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防風林「集落の空き家解消へ 知恵を出そう【2020年1月2週号】」

 ▼新年は、義理の母親が暮らす伊豆半島東岸の集落で迎えた。海岸近くまで山が迫る土地で、昔はボラ漁など漁業を主体に、斜面の畑でかんきつを栽培していたという。今は温泉やダイビングなどを楽しみに多くの人が訪れる観光地、別荘地でもあり、休日の国道は他県ナンバーの車で渋滞する。
 ▼以前は人の往来が盛んで活気もある地域と思っていたが、最近は集落を散歩すると空き家が目立つようになった。庭木が手入れされず、屋根や窓などが壊れ、放置されている。草に覆われた畑や、切り株が残る果樹園が何カ所もある。
 ▼人口減少社会に突入し、国内では空き家問題が深刻化している。総務省調査では、2019年の空き家数は846万戸と過去最高になった。持ち主不在で適切に管理できないと、防災や防犯、景観など多くの影響が心配される。積雪地帯では、雪の重みで家の倒壊も続き、住民の生活を脅かしている。
 ▼市町村では、住民の生活環境保全や安全確保などを目的に制定された空家等対策特別措置法に基づき、実態把握と所有者の特定、空き家の発生防止と活用に取り組む。しかし、基本は個人所有の財産のため、早急な問題解決は難しい。
 ▼散歩の途中、就学前の子ども4、5人が母親たちと遊んでいた。安心して遊べる環境づくりには地域住民の関わりも大切。今が知恵の出しどきだ。