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防風林「物語性を科学的に立証し新たな規格に【2017年2月2週号】」

 ▼ホウレンソウを栽培中に「寒締め」することで、抗酸化能の高い機能性農作物がきるという。根雪の下で一冬過ごす雪下ニンジンなどの野菜、雪室保管した米の食味が向上するとされるが、科学的な裏付けがあれば新たな商品価値の創出につながるかも。
 ▼「水車で精米した米は本当にうまいのか?」。そんな問いを投げかけられ研究機関に取材した時がある。「根拠はないが、機械精米と異なってゆっくり搗(つ)くので温度上昇がなく、アミロースなどの含有成分を変質させないからでは」との回答だった。
 ▼2020年に開催予定の東京オリンピックで、世界的に安全性が保証された食材が供給可能かと指摘されている。過去2大会の選手村には、「グローバルGAP(適正農業規範)」の認証を取得した生産者の食材が使われ、次回東京大会では十分な量が確保できそうもないとの懸念だ。
 ▼外国人旅行者の増加や海外での日本食ブームを受け政府は、国産農作物の戦略的な輸出増を目指す。それには国際的に通用する認証を取得した農家を増やす必要がある。国産農作物に寒締めや水車米など「物語性」を科学的に立証し日本農林規格(JAS)の新基準に入れてはどうか。
 ▼今、人工知能など限られた農家や企業しか享受できそうもない先端技術が注目されている。日本には、伝統的な栽培法や発酵法、保管法があり、機能面に優れる食材も多い。和食への再評価と、何より農家が生産と加工に前向きになれる目標になると思うのだ。