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防風林「今後の米麦種子に懸念、売れる米作りにどう対応するか【2017年4月1週号】」

 ▽主要農作物種子法の廃止が今国会で審議されている。この法律によって米や麦、大豆などの品種開発や産地銘柄指定などで、民間企業の参入機会を閉ざしてきたことが理由。
 ▽大手種苗会社の方との雑談で米麦品種の育成が話題に。「うちはないな」と一蹴。優良品種を作出しても、都道府県の産地品種銘柄に指定されなければ普及は望めない。協力栽培農家を探して面積を確保した後に、選択銘柄に申請する手もあるが、企業リスクはあまりに大きいという。
 ▽同法を廃止しても米麦や大豆などの種子市場に参入する国内企業は少数。むしろ、海外大手資本企業に国内の水稲種子を牛耳られては......と危惧する声は多い。品種の選択権は産地側にあり、安易な選択はないだろう。だが将来、主要病虫害に強い品種を海外企業が育成して低価格種子が提供された場合、「種子と農薬代の引き下げが可能」と無し崩し的に導入される悪夢だけは避けたい。
 ▽農業競争力強化プログラムでは、資材価格引き下げが掲げられ、検討過程で農林水産省は農機や肥料などについて、信頼性や品質を考慮せずに海外製品との価格比較を行った。微細な肥料成分割合を使い分ける農家の技術水準を軽く見るかのようだ。
 ▽農家が品種を自由に選び、品種名を自由に表示し販売できる体制が理想。今の分析鑑定技術を使えば、人に頼らず形状分析や遺伝子鑑定も可能だろう。特例設定など農産物検査法改正の方が、「売れる米作り」へ農家意欲も高まろう。