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ハンター育成を支援、農家主体の鳥害対策【9月3週号 新潟県】

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 【新潟支局】信濃川堤外地を中心に果樹地帯を形成する加茂市の加茂新田・山島新田・須田地区では、地元の果樹農家が狩猟免許を取得し、銃器による有害鳥獣の捕獲などを自ら実施する。同市の委託事業として40年以上続き、現在は28人のハンターが活動中だ。同市が委託する「果樹有害鳥獣捕獲等事業」では、モモ・ナシの収穫期の7月第2土曜日から9月上旬ごろまで週3回、銃器による駆除や追い払いを早朝に実施する。駆除の対象は、カラスやムクドリなど果実を食害する鳥類。同市内では2020年度、約700万円相当の被害を受けている。駆除事業を受託する各地区の果実組合、生産部などでは、猟銃所持免許や狩猟免許の取得経費を助成するなど、ハンターの育成・維持を支援。NOSAI新潟(新潟県農業共済組合)中越支所は、使用弾代の10%を毎年補助する。加茂市猟友会(鶴巻直嗣会長)事務局で加茂新田の生産者・土田諭さん(59)は「駆除事業実施当初は、地区外のハンターに害鳥駆除をお願いしていたが、やはり『自分たちの果物は自分たちで守ろう』と、1969年ごろから地元でハンターを募り始めたと聞いています」と話す。緊急の場合は、一斉出動以外でも有害鳥獣捕獲などの許可期間内であれば、個人での駆除などが可能だ。20年度はムクドリ138羽、カラス78羽を駆除。同市農林課の鶴巻正典係長は「害鳥の数を減らすのは難しいが、ハンターがいるという学習をさせて、少しでも被害が減らせれば。ハンターと生産者の高齢化や後継者不足など課題はありますが、今後も関係機関と連携して、有害鳥獣対策を進めていきたい」と話す。

〈写真:加茂新田、山島新田地区のハンター全員が集合した〉