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防風林「異常気象の下では土から学ぶものがたくさん【2017年12月1週号】」

 ▼土壌分析に基づく成分補給/堆肥施用/団粒構造―土づくり研究会の講演で、土を耕すとはなにかを考えさせられた。
 ▼米生産調整(減反)が実施される以前の増産時代、米農家の多くは1トン取りを目指し競っていた。ある多収農家の米収量から水稲が土壌養分を吸収する量を換算したら、今の平均的な施肥量では1トン近くを収穫できる養分量に足りていない。当時の農家は化成肥料の多量施用ではなく、土づくりに独自の工夫を凝らした。
 ▼さらに収量の年別推移を見ていくと減収期が何年か続き、畜力耕から機械耕に変えた頃と重なった。その後、プラウの導入以降、収量は右肩上がりに転じたのだ。ロータリーとプラウの耕深差は約6センチもあり、耕起後の土壌は天地返しコロコロの団粒状の塊になった。
 ▼田植え時の代かき土壌についても、多収農家は「上層を泥状に下層は粒状にした」との記録が残る。"土をかき回してならす"機械体系は酸素欠乏を生んで生育を阻害する。土づくりは「土改剤や土づくり肥料に限定せず、根圏環境改善を目的にした機械作業を含んだ"総合管理"」と秋田県立大学の金田吉弘教授は言う。
 ▼大豆の養分吸収量とチッ素固定量の収支はマイナスというから、田畑輪換の継続で減収傾向になるのもこのせいかも。異常気象下での営農対応は土壌が大切とされる。土づくりは「労力と経費」が課題、土から学ぶべきことはたくさんありそうだ。