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防風林「簡単機能が使いやすさとは限らない【2017年5月3週号】」

 ▼パソコンで文字入力をしていたら突然、文字変換ができなくなった。無意識のうちに複数のキーを同時に押し動作環境を変えてしまったらしい。元に戻せないまま時間が経過し、後ろ髪が引かれるまま電源を落とした。
 ▼この体験は夜の異業種交流(居酒屋)で同年輩の共感を得たが、最近、キーボードが使えない若者がかなりいる話題に変わった。スマートフォンの普及で一本指入力に慣らされた弊害か。今後、タブレットPCの増加で仕事での誤操作は減少するのか......これも疑問。
 ▼数十年前の洗濯機や冷蔵庫、テレビなど「家電三種の神器」は、スイッチを入れダイヤルを回すだけで使えた簡単な操作だったにもかかわらず、「機械音痴だからだめ」とふれようともしない人が多くいたものだ。
 ▼最近の電子部品が組み込まれた製品は「便利機能」こそ豊富だが、説明書が難解すぎる。「操作は簡単」と前置きし、「設定を2回押して、次に確認を押す」。さらに、「設定と確認を同時に押したあと、右方向矢印を2回と、確認を押す」。使用前に放り出したくなる。
 ▼近所のショッピングモールで先日、高齢者によるアクセルとブレーキの踏み違いによる事故が発生した。指先の運用さえおぼつかないこの身では人ごとではない。80歳過ぎの知人は、自家用車をオートマ車から、誤操作防止にと慣れたマニュアル車に換えた。高齢化社会の中で、便利・簡単機能に潜む落とし穴にどう対応すべきだろうか。