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防風林「「農家に学び 農家に返す」精神は今後も【2018年4月4週号】」

 ▼農業共済新聞は本年4月、創刊70周年を迎えた。本紙の前身「農業共済」第1号の「発刊の言葉」には「この新聞を通じて、中央の動きを地方に反映し、地方の意思をまた中央に反映するための仲立ち......」とある。
 ▼当初の編集内容は、施行されたての農業災害補償法を全国に浸透させる目的とした色合いが濃い。題号に「新聞」の文字を入れたのは4年後の1952年だ。そもそも新聞とは英語「NEWS」の和訳。新しい出来事のみを伝えることが使命ならば情報媒体が多様化した今、テレビやラジオ、ネット配信でも用は足りる。だが本紙は新しさのみを追わず、記事のもつ「価値」を常に重要視してきた。
 ▼農家や読者が、今後の営農展開に踏みだす契機となりうる情報。「農家に学んで 農家に返す」の言葉を心に刻んで現場の声に耳を傾けた。これは今後も変えてはならない姿勢。いわば地方と地方の仲立ちなのだ。
 ▼十数年前、作業中に脚立から落下した高齢果樹農家が営農を断念するほどの大けがを負った。だが一念発起し低樹高仕立てに取り組み再起――との記事を掲載した。後に「同じ境遇の農家や他産地から何件もの連絡があり多くの仲間ができた」と連絡が入る。そこで気づいた。仲立ちたる私たちが、実は大切な価値を教えてもらっていることをだ。
 ▼AI(人工知能)など新技術が農業に押し寄せても、農を営むのは人間。効率性のみにとらわれず、新たな価値を見いだす農家をこれからも追い続けたい。