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防風林「災害対策と農村環境整備の高まる関係性【2017年10月2週号】」

 ▼6月末以降のたび重なる台風や集中豪雨、日照不足、夏季後半からの低温傾向など、本年産水稲、特に東北地方の作柄概況(9月15日現在)を心配していた。というのも、知り合いの農家からは「秋以降の天候しだい」との報告を受けていたものの、気象がすこぶる良好という状況ではなかったから。
 ▼全国平均で作況指数100の「平年並み」。これを下回ったのは4県だった。同じ都道府県内でも立地の違いで作柄のばらつきが大きいようで、「実態とは異なる」との声ももれ聞こえてくる。関東以北や標高の高い地域では収穫期を10月中・下旬にひかえる米産地も多くあり、今後の天候推移には気が抜けない。
 ▼近年は猛暑による登熟障害を避けるため、田植えを5月の連休から1~2週間遅らせる傾向にあるが、台風や豪雨の被害は作期調整だけでは追いつけまい。豪雨時の水田への浸・冠水被害の防止も、節間長の短い茎と根張りの良い稲作り、取水口を閉じて排水溝周りの異物除去ぐらいしか対応できるすべはない。
 ▼農林水産省が公表したため池調査では、老朽化し修繕が必要な箇所が多く見つかった。旧政権下での公共事業費大幅削減の影響が尾を引き、用排水施設の新設や更新、修理の費用が手当てできなかった地域も多かった。
 ▼棚上げにされた計画が完了していれば、被害が避けられた地域があるとしたなら、もうそれは政治の責任。気象変動によるリスクが高まる現在、災害対策と農村環境整備との関連性は益々深まってくる。