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防風林「食味ランキングは誰からも納得できる試験を望む【2019年3月3週号】」

 ▼平成30(2018)年産米の食味ランキングが先ごろ発表され、前回、28年連続の「特A」から「A」に転落した新潟・魚沼産「コシヒカリ」が、今回再び返り咲いた話題が注目を集めた。
 ▼前回の格落ちから特Aに再評価されたのは、何も魚沼コシだけでなく、18産地品種あり他銘柄の影が薄いよう。今回は154産地品種の中から、特Aは過去最多の55点(前回は43)。品種別で見るとコシが14産地品種も占めていて、2番手の「ひとめぼれ」(同6)の2倍以上もの開き。まさに米の食味・食感の主流はコシ全盛といっていい現状だ。
 ▼その中で、魚沼コシは大相撲の横綱的な存在。だが、岩手・県南のひとめは平成6年の特A以降2回、新潟・佐渡や福島・会津コシも過去に数度の格落ち経験を経て、最近は特Aの常連。稲作は気象に影響されやすく、連年続けての品質維持は難しい。横綱もときには優勝を逸し、鍛錬を重ね奮闘して地位を守り続ける。
 ▼特Aの「ゆめぴりか」「ななつぼし」「つや姫」は将来の横綱候補かも。「さがびより」「あきほなみ」など九州産品種が特Aも多く産地にとっては米作り意欲の向上に貢献している。
 ▼このランキングは農家の意欲向上に貢献していると思う。だが、産地が提供する米を食味官能試験で選ぶ方式から、産地の標準的な水田で施肥・防除基準に基づいて栽培された「市販米」とする基準の方が、誰もが納得できる指標になるのでは......と思うのだが。