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収入保険・私の選択 取引量激減、つなぎ融資で立て直す【9月3週号 群馬県】

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 【群馬支局】渋川市赤城町でレタス31ヘクタールとキャベツ5ヘクタール、長ネギ4ヘクタール、トウモロコシ1ヘクタールを栽培する都丸悟〈とまる・さとる〉さん(34)は、2020年に収入保険に加入し、万が一のリスクに備える。「自然災害や価格の下落などは通常起こりうると思っていたが、新型コロナウイルスの影響は想像もしていなかった」と話す。20年は新型コロナの影響で取引先への出荷が停止となり、野菜の取引量が大幅に減少。加えて同年7月の長雨と8月の高温障害による収穫量の減少で、かつてないほどの経営危機に直面した。収入保険に加入していたおかげで、つなぎ融資を利用し、危機的な状況を回避できた。「当面の運転資金を受け取れたため、経営を立て直すことができ、とても助かった」と振り返る。収入保険のメリットの一つは、無利子のつなぎ融資だ。加入者の資金繰り支援が目的のため、補てん金の受け取りが見込まれる場合、支払い前に貸し付けを受けられる。申請後約1カ月程度で受け取れるスピーディーさも利点だ。都丸さんは大学卒業後、会社員として営業職に3年間就いた後、実家を継ぐため25歳で群馬に帰郷。就農前に昭和村の大規模レタス農家へ研修に通い、渋川市でレタス栽培を始めた。現在は気候や土質との相性を見極めるため、試験的に栽培しているものを含め年間12品種を作付ける。従業員14人が働くほか、3人程度の海外実習生を毎年迎え、農繁期は連日午前4時から作業に取り組む。近隣のコンニャク農家やソバ農家と連携し、連作障害防止のため畑を交換して輪作する。地元JAの職員は「都丸さんは有望な若手農家。レタスの出荷量はトップクラスだ。研究熱心で先進的な考えを持つ」と期待を寄せる。法人化を視野に、さらなる規模拡大を計画する都丸さん。「収入保険は安心して営農するために欠かせない制度だ」と評価する。

〈写真:レタスの品質を毎日確認する都丸さん〉