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防風林「感染防止にさらなる注意が必要【2016年12月3週号】」

 ▼来年の干支〈えと〉が酉〈とり〉年という年の瀬に、高病原性鳥インフルエンザの感染が青森や新潟の飼育場で確認され、各県の防疫担当者らによる連日の畜舎消毒や約56万羽におよぶ殺処分作業が実施された。
 ▼韓国では以前から猛威にさらされ、国内に渡り鳥の飛来が増える冬期の警戒が叫ばれていた。空に壁を築けるわけもなく、養鶏農家などには、飼育舎の野鳥侵入防止の強化や衛生管理の徹底などが求められよう。
 ▼口蹄疫など過去に国内で発生した家畜伝染病の報道を通じて共通なのが、(1)二次感染防止に向け徹底した防疫体制(2)家畜飼育農家によるリスクマネジメント意識の重要性(3)行政や研究機関が行う詳細な感染ルートの解明(4)発生農場への風評被害防止の配慮――などだ。
 ▼感染症の専門家がかつて講演で「『あり得ないことはない』がリスク管理の出発点。情報を共有するリスクコミュニケーションが蔓延〈まんえん〉防止につながる」と強調した。日本人は渡り鳥の飛来を心待ちにして歌に詠んだり、江戸期には特徴ある在来鶏や鳴き声を楽しむ観賞用鶏の飼育がはやったりし、鶏と密接な関係だった。伝染病はそんな伝統的な種を絶やす恐れもあるため、用心に越したことはない。
 ▼クリスマスや正月など需要期前の報道で風評を招き、消費が低迷しないか心配。朝食の卵かけご飯や弁当の卵焼き、チョイ呑〈の〉み屋の串焼き、と現代人も朝から晩まで密接な人も多そう。消費拡大のため今夜も街に出動しようか。