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防風林「今年は"うってでる"1年にしてみては・・・。【2019年1月1週号】」

 ▼最近、「平成最後」と前置きのついた言葉を耳にする。明けて迎えた正月はまさに平成最後となる。昭和に生を受け、平成を越え新時代を迎えられそうだ。5月以降はいたる箇所で「新元号初」の言葉が躍るのだろう。
 ▼昭和は戦争突入とその泥沼化・敗戦、復興から経済成長。平成はバブル崩壊など景気浮沈の低成長期、そして阪神・淡路、東日本など大震災に加え大型台風や集中豪雨・長雨に見舞われ続ける災害列島だった。そして新時代に引き継ぐ課題は、昨年末発効のTPP(環太平洋連携協定)11、続く日・欧州連合とのEPA(経済連携協定)以後、貿易低関税率との厳しい戦いだ。
 ▼農業分野においては『スマート農業の社会実装』という一見、"夢農業を具現化"するかのような構想が、「農林水産業・地域の活力創造プラン」(改訂版)に示されている。しかし果たして農山村を快適にしてくれる救世主なのかを、慎重に見極めるべきだろう。
 ▼今年の本紙テーマは「うってでる 農業」。日本海側の地理的どん詰まりの小さな集落で、地域づくりに取り組む代表が話した言葉が原点だ。「住民の結束や環境整備は経過。最終目標はここで永住できる経済活動を興すことだ」――と。集落に住む最少の人々が最小の夢や希望を求め続ければ、必ず現状から脱せられる。
 ▼今は、暦の二十四節気七十二侯で「雪下(ゆきわたりて)出麦(むぎのびる)」、冷たい雪の下で播いた麦の種が芽を出す季節という。新時代の幕開けに、人の心や集落に実が成る種を播く一年にしてはどうだろうか。