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防風林「高齢社会だからこそ安全性能を軽視できない【2017年2月3週号】」

 ▼農業機械化促進法の廃止が今国会に提出される。トラクターや田植機など国が定めた機種に課せられていた型式検査が、国産農機の高性能化により国が規定した検査は役割を果たしたとの認識だ。
 ▼国の補助事業や制度資金での導入の際も検査済み機種を対象とする場合が大方だった。かつて貿易摩擦の際に、欧米農機企業では独自に国際基準の構造・耐久性試験を実施しているため認証済みとして除外するよう日本に要求、輸入機は任意制となった。その後、国産農機も同様となり受検機械が減少の一途をたどった。
 ▼検査対象のトラクターのキャブ・フレームと安全鑑定は改正農研機構法で継続。農林水産省が公表した2015年の農作業死亡事故は338件と減少したがなお高水準。農機大型化が進む中で高齢農家は増加、「ヒヤリ」時の対応遅れも大きな要因。安全装置の検査強化や義務化も検討すべきだ。
 ▼記者が選ぶ昨年の「農林水産研究成果10大トピックス」の第1位は、刈払機の動力オフ後でも慣性で回り続ける刈り刃を即座に止める機構だった。電子制御もなくシンプルで刈刃直上の部品からバーが伸び制動する。
 ▼農業者は無人走行機や自動化された最先端機能、ましてや安全機能をないがしろにした低価格生産資材は望まないはず。型式検査を廃止しても、労働衛生や人間工学の重要性を、今回の選定に際して多くの担当記者が意を込めたことを忘れないでほしい。