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防風林「多様な表現方法あるが目的はひとつ【2017年7月1週号】」

 ▼2016年度ノーベル文学賞に歌手、ボブ・ディラン氏が受賞し、後日「歌詞は歌われるためにあり、読まれるためにあるのではない。歌は感動させることがすべてだ」と講演したという。
 ▼今春、ある大学の入学式で学長が、ディラン氏の代表曲『風に吹かれて』の歌詞を英語と日本語訳を挿入して祝辞を述べたところ、著作権料の請求書が届いて話題に。大学のWEBサイトで読んだが新入生歓迎にふさわしい名祝辞と感じた。
 ▼中学時代に購入したギター教本の課題曲が滝廉太郎の『荒城の月』、2曲目がこの風に吹かれてだったのを思い出す。いま活躍する多くのアーティストに影響を与えたのは、歌詞に加えて独特の歌声が大きな魅力だったから。確かに読むものでなくCDで聴くものだ。
 ▼伝える手法の多様化を感じるのは、新聞や雑誌の企画記事の受賞が多かった農政ジャーナリスト賞も。昨年はドキュメント映画で今年はNHKの地域再生を追う番組。受賞ディレクターに見逃した旨伝えたところDVDがさっそく届いた。
 ▼かつて通った学び舎が廃校となり寂しさを抱える高齢者。地域づくり請負人が地元探訪し見つけた地域の宝を住民に示す。それを契機に高齢者の表情や口調に明るさが戻るさまが読み取れるのは映像の力。新聞や雑誌など活字媒体も負けてはいられない。「人を感動させることがすべて」なのは表現手法が違っても報道の原点。研ぎ澄ました記者の目、これが大事だ。