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防風林「農作業着は機能性もだがかっこよくなければ【2019年4月1週号】」

 ▼ゴールドラッシュにわく米国の鉱山労働者が着用するズボンは容易に擦り切れてしまうことから、仕立て職人がデニム生地をリーバイ・ストラウス社から仕入れて、銅製のリベットをポケットに打ち込み補強し作ったのが「ジーンズ」の始まりだそう。
 ▼腰ラベルに幌馬車が描かれていることが多いため、幌布活用が元祖と思い込んでいた。丈夫で機能性にたけたこのズボンは、鉱山から牧場や多方面の作業場に伝わり、もはや作業着の原点として広く普及する。現代では普段着としても一般的だが、米国で若者にはやりだしたのは、映画「理由なき反抗」で主演したジェームス・ディーンが着用した影響というのが通説。
 ▼国内でも少し遅れて長髪とジーンズが不良の象徴のように印象づけられた。大人に眉をひそめられつつ着用した若者もオジサンになり、膝上が大きく横に裂けたジーンズ姿を見るたび、不快そうな表情でいる。異形の装いの概念は時代と共に変遷するものなのだろう。
 ▼本紙の連載「今どき野良着」では、色彩やデザイン性、通気性に優れた農作業着が紹介され女性農家から好評。作業を終え着替えずに出荷先や直売所に立つ方も多く、「汚れてもいいだけの服装」は敬遠されている。
 ▼「農の花は嫁や娘で十分」と服に無頓着な男性農家は未(いま)だ多い。作業着をおしゃれ着に変えたJ・ディーンのようにとはいかなくても、「お父さんかっこいい」と子供が感じてくれれば農作業をもっと手伝ってくれるかもだ。