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防風林「急速な人口減にこれからの農村対応は【2018年7月1週号】」

 ▼「日本人は将来、絶滅危惧種として登録される存在になるかも――」。国立社会保障・人口問題研究所がまとめた「日本の将来推計人口」を基にした予測では、40年後の人口は9千万人を下回るとし、さらに800年後には、日本列島内に6千人ほどになるという。
 ▼『未来の年表』の筆者・河合雅司氏は、この状況を冒頭の"絶滅危惧種"と表現したが、SFじみて実感がない。総務省公表の日本の総人口(2017年)では1億2670万人と7年連続の減少。うち日本人は1億2464万人で前年比約37万人の減少は、大都市の一つが消滅したのと同じ。
 ▼厚労省の人口動態統計(17年)も、出生数(94万6千人)と死亡数(134万人)の差である自然増減数(39万4千人)の減少幅は過去最大となった。河合氏は、加速度的に進む出生率低下と高齢化は、消防や警察、防衛などに従事する若者の激減を呼び、「静かなる有事を招く」と強調する。
 ▼高度成長期の首都圏に乱立した団地群は核家族化の象徴だったが、今や独居高齢者が目立つ状況。評論家の寺島実郎氏は講演で「都会に住む高齢者と農村部の人的な相互交流によって、新たな展開が見いだせるのではないか?」と提案する。
 ▼少子・高齢化を見越す人工知能やロボット開発もいいが、高額で無機的な介護支援より血の通う「老・老協調」の方が、高齢者の生きがい対策や地域活性化に役立つだろう。絶滅危惧種となる前に、都市と農村の民族大移動があっていい。