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防風林「若者よ、同じ花を咲かさなくていいのだ【2018年4月2週号】」

 ▼桜が咲くと人は春という季節を感じ、新入学を連想させる花だということを誰でも知っている。オリンピックなどで活躍したスポーツ選手が血のにじむような練習を乗り越えて今の立場を築いたことも誰でも知っている。
 ▼だけれども、それは桜や選手たちが「あからさま」なだけ、頑張っていない大人なんて実は誰一人としていない。だから誰の意見も聞かずに、自分だけの花を咲かせればいいんだ  そんな内容の詞だったように思う。竹原ピストルさんが若者に向けて歌う楽曲だ。
 ▼頭にタオルをかぶり顔は汗まみれ強面(こわおもて)のひげ面(づら)、ギター一本でだみ声のシャウト。昨年、NHK紅白歌合戦に出場した姿を記憶する人もいるはず。筆者もある求人誌のテレビCMのBGMでしか記憶に残っていなかった。桜の花が散る時期、偶然にネット画像で聞き直す機会があって、例えようのない衝撃を受けたのだ。
 ▼「サクラがあからさま」かと。確かにこの季節、路傍に咲く小さな花も、春の暖かさにつられて一斉に咲くのに、人の多くはなぜか地面の春の競演に無関心。花は人を喜ばすために咲いているわけじゃないはずだ。
 ▼新社会人や新入生が新たな生活を迎えた今月。周囲と同じ色と形状の花を咲かせなくても、素直に自分を表現してほしいとは思う。時として経験不足の浅知恵と社会常識の欠如を棚にあげ、それを「個性」と勘違いしている若者も。竹原さんの歌詞の最後は「君だけの汗をかけ」とある。努力が重要なのだ。