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防風林「低コスト意識は自らの経営感覚で実践すべき【2017年6月4週号】」

 ▼早くも、農業競争力強化プログラムで示された「資材価格の低減」効果なのだろうか。JA全農が公表した平成29肥料年度秋肥価格は、主要品目の複合肥料が前期(28年春肥)より値上げとなったものの、前年同期比で5.8%低下、前期からの銘柄集約メリットを織り込むと17.2%の引き下げだ。
 ▼全農は次期春肥も国内要因のコストを削減し引き下げるという。肥料価格は船積み運賃や為替、輸送費などを勘案し、メーカーとの交渉で決まる。資材価格低下は大歓迎だが、メーカーへの過度な効率化要求は、安定供給の停滞や品質表示偽装などを招く懸念がある。
 ▼かつて、農業機械銀行方式や共同利用、実用機能に絞り低価格化を図った"シンプル農機"による低コスト化対策を実施した。だが、稼働期の集中化や低機能な農機の需要不足などが要因で長続きはしなかった。
 ▼全農は後継者団体や法人組織とともに、資材費低減への研究会を開いてきたという。将来を担う後継者に低コスト化への意識を浸透させる取り組みとして評価できる。規模に見合った施設・資機材導入、予察や土壌分析など情報に基づく肥料・農薬の施用など、利用面でのコスト低減は重要だ。
 ▼農業競争力強化に向けた生産資材価格引き下げや流通構造改革、輸出力強化は、産業界の農業という舞台に続く花道と見る向きも多い。農業者は踊らされるのではなく、自ら描く脚本で主役を演じたい。