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防風林「燃油高騰に左右されない地域資源、掘り起こしを【2021年12月2週号】」

 ▼新型コロナの新たな変異ウイルス、オミクロン株の世界的な感染拡大に伴い、渡航禁止措置を実施する国・地域が続出。国際的なスポーツイベントも軒並み中止される事態となった。新たな変異株が出る度に騒がずにすむようになるまで、まだ時間がかかりそうだ。
 ▼一方、物流や施設園芸への影響が心配された原油の高騰は小休止したもようだ。先行きが見通せない状況ではあるが、営農が継続できる水準で落ち着くことを期待したい。ただ、世界有数の産油国であるはずの米国が原油高に困っているとの報道に触れ、改めて資源に乏しい日本の弱さを実感した。
 ▼今回のコロナ禍は、これまで進展していたグローバル化の弱点をあらわにした。何らかの事情で物流が止まっても地域の経済活動を継続できる環境整備が必要ではないか。脱炭素化で期待される再生可能エネルギーであれば、日本のどこでも実践できる。
 ▼短期間で急伸した太陽光発電は、景観や土砂災害の危険性など課題がある。可能性を感じるのは、小水力発電や間伐材などを使う未利用バイオマス、家畜排せつ物を使う廃棄物バイオマスなどだ。
 ▼井上ひさし氏の『吉里吉里人』は、東北の寒村が医療立国などを掲げて日本からの独立を宣言し、日本政府との攻防など2日間の騒動を描いた。食料とエネルギーの自給を独立国の誇りとしていたことが印象に残る。