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防風林「空き家活用の道を探ろう【2021年11月2週号】」

 ▼休みの日に近所を散歩する。東京郊外の住宅地なので、家と家との間隔は狭く、道を挟んでぎっしり並ぶ。庭と呼べるスペースがない家もある中、庭付きの家では、バラなど季節の花を見事に咲かせたり、鉢植えを壁に並べて見せたりと植栽の工夫が目の保養になる。
 ▼ただ、最近は草や木が繁茂して隣家や道路に飛び出している家も目に付く。屋根や壁に大きな穴でも空いていれば、あるじをなくした空き家で間違いない。草木を整理できればよいが、他人の家だから勝手に入り込むわけにもいかず、何もできない状況だ。
 ▼総務省の調査では、空き家の総数は約850万戸で、この20年間で1.5倍に増えたという。日本は人口減少に転じているから、今後はさらに増える心配がある。空き家が発生すると、景観の悪化だけでなく、倒壊や崩壊など防災性や防犯性の低下、動物の巣になれば衛生や悪臭の問題も生じる。
 ▼空き家問題が顕在化する中で空き家対策特別措置法が制定され、適切に管理されていない場合は市町村による対策が可能になった。だが、権利関係の手続きや予算などが課題で、対策が追いついていないようだ。
 ▼テレビでは、古民家に移住して地方の生活を満喫する人をよく見る。宿泊や体験の拠点にすれば、空き家は地域の財産に変わる。よい循環を生む工夫が肝要だ。