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防風林「続けざまの災害予知技術も人間が運営する【2018年9月4週号】」

 ▼豪雨・台風・地震と続き、豚コレラの発生で震撼〈しんかん〉した。周辺に生息する複数の野生イノシシからの感染確認検査で陽性と判定、今後も尾を引きそう。BSE罹患〈りかん〉牛が確認された2001年も、異常高温による渇水の後に豪雨災害が続いた。
 ▼口蹄疫発生は09年。前年の低温・長雨・日照不足から一転、夏の気温は「30年に1度の記録的な高温」とさえいわれた。関東・北陸を中心に乳白米や不稔〈ふねん〉などの高温登熟障害で規格外米が多発する不作年となった。
 ▼11年1月には、西日本や日本海側での大雪と新燃岳噴火。3月は東日本大震災に見舞われ、7月に新潟・福島豪雨が発生し多くの水田が冠水。翌12年も新年から大雪、4月は急速に発達するいわゆる「爆弾低気圧」が東北などを襲い大被害となった。また6月は九州北部を線状降水帯が覆って豪雨。記憶に新しい昨年の九州北部豪雨も同現象による。
 ▼すべからく連年や年に幾度もの自然災害。今夏の豪雨は河川氾濫に加えて多数の"ため池"が決壊、近隣集落に爪跡を残した。堤防などの人工構造物が自然の力には歯も立たない証明か。
 ▼災害国・日本が求めるものは、人命や食料を自然の悪戯〈いたずら〉から守る技術。農研機構はため池決壊予測装置を来年には運用予定だ。今花盛りの人工知能やロボットの知見を災害予知・人命救助などにさらに応用できないものか。だが、災害の連鎖に克〈か〉つ手段をそろえても運用は人。体制整備や意識改革など、課題はそこだ。