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防風林「野菜の高騰、生消との情報交流が大切に【2016年11月2週号】」

 ▼秋冬野菜の小売価格が高騰し、消費者は鍋ものシーズンなのに、買い控えや低価格の代替野菜でしのいでいるという。夏から続いた天候不順が、産地の播種や生育に大きく影響した。
 ▼近隣の量販店に足を向けるとキャベツ1玉350円、大根1本258円、長ネギ1束198円。消費者には確かに厳しい。テレビの街頭インタビューでは「夕食の献立に困る」との声に納得もするが、何回も列島を襲った台風に被災した農家へのいたわりの声はあまり聞かれないのだ。
 ▼高単価でも生産量が減少し規格外が多くなれば、農家収入の目減りは当然の理(ことわり)。だが中には、「農家が過剰に儲(もう)けているのでは」と誤解する消費者が少なからず存在するのも事実。生産者と消費者の間には卸や小売り業者が存在し、埋めつくせない距離感が現場の状況を伝えられない。
 ▼過去10年間に発生した自然災害をさかのぼると、「東北大雨」(2007年)、「東日本大震災」(11年)、「新潟・福島豪雨」(同年)、「関東甲信豪雪」(14年)など多々あり、「観測史上」の記録が幾度も塗り替えるまさに異常な気象。だが、江戸中期には数年続いた冷害が餓死者をだす「天明の飢饉(ききん)」を引き起こし、何も天変地異は近年のことだけではない。
 ▼農家経営を脅かすのは自然災害のほかに、産地間競争による価格低下や、企業撤退など地方消費地の購買力低下といった要因も考えられる。農家の収入安定に向けた対策とともに、生産現場の現状を正確に消費者へ情報提供する機能も重要だといえるだろう。