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防風林「空き巣対策だけでなく、住民連携は命の防衛線【2018年1月4週号】」

 ▼本紙の今週号で「空き巣の手口と対策」について専門家の解説を掲載した。昨年の暮れ、実家の老親が住む家屋に泥棒が侵入し現金数万円が盗まれた。「施錠せずに外出しても安心」との甘い考え方が災難を呼んだ。
 ▼近所への買い物などには表玄関は厳重に施錠しても、庭に面した裏口の木製扉についたネジ鍵を閉めなかった。「千丈の堤も螻蟻(ろうぎ)の穴を以(もっ)て潰(つい)ゆ」[韓非子]。想定された場所から泥棒は侵入せずに、手薄な箇所を見つけて犯行におよぶ。
 ▼箪笥(たんす)の中に財宝がうなっているようには見えないあばら家。過失があったとしても、年末年始に老夫婦がつつましく過ごす資金に手を出す窃盗犯に怒りがわいてくる。近年は農村でも宅地開発の増加で生活環境が変化し、「隣人を見たら泥棒と思え」の諺(ことわざ)は好ましくないけれど自己防衛は大事。
 ▼ホームセンターなどでは、人が近づくと点灯するセンサーライトや補助鍵など多様な防犯製品が販売されていて、用心のために使用するに越したことはない。取材先農家の敷地に入るやいなや、飼い犬にけたたましく吠(ほ)えられたことが何度もある。「呼び鈴」機能も併せ持つため、番犬はかなり有効な手段かもしれない。
 ▼一般世帯との混住化や農地流動化、働き手の多様化などにより、農村は大きく変化している。とはいえ、堅持せねばならないものがある。自治会など相互に助け合える住民連携だ。防犯だけでなく生存確認できる最終防衛線だからだ。