、大規模畜産農家は牛を繋(つな)ぐロープを切り存命を願った。ヘリコプターでの救出作戦が始まった時、余震が続く現場にはNOSAI獣医師が牛を追い走り回る姿があった。
 ▼家畜伝染病により発生区域外への家畜移動制限が指示されたとき、NOSAI職員は不眠不休で交通規制を支援。防疫強化とともに全頭処分の決定に、NOSAI獣医師は思いに反し対応する。「農家のため動物を生かす事を使命にこの仕事を選んだはず」と苦渋の選択に言葉を詰まらせた。
 ▼東北の商工会役員は「冷害の不作の年、共済金の年内支払いは農家も私たちも救われた」と地域経済と結びつく制度だと評価した。自然災害発生のない常態がNOSAIの望み。今夏の台風のような災害は増えても減る見込みはない。だからこそNOSAIは損害防止に力を注ぎ、日本各地で共済金の年内支払いに向けた仕事に取り組んでいる。