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腹づくり重視の繁殖経営 肥育農家が育てやすい素牛に【9月3週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】さつま町中津川で昨年4月に実家の繁殖経営を継いだ永江陽平さん(28)は、兄の義文さん(40)、母の美恵子さん(66)と共に、黒毛和種34頭(親牛・育成牛)を飼育、種もみ4ヘクタールを作付ける。「肥育農家が育てやすい牛になるように取り組んでいる」と陽平さん。農業生産法人で肥育牛の飼養管理を担当していた経験が「今に生きている」と笑顔を見せる。「どういう素牛が育てやすいか」と考えながら子牛を管理するという。濃厚飼料で体を大きくするのではなく、粗飼料を与えて腹をつくる。「腹がしっかりできている素牛は、肥育したときに餌をよく食べてくれる。そのため、基礎となる腹づくりには力を入れている」。知り合いの肥育農家に買われた場合は、その後の成績を聞き、飼養管理の見直しに役立てているという。「頑張った結果が目に見えて分かるところがやりがい」と陽平さん。経験がない部分は、実家や農家仲間の経営を参考にしている。「実家でこれまでやっていたように、子牛は自然哺乳で育てている。離乳するまで種付けができないので、回転率は下がるが、ミルク代のコスト削減になっている。また、子牛の体調が安定しやすく、よく育つように感じる」。家畜人工授精師の資格を取得し、初めて種付けした牛の妊娠鑑定の時期をもうすぐ迎える。「夏場は発情の兆候が分かりにくい上に、受胎しづらい。無事に妊娠していてほしい」。今後は繁殖経営の規模拡大に力を入れていくという。「繁殖牛を70頭から80頭まで増頭したい。一貫経営ができる環境をゆくゆくは整えて、地域の農家仲間と助け合いながら経営できるような仕組みをつくれたら」と夢は広がる。

〈写真:「頑張った分だけ自分に返ってくる」と牛の手入れに励む陽平さん〉