ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

農業60年 倒れない稲を実践/販売好調の加工品【12月1週号 富山県】

211201_4.jpg

 【富山支局】「安定的な農業経営を心掛けています」と話す南砺市北野地区の上田勝治〈うえだ・かつじ〉さん(86)。現在、水稲3ヘクタール、大麦1.2ヘクタール、野菜(ショウガ、キクイモ)10アールを栽培する。20代後半から農業を始め、就農して今年で約60年。農業収入を安定させるため、さまざまなことに挑戦しているという。「倒れにくい稲を育てることを目指してきました」と上田さん。稲の倒伏は根元近くの節間が折れる場合が多く、その原因は節間の徒長だという。上田さんは、稲の第4、第5節間を5センチ以内に止めることで、倒伏に強い稲を育てる。そのために6月下旬から7月上旬までの期間は、田んぼの管理に人一倍気を使う。「その時期は毎日、稲の状態を手で直接確認しています。天候に応じたこまめな水管理が重要で、初めは調整が難しく失敗もありましたが、経験を重ねた今では、水稲の倒伏被害はほとんど発生していません」。ショウガとキクイモは粉末状に加工して地元の農産物直売所に出荷する。「ショウガパウダー」は、茶やコーヒーなどに入れて飲むと体が温まる効果があり、これからの寒い時期に薦めたい商品だという。「菊芋パウダー」は、みそ汁などに入れて飲むことで、整腸作用や食後血糖値の上昇抑制、中性脂肪の低下が期待できるとあって、健康志向の消費者に好評の商品だ。今年はどちらも売れ行きが良く、品薄解消のために加工時期を前倒しにするほどだという。上田さんは今年、収入保険への加入を決めた。「収入保険は対象品目の限定がなく、農業共済では補償されない野菜類も対象になる点に魅力を感じました。今年は米価下落の影響で収入は減少すると思います。収入保険では、それらも含めあらゆるリスクに対応しているため、安定的な経営を継続していくために必要不可欠な保険だと思います」と話す。

〈写真:キクイモを収穫する上田さん。「あらゆるリスクに対応してくれるということで収入保険への加入を決めました」〉