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防風林「欲張らず、謙虚に生きよう戌年【2018年1月1週号】」

 ▼「ここほれワンワン」と小判が埋まる場所を『花咲か爺じいさん』に教えたという"お宝招来"の犬は「シロ」。今もありそうな名と思い犬関連サイトで調べたがランク外。雄は「ルーク」が1位だそう。今や、犬種も洋犬が大人気でプードルに日本名は似合わないか?
 ▼飼い主を駅に出迎えた「ハチ」は、東京・渋谷駅の銅像になった今も多くの人を待っている。『フランダースの犬』の「パトラッシュ」は、舞台となったベルギーや著作者の故郷・英国より日本で知られているという。
 ▼日本人は犬に関する物語が好きらしい。映画『南極物語』は大ヒットし、江戸期の『南総里見八犬伝』(曲亭馬琴)は、仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の霊玉を持つ八犬士が活躍する物語。辻村寿三郎さんの人形劇がNHKで放映されて多くの少年たちが画面に釘(くぎ)付けになった。
 ▼度を越した徳川綱吉の犬好きが民心の恨みをかった歴史があるものの、戌(いぬ)の日は昔から、安産祈願の慶事として続いている。また、戌と申(さる)の仲の悪さを憂いた干支(えと)神様が、両者の間に酉(とり)を入れ仲裁を頼んだとの伝承も。
 ▼人の生活圏内にいとも自然に、愛玩動物として飼われてきた由縁は、山に生息する野生鳥獣を遠ざけ作物や人を守るとの"約束事"があったからか。今号に「犬猿の仲」を獣害に利用する例を紹介したが、むしろ自然な姿かも。戌年。「ここほれ」と吠(ほ)えるシロを飼いたいと誰も願う。欲張り爺さんの轍(てつ)を踏まず謙虚に生きればやがて花を咲かすこともできよう。