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防風林「明治維新から150年、変わったものは何か?【2018年10月1週号】」

 ▼今年は明治維新から150年にあたる。幕藩体制の封建社会から解放されて立憲主義の世の中になり、それが「もう」なのか「まだ」かは人それぞれ。日本国憲法下の世も約70年続いているが、徳川政権260年の長期治世と比べれば足元にも及ばない。庶民は身分制度に抑圧され、政治変革の権利もはく奪されていては何もできなかったのだろう。
 ▼"もり・かけ"追及もどこ吹く風、自民党総裁選に勝利した安倍首相の新内閣が誕生。政界を見渡せば2世や3世がなんと多いことか。家業の継承と同じ感覚で、国や地方の行く末を委任してしまう国民の政治意識は明治維新から150年、何ら変化してないのかも。
 ▼江戸期はさぞ息のつまる生活と思われるが、歌舞伎や落語、美人画に代表される浮世絵といった民衆文化が花開き謳歌(おうか)した。特に落語の軽妙洒脱な掛け合いから、長屋生活も「捨てたもんじゃねえ」とあこがれる。
 ▼ただ、武士階級の次席にあたる農民は、五人組制や高い年貢で土地に縛られ、技術革新の少ない農具類での手労働。天変地異の不作時に娘の身売りが横行していたのはそんな昔ではない。
 ▼「権力の世襲」「土地に縛られる世襲」があり、土地世襲の民は権力に直訴するにも『佐倉義民伝』のように死を覚悟せねばならない時代。維新後150年間はそんな社会から脱却した平等の世のはず。今、農村では「第三者継承」が増えている。政界も「新たな担い手育成」があっていい。