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防風林「今と昔、青年たちの気概に変化はあるか【2017年7月4週号】」

 ▼約40年前の若者と現代の若者の考え方が基本的に変わってきたとは思わない。本紙「講釈師コマツの遊行録 あしたはどっちだ」の筆者・小松光一氏が連載を終了した。1979年4月から毎月1回の掲載で開始した「青年のページ」第1回から37年間の長きにわたり、農業青年たちとの交流から生まれた熱いコラムを執筆いただいてきた。
 ▼若者の質問に小松氏が答える「狂雲討論」から始まり、83年以降は現在のタイトルに模様替え。『週刊少年マガジン』に連載された「あしたのジョー」(梶原一騎原作)のアニメ版主題歌(寺山修二作詞)は、岐路に立つ主人公の不確実な今に対し「あしたは......」で終わるのだ。
 ▼ボクシングに身を投じた主人公が、宿命のライバルとの激戦の果てに燃え尽き灰となる姿に、当時の青少年は「立つんだ!」とテレビ画面を前に叫んだという。この燃え尽きるほどの情熱で、ムラを変えてほしい、と小松氏は思いを込めたのだった。
 ▼本紙編集部内で、主人公の生き方に心を震わせた記憶のあるかつての青少年世代は筆者のみ。この物語が、全国の若者の胸中に灯〈とも〉した闘いの炎は、現在でも、50代後半から60代の"オヤジ"に残っていてほしいなと思う。
 ▼近年、本紙に登場する「青年」は6次産業化などへの熱い思いを伝えてくれている。だけれど、何かが足りない。過去の縮刷版をめくり返し分かったことがある。「クロスカウンター」での相打ちや失敗をいとわない、若者の命がけが見えてこないだけだ。