▼南太平洋のトンガで起きた大規模な火山噴火は、遠く離れた日本やペルーにも津波被害をもたらした。海底ケーブルが断絶し、噴火から5日を経た時点でも、火山から100キロ圏内で首都ヌクアロファのあるトンダカプ島など主要地域の被害も分からず、不安が募る。
▼トンガの災害をひとごととは言えない。日本には富士山をはじめ111の活火山があり、うち50は、地震計やカメラなど24時間体制での監視が行われている。噴火を防ぐのは無理でも、被害を最小限にとどめられるよう政府や自治体、関係機関などの連携を一層強化してほしい。
▼富士山は300年ほど前「宝永の大噴火」と呼ばれる噴火をした。火山灰などの噴出物は、偏西風に乗って静岡県北東部から房総半島まで広範な地域に降ったという。灰が堆積した地域は耕作が困難になり、大雨で流れた泥流が河川の氾濫を招くなど影響は数十年続いた。
▼トンガの復旧・復興も長期にわたる可能性がある。日本も含めた国際的な枠組みの構築はもとより、民間ベースも含めたきめ細やかな支援が欠かせない。